説明

携帯端末、プログラム及び表示制御方法

【課題】表示中の画像の移動に関して直感的な操作を可能にしたキーボード等の操作部を備える携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末は、画像を表示する表示部と、複数のキーを有する操作部とを備え、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定し、特定した方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のキーを有するキーボード等の操作部を有する携帯端末に関し、特に、ユーザインタフェースの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯端末において、ユーザの操作性に関連した技術として、例えば特許文献1の技術が知られている。
特許文献1に係る携帯電話機は、タッチパネルを備え、タッチパネル上での直線を描くようなドラッグ操作を受け付けると、選択中の項目の変更やスクロール表示を行うことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−79802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る携帯電話機は、例えば上方向へのドラッグ操作を受け付けた場合に、上方向にスクロール表示を行うといったように、表示中の画像の移動に関して直感的な操作性を提供する点でメリットがあるが、操作部としてタッチパネルを備えるため、文字等の入力を行いにくいという問題がある。
この問題に対しては、特許文献1の携帯電話機を、キーボード等の操作部を備えるものにすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、この場合、ユーザがキーボード等で操作中に、スクロール表示等を行いたいと思ったときには、ユーザは、キーボード等に置いていた手をわざわざタッチパネルに移動させて操作する必要があり、面倒である。
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、表示中の画像の移動に関して直感的な操作を可能にしたキーボード等の操作部を備える携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、画像を表示する表示部と、複数のキーを有する操作部と、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定部と、前記特定部により特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るプログラムは、画像を表示する表示部及び複数のキーを有する操作部を備える携帯端末におけるプロセッサに、表示制御処理を行わせるためのプログラムであって、前記表示制御処理は、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る表示制御方法は、画像を表示する表示部及び複数のキーを有する操作部を備える携帯端末における表示制御方法であって、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備える本発明に係る携帯端末によれば、表示中の画像の移動に関して直感的な操作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機100の開状態の外観を示す正面図
【図2】携帯電話機100のユーザ操作例及び表示例を示す図
【図3】携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図
【図4】キー情報テーブル10のデータ構成及び内容例を示す図
【図5】操作部120の各キーの座標値を説明するための図
【図6】部分データ31及び部分データ32を示す図
【図7】携帯電話機100の制御処理を示すフローチャート
【図8】アイコンI1〜I8の表示例を示す図
【図9】携帯電話機100のユーザ操作例及び表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る携帯端末の実施の形態としての携帯電話機について説明する。
≪実施の形態≫
<装置構成>
まず、実施の形態に係る携帯電話機100の装置構成について説明する。
図1は、携帯電話機100の開状態の外観を示す正面図である。
【0012】
携帯電話機100は、第1筐体1と第2筐体2とが相対的に移動可能な、いわゆるスライド式の端末であり、第1筐体1に表示部110が配置され、第2筐体に操作部120が配置された例を示している。
携帯電話機100は、第2筐体2に第1筐体1が重ね合わさり、操作部120が視認できない閉状態から、第1筐体1と第2筐体2とをスライドさせることで、同図に示すように、第2筐体2に配置された操作部120が視認可能な開状態になる。
【0013】
図2に示すように、ユーザが、操作部120の複数のキーを順に押下するように、指を移動させる操作(以下、「スライド操作」という)を行うことにより、表示部110に表示されている画面のスクロール表示を携帯電話機100に行わせることができる。
なお、以下では、例えば、「Q」の文字が表すキーを「Qキー」と表現し、他のマークが表すキーについても同様に表現する。
【0014】
同図では、ユーザが、Gキー、Hキー、Jキー、Uキー、Iキーの順でキーを押下した様子を示しており、この指の動きに合わせて、表示部110に表示されている画面が図1に示す画面から、図2に示す画面にスクロール表示された例を示している。
ここで、スクロール表示とは、画面内に表示しているある表示物の表示位置を、ある方向へ動かして再表示することをいう。このことは、表示しようとするデータ(以下、「表示対象データ」という)のうち、実際に表示させるデータ(以下、「部分データ」という)を切り替えつつ、表示部110に再表示することと同義である。なお、この表示対象データは、一度にそのデータ全体を画面内に表示できないような比較的サイズの大きいデータである。
【0015】
なお、操作部120が有する複数のキーの種類、並び順、及び配置は一例であり、適宜変更することができる。
<機能構成>
図3は、携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
携帯電話機100は、同図に示すように、表示部110、操作部120、記憶部130、計時部140、及び制御部150を備える。
【0016】
なお、同図では、通常の携帯電話機が備える通信部、スピーカ、マイク等の図示は省略している。また、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部150の各機能は、上述のメモリに記憶されているプログラムを上述のプロセッサが実行することにより実現される。
表示部110は、LCD(Liquid Crystal Display)を含み、制御部150からの指示を受けて文字やアイコン等の画像をLCDに表示する回路である。各LCDの画素数(横×縦)は、一例として800×480画素であるものとする。なお、LCDの画素数は、800×480画素に限定されるものではなく、適宜、他の画素数とすることもできる。
【0017】
操作部120は、いわゆるQWERTY配列のキーボードであり、ユーザによりキーが押下された際及び押下されたキーが解放された際に、そのキーの識別情報(以下、「キーID」という)を含む信号(いわゆるスキャンコード)を制御部150に送出する機能を有する。
操作部120は、ユーザが、通常の文字入力操作を行う場合に用いられる他、上記スライド操作を行う場合に用いられる。
【0018】
記憶部130は、キー情報テーブル10及び入力リスト20を記憶するためのメモリ領域である。
ここで、キー情報テーブル10は、操作部120のキー毎に、そのキーのキーIDとそのキーの操作部120における位置を示す座標値とを記憶したテーブルである。
また、入力リスト20は、キーが押下された際に操作部120から受領したキーIDを受領した順に登録したリストである。即ち、入力リスト20には、キーが押下された順に、そのキーのキーIDが登録されることになる。
【0019】
計時部140は、制御部150の指示を受けて計時を開始し、所定時間(例えば、数100ミリ秒程度)を計時すると、その旨を制御部150に通知する機能を有し、例えば、タイマやカウンタにより実現される。
制御部150は、一般的な携帯電話機が有する機能の他、特に、ユーザによるスライド操作に応じて、表示部110の画面をスクロール表示する機能を有し、検出部151、特定部152、表示制御部153及び処理部154を含んで構成される。
【0020】
検出部151は、操作部120からキーIDを受領することで、ユーザによるキーの押下を検出する機能を有する。
また、検出部151は、ユーザがスライド操作を行うことで押下された複数のキーの各キーIDを、押下順に記憶部130の入力リスト20に登録する機能を有する。
ここで、スライド操作とは、直前に押下したキーの押下から上記所定時間(例えば、数100ミリ秒程度)以内に、その直前に押下したキーに隣接するキーを繰り返し押下する操作をいう。
【0021】
特定部152は、ユーザがスライド操作を行うことで押下された複数のキーのうちの第1のキーと、第1のキーより後に押下された第2のキーとに基づいて、第1のキーに対する第2のキーの方向及びと、第1のキーから第2のキーまでの距離を特定する機能を有する。
以下では、第1のキーが、ユーザがスライド操作を行うことで押下された複数のキーのうち最初に押下されたキーであり、第2のキーが、この複数のキーのうち最後に押下されたキーである場合を例に説明する。
【0022】
この方向と距離との特定方法については、後に詳細に説明する(図7参照)。
表示制御部153は、一般的な携帯電話機が有する表示制御機能の他、特に、ユーザによるスライド操作に応じて、表示部110に表示させる、表示対象データ中の部分データを逐次切り替えつつ、表示させる機能を有する。
なお、表示制御部153は、表示対象データにおいて、部分データを特定するための座標値(以下、「基準座標値」という)を上記記憶部130で管理しており、特定部152が特定した方向及び距離に応じて、この基準座標値を更新する機能を有する。
【0023】
表示制御部153が基準座標値を用いて部分データをどのように特定するかについては、後述する(図6参照)。
処理部154は、ユーザが通常の文字入力操作を行った際に、該当する文字の入力として処理する機能を有する。
<データ>
以下では、携帯電話機100が使用するデータについて、図4及び5を用いて説明する。
【0024】
<キー情報テーブル>
図4は、キー情報テーブル10のデータ構成及び内容例を示す図である。
キー情報テーブル10は、同図に示すように、操作部120のキー毎に、キーID11と、座標値12とを対応付けて構成される情報である。
ここで、キーID11は、キーの識別情報であり、この例では、操作部120のおけるキーの配置順に1ずつ増加させた数字を用いている。
【0025】
即ち、図1に示すように、左上に配置されるQキーのキーIDは「1」であり、同じ行の最右に配置されるPキーのキーIDは「10」、次の行の最左に配置されるAキーのキーIDは「11」であり、右下に配置される右カーソルキーのキーIDは「40」である。
座標値12は、対応するキーIDが示すキーの操作部120における位置を示す情報である。以下、各キーの座標値について、図5を用いて説明する。
【0026】
図5は、操作部120の各キーの座標値を説明するための図である。
同図に示すように、各キーの座標値は、操作部120のQキーの座標値を(0,0)として、右方向にx軸を、下方向にy軸を取った座標系における座標値である。
例えば、Wキーの座標値は(1,0)であり、Pキーの座標値は(9,0)であり、Fnキーの座標値は(0,3)であり、右カーソルキーの座標値は(9,3)である。
【0027】
図4は、例えば、キーIDが「1」であるキー(つまりQキー)の座標値は「(0,0)」であることを示している。
<部分データの特定方法>
以下、表示制御部153が、表示対象データにおいて部分データをどのように特定するかについて説明する。
【0028】
図6(a)は、図1の表示部110に表示されている画面に対応する部分データ31を示す図であり、図6(b)は、図2の表示部110に表示されている画面に対応する部分データ32を示す図である。
図6(a)及び(b)に示すように、基準座標値Pは、表示対象データ30の右下の頂点の座標値を(0,0)として、左方向にx軸を、上方向にy軸を取った座標系における座標値である。
【0029】
表示制御部153は、基準座標値Pを原点とした800×480サイズ分のデータ(同図の斜線部)を部分データ31と特定し、表示部110に表示させることで、図1の画面が表示部110に表示されることになる。
なお、この部分データ31のサイズは、表示部110の表示領域サイズと同一である。
図1の状態から、図2に示すようにユーザがスライド操作、つまり、図2の例では、Gキー、Hキー、Jキー、Uキー、Iキーの順でキーを押下していくと、特定部152が第1のキー(この例ではGキー)と、第2のキー(この例ではIキー)とに基づいて特定した方向及び距離に応じて、表示制御部153は、基準座標値Pを逐次更新し、更新後の基準座標値Pを原点として、上記同様に部分データを特定し、表示部110に表示させる。
【0030】
最終的に更新された基準座標値Pが示す位置は、図6(b)に示す位置となり、表示制御部153は、図6(b)に示す基準座標値Pを原点として、上記同様に部分データ32を特定し、表示部110に表示させることで、図2の画面が表示部110に表示されることになる。
なお、表示制御部153は、各表示対象データを、記憶部130上で管理しているものとする。
【0031】
<動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図7を用いて説明する。
図7は、携帯電話機100の制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す制御処理は、携帯電話機100の電源がONにされたときに、開始されるものとする。
【0032】
同図に示すように、携帯電話機100の制御部150は、記憶部130に記憶されている入力リスト20を初期化する(ステップS1)。即ち、制御部150は、入力リスト20に登録されている全てのキーIDを削除する。
続いて、制御部150の検出部151は、キーが押下されたか否かを判定し(ステップS2)、操作部120からキーIDを受領してない場合には、キーが押下されていないと判定し(ステップS2:NO)、再びステップS2の処理を行う。
【0033】
また、操作部120から、キーが押されたことを示すスキャンコード(メイクコード)を受領した場合には、検出部151は、キーが押下されたと判定し(ステップS2:YES)、特定部152は、記憶部130の入力リスト20に、受領したメイクコードに含まれているキーIDを登録し(ステップS3)、計時部140による計時を開始させる(ステップS4)。
【0034】
特定部152は、計時部140が所定時間を計時したか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、計時部140から所定時間を計時した旨の通知を受領していない場合には、所定時間を計時していないと判定し(ステップS5:NO)、計時部140から所定時間を計時した旨の通知を受領している場合には、所定時間を計時していると判定する(ステップS5:YES)。
【0035】
所定時間を計時していないと判定した場合(ステップS5:NO)、特定部152は、直前に押下されたキーと異なるキーが押下されたか否かを判定する(ステップS6)。
検出部151が操作部120からメイクコードを受領していない場合、又は、検出部151が操作部120から受領したメイクコードに含まれているキーIDが直前に受領したキーIDと同一である場合には、特定部152は、直前に押下されたキーと異なるキーが押下されていないと判定し(ステップS6:NO)、再びステップS5から処理を行う。
【0036】
また、検出部151が操作部120から受領したメイクコードに含まれているキーIDが、直前に受領したキーIDと異なる場合、特定部152は、直前に押下されたキーと異なるキーが押下されたと判定し(ステップS6:YES)、ステップS6で押下されたキーが、直前に押下されたキーに隣接するキーか否かを、記憶部130のキー情報テーブル10に基づいて判定する(ステップS7)。
【0037】
具体的には、特定部152は、ステップS6で押下されたキーのキーIDと、直前に押下されたキーのキーIDとに対応する各座標値をキー情報テーブル10から取得し、直前に押下されたキーからステップS6で押下されたキーまでの距離を算出する。特定部152は、算出した距離が2未満であるか否かによって、ステップS6で押下されたキーが、直前に押下されたキーに隣接するキーであるか否かを判定する。
【0038】
例えば、直前に押下されたキーがQキーで、ステップS6で押下されたキーがWキーである場合、図4に示すキー情報テーブル10の例では、Qキーの座標値は「(0,0)」で、Wキーの座標値は「(1,0)」であるため、QキーからWキーまでの距離は「1」である。従って、特定部152は、ステップS6で押下されたキーは、直前に押下されたキーに隣接するキーであると判定する(ステップS7:YES)。
【0039】
また、例えば、直前に押下されたキーがGキーで、ステップS6で押下されたキーがAキーである場合、図4に示すキー情報テーブル10の例では、Gキーの座標値は「(4,1)」で、Aキーの座標値は「(0,1)」であるため、GキーからAキーまでの距離は「4」である。従って、特定部152は、ステップS6で押下されたキーは、直前に押下されたキーに隣接しないキーであると判定する(ステップS7:NO)。
【0040】
ステップS6で押下されたキーが、直前に押下されたキーに隣接するキーであると判定した場合(ステップS7:YES)、特定部152は、ステップS6で受領したメイクコードに含まれているキーIDを入力リスト20に登録する(ステップS8)。
また、特定部152は、計時部140が計時している時間を計時開始時の初期値にリセットし、開始させ(ステップS9)、再びステップS5から処理を行う。
【0041】
ステップS5において所定時間を計時したと判定した場合(ステップS5:YES)、又はステップS7において、ステップS6で押下されたキーは、直前に押下されたキーに隣接しないキーであると判定した場合(ステップS7:NO)に、特定部152は、入力リスト20に登録されているキーIDの数が3以上であるか否かを判定する(ステップS10)。
【0042】
特定部152が入力リスト20に登録されているキーIDの数が3未満であると判定した場合(ステップS10:3未満)、処理部154は、直近のステップS1の処理後の各キーの押下を、通常の文字入力操作として処理する(ステップS11)。
即ち、処理部154は、特定部152がステップS5において所定時間を計時したと判定した場合(ステップS5:YES)には、入力リスト20に登録されている各キーIDが示すキーについて通常の文字入力操作として処理する。また、処理部154は、特定部152が、ステップS7において、ステップS6で押下されたキーは、直前に押下されたキーに隣接しないキーであると判定した場合(ステップS7:NO)には、入力リスト20に登録されている各キーIDが示すキー及びステップS6で押下されたキーについて通常の文字入力操作として処理する。
【0043】
ステップS11の処理が完了すると、制御部150は、再びステップS1から処理を行う。
一方、特定部152が入力リスト20に登録されているキーIDの数が3以上であると判定した場合(ステップS10:3以上)、特定部152は、第1及び第2のキーの座標値を、キー情報テーブル10から取得する(ステップS12)。
【0044】
この例では、特定部152は、入力リスト20に最初に登録されているキーIDが示すキーを第1のキーとし、入力リスト20に最後に登録されているキーIDが示すキーを第2のキーとする。
特定部152は、取得した第1及び第2のキーの座標値に基づいて、第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離を特定する(ステップS13)。
【0045】
具体的には、特定部152は、第2のキーの座標値(x2,y2)から、第1のキーの座標値(x1,y1)をxy成分毎に減じた値(x2−x1,y2−y1)を第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離として特定する。
なお、ここでは、第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離を、1つの座標値で表す例を用いて説明している。
【0046】
例えば、第1のキーがQキーであり、第2のキーがGキーである場合、図4に示すキー情報テーブル10の例では、第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離は、(4,1)と特定できる。
表示制御部153は、特定部152がステップS13で特定した方向及び距離と、現在の基準座標値P(px1,py1)の値とに基づいて、スクロール表示を行う(ステップS14)。
【0047】
具体的には、表示制御部153は、特定部152がステップS13で特定した方向及び距離と、現在の基準座標値P(px1,py1)の値とに基づいて、最終的に更新される基準座標値P(px2,py2)を算出し、現在の基準座標値P(px1,py1)から算出した基準座標値P(px2,py2)まで段階的に基準座標値Pを更新しながら、更新の都度、部分データを特定し、表示部110に表示させていく。
【0048】
ここで、px2は、例えば、「px1+nx×(x2−x1)」で表すことができ、py2は、例えば、「py1+ny×(y2−y1)」で表すことができる。但し、nx及びnyは所定の整数であり、同一でも異なる値でもよい。
ステップS14の処理を完了すると、制御部150は、再びステップS1から処理を行う。
【0049】
<具体例>
上述した携帯電話機100の動作について、図7に示すフローチャートに即して、図2に示す具体例を用いて説明する。
以下では、ユーザが、図2に示すように、スライド操作(Gキー、Hキー、Jキー、Uキー、Iキーの順でキーを押下)を行った場合を例に説明する。この例では、各キーの押下の時間間隔は、所定時間未満であるものとして説明する。
【0050】
図7に示すように、携帯電話機100の制御部150は、入力リスト20を初期化する(ステップS1)。
図2に示すように、ユーザがGキーを押下すると、検出部151は、操作部120から、Gキーのメイクコードを受領するので、キーが押下されたと判定し(ステップS2:YES)、特定部152は、受領したGキーのメイクコードに含まれているキーIDを入力リスト20に登録し(ステップS3)、計時部140による計時を開始させる(ステップS4)。
【0051】
続いて、この例では、計時部140から所定時間を計時した旨の通知を受領する前に、ユーザがHキーを押下するので、特定部152は、所定時間を計時していないと判定し(ステップS5:NO)、直前に押下されたキーと異なるキーが押下されたと判定し(ステップS6:YES)、ステップS6で押下されたキーは、直前に押下されたキーに隣接するキーであると判定する(ステップS7:YES)。
【0052】
また、特定部152は、ステップS6で受領したHキーのメイクコードに含まれているキーIDを入力リスト20に登録し(ステップS8)、計時部140が計時している時間を計時開始時の初期値にリセットし、開始させ(ステップS9)、再びステップS5から処理を行う。
以降、上記同様に、ステップS5〜S9の処理が繰り返し行い、入力リスト20には、Gキー、Hキーに続いて、Jキー、Uキー、IキーのキーIDが順に登録される。
【0053】
続いて、この例では、ユーザは、Iキーを押下した後、他のキーは押下しないので、特定部152は、計時部140から所定時間を計時した旨の通知を受領し、所定時間を計時したと判定する(ステップS5:YES)。
この例では、入力リスト20には、5個のキーIDが登録されているので、特定部152は、入力リスト20に登録されているキーIDの数が3以上であると判定し(ステップS10:3以上)、特定部152は、第1キー(この例では、Gキー)及び第2のキー(この例ではIキー)の座標値を、キー情報テーブル10から取得する(ステップS12)。
【0054】
特定部152は、第2のキーの座標値(7,0)から、第1のキーの座標値(4,1)をxy成分毎に減じた値(3,−1)を第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離として特定する(ステップS13)。
表示制御部153は、特定部152がステップS13で特定した方向及び距離(3,−1)と、現在の基準座標値P(px1,py1)の値とに基づいて、スクロール表示を行う(ステップS14)。
【0055】
即ち、表示制御部153は、最終的に更新される基準座標値P(px1+nx×3,py1−ny)を算出し、現在の基準座標値P(px1,py1)から算出した基準座標値P(px1+nx×3,py1−ny)まで段階的に基準座標値Pを更新しながら、更新の都度、部分データを特定し、表示部110に表示させていく。
例えば、nx及びnyを「10」とした場合、基準座標値を、現在の基準座標値P(px1,py1)から、(px1+3,py1−1)に更新し、更新後の基準座標値Pを原点として部分データを特定し、特定した部分データを表示部110に表示させる。また、更に基準座標値を、(px1+6,py1−2)に更新し、部分データの特定及び表示部110への表示を行う。このようにして基準座標値の更新と部分データの特定及び表示部110への表示を繰り返し、最終的には、基準座標値を(px1+30,py1−10)に更新し、部分データの特定及び表示部110への表示を行う。これにより、表示対象データをスクロール表示することができる。
【0056】
スクロール表示が完了すると、制御部150は、再びステップS1から処理を行う。
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯端末を、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りの携帯電話機に限られないことは勿論である。
【0057】
(1)実施の形態では、ユーザがスライド操作を行うことにより、携帯電話機100は、表示対象データをスクロール表示する例を説明したが、スクロール表示に限らず、画面中の一部の画像(アイコン等)のみを移動させるようにしてもよい。
図8は、表示部110へのアイコンI1〜I8の表示例を示す図であり、同図では、アイコンI4が現在選択されていることを示している。
【0058】
図9に示すように、ユーザが、DキーからJキーまでスライド操作を行った場合に、携帯電話機100は、図8で選択されていたアイコンI4のみを、図8のアイコンI4の位置から、図9のアイコンI4の位置に移動させて表示するようにしてもよい。
なお、この例では、アイコンを移動させる場合について説明したが、表示部110に表示中のカーソルを、ユーザのスライド操作に応じて移動させるようにしてもよい。
【0059】
また、この例では、8つのアイコンのうち、選択されている1つのアイコンを移動させる場合について説明したが、選択されている複数(8つ未満)のアイコンを、ユーザのスライド操作に応じて移動させるようにしてもよい。
また、この例では、複数のアイコンのうち、選択されているアイコンを移動させる場合について説明したが、表示部110に、いわゆる壁紙画像に重ねて表示されている1以上のアイコンを、壁紙画像は移動させることなく、ユーザのスライド操作に応じて移動させるようにしてもよい。
【0060】
(2)実施の形態では、第1のキーと第2のキーとは、ユーザのスライド操作により押下された複数のキーのうち最初と最後に押下されたキーであるものとして説明したが、これは、一例であり、ユーザのスライド操作により押下された複数のキーのうちの一つのキーを第1のキーとし、そのキーより後に押下されたキーを第2のキーとすればよい。
例えば、ユーザのスライド操作により押下された複数のキーのうちの最初に押下されたキーを第1のキーとし、その次に押下されたキーを第2のキーとしてもよい。
【0061】
また、実施の形態では、操作部の一例として、QWERTY配列のキーボードを用いて説明したが、QWERTY配列のキーボードに限らず、複数のキーを有するもの、例えば、他の配列のキーボードや、テンキー等であってもよい。また、各キーは、行列状に配置されていなくてもよい。
(3)実施の形態では、特定部152は、第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離を、1つの座標値により特定する例を説明したが、第1のキーに対する第2のキーの方向を表す値と、両キー間の距離を表す値とにより特定してもよい。
【0062】
例えば、第1のキーの座標値が(x1,y1)、第2のキーの座標値が(x2,y2)である場合に、第1のキーに対する第2のキーの方向を表す値は、θ=tan−1(y3/y3)と特定でき、両キー間の距離L=(x3+y31/2と特定できる。但し、x3=x2−x1、y3=y2−y1である。
(4)実施の形態では、表示部の一例としてLCDを用いて説明したが、LCDに限らず、有機EL(Electro-Luminescence)や、LCDとタッチセンサとからなるいわゆるタッチパネルであってもよい。
【0063】
また、実施の形態では、表示部110のLCDの形状は、略矩形状であるとして説明したが、例えば、円形状、その他多角形状であってもよい。その場合、部分データの形状は、LCDの形状に合わせる必要がある。
(5)実施の形態では、操作部120は、ユーザによりキー押下された際及び押下されたキーが解放された際に、そのキーのキーIDを含む信号(いわゆるスキャンコード)を制御部150に送出するものとして説明したが、単位時間(数10ms程度)毎に、押下されているキーのキーIDを含む信号(いわゆるメイクコード)を送出するようにしてもよい。
【0064】
(6)実施の形態では、ユーザが、3つ以上のキーが順に押下した場合において、直前のキーの押下から所定時間以内にそのキーに隣接するキーを押下したときに、携帯電話機100は、スクロール表示を行うものとして説明したが(図7参照)、スクロール表示を行う条件はこれに限らない。
例えば、ユーザが、複数のキーを順に押下した場合において、その複数のキーのうち、最初に押下されたキーが既定のキー(例えば、Gキー)であるときに、スクロール表示を行うようにしてもよい。
【0065】
また、例えば、携帯電話機100を、キーの押下を通常の文字入力として扱うモードと、キーの押下をスライド操作として扱うモード(以下、「スクロールモード」という)とを相互に切り替えるためのユーザ操作を受ける受付部を備えるように変形し、この変形に係る携帯電話機のモードがスクロールモードである場合において、複数のキーが押下されたときに、スクロール表示を行うようにしてもよい。
【0066】
また、実施の形態では、図7に示すように、スライド操作は、3つ以上のキーが押下されたことを条件とするものとして説明したが(ステップS10:3以上)、複数のキーであれば、2つ以上でも4つ以上でもよいし、押下すべきキーの数をユーザが設定できるようにしてもよい。
また、実施の形態では、図7に示すように、スライド操作として押下された複数のキーのうち、最後に押下されたキーの押下から所定時間以内に、そのキーと隣接しないキーが押下された場合にも、スクロール表示が行われるものとして説明した(ステップS7:NO、ステップS10:YES、ステップS14)。
【0067】
例えば、押下の時間間隔が所定時間未満になるように、Gキー、Hキー、Jキー、Pキーが順に押下された場合、GキーとHキー及びHキーとJキーはそれぞれ隣接するが、JキーとPキーとは隣接しないが、この場合もスクロール表示が行われる。
しかしながら、このような場合には、スクロール表示を行わないようにしてもよい。
具体的には、図7において、ステップS6で押下されたキーが、直前に押下されたキーに隣接するキーでない場合に(ステップS7:NO)、ステップS11の処理に進むようにしてもよい。
【0068】
(7)実施の形態では、ユーザが行ったスライド操作に基づいて特定した方向に、表示対象データをスクロール表示するものとして説明したが、表示部110の表示面における上下左右方向の中から、第1のキーに対する第2のキーの方向により近い方向にスクロール表示するようにしてもよい。
具体的には、図7のステップS14の処理を以下のように変更する必要がある。
【0069】
例えば、図7のステップS13で特定した第1のキーに対する第2のキーの方向及び両キー間の距離(x2−x1,y2−y1)のx成分の絶対値|x2−x1|とy成分の絶対値|y2−y1|を算出する。
算出したx成分の絶対値がy成分の絶対値以上である場合には、最終的に更新される基準座標値P(px2,py2)=(px1+nx×(x2−x1),py1)を算出し、一方、算出したx成分の絶対値がy成分の絶対値未満である場合には、最終的に更新される基準座標値P(px2,py2)=(px1,py1+ny×(y2−y1))を算出する。
【0070】
そして、実施の形態で説明したのと同様に、現在の基準座標値P(px1,py1)から算出した基準座標値P(px2,py2)まで段階的に基準座標値Pを更新しながら、更新の都度、部分データを特定し、表示部110に表示させていく。
(8)実施の形態では、表示しようとするデータ(表示対象データ)が予め生成されており、表示対象データ中の実際に表示させるデータ(部分データ)を逐次切り替えつつ表示部110に表示させることで、スクロール表示を実現するもの説明した。しかしながら、スクロール表示を実現するために従来から行われている手法、例えば、表示対象データが予め生成しておかずに、スライド操作に応じて部分データを逐次生成し、表示部にさせるようにしてもよい。
【0071】
(9)実施の形態に係る携帯電話機100は、スライド式の携帯電話機であるものとして説明したが、折りたたみ式、ストレートタイプ等、他の外観を有する携帯電話機であってもよい。
また、実施の形態では、図1に示すように、第1筐体1に表示部110が、第2筐体2に操作部120がそれぞれ配置されているものとして説明したが、表示部110及び操作部120の配置は適宜変更することができる。例えば、第1筐体1に表示部110及び操作部120が配置されてもよいし、第1筐体1に操作部120が、第2筐体2に表示部110が配置されていてもよい。
【0072】
(10)実施の形態において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
また、実施の形態及び変形例において説明した各構成要素は、携帯電話機が有するプロセッサと協働することにより、その機能を実現する。
【0073】
(11)実施の形態において説明した制御処理(図7参照)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより実施の形態で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【0074】
(12)実施の形態に係る携帯電話機に、上記(1)〜(11)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(13)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯端末の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の実施の形態に係る携帯端末は、画像を表示する表示部と、複数のキーを有する操作部と、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定部と、前記特定部により特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御部とを備える。
【0075】
また、本発明の実施の形態に係るプログラムは、画像を表示する表示部及び複数のキーを有する操作部を備える携帯端末におけるプロセッサに、表示制御処理を行わせるためのプログラムであって、前記表示制御処理は、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御ステップとを含む。
【0076】
また、本発明の実施の形態に係る表示制御方法は、画像を表示する表示部及び複数のキーを有する操作部を備える携帯端末における表示制御方法であって、複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定ステップと、前記特定ステップにより特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御ステップとを含む。
【0077】
この携帯端末は、ユーザが複数のキーを順に押下した場合に、その複数のキーのうちの第1のキーに対する第2のキーの方向に対応する方向に、複数のキーの押下の前に表示されていた画像を移動して表示させることができる。
従って、この携帯端末によれば、表示中の画像の移動に関して直感的な操作性を実現できる。
【0078】
(b)また、前記特定部は、更に前記第1のキーから前記第2のキーまでの距離を特定するものであり、前記表示制御部は、前記特定部が特定した距離に応じて、前記表示部に表示されていた画像の移動距離を決定し、決定した移動距離分、前記特定部により特定された方向と対応する方向に当該画像を移動して表示させることとしてもよい。
この携帯端末は、ユーザが複数のキーを順に押下した場合に、その複数のキーのうちの第1のキーに対する第2のキーの方向に対応する方向に、第1及び第2のキーの間の距離に応じた移動距離分、複数のキーの押下の前に表示されていた画像を移動して表示させることができる。
【0079】
従って、この携帯端末によれば、表示中の画像の移動に関して直感的な操作性を実現できる。
(c)また、前記特定部は、複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとの押下の時間間隔それぞれが所定時間未満であるときに、前記方向及び前記移動距離を特定することとしてもよい。
【0080】
この携帯端末は、ユーザが、複数のキーの押下の時間間隔それぞれが所定時間未満になるように、複数のキーを順に押下した場合に、その複数のキーの押下の前に表示されていた画像を移動して表示させる。
従って、ユーザは、押下しようとしている複数のキーの押下の時間間隔を調整することで、画像を移動して表示させるか否かを選択することが可能になる。
【0081】
(d)また、前記操作部における各キーには、それぞれ異なる文字が対応付けられており、前記特定部は、複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されているときに、順に押下された複数のキーのうち、最初に押下されたキーを第1のキーとし、最後に押下されたキーを第2のキーとして、前記方向及び前記移動距離を特定し、前記携帯端末は、更に複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されていないときには、押下された各キーに対応する文字の入力処理を行う処理部を備えることとしてもよい。
【0082】
ユーザが通常の文字入力操作を行おうと複数のキーを押下した場合に、押下された全てのキーと次に押下されたキーとが操作部上において隣接して配置されている可能性は、一般的に低いと考えられる。
この携帯端末は、ユーザが複数のキーを押下した場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが操作部上において隣接して配置されていないときには、押下された各キーに対応する文字の入力処理を行うので、ユーザが意図せずに、複数のキーの押下の前に表示されていた画像が移動して表示されてしまう可能性を低減できる。
【0083】
また、この携帯端末は、ユーザにより押下された複数のキーのうち、最初及び最後に押下されたキーに基づいて、複数のキーの押下の前に表示されていた画像の移動方向と移動距離とを特定する。従って、ユーザが、複数のキーの押下の途中で、意図しないキーを押下してしまったとしても、複数のキーの押下の前に表示されていた画像が、ユーザの意図しない位置に移動して表示されてしまう可能性を低減できる。
【0084】
(e)また、前記操作部における各キーには、それぞれ異なる文字が対応付けられており、前記携帯端末は、更に複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとの押下の時間間隔それぞれが所定時間未満でないときに、押下された各キーに対応する文字の入力処理を行う処理部を備えることとしてもよい。
この携帯端末は、ユーザが複数のキーを押下した場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとの押下の時間間隔それぞれが所定時間未満でないときに、押下された各キーに対応する文字の入力処理を行う。
【0085】
従って、ユーザは、押下しようとしている複数のキーのうちの2つのキーの押下の時間間隔を調整することで、通常の文字入力操作を行うのか、画像を移動して表示させるための操作を行うのかを選択することが可能になる。
(f)また、前記特定部は、複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されているときに、前記方向及び前記移動距離を特定することとしてもよい。
【0086】
この携帯端末は、ユーザが、直前に押下したキーに隣接するキーを繰り返し押下していった場合に、この複数のキーの押下の前に表示されていた画像を移動して表示させる。
ユーザが通常の文字入力操作を行おうと複数のキーを押下した場合に、押下された全てのキーと次に押下されたキーとが操作部上において隣接して配置されている可能性は一般的に低いと考えられるため、ユーザが意図せずに、複数のキーの押下の前に表示されていた画像が移動して表示されてしまう可能性を低減できる。
【0087】
(g)また、前記携帯端末は、更に前記操作部における複数のキー毎に、当該キーの位置を示す位置情報を記憶する記憶部を備え、前記特定部は、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されていることを、当該2つのキーについての各位置情報に基づいて判定することとしてもよい。
この携帯端末によれば、操作部が有する複数のキーそれぞれの位置情報(例えば座標値)を予め記憶させておくことで、ユーザが複数のキーを押下した場合に、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが操作部において隣接して配置されているかを判定できるので、容易に実装することができる。
【0088】
(h)また、前記特定部は、複数のキーが順に押下された場合において、当該複数のキーのうち最初に押下されたキーが既定のキーであるときに、前記方向及び前記移動距離を特定することとしてもよい。
この携帯端末は、ユーザが、既定のキーから順に複数のキーを押下した場合に、その複数のキーの押下の前に表示されていた画像を移動して表示させる。
【0089】
従って、例えば、通常の文字入力操作の際には、押下される可能性が低いキーを既定のキーとすることで、ユーザが通常の文字入力操作を行おうとしていたにもかかわらず、複数のキーの押下の前に表示されていた画像が移動して表示されてしまう可能性を低減できたり、ユーザが画像の移動の開始を、既定のキーから順に押下することで、意図的に行うことができる。
【0090】
(i)また、前記携帯端末は、前記特定部に前記方向及び前記移動距離を特定させるか否かを示す指示をユーザから受け付ける受付部を備え、前記特定部は、前記受付部により最後に受け付けられた指示が、前記方向及び前記移動距離を特定させることを示す指示である場合において、複数のキーが順に押下されたときに、前記方向及び前記移動距離を特定することとしてもよい。
【0091】
この携帯端末は、ユーザから方向及び移動距離を特定させる旨の指示を受け付けた場合において、複数のキーが押下されたときに、その複数のキーの押下の前に表示されていた画像を移動して表示させる。
従って、ユーザが意図せずに、複数のキーの押下の前に表示されていた画像が移動して表示されてしまう可能性を低減できる。
【0092】
(j)また、前記表示部は、複数の画像を表示しており、前記表示制御部は、前記特定部により特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた全ての画像を移動させることとしてもよい。
この携帯端末は、ユーザが複数のキーを順に押下した場合に、その複数のキーのうちの第1のキーに対する第2のキーの方向に対応する方向に、複数のキーの押下の前に表示されていた全ての画像を移動させること、つまり、いわゆるスクロール表示が可能になる。
【0093】
従って、この携帯端末によれば、表示中の画像の移動に関して直感的な操作性を実現できる。
(k)また、前記特定部は、前記表示部の表示面における上下左右方向の中から、第1のキーに対する第2のキーの方向により近い方向に特定することとしてもよい。
この携帯端末は、ユーザが複数のキーを順に押下した場合に、その複数のキーのうちの第1のキーに対する第2のキーの方向に応じて縦方向及び横方向のいずれかのスクロール表示が可能になる。
(14)本発明に係る表示制御方法は、例えば実施の形態に示した携帯電話機100により実現される(特に、図7を用いて示した制御処理の手順等参照)。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明に係る携帯端末は、ユーザが、キーボード等の操作部を用いた操作を行う場合に利用される。
【符号の説明】
【0095】
1 第1筐体
2 第2筐体
100 携帯電話機
110 表示部
120 操作部
130 記憶部
140 計時部
150 制御部
151 検出部
152 特定部
153 表示制御部
154 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
複数のキーを有する操作部と、
複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定部と、
前記特定部により特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御部とを備える
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記特定部は、更に
前記第1のキーから前記第2のキーまでの距離を特定するものであり、
前記表示制御部は、
前記特定部が特定した距離に応じて、前記表示部に表示されていた画像の移動距離を決定し、決定した移動距離分、前記特定部により特定された方向と対応する方向に当該画像を移動して表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記特定部は、
複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとの押下の時間間隔それぞれが所定時間未満であるときに、前記方向及び前記移動距離を特定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記操作部における各キーには、それぞれ異なる文字が対応付けられており、
前記特定部は、
複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されているときに、順に押下された複数のキーのうち、最初に押下されたキーを第1のキーとし、最後に押下されたキーを第2のキーとして、前記方向及び前記移動距離を特定し、
前記携帯端末は、更に
複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されていないときには、押下された各キーに対応する文字の入力処理を行う処理部を備える
ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記操作部における各キーには、それぞれ異なる文字が対応付けられており、
前記携帯端末は、更に
複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとの押下の時間間隔それぞれが所定時間未満でないときに、押下された各キーに対応する文字の入力処理を行う処理部を備える
ことを特徴とする請求項3記載の携帯端末。
【請求項6】
前記特定部は、
複数のキーが順に押下された場合において、押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されているときに、前記方向及び前記移動距離を特定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項7】
前記携帯端末は、更に
前記操作部における複数のキー毎に、当該キーの位置を示す位置情報を記憶する記憶部を備え、
前記特定部は、
押下された各キーそれぞれと次に押下されたキーとが前記操作部上において隣接して配置されていることを、当該2つのキーについての各位置情報に基づいて判定する
ことを特徴とする請求項4又は6記載の携帯端末。
【請求項8】
前記特定部は、
複数のキーが順に押下された場合において、当該複数のキーのうち最初に押下されたキーが既定のキーであるときに、前記方向及び前記移動距離を特定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項9】
前記携帯端末は、
前記特定部に前記方向及び前記移動距離を特定させるか否かを示す指示をユーザから受け付ける受付部を備え、
前記特定部は、
前記受付部により最後に受け付けられた指示が、前記方向及び前記移動距離を特定させることを示す指示である場合において、複数のキーが順に押下されたときに、前記方向及び前記移動距離を特定する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項10】
前記表示部は、複数の画像を表示しており、
前記表示制御部は、
前記特定部により特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた全ての画像を移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項11】
前記特定部は、
前記表示部の表示面における上下左右方向の中から、第1のキーに対する第2のキーの方向により近い方向に特定する
ことを特徴とする請求項9記載の携帯端末。
【請求項12】
画像を表示する表示部及び複数のキーを有する操作部を備える携帯端末におけるプロセッサに、表示制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記表示制御処理は、
複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御ステップとを含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
画像を表示する表示部及び複数のキーを有する操作部を備える携帯端末における表示制御方法であって、
複数のキーが順に押下された場合に、当該複数のキーのうち、第1のキーに対する、当該第1のキーよりも後に押下された第2のキーの方向を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにより特定された方向と対応する方向に、前記表示部に表示されていた画像を移動して表示させる表示制御ステップとを含む
ことを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113395(P2012−113395A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259871(P2010−259871)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】