説明

携帯型端末装置

【課題】ディスプレイ面の汚れを確実に防止し、かつ、使い勝手も良好にすることを目的とする。
【解決手段】一面をほぼ全面に渡ってディスプレイ面1として使用される第1筐体2と、キー操作面3を備えた第2筐体4を相対位置可変に連結した携帯型端末装置であって、
第1、第2筐体2、4は、ディスプレイ面1とキー操作面3の双方を露出させる展開姿勢に加え、通話可能な通話姿勢への移行が可能であり、
かつ、通話姿勢において、前記ディスプレイ面1の一部または全部がキー操作面3側を向いた姿勢で第2筐体4の背面に移動して該第2筐体4により覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通話中のLCD表示面の顔への接触を防ぐことによりLCD表示面の汚れを防止するようにした携帯型端末装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、端末装置は、ディスプレイサイド(第1筐体)と、ボタンサイド(第2筐体)とを回転自在に連結して形成される。ディスプレイサイドとボタンサイドとの間には同軸周りに回転自在な保護プレートが装着され、通話時に保護プレートをディスプレイサイド側に回転させることにより顔とディスプレイサイドのLCD表示面との直接接触を防止し、LCD表示面の汚れを防止する。
【特許文献1】特開2004-241890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来例において、通話する場合には、まず、保護プレートをボタンサイド側に倒してボタン操作を行った後、さらに保護プレートをディスプレイサイドに倒す必要があるために、使い勝手が悪いという欠点がある。
【0004】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、ディスプレイ面の汚れを確実に防止でき、かつ、使い勝手も良好な携帯型端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
端末装置は、ほぼ全面をディスプレイ面1とした第1筐体2と、操作キーを集中配置したキー操作面3を備える第2筐体4とを連結して形成される。第1、第2筐体2、4は一方を他方に対してスライド、あるいは回転させることにより相対姿勢変更可能であり、通話先の指定、あるいは電子メイルの確認、入力等を行うために、第1、第2筐体2、4を展開してディスプレイ面1とキー操作面3の双方を露出させる展開姿勢に加え、通話可能な通話姿勢と、必要ならば不使用時の待ち受け姿勢を取ることができる。
【0006】
通話姿勢は、第1筐体2、あるいは第2筐体4に配置されるレシーバ6を耳に触れさせ、あるいは耳の近くに位置させた状態での使用を前提とする姿勢であり、当該通話姿勢において、第1筐体2のディスプレイ面1は全面、あるいは一部は第2筐体4の背後に移動して第2筐体4の陰に隠れる。
【0007】
この結果、ディスプレイ面1全面が隠れた場合は勿論のこと、一部が隠れた場合であっても、露出面積が小さく、かつ、露出するディスプレイ面1は第2筐体4の背後に位置して顔から離れるために、直接顔に触れることが少なくなり、皮脂のディスプレイ面1への付着が防止できる。また、通話姿勢においてディスプレイ面1はキー操作面3側、すなわち、顔を向く姿勢を取るために、通話時にディスプレイ面1が他人に晒されることも防止できる。
【0008】
通話姿勢においてディスプレイ面1の一部を露出させる場合には、露出部分を通話状態の確認等を行うための補助画面7として利用することができる。この場合、露出範囲は、ディスプレイ面1への皮脂の付着が可及的に少なく、かつ、補助画面7としての機能も十分達成できるように決定され、ディスプレイ面1の半分以下、望ましくは1/4程度とされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ディスプレイ面1の汚れを確実に防止できる上に、使い勝手も良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1、2に携帯電話として構成された本発明の実施の形態を示す。携帯電話は、表面に複数の操作キー8を配置してキー操作面3が形成される第2筐体4と、表面のほぼ全面に渡ってLCDパネル9を配置してディスプレイ面1とした第1筐体2とを有する。第1筐体2の上端部にはレシーバ6が、下端部にマイク10が各々キー操作面3側に配置される。
【0011】
第1、第2筐体2、4は、第1筐体2のディスプレイ面1と第2筐体4のキー操作面3を同一方向に向けた姿勢で第2筐体4が第1筐体2の背後に位置した状態で連結される。図1(b)、(d)に示すように、第1、第2筐体2、4を連結するために、第2筐体4の側壁にはガイド溝4aが凹設されるとともに、第1筐体2には、ガイド溝4aに摺動自在に嵌合する突条2aが設けられる。
【0012】
これら第1、第2筐体2、4は、図1に示すように、突条2aがガイド溝4aの下方ストッパ壁4bに当接する待ち受け姿勢と、図2に示すように、突条2aがガイド溝4aの上方ストッパ壁4cに当接する展開姿勢との間でスライドする。図1に示す待ち受け姿勢において、第1筐体2と第2筐体4とが積層姿勢となって第1筐体2のディスプレイ面1が第2筐体4に覆われ、ディスプレイ面1が保護されるために、この姿勢は、携帯電話不使用時のために設定される。
【0013】
これに対し、図2に示す展開姿勢において、第1筐体2のディスプレイ面1と第2筐体4のキー操作面3とは全面に渡って利用者に視認可能となるために、この姿勢は、ディスプレイ面1を確認しながらキー操作面3を操作する作業、例えば通話先への発呼操作、あるいは電子メイルの確認等のために設定される。
【0014】
さらに、携帯電話は、上記待ち受け姿勢と展開姿勢との間の移動途上に設定される通話姿勢を有する。図3に示すように、通話姿勢において、第1筐体2のLCDパネル9の上方一部領域が第2筐体4の上端から露出した状態とされる。この露出領域は、通話者情報等を表示する補助画面7として利用される。
【0015】
上記展開姿勢、待ち受け姿勢、および通話姿勢の各姿勢で第1、第2筐体2、4を停止させるために、第1、第2筐体2、4の摺動境界には節度停止手段11が設けられる。図1(c)に示すように、節度停止手段は、第1筐体2に形成される孔2b内に収容されるクリックボール11aを有する。このクリックボール11aは、孔2b内に収容される圧縮スプリング11bにより第2筐体4側に付勢されており、第2筐体4の背面壁に圧接する。
【0016】
一方第2筐体4の背面壁には、上記クリックボール11aが落ち込む凹部11cが形成される。凹部11cは、第1、第2筐体2、4が展開姿勢、待ち受け姿勢、および通話姿勢にあるときに各々クリックボール11aに正対する位置に設けられる。
【0017】
第1、第2筐体2、4が上記各位置関係に移行すると、クリックボール11aは対応する凹部11cに落ち込んで節度感を発生させ、利用者に当該位置関係にあることを知らせる。また、この状態から脱出させるためには、一旦圧縮スプリング11bを圧縮させる必要があるために、姿勢移行に所定の操作力が必要となり、結果、妄りに予期しない位置変更がされることが防止される。
【0018】
したがってこの実施の形態において、展開姿勢で操作キー8を操作して通話相手を呼び出した後、第1筐体2を下方に押し込むことにより簡単に通話姿勢に姿勢変更することができる。この状態で補助画面7に発呼状態等を表示しておくと、相手の応答結果を通話姿勢のままで確認することができる。
【0019】
この状態から、図3(d)に示すように、レシーバ6を耳に当てて通話すると、ディスプレイ面1は、補助画面7部分を除いてほぼ全面に渡って第2筐体4の背面に回り込んでいるために、皮脂が付着してディスプレイ面1が汚れることはない。
【0020】
図4に本発明の他の実施の形態を示す。なお、以下の説明において、上述した実施の形態と実質的に同一の構成要素は、図中に同一符号を付して説明を省略する。
【0021】
この実施の形態において、第2筐体4の上部には窓5が開設され、この窓5越しに第1筐体2を見ることができる。携帯電話は図4(a)、(b)に示す展開姿勢と、図4(c)、(d)に示す待ち受け姿勢の2姿勢をとることができ、待ち受け姿勢が通話姿勢を兼ねる。
【0022】
したがってこの実施の形態において、携帯電話を通話姿勢に移行させると、窓5越しには第1筐体2のディスプレイ面1を見ることができるために、この領域に所定の情報を表示し、補助画面7として利用することができる。
【0023】
なお、以上において、第1筐体2のディスプレイ面1は、展開姿勢、あるいは通話姿勢を問わず、使用中には全面が活性状態とされていることを前提として説明したが、通話姿勢時には、補助画面7として使用される領域のみを活性化することができる。
【0024】
図5はこのように構成する場合の図1の変形例を示すもので、通話姿勢において補助画面7として使用される領域を図5(a)においてハッチングを施して示す。
【0025】
12は第2筐体4の背面に配置される検知スイッチであり、検知レバー12aを備えたマイクロスイッチにより形成される。検知レバー12aは、図5(b)に示すように、第2筐体4の背面に干渉物がないときは検知孔12bから突出しており、この状態で検知スイッチ12は”OFF”となる。この状態から第2筐体4の背面に干渉物が位置すると、図5(c)に示すように、検知レバー12aは第2筐体4内に押し込まれ、検知スイッチ12が”ON”となる。
【0026】
一方、第1筐体2の正面壁には、図5(d)に示すように、待ち受け姿勢において検知レバー12aに正対する凹部12cが形成される。凹部12cは、検知スイッチ12が”OFF”になるまで検知レバー12aが第2筐体4から突出するに十分な深さと、大きさに形成される。
【0027】
したがってこの変形例において、検知スイッチ12は、待ち受け姿勢と展開姿勢においては”OFF”(図5(d)参照)で、通話姿勢のときにのみ”ON”(図5(e)参照)となる。第2筐体4内の図外の制御部は、検知スイッチ12の”ON”への遷移を検出すると、LCDパネル9の活性エリアを補助画面7対応位置に限定することにより、電力消耗を防ぐ。
【0028】
LCDパネル9の活性エリアの限定による省電力化は、例えば、LCDパネル9の他の領域での輝度低下、バックライト消灯等により行われる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)の1C-1C線断面図、(d)は(b)の1D-1D線断面図である。
【図2】展開姿勢を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は図1(c)に対応する断面図である。
【図3】通話姿勢を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は図1(c)に対応する断面図、(d)は通話状態を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す図で、(a)は正面図、(b)は図1(c)に対応する断面図、(c)は通話姿勢を示す正面図、(d)は(c)の4D-4D線断面図である。
【図5】図1の変形例を示す図で、(a)は正面図、(b)は検知スイッチを示す拡大図、(c)は検知スイッチの”ON”状態を示す図、(d)は待ち受け姿勢に対応する(a)の5D線部分断面図、(e)は通話姿勢に対応する(a)の5D線部分断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ディスプレイ面
2 第1筐体
3 キー操作面
4 第2筐体
5 窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面をほぼ全面に渡ってディスプレイ面として使用される第1筐体と、キー操作面を備えた第2筐体を相対位置可変に連結した携帯型端末装置であって、
第1、第2筐体は、ディスプレイ面とキー操作面の双方を露出させる展開姿勢に加え、通話可能な通話姿勢への移行が可能であり、
かつ、通話姿勢において、前記ディスプレイ面の一部または全部がキー操作面側を向いた姿勢で第2筐体の背面に移動して該第2筐体により覆われる携帯型端末装置。
【請求項2】
前記第1筐体は、第2筐体のキー操作面に向けてディスプレイ面を向けた姿勢で第2筐体の背面にスライド自在に積層される請求項1記載の携帯型端末装置。
【請求項3】
前記第1筐体のディスプレイ面は通話姿勢において第2筐体により全面に渡って覆われ、
かつ、第2筐体には、通話姿勢においてディスプレイ面の一部を表示する窓が開設される請求項1または2記載の携帯型端末装置。
【請求項4】
一面をほぼ全面に渡ってディスプレイ面として使用される第1筐体と、キー操作面を備えた第2筐体を連結した携帯型端末装置であって、
前記第1筐体は、ディスプレイ面が第2筐体により覆われたポジションに移動可能であり、
かつ、第2筐体には、前記ポジションにおいてディスプレイ面の一部を表示する窓が開設される携帯型端末装置。
【請求項5】
通話姿勢において、ディスプレイ面には外部に表示される領域にのみデータ表示される請求項1、2、3または4記載の携帯型端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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