説明

携帯端末、携帯端末制御方法および携帯端末制御プログラム

【課題】消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得すること。
【解決手段】携帯端末は、周辺端末認識部と、受信順序決定部と、着信通知受信部と、着信通知転送部とを備える。周辺端末認識部は、同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のうち自端末の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末を認識する。受信順序決定部は、周辺端末認識部により認識された周辺端末および自端末が基地局からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定する。着信通知受信部は、受信順序決定部により決定された受信順序で基地局からの着信通知を受信する。着信通知転送部は、着信通知受信部により受信された着信通知の着信先が周辺端末である場合に、当該着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、携帯端末制御方法および携帯端末制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの携帯端末では、消費電力の低減を図るために、待ち受け中に基地局からの着信通知を間欠的に受信することが行われている。かかる携帯端末は、待ち受け中に予め定められた周期で基地局からの着信通知を受信する。そして、携帯端末は、着信通知を受信すると、受信した着信通知の着信先が自端末であるか否かを判定する。そして、携帯端末は、着信通知の着信先が自端末である場合に、この着信通知に対する応答を基地局へ送出する。これにより、携帯端末と基地局との間のリンクが確立され、携帯端末の利用者は着信通知に対する通話を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−341755号公報
【特許文献2】特開2005−354634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来技術では、消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得することについては考慮されていない。
【0005】
すなわち、上記した従来技術では、基地局からの着信通知を受信する周期が一定であり、この周期が到来するたびに、基地局との無線通信を行うための電力が消費される。ここで、消費電力をさらに抑えるためには、基地局からの着信通知を受信する周期を延長することが考えられる。しかしながら、基地局からの着信通知を受信する周期を延長すると、着信通知の受信が遅延して着信通知を迅速に取得することができない恐れがある。すなわち、上記した従来技術では、消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得することが困難である。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得することができる携帯端末、携帯端末制御方法および携帯端末制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する携帯端末は、周辺端末認識部と、受信順序決定部と、着信通知受信部と、着信通知転送部とを備える。周辺端末認識部は、同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のうち自端末の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末を認識する。受信順序決定部は、前記周辺端末認識部により認識された周辺端末および自端末が前記基地局からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定する。着信通知受信部は、前記受信順序決定部により決定された受信順序で前記基地局からの着信通知を受信する。着信通知転送部は、前記着信通知受信部により受信された着信通知の着信先が前記周辺端末である場合に、当該着信通知を着信先となる前記周辺端末に対して転送する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する携帯端末の一つの態様によれば、消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施例に係る携帯端末を含む無線通信システムの構成例を説明するための図である。
【図2】図2は、本実施例に係る携帯端末の構成例を示す図である。
【図3】図3は、端末グループ情報テーブルの一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施例に係る携帯端末による着信通知の転送に関するメイン処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施例に係る携帯端末のグループ形成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施例に係る携帯端末の周辺端末応答受信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施例に係る携帯端末のグループ受信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施例に係る携帯端末のグループ通知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施例に係る携帯端末のグループ構成変更処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、電源断・グループ離脱通知の構成例を示す図である。
【図11】図11は、周辺端末探索通知の構成例を示す図である。
【図12】図12は、周辺端末応答の構成例を示す図である。
【図13】図13は、受信順序通知の構成例を示す図である。
【図14】図14は、暗号鍵交換通知の構成例を示す図である。
【図15】図15は、IMSI交換通知の構成例を示す図である。
【図16】図16は、着信通知の構成例を示す図である。
【図17】図17は、着信なし通知の構成例を示す図である。
【図18】図18は、Ack通知の構成例を示す図である。
【図19】図19は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。
【図20】図20は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。
【図21】図21は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。
【図22】図22は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。
【図23】図23は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。
【図24】図24は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。
【図25】図25は、携帯端末制御プログラムを実行する携帯端末のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する携帯端末、携帯端末制御方法および携帯端末制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
図1は、本実施例に係る携帯端末を含む無線通信システムの構成例を説明するための図である。図1に示すように、本実施例における無線通信システムは、基地局10と、携帯端末100a〜100nとを含む。
【0012】
基地局10は、携帯端末100a〜100nとの間で無線通信を行うための装置であり、無線通信を実行可能な範囲をカバーするセル10aを形成している。そして、基地局10は、セル10aに在圏する携帯端末100a〜100nとの間で無線通信を行う。例えば、基地局10は、上位装置から着信通知を受け取ると、受け取った着信通知を携帯端末100a〜100nに対して転送する。
【0013】
携帯端末100a〜100nは、同一の基地局10のセル10aに在圏する複数の携帯端末であり、例えば、携帯電話機である。そして、携帯端末100a〜100nは、基地局10との間で無線通信を行う。例えば、携帯端末100a〜100nは、予め定められた周期で基地局10からの着信通知を受信する。
【0014】
本実施例に係る携帯端末100a〜100nは、自端末の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末との間で端末グループを形成する。ここで、端末グループとは、基地局からの着信通知を順番に受信し、受信した着信通知を相互に転送する複数の携帯端末が属するグループを示す。図1に示した例では、携帯端末100a〜100nのうち携帯端末100a〜100cが同一の端末グループを形成するものとする。
【0015】
ここで、携帯端末100a〜100cが端末グループを形成して着信通知を転送する処理について説明する。なお、図1に示した例では、携帯端末100a〜100cは、相互に近距離の無線通信圏内に存在するものとする。
【0016】
かかる場合に、携帯端末100aは、同一の基地局10のセル10aに在圏する複数の携帯端末100a〜100nのうち自端末(携帯端末100a)の周辺に存在する携帯端末100b、100cを周辺端末として認識する。これにより、周辺端末である携帯端末100b、100cと携帯端末100aとが属する端末グループが形成される。
【0017】
例えば、携帯端末100aは、近距離無線通信を用いて、携帯端末100b、100cを周辺端末として認識する。同様に、携帯端末100bは、近距離無線通信を用いて、自端末(携帯端末100b)の周辺に存在する携帯端末100a、100cを周辺端末として認識する。また、携帯端末100cは、近距離無線通信を用いて、自端末(携帯端末100c)の周辺に存在する携帯端末100a、100bを周辺端末として認識する。
【0018】
そして、携帯端末100aは、端末グループに属する携帯端末100b、100cおよび自端末が基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定する。例えば、携帯端末100aは、携帯端末100a、100b、100cをそれぞれ1番、2番、3番とする受信順序を決定する。なお、決定された受信順序は、端末グループに属する携帯端末100a〜100cの間で共有される。
【0019】
そして、携帯端末100a〜100cは、決定された受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。例えば、携帯端末100aが1番目に基地局10からの着信通知を受信し、一方で、携帯端末100b、100cが基地局10からの着信通知の受信を停止する。次いで、携帯端末100bが2番目に基地局10からの着信通知を受信し、一方で、携帯端末100a、100cが基地局10からの着信通知の受信を停止する。次いで、携帯端末100cが3番目に基地局10からの着信通知を受信し、一方で、携帯端末100a、100bが基地局10からの着信通知の受信を停止する。
【0020】
そして、携帯端末100a〜100cは、受信した着信通知の着信先が周辺端末である場合に、着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する。例えば、携帯端末100aは、受信した着信通知の着信先が周辺端末としての携帯端末100bである場合に、この着信通知を着信先となる携帯端末100bに対して転送する。
【0021】
このように、携帯端末100a〜100cは、自端末の周辺に存在する周辺端末を認識し、認識した周辺端末と協働して順番に基地局10からの着信通知を受信し、着信通知の着信先が周辺端末である場合に、着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する。このため、携帯端末100a〜100cは、周辺端末が基地局10からの着信通知を受信する際に、自端末による着信通知の受信を停止することができ、基地局との無線通信を行うための電力を低減することができる。また、携帯端末100a〜100cは、受信した着信通知を相互に転送することができることから、着信通知の受信が遅延することもない。つまり、携帯端末100a〜100cは、消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得することができる。
【0022】
次に、図2を用いて、本実施例に係る携帯端末の構成について説明する。図2は、本実施例に係る携帯端末100の構成例を示す図である。なお、図2に示した携帯端末100は、図1に示した携帯端末100a〜100nに対応する。また、図2では、携帯端末100がBluetooth(登録商標)の規格に基づいて、近距離の無線通信を行う例について説明する。図2に示すように、携帯端末100は、入力部110と、出力部120と、無線通信部130と、近距離無線通信部140と、記憶部150と、制御部160とを有する。
【0023】
入力部110は、各種情報や操作指示を入力するための入力デバイスであり、例えば、数字および文字等を入力するテンキーやタッチパネルなどである。出力部120は、各種情報を出力する出力デバイスであり、例えば、液晶ディスプレイやスピーカである。
【0024】
無線通信部130は、基地局10との間で無線通信を行う。例えば、無線通信部130は、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)における通信や通話に関する処理を行うベースバンドプロセッサ等である。
【0025】
近距離無線通信部140は、他の携帯端末との間で定期的に近距離における通信を行う。近距離無線通信部140による無線方式は、無線通信部130の通信規格よりも消費電力が少ない近距離の通信規格であればいかなる規格であってもよい。例えば、近距離無線通信部140は、Bluetooth(登録商標)や、RFID(Radio Frequency IDentification)などの規格に基づいて、近距離の無線通信を行う。なお、図2に示した例では、近距離無線通信部140は、Bluetoothの規格に基づいて近距離無線通信を行うものとする。
【0026】
記憶部150は、制御部160による各種処理に必要なデータやプログラムを記憶する。図2に示す記憶部150は、端末グループ情報テーブル151を記憶する。端末グループ情報テーブル151は、近距離無線通信部140による近距離無線通信によって取得される情報などを記憶する。図3に、端末グループ情報テーブル151の一例を示す。図3に示すように、端末グループ情報テーブル151は、「受信番号」、「端末ID」、「製造番号」、「暗号鍵」、「応答フラグ」といった項目を有する。
【0027】
「受信番号」は、端末グループに属する携帯端末の製造番号が受信された順位であり、「1」が自端末に対応する順位を示し、「2」〜「n」が周辺に存在する携帯端末に対応する順位を示す。「端末ID」は、端末グループに属する携帯端末の固有の識別子(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)を示す。
【0028】
また、「製造番号」は、端末グループに属する携帯端末の製造番号を示す。また、「暗号鍵」は、IMSIの暗号化に用いられる暗号鍵を示す。また、「応答フラグ」は、IMSIで識別される携帯端末が端末グループに属するか否かを示すフラグであり、「1」が端末グループに属することを示し、「0」が端末グループに属さないことを示す。
【0029】
図2の説明に戻って、制御部160は、端末グループを形成して着信通知を転送する処理を行う。具体的には、制御部160は、周辺端末認識部161と、受信順序決定部162と、着信通知受信部163と、着信通知転送部164とを有する。
【0030】
周辺端末認識部161は、同一の基地局10のセルに在圏する複数の携帯端末のうち携帯端末100の周辺に存在する他の携帯端末を周辺端末として認識する。具体的には、周辺端末認識部161は、近距離無線通信部140によって定期的に行われる近距離無線通信を用いて、携帯端末100の周辺に存在する他の携帯端末を周辺端末として認識する。そして、周辺端末認識部161は、認識された周辺端末のIMSI、製造番号および暗号鍵(以下「IMSIなど」という)を端末グループ情報テーブル151に格納する。
【0031】
また、周辺端末認識部161は、携帯端末100の周辺に存在していた他の携帯端末のうち、周辺に存在しなくなった他の携帯端末を周辺端末から定期的に除外する。具体的には、周辺端末認識部161は、近距離無線通信部140によって定期的に行われる近距離無線通信を用いて、周辺に存在しなくなった他の携帯端末を不在端末として特定し、特定した不在端末のIMSIなどを端末グループ情報テーブル151から削除する。
【0032】
受信順序決定部162は、端末グループに属する周辺端末および携帯端末100が基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定する。具体的には、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151を参照して、受信番号で示される順位が上位である携帯端末から順番に基地局10からの着信通知を受信する受信順序を決定する。
【0033】
また、受信順序決定部162は、周辺端末認識部161により周辺端末から不在端末が除外された場合に、不在端末の除外後の周辺端末および携帯端末100が基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を再決定する。具体的には、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151を定期的に監視する。そして、受信順序決定部162は、不在端末が端末グループ情報テーブル151から削除されると、不在端末の削除された更新後の端末グループ情報テーブル151を参照する。そして、受信順序決定部162は、更新後の端末グループ情報テーブル151における受信番号で示される順位が上位である携帯端末から順番に基地局10からの着信通知を受信する受信順序を再決定する。
【0034】
着信通知受信部163は、受信順序決定部162により決定された受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。具体的には、着信通知受信部163は、携帯端末100のIMSIに対応する受信順番が受信順序決定部162により決定された受信順序と一致する場合に、基地局10からの着信通知を無線通信部130を介して受信する。一方、着信通知受信部163は、携帯端末100のIMSIに対応する受信順番が受信順序決定部162により決定された受信順序と一致しない場合には、基地局10からの着信通知の受信を停止する。なお、この場合には、着信通知受信部163は、近距離無線通信部140によって定期的に行われる近距離無線通信を用いて、周辺端末から送信される各種の通知を受信する。
【0035】
また、着信通知受信部163は、基地局10からの着信通知を受信する際に、緊急性を示すメッセージが基地局10に配信された旨を報知する報知情報を受信する。ここで、緊急性を示すメッセージは、基地局10のセルに在圏する複数の携帯端末に一斉に送信されるメッセージを指す。例えば、緊急性を示すメッセージは、災害の発生時に気象庁のCBC(Cell Broadcast Center)から基地局を介して複数の携帯端末に一斉に送信されるCBS(Cell Broadcast Service)メッセージやETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)メッセージである。また、報知情報は、緊急性を示すメッセージがCBSメッセージである場合には、BCCH Modification情報を指す。また、報知情報は、緊急性を示すメッセージがETWSメッセージである場合には、Primary Notification情報を指す。
【0036】
着信通知転送部164は、着信通知受信部163により受信された着信通知の着信先が周辺端末である場合に、着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する。具体的には、着信通知転送部164は、端末グループ情報テーブル151を参照して、着信先となる周辺端末を探索する。そして、着信通知転送部164は、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する。
【0037】
また、着信通知転送部164は、着信通知受信部163により報知情報が受信されると、受信された報知情報を周辺端末に対して一斉に転送する。
【0038】
なお、図2に示した制御部160における周辺端末認識部161、受信順序決定部162、着信通知受信部163および着信通知転送部164は、集積装置や電子回路に対応する。集積装置は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積装置である。電子回路は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0039】
また、図2に示した記憶部150における端末グループ情報テーブル151は、半導体メモリ素子や記憶装置に対応する。半導体メモリ素子は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子である。記憶装置は、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。
【0040】
次に、図4〜図9を用いて、本実施例に係る携帯端末100による処理手順について説明する。図4は、本実施例に係る携帯端末100による着信通知の転送に関するメイン処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、携帯端末100は、電源がONとなるまで待機する(ステップS101否定)。電源がONとなると(ステップS101肯定)、携帯端末100の制御部160は、間欠受信(DRX:Discontinuous Receive)カウンタに任意の値を設定する(ステップS102)。なお、DRXカウンタは、携帯端末100が基地局10からの着信通知を予め定められたDRX周期で間欠受信する回数を示す。
【0042】
そして、制御部160は、グループモードフラグに初期値として「0」を設定する(ステップS103)。なお、グループモードフラグは、携帯端末100が端末グループに属するか否かを示すフラグである。携帯端末100が端末グループに属さない場合には、グループモードフラグに「0」が設定され、携帯端末100が端末グループに属する場合に端末グループに属する全ての携帯端末数が設定される。
【0043】
そして、無線通信部130は、基地局10からの報知情報を受信したり、基地局10に対する位置登録要求を送信したりして、基地局10との通信を行うための準備を行う(ステップS104)。
【0044】
そして、制御部160は、携帯端末100が端末グループに属しているか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、制御部160は、グループモードフラグが「0」である場合に、携帯端末100が端末グループに属していないと判定し、グループモードフラグが「0」でない場合に、携帯端末100が端末グループに属していると判定する。
【0045】
そして、無線通信部130は、携帯端末100が端末グループに属していない場合には(ステップS105否定)、間欠受信を行い、基地局10からの着信通知を受信する(ステップS106)。その結果、無線通信部130は、圏外である場合には(ステップS107肯定)、処理をステップS104に戻す。一方、無線通信部130は、圏外でない場合には(ステップS107否定)、処理をステップS108のグループ形成処理に移行する。なお、このグループ形成処理は、図5に示す処理であり、後述する。
【0046】
ステップS108の処理を終えると、制御部160は、ユーザの操作を入力部110から受け付け(ステップS110)、電源がOFFでなければ(ステップS111否定)、処理をステップS105に戻す。一方、制御部160は、電源がOFFであれば(ステップS111肯定)、近距離無線通信部140を用いて電源断・グループ離脱通知を送出し(ステップS112)、メイン処理を終了する。電源断・グループ離脱通知は、携帯端末100が端末グループを離脱する旨を端末グループに属する複数の携帯端末に対して報知するための通知である。
【0047】
図10は、電源断・グループ離脱通知の構成例を示す図である。図10に示すように、電源断・グループ離脱通知は、ヘッダと端末IMSIとを含む。端末IMSIには、電源がOFFとなった携帯端末100のIMSIが格納される。
【0048】
図4に戻って、無線通信部130は、携帯端末100が端末グループに属する場合には(ステップS105肯定)、処理をステップS109のグループ受信処理に移行する。なお、グループ受信処理は、図7に示す処理であり、後述する。ステップS109の処理を終えると、制御部160は、処理をステップS110に移行する。
【0049】
続いて、図4に示したステップS108のグループ形成処理について、図5を参照して具体的に説明する。図5は、本実施例に係る携帯端末100のグループ形成処理の処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、グループ形成処理を開始すると、制御部160は、DRXカウンタをデクリメントし(ステップS201)、DRXカウンタが「0」であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0050】
そして、周辺端末認識部161は、DRXカウンタが「0」である場合には(ステップS202肯定)、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、周辺端末探索通知を送信する(ステップS203)。周辺端末探索通知は、携帯端末100の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末を探索するための通知である。
【0051】
図11は、周辺端末探索通知の構成例を示す図である。図11に示すように、周辺端末探索通知は、ヘッダとマスタ端末製造番号と基地局情報とを含む。マスタ端末製造番号には、携帯端末100の製造番号が格納される。基地局情報には、基地局10のIDや携帯端末100が在圏するセルの識別番号などが含まれる。
【0052】
図5に戻って、周辺端末通知を送信した周辺端末認識部161は、ステップS204の周辺端末応答処理を実行する。なお、周辺端末応答処理は、図6に示す処理であり、後述する。
【0053】
ステップS204の処理を終えると、受信順序決定部162は、周辺端末通知に対する周辺端末応答を受信したか否かを判定する(ステップS205)。すなわち、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151を参照して、応答フラグが「1」である携帯端末が存在する場合には、周辺端末応答を受信したと判定する。一方、受信順序決定部162は、応答フラグが「1」である携帯端末が存在しない場合には、周辺端末応答を受信していないと判定する。周辺端末応答は、携帯端末100からの周辺端末探索通知を受信した他の携帯端末が携帯端末100に対して応答するための通知である。
【0054】
図12は、周辺端末応答の構成例を示す図である。図12に示すように、周辺端末応答は、ヘッダとマスタ端末製造番号と応答端末製造番号とを含む。マスタ端末製造番号には、携帯端末100の製造番号が格納される。応答端末製造番号には、携帯端末100からの周辺端末探索応答を受信した他の携帯端末の製造番号が格納される。
【0055】
図5に戻って、受信順序決定部162は、周辺端末応答を受信していない場合には(ステップS205否定)、DRXカウンタに任意の値を設定し(ステップS206)、グループ形成処理を終了する。
【0056】
一方、受信順序決定部162は、周辺端末応答を受信した場合には(ステップS205肯定)、端末グループ情報テーブル151を参照して、受信順序通知を生成する(ステップS207)。受信順序通知は、端末グループに属する周辺端末および携帯端末100が基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を周辺端末に割り当てるための通知である。
【0057】
図13は、受信順序通知の構成例を示す図である。図13に示すように、受信順序通知は、ヘッダと端末数と受信順番と端末IMSIとを含む。端末数には、端末グループに属する周辺端末および携帯端末100を含む携帯端末の総数が格納される。受信順番には、端末グループに属する周辺端末および携帯端末100が基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を示す順番が格納される。端末IMSIには、端末グループに属する周辺端末および携帯端末100のIMSIが格納される。
【0058】
ここで、受信順序決定部162が受信順序通知を生成する処理を図13を用いて簡単に説明する。受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151を参照して、受信番号で示される順位が上位である携帯端末から順番に受信番号および端末IMSIを読み出して、図13に示した受信順序通知の対応する受信番号および端末IMSIに格納する。さらに、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151に含まれる端末IMSIの総数を計数して図13に示した受信順序通知の端末数に格納する。このようにして、受信順序通知が生成される。
【0059】
図5に戻って、受信順序通知を生成した受信順序決定部162は、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、受信順序通知を周辺端末に対して送信する(ステップS208)。そして、受信順序決定部162は、端末グループに属する全ての携帯端末数をグループモードフラグに設定し(ステップS209)、処理をステップS218に進める。
【0060】
一方、周辺端末認識部161は、DRXカウンタが「0」でない場合には(ステップS202否定)、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、周辺に存在する他の携帯端末から周辺端末探索通知を受信する。そして、周辺端末認識部161は、周辺端末探索通知を受信しなかった場合には(ステップS210否定)、グループ形成処理を終了する。
【0061】
一方、周辺端末認識部161は、周辺端末探索通知を受信した場合には(ステップS210肯定)、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、周辺端末応答を他の携帯端末に対して送信する(ステップS211)。そして、周辺端末認識部161は、他の携帯端末との間で暗号鍵交換通知を送受信する(ステップS212)。暗号鍵交換通知は、携帯端末100が自身のIMSIの暗号化に用いられる暗号鍵を他の携帯端末と交換するための通知である。
【0062】
図14は、暗号鍵交換通知の構成例を示す図である。図14に示すように、暗号鍵交換通知は、ヘッダと通知先端末製造番号と暗号鍵とを含む。通知先端末製造番号には、暗号鍵を交換する対象となる他の携帯端末の製造番号が格納される。暗号鍵には、携帯端末100のIMSIを暗号化するための暗号鍵が格納される。
【0063】
図5に戻って、周辺端末認識部161は、他の携帯端末との間でIMSI交換通知を送受信する(ステップS213)。IMSI交換通知は、他の携帯端末との間でIMSIを交換するための通知である。
【0064】
図15は、IMSI交換通知の構成例を示す図である。図15に示すように、IMSI交換通知は、ヘッダとマスタ端末IMSIとスレーブ端末IMSIとを含む。マスタ端末IMSIには、マスターモードとなった携帯端末100のIMSIが格納される。スレーブ端末IMSIには、スレーブモードとなった携帯端末100のIMSIが格納される。
【0065】
図5に戻って、周辺端末認識部161は、受信順序通知を受信し(ステップS214)、受信した受信順序通知に含まれるIMSIなどを端末グループ情報テーブル151に格納する(ステップS215)。そして、周辺端末認識部161は、端末グループに属する全ての携帯端末数をグループモードフラグに設定する(ステップS216)。
【0066】
そして、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151の最上位の受信番号を初期値として受信順番カウンタに設定する(ステップS217)。なお、受信順番カウンタは、端末グループに属する携帯端末のうち今回の間欠受信を行う携帯端末の受信順番を示す値である。
【0067】
そして、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151を参照して、携帯端末100のIMSIに対応する受信順番を抽出して自端末順位メモリに格納し(ステップS218)、グループ形成処理を終了する。なお、自端末順位メモリは、端末グループに属する携帯端末100が間欠受信を行う受信順番を記憶するためのメモリである。
【0068】
続いて、図5のステップS204の周辺端末応答受信処理について、図6を参照して具体的に説明する。図6は、本実施例に係る携帯端末100の周辺端末応答受信処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、周辺端末応答受信処理を開始すると、周辺端末認識部161は、周辺端末カウンタに初期値「0」を設定する(ステップS301)。なお、周辺端末カウンタは、携帯端末100の周辺に存在する他の携帯端末を計数するために用いられるカウンタ値を示す。
【0069】
そして、周辺端末認識部161は、周辺端末応答を受信した場合には(ステップS302肯定)、周辺端末カウンタをインクリメントする(ステップS303)。そして、周辺端末認識部161は、受信した周辺端末探索応答に含まれる他の携帯端末の製造番号を端末グループ情報テーブル151に格納する(ステップS304)。そして、周辺端末認識部161は、対応する応答フラグに、端末グループに属することを示す「1」を設定し(ステップS305)、処理をステップS302に戻す。
【0070】
一方、周辺端末認識部161は、周辺端末応答を受信しなかった場合には(ステップS302否定)、前回周辺端末応答を受信した時点から200msecが経過したか否かを判定する(ステップS306)。周辺端末認識部161は、前回周辺端末応答を受信した時点から200msecが経過してない場合には(ステップS306否定)、処理をステップS302に戻す。
【0071】
一方、周辺端末認識部161は、前回周辺端末応答を受信した時点から200msecが経過した場合には(ステップS306肯定)、端末グループ情報テーブル151を参照して、他の携帯端末との間で暗号鍵交換通知を送受信する(ステップS307)。そして、周辺端末認識部161は、他の携帯端末との間でIMSI交換通知を送受信する(ステップS308)。
【0072】
そして、周辺端末認識部161は、他の携帯端末との間で交換したIMSIに基づいて、他の携帯端末の受信タイミングを算出する(ステップS309)。なお、受信タイミングとは、携帯端末が基地局からの着信通知を受信するタイミングを指す。
【0073】
ここで、周辺端末認識部161が受信タイミングを算出する処理について説明する。本実施例における周辺端末認識部161は、他の携帯端末との間で交換したIMSIに基づいて、ページングチャネルおよびページング機会を受信タイミングとして算出する。ページングチャネルは、以下の式(1)により算出される。ページング機会は、以下の式(2)により算出される。
【0074】
ページングチャネル=IMSI mod K ・・・ (1)
ただし、Kは、他の携帯端末が在圏するセルにおいて送信されているページングチャネルの本数である。
【0075】
ページング機会={(IMSI/K) mod (DRX周期/PBP)}×PBP
+n×DRX周期+フレームオフセット ・・・ (2)
ただし、n=0、1、…、4095である。DRX周期は、無線フレーム単位で規定される間欠受信間隔(DRX間隔)である。PBPは、呼び出しブロック周期(Paging Block Periodicity)である。
【0076】
そして、周辺端末認識部161は、携帯端末100の受信タイミングと他の携帯端末の受信タイミングとが一致するか否かを判定する(ステップS310)。周辺端末認識部161は、携帯端末100の受信タイミングと他の携帯端末の受信タイミングとが一致しない場合には(ステップS310否定)、処理をステップS312へ進める。一方、周辺端末認識部161は、携帯端末100の受信タイミングと他の携帯端末の受信タイミングとが一致する場合には(ステップS310肯定)、IMSI交換通知に含まれる他の携帯端末のIMSIを端末グループ情報テーブル151に格納する(ステップS311)。
【0077】
そして、周辺端末認識部161は、周辺端末カウンタをデクリメントし(ステップS312)、周辺端末カウンタが「0」となったか否かを判定する(ステップS313)。周辺端末認識部161は、周辺端末カウンタが「0」となっていない場合には(ステップS313否定)、処理をステップS307に戻す。一方、周辺端末認識部161は、周辺端末カウンタが「0」となった場合には(ステップS313肯定)、周辺端末応答受信処理を終了する。
【0078】
続いて、図4のステップS109のグループ受信処理について、図7を参照して具体的に説明する。図7は、本実施例に係る携帯端末100のグループ受信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
図7に示すように、グループ受信処理を開始すると、着信通知受信部163は、受信順番カウンタが自端末順位メモリに格納された携帯端末100の受信順番と一致するか否かを判定する(ステップS401)。着信通知受信部163は、受信順番カウンタが自端末順位メモリに格納された携帯端末100の受信順番と一致する場合には(ステップS401肯定)、間欠受信を行い、基地局10からの着信通知を無線通信部130を介して受信する(ステップS402)。そして、着信通知受信部163は、処理をステップS403のグループ通知処理に移行する。なお、このグループ通知処理は、図8に示す処理であり、後述する。
【0080】
ステップS403の処理を終えると、周辺端末認識部161は、端末グループ情報テーブル151を参照して、端末グループの構成が変更されたか否かを判定する(ステップS404)。具体的には、周辺端末認識部161は、端末グループ情報テーブルを参照して、応答フラグが「0」である携帯端末が少なくとも一つ存在する場合に、端末グループの構成が変更されたと判定する。一方、周辺端末認識部161は、応答フラグが「0」である携帯端末が存在しない場合に、端末グループの構成が変更されていないと判定する。
【0081】
そして、周辺端末認識部161は、端末グループの構成が変更された場合には(ステップS404肯定)、処理をステップS405のグループ構成変更処理に移行する。なお、このグループ構成変更処理は、図9に示す処理であり、後述する。一方、周辺端末認識部161は、端末グループの構成が変更されていない場合には(ステップS404否定)、グループ受信処理を終了する。
【0082】
一方、制御部160は、受信順番カウンタが自端末順位メモリに格納された携帯端末100の受信順番と一致しない場合には(ステップS401否定)、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて各種の通知を受信する(ステップS406)。
【0083】
そして、制御部160は、近距離無線通信部140を介して周辺端末から報知情報を受信した場合には(ステップS409肯定)、基地局10に配信された緊急性を示すメッセージを受信するためのメッセージ受信処理を行う(ステップS407)。例えば、基地局10に配信された緊急性を示すメッセージがCBSメッセージである場合には、制御部160は、近距離無線通信部140を介して周辺端末から報知情報としてのBCCH Modification情報を受信する。そして、制御部160は、基地局10によりCTCH(Common Traffic Channel)上に送信されるCBSメッセージを無線通信部130を介して受信する。
【0084】
また、例えば、基地局10に配信された緊急性を示すメッセージがETWSメッセージである場合には、制御部160は、近距離無線通信部140を介して周辺端末から報知情報としてのPrimary Notification情報を受信する。そして、制御部160は、基地局10によりCTCH上に送信されるETWSメッセージを無線通信部130を介して受信する。
【0085】
そして、制御部160は、グループモードフラグを初期化し(ステップS408)、グループ受信処理を終了する。
【0086】
一方、制御部160は、近距離無線通信部140を介して周辺端末から着信通知を受信した場合には(ステップS409否定、ステップS410肯定)、着信処理を実行する(ステップS411)。具体的には、制御部160は受信した着信通知に対する応答を、着信通知を受信した時点から所定時間(例えば、300sec)以内に基地局10へ送出する。これにより、携帯端末100と基地局10との間のリンクが確立される。なお、着信通知は、基地局10からの着信通知の着信先となる周辺端末に対して当該着信通知を転送するための通知である。
【0087】
図16は、着信通知の構成例を示す図である。図16に示すように、着信通知は、ヘッダと着信端末IMSIと受信レベルとを含む。着信端末IMSIには、基地局10からの着信通知の着信先となる周辺端末のIMSIが格納される。受信レベルには、基地局10から発せられる電波の受信レベルが格納される。
【0088】
図7に戻って、制御部160は、着信処理を実行すると、グループモードフラグを初期化し(ステップS408)、グループ受信処理を終了する。
【0089】
一方、制御部160は、近距離無線通信部140を介して周辺端末から電源断・グループ離脱通知を受信した場合には(ステップS410否定、ステップS412肯定)、処理をステップS416に移行する。
【0090】
また、制御部160は、近距離無線通信部140を介して周辺端末から着信なし通知を受信した場合には(ステップS413肯定)、周辺端末に対してAck通知を送信する(ステップS414)。着信なし通知は、基地局10からの着信通知がなかった場合に周辺端末に対してその旨を報知するための通知である。Ack通知は、周辺端末が着信なし通知に対して応答するための通知である。
【0091】
図17は、着信なし通知の構成例を示す図である。図17に示すように、着信なし通知は、ヘッダとマスタ端末IMSIと受信レベルと電界フラグとを含む。マスタ端末IMSIには、マスターモードとなった他の携帯端末のIMSIが格納される。受信レベルには、基地局10から発せられる電波の受信レベルが格納される。電界フラグには、受信レベルが閾値より大きい場合に電波の受信レベルが正常である旨を示す「1」が格納され、受信レベルが閾値以下である場合に電波の受信レベルが異常である旨を示す「0」が格納される。
【0092】
図18は、Ack通知の構成例を示す図である。図18に示すように、Ack通知は、ヘッダとマスタ端末IMSIとスレーブ端末IMSIとを含む。マスタ端末IMSIには、マスターモードとなった携帯端末100のIMSIが格納される。スレーブ端末IMSIには、スレーブモードとなった携帯端末100のIMSIが格納される。
【0093】
図7に戻って、制御部160は、着信なし通知を受信後にAck通知を送信すると、受信した着信なし通知の電界フラグが「1」であるか否かを判定する(ステップS415)。制御部160は、着信なし通知の電界フラグが「1」である場合には(ステップS415肯定)、処理をステップS416に移行する。一方、制御部160は、着信なし通知の電界フラグが「0」である場合には(ステップS415否定)、グループモードフラグを初期化し(ステップS408)、グループ受信処理を終了する。
【0094】
ステップS416において、制御部160は、近距離無線通信部140を介して受信順序通知を受信したか否かを判定する(ステップS416)。制御部160は、受信順序通知を受信していない場合には(ステップS416否定)、処理をステップS419へ進める。一方、制御部160は、受信順序通知を受信した場合には(ステップS416肯定)、受信した受信順序通知に含まれるIMSIなどを端末グループ情報テーブル151に格納して、端末グループ情報テーブル151を更新する(ステップS417)。そして、受信順序決定部162は、端末グループ情報テーブル151を参照して、携帯端末100のIMSIに対応する受信順番を抽出して自端末順位メモリに格納し、自端末順位メモリを更新する(ステップS418)。
【0095】
そして、制御部160は、受信順番カウンタをインクリメントし(ステップS419)、受信順番カウンタが端末グループに属する全ての携帯端末数以上となったか否かを判定する(ステップS420)。制御部160は、受信順番カウンタが端末グループに属する全ての携帯端末数以上となった場合には(ステップS420肯定)、端末グループ情報テーブルの最上位の受信順番を受信順番カウンタに設定し(ステップS421)、グループ受信処理を終了する。一方、制御部160は、受信順番カウンタが端末グループに属する全ての携帯端末数未満である場合には(ステップS420否定)、そのままグループ受信処理を終了する。
【0096】
続いて、図7に示したステップS403のグループ通知処理について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、本実施例に係る携帯端末100のグループ通知処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、グループ通知処理を開始すると、着信通知受信部163は、無線通信部130を介して報知情報を受信する(ステップS501)。例えば、緊急性を示すメッセージとしてCBSメッセージが基地局10に配信されている場合には、着信通知受信部163は、無線通信部130を介してBCCH Modification情報を受信する。また、例えば、緊急性を示すメッセージとしてETWSメッセージが基地局10に配信されている場合には、着信通知受信部163は、無線通信部130を介してPrimary Notification情報を受信する。
【0097】
そして、着信通知転送部164は、着信通知受信部163により報知情報が受信された場合には(ステップS502肯定)、受信された報知情報を端末グループ情報テーブル151に格納された周辺端末に対して一斉に転送する(ステップS503)。そして、制御部160は、基地局10に配信された緊急性を示すメッセージを受信するためのメッセージ受信処理を行い(ステップS504)、処理をステップS505に進める。
【0098】
一方、着信通知転送部164は、着信通知受信部163により報知情報が受信されなかった場合には(ステップS502否定)、着信通知受信部163により基地局10からの着信通知が受信されたか否かを判定する(ステップS505)。
【0099】
そして、着信通知転送部164は、着信通知受信部163により基地局10からの着信通知が受信されなかった場合には(ステップS505否定)、基地局10からの電波の受信レベルを測定する(ステップS506)。そして、着信通知転送部164は、受信レベルが閾値よりも大きい場合に(ステップS507肯定)、正常を示す「1」が電界フラグに設定された着信なし通知を、端末グループ情報テーブル151に格納された周辺端末に対して送信する(ステップS508)。その後、着信通知転送部164は、処理をステップS519に進める。一方、着信通知転送部164は、受信レベルが閾値以下である場合に(ステップS507否定)、異常を示す「0」が電界フラグに設定された着信なし通知を、端末グループ情報テーブル151に格納された周辺端末に対して送信する(ステップS509)。その後、着信通知転送部164は、グループモードフラグを初期化し(ステップS510)、処理をステップS519に進める。
【0100】
一方、着信通知転送部164は、着信通知受信部163により基地局10からの着信通知が受信された場合には(ステップS505肯定)、受信された着信通知の着信先が周辺端末であるか否かを判定する(ステップS511)。具体的には、着信通知転送部164は、着信通知の着信先である携帯端末のIMSIが端末グループ情報テーブル151に格納された周辺端末のIMSIと一致する場合に、着信通知の着信先が周辺端末であると判定する。一方、着信通知転送部164は、着信通知の着信先である携帯端末のIMSIが端末グループ情報テーブル151に格納された携帯端末100のIMSIと一致する場合に、着信通知の着信先が周辺端末でないと判定する。
【0101】
そして、着信通知転送部164は、着信通知の着信先が周辺端末である場合には(ステップS511肯定)、着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する(ステップS512)。具体的には、着信通知転送部164は、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、着信通知を着信先となる周辺端末に対して転送する。そして、着信通知転送部164は、端末グループ情報テーブル151を参照して、着信先となった周辺端末に対応する応答フラグに「0」を設定し(ステップS513)、他の周辺端末に対して着信なし通知を送信する(ステップS518)。
【0102】
一方、着信通知転送部164は、着信通知の着信先が周辺端末でない場合には(ステップS511否定)、すなわち、着信通知の着信先が自端末である場合には、着信処理を実行する(ステップS514)。そして、着信通知転送部164は、周辺端末に対してグループ離脱通知を送信する(ステップS515)。そして、着信通知転送部164は、端末グループ情報テーブル151を参照して、携帯端末100に対応する応答フラグに「0」を設定し(ステップS516)、グループモードフラグを初期化し(ステップS517)、処理をステップS518に進める。
【0103】
ステップS519において、周辺端末認識部161は、近距離無線通信部140を介して周辺端末からのAck通知を受信する(ステップS519)。そして、周辺端末認識部161は、端末グループ情報テーブル151を参照して、Ack通知を受信した周辺端末に対応する応答フラグに「1」を設定し(ステップS520)、グループ通知処理を終了する。
【0104】
続いて、図7に示したステップS405のグループ構成変更処理について、図9を参照して具体的に説明する。図9は、本実施例に係る携帯端末100のグループ構成変更処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0105】
図9に示すように、グループ構成変更処理を開始すると、周辺端末認識部161は、応答フラグが「0」であるIMSIなどを端末グループ情報テーブル151から削除する(ステップS601)。そして、周辺端末認識部161は、端末グループ情報テーブル151を参照して、端末グループに属する全ての携帯端末数をグループモードフラグに再設定する(ステップS602)。そして、周辺端末認識部161は、端末グループ情報テーブル151を参照して、受信順序通知を再生成する(ステップS603)。そして、周辺端末認識部161は、近距離無線通信部140により行われる近距離無線通信を用いて、受信順序通知を周辺端末に対して再送信し(ステップS604)、グループ構成変更処理を終了する。
【0106】
次に、図19〜図24を用いて、本実施例に係る携帯端末の適用例について説明する。図19〜図24は、本実施例に係る携帯端末の適用例を説明するための図である。なお、図19〜図22では、図1に示した携帯端末100a〜100cが端末グループを形成して着信通知を転送する処理の一連の流れを示す。また、携帯端末100a〜100cは、本実施例に係る携帯端末100と同様の機能を有するものとする。
【0107】
図19に示すように、携帯端末100a〜100cは、それぞれ、電源がONとなると、予め定められたDRX周期で基地局10からの着信通知を間欠受信する。携帯端末100a〜100cは、前回の間欠受信を行ってから次回の間欠受信を行うまでの期間に、近距離無線通信の受信モード(以下「スレーブモード」という)に設定される。そして、携帯端末100aは、任意の回数だけ間欠受信を行うと、近距離無線通信の送信モード(以下「マスターモード」という)に切り替わる。
【0108】
そして、マスターモードとなった携帯端末100aは、近距離無線通信を用いて、周辺に存在する携帯端末100b、100cを周辺端末として認識する。
【0109】
具体的には、マスターモードとなった携帯端末100aは、近距離無線通信を用いて、周辺端末を探索するための周辺端末探索通知を送信する。周辺端末探索通知を受信した携帯端末100b、100cは、その応答である周辺端末応答を携帯端末100aに対して送信する。周辺端末応答を受信した携帯端末100aは、暗号化に用いられる暗号鍵を含む暗号鍵交換通知を携帯端末100b、100cと交換する。暗号鍵を交換した携帯端末100aは、暗号鍵を用いて暗号化した固有の識別子であるIMSIを含むIMSI交換通知を携帯端末100b、100cと交換する。IMSIを交換した携帯端末100aは、交換したIMSIで識別される携帯端末100b、100cを周辺端末として認識する。これにより、周辺端末である携帯端末100b、100cと携帯端末100aとが属する端末グループが形成される。
【0110】
その後、携帯端末100aは、端末グループに属する携帯端末100b、100cおよび自端末が基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定する。ここでは、携帯端末100aは、携帯端末100a、100b、100cをそれぞれ1番、2番、3番とする受信順序を決定したものとする。そして、携帯端末100aは、決定した受信順序を含む受信順序通知を周辺端末である携帯端末100b、100cに対して送信する。これにより、端末グループに属する携帯端末100a〜100cでは、基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序が共有される。
【0111】
そして、端末グループに属する携帯端末100a〜100cは、図20に示されるように、共有される受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。すなわち、携帯端末100aが1番目に基地局10からの着信通知を受信する。しかし、基地局10からの着信通知がなかったため、携帯端末100aは、基地局10から発せられる電波の受信レベルを測定し、その測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100b、100cに送信する。着信なし通知を受信した携帯端末100b、100cは、Ack通知を携帯端末100aに送信する。
【0112】
次いで、携帯端末100bが2番目に基地局10からの着信通知を受信する。しかし、基地局10からの着信通知がなかったため、携帯端末100bは、基地局10から発せられる電波の受信レベルを測定し、その測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100a、100cに送信する。着信なし通知を受信した携帯端末100a、100cは、Ack通知を携帯端末100bに送信する。
【0113】
次いで、携帯端末100cが3番目に基地局10からの着信通知を受信する。しかし、基地局10からの着信通知がなかったため、携帯端末100cは、基地局10から発せられる電波の受信レベルを測定し、その測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100a、100bに送信する。着信なし通知を受信した携帯端末100a、100bは、Ack通知を携帯端末100cに送信する。
【0114】
そして、端末グループに属する全ての携帯端末100a〜100cが間欠受信を行ったので、受信順序が1番目である携帯端末100aが、基地局10からの着信通知を再度受信する。そして、携帯端末100aは、受信された着信通知の着信先が周辺端末である携帯端末100bであったため、当該の着信通知を着信先となる携帯端末100bに対して転送する。そして、着信通知を受信した携帯端末100bは、基地局10に対する着信処理を実行する。これにより、携帯端末100bの利用者は、携帯端末100bへの着信通知に対する通話を開始することができる。
【0115】
また、上記の図20の説明では、携帯端末100aにより受信された着信通知の着信先が周辺端末である場合を説明したが、携帯端末100aにより受信された着信通知の着信先が自端末である場合も想定される。図21では、携帯端末100aにより受信された着信通知の着信先が自端末である例について説明する。
【0116】
図21に示すように、携帯端末100aは、端末グループに属する全ての携帯端末100a〜100cが間欠受信を行った後に、基地局10からの着信通知を再度受信する。そして、携帯端末100aは、受信された着信通知の着信先が自端末であったため、周辺端末に対して携帯端末100aが端末グループを離脱する旨をグループ離脱通知を用いて通知する。そして、携帯端末100aは、着信なし通知を周辺端末である携帯端末100b、100cに送信する。着信なし通知を受信した携帯端末100b、100cは、Ack通知を携帯端末100aに送信する。
【0117】
Ack通知を受信した携帯端末100aは、端末グループから自端末を除外し、自端末を除外した端末グループに属する携帯端末100b、100cが基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を新たに決定する。ここでは、携帯端末100aは、携帯端末100b、100cをそれぞれ1番、2番とする受信順序を新たに決定したものとする。
【0118】
そして、携帯端末100aは、新たに決定した受信順序を含む受信順序通知を周辺端末である携帯端末100b、100cに対して送信する。これにより、端末グループに属する携帯端末100b、100cでは、基地局10からの着信通知を順番に受信する新たな受信順序が共有される。
【0119】
そして、着信通知を受信した携帯端末100aは、基地局10に対する着信処理を実行する。これにより、携帯端末100aの利用者は、携帯端末100aへの着信通知に対する通話を開始することができる。
【0120】
また、上記の図19の説明では、携帯端末100a〜100cが属する端末グループが形成される場合を説明したが、一度形成された端末グループが何らかの理由で解散される場合も想定される。図22では、一度形成された端末グループが解散される例について説明する。
【0121】
図22に示すように、端末グループに属する携帯端末100a〜100cは、図22に示されるように、共有される受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。すなわち、携帯端末100aが1番目に基地局10からの着信通知を受信する。しかし、基地局10からの着信通知がなかったため、携帯端末100aは、基地局10から発せられる電波の受信レベルを測定し、その測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100b、100cに送信する。着信なし通知を受信した携帯端末100b、100cは、Ack通知を携帯端末100aに送信する。
【0122】
次いで、携帯端末100bが2番目に基地局10からの着信通知を受信する。しかし、基地局10からの着信通知がなかったため、携帯端末100bは、基地局10から発せられる電波の受信レベルを測定し、その測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100a、100cに送信する。
【0123】
着信なし通知を受信した携帯端末100a、100cは、Ack通知を携帯端末100bに送信する。このとき、携帯端末100cは、携帯端末100a、100bと間で近距離無線通信が行えなくなったものとする。この場合には、携帯端末100bは、携帯端末100cからのAck通知を受信することができない。このため、携帯端末100bは、Ack通知を受信できなかった携帯端末100cを端末グループから除外し、携帯端末100cを除外した端末グループに属する携帯端末100a、100bが基地局10からの着信通知を順番に受信する受信順序を新たに決定する。ここでは、携帯端末100bは、携帯端末100b、100aをそれぞれ1番、2番とする受信順序を新たに決定したものとする。
【0124】
そして、携帯端末100bは、新たに決定した受信順序を含む受信順序通知を周辺端末である携帯端末100aに対して送信する。これにより、端末グループに属する携帯端末100a、100cでは、基地局10からの着信通知を順番に受信する新たな受信順序が共有される。
【0125】
そして、端末グループに属する携帯端末100a、100cは、共有される受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。すなわち、携帯端末100bが1番目に基地局10からの着信通知を受信する。しかし、基地局10からの着信通知がなかったため、携帯端末100bは、基地局10から発せられる電波の受信レベルを測定し、その測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100aに送信する。このとき、携帯端末100bは、基地局10のセルから他の基地局のセルにハンドオーバしており、電波の受信レベルが閾値以下となっているものとする。この場合には、携帯端末100bは、電波の受信レベルが異常である旨の測定結果を含む着信なし通知を周辺端末である携帯端末100aに送信する。これにより、携帯端末100a〜100cにより形成された端末グループが解散される。その結果、携帯端末100a〜100cは、それぞれ、予め定められたDRX周期で基地局10からの着信通知を間欠受信する。
【0126】
また、上記の図20および図21の説明では、端末グループに属する携帯端末100a〜100cが着信通知を転送する場合を説明したが、端末グループに属する携帯端末100a〜100cが報知情報を転送するようにしてもよい。図23では、端末グループに属する携帯端末100a〜100cが報知情報を転送する例について説明する。
【0127】
図23に示すように、端末グループに属する携帯端末100a〜100cは、共有される受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。すなわち、携帯端末100aが1番目に基地局10からの着信通知を受信する。このとき、携帯端末100aは、緊急性を示すメッセージが基地局10に配信された旨を報知する報知情報を受信したものとする。報知情報は、緊急性を示すメッセージがCBSメッセージである場合には、BCCH Modification情報を指す。また、報知情報は、緊急性を示すメッセージがETWSメッセージである場合には、Primary Notification情報を指す。
【0128】
そして、報知情報を受信した携帯端末100aは、受信した報知情報を周辺端末である携帯端末100b、100cに対して一斉に送信する。その後、携帯端末100a〜100cは、それぞれ、基地局10に配信された緊急性を示すメッセージを受信するためのメッセージ受信処理を行う。例えば、携帯端末100a〜100cは、それぞれ、基地局10によりCTCH上に送信されるCBSメッセージまたはETWSメッセージを受信する。これにより、大災害が発生した場合に、同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のユーザが緊急性を示すメッセージを迅速に取得することができる。
【0129】
また、上記の図23の説明では、端末グループに属する携帯端末100a〜100cが報知情報を転送する場合を説明したが、端末グループに属する携帯端末100a〜100cが報知情報および緊急性を示すメッセージを転送するようにしてもよい。図24では、端末グループに属する携帯端末100a〜100cが報知情報および緊急性を示すメッセージを転送する例について説明する。
【0130】
図24に示すように、端末グループに属する携帯端末100a〜100cは、共有される受信順序で基地局10からの着信通知を受信する。すなわち、携帯端末100aは、緊急性を示すメッセージが基地局10に配信された旨を報知する報知情報を受信したものとする。
【0131】
そして、報知情報を受信した携帯端末100aは、受信した報知情報を周辺端末である携帯端末100b、100cに対して一斉に送信する。その後、携帯端末100aは、基地局10に配信された緊急性を示すメッセージを受信するためのメッセージ受信処理を行う。緊急性を示すメッセージを受信した携帯端末100aは、受信したメッセージを周辺端末100b、100cに対して一斉に送信する。これにより、大災害が発生した場合に、同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のユーザが緊急性を示すメッセージを迅速に取得することができる。
【0132】
上述してきたように、本実施例に係る携帯端末100は、周辺に存在する周辺端末を認識し、認識した周辺端末と協働して順番に基地局10からの着信通知を受信し、着信通知の着信先が周辺端末である場合に、着信通知を周辺端末に対して転送する。このため、本実施例に係る携帯端末100は、基地局10からの着信通知を受信する際に必要とされる消費電力を周辺端末と分担することができ、消費電力の低減を図りつつ着信通知を迅速に取得することができる。
【0133】
また、本実施例に係る携帯端末100は、周辺に存在しなくなった不在端末を周辺端末から定期的に除外し、不在端末を除外した最新の受信順序を再決定する。このため、本実施例に係る携帯端末100は、不在端末を除外した最新の受信順序で着信通知を受信することができ、着信通知をより迅速に取得することができる。
【0134】
また、本実施例に係る携帯端末100は、着信通知を受信する際に、緊急性を示すメッセージが基地局に配信された旨を報知する報知情報を受信して周辺端末に対して一斉に転送する。このため、本実施例に係る携帯端末100は、大災害が発生した場合に、同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末に対して緊急性を示す情報を一斉に伝えることができる。
【0135】
また、本実施例に係る携帯端末100は、近距離無線通信を用いて周辺端末を認識する。このため、本実施例に係る携帯端末100は、携帯端末に搭載される既存の近距離無線通信機能を用いて周辺端末を容易に認識することができる。
【0136】
また、本実施例に係る携帯端末100は、近距離無線通信を用いて着信通知を周辺端末に対して転送する。このため、本実施例に係る携帯端末100は、無線通信部により行われる無線通信と比較して消費電力が小さい近距離無線通信を用いて着信通知を転送することができ、消費電力をより一層低減することができる。
【0137】
[プログラム]
また、上記実施例で説明したメイン処理、グループ形成処理、周辺端末応答受信処理、グループ受信処理およびグループ通知処理などの各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図25を参照して、上記実施例で説明した各種の処理を実行する機能を有する携帯端末制御プログラムを実行するコンピュータについて、携帯端末を例に説明する。
【0138】
図25は、携帯端末制御プログラムを実行する携帯端末のハードウェア構成図である。図25に示すように、携帯端末1000は、アンテナ1010、無線通信部1020、表示部1030、音声入出力部1040、マイク1041、スピーカ1042、キー入力部1050および近距離無線通信部1060を有する。また、携帯端末1000は、記憶部1070およびプロセッサ1080を有する。
【0139】
無線通信部1020、表示部1030、音声入出力部1040、キー入力部1050、近距離無線通信部1060および記憶部1070は、プロセッサ1080と接続される。また、アンテナ1010は、無線通信部1020と接続される。また、マイク1041及びスピーカ1042は、音声入出力部1040と接続される。
【0140】
無線通信部1020は、例えば、図2に示した無線通信部130に対応する。表示部1030は、例えば、図2に示した出力部120に対応する。音声入出力部1040、マイク1041及びスピーカ1042は、他の携帯端末などから受信した音声の出力及び操作者の声などを収集しプロセッサ1080に対して入力する。キー入力部1050は、例えば、操作キーなどであり、例えば、図2に示した入力部110に対応する。
【0141】
記憶部1070およびプロセッサ1080は、図2に示した周辺端末認識部161、受信順序決定部162、着信通知受信部163、着信通知転送部164および端末グループ情報テーブル151などの機能を実現する。具体的には、記憶部1070のプログラム記憶部1071は、図2に示した周辺端末認識部161、受信順序決定部162、着信通知受信部163および着信通知転送部164などによる処理を実現する携帯端末制御プログラムなどの各種プログラムを記憶する。そして、プロセッサ1080は、これらのプログラムを読み出してRAM1073上で実行することで、上述の各機能を実現するプロセスを生成する。また、データ記憶部1072は、例えば、図2に示した端末グループ情報テーブル151などを記憶する。
【符号の説明】
【0142】
10 基地局
10a セル
100、100a〜100n 携帯端末
110 入力部
120 出力部
130 無線通信部
140 近距離無線通信部
150 記憶部
151 端末グループ情報テーブル
160 制御部
161 周辺端末認識部
162 受信順序決定部
163 着信通知受信部
164 着信通知転送部
1000 携帯端末
1010 アンテナ
1020 無線通信部
1030 表示部
1040 音声入出力部
1041 マイク
1042 スピーカ
1050 キー入力部
1060 近距離無線通信部
1070 記憶部
1071 プログラム記憶部
1072 データ記憶部
1073 RAM
1080 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のうち自端末の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末を認識する周辺端末認識部と、
前記周辺端末認識部により認識された周辺端末および自端末が前記基地局からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定する受信順序決定部と、
前記受信順序決定部により決定された受信順序で前記基地局からの着信通知を受信する着信通知受信部と、
前記着信通知受信部により受信された着信通知の着信先が前記周辺端末である場合に、当該着信通知を着信先となる前記周辺端末に対して転送する着信通知転送部と
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記周辺端末認識部は、周辺に存在しなくなった他の携帯端末である不在端末を前記周辺端末から定期的に除外し、
前記受信順序決定部は、前記周辺端末認識部により前記周辺端末から不在端末が除外された場合に、不在端末の除外後の前記周辺端末および自端末が前記基地局からの着信通知を順番に受信する受信順序を再度決定することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記着信通知受信部は、前記着信通知を受信する際に、前記基地局のセルに在圏する複数の携帯端末に一斉に送信されるメッセージが前記基地局に配信された旨を報知する報知情報を受信し、
前記着信通知転送部は、前記着信通知受信部により報知情報が受信されると、当該報知情報を前記周辺端末に対して一斉に転送することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記着信通知受信部は、前記報知情報の受信後に前記メッセージをさらに受信し、
前記着信通知転送部は、前記着信通知受信部により前記メッセージが受信されると、前記メッセージを前記周辺端末に対して一斉に転送することを特徴とする請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
他の携帯端末との間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部をさらに備え、
前記周辺端末認識部は、前記近距離無線通信部により行われる近距離無線通信を用いて、前記周辺端末を認識することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の携帯端末。
【請求項6】
前記着信通知転送部は、前記近距離無線通信部により行われる近距離無線通信を用いて、前記着信通知を前記周辺端末に対して転送することを特徴とする請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
携帯端末により実行される携帯端末制御方法であって、
同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のうち自端末の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末を認識し、
認識された周辺端末および自端末が前記基地局からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定し、
決定された受信順序で前記基地局からの着信通知を受信し、
受信された着信通知の着信先が前記周辺端末である場合に、当該着信通知を着信先となる前記周辺端末に対して転送する
ことを含むことを特徴とする携帯端末制御方法。
【請求項8】
携帯端末に、
同一の基地局のセルに在圏する複数の携帯端末のうち自端末の周辺に存在する他の携帯端末である周辺端末を認識し、
認識された周辺端末および自端末が前記基地局からの着信通知を順番に受信する受信順序を決定し、
決定された受信順序で前記基地局からの着信通知を受信し、
受信された着信通知の着信先が前記周辺端末である場合に、当該着信通知を着信先となる前記周辺端末に対して転送する
処理を実行させることを特徴とする携帯端末制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−21515(P2013−21515A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153353(P2011−153353)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】