説明

携帯情報端末装置

【課題】液晶パネルの表示情報を、観察者が十分に判読できる程度に虚像の傾きを小さくして、拡大観察し易くできる携帯情報端末装置の提供。
【解決手段】ビームコンバイナ2と表示部1を連結する手段7と、手段7を表示部1に対し移動可能に支持し所定移動状態を保持する手段8と、コンバイナ2を連結手段7に対し開閉可能に支持し45°<α<90°のうち所定角度で保持可能にする手段6と、表示部1を把持部3に対し開閉可能に支持し180°<β<270°のうち所定角度で保持可能にする手段5を有し、0°<γ<45°のうち所定角度でコンバイナ2と表示部1を保持可能にし、コンバイナ2が表示面1aの表示情報を拡大して観察者の瞳方向に反射する光学的パワーを有する。
αは仮想線L1と仮想線L2、βは把持部3における観察者の瞳側の面と表示面1a、γは仮想線L2と仮想線L1’、の夫々なす角度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶パネルなどの表示素子を有する携帯電話機等の携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機等の携帯情報端末の表示面には、液晶パネルが設けられている。この液晶パネルには、使用者が入力した情報や、電子メールやインターネットサイトと接続することによって受信した情報や、外部を撮影した情報が表示される。
ところで、携帯電話機等の携帯情報端末は、携帯使用を可能とし、且つ、非使用時に収納スペースをとらないように、小型・軽量化が図られている。そのため、表示パネルを大きくすることができない。
このため、携帯電話機等の携帯情報端末には、老眼や弱視等の視力が弱い観察者にとっては、携帯電話機等の液晶パネルに表示された情報が判読しずらくなる、という問題がある。
【0003】
この問題を解消する手法としては、比較的大きな表示画面を有する装置の利用が考えられる。例えば、パーソナルコンピュータ等は非携帯の情報端末装置であるが、比較的大きな表示画面を有する。そこで、携帯電話機等の携帯情報端末を、パーソナルコンピュータ等に接続して、携帯情報端末で入力、受信、及び撮像した情報をその比較的大きな表示画面で観察することが考えられる。
しかし、そのような方法では、パーソナルコンピュータが必要不可欠となる。そうすると、普段パーソナルコンピュータを使用する必要性のない人に対とっては、経済的負担や、収納スペース等の負担が生じることになる。その反面、パーソナルコンピュータとしての他の利用価値が得られない。また、そのような方法では、そもそも、パーソナルコンピュータがある場所でしか利用できないことになるので、携帯情報端末の特徴的な利点である携帯性を生かすことができない。
【0004】
しかるに、従来、このような問題を解消することを目的とした携帯情報端末として、例えば、特許文献1に提案されたものがある。この特許文献1では、携帯情報端末は反射光学手段を備え、この反射光学手段が、表示部の表示内容を拡大反射させて使用者の目に導くようになっている。
【特許文献1】特開2000−59853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の携帯情報端末では、反射光学手段を介して表示部の表示像の大きさを拡大しても、十分な大きさに画像を拡大することが難しい。即ち、特許文献1においては、液晶表示部2と蓋部材4(凹面鏡3)とのなす角度が鈍角になっている。このような構成では、凹面鏡3への光線入射角が大きくなることから、光学的な補正を十分にできなくなる。その結果、拡大された表示内容に、例えば歪みが生じる可能性がある。そのため、液晶パネルに表示された情報の判読が困難な観察者にとって、判読の困難さを解消することが十分にできない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液晶パネルに表示された文字情報や画像情報を、観察者が十分に判読できる程度に、虚像の傾きを小さくして、拡大観察し易くすることが可能な携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による携帯情報端末装置は、情報入力部を有する把持部と、前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示部と、ビームコンバイナを有する携帯情報端末装置であって、前記ビームコンバイナと前記表示部とを連結するビームコンバイナ連結手段と、前記ビームコンバイナ連結手段を前記表示部に対して移動可能に支持し、且つ、前記ビームコンバイナ連結手段を所定量移動させたときの状態を保持するビームコンバイナ連結手段移動手段と、前記ビームコンバイナを前記ビームコンバイナ連結手段に対して開閉可能に支持し、且つ、下記に示す範囲(1)のうち、第1の所定角度で前記ビームコンバイナを保持可能にするビームコンバイナ開閉支持手段と、前記表示部を前記把持部に対して開閉可能に支持し、且つ、下記に示す範囲(2)のうち、第2の所定角度で前記表示部を保持可能にする表示部開閉支持手段を有し、下記に示す範囲(3)のうち、第3の所定角度で前記ビームコンバイナと前記表示部を保持可能にし、前記ビームコンバイナが、前記表示面に表示された情報を拡大して、前記把持部の側方に位置する観察者の瞳方向に反射する光学的パワーを有することを特徴としている。
45°<α<90° (1)
180°<β<270° (2)
0°<γ<45° (3)
ここで、
αは、仮想面内において、第1の仮想線と第2の仮想線とがなす角度であり、
前記仮想面は、前記表示部の表示面に直交し、前記第1の仮想線を含む面であり、
前記第1の仮想線は、仮想面内にあり、β=180°における、前記表示部の一端と該表示部の一端と対向する他端とを結ぶ直線であり、
第2の仮想線は、仮想面内にあり、前記ビームコンバイナの一端と該ビームコンバイナの一端と対向する他端とを結ぶ直線であり、
βは、前記把持部における観察者の瞳側の面と前記表示部の前記表示面とのなす角度であり、
γは、仮想面内において、第2の仮想線と第3の仮想線とがなす角度であり、
前記第3の仮想線は、仮想面内にあり、前記第2の所定角度における、前記表示部の一端と該表示部の一端と対向する他端とを結ぶ直線である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液晶パネルに表示された文字情報や画像情報を、虚像の傾きを小さくして、拡大観察し易くすることが可能な携帯情報端末装置が得られる。また、観察者が観察する際の視野角を広くすることができるので、十分に判読できる程度に、画像(情報)を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
図1は携帯情報端末装置の表示部とビームコンバイナとの位置と観察像との関係を示す説明図であり、(a)は比較例にかかる従来の携帯情報端末装置における説明図、(b)は他の比較例にかかる本件出願人の提案による携帯情報端末装置における説明図、(c)は本発明の一実施形態にかかる携帯情報端滅装置における説明図をそれぞれ示している。図2はシャインプルーフの条件を示す説明図である。なお、図1中、Eは観察者の眼球である。
携帯情報端末装置は、情報入力部を有する把持部と、表示面1aを有する表示部1と、ビームコンバイナ2を有している。ここで、情報入力部と把持部は、図1では、図示を省略している。また、表示面1aは、前記情報入力部で入力した画像(情報)又は外部から得た画像(情報)を表示する。ビームコンバイナ2は、表示面1aに表示された画像(情報)を、拡大するような光学的パワーを持つ。このビームコンバイナ2は、ハーフミラーで構成されている。表示部1の表示面1aに表示された画像(情報)は、ビームコンバイナ2で反射されて観察者の瞳Eに導かれる。観察者の瞳Eからは、ビームコンバイナ2を隔てた所定の位置に、表示面1aに表示された画像(情報)の虚像Iが、拡大形成される。よって、観察者は、この虚像Iを拡大観察できる。
【0010】
ここで、図1(a)に示すように、αが90°を上回ると、観察者の瞳Eから虚像Iを観察する時の視野角が狭くなる。そのため、観察者が観察できる像Iの大きさを、大きくとることができない。また、表示部1に表示された文字情報や画像情報雄を、良好に拡大観察することが困難になる。
なお、αは、仮想面内において、第1の仮想線と第2の仮想線とがなす角度である。そして、この仮想面は、表示部1の表示面1aに直交し、第1の仮想線を含む面である。また、第1の仮想線は、表示部1の一端と、この一端と対向する他端とを結ぶ直線である。第2の仮想線は、ビームコンバイナ2の一端と、この一端と対向する他端とを結ぶ直線である。第1の仮想線及び第2の仮想線は、いずれも、上記仮想面内にある。
また、図1では、第1の仮想線は、記号L1で示されている直線である。第2の仮想線は、記号L2で示されている直線である。図1における直線L2は、ビームコンバイナ2の有効光路面の両端2a,2bを結ぶ直線である。このように、第2の仮想線は、ビームコンバイナ2の両端を結ぶ直線であっても、有効光路面の両端を結ぶ直線であっても良い。
【0011】
一方、αが45°を下回ると、観察者の瞳Eの位置が携帯情報端末の本体(表示部及び把持部)に近づき過ぎて、観察し難くなってしまう。
【0012】
そこで、本件出願人は、まず、図1(b)に示すように、ビームコンバイナ2が、45°<α<90°の範囲のうちの所定の角度(第1の所定角度)で保持可能となる構成を想到した。このように構成すれば、図1(a)に示す構成と比べて、面積が同じビームコンバイナ2でありながら、観察者の瞳Eから虚像Iを観察する時の視野角が広くなる。そのため、観察者が観察できる像Iの大きさを、大きくとることができる。
【0013】
次に、本件出願人は、ビームコンバイナ2の有効光路面と表示面1aとの関係について、図1(b)の構成において虚像Iが図示のように結像される場合を基に検討した。
図1(b)に示す構成において、1aa,1ac,1abは、それぞれ、表示面1aの一端部、中心、他端部である。また、2a,2c,2bは、それぞれ、ビームコンバイナ2の有効光路面の一端部、中心、他端部である。図1(b)に示す構成においては、一端部1aaから2aまでの光路長、中心1acから2cまでの光路長、他端部1abから2bまでの光路長が、それぞれ異なる。そして、上記光路長の違いに応じて、虚像Iの結像位置Ia,Ic,Ibは、それぞれ観察者の瞳Eからの距離が大きく異なった位置となる。そのため、観察者の観察方向に垂直な方向に対して、虚像Iの傾きが大きくなる。
この虚像Iの傾きが大きいと、結像位置ごとに倍率が異なる。その結果、ディストーションが大きくなる。また、観察者の瞳Eに対して、奥行きのある像を表示することになるため、観察者は、虚像Iの全ての位置に焦点を合わせることが困難になる。
【0014】
ところで、被写体面と、レンズの主面と、像面との関係を示す条件として、シャインプルーフの条件が知られている。
シャインプルーフの条件とは、図2に示すように、被写体面と、レンズの主面と、像面のそれぞれを延長した面が一箇所Sで交われば、像面全体でピントが合うという条件である。なお、図2においては、被写体面のA点とB点とでは、それぞれレンズ主面へ入射する光路長が異なるため、像面のA’点とB’点とでの倍率が異なり、被写体が歪んで写る。
【0015】
ここで、図2に示される各位置を図1(b)に当てはめる。すると、図2における被写体面のA点,B点は図1(b)における表示面1aの端部1aa,1abに相当し、図2における像面のA’点,B’点は図1(b)における像Iの結像位置Ia,Ibに相当する。また、図2におけるレンズ主面は、図1(b)におけるビームコンバイナ2の有効光路面に相当する。さらに、図2における被写体面と、レンズの主面と、像面のそれぞれを延長した面が交わる位置は、図1(b)における交点S’で示すことができる。この交点S’は、ビームコンバイナ2の有効光路面の両端2a,2bを結ぶ直線L1と、表示面1aにおける辺(直線)L2と、像Iの延長線との交点である。
【0016】
この図1(b)に示す状態から、一端部1aaを軸として、表示面1aをビームコンバイナ2から離れる方向に回転させる。すると、交点S’は直線L2に沿って移動する。その結果、直線L1と直線L2とのなす角度αは、次第に小さくなる。
そこで、本発明の携帯情報端末装置では、図1(c)に示すように、ビームコンバイナ2の有効光路面に対して表示面1aがほぼ平行になるようにする。このようにすると、一端部1aaから2aまでの光路長、中心1acから2cまでの光路長、他端部1abから2bまでの光路長が、ほぼ等しくなる。このため、虚像Iの結像位置Ia,Ic,Ibは、観察者の瞳Eからほぼ等距離の位置となる。よって、観察者の観察方向に垂直な方向に対して、虚像Iの傾きが殆どなくなる。その結果、虚像Iのディストーションが良好に補正される。また、観察者は、虚像Iの全ての位置に焦点を合わせることが容易となる。
【0017】
なお、このとき、直線L2と、直線L1’と、像Iの延長線との交点は、図1(c)に示すように、S”の位置になる。また、直線L2と、直線L1’とのなす角度をγとする。
このとき、なす角度γは次の条件式を満足する。
0°<γ<45°
なす角度γが上限値を上回ると、虚像Iの傾きが大きくなり過ぎる。その結果、上述したように、ディストーションが大きく、また、虚像Iの全ての位置に焦点を合わせることが困難になるため、観察が困難になる。
なお、本実施形態の携帯情報端末では、表示面1aで表示された画像をビームコンバイナ2で反射して、観察者の瞳に導くように構成している。このような構成の携帯情報端末装置においては、ビームコンバイナ2が、表示面1aに対して偏心配置されている。このため、ビームコンバイナ2を介して観察される像に偏心収差が生じやすい。
しかるに、本実施形態のように、ビームコンバイナ2に非対称なパワーを持たせる。具体的には、第2の仮想線に沿う方向において、徐々にパワーが変化するように、ビームコンバイナ2の光学面を形成する。このようにすれば、表示面1aに対しビームコンバイナ2が偏心していることにより偏心収差が発生しても、この偏心収差を補正することができる。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。
図3は本発明の実施例1にかかる携帯情報端末装置の概略構成を示す斜視図であり、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。図4は図3の携帯情報端末装置を側方からみた概略図であり、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。図5は図3(c)に示す状態の携帯情報端末装置における表示部及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す説明図、図6は図3の携帯情報端末装置におけるビームコンバイナ連結手段、ビームコンバイナ開閉支持手段、及びビームコンバイナ連結手段移動手段の一例を示す分解図で、(a)はビームコンバイナ開閉支持手段、及びビームコンバイナ連結手段を示す分解斜視図、(b)はビームコンバイナ連結手段移動手段を示す分解斜視図である。図7は図3の携帯情報端末装置の分解図で、(a)は表示部と把持部の分解斜視図、(b)は表示部開閉支持手段の一例を示す分解斜視図である。
【0019】
実施例1の携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示面1aを有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉支持手段5を有している。ここで、表示面1aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉支持手段5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0020】
表示部開閉支持手段5は、図7に示すように、円筒部5bと、円筒部5aと、バネ5cと、球状部材5dと、ピン5eと、止め具5fを有している。ここで、円筒部5bは、表示部1の一端に一体形成されている。また、円筒部5aは、把持部3の一端に一体形成されている。
円筒部5aには、長手方向に沿って、中央に貫通孔5a1が形成されている。そして、円筒部5aの一端には、ピン5eの頭部を収納するための凹部5a2が、他端には、バネ5cを取り付けるための取付部(図示省略)が、それぞれ形成されている。
円筒部5bの中央には、長手方向に沿って、中央に貫通孔5b1が形成されている。そして、円筒部5bの一端には、止め具5fを収納するための凹部(図示省略)が、他端には、球状部材5dの一部を嵌合可能な係止溝5b2,5b3が、それぞれ形成されている。
【0021】
そして、表示部開閉支持手段5では、バネ5cを円筒部5aの取付部に取り付けるとともに、バネ5cの先端に球状部材5dを取り付けている。そして、この状態で、ピン5eを円筒部5aの凹部5a2側から、円筒部5a,5bの貫通孔5a1,5b1に通し、その先端を止め具5fで止めている。このような構成により、表示部開閉支持手段5は、表示部1を把持部3に対し開閉可能に支持している。
また、表示部開閉支持手段5では、表示部1を展開したときに、球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される。このようにすることで、β=0°(閉じた状態の角度β)、及びβ=第2の所定角度(展開した状態の角度β)となるように、表示部1を把持部3に対して固定することができるようになっている。ここで、βは把持部3における観察者の瞳側の面と表示部1の表示面1aとのなす角度である。また、第2の所定角度は、180°<β<270°の範囲のうちの所定角度である。
なお、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持し、且つ、βが第2の所定角度(上記例では、180°<β<270°)に固定することができる構成であれば、表示部開閉支持手段5の具体的な構成は、上記構成に限定されるものではない。例えば、円筒部5a,5bのそれぞれに磁石を備えた係止部を設け、互いの係止部が当接したときになす角度βが180°<β<270°の範囲内となり、且つ、磁力でその状態が保持されるように構成してもよい。
【0022】
また、実施例1の携帯情報端末装置は、ビームコンバイナ連結手段7と、ビームコンバイナ連結手段移動手段8と、ビームコンバイナ開閉支持手段6を有している。ビームコンバイナ連結手段7には、一端にビームコンバイナ2が接続され、他端に表示部1が接続されている。そして、ビームコンバイナ連結手段移動手段8は、ビームコンバイナ連結手段7を表示部1に対して、移動可能に支持している。移動方向は、ビームコンバイナ2が表示面1aから離れる方向である。なお且つ、ビームコンバイナ連結手段移動手段8は、ビームコンバイナ連結手段7を所定量移動させたときに、その位置での状態を保持できるような機構を有している。また、ビームコンバイナ開閉支持手段6は、ビームコンバイナ2をビームコンバイナ連結手段7に対して開閉可能に支持している。なお且つ、ビームコンバイナ開閉支持手段6は、ビームコンバイナ2を所定量展開したときに、その位置での状態を保持できるような機構を有している。
【0023】
ビームコンバイナ連結手段7は、図6(a),(b)に示すように、対向配置された2本のアーム状部材7aと、板状部材7bとで構成されている。
ビームコンバイナ開閉支持手段6は、図6(a)に示すように、回転軸部6a、軸孔6b、及び半球状の凸部6cと、凹部6d1,6d2、係止部6e、及び板状部材7bの内側面6fとで構成されている。ここで、回転軸部6a及び半球状の凸部6cは、ビームコンバイナ2の一端部の両側面に設けられている。また、軸孔6b,係止部6e,凹部6d1及び6d2は、2本のアーム状部材7aの一端部に設けられている。
【0024】
軸孔6bは、ビームコンバイナ2がアーム状部材7aに対して回動可能となるように、回転軸部6aと嵌合可能に形成されている。
凹部6d1,6d2は、凸部6cと嵌合可能に形成されている。
係止部6eは、凸部6cが凹部6d2に嵌合したときに、ビームコンバイナ2の内側面2’と当接するように形成されている。すなわち、係止部6eは、ビームコンバイナ2を閉じようとする時に、ビームコンバイナ2がそれ以上、閉じる方向へ移動するのを規制する。
板状部材7bは、2本のアーム状部材7aの一端面と接合している。板状部材7bと2本のアーム状部材7aが接合した状態では、ビームコンバイナ2の両側面に設けられた回転軸部6aに、2本のアーム状部材7aの軸孔6bが嵌合している。
板状部材7bの内側面6fは、凸部6cが凹部6d1に嵌合したときに、ビームコンバイナ2の外側面と当接する。すなわち、内側面6f(板状部材7b)は、ビームコンバイナ2を開こうとする時に、ビームコンバイナ2がそれ以上、開く方向へ移動するのを規制する。
【0025】
ビームコンバイナ連結手段移動手段8は、図6(b)に示すように、回転軸部8a、円筒部8b、及び係止突起8cと、支持部8dとで構成されている。ここで、支持部8dは、表示部1(図5において図示省略)の両側面に設けられている。この支持部8dは、軸孔8eと、回転溝部8fと、係止溝8g1,8g2と、回転軸止め具8hとで構成されている。
回転軸部8a、円筒部8b、及び係止突起8cは、アーム状部材7aの他端部に設けられている。
軸孔8eは、アーム状部材7aが表示部1に対して回動可能となるように、回転軸部8aと嵌合可能に形成されている。
回転溝部8fは、円筒部8bを嵌入可能に形成されている。更に、回転溝部8fは、アーム状部材7aが所定量回転したときに、係止突起8cが嵌合する係止溝8g1又は8g2を有している。そして、係止突起8cが係止溝8g1又は8g2に嵌合した時、円筒部8bの近傍において、アーム状部材7aの側部が回転溝部8fに当接するようになっている。このような機構により、必要以上の回転動作を規制するようになっている。
また、回転軸部8aには、内周面にネジ溝が設けられ、回転軸止め具8hには、外周面にネジが設けられている。よって、回転軸部8aを軸孔8eに通し、その反対側から回転具止め具8hで螺着することで、回転軸部8aと支持部8dが接続されている。
【0026】
さらに、実施例1の携帯情報端末装置は、180°<β<270°の範囲のうちの所定角度(第2の所定角度)になるように、表示部1が保持部3に対して展開された状態になっている。そして、この状態において、ビームコンバイナ連結手段7、ビームコンバイナ連結手段移動手段8、及びビームコンバイナ開閉支持手段6を介して、0°<γ<45°の範囲のうちの所定角度(第3の所定角度)となるように、各手段が位置決めされている。そして、そのように展開された状態のビームコンバイナ2を介して、図5に示すように、表示面1aに表示された情報が観察者の瞳E方向に反射されるようになっている。
【0027】
実施例1の携帯情報端末装置によれば、虚像の結像位置が、観察者の瞳Eからほぼ等距離となる。そのため、観察者の観察方向に垂直な方向に対して、虚像の傾きが殆どなくなる。その結果、虚像のディストーションが良好に補正される。また、観察者は、虚像の全ての位置に焦点を合わせることが容易となる。このため、実施例1の携帯情報端末装置によれば、観察者が十分に判読できる程度に、液晶パネルに表示された像を、傾きが少ない像として観察できる。また、実施例1の携帯情報端末装置によれば、液晶パネルに表示された像を、拡大観察し易くすることが可能となる。
【0028】
なお、実施例1では、表示部を展開したときに、180°<β<270°の範囲のうちの所定角度となるように、表示部を把持部に対して固定することができる構成を示した。これとは別に、表示部開閉支持手段5は、表示部1を複数の角度で展開可能にし、且つその状態を固定することができるように構成してもよい。
同様に、ビームコンバイナ連結手段移動手段8、ビームコンバイナ開閉支持手段6に、同様の機能を持たせても良い。すなわち、ビームコンバイナ2を複数の角度に展開し、且つその状態を固定することができるように、ビームコンバイナ連結手段移動手段8やビームコンバイナ開閉支持手段6を構成してもよい。
さらには、ビームコンバイナ連結手段7のアーム状部材を、折り曲げ可能に構成してもよい。なお、ここでの固定とは、一時的にその状態を保持できる状態を意味している。よって、所定の力が加われば、その状態を変化させることができる。このような機能を実現する方法として、例えば、クリック機構がある。
【実施例2】
【0029】
図8は本発明の実施例2にかかる携帯情報端末装置を側方からみた概略図であり、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。
実施例2の携帯情報端末装置は、表示面1aが表側と裏側の両面に設けられている。ビームコンバイナ2は、ビームコンバイナ開閉支持手段6を介して、表示部1の操作部4とは反対側(即ち、裏側表示面1ar側)において開閉可能に支持されている。また、ビームコンバイナ連結手段7は、ビームコンバイナ連結手段移動手段8を介して表示部1の裏側表示面1arから離れる方向に移動可能に支持されている。
また、表示部開閉支持手段5は、表示部1を展開したときに、180°<β<270°の範囲のうちの所定角度(第2の所定角度)になるように、表示部1が保持部3に対して固定することができるように構成されている。ここで、βは、把持部3における観察者の瞳側の面と表示部1の裏側表示面1arとのなす角度である。そして、表示部1が把持部3に対して、180°<β<270°の範囲のうちの所定角度(第2の所定角度)となるように、表示部を把持部に対して固定する展開された状態において、ビームコンバイナ連結手段7、ビームコンバイナ連結手段移動手段8、及びビームコンバイナ開閉支持手段6を介して、ビームコンバイナ2が、0°<γ<45°の範囲のうちの所定の角度(第1の所定角度)で保持可能となっている。そして、そのように展開された状態のビームコンバイナ2を介して、裏側表示面1arに表示された情報が、観察者の瞳E方向に反射される。
その他の構成及び作用効果は、実施例1の携帯情報端末装置とほぼ同じである。
【0030】
なお、実施例2においても実施例1と同様に、表示部開閉支持手段5の変形例がある。すなわち、表示部開閉支持手段5は、表示部を展開したときのβを、180°<β<270°の範囲のうちの複数の所定角度に固定することができるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】携帯情報端末装置の表示部とビームコンバイナとの位置と観察像との関係を示す説明図であり、(a)は比較例にかかる従来の携帯情報端末装置における説明図、(b)は他の比較例にかかる本件出願人の提案による携帯情報端末装置における説明図、(c)は本発明の一実施形態にかかる携帯情報端滅装置における説明図をそれぞれ示している。
【図2】シャインプルーフの条件を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる携帯情報端末装置の概略構成を示す斜視図であり、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。
【図4】図3の携帯情報端末装置を側方からみた概略図であり、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。
【図5】図3(c)に示す状態の携帯情報端末装置における表示部及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す説明図である。
【図6】図3の携帯情報端末装置におけるビームコンバイナ連結手段、ビームコンバイナ開閉支持手段、及びビームコンバイナ連結手段移動手段の一例を示す分解図で、(a)はビームコンバイナ開閉支持手段、及びビームコンバイナ連結手段を示す分解斜視図、(b)はビームコンバイナ連結手段移動手段を示す分解斜視図である。
【図7】図3の携帯情報端末装置の分解図で、(a)は表示部と把持部の分解斜視図、(b)は表示部開閉支持手段の一例を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の実施例2にかかる携帯情報端末装置を側方からみた概略図であり、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態、(c)は(b)の状態からビームコンバイナを展開した状態を示している。
【符号の説明】
【0032】
1 表示部
1a 表示面
1af 表側表示面
1af 裏側表示面
2 ビームコンバイナ
2’ ビームコンバイナの内側面
2a,2b 有効光路面の端部
3 把持部
4 情報入力部
5 表示部開閉支持手段
5a,5b 円筒部
5a1,5b1 貫通孔
5a2 凹部
5b2,5b3 係止溝
5c バネ
5d 球状部材
5e ピン
5f 止め具
6 ビームコンバイナ開閉支持手段
6a 回転軸部
6b 軸孔
6c 凸部
6d1,6d2 凹部
6e 係止部
6f 板状部材7bの内側面
7 ビームコンバイナ連結手段
7a アーム状部材
7b 板状部材
8 ビームコンバイナ連結手段移動手段
8a 回転軸部
8b 円筒部
8c 係止突起
8d 支持部
8e 軸孔
8f 回転溝部
8g1,8g2 係止溝
8h 回転軸止め具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報入力部を有する把持部と、
前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示部と、
ビームコンバイナを有する携帯情報端末装置であって、
前記ビームコンバイナと前記表示部とを連結するビームコンバイナ連結手段と、
前記ビームコンバイナ連結手段を前記表示部に対して移動可能に支持し、且つ、前記ビームコンバイナ連結手段を所定量移動させたときの状態を保持するビームコンバイナ連結手段移動手段と、
前記ビームコンバイナを前記ビームコンバイナ連結手段に対して開閉可能に支持し、且つ、下記に示す範囲(1)のうち、第1の所定角度で前記ビームコンバイナを保持可能にするビームコンバイナ開閉支持手段と、
前記表示部を前記把持部に対して開閉可能に支持し、且つ、下記に示す範囲(2)のうち、第2の所定角度で前記表示部を保持可能にする表示部開閉支持手段を有し、
下記に示す範囲(3)のうち、第3の所定角度で前記ビームコンバイナと前記表示部を保持可能にし、
前記ビームコンバイナが前記表示面に表示された情報を拡大して、前記把持部の側方に位置する観察者の瞳方向に反射する光学的パワーを有することを特徴とする携帯情報端末装置。
45°<α<90° (1)
180°<β<270° (2)
0°<γ<45° (3)
ここで、
αは、仮想面内において、第1の仮想線と第2の仮想線とがなす角度であり、
前記仮想面は、前記表示部の表示面に直交し、前記第1の仮想線を含む面であり、
前記第1の仮想線は、仮想面内にあり、β=180°における、前記表示部の一端と該表示部の一端と対向する他端とを結ぶ直線であり、
第2の仮想線は、仮想面内にあり、前記ビームコンバイナの一端と該ビームコンバイナの一端と対向する他端とを結ぶ直線であり、
βは、前記把持部における観察者の瞳側の面と前記表示部の前記表示面とのなす角度であり、
γは、仮想面内において、第2の仮想線と第3の仮想線とがなす角度であり、
前記第3の仮想線は、仮想面内にあり、前記第2の所定角度における、前記表示部の一端と該表示部の一端と対向する他端とを結ぶ直線である。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−106274(P2006−106274A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291648(P2004−291648)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】