携帯情報端末およびその制御方法
【課題】携帯情報端末において、バッテリの充電の緊急性を適切にユーザに報知する。
【解決手段】携帯電話機のピクト表示エリア310では、時間表示312およびピクトグラム313の表示と、バッテリの満充電の容量に対するその時点での残容量の割合を示すピクトグラム314の表示と、その時点で携帯電話機において実行されているすべてのアプリケーションによる消費電力に基づいて算出された残使用可能時間を表示するピクトグラム315の表示とが、切替えられる。
【解決手段】携帯電話機のピクト表示エリア310では、時間表示312およびピクトグラム313の表示と、バッテリの満充電の容量に対するその時点での残容量の割合を示すピクトグラム314の表示と、その時点で携帯電話機において実行されているすべてのアプリケーションによる消費電力に基づいて算出された残使用可能時間を表示するピクトグラム315の表示とが、切替えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末に関し、特に、バッテリの残容量に関する表示が可能な携帯情報端末およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯情報端末において、バッテリの残容量に関する表示がなされてきた。情報通信技術の発達により、携帯情報端末は小型化および高機能化を達成し、非常に多くの人に利用されている。そして、このような携帯情報端末において、バッテリの容量が無くなり、電力供給が停止すると、携帯情報端末が機能しなくなる。
【0003】
したがって、適切な時期にユーザにバッテリの充電等を行なわせるために、携帯情報端末においてバッテリの残容量に関する表示が行なわれ、非常に重要なことである。
【0004】
そして、従来の携帯情報端末では、たとえば、特許文献1に開示されるように、たとえば、電池の形状を模したピクト表示により4段階等で電池残量が報知されていた。
【0005】
また、特許文献2には、その請求項3等に、電池部から負荷部に対して電力を供給する電子機器において、所定の時間時間ごとに、第1の比としてこれらの差の比を算出し、前回算出された当該第1の比と今回算出した当該第1の比に基づいて新たな比として第5の比を算出し、そして、当該第5の比に上記した所定の時間間隔を乗算することにより残使用可能時間を算出する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2008−42698号公報
【特許文献2】特許第4039556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、携帯情報端末において、バッテリの残容量を伝えることは非常に重要なことである。バッテリからの電力供給が停止すると、携帯情報端末の動作自体が停止してしまうからである。また、ユーザは、携帯情報端末に対し、その携帯性から、緊急性が高くかつ重要な情報の処理のための操作を行なう場合が少なくない。したがって、操作途中に突然バッテリの残容量が無くなり携帯情報端末の動作が停止するような事態は、確実に回避する必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1等に開示された従来の技術による残容量の表示では、バッテリの充電がどの程度の緊急性を要しているのかが曖昧であるという問題があった。このため、携帯情報端末において、バッテリの残容量が無くなる直前にのみ充電が必要である旨の報知がなされた後、携帯情報端末の動作が停止し、ユーザは、従来の残容量の表示によってある程度はバッテリの充電が必要であることを予期していたものの、当該充電についての緊急性を感じることができないまま、バッテリ不足のため携帯情報端末を使用できなくなるという事態が生じていた。
【0008】
また、特許文献2等に開示された従来の技術による残容量の表示では、電池部の出力電圧の誤差に基づく補正がなされるが、場合によっては当該補正により大幅な補正がなされ場合もある。そして、このような場合には、当該補正に基づき、残容量についての表示内容も大幅に変更されるため、ユーザに違和感を与えるという事態が想定される。
【0009】
本発明は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その第1の目的は、携帯情報端末において、バッテリの充電の緊急性を適切にユーザに報知することである。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、携帯情報端末において、ユーザに違和感を与えることなく、正確なバッテリの残容量を表示を行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従った携帯情報端末は、バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末であって、表示手段と、前記バッテリの残容量を算出する残量算出手段と、前記負荷部の負荷の値と前記残量算出手段が算出した残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残量算出手段が算出した残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させる制御手段とを備える。
【0012】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記バッテリに接続された抵抗体をさらに備え、前記残量算出手段は、前記バッテリの出力電圧を測定する電圧測定手段と、前記抵抗体の消費電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段によって測定された消費電流に基づいた前記バッテリの残容量である第1の残容量を算出する第1の算出手段と、前記電圧測定手段によって測定された出力電圧に基づいた前記バッテリの残容量である第2の残容量を算出する第2の算出手段と、前記第1の残容量と前記第2の残容量のいずれかを双方の間の値のずれに基づいて補正することによって前記バッテリの残容量を出力する残容量補正手段とを含み、前記残容量補正手段は、前記ずれの値を、前記消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいて前記補正を行なうことが好ましい。
【0013】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記制御手段は、前記表示手段の一定の領域において、前記割合と前記図形と前記残り時間とを切替えて表示させることが好ましい。
【0014】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記制御手段は、前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方および前記図形を、前記表示手段におけるピクト表示領域に表示させることが好ましい。
【0015】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記制御手段は、前記バッテリの残容量が特定の量以下となった場合には、前記バッテリの充電を促すメッセージを前記切替え表示に加えることが好ましい。
【0016】
本発明に従った携帯情報端末の制御方法は、表示手段を備え、バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末の制御方法であって、前記バッテリの残容量を算出するステップと、前記負荷部の負荷の値と前記残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出するステップと、前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリについて、残容量の割合と使用可能な残り時間の少なくとも一方と、当該割合に対応する図形とが、切替えられて、表示手段に表示される。
【0018】
このような表示により、ユーザは、割合に対応する図形の表示に基づいて直感的にバッテリの残容量の程度を認識でき、かつ、残容量の割合の表示および/または残り時間の表示に基づいて、確実にかつ具体的に、バッテリの残容量やその充電の必要性を判断できる。
【0019】
また、本発明によれば、携帯情報端末において、バッテリに接続された消費電流に基づいて算出された第1の残容量と、バッテリの出力電圧に基づいて算出された第2の残容量のいずれかが、双方の間の値のずれに基づいて補正されて、バッテリの残容量として出力される。なお、当該ずれに基づいた補正は、当該ずれの値を、バッテリに接続された抵抗体の消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいてなされる。
【0020】
これにより、バッテリの残容量の精度が向上すると共に、補正により急激にバッテリの残容量の値が変化することによって当該残容量に基づく表示が急激に変化してユーザに違和感を与える事態を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の携帯情報端末の一実施の形態である携帯電話機について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の携帯情報端末は、携帯電話機に限定されない。つまり、本発明の携帯情報端末は、バッテリの残容量に関する表示を行なう端末であれば、たとえば通信機能等の携帯電話機に特有の機能を備えることは必要とされない。
【0022】
[1.携帯情報端末の外観構成]
図1は、本発明の携帯情報端末の一実施の形態である携帯電話機の正面図である。
【0023】
図1を参照して、携帯電話機100は、液晶ディスプレイ等からなる表示部30を含む。表示部30には、ウェブページ等のネットワーク上の文書や、携帯電話機100内に格納されている文書やアドレス帳の内容やメーラー(電子メールの作成や送受信、受信したメールの保存・管理を行なうソフトウェア)によるメール作成画面等の種々の情報を表示することができる。
【0024】
図1では、表示部30に、画面300が表示されている状態が示されている。画面300の上方には、ピクト表示を行なうための領域であるピクト表示エリア300が設けられている。ピクト表示とは、携帯電話機100において各種のイベントが発生したことを、着信音を鳴動したり表示部30に表示される画面を切替えたりすることなく、ユーザに通知するためのピクトグラムを表示(点灯または点滅)させることによって通知することをいう。
【0025】
[2.携帯電話機の内部構成]
図2は、携帯電話機100の制御ブロック図である。
【0026】
図2を参照して、携帯電話機100は、画像を撮影するためのカメラ90、通信処理を行なう通信部50、および、携帯電話機100の各構成要素に電力を供給する電源部20を含む。
【0027】
通信部50のアンテナ52は、最寄りの基地局からの電波を受信し、その受信信号を、変復調部51に供給するとともに、変復調部51からの信号を、電波で、最寄りの基地局に送信する。変復調部51は、アンテナ52からの信号を、適切な方式に従って復調し、その結果得られる復調信号を、受信部53に供給する。また、変復調部51は、送信部54から供給される送信データを、適切な方式で変調し、その結果得られる変調信号を、アンテナ52に供給する。送信部54は、そこに入力されるユーザの音声を符号化するなどの所定の処理を行ない、送信データを得て、変復調部51に供給する。受信部53は、変復調部51からの復調信号である受信データを受信し、高音質の音声を復調して出力する。
【0028】
通信部50には、携帯電話機100の動作を全体的に制御する制御部10を含む。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、制御部10は、当該CPUが実行するプログラムや当該プログラムの実行に必要な設定値等の種々のデータを記憶する記憶装置11を含む。
【0029】
また、携帯電話機100では、アンテナ52は、電子メールの送受信、テレビ放送の受信、およびネットワーク上のウェブページの閲覧のためにも、電波の送受信を行なう。そして、アンテナ52は、このような受信した電波について、その受信信号を変復調部51に供給するとともに、変復調部51からの信号を電波で最寄りの基地局に送信する。
【0030】
電源部20は、バッテリ21と、電源管理部22とを含む。電源管理部22は、バッテリ21による携帯電話機100の各構成要素への電力の供給やバッテリ21の残容量を管理するための処理を実行する。
【0031】
図3は、図2の電源部20の詳細な構成を模式的に示す図である。
図3を参照して、電源管理部22は、バッテリ21の温度を測定するためのサーミスタ223、バッテリ21の残容量を検出するための電気抵抗(図示略)を含む残量計220、バッテリ21の残容量の計算等を実行する累算機222、サーミスタ223および残量計220の出力信号をデジタルデータに変換するAD(アナログ−デジタル)コンバータ221とを含む。
【0032】
制御部10は、累算機222によって算出されるバッテリ21の残容量(以下、適宜「電池残量」ともいう)に基づき、表示部30におけるピクト表示を行なう。
【0033】
また、制御部10は、記憶装置11内に記録されたプログラムを実行することにより、音声による通話のほか、テレビ放送の閲覧、ラジオ放送の受信、電子メールの送受信、カメラ90による撮影、ゲーム、メディアファイルの再生、スケジュール管理、アドレス帳等の連絡先管理等、携帯電話機100では種々のアプリケーションが実行される。
【0034】
なお、各アプリケーションの実行のために制御部10によって実行されるプログラムは、記憶装置11内に予め記憶されていても良いし、ネットワークを介してダウンロードされて記憶装置11にインストールされても良いし、また、携帯電話機100に対して着脱可能な記録媒体に記録されていても良いものとする。
【0035】
[3.電池残量表示の具体例]
図4は、ピクト表示エリア310における表示内容を説明するための図である。
【0036】
まず、図4(A)を参照して、ピクト表示エリア310には、アンテナ52が受信する電波の強さの目安を表示するピクトグラム311が表示されている。また、ピクト表示エリア310には、日付と曜日と時刻とを表示する時計表示312と、バッテリ21の残容量(または、バッテリ21が充電中である場合にはその旨)を表示するためのピクトグラム313が表示されている。
【0037】
なお、携帯電話機100では、時計表示312とピクトグラム313とが表示されている領域において、バッテリ21の残容量に基づく他の態様のピクトグラムに切替えて表示することができる。
【0038】
図4(B)および図4(C)に、バッテリ21の残容量に関する他の表示態様を示す。
図4(B)を参照して、この図では、ピクト表示エリア310には、図4(A)において時計表示312とピクトグラム313が表示されていた領域に、それらの代わりに、ピクトグラム314が表示されている。ピクトグラム314は、バッテリ21の満充電の容量に対するその時点での残容量の割合(残容量についての百分率の値)を表示するものである。
【0039】
図4(C)では、ピクト表示エリア310では、図4(A)において時間表示312とピクトグラム313が表示されていた領域に、これらの代わりに、その時点で携帯電話機100において実行されているすべてのアプリケーションによる消費電力に基づいて算出された残使用可能時間を表示するピクトグラム315が表示されている。残使用可能時間とは、その時点で携帯電話機100において実行されているすべてのアプリケーションが継続して実行された場合に、継続可能と予測される時間であって、バッテリ21の残容量に基づいて算出される。
【0040】
本明細書では、図4(A)中のピクトグラム313のような、バッテリ21の残容量の満充電時の容量に対する割合に基づく図形が表示されることを、以降、適宜、バッテリ21の残容量に関する「電池の画像」の表示、と呼ぶ。
【0041】
また、本明細書では、図4(B)中のピクトグラム314のような、バッテリ21の満充電の容量に対するその時点での残容量の割合(残容量についての百分率の値)として、数値またはそれに準じた情報が表示されることを、以降、適宜、バッテリ21の残容量に関する「残量割合」の表示、と呼ぶ。
【0042】
そして、本明細書では、図4(C)中のピクトグラム315のような、残使用可能時間が表示されることを、以降、適宜、バッテリ21の残容量に関する「残使用可能時間」の表示、と呼ぶ。
【0043】
[4.電池残量表示処理の内容]
携帯電話機100において、図4(A)〜図4(C)を参照して説明したような「電池の画像」「残量割合」「残使用可能時間」の各表示を行なうために制御部10が実行する処理(電池残量表示処理)の内容について、当該処理のフローチャートである図5を参照して説明する。なお、制御部10は、定常的に、何らかのアプリケーションを実行している最中でも、それと並行して、電池残量表示処理を実行することができる。
【0044】
図5を参照して、電池残量表示処理では、まずステップS10で、制御部10は、バッテリ21の残容量を計算するための処理(電池残量計算処理)を実行して、ステップS20へ処理を進める。電池残量計算処理の内容の詳細については、図6を参照して後述する。
【0045】
ステップS20では、制御部10は、「電池の画像」の表示態様を決定する。
具体的には、ステップS20では、制御部10は、バッテリ21が充電中である場合には、ピクトグラム313(図4(A)参照)の代わりに、その旨を示す画像を選択する。また、制御部10は、バッテリ21が充電中でない場合には、直前のステップS10の処理によって得られたバッテリ21の残容量(電池残量)に応じて、ピクトグラム313に係る電池の図形の内部に表示させるバーの数を決定する。たとえば、バーは最大3本表示されるものとし、当該割合が第1の値以上であればバーの数を図4(A)に示されるように3本とし、当該割合が第1の値よりも小さいが第2の値以上である場合には2本とし、当該割合が第2の値よりも小さいが第3の値以上である場合には1本とし、そして、当該割合が第3の値よりも小さい場合にはバーの数を0とする。
【0046】
制御部10は、「電池の画像」の表示態様を決定した後、ステップS30へ処理を進める。
【0047】
ステップS30では、制御部10は、残使用可能時間を算出して、ステップS40へ処理を進める。制御部10は、たとえば、ステップS10で算出した残容量を制御部10の入力電流の値と表示部30の入力電流の値の和で除算して得られる時間として算出する。
【0048】
ステップS40では、制御部10は、予め定められたパターンに従って、バッテリ21の残容量に関する表示を「電池の図形」と「残量割合」と「残使用可能時間」との間で切替える制御を実行して、ステップS50へ処理を進める。なお、ステップS40による残容量に関する表示の切替えは、携帯電話機100の電源がONされた状態が継続されている間は、継続して実行される。また、ステップS40による各態様の表示では、その直前に実行されたステップS10〜ステップS30のそれぞれで決定された、バッテリ21の残容量の割合と電池の画像の表示態様と残使用可能時間とが反映される。
【0049】
ステップS50では、前回ステップS10を実行してから所定時間が経過するまで待機し、経過したと判断するとステップS10へ処理を戻す。ここで、「所定時間」とは、たとえばバッテリ21が充電中であれば1秒とされ、放電中であれば10秒とされる。
【0050】
図6は、図5のステップS10の電池残量計算処理のサブルーチンのフローチャートである。なお、携帯電話機100では、電池残量計算処理は、制御部10からの指令に基づき、累算機222によって実行される。
【0051】
図6を参照して、電池残量計算処理では、累算機222は、まずステップS100で、バッテリ21の両端子の電圧(電池電圧(Ea))と、残量計220内の電気抵抗による消費電流(消費電流(Ia))と、サーミスタ223が検出する温度(Ta)とを測定して、ステップS110へ処理を進める。
【0052】
ステップS110では、制御部10は、電流積算ベース電池残量(Ca)を算出して、ステップS120へ処理を進める。
【0053】
ステップS110における電流積算ベース電池残量(Ca)は、ステップS100において測定された電池電圧(Ea)と増減電池残量との和を求めることにより算出される。
【0054】
電池電圧(Ea)に基づく電池残量とは、ステップS100で測定された電池電圧(Ea)の値を予め累算機222内の記憶装置に記録された電圧換算テーブルに基づいて換算することによって得られるものである。ここで、電圧換算テーブルとは、電圧値を電源の容量に変換するためのテーブルである。
【0055】
増減電池残量とは、ステップS100で測定した消費電流(Ia)の特定時間内の増減を加算/減算することによって算出されるものである。
【0056】
ステップS120では、仮想抵抗値(Ra)を算出して、累算機222は、処理をステップS130へ進める。仮想抵抗値(Ra)とは、ステップS100における消費電流(Ia)の測定に利用された残量計220内の電気抵抗の抵抗値を温度補正することによって得られる値である。
【0057】
ここで、温度補正とは、たとえば、累算機222内の記憶装置に記録された計数テーブル内の温度に対応した計数を、残量計220内の電気抵抗の値として予め定められた値に積算することによって算出される。ここで、温度とは、サーミスタ223による測定温度である。本実施の形態では、たとえばバッテリ21の温度が5℃以下等の低温になった場合には、バッテリ21の性能が劣化し、常温の場合と比較して少ない電力しか供給できなくなることが主に考慮されて、このような温度補正が行なわれる。
【0058】
ステップS130では、累算機222は、バッテリ21についての電圧ベース電池残量(Cb)およびその満充電時の容量に対する割合である電圧ベース電池残量%(Da)を算出して、ステップS140へ処理を進める。
【0059】
ここで、電圧ベース電池残量(Cb)の算出は、ステップS100で測定された電池電圧(Ea)を上記した電圧換算テーブルに基づいて換算することによって算出される。
【0060】
また、電圧ベース電池残量%(Da)は、上記電圧ベース電池残量(Cb)をバッテリ21の満充電時の容量として予め累算機222内の記憶装置に記録された値で割り、得られた値に100を掛けることによって算出される。
【0061】
ステップS140では、累算機222は、次の式(1)に従って電流積算ベース電池残量(Ca)を補正することにより補正電池残量(Cc)を算出して、ステップS150へ処理を進める。
【0062】
【数1】
【0063】
式(1)中の「除算数」とは、電流積算ベース電池残量(Ca)を、電圧ベース電池残量(Cb)との差分に基づく値を加えることによって補正するときの、当該差分を加える割合を決定する値である。除算数は、累算機222内の記憶装置に記録された所定のテーブルに従って、ステップS100で測定された消費電流(Ia)に対応して得られる値である。
【0064】
式(1)に基づく補正は、電流積算ベース電池残量(Ca)と電圧ベース電池残量(Cb)とを一致させるために行なわれるものである。ただし、1回の補正によって、電流積算ベース電池残量(Ca)に上記差分の全量が加えられると、直前に算出されていた最終電池残量(Cd)と今回決定される最終電池残量(Cd)が大幅に変化し、図4(A)〜図4(C)に示したようなバッテリ21の電池残量に基づく表示の内容が大幅に変更される場合が想定されるため、携帯電話機100のユーザに違和感を与える事態が想定される。
【0065】
なお、補正電池残量(Cc)は、電圧ベース電池残量(Cb)に対して、電流積算ベース電池残量(Ca)から電圧ベース電池残量(Cb)を差し引いた値を上記除算数で割ったものを加えることによって、導出することもできる。
【0066】
つまり、補正電池残量(Cc)は、電流積算ベース電池残量(Ca)または電圧ベース電池残量(Cb)の一方に、これらの差分を上記除算数で割った値を加えることによって、当該一方の値を補正することによって、算出することができる。
【0067】
本実施の形態では、このような違和感をユーザに与えることを回避するため、その時点での消費電流(Ia)に応じて、あと何回の補正によって電流積算ベース電池残量(Ca)と電圧ベース電池残量(Cb)とを一致させるかを「除算数」の値として導出し、式(1)による補正に利用しているのである。
【0068】
ステップS150では、累算機222は、最終電池残量(Cd)を決定し、当該最終電池残量(Cd)に基づいて最終電池残量%(Db)を決定して、電池残量計算処理を終了させる。
【0069】
最終電池残量(Cd)の決定の際には、累算機222は、まずステップS140で算出した補正電池残量(Cc)がバッテリ21の最大容量を超えているか否かを判断し、超えていないと判断するとステップS140で算出した補正電池残量(Cc)を最終電池残量(Cd)と決定する。一方、超えていると判断すると、累算機222は、当該最大容量を最終電池残量(Cd)と決定する。
【0070】
そして、累算機222は、最終電池残量(Cd)をバッテリ21の満充電時の容量(最大容量)で除算することによって得られた値に対して100を積算することによって得られた値を最終電池残量%(Db)とする。
【0071】
累算機222は、以上説明した電池残量計算処理によって得られた最終電池残量(Cd)と最終電池残量%(Db)を、バッテリ21の残容量とその満充電時の容量に対する割合として、制御部10へ送信する。
【0072】
制御部10は、累算機222から最終電池残量(Cd)と最終電池残量%(Db)を受信すると、図5に示された処理へとリターンする。
【0073】
[5.電池残量の表示切替の具体例]
携帯電話機100では、電池残量表示処理(図5参照)のステップS40により、ピクト表示エリア310に表示されるバッテリ21の電池残量に基づいた表示は、「電池の画像」と「残量割合」「残使用可能時間」との間で、予め定められたパターンに基づいて、切替えて表示される。
【0074】
ここで、当該パターンの具体例を説明する。
図7(A)は、ピクト表示エリア310の一部分の表示内容が、時間の経過とともに切替えられる状態が示されている。詳しくは、図7(A)では、電池の画像(ピクトグラム313)が4秒間表示された後、残量割合(ピクトグラム314)が3秒間表示され、そして、残使用可能時間(ピクトグラム315)が3秒間表示された後、電池の画像に表示が戻されるパターンが示されている。
【0075】
本明細書では、図7(A)に示された表示の切替パターンを、第1の表示パターンと呼ぶ。第1の表示パターンでは、4秒間の電池の画像の表示と、3秒間の残量割合の表示と、3秒間の残使用可能時間の表示が、順に繰返される。
【0076】
図7(B)には、第2の表示パターンが示されている。
第2の表示パターンでは、まず電池の画像が2秒間表示された後、残量割合が4秒間表示され、そして、残使用可能時間が4秒間表示された後、電池の画像に表示が戻される。第2の表示パターンでは、このように、2秒間の電池の画像の表示と、4秒間の残量割合の表示と、4秒間の残使用可能時間の表示が、順に繰返される。
【0077】
図7(C)には、第3の表示パターンが示されている。
第3の表示パターンでは、電池の画像が1秒表示された後、残量割合が1秒表示され、その後、残使用可能時間が1秒表示されて、電池の画像に表示が戻される。第3の表示パターンでは、1秒ごとに、電池の画像、残量割合、残使用可能時間の表示が順に切替えられ、これが繰返される。
【0078】
携帯電話機100では、図7(A)に示された第1の表示パターンを基本的な表示パターンとした場合、図7(B)に示された第2の表示パターンを、電力の消費が比較的大きいアプリケーション(たとえば、テレビ放送の閲覧や、カメラ90による撮影や、Javaゲーム等のアプレットゲームの実行など)が実行されているときに採用される表示パターンとすることができる。
【0079】
第2の表示パターンは、第1の表示パターンと比較して、具体的な数値による残容量や残使用可能時間が表示される時間が長くなっている。これにより、ユーザに対して、バッテリ21の残容量についての情報をより具体的に提供することができる。
【0080】
また、残使用可能時間が特定の値以下となった場合や残量割合が特定の値以下となった場合に、図7(C)に示された第3の表示パターンは、採用されるパターンとすることができる。
【0081】
第3の表示パターンでは、各表示が1秒ごとに切替えられる。これにより、バッテリ21の残容量に対するユーザの注意を喚起することができる表示パターンであるといえる。したがって、このような第3の表示パターンを、残量割合が特定の値以下となった場合や、残使用可能時間が特定の値以下となった場合の表示パターンとして採用することができる。
【0082】
なお、携帯電話機100では、バッテリ21の残容量に関する表示として、少なくとも、残量割合と残使用可能時間のいずれか一方と、電池の画像の2種類の間で表示が切替えられればよい。
【0083】
バッテリ21の残容量に関する表示が2種類とされた場合には、第1の表示パターンは、4秒間の電池の画像表示と、3秒間の残量割合または残使用可能時間の表示が、交互に行なわれるものに、変更される。
【0084】
また、このような場合、第2の表示パターンは、2秒間の電池の画像の表示と、4秒間の残量割合または残使用可能時間の表示が交互に行なわれるものに、変更される。
【0085】
また、このような場合第3の表示パターンは、電池の画像と、残量割合または残使用可能時間の表示が、1秒ごとに切替えられるものに、変更される。
【0086】
[6.電池残量表示の主な変形例]
(1) 残容量が少なくなった場合の表示
以上説明した本実施の形態では、バッテリ21の残容量に関する表示として、「電池の画像」と「残量割合」と「残使用可能時間」の3種類の表示態様が説明された。なお、残量割合がある一定の値よりも小さくなった場合には、残量割合の表示として、図8(A)に示されるように、具体的な値ではなくただ残容量が少ないことのみを示すようなピクト画像316を表示し、また、残使用可能時間としても、図8(B)に示されるように、ピクトグラム316が表示されてもよい。
【0087】
従来の携帯情報端末では、バッテリ21の残容量が、携帯電話機100を動作させることができる最低の容量となって、初めてアラーム等による特別な報知がなされていた。これにより、従来の携帯情報端末では、バッテリの容量不足によって電源が落ちる直前になって初めてバッテリ容量に関する報知態様が特別なものとされた後、すぐに、携帯情報端末が電池切れの状態となって動作が停止されていた。
【0088】
本実施の形態では、残量割合が一定の値となった時点で、つまり携帯電話機100がある程度の時間動作を継続できる状態で、バッテリの残容量に関する表示の態様を変更させている。なお、ピクトグラム316中の「LOW」の文字は、ユーザの注意をより確実に喚起するため、赤色等に着色されて表示されることが望ましい。
【0089】
(2) バッテリの充電完了時の表示
バッテリ21の充電が完了した場合には、携帯電話機100では、図9(A)および図9(B)に示されるように、残量割合や残使用可能時間として、それぞれに対応する数値を表示する代わりに、充電が完了したことのみを報知する情報であるピクトグラム317が表示されてもよい。
【0090】
(3) 値の算出ができない場合の表示
図5を参照して説明した電池残量表示では、ステップS10〜ステップS30の処理が実行されて初めて、ステップS40における電池残量表示の切替の処理が実行できる。したがって、たとえば、携帯電話機100の起動時のようにステップS10〜ステップS30の処理が初めて実行されている期間は、「電池の画像」「残量割合」「残使用可能時間」は、もととなる情報が取得されていないため、表示が不可能な状態にあるといえる。
【0091】
このような、残量割合が残使用可能時間の表示ができないような場合には、図10(A)および図10(B)に示されるように、もととなる情報を取得できないために表示が不能である旨を報知する表示(ピクトグラム318,ピクトグラム319)が表示されてもよい。
【0092】
(4) 電池の画像を構成する各バーの画像
従来の携帯情報端末では、ピクトグラム313(図4(A)参照)として示したように、大きさが同じ複数のバーを含むものであった。しかしながら、バーの表示される数は、バッテリの残容量に対応したものとはされていなかった。つまり、たとえば満充電のときに3本のバーが表示される場合、残容量が満充電時の50%以下となって初めて表示されるバーの数が2とされ、また、残容量が満充電時の20%以下となって初めて表示される場合の数が1とされ、そして、残容量が10%以下となって初めてバーが表示されない状態とされていた。つまり、3つのバーの中の最初に表示されなくなるバーは残容量の50%に対応し、2番目に表示されなくなるバーは残容量の(50%−20%=)30%に対応し、そして、最後に表示されなくなる3本目のバーは残容量の(20%−10%=)10%に対応していたことになる。
【0093】
本実施の形態では、図11(A)および図11(B)においてバー911,912,913として示されるように、残量割合および/または残使用可能時間とともに3本のバーを表示させ、それらが表示される大きさおよび数は、残量割合や残使用可能時間の値に否定したものとすることが好ましい。
【0094】
(5) バッテリの残容量に関する表示の位置
以上説明した本実施の形態では、「電池の画像」「残量割合」「残使用可能時間」は、表示部30に表示される画面の中のピクト表示エリア310に表示されていた。このようにピクト表示エリア310に表示されることにより、常時、バッテリ21の残容量に関する表示を行なうことができる領域が確保されることになる。
【0095】
なお、これらの表示は、必ずしもピクト表示エリア30に表示されていなくてもよく、たとえば、アプリケーションと連動して表示される場合等には、表示部30に表示される画面中の、ピクト表示エリア310とは別の領域に表示されても良い。
【0096】
[7.電源部20の独立性について]
以上説明した本実施の形態では、電源部20は、携帯電話機100の一部とされていた。なお、電源部20は、携帯電話機100に対して、固定されていても良いし、また、電源装置として携帯電話機100に対して着脱可能に設けられていても良い。
【0097】
このような場合、電源装置(電源部20)は、バッテリを備え、前記バッテリから他の装置の負荷部に電力を供給するための電源装置であって、前記バッテリに接続された抵抗体と、前記バッテリの出力電圧を測定する電圧測定手段と、前記抵抗体の消費電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段によって測定された消費電流に基づいた前記バッテリの残容量である第1の残容量を算出する第1の算出手段と、前記電圧測定手段によって測定された出力電圧に基づいた前記バッテリの残容量である第2の残容量を算出する第2の算出手段と、前記第1の残容量と前記第2の残容量のいずれかを双方の間の値のずれに基づいて補正することによって前記バッテリの残容量を出力する残容量補正手段とを備え、そして、前記残容量補正手段は、前記ずれの値を、前記消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいて前記補正を行なうことになる。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の携帯情報端末の一実施の形態である携帯電話機の正面図である。
【図2】図1の携帯電話機のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図3】図2の電源部の詳細な構成を模式的に示す図である。
【図4】図1の携帯電話機のピクト表示エリアにおける表示内容の一例を説明するための図である。
【図5】図2の制御部が実行する電池残量表示処理のフローチャートである。
【図6】図3の累算機が実行する電池残量計算処理のフローチャートである。
【図7】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示のパターンを説明するための図である。
【図8】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示の変形例を説明するための図である。
【図9】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示の他の変形例を説明するための図である。
【図10】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示のさらに他の変形例を説明するための図である。
【図11】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示の別の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0100】
10 制御部、11 記憶装置、20 電源部、21 バッテリ、22 電源管理部、30 表示部、50 通信部、51 変復調部、52 アンテナ、53 受信部、54 送信部、90 カメラ、100 携帯電話機、220 残量計、221 ADコンバータ、222 累算機、223 サーミスタ、300 画面、310 ピクト表示エリア、311,313〜319 ピクトグラム、312 時計表示。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末に関し、特に、バッテリの残容量に関する表示が可能な携帯情報端末およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯情報端末において、バッテリの残容量に関する表示がなされてきた。情報通信技術の発達により、携帯情報端末は小型化および高機能化を達成し、非常に多くの人に利用されている。そして、このような携帯情報端末において、バッテリの容量が無くなり、電力供給が停止すると、携帯情報端末が機能しなくなる。
【0003】
したがって、適切な時期にユーザにバッテリの充電等を行なわせるために、携帯情報端末においてバッテリの残容量に関する表示が行なわれ、非常に重要なことである。
【0004】
そして、従来の携帯情報端末では、たとえば、特許文献1に開示されるように、たとえば、電池の形状を模したピクト表示により4段階等で電池残量が報知されていた。
【0005】
また、特許文献2には、その請求項3等に、電池部から負荷部に対して電力を供給する電子機器において、所定の時間時間ごとに、第1の比としてこれらの差の比を算出し、前回算出された当該第1の比と今回算出した当該第1の比に基づいて新たな比として第5の比を算出し、そして、当該第5の比に上記した所定の時間間隔を乗算することにより残使用可能時間を算出する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2008−42698号公報
【特許文献2】特許第4039556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、携帯情報端末において、バッテリの残容量を伝えることは非常に重要なことである。バッテリからの電力供給が停止すると、携帯情報端末の動作自体が停止してしまうからである。また、ユーザは、携帯情報端末に対し、その携帯性から、緊急性が高くかつ重要な情報の処理のための操作を行なう場合が少なくない。したがって、操作途中に突然バッテリの残容量が無くなり携帯情報端末の動作が停止するような事態は、確実に回避する必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1等に開示された従来の技術による残容量の表示では、バッテリの充電がどの程度の緊急性を要しているのかが曖昧であるという問題があった。このため、携帯情報端末において、バッテリの残容量が無くなる直前にのみ充電が必要である旨の報知がなされた後、携帯情報端末の動作が停止し、ユーザは、従来の残容量の表示によってある程度はバッテリの充電が必要であることを予期していたものの、当該充電についての緊急性を感じることができないまま、バッテリ不足のため携帯情報端末を使用できなくなるという事態が生じていた。
【0008】
また、特許文献2等に開示された従来の技術による残容量の表示では、電池部の出力電圧の誤差に基づく補正がなされるが、場合によっては当該補正により大幅な補正がなされ場合もある。そして、このような場合には、当該補正に基づき、残容量についての表示内容も大幅に変更されるため、ユーザに違和感を与えるという事態が想定される。
【0009】
本発明は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その第1の目的は、携帯情報端末において、バッテリの充電の緊急性を適切にユーザに報知することである。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、携帯情報端末において、ユーザに違和感を与えることなく、正確なバッテリの残容量を表示を行なうことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従った携帯情報端末は、バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末であって、表示手段と、前記バッテリの残容量を算出する残量算出手段と、前記負荷部の負荷の値と前記残量算出手段が算出した残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残量算出手段が算出した残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させる制御手段とを備える。
【0012】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記バッテリに接続された抵抗体をさらに備え、前記残量算出手段は、前記バッテリの出力電圧を測定する電圧測定手段と、前記抵抗体の消費電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段によって測定された消費電流に基づいた前記バッテリの残容量である第1の残容量を算出する第1の算出手段と、前記電圧測定手段によって測定された出力電圧に基づいた前記バッテリの残容量である第2の残容量を算出する第2の算出手段と、前記第1の残容量と前記第2の残容量のいずれかを双方の間の値のずれに基づいて補正することによって前記バッテリの残容量を出力する残容量補正手段とを含み、前記残容量補正手段は、前記ずれの値を、前記消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいて前記補正を行なうことが好ましい。
【0013】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記制御手段は、前記表示手段の一定の領域において、前記割合と前記図形と前記残り時間とを切替えて表示させることが好ましい。
【0014】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記制御手段は、前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方および前記図形を、前記表示手段におけるピクト表示領域に表示させることが好ましい。
【0015】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記制御手段は、前記バッテリの残容量が特定の量以下となった場合には、前記バッテリの充電を促すメッセージを前記切替え表示に加えることが好ましい。
【0016】
本発明に従った携帯情報端末の制御方法は、表示手段を備え、バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末の制御方法であって、前記バッテリの残容量を算出するステップと、前記負荷部の負荷の値と前記残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出するステップと、前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリについて、残容量の割合と使用可能な残り時間の少なくとも一方と、当該割合に対応する図形とが、切替えられて、表示手段に表示される。
【0018】
このような表示により、ユーザは、割合に対応する図形の表示に基づいて直感的にバッテリの残容量の程度を認識でき、かつ、残容量の割合の表示および/または残り時間の表示に基づいて、確実にかつ具体的に、バッテリの残容量やその充電の必要性を判断できる。
【0019】
また、本発明によれば、携帯情報端末において、バッテリに接続された消費電流に基づいて算出された第1の残容量と、バッテリの出力電圧に基づいて算出された第2の残容量のいずれかが、双方の間の値のずれに基づいて補正されて、バッテリの残容量として出力される。なお、当該ずれに基づいた補正は、当該ずれの値を、バッテリに接続された抵抗体の消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいてなされる。
【0020】
これにより、バッテリの残容量の精度が向上すると共に、補正により急激にバッテリの残容量の値が変化することによって当該残容量に基づく表示が急激に変化してユーザに違和感を与える事態を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の携帯情報端末の一実施の形態である携帯電話機について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の携帯情報端末は、携帯電話機に限定されない。つまり、本発明の携帯情報端末は、バッテリの残容量に関する表示を行なう端末であれば、たとえば通信機能等の携帯電話機に特有の機能を備えることは必要とされない。
【0022】
[1.携帯情報端末の外観構成]
図1は、本発明の携帯情報端末の一実施の形態である携帯電話機の正面図である。
【0023】
図1を参照して、携帯電話機100は、液晶ディスプレイ等からなる表示部30を含む。表示部30には、ウェブページ等のネットワーク上の文書や、携帯電話機100内に格納されている文書やアドレス帳の内容やメーラー(電子メールの作成や送受信、受信したメールの保存・管理を行なうソフトウェア)によるメール作成画面等の種々の情報を表示することができる。
【0024】
図1では、表示部30に、画面300が表示されている状態が示されている。画面300の上方には、ピクト表示を行なうための領域であるピクト表示エリア300が設けられている。ピクト表示とは、携帯電話機100において各種のイベントが発生したことを、着信音を鳴動したり表示部30に表示される画面を切替えたりすることなく、ユーザに通知するためのピクトグラムを表示(点灯または点滅)させることによって通知することをいう。
【0025】
[2.携帯電話機の内部構成]
図2は、携帯電話機100の制御ブロック図である。
【0026】
図2を参照して、携帯電話機100は、画像を撮影するためのカメラ90、通信処理を行なう通信部50、および、携帯電話機100の各構成要素に電力を供給する電源部20を含む。
【0027】
通信部50のアンテナ52は、最寄りの基地局からの電波を受信し、その受信信号を、変復調部51に供給するとともに、変復調部51からの信号を、電波で、最寄りの基地局に送信する。変復調部51は、アンテナ52からの信号を、適切な方式に従って復調し、その結果得られる復調信号を、受信部53に供給する。また、変復調部51は、送信部54から供給される送信データを、適切な方式で変調し、その結果得られる変調信号を、アンテナ52に供給する。送信部54は、そこに入力されるユーザの音声を符号化するなどの所定の処理を行ない、送信データを得て、変復調部51に供給する。受信部53は、変復調部51からの復調信号である受信データを受信し、高音質の音声を復調して出力する。
【0028】
通信部50には、携帯電話機100の動作を全体的に制御する制御部10を含む。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、制御部10は、当該CPUが実行するプログラムや当該プログラムの実行に必要な設定値等の種々のデータを記憶する記憶装置11を含む。
【0029】
また、携帯電話機100では、アンテナ52は、電子メールの送受信、テレビ放送の受信、およびネットワーク上のウェブページの閲覧のためにも、電波の送受信を行なう。そして、アンテナ52は、このような受信した電波について、その受信信号を変復調部51に供給するとともに、変復調部51からの信号を電波で最寄りの基地局に送信する。
【0030】
電源部20は、バッテリ21と、電源管理部22とを含む。電源管理部22は、バッテリ21による携帯電話機100の各構成要素への電力の供給やバッテリ21の残容量を管理するための処理を実行する。
【0031】
図3は、図2の電源部20の詳細な構成を模式的に示す図である。
図3を参照して、電源管理部22は、バッテリ21の温度を測定するためのサーミスタ223、バッテリ21の残容量を検出するための電気抵抗(図示略)を含む残量計220、バッテリ21の残容量の計算等を実行する累算機222、サーミスタ223および残量計220の出力信号をデジタルデータに変換するAD(アナログ−デジタル)コンバータ221とを含む。
【0032】
制御部10は、累算機222によって算出されるバッテリ21の残容量(以下、適宜「電池残量」ともいう)に基づき、表示部30におけるピクト表示を行なう。
【0033】
また、制御部10は、記憶装置11内に記録されたプログラムを実行することにより、音声による通話のほか、テレビ放送の閲覧、ラジオ放送の受信、電子メールの送受信、カメラ90による撮影、ゲーム、メディアファイルの再生、スケジュール管理、アドレス帳等の連絡先管理等、携帯電話機100では種々のアプリケーションが実行される。
【0034】
なお、各アプリケーションの実行のために制御部10によって実行されるプログラムは、記憶装置11内に予め記憶されていても良いし、ネットワークを介してダウンロードされて記憶装置11にインストールされても良いし、また、携帯電話機100に対して着脱可能な記録媒体に記録されていても良いものとする。
【0035】
[3.電池残量表示の具体例]
図4は、ピクト表示エリア310における表示内容を説明するための図である。
【0036】
まず、図4(A)を参照して、ピクト表示エリア310には、アンテナ52が受信する電波の強さの目安を表示するピクトグラム311が表示されている。また、ピクト表示エリア310には、日付と曜日と時刻とを表示する時計表示312と、バッテリ21の残容量(または、バッテリ21が充電中である場合にはその旨)を表示するためのピクトグラム313が表示されている。
【0037】
なお、携帯電話機100では、時計表示312とピクトグラム313とが表示されている領域において、バッテリ21の残容量に基づく他の態様のピクトグラムに切替えて表示することができる。
【0038】
図4(B)および図4(C)に、バッテリ21の残容量に関する他の表示態様を示す。
図4(B)を参照して、この図では、ピクト表示エリア310には、図4(A)において時計表示312とピクトグラム313が表示されていた領域に、それらの代わりに、ピクトグラム314が表示されている。ピクトグラム314は、バッテリ21の満充電の容量に対するその時点での残容量の割合(残容量についての百分率の値)を表示するものである。
【0039】
図4(C)では、ピクト表示エリア310では、図4(A)において時間表示312とピクトグラム313が表示されていた領域に、これらの代わりに、その時点で携帯電話機100において実行されているすべてのアプリケーションによる消費電力に基づいて算出された残使用可能時間を表示するピクトグラム315が表示されている。残使用可能時間とは、その時点で携帯電話機100において実行されているすべてのアプリケーションが継続して実行された場合に、継続可能と予測される時間であって、バッテリ21の残容量に基づいて算出される。
【0040】
本明細書では、図4(A)中のピクトグラム313のような、バッテリ21の残容量の満充電時の容量に対する割合に基づく図形が表示されることを、以降、適宜、バッテリ21の残容量に関する「電池の画像」の表示、と呼ぶ。
【0041】
また、本明細書では、図4(B)中のピクトグラム314のような、バッテリ21の満充電の容量に対するその時点での残容量の割合(残容量についての百分率の値)として、数値またはそれに準じた情報が表示されることを、以降、適宜、バッテリ21の残容量に関する「残量割合」の表示、と呼ぶ。
【0042】
そして、本明細書では、図4(C)中のピクトグラム315のような、残使用可能時間が表示されることを、以降、適宜、バッテリ21の残容量に関する「残使用可能時間」の表示、と呼ぶ。
【0043】
[4.電池残量表示処理の内容]
携帯電話機100において、図4(A)〜図4(C)を参照して説明したような「電池の画像」「残量割合」「残使用可能時間」の各表示を行なうために制御部10が実行する処理(電池残量表示処理)の内容について、当該処理のフローチャートである図5を参照して説明する。なお、制御部10は、定常的に、何らかのアプリケーションを実行している最中でも、それと並行して、電池残量表示処理を実行することができる。
【0044】
図5を参照して、電池残量表示処理では、まずステップS10で、制御部10は、バッテリ21の残容量を計算するための処理(電池残量計算処理)を実行して、ステップS20へ処理を進める。電池残量計算処理の内容の詳細については、図6を参照して後述する。
【0045】
ステップS20では、制御部10は、「電池の画像」の表示態様を決定する。
具体的には、ステップS20では、制御部10は、バッテリ21が充電中である場合には、ピクトグラム313(図4(A)参照)の代わりに、その旨を示す画像を選択する。また、制御部10は、バッテリ21が充電中でない場合には、直前のステップS10の処理によって得られたバッテリ21の残容量(電池残量)に応じて、ピクトグラム313に係る電池の図形の内部に表示させるバーの数を決定する。たとえば、バーは最大3本表示されるものとし、当該割合が第1の値以上であればバーの数を図4(A)に示されるように3本とし、当該割合が第1の値よりも小さいが第2の値以上である場合には2本とし、当該割合が第2の値よりも小さいが第3の値以上である場合には1本とし、そして、当該割合が第3の値よりも小さい場合にはバーの数を0とする。
【0046】
制御部10は、「電池の画像」の表示態様を決定した後、ステップS30へ処理を進める。
【0047】
ステップS30では、制御部10は、残使用可能時間を算出して、ステップS40へ処理を進める。制御部10は、たとえば、ステップS10で算出した残容量を制御部10の入力電流の値と表示部30の入力電流の値の和で除算して得られる時間として算出する。
【0048】
ステップS40では、制御部10は、予め定められたパターンに従って、バッテリ21の残容量に関する表示を「電池の図形」と「残量割合」と「残使用可能時間」との間で切替える制御を実行して、ステップS50へ処理を進める。なお、ステップS40による残容量に関する表示の切替えは、携帯電話機100の電源がONされた状態が継続されている間は、継続して実行される。また、ステップS40による各態様の表示では、その直前に実行されたステップS10〜ステップS30のそれぞれで決定された、バッテリ21の残容量の割合と電池の画像の表示態様と残使用可能時間とが反映される。
【0049】
ステップS50では、前回ステップS10を実行してから所定時間が経過するまで待機し、経過したと判断するとステップS10へ処理を戻す。ここで、「所定時間」とは、たとえばバッテリ21が充電中であれば1秒とされ、放電中であれば10秒とされる。
【0050】
図6は、図5のステップS10の電池残量計算処理のサブルーチンのフローチャートである。なお、携帯電話機100では、電池残量計算処理は、制御部10からの指令に基づき、累算機222によって実行される。
【0051】
図6を参照して、電池残量計算処理では、累算機222は、まずステップS100で、バッテリ21の両端子の電圧(電池電圧(Ea))と、残量計220内の電気抵抗による消費電流(消費電流(Ia))と、サーミスタ223が検出する温度(Ta)とを測定して、ステップS110へ処理を進める。
【0052】
ステップS110では、制御部10は、電流積算ベース電池残量(Ca)を算出して、ステップS120へ処理を進める。
【0053】
ステップS110における電流積算ベース電池残量(Ca)は、ステップS100において測定された電池電圧(Ea)と増減電池残量との和を求めることにより算出される。
【0054】
電池電圧(Ea)に基づく電池残量とは、ステップS100で測定された電池電圧(Ea)の値を予め累算機222内の記憶装置に記録された電圧換算テーブルに基づいて換算することによって得られるものである。ここで、電圧換算テーブルとは、電圧値を電源の容量に変換するためのテーブルである。
【0055】
増減電池残量とは、ステップS100で測定した消費電流(Ia)の特定時間内の増減を加算/減算することによって算出されるものである。
【0056】
ステップS120では、仮想抵抗値(Ra)を算出して、累算機222は、処理をステップS130へ進める。仮想抵抗値(Ra)とは、ステップS100における消費電流(Ia)の測定に利用された残量計220内の電気抵抗の抵抗値を温度補正することによって得られる値である。
【0057】
ここで、温度補正とは、たとえば、累算機222内の記憶装置に記録された計数テーブル内の温度に対応した計数を、残量計220内の電気抵抗の値として予め定められた値に積算することによって算出される。ここで、温度とは、サーミスタ223による測定温度である。本実施の形態では、たとえばバッテリ21の温度が5℃以下等の低温になった場合には、バッテリ21の性能が劣化し、常温の場合と比較して少ない電力しか供給できなくなることが主に考慮されて、このような温度補正が行なわれる。
【0058】
ステップS130では、累算機222は、バッテリ21についての電圧ベース電池残量(Cb)およびその満充電時の容量に対する割合である電圧ベース電池残量%(Da)を算出して、ステップS140へ処理を進める。
【0059】
ここで、電圧ベース電池残量(Cb)の算出は、ステップS100で測定された電池電圧(Ea)を上記した電圧換算テーブルに基づいて換算することによって算出される。
【0060】
また、電圧ベース電池残量%(Da)は、上記電圧ベース電池残量(Cb)をバッテリ21の満充電時の容量として予め累算機222内の記憶装置に記録された値で割り、得られた値に100を掛けることによって算出される。
【0061】
ステップS140では、累算機222は、次の式(1)に従って電流積算ベース電池残量(Ca)を補正することにより補正電池残量(Cc)を算出して、ステップS150へ処理を進める。
【0062】
【数1】
【0063】
式(1)中の「除算数」とは、電流積算ベース電池残量(Ca)を、電圧ベース電池残量(Cb)との差分に基づく値を加えることによって補正するときの、当該差分を加える割合を決定する値である。除算数は、累算機222内の記憶装置に記録された所定のテーブルに従って、ステップS100で測定された消費電流(Ia)に対応して得られる値である。
【0064】
式(1)に基づく補正は、電流積算ベース電池残量(Ca)と電圧ベース電池残量(Cb)とを一致させるために行なわれるものである。ただし、1回の補正によって、電流積算ベース電池残量(Ca)に上記差分の全量が加えられると、直前に算出されていた最終電池残量(Cd)と今回決定される最終電池残量(Cd)が大幅に変化し、図4(A)〜図4(C)に示したようなバッテリ21の電池残量に基づく表示の内容が大幅に変更される場合が想定されるため、携帯電話機100のユーザに違和感を与える事態が想定される。
【0065】
なお、補正電池残量(Cc)は、電圧ベース電池残量(Cb)に対して、電流積算ベース電池残量(Ca)から電圧ベース電池残量(Cb)を差し引いた値を上記除算数で割ったものを加えることによって、導出することもできる。
【0066】
つまり、補正電池残量(Cc)は、電流積算ベース電池残量(Ca)または電圧ベース電池残量(Cb)の一方に、これらの差分を上記除算数で割った値を加えることによって、当該一方の値を補正することによって、算出することができる。
【0067】
本実施の形態では、このような違和感をユーザに与えることを回避するため、その時点での消費電流(Ia)に応じて、あと何回の補正によって電流積算ベース電池残量(Ca)と電圧ベース電池残量(Cb)とを一致させるかを「除算数」の値として導出し、式(1)による補正に利用しているのである。
【0068】
ステップS150では、累算機222は、最終電池残量(Cd)を決定し、当該最終電池残量(Cd)に基づいて最終電池残量%(Db)を決定して、電池残量計算処理を終了させる。
【0069】
最終電池残量(Cd)の決定の際には、累算機222は、まずステップS140で算出した補正電池残量(Cc)がバッテリ21の最大容量を超えているか否かを判断し、超えていないと判断するとステップS140で算出した補正電池残量(Cc)を最終電池残量(Cd)と決定する。一方、超えていると判断すると、累算機222は、当該最大容量を最終電池残量(Cd)と決定する。
【0070】
そして、累算機222は、最終電池残量(Cd)をバッテリ21の満充電時の容量(最大容量)で除算することによって得られた値に対して100を積算することによって得られた値を最終電池残量%(Db)とする。
【0071】
累算機222は、以上説明した電池残量計算処理によって得られた最終電池残量(Cd)と最終電池残量%(Db)を、バッテリ21の残容量とその満充電時の容量に対する割合として、制御部10へ送信する。
【0072】
制御部10は、累算機222から最終電池残量(Cd)と最終電池残量%(Db)を受信すると、図5に示された処理へとリターンする。
【0073】
[5.電池残量の表示切替の具体例]
携帯電話機100では、電池残量表示処理(図5参照)のステップS40により、ピクト表示エリア310に表示されるバッテリ21の電池残量に基づいた表示は、「電池の画像」と「残量割合」「残使用可能時間」との間で、予め定められたパターンに基づいて、切替えて表示される。
【0074】
ここで、当該パターンの具体例を説明する。
図7(A)は、ピクト表示エリア310の一部分の表示内容が、時間の経過とともに切替えられる状態が示されている。詳しくは、図7(A)では、電池の画像(ピクトグラム313)が4秒間表示された後、残量割合(ピクトグラム314)が3秒間表示され、そして、残使用可能時間(ピクトグラム315)が3秒間表示された後、電池の画像に表示が戻されるパターンが示されている。
【0075】
本明細書では、図7(A)に示された表示の切替パターンを、第1の表示パターンと呼ぶ。第1の表示パターンでは、4秒間の電池の画像の表示と、3秒間の残量割合の表示と、3秒間の残使用可能時間の表示が、順に繰返される。
【0076】
図7(B)には、第2の表示パターンが示されている。
第2の表示パターンでは、まず電池の画像が2秒間表示された後、残量割合が4秒間表示され、そして、残使用可能時間が4秒間表示された後、電池の画像に表示が戻される。第2の表示パターンでは、このように、2秒間の電池の画像の表示と、4秒間の残量割合の表示と、4秒間の残使用可能時間の表示が、順に繰返される。
【0077】
図7(C)には、第3の表示パターンが示されている。
第3の表示パターンでは、電池の画像が1秒表示された後、残量割合が1秒表示され、その後、残使用可能時間が1秒表示されて、電池の画像に表示が戻される。第3の表示パターンでは、1秒ごとに、電池の画像、残量割合、残使用可能時間の表示が順に切替えられ、これが繰返される。
【0078】
携帯電話機100では、図7(A)に示された第1の表示パターンを基本的な表示パターンとした場合、図7(B)に示された第2の表示パターンを、電力の消費が比較的大きいアプリケーション(たとえば、テレビ放送の閲覧や、カメラ90による撮影や、Javaゲーム等のアプレットゲームの実行など)が実行されているときに採用される表示パターンとすることができる。
【0079】
第2の表示パターンは、第1の表示パターンと比較して、具体的な数値による残容量や残使用可能時間が表示される時間が長くなっている。これにより、ユーザに対して、バッテリ21の残容量についての情報をより具体的に提供することができる。
【0080】
また、残使用可能時間が特定の値以下となった場合や残量割合が特定の値以下となった場合に、図7(C)に示された第3の表示パターンは、採用されるパターンとすることができる。
【0081】
第3の表示パターンでは、各表示が1秒ごとに切替えられる。これにより、バッテリ21の残容量に対するユーザの注意を喚起することができる表示パターンであるといえる。したがって、このような第3の表示パターンを、残量割合が特定の値以下となった場合や、残使用可能時間が特定の値以下となった場合の表示パターンとして採用することができる。
【0082】
なお、携帯電話機100では、バッテリ21の残容量に関する表示として、少なくとも、残量割合と残使用可能時間のいずれか一方と、電池の画像の2種類の間で表示が切替えられればよい。
【0083】
バッテリ21の残容量に関する表示が2種類とされた場合には、第1の表示パターンは、4秒間の電池の画像表示と、3秒間の残量割合または残使用可能時間の表示が、交互に行なわれるものに、変更される。
【0084】
また、このような場合、第2の表示パターンは、2秒間の電池の画像の表示と、4秒間の残量割合または残使用可能時間の表示が交互に行なわれるものに、変更される。
【0085】
また、このような場合第3の表示パターンは、電池の画像と、残量割合または残使用可能時間の表示が、1秒ごとに切替えられるものに、変更される。
【0086】
[6.電池残量表示の主な変形例]
(1) 残容量が少なくなった場合の表示
以上説明した本実施の形態では、バッテリ21の残容量に関する表示として、「電池の画像」と「残量割合」と「残使用可能時間」の3種類の表示態様が説明された。なお、残量割合がある一定の値よりも小さくなった場合には、残量割合の表示として、図8(A)に示されるように、具体的な値ではなくただ残容量が少ないことのみを示すようなピクト画像316を表示し、また、残使用可能時間としても、図8(B)に示されるように、ピクトグラム316が表示されてもよい。
【0087】
従来の携帯情報端末では、バッテリ21の残容量が、携帯電話機100を動作させることができる最低の容量となって、初めてアラーム等による特別な報知がなされていた。これにより、従来の携帯情報端末では、バッテリの容量不足によって電源が落ちる直前になって初めてバッテリ容量に関する報知態様が特別なものとされた後、すぐに、携帯情報端末が電池切れの状態となって動作が停止されていた。
【0088】
本実施の形態では、残量割合が一定の値となった時点で、つまり携帯電話機100がある程度の時間動作を継続できる状態で、バッテリの残容量に関する表示の態様を変更させている。なお、ピクトグラム316中の「LOW」の文字は、ユーザの注意をより確実に喚起するため、赤色等に着色されて表示されることが望ましい。
【0089】
(2) バッテリの充電完了時の表示
バッテリ21の充電が完了した場合には、携帯電話機100では、図9(A)および図9(B)に示されるように、残量割合や残使用可能時間として、それぞれに対応する数値を表示する代わりに、充電が完了したことのみを報知する情報であるピクトグラム317が表示されてもよい。
【0090】
(3) 値の算出ができない場合の表示
図5を参照して説明した電池残量表示では、ステップS10〜ステップS30の処理が実行されて初めて、ステップS40における電池残量表示の切替の処理が実行できる。したがって、たとえば、携帯電話機100の起動時のようにステップS10〜ステップS30の処理が初めて実行されている期間は、「電池の画像」「残量割合」「残使用可能時間」は、もととなる情報が取得されていないため、表示が不可能な状態にあるといえる。
【0091】
このような、残量割合が残使用可能時間の表示ができないような場合には、図10(A)および図10(B)に示されるように、もととなる情報を取得できないために表示が不能である旨を報知する表示(ピクトグラム318,ピクトグラム319)が表示されてもよい。
【0092】
(4) 電池の画像を構成する各バーの画像
従来の携帯情報端末では、ピクトグラム313(図4(A)参照)として示したように、大きさが同じ複数のバーを含むものであった。しかしながら、バーの表示される数は、バッテリの残容量に対応したものとはされていなかった。つまり、たとえば満充電のときに3本のバーが表示される場合、残容量が満充電時の50%以下となって初めて表示されるバーの数が2とされ、また、残容量が満充電時の20%以下となって初めて表示される場合の数が1とされ、そして、残容量が10%以下となって初めてバーが表示されない状態とされていた。つまり、3つのバーの中の最初に表示されなくなるバーは残容量の50%に対応し、2番目に表示されなくなるバーは残容量の(50%−20%=)30%に対応し、そして、最後に表示されなくなる3本目のバーは残容量の(20%−10%=)10%に対応していたことになる。
【0093】
本実施の形態では、図11(A)および図11(B)においてバー911,912,913として示されるように、残量割合および/または残使用可能時間とともに3本のバーを表示させ、それらが表示される大きさおよび数は、残量割合や残使用可能時間の値に否定したものとすることが好ましい。
【0094】
(5) バッテリの残容量に関する表示の位置
以上説明した本実施の形態では、「電池の画像」「残量割合」「残使用可能時間」は、表示部30に表示される画面の中のピクト表示エリア310に表示されていた。このようにピクト表示エリア310に表示されることにより、常時、バッテリ21の残容量に関する表示を行なうことができる領域が確保されることになる。
【0095】
なお、これらの表示は、必ずしもピクト表示エリア30に表示されていなくてもよく、たとえば、アプリケーションと連動して表示される場合等には、表示部30に表示される画面中の、ピクト表示エリア310とは別の領域に表示されても良い。
【0096】
[7.電源部20の独立性について]
以上説明した本実施の形態では、電源部20は、携帯電話機100の一部とされていた。なお、電源部20は、携帯電話機100に対して、固定されていても良いし、また、電源装置として携帯電話機100に対して着脱可能に設けられていても良い。
【0097】
このような場合、電源装置(電源部20)は、バッテリを備え、前記バッテリから他の装置の負荷部に電力を供給するための電源装置であって、前記バッテリに接続された抵抗体と、前記バッテリの出力電圧を測定する電圧測定手段と、前記抵抗体の消費電流を測定する電流測定手段と、前記電流測定手段によって測定された消費電流に基づいた前記バッテリの残容量である第1の残容量を算出する第1の算出手段と、前記電圧測定手段によって測定された出力電圧に基づいた前記バッテリの残容量である第2の残容量を算出する第2の算出手段と、前記第1の残容量と前記第2の残容量のいずれかを双方の間の値のずれに基づいて補正することによって前記バッテリの残容量を出力する残容量補正手段とを備え、そして、前記残容量補正手段は、前記ずれの値を、前記消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいて前記補正を行なうことになる。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の携帯情報端末の一実施の形態である携帯電話機の正面図である。
【図2】図1の携帯電話機のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図3】図2の電源部の詳細な構成を模式的に示す図である。
【図4】図1の携帯電話機のピクト表示エリアにおける表示内容の一例を説明するための図である。
【図5】図2の制御部が実行する電池残量表示処理のフローチャートである。
【図6】図3の累算機が実行する電池残量計算処理のフローチャートである。
【図7】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示のパターンを説明するための図である。
【図8】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示の変形例を説明するための図である。
【図9】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示の他の変形例を説明するための図である。
【図10】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示のさらに他の変形例を説明するための図である。
【図11】図1のピクト表示エリアにおけるバッテリの残容量に関する表示の別の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0100】
10 制御部、11 記憶装置、20 電源部、21 バッテリ、22 電源管理部、30 表示部、50 通信部、51 変復調部、52 アンテナ、53 受信部、54 送信部、90 カメラ、100 携帯電話機、220 残量計、221 ADコンバータ、222 累算機、223 サーミスタ、300 画面、310 ピクト表示エリア、311,313〜319 ピクトグラム、312 時計表示。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末であって、
表示手段と、
前記バッテリの残容量を算出する残量算出手段と、
前記負荷部の負荷の値と前記残量算出手段が算出した残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残量算出手段が算出した残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させる制御手段とを備える、携帯情報端末。
【請求項2】
前記バッテリに接続された抵抗体をさらに備え、
前記残量算出手段は、
前記バッテリの出力電圧を測定する電圧測定手段と、
前記抵抗体の消費電流を測定する電流測定手段と、
前記電流測定手段によって測定された消費電流に基づいた前記バッテリの残容量である第1の残容量を算出する第1の算出手段と、
前記電圧測定手段によって測定された出力電圧に基づいた前記バッテリの残容量である第2の残容量を算出する第2の算出手段と、
前記第1の残容量と前記第2の残容量のいずれかを双方の間の値のずれに基づいて補正することによって前記バッテリの残容量を出力する残容量補正手段とを含み、
前記残容量補正手段は、前記ずれの値を、前記消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいて前記補正を行なう、請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示手段の一定の領域において、前記割合と前記図形と前記残り時間とを切替えて表示させる、請求項2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方および前記図形を、前記表示手段におけるピクト表示領域に表示させる、請求項3に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記バッテリの残容量が特定の量以下となった場合には、前記バッテリの充電を促すメッセージを前記切替え表示に加える、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項6】
表示手段を備え、バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末の制御方法であって、
前記バッテリの残容量を算出するステップと、
前記負荷部の負荷の値と前記残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出するステップと、
前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させるステップとを備える、携帯情報端末の制御方法。
【請求項1】
バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末であって、
表示手段と、
前記バッテリの残容量を算出する残量算出手段と、
前記負荷部の負荷の値と前記残量算出手段が算出した残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残量算出手段が算出した残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させる制御手段とを備える、携帯情報端末。
【請求項2】
前記バッテリに接続された抵抗体をさらに備え、
前記残量算出手段は、
前記バッテリの出力電圧を測定する電圧測定手段と、
前記抵抗体の消費電流を測定する電流測定手段と、
前記電流測定手段によって測定された消費電流に基づいた前記バッテリの残容量である第1の残容量を算出する第1の算出手段と、
前記電圧測定手段によって測定された出力電圧に基づいた前記バッテリの残容量である第2の残容量を算出する第2の算出手段と、
前記第1の残容量と前記第2の残容量のいずれかを双方の間の値のずれに基づいて補正することによって前記バッテリの残容量を出力する残容量補正手段とを含み、
前記残容量補正手段は、前記ずれの値を、前記消費電流の値に基づいて算出された数によって除算して得られた値に基づいて前記補正を行なう、請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記制御手段は、前記表示手段の一定の領域において、前記割合と前記図形と前記残り時間とを切替えて表示させる、請求項2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記制御手段は、前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方および前記図形を、前記表示手段におけるピクト表示領域に表示させる、請求項3に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記制御手段は、前記バッテリの残容量が特定の量以下となった場合には、前記バッテリの充電を促すメッセージを前記切替え表示に加える、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の携帯情報端末。
【請求項6】
表示手段を備え、バッテリから負荷部に電力が供給される携帯情報端末の制御方法であって、
前記バッテリの残容量を算出するステップと、
前記負荷部の負荷の値と前記残容量に基づいて、前記負荷部に電力を供給できる残り時間を算出するステップと、
前記バッテリの満充電に対応する容量に対する前記残容量の割合と前記残り時間の少なくとも一方と、前記残容量の割合に対応する図形とを、切替えて、前記表示手段に表示させるステップとを備える、携帯情報端末の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−103761(P2010−103761A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273248(P2008−273248)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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