説明

携帯無線装置、機能制限方法及びプログラム

【課題】機能の制限が必要な携帯無線装置に対してだけ、状況に応じて機能を制限させる。
【解決手段】複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を複数の機能の1つとする携帯無線装置であって、複数の機能のそれぞれの制限と、制限の解除とを行う端末制御部と、複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示す機能制限報知情報を生成する機能制限報知部と、生成された機能制限報知情報が示す機能の制限を端末制御部に指示する機能制限制御部と、予め設定された電力値よりも小さな電力値で、生成された機能制限報知情報を送信し、外部から送信された機能制限報知情報を受信する無線通信制御部とを有し、機能制限制御部は、受信された機能制限報知情報が示す機能の制限を端末制御部に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う携帯無線装置、機能制限方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の無線端末である携帯無線装置の普及に伴い、携帯無線装置から発信される電磁波の電子機器への影響が問題となることが多くなってきている。例えば、携帯電話機から発信された電磁波がペースメーカー等の医療用の電子機器に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。
【0003】
また、電車内等、携帯電話機による通話を自粛すべき場所においては、通話を自粛することはもとより、着信音の鳴動を制限するためのマナーモードの利用が求められている。
【0004】
このように、携帯無線装置は、利用する状況に応じて機能を制限することが求められる。
【0005】
ここで、携帯無線装置が備える機能を制限する必要がある状況下において、その機能が制限されるようにするための技術が求められ、これを可能にする技術が例えば、特許文献1、2に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されている技術では、無線端末の機能変更を必要とする場所の出入口に無線端末制御装置が設置される。無線端末制御装置は、無線端末の発信機能や着信報知機能などを変更するための機能制御信号を上記の出入口またはその付近に発信する。そして、無線端末は、機能制御信号を受信すると、送信禁止状態や振動報知の状態へ機能を変更する。
【0007】
また、特許文献2に開示されている技術では、携帯無線機の使用禁止区域又は使用自粛区域において、警報装置が携帯無線機から発信される電波を受信する。そして、警報装置は、受信した電波の種類及び特徴を解析し、解析された種類及び特徴に対応付けられた警報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−243454号公報
【特許文献2】特開2002−291036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1、2に開示されている技術を用いれば、予め決められた区域内において、携帯無線装置が備える機能を制限することが可能となる。しかし、その効果は、予め決められた区域内でしか得られない。
【0010】
つまり、予め決められた状況下でしか、携帯無線装置が備える機能を制限することができないという問題点がある。
【0011】
また、予め決められた区域外であっても、特許文献1における無線端末制御装置や特許文献2における警報装置からの電波が届く範囲内に携帯無線装置が存在する場合には、その携帯無線装置の機能が制限されたり、警報が出力されたりする可能性がある。
【0012】
つまり、必要がない場合にも、携帯無線装置が備える機能が制限されてしまうという問題点がある。
【0013】
本発明は、機能の制限が必要な携帯無線装置に対してだけ、状況に応じて機能を制限させることを可能にする携帯無線装置、機能制限方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の携帯無線装置は、複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を前記複数の機能の1つとする携帯無線装置であって、
前記複数の機能のそれぞれの制限と、該制限の解除とを行う端末制御部と、
前記複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成して出力する機能制限報知部と、
前記機能制限報知部から出力された機能制限報知情報を受け付けると、該受け付けた機能制限報知情報が示す機能の制限を前記端末制御部に指示する機能制限制御部と、
前記機能制限報知部から出力された機能制限報知情報を受け付けると、前記予め設定された電力値よりも小さな電力値で、前記受け付けた機能制限報知情報を送信し、外部から送信された前記機能制限報知情報を受信すると、該受信した機能制限報知情報を出力する無線通信制御部と、を有し、
前記機能制限制御部は、前記無線通信制御部から出力された機能制限報知情報を受け付けると、該受け付けた機能制限報知情報が示す機能の制限を前記端末制御部に指示する。
【0015】
また、上記目的を達成するために本発明の機能制限方法は、複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を前記複数の機能の1つとする携帯無線装置における機能制限方法であって、
前記複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成する処理と、
前記予め設定された電力値よりも小さな電力値で、前記生成された機能制限報知情報を送信する処理と、
前記生成された機能制限報知情報が示す機能を制限する処理と、
外部から送信された前記機能制限報知情報を受信すると、該受信した機能制限報知情報が示す機能を制限する処理と、を有する。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明のプログラムは、複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を前記複数の機能の1つとする携帯無線装置に、
前記複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成する機能と、
前記予め設定された電力値よりも小さな電力値で、前記生成された機能制限報知情報を送信する機能と、
前記生成された機能制限報知情報が示す機能を制限する機能と、
外部から送信された前記機能制限報知情報を受信すると、該受信した機能制限報知情報が示す機能を制限する機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上説明したように構成されているので、機能の制限が必要な携帯無線装置に対してだけ、状況に応じて機能を制限させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の携帯無線装置によって構成された携帯無線装置群の実施の一形態の構成を示す図である。
【図2】図1に示した携帯電話機の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図1及び図2に示した携帯電話機が備える複数の機能のいずれかが制限されたことを使用者へ通知する方法を説明するための図である。
【図4】図2に示した機能制限無線制御部から機能制限報知情報を送信する際の電波到達範囲を説明するための概念図である。
【図5】図2に示した機能制限報知部が機能制限報知情報を出力するまでの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図2に示した機能制限無線制御部が機能制限報知情報を受け付けたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】図1〜図4に示した携帯電話機において機能を制限するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図1〜図4に示した携帯電話機において機能の制限を解除するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図1に示した携帯無線装置群において、機能制限報知情報を送信する携帯電話機と、送信された機能制限情報を受信する携帯電話機との動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の携帯無線装置によって構成された携帯無線装置群の実施の一形態の構成を示す図である。
【0021】
本実施形態の携帯無線装置群は図1に示すように、携帯電話機100−1〜100−3から構成される。
【0022】
なお、本実施形態では、携帯無線装置群を構成する携帯電話機を3台としているが、携帯電話機の数は3台に限定されない。
【0023】
また、本実施形態では、携帯無線装置の一例として携帯電話機を取り上げるが、携帯無線装置は携帯電話機に限定されない。携帯無線装置としては携帯電話機の他に例えば、無線通信機能を有する小型ゲーム機及び音楽再生端末や、PDA(Personal Data Assistants)等がある。
【0024】
図2は、図1に示した携帯電話機100−1の一構成例を示すブロック図である。なお、携帯電話機100−2,100−3も同様の構成である。
【0025】
本実施形態の携帯電話機100−1は図1に示すように、操作部101と、表示部102と、記憶部103と、音声入出力部104と、発光部105と、振動部106と、端末制御部107と、無線部108aと機能制限無線制御部108bとを備え、無線通信機能を実現する無線通信制御部108と、機能制限報知部109と、機能制限制御部110と、近距離通信部111とを備えている。なお、表示部102、発光部105及び振動部106はそれぞれ、携帯電話機100−1が備える複数の機能のそれぞれが制限された場合に、その旨を使用者等の外部へ通知するための通知部を構成する。
【0026】
操作部101は、キーボード等の入力装置であり、使用者から電話番号等の入力を受け付ける。また、操作部101は、携帯電話機100−1が備える複数の機能のいずれかの制限を指示する入力を使用者から受け付ける。ここでは、複数の機能の一例として、着信時に鳴動する鳴動機能、及び、無線通信機能を取り上げることにする。なお、鳴動機能が制限された場合、マナーモードに移行する。また、無線通信機能が制限された場合、無線部108aまたは携帯電話機100−1自体の電源がOFFになる。
【0027】
表示部102は、白黒またはカラーの液晶パネル等の表示装置である。表示部102は、端末制御部107の指示により、複数の機能のいずれかが制限されたことを表示する。
【0028】
記憶部103は、記憶装置であり、携帯電話機100の制御情報や、使用者にて作成された情報、外部から受信した情報等を記憶する。
【0029】
音声入出力部104は、マイクやスピーカ等からなる音声入出力装置である。
【0030】
発光部105は、ランプやLED(Light Emitting Diode)等を備えている。複数の機能のいずれかが制限された場合、発光部105は、端末制御部107の指示によってランプやLED等を点灯させたり、点滅させたりする。
【0031】
振動部106は、バイブレータ等の振動を発生する装置を備えている。複数の機能のいずれかが制限された場合、振動部106は、端末制御部107の指示によってバイブレータ等を振動させる。
【0032】
端末制御部107は、携帯電話機100の各部を制御し、携帯電話機としての一連の動作を実現する。例えば、端末制御部107は、操作部101が受け付けた入力内容に応じて携帯電話機100の各部を制御する。端末制御部107は、操作部101が受け付けた入力内容が複数の機能のいずれかの制限を指示している場合、機能制限要求を機能制限報知部109へ出力する。なお、上述したように、ここでは、複数の機能は、鳴動機能と無線通信機能との2種類としており、機能制限要求には、その2つの種類のいずれかを示す種別情報が付与される。また、端末制御部107は、機能制限制御部110から出力され、複数の機能のいずれかの制限を指示する制限指示を受け付けると、その機能を制限する。そして、端末制御部107は、表示部102や発光部105、振動部106を動作させる。これにより、複数の機能のいずれかが制限されたことが携帯電話機100の使用者に通知される。
【0033】
図3は、図1及び図2に示した携帯電話機100−1が備える複数の機能のいずれかが制限されたことを使用者へ通知する方法を説明するための図であり、(a)は表示部102を用いた方法を示す図、(b)は発光部105を用いた方法を示す図、(b)は振動部106を用いた方法を示す図である。
【0034】
携帯電話機100−1が備える複数の機能のいずれかが制限された場合、例えば、図3(a)に示すように、その旨が表示部102に表示される。なお、図3(a)は無線通信機能が制限されたときの表示の一例である。
【0035】
また、携帯電話機100−1が備える複数の機能のいずれかが制限された場合、例えば、図3(b)に示すように、発光部105が点滅または点灯する。
【0036】
また、携帯電話機100−1が備える複数の機能のいずれかが制限された場合、例えば、図3(c)に示すように、振動部106が備えるバイブレータ等が振動する。
【0037】
なお、これらの通知方法は1つだけ実行されてもよいし、これらの通知方法を組み合わせて実行されてもよい。
【0038】
また、端末制御部107は、機能制限制御部110から出力され、機能の制限を解除することを指示する解除指示を受け付けると、その機能の制限を解除する。
【0039】
再度、図2を参照すると、機能制限報知部109は、端末制御部107から出力された機能制限要求を受け付けると、受け付けた機能制限要求に付与された種別情報を確認する。そして、機能制限報知部109は、確認した種別情報が示す機能を制限させるための機能制限報知情報を生成する。なお、機能制限報知情報にも種別情報が付与される。そして、機能制限報知部109は、生成した機能制限報知情報を機能制限制御部110及び機能制限無線制御部108bへ出力する。
【0040】
無線通信制御部108は、無線制御と無線状態の通知とに関する情報の交換を端末制御部107との間で行う。また、無線通信制御部108は、他の携帯電話機から送信された機能制限報知情報を無線部108aを介して受信する。そして、無線通信制御部108は、受信した機能制限報知情報を機能制限制御部110へ出力する。また、機能制限無線制御部108bは、機能制限報知部109から出力された機能制限報知情報を受け付けると、受け付けた機能制限報知情報を無線部108aを介して送信する。このとき、機能制限無線制御部108bは、所定の範囲内に存在する携帯電話機へ機能制限報知情報が届くように電力値を設定する。
【0041】
図4は、図2に示した機能制限無線制御部108bから機能制限報知情報を送信する際の電波到達範囲を説明するための概念図である。
【0042】
携帯電話機100−1において通常の無線通信時には、電波到達範囲11が示す範囲内に情報が到達するように予め電力値が設定されている。一方、機能制限報知情報を送信する際には、機能制限無線制御部108bは、電波到達範囲11が示す範囲よりも狭い範囲である電波到達範囲12が示す範囲内に機能制限報知情報が到達するように電力値を設定する。つまり、機能制限無線制御部108bは、通常の無線通信時よりも小さな電力値で機能制限報知情報を送信する。
【0043】
図4を参照すると、電波到達範囲12が示す範囲内に存在する携帯電話機100−2は、携帯電話機100−1から送信された機能制限報知情報を受信できる。一方、電波到達範囲12が示す範囲外に存在する携帯電話機100−3は、携帯電話機100−1から送信された機能制限報知情報を受信できない。
【0044】
これにより、機能を制限する必要がある携帯電話機に対してのみ機能制限報知情報が送信されることになる。
【0045】
再度、図2を参照すると、機能制限制御部110は、予め設定された時間Tをカウントするタイマー(不図示)を備えている。機能制限制御部110は、機能制限報知部109または無線通信制御部108から出力された機能制限報知情報を受け付けると、タイマーをスタートさせる。そして、機能制限制御部110は、受け付けた機能制限報知情報に付与された種別情報が示す機能の制限を指示する制限指示を生成して端末制御部107へ出力する。その後、タイマーがタイムアウトすると、機能制限制御部110は、受け付けた機能制限報知情報に付与された種別情報が示す機能の制限の解除を指示する解除指示を生成して端末制御部107へ出力する。つまり、機能が制限された後、所定時間が経過すると、その制限が解除されることになる。なお、時間Tとしては、機能の制限を継続するのに適切な任意の時間を設定することができる。
【0046】
近距離通信部111は、例えばBluetooth(登録商標)やWi−Fi(登録商標)を用いて携帯電話機100−1の近傍の無線装置と無線による通信を行う。
【0047】
以下に、図1〜図4に示した携帯電話機100−1の動作について説明する。
【0048】
まず、図2に示した機能制限報知部109が機能制限報知情報を出力するまでの動作について説明する。
【0049】
図5は、図2に示した機能制限報知部109が機能制限報知情報を出力するまでの動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
携帯電話機100−1の使用者は、機能の制限が必要な状況であると判断すると、操作部101を操作することにより、機能の制限を指示する入力を行う。
【0051】
操作部101は、携帯電話機100−1の使用者からの入力を受け付ける(ステップS1)。
【0052】
端末制御部107は、操作部101が受け付けた入力内容を確認する(ステップS2)。
【0053】
ステップS2における確認の結果、入力内容が機能を制限することを指示する内容である場合、端末制御部107は、その入力内容に応じた種別情報が付与された機能制限要求を生成する(ステップS3)。
【0054】
そして、端末制御部107は、生成した機能制限要求を機能制限報知部109へ出力する。
【0055】
端末制御部107から出力された機能制限要求を受け付けた機能制限報知部109は、受け付けた機能制限要求に付与された種別情報が鳴動機能を示しているか、無線通信機能を示しているかを確認する(ステップS4)。
【0056】
ステップS4における確認の結果、受け付けた機能制限要求に付与された種別情報が鳴動機能を示している場合、機能制限報知部109は、鳴動機能を示す種別情報を付与した機能制限報知情報を生成する(ステップS5)。
【0057】
一方、ステップS4における確認の結果、受け付けた機能制限要求に付与された種別情報が無線通信機能を示している場合、機能制限報知部109は、無線通信機能を示す種別情報を付与した機能制限報知情報を生成する(ステップS6)。
【0058】
次に、機能制限報知部109は、ステップS5またはステップS6にて生成した機能制限報知情報を機能制限制御部110及び機能制限無線制御部108bへ出力する(ステップS7)。
【0059】
なお、ステップS2における確認の結果、入力内容が機能を制限することを指示する内容でない場合、端末制御部107は、その入力内容に応じた処理を実行する(ステップS8)。
【0060】
次に、図2に示した機能制限無線制御部108bが機能制限報知情報を受け付けたときの動作について説明する。
【0061】
図6は、図2に示した機能制限無線制御部108bが機能制限報知情報を受け付けたときの動作を説明するためのフローチャートである。
【0062】
機能制限無線制御部108bは、機能制限報知情報を受け付けたどうかを確認する(ステップS21)。
【0063】
ステップS21における確認の結果、機能制限報知情報を受け付けている場合、機能制限無線制御部108bは、図4を参照しながら説明した電波到達範囲12に機能制限報知情報が到達するように、電力値を設定する(ステップS22)。
【0064】
そして、機能制限無線制御部108bは、ステップS22にて設定された電力値で無線部108aを介して機能制限報知情報を送信する(ステップS23)。
【0065】
なお、ステップS21における確認の結果、機能制限報知情報を受け付けていない場合、機能制限報知情報を受け付けたかどうかの確認が繰り返し行われる。
【0066】
次に、図1〜図4に示した携帯電話機100−1において機能を制限するときの動作について説明する。
【0067】
図7は、図1〜図4に示した携帯電話機100−1において機能を制限するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【0068】
携帯電話機100−1において機能が制限されるのは、機能制限制御部110が機能制限報知情報を受け付けた場合である。機能制限制御部110が機能制限報知情報を受け付けるのは2通りの場合がある。1つは、無線通信制御部108から出力された機能制限報知情報を受け付けた場合、すなわち、他の携帯電話機から送信された機能制限報知情報を受信した場合である。もう1つは、機能制限報知部109から出力された機能制限を受け付けた場合である。
【0069】
機能制限制御部110は、機能制限報知情報を受け付けたかどうかを確認する(ステップS41)。
【0070】
ステップS41における確認の結果、機能制限報知情報を受け付けている場合、機能制限制御部110は、タイマーをスタートさせる(ステップS42)。
【0071】
次に、機能制限制御部110は、受け付けた機能制限報知情報に付与された種別情報を確認する(ステップS43)。
【0072】
ステップS43における確認の結果、受け付けた機能制限報知情報に付与された種別情報が鳴動機能を示している場合、機能制限制御部110は、マナーモードへの移行を指示する制限指示を生成する。そして、機能制限制御部110は、生成した制限指示を端末制御部107へ出力する。
【0073】
機能制限制御部110から出力された制限指示を受け付けた端末制御部107は、携帯電話機100−1をマナーモードに移行させる(ステップS44)。
【0074】
一方、ステップS43における確認の結果、受け付けた機能制限報知情報に付与された報知種別が無線通信機能を示している場合には、機能制限制御部110は、無線部108aの電源または携帯電話機100−1の電源をOFFにすることを指示する制限指示を生成する。そして、機能制限制御部110は、生成した制限指示を端末制御部107へ出力する。
【0075】
機能制限制御部110から出力された制限指示を受け付けた端末制御部107は、無線部108aの電源または携帯電話機100−1の電源をOFFにする(ステップS45)。
【0076】
そして、端末制御部107は、機能が制限されたことを使用者へ通知する(ステップS46)。具体的には、図3を参照しながら説明したように、表示部102や発光部105、振動部106を用いた通知が行われる。なお、携帯電話機100−1の電源をOFFにする場合には、通知を行った後、携帯電話機100−1の電源をOFFにすればよい。
【0077】
なお、ステップS41における確認の結果、機能制限報知情報を受け付けていない場合、機能制限報知情報を受け付けたかどうかの確認が繰り返し行われる。
【0078】
次に、図1〜図4に示した携帯電話機100−1において機能の制限を解除するときの動作について説明する。
【0079】
図8は、図1〜図4に示した携帯電話機100−1において機能の制限を解除するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【0080】
機能制限制御部110は、タイマーがタイムアウトしたかどうかを確認する(ステップS61)。
【0081】
ステップS61における確認の結果、タイマーがタイムアウトしている場合、機能制限制御部110は、機能制限報知部109または無線通信制御部108から受け付けた機能制御報知情報に付与された種別情報を確認する(ステップS62)。
【0082】
ステップS62における確認の結果、受け付けた機能制限報知情報に付与された報知種別が鳴動機能を示している場合、機能制限制御部110は、通常のマナーモードへの移行を指示する解除指示を生成する。そして、機能制限制御部110は、生成した解除指示を端末制御部107へ出力する。
【0083】
機能制限制御部110から出力された制限指示を受け付けた端末制御部107は、携帯電話機100−1を通常のマナーモードに移行させる(ステップS63)。
【0084】
一方、ステップS62における確認の結果、受け付けた機能制限報知情報に付与された報知種別が無線通信機能を示している場合には、機能制限制御部110は、無線部108aの電源または携帯電話機100−1の電源をONにすることを指示する解除指示を生成する。そして、機能制限制御部110は、生成した解除指示を端末制御部107へ出力する。
【0085】
機能制限制御部110から出力された解除指示を受け付けた端末制御部107は、無線部108aの電源または携帯電話機100−1の電源をONにする(ステップS64)。
【0086】
ステップS63またはステップS64の動作により、携帯電話機100−1は機能が制限される前の状態に復帰することになる。
【0087】
なお、ステップS61における確認の結果、タイマーがタイムアウトしていない場合、タイマーがタイムアウトしているかどうかの確認が繰り返し行われる。
【0088】
次に、図1に示した携帯無線装置群において、機能制限報知情報を送信する携帯電話機と、送信された機能制限情報を受信する携帯電話機との動作を時系列で比較しながら説明する。なお、ここでは、携帯電話機100−1〜100−3が図4に示した位置に存在し、携帯電話機100−1から機能制限報知情報が送信される場合について説明する。
【0089】
図9は、図1に示した携帯無線装置群において、機能制限報知情報を送信する携帯電話機と、送信された機能制限情報を受信する携帯電話機との動作を説明するための図である。ここでは、携帯電話機100−1の使用者が、電車に乗った後、ペースメーカーを装着した者が近くにいることを発見した場合について説明する。
【0090】
まず、携帯電話機100−1の使用者が時刻t1において電車に乗車する。
【0091】
次に、携帯電話機100−1の使用者が時刻t2においてペースメーカー使用者を発見する。
【0092】
そして、時刻t3において携帯電話機100−1の使用者が携帯電話機100−1の操作部101を操作することにより、無線通信機能の制限を指示する入力を行う。
【0093】
これにより、無線通信機能を示す種別情報が付与された機能制限報知情報が、携帯電話機100−1の内部(機能制限制御部110及び機能制限無線制御部108b)に出力され、また、携帯電話機100−1の外部へ送信される(ステップS101)。
【0094】
そして、携帯電話機100−1において、時刻t4にタイマーがスタートされ、無線通信機能が制限される(ステップS102)。
【0095】
一方、携帯電話機100−1から送信された機能制限報知情報が携帯電話機100−2にて受信される(ステップS201)。
【0096】
そして、携帯電話機100−2において、時刻t5にタイマーがスタートされ、無線通信機能が制限される(ステップS202)。
【0097】
なお、携帯電話機100−1から送信された機能制限報知情報が届く範囲外に存在する携帯電話機100−3は、機能制限報知情報を受信していないので動作に変化はない。
【0098】
次に、携帯電話機100−1,100−2のそれぞれにおいて、無線通信機能が制限されたことがそれぞれの使用者へ通知される(ステップS103、ステップS203)。
【0099】
そして、携帯電話機100−1,100−2のそれぞれにおいて、タイマーをスタートさせてから時間Tが経過すると、タイムアウトとなる。これにより、無線通信機能の制限が解除され(ステップS104、ステップS204)、携帯電話機100−1,100−2のそれぞれは、無線通信機能が制限される前の状態に復帰する。
【0100】
このように本実施形態において携帯電話機100−1〜100−3のそれぞれは、複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成する。
【0101】
そして、携帯電話機100−1〜100−3のそれぞれは、生成された機能制限報知情報が示す機能を制限する。
【0102】
そして、携帯電話機100−1〜100−3のそれぞれは、予め設定された電力値よりも小さな電力値で、生成された機能制限報知情報を送信する。
【0103】
また、携帯電話機100−1〜100−3のそれぞれは、外部から送信された機能制限報知情報を受信すると、受信した機能制限報知情報が示す機能を制限する。
【0104】
これにより、機能の制限が必要な携帯無線装置に対してだけ、状況に応じて機能を制限させることが可能となる。
【0105】
なお、機能を制限する必要がない状況において機能が制限されることを回避するため、1台だけではなく複数の携帯無線装置から機能制限報知情報を受信した場合にのみ、機能を制限するようにしてもよい。これにより、本当に機能を制限する必要がある状況下においてのみ、機能を制限できるという効果が期待できる。
【0106】
また、本実施形態では、機能を制限する必要がある状況下において、他の携帯無線装置の機能を制限させるために、他の携帯無線装置と通信を行う場合について説明した。このような目的だけではなく、例えば、満員電車などで移動困難な場合に非常事態が確認されたときに、その状況を周囲に報知して共有するというような利用方法も考えられる。
【0107】
また、本発明を携帯電話機に適用する場合においては、無線通信機能が制限された場合でも、緊急呼の発信をその制限から除外しておくことにより、緊急時に携帯電話機を利用できなくなるというようなことを回避できる。
【0108】
また、本実施形態では無線通信制御部108にて機能制限報知情報の送受信を行っているが、近傍の携帯無線装置との通信手段として近距離通信部111にて機能制限報知情報の送受信を行うようにしてもよい。これにより、近距離通信手段を実装している端末においても、本発明の機能制限動作を行う手段を設けることによって機能の制限を行うことが可能となる。
【0109】
なお、本発明においては、携帯無線装置内の処理は上述の専用のハードウェアにより実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを携帯無線装置にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを携帯無線装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。携帯無線装置にて読取可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、携帯無線装置に内蔵されたHDDなどを指す。
【符号の説明】
【0110】
11,12 電波到達範囲
100−1〜100−3 携帯電話機
101 操作部
102 表示部
103 記憶部
104 音声入出部
105 発光部
106 振動部
107 端末制御部
108 無線通信制御部
108a 無線部
108b 機能制限無線制御部
109 機能制限報知部
110 機能制限制御部
111 近距離通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を前記複数の機能の1つとする携帯無線装置であって、
前記複数の機能のそれぞれの制限と、該制限の解除とを行う端末制御部と、
前記複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成して出力する機能制限報知部と、
前記機能制限報知部から出力された機能制限報知情報を受け付けると、該受け付けた機能制限報知情報が示す機能の制限を前記端末制御部に指示する機能制限制御部と、
前記機能制限報知部から出力された機能制限報知情報を受け付けると、前記予め設定された電力値よりも小さな電力値で、前記受け付けた機能制限報知情報を送信し、外部から送信された前記機能制限報知情報を受信すると、該受信した機能制限報知情報を出力する無線通信制御部と、を有し、
前記機能制限制御部は、前記無線通信制御部から出力された機能制限報知情報を受け付けると、該受け付けた機能制限報知情報が示す機能の制限を前記端末制御部に指示する携帯無線装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯無線装置において、
前記機能制限制御部は、前記機能制限報知部または前記無線通信制御部から出力された機能制限報知情報を受け付けた後、予め設定された時間が経過すると、当該機能制限報知情報が示す機能の制限の解除を前記端末制御部に指示する携帯無線装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の携帯無線装置において、
前記複数の機能のいずれかが制限された場合にその旨を外部に通知するための通知部を有する携帯無線装置。
【請求項4】
複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を前記複数の機能の1つとする携帯無線装置における機能制限方法であって、
前記複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成する処理と、
前記予め設定された電力値よりも小さな電力値で、前記生成された機能制限報知情報を送信する処理と、
前記生成された機能制限報知情報が示す機能を制限する処理と、
外部から送信された前記機能制限報知情報を受信すると、該受信した機能制限報知情報が示す機能を制限する処理と、を有する機能制限方法。
【請求項5】
請求項4に記載の機能制限方法において、
前記複数の機能のいずれかが制限された後、所定時間が経過すると、当該制限を解除する処理をさらに有する機能制限方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の機能制限方法において、
前記複数の機能のいずれかが制限された場合にその旨を外部に通知する処理をさらに有する機能制限方法。
【請求項7】
複数の機能を備え、予め設定された電力値で無線通信を行う機能を前記複数の機能の1つとする携帯無線装置に、
前記複数の機能のいずれかの制限を指示する入力が受け付けられると、当該機能を示し、当該機能を制限させるための機能制限報知情報を生成する機能と、
前記予め設定された電力値よりも小さな電力値で、前記生成された機能制限報知情報を送信する機能と、
前記生成された機能制限報知情報が示す機能を制限する機能と、
外部から送信された前記機能制限報知情報を受信すると、該受信した機能制限報知情報が示す機能を制限する機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記携帯無線装置に、
前記複数の機能のいずれかが制限された後、所定時間が経過すると、当該制限を解除する機能をさらに実現させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記携帯無線装置に、
前記複数の機能のいずれかが制限された場合にその旨を外部に通知する機能をさらに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−74974(P2012−74974A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219049(P2010−219049)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】