説明

携帯機器の筐体への部品取り付け構造

【課題】接着、溶着作業、ネジ止めに対する作業工数、検査工数の削減に伴う固定作業の煩雑、コストアップの削減を可能とする。
【解決手段】携帯電話機の筺体2にハンドストラップを取り付けるための携帯電話ハンドストラップ構造に、筺体の端面に設けられた2つ穴2−cの周囲で筺体の内側に構造物として位置する2つの被挿入部2−cと、2つの穴を塞ぎ、一方の穴から他方の穴にハンドストラップを通す穴塞部品1と、穴塞部品を筺体に固定するように穴塞部品と一体で被挿入部に挿入され圧入される挿入部1−aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯機器の筺体への部品取り付け構造に関する。特に、携帯電話機の筺体にハンドストラップを取り付けるための携帯電話ハンドストラップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器の筺体への部品取り付け構造として、携帯電話機の筺体にハンドストラップを取り付ける例では、ハンドストラップを通す穴と巻きつける部分を筺体と一体構造にし、筺体の一体構造の部分に穴を塞ぐ部品を接着、溶着、ネジ止めによって固定が行われることは周知である。
しかしながら、この固定のための作業工数の増加、固定されたことの確認作業により、固定作業が煩雑となり、コストアップとなるという問題がある。
【0003】
また、接着、溶着不良による部品不良等の発生、接着剤、溶着のはみ出しによる2次災害、他の部品との干渉の発生等の不具合があった。ネジ止めでの固定の場合には、ネジ固定のための大きなスペースが必要となり、実装効率上、不利であったり、ネジ止め不良の発生があった。
上記固定例の他の例として、ハンドストラップを巻きつける部分であるピン(金属の棒)を用いてピンを筺体に圧入(接着)している場合には、ピンを圧入(接着)するために、専用の取り付け工具が必要であるという問題があった。
【0004】
上記の問題に関連して以下の従来技術がある。
従来、ストラップを傷めず、ストラップ取付構造が組み付けられる装置本体の大きさに影響を与えず、さらには外観の見栄えの良いストラップ取付構造とするため、ストラップの端部が巻き付けられる棒形状部が略中央を横断するようにして形成された開口部を有するストラップ取付部材を備え、円弧状の凹み部をもつインナー部材の該凹み部の縁部を、ストラップ取付部材の背面側より開口部に嵌め込むことで、凹み部および開口部が、ストラップの端部を棒形状部の下をもぐるようにして開口部の一方から他方へ案内する連通穴を形成し、凹み部の縁部が、開口部の一方のストラップ挿入口および他方の挿出口にあるエッジ部をフラットな面にしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、ストラップ取付部材をネジによってベース部材に取り付けてストラップを形成しており、前述と同様の問題がある。
また、従来、撮像素子上に被写体像を結像して画像データを生成するカメラに関し、カメラハウジングから突出するのを防止し、さらにストラップの保護が図られたストラップ取付部を備えるため、ストラップ取付穴が形成されたハウジングと、開口を有するとともにその開口を取り巻いて立設してハウジングの内側からストラップ取付穴に嵌入する立壁を有し、ストラップ取付穴に挿通されたストラップがハウジングのストラップ取付穴壁面に直接に接触するのを防止する保護部材とを備えたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献2では、ストラップ取付穴が形成されたハウジングに対して保護部材を当てビスにより固定しストラップを形成しており、前述と同様の問題がある。
また、従来、筐体における内部スペースの有効利用を図り、もって携帯機器における外観の小型化を達成し得るストラップ取付構造の提供にあるため、ストラップ取付構造は、背面ケースに一対の貫通孔とリブとを形成する一方、前面ケースに一対の貫通孔に臨んで該一対の貫通孔を互いに連通させて取付孔を画成する底壁を設けているものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、上記特許文献3では、前面ケースに底壁を設けているが、前面ケースの肉厚が小さく底壁を設けられない場合には、ストラップ取付構造を形成できないという問題がある。
【0008】
【特許文献1】特開2006−084653号公報
【特許文献2】特開平11−054947号公報
【特許文献3】特開2006−221038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、固定作業の煩雑、コストアップの削減が可能となる携帯機器の筺体への部品取り付け構造、携帯電話機の筺体にハンドストラップを取り付けるための携帯電話ハンドストラップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記問題点を解決するために、携帯機器の筐体への部品取り付け構造において、前記筺体に設けられた穴の周囲で前記筺体の構造物として内側に位置する被挿入部と、前記穴を塞ぐ穴塞部品と、前記穴塞部品を前記筺体に固定するように前記穴塞部品と一体で前記被挿入部に挿入され圧入される挿入部とを備えることを特徴とする携帯機器の筐体への部品取り付け構造を提供する。
【0011】
さらに、前記被挿入部の形状は前記挿入部よりも寸法が小さく設定され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入されると、圧入状態となる。
さらに、前記穴が前記筺体の端面、正面、背面の少なくとも1つに設けられる。
さらに、前記穴塞部品にはLED、スピーカ、マイクロフォン、カメラの少なくとも1つが搭載される。
【0012】
さらに、本発明は、携帯電話機の筺体にハンドストラップを取り付けるための携帯電話ハンドストラップ構造において、前記筺体の端面に設けられた2つ穴の周囲で前記筺体の内側に構造物として位置する2つの被挿入部と、前記2つの穴を塞ぎ、一方の穴から他方の穴にハンドストラップを通す穴塞部品と、前記穴塞部品を前記筺体に固定するように前記穴塞部品と一体で前記被挿入部に挿入され圧入される挿入部とを備えることを特徴とする携帯電話ハンドストラップ構造を提供する。
【0013】
さらに、前記被挿入部の形状は前記挿入部よりも寸法が小さく設定され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入されると、圧入状態となる。
さらに、前記2つの穴の縁とハンドストラップを通す前記穴塞部品の開口の縁を合わせる場合に、前記穴塞部品の開口の縁が前記穴の縁よりも内側に出っ張るように形成される。
【0014】
さらに、前記筺体の内側で2つの穴の間に巻付部分が設けられ、前記巻付部分はハンドストラップを巻き付け、その太さは、筺体の厚さよりも大きくなっており、さらに、中空構造となっている。
さらに、前記2つの穴が前記筺体の正面又は背面に位置する場合には、前記2つの被挿入部が前記筺体の正面又は背面に設けられた2つ穴の周囲に位置する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、携帯機器の筐体への部品取り付け構造において、筺体に設けられた穴の周囲で筺体の構造物として内側に位置する被挿入部と、穴を塞ぐ穴塞部品と、穴塞部品を筺体に固定するように穴塞部品と一体で被挿入部に挿入され圧入する挿入部とを備えるようにしたので、作業の容易化が図れ、これにより、作業工数、例えば、従来の接着、溶着作業、ネジ止め、検査工数の削減が可能になる。
【0016】
さらに、従来の接着、溶着作業、ネジ止め作業、検査作業がなくなることにより、コストダウンが図れる。
さらに、従来の接着、溶着不良による部品不良の発生、接着剤、溶着のはみ出しによる2次災害、例えば、他の部品との干渉の発生等の不具合がなくなる。
さらに、ネジ止めの場合と比較して、スペースの有効活用が図れる。
【0017】
さらに、ハンドストラップの固定作業が筺体の任意の位置に固定する作業が容易になる。
さらに、不要に開けられた穴に対して、内部部品の保護、内部の遮蔽(見えなくする)、異物侵入防止等を行うことが可能になる。
LED(発光ダイオード)、スピーカ、マイクロフォン、カメラを搭載した穴塞部品を筺体の穴に固定する作業が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、携帯機器の筺体への部品取り付け構造の一例として、携帯電話ハンドストラップ構造について、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る携帯電話ハンドストラップ構造で筺体の端面を外側から見た部分組立斜視図である。本図に示すように、携帯電話機の筺体2の端部の側面には2つの穴2−cが開いており、穴2−cの各々はハンドストラップを通す機能を有する。
【0019】
筺体2の内側で2つの穴2−cの間に巻付部分2−bが設けられ、巻付部分2−bはハンドストラップを巻き付ける部分であり、その太さは、強度確保のため筺体2の厚さよりも大きくなっており、さらに、外観不具合対策のため、中空構造となっている。
筺体2の内側には穴塞部品1が取り付けられ、穴塞部品1は巻付部分2−bを跨ぎ、2つの穴2−cを筺体2の内側から塞ぎ、ハンドストラップをガイドする形状の空間を有するハンドストラップガイド部1−bを備える。
【0020】
穴塞部品1の両側には2つの挿入部1−aが設けられ、挿入部1−aは穴塞部品1を筺体2に固定するための機能を有する。
図2は図1の携帯電話ハンドストラップ構造で筺体の端面を内側から見た部分組立斜視図である。本図に示すように、筺体2の内側で2つの穴2−cの両側の周囲には2つの被挿入部2−aが設けられる。被挿入部2−a、挿入部1−aの各々は、挿入部1−aを被挿入部2−aに挿入するための筺体2の構造物である。すなわち、被挿入部2−aの各々の形状は挿入部1−aよりも寸法が小さく設定されているため、挿入部1−aが被挿入部2−aに挿入されると、圧入状態となり、穴塞部品1が筺体2に固定される。
【0021】
図3は図2の携帯電話ハンドストラップ構造で筺体に組み込み後の図である。本図(a)は、携帯電話機の筺体2に穴塞部品1が組み込まれた部分正面又は背面図であり、本図(b)は穴塞部品1が組み込まれた携帯電話機の端面図であり、本図(c)は本図(b)の線A−Aについての断面図であり、本図(d)は本図(b)の線B−Bについての断面図である。
【0022】
本図(c)に示すように、穴塞部品1の挿入部1−aが筺体2の被挿入部2−aに挿入され、穴塞部品1が筺体2に固定される。このようにして、挿入部1−aが被挿入部2−aに圧入されることにより、穴塞部品1が筺体2に固定されるので、従来のように、接着、溶着、ネジ止めが不要となり、作業工数の増加を抑制でき、固定されたことの確認作業が容易になり、コストアップを削減することが可能になる。
【0023】
また、本図(c)、(d)に示すように、穴塞部品1のハンドストラップガイド部1−bはハンドストラップを一方の穴2−cから他方の穴2−cへ誘導する形状となっており、換言すれば、ハンドストラップを通す際に通りやすい形状(ハンドストラップ先端が一方の穴2−cから他方の穴2−cに自然に抜けやすい形状)となっている。
さらに、本図(c)、(d)に示すように、穴塞部品1の筺体2では、ハンドストラップを通す2つの穴2−cの縁と穴塞部品1の開口部の縁を合わせる場合に、穴塞部品1の開口部の縁が穴2−cの縁よりも内側に出っ張るように形成される。ハンドストラップ先端が一方の穴2−cから他方の穴2−cに抜ける際に、他方の穴2−cの位置でハンドストラップの先端が引っかからないように、スムーズに通すことが可能なような形状とするためである。
【0024】
したがって、本発明によれば、携帯電話機の筺体2の穴2−Cを穴塞部品1で塞ぐために、被挿入部2−aに対する挿入部1−aの圧入により穴塞部品1を穴2−Cに固定を行うので、作業の容易化が図れ、これにより、作業工数、例えば、従来の接着、溶着作業、ネジ止め、検査工数の削減が可能になる。
さらに、従来の接着、溶着作業、ネジ止め作業、検査作業がなくなることにより、コストダウンが図れる。
【0025】
さらに、従来の接着、溶着不良による部品不良の発生、接着剤、溶着のはみ出しによる2次災害、例えば、他の部品との干渉の発生等の不具合がなくなる。
さらに、ネジ止めの場合と比較して、スペースの有効活用が図れる。
【実施例1】
【0026】
図4は図1の変形例であり、筐体への部品取り付け構造で筺体を内側から見た部分組立斜視図である。本図に示すように、携帯電話機の筺体2の正面又は背面には、一例として、2つの穴4―bが開けられており、2つの穴は穴塞部品5により塞がれる。2つの穴4―bの周囲には2つの被挿入部4−aが設けられ、穴塞部品5には2つの挿入部5−aが設けられる。被挿入部4−a、挿入部5−aの各々は、前述した被挿入部2−a、挿入部1−aの各々と同一の構造物で、被挿入部4−a、挿入部5−aの各々は、挿入部5−aを被挿入部4−aに挿入するための構造部である。すなわち、被挿入部4−aの各々の形状は挿入部5−aよりも寸法が小さく設定されているため、挿入部5−aが被挿入部4−aに挿入されると、圧入状態となり、穴塞部品1が筺体2に固定される。
【0027】
このようにして、不要に開けられた穴4―bに対して、内部部品の保護、内部の遮蔽(見えなくする)、異物侵入防止等を行うことが可能になる。
【実施例2】
【0028】
図4において、穴塞部品5には、例えば、LED(発光ダイオード)、スピーカ、マイクロフォン、カメラが搭載され、穴4―bから光を放出したり、音を出力したり、音を収集したり、撮影を行えるようにしてもよい。
【実施例3】
【0029】
図1の携帯電話機の端面に穴2−cを設けた携帯電話ハンドストラップ構造に代わり、図4における穴塞部品5に図1の穴塞部品1の機能をもたせ、携帯電話機の正面又は背面に穴4−bを設けた携帯電話ハンドストラップ構造を形成するようにしてもよい。これにより、携帯電話ハンドストラップの位置を任意に設定することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上の説明では、携帯電話機の携帯電話ハンドストラップ構造としたが、これに限らず、PHS(簡易型携帯電話機)、PDA(携帯情報端末)を含む携帯機器にも本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明に係る携帯電話ハンドストラップ構造で筺体の端面を外側から見た部分組立斜視図である。
【図2】図2は図1の携帯電話ハンドストラップ構造で筺体の端面を内側から見た部分組立斜視図である。
【図3】図3は図2の携帯電話ハンドストラップ構造で筺体に組み込み後の図である。
【図4】図4は図1の変形例であり、筐体への部品取り付け構造で筺体を内側から見た部分組立斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1、5…穴塞部品
1−a、5−a…挿入部
1−b…ハンドストラップガイド部
2…筺体
2−a、4−a…被挿入部
2−b…巻付部分
2−c、4−b…穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器の筐体への部品取り付け構造において、
前記筺体に設けられた穴の周囲で前記筺体の構造物として内側に位置する被挿入部と、
前記穴を塞ぐ穴塞部品と、
前記穴塞部品を前記筺体に固定するように前記穴塞部品と一体で前記被挿入部に挿入され圧入される挿入部とを備えることを特徴とする携帯機器の筐体への部品取り付け構造。
【請求項2】
前記被挿入部の形状は前記挿入部よりも寸法が小さく設定され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入されると、圧入状態となることを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の筐体への部品取り付け構造。
【請求項3】
前記穴が前記筺体の端面、正面、背面の少なくとも1つに設けられることを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の筐体への部品取り付け構造。
【請求項4】
前記穴塞部品にはLED、スピーカ、マイクロフォン、カメラの少なくとも1つが搭載されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の筐体への部品取り付け構造。
【請求項5】
携帯電話機の筺体にハンドストラップを取り付けるための携帯電話ハンドストラップ構造において、
前記筺体の端面に設けられた2つ穴の周囲で前記筺体の内側に構造物として位置する2つの被挿入部と、
前記2つの穴を塞ぎ、一方の穴から他方の穴にハンドストラップを通す穴塞部品と、
前記穴塞部品を前記筺体に固定するように前記穴塞部品と一体で前記被挿入部に挿入され圧入される挿入部とを備えることを特徴とする携帯電話ハンドストラップ構造。
【請求項6】
前記被挿入部の形状は前記挿入部よりも寸法が小さく設定され、前記挿入部が前記被挿入部に挿入されると、圧入状態となることを特徴とする、請求項5に記載の携帯電話ハンドストラップ構造。
【請求項7】
前記2つの穴の縁とハンドストラップを通す前記穴塞部品の開口の縁を合わせる場合に、前記穴塞部品の開口の縁が前記穴の縁よりも内側に出っ張るように形成されることを特徴とする、請求項5に記載の携帯電話ハンドストラップ構造。
【請求項8】
前記筺体の内側で2つの穴の間に巻付部分が設けられ、前記巻付部分はハンドストラップを巻き付け、その太さは、筺体の厚さよりも大きくなっており、さらに、中空構造となっていることを特徴とする、請求項5に記載の携帯電話ハンドストラップ構造。
【請求項9】
前記2つの穴が前記筺体の正面又は背面に位置する場合には、前記2つの被挿入部が前記筺体の正面又は背面に設けられた2つ穴の周囲に位置することを特徴とする、請求項5に記載の携帯電話ハンドストラップ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−131586(P2008−131586A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317451(P2006−317451)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】