説明

携帯端末、音声出力制御方法及び音声出力制御プログラム

【課題】 音声信号を複数の外部ヘッドホンへ出力可能な携帯端末において、着信等の所定イベントの発生が複数人による音楽・動画等の視聴の妨げになり難く、且つ所定イベントの発生に対して適切に応答可能とする。
【解決手段】
音声出力部23とメインヘッドホンコネクタ26及びサブヘッドホンコネクタ29は、音楽等の音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出可能となされている。制御部10は、着信やアラーム設定時間等の所定イベントの発生を監視しており、所定イベントが発生した時、音声出力部23を制御して、メインヘッドホンコネクタ26側への音楽等の音声信号出力を下げるか停止する一方で、着信音やアラーム音の信号をメインヘッドホンコネクタ26側へ送出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽や動画等の音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出可能な携帯電話端末等の携帯端末と、それら複数のヘッドホンへの音声出力を制御する音声出力制御方法及び音声出力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話端末のヘッドホンコネクタは、例えばいわゆるハンズフリーによる音声通話の際等にしか使用されていなかった。ところが、最近の携帯電話端末は、音楽や動画の再生機能が搭載されており、それら音楽や動画の音声を聴くために、上記ヘッドホンコネクタの使用率が高まってきている。
【0003】
但し、ヘッドホンを使用した音楽や動画の視聴は、一人のユーザによる視聴を前提としたものである。そのため、例えば複数の人が一台の携帯電話端末を用いて音楽や動画の視聴を楽しむのは難しいのが現状である。
【0004】
勿論、携帯電話端末に搭載されているスピーカから音楽や動画の音声を出力すれば、多人数でもその音楽や動画音声を聴くことはできる。しかしながら、音楽や動画の視聴を行う場所が例えば公共の場であるような場合、上記スピーカから音を出すことは周囲の迷惑になる虞がある。
【0005】
このようなことから、例えば特開2007−97007号の公開特許公報(特許文献1)には、ポータブルオーディオ機器に複数のヘッドホン接続端子を設け、それら各ヘッドホン接続端子にそれぞれヘッドホンを接続することにより、複数人が同時に音楽を聴けるようにしたことが提案されている。
【0006】
また、特開平9−247249号の公開特許公報(特許文献2)には、入出力機能を有した二つのイヤホンジャックを備え、外部のオーディオ出力装置から一方のイヤホンジャックに入力される外部入力音声信号と内部の音声処理回路から出力される音声信号とを切り替えて他方のイヤホンジャックへ出力可能となされた携帯電話機が開示されている。すなわちこの携帯電話機は、オーディオ出力装置から一方のイヤホンジャックに入力された外部入力音声信号を他方のイヤホンジャックから出力している時に、携帯電話機に呼びだしがかかった場合、外部入力音声信号から呼びだし信号に切り替えて他方のイヤホンジャックから出力するようになされている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−97007号公報
【特許文献2】特開平9−247249号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、例えば特許文献1のように、携帯電話端末に複数のヘッドホン端子を設け、各ヘッドホン端子にそれぞれヘッドホンを接続して各ヘッドホンに音楽や動画の音声信号を出力するようなことを考えた場合、以下のような問題が発生する。
【0009】
例えば、携帯電話端末で再生等されている音楽や動画を複数人で視聴している時、音声通話の着信(着呼)やメール着信があると、その着信音が全てのヘッドホンに出力されることになり、音楽や動画の視聴の妨げになる。逆に、例えば着信があったとしてもその着信音を出力しないようにすると、着信に応答することができなくなる。特に、着信が通話の着呼である場合には、その着呼を受けることが出来なくなる。また、着信がメール着信である場合には、そのメール着信に直ぐに気が付かないことになり好ましくない。
【0010】
なお、例えば、特許文献2では、呼びだしがかかった時に、外部入力音声信号から呼びだし信号へ切り替えて出力するようになされているが、この技術は、オーディオ出力装置から一方のイヤホンジャックに入力された外部入力音声信号を他方のイヤホンジャックから出力するための技術であり、例えば複数人が音楽や動画を視聴する場合には適用できない。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出可能となされた携帯電話端末等のような携帯端末において、着信等の発生があっても、それら複数人による音楽や動画等の視聴の妨げになり難く、且つ、ユーザが当該着信等に対し適切に応答可能とする携帯端末、音声出力制御方法及び音声出力制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出するための音声送出部から、音声信号をそれら複数の外部ヘッドホンへ送出している際に、予め決められた所定イベントの発生をイベント発生部が検出した時、それら音声信号が送出されている複数の外部ヘッドホンのなかで予め決められた特定の外部ヘッドホンに対する音声信号の出力を、制御部が少なくとも下げるように制御する。これにより、本発明は、上述した課題を解決する。
【0013】
すなわち、本発明によれば、複数の外部ヘッドホンに音声信号が出力されている時に、例えば着信等の所定イベントの発生した場合、例えば端末ユーザが使用している特定の外部ヘッドホンについてのみ音声信号の出力を少なくとも下げる。これにより、端末ユーザは何らかのイベントが発生したことを知ることができる。一方、特定の外部ヘッドホン以外の他の外部ヘッドホンには、音声信号が継続して送出されるため、それら他の外部ヘッドホンを使用しているユーザは、各ヘッドホン出力音声をそのまま聴くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、複数の外部ヘッドホンに音声信号が出力されている時に、例えば着信等の所定イベントの発生した場合、特定の外部ヘッドホンについてのみ音声信号の出力を下げることにより、その特定の外部ヘッドホンの使用ユーザは、当該所定イベントの発生に対して適切に応答可能となる。また、本発明においては、着信等の所定イベントの発生した場合に、特定の外部ヘッドホンのみ音声信号の出力が下げられるため、その特定の外部ヘッドホンの使用ユーザ以外の他のヘッドホン使用ユーザは、所定イベントの発生があっても例えば音楽や動画等の音声信号をそのまま聴くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
なお、以下の実施形態では、本発明の適用例として、音楽や動画等の音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出可能な携帯電話端末と、当該携帯電話端末においてそれら複数のヘッドホンへの音声出力を制御する音声出力制御方法及び音声出力制御プログラムを挙げている。勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0017】
[第一の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成]
図1には、本発明にかかる第一の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成を示す。
【0018】
図1において、通信アンテナ12は、例えば内蔵アンテナであり通話やパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路11は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0019】
表示部13は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示デバイスと、そのディスプレイの表示駆動回路とを有して構成されている。表示部13のディスプレイ上には、例えば、電子メール等の各種文字やメッセージ、インターネット経由で取得された画像や動画像、後述するテレビジョン放送受信回路16にて受信されたテレビジョン映像、メモリ部15の蓄積動画像を再生した動画像等が表示される。
【0020】
操作部14は、本実施形態の携帯電話端末の図示しない筐体上に設けられているテンキーや発話キー、終話/電源キー等の各キーや十字キー,ジョグダイヤル等の各操作子と、それら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。
【0021】
テレビジョン放送受信回路16は、テレビジョン放送受信チューナを有し、テレビジョン放送受信アンテナ17を通じてテレビジョン放送信号を受信する。当該テレビジョン放送受信回路16にて受信されたテレビジョン放送映像信号は、制御部10による制御の基で表示部13へ送られ、当該表示部13のディスプレイ上に表示される。また、テレビジョン放送音声信号は、制御部10による制御の基、後述する音声出力部23へ送られ、同じく後述するメインヘッドホンコネクタ26やサブヘッドホンコネクタ29へ送られるか、或いはスピーカ27から音声として出力される。
【0022】
GPS(Global Positioning System)部30は、GPS衛星からの電波をGPSアンテナ31を通じて受信し、当該携帯電話端末の現在位置や移動速度、移動距離などを計測する。このGPS部30により求められた現在位置や移動速度、移動距離などのデータは、必要に応じ、データラインを介して制御部10へ送られる。
【0023】
非接触通信部18は、非接触通信用アンテナ19を介し、例えば電磁誘導等による非接触状態で情報通信を行うための回路である。本実施形態の携帯電話端末は、当該非接触通信部19を通じた非接触通信により、いわゆる電子マネーの情報、電車やバス等の交通機関に対する乗車・降車や駅への入場・出場,定期券等に使用される切符情報、会社や学校等の入出管理情報などの送受信を行う。
【0024】
マイクロホン21は、当該携帯電話端末の図示しない筐体内に設けられ、送話音声や周囲音声の音響波を取り込んでアナログ音声信号に変換し、その音声信号を音声入力部22へ送る。
【0025】
音声入力部22は、上記マイクロホン21から供給されたアナログ音声信号をアナログ/デジタル変換する。このデジタル音声データは、データラインを介して制御部10へ送られる。
【0026】
スピーカ27は、当該携帯電話端末の図示しない筐体内に設けられ、例えばリンガ(着信音)やアラーム音、各種警告音、再生音楽、動画の音声等を出力可能となされている。当該スピーカ27は、後述する音声出力部23のメイン音声出力部24に接続されており、当該メイン音声出力部24から上記リンガやアラーム音、音楽等の各音声信号が供給された時、それら音声信号を音響波に変換して外部へ出力する。
【0027】
レシーバ28は、当該携帯電話端末の図示しない筐体内に設けられた受話用のスピーカである。当該レシーバ28は、音声出力部23のメイン音声出力部24に接続されており、当該メイン音声出力部24から受話音声信号が供給されると、その受話音声信号を音響波に変換して外部へ出力する。
【0028】
音声出力部23は、メイン音声出力部24とサブ音声出力部25を有して構成されている。
【0029】
メイン音声出力部24は、スピーカ27、レシーバ28、後述するメインヘッドホンコネクタ26と接続されている。当該メイン音声出力部24は、前述のリンガやアラーム音、再生音楽、動画等の音声信号の送出や、音声通話時の受話音声信号の送出時の音声出力処理のために設けられている。当該メイン音声出力部24は、前述のリンガやアラーム音、再生音楽、動画等の音声信号については上記スピーカ27、或いはメインヘッドホンコネクタ26へ送出し、音声通話時の受話音声信号についてはレシーバ28へ送出する。なお、本実施形態の携帯電話端末において、メインヘッドホンコネクタ26にヘッドホンが接続されており、且つ、そのヘッドホンへ音声を出力するモード設定等がなされていている場合にのみ、上記メイン音声出力部24は、上記リンガやアラーム音、再生音楽、動画の音声、音声通話時の受話音声等の各音声信号を上記メインヘッドホンコネクタ26側へ送出する。
【0030】
上記メインヘッドホンコネクタ26は、ヘッドホン機能のみを備えた通常のヘッドホンや、マイクロホン機能とヘッドホン機能の両者を備えたいわゆるマイク付きヘッドホンを接続可能となされた端子である。本実施形態の場合、当該メインヘッドホンコネクタ26は例えば一つのみ設けられている。当該メインヘッドホンコネクタ26は、上記マイク付きヘッドホンが接続された場合、そのマイク付きヘッドホンのマイクロホン機能から入力されたアナログ音声信号を前記音声入力部22へ送出し、一方、当該マイク付きヘッドホンのヘッドホン機能には音声出力部23のメイン音声出力部24から供給される音声信号を送出する。なお、上記マイク付きヘッドホンが例えばいわゆるハンズフリー通話に使用されている場合、当該マイク付きヘッドホンのマイクロホン機能から音声入力部へ送られる音声信号は送話音声信号となり、一方、メイン音声音声出力部24から当該マイク付きヘッドホンのヘッドホン機能へ出力される音声信号は受話音声信号となる。
【0031】
サブ音声出力部25は、サブヘッドホンコネクタ29と接続されている。
【0032】
上記サブヘッドホンコネクタ29は、ヘッドホン機能のみを備えた通常のヘッドホンが接続可能となされた端子である。本実施形態の場合、サブヘッドホンコネクタ29は、複数設けられており、したがって本実施形態の携帯電話端末には複数のヘッドホンが接続可能となされている。
【0033】
そして、本実施形態の携帯電話端末において音楽の再生や動画の視聴がなされ、且つ、それら複数のサブヘッドホンコネクタ29に各々ヘッドホンが接続されている場合、上記音声出力部23のサブ音声出力部25は、メイン音声出力部24が送出しているのと同じ上記音楽や動画の音声信号をそれら各サブヘッドホンコネクタ29へ送出する。
【0034】
上記音声出力部23のメイン音声出力部24とサブ音声出力部25における音声出力制御の詳細については後述する。
【0035】
メモリ部15は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)を有している。ROMは、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)のような書き換え可能な記憶媒体を含み、例えば、OS(Operating System)等のプログラムや、後述する本発明の音声出力制御プログラムや、映像表示制御プログラム、GPSデータを用いた現在位置の計測や地図,路線図データを用いた経路検索等を行うためのナビゲーションプログラム、スケジュール管理プログラム(いわゆるスケジューラ)、電話帳(アドレス帳)管理プログラム等の各種アプリケーションプログラムを記憶している。また、ROMには、本実施形態の携帯電話端末の動作に必要な各種の初期設定値、フォントデータ、各辞書データ、地図データや公共交通機関等の路線図データ、時刻表データ、機種名情報や端末識別情報、本発明の音声出力制御プログラムにより使用される各種設定値や各種データ、他の各アプリケーションプログラムにより使用される各種設定値や各種データなどをも記憶している。RAMは、制御部10が各アプリケーションプログラムの実行時に各種データを一時的に格納する作業領域として用意されている。その他、メモリ部15には、着脱可能な外部メモリカードや小型のハードディスクドライブが含まれていてもよい。
【0036】
上記制御部10は、通信回路11における通信の制御、音声出力部23における音声出力制御、画像処理や、メモリ管理等、本実施形態の携帯電話端末における各種動作の制御及び演算等を行う。特に、本実施形態の場合、制御部10は、上記メモリ部15に記憶されている本発明の音声出力制御プログラム、及びそのプログラムに連動する他のプログラムを起動・実行することにより、後述するような音声出力制御を実行する。
【0037】
その他、図1には図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、キー照明や着信ライト,撮影補助光ライト用などのLED(発光ダイオード)とその駆動部、各部へ電力を供給するバッテリとその電力をコントロールするパワーマネージメントIC部、カメラ機能部、加速度センサや方位センサ、外部メモリ用スロットなど、一般的な携帯電話端末に設けられる各構成要素についても備えている。
【0038】
[第二の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成]
図2には、本発明にかかる第二の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成を示す。
【0039】
なお、第二の実施形態の携帯電話端末において、図1に示した第一の実施形態の各構成要素と同じものについては、図1と同じ参照符号を付してそれらの説明は省略する。
【0040】
図2に示す第二の実施形態の携帯電話端末は、近距離無線通信部32とそのアンテナ33を備えている。
【0041】
上記近距離無線通信部32は、近距離無線通信用アンテナ33を用いて、例えばいわゆるブルートゥース方式(Bluetooth:登録商標)や、UWB(Ultra Wide Band)方式、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信を行うための通信デバイスである。なお、本実施形態において、近距離無線通信部33は、ブルートゥース方式やUWB方式、無線LAN用の各通信デバイスを全て備えているものであってもよいし、それらの何れか一つ若しくは二つの通信デバイスからなるものであってもよい。
【0042】
また、当該第二の実施形態の携帯電話端末の場合、音声出力部23のサブ音声出力部25は、上記近距離無線通信部32に対して音声信号を送出可能となされている。
【0043】
すなわち、本実施形態では、近距離無線通信部32及びそのアンテナ33を通じた近距離無線通信により、近距離無線通信対応の複数のサブヘッドホンに対して、前述同様の音声信号を無線により送出可能となされている。なお、近距離無線通信により複数のヘッドホンとの間で無線通信を行うための制御や各種処理技術については既存の技術を流用可能であるため、ここではその詳細な説明については省略する。
【0044】
[第三の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成]
図3には、本発明にかかる第三の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成を示す。
【0045】
なお、第三の実施形態の携帯電話端末において、図2に示した第二の実施形態の各構成要素と同じものについては、図2と同じ参照符号を付してそれらの説明は省略する。
【0046】
図3に示す第三の実施形態の携帯電話端末は、第二の実施形態と同様に近距離無線通信部32とそのアンテナ33を備えている。
【0047】
但し、第三の実施形態の場合、近距離無線通信部32は、音声出力部23と音声入力部22に接続されており、音声出力部23から供給された音声信号を近距離無線通信により無線送出可能となされ、また、近距離無線通信により受信した音声信号を音声入力部22へ送出可能となされている。
【0048】
そして、第三の実施形態の場合、近距離無線通信部32は、近距離無線通信対応のメインヘッドホンや他の複数のサブヘッドホンに対して、前述同様の音声信号の少なくとも送信が可能となされている。
【0049】
すなわちこの第三の実施形態の場合、近距離無線通信部32は、音声出力部23のメイン音声出力部24からの前述した再生音楽や動画の音声、リンガ音、アラーム音、音声通話時の受話音声等の何れかの音声信号が供給された時、その音声信号をメインヘッドホンへ無線により送出可能となされている。また、近距離無線通信部32は、第二の実施形態の場合と同様に、サブ音声出力部25から供給された前述同様の音声信号を、複数のサブヘッドホンへ無線により送出可能となされている。
【0050】
[本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の具体例]
以下、上述した第一,第二,第三の実施形態の携帯電話端末において、メインヘッドホンと他のサブヘッドホンへ音声信号を送出する際の音声出力制御の具体例について説明する。
【0051】
本発明実施形態の携帯電話端末は、前述したようにメインヘッドホンとサブヘッドホンをコネクタ或いは近距離無線通信を通じて接続可能となされており、それら複数のヘッドホンに対して、音楽や動画などの音声信号を送出可能となされている。なお、本実施形態において、メインヘッドホンは例えば当該携帯電話端末のユーザ自身が使用するものとして事前に設定された特定ヘッドホンであり、他のサブヘッドホンは端末ユーザ以外の他ユーザが使用するヘッドホン(事前に設定されていないヘッドホン)であるとする。
【0052】
ここで、複数のヘッドホンを用いて複数人が音楽や動画の視聴などを行っている時に、例えば音声通話の着信(着呼)やメール着信、アラーム音声出力条件が満たされる等の所定のイベントが発生した場合、本実施形態の携帯電話端末は、図4のように各ヘッドホンへの音声出力を制御する。なお、この図4はあくまでも一例であり、本発明は他の例にも適用可能であることは言うまでもない。
【0053】
第一の例として、携帯電話端末にて例えば音楽再生が行われている場合において、着信等の所定イベントが発生していない時、本実施形態の携帯電話端末は、その再生音楽信号を、メインヘッドホン及び他のサブヘッドホンに出力する。
【0054】
第二の例として、携帯電話端末にて例えば動画の視聴が行われている場合において、着信等の所定イベントが発生していない時、本実施形態の携帯電話端末は、その動画の音声信号を、メインヘッドホン及び他のサブヘッドホンに出力する。
【0055】
第三の例として、上述の第一や第二の例のように例えば音楽再生や動画再生がなされている場合において、着信のイベントが発生した場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声の少なくとも音量を下げるように制御する一方で、上記着呼音や着信音の信号を出力する。なお、本発明実施形態において、上記音楽や動画の音声の音量を下げる制御には、完全に音量をゼロにする制御、つまり音楽や動画の音声を停止する制御も含まれる。またこの時、他のサブヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声信号をそのまま継続して出力する。なお、動画の視聴が行われている場合には、上記着信等のイベントについての通知の為の表示については一切行わない。これにより、当該第三の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは着信があったことを知ることができ、一方、他のサブヘッドホン使用者は音楽や動画等をそのまま視聴することができ、当該着信が音楽や動画を視聴する上での妨げにならない。
【0056】
第四の例として、音楽再生や動画再生がなされている場合において、例えば音声通話の着信(着呼)のイベントが発生し、当該携帯電話端末のユーザがハンズフリーにより通話応答をする場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声の音量を下げて(音声出力の停止も含む)、上記通話相手の音声を出力する。またこの時、他のサブヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声信号をそのまま継続して出力する。これにより、当該第四の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは通話応答をすることができ、一方、他のサブヘッドホン使用者は音楽等をそのまま聴くことができ、当該通話応答が音楽等を聴く上での妨げにならない。
【0057】
第五の例として、音楽再生や動画再生がなされている場合において、例えば音声通話の着信(着呼)のイベントが発生し、当該携帯電話端末のユーザがハンズフリーにより通話応答をする場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンだけでなくサブヘッドホンに対しても、音楽や動画の音声の音量を下げて(或いは音声出力を停止して)、上記通話相手の音声を出力するようにしてもよい。なお、このような音声出力制御は、例えば通話相手の音声をサブヘッドホンの使用者に聞かせても構わないと端末ユーザが判断し、当該端末ユーザがそのための所定の操作等を行った時に実行される。これにより、当該第五の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは通話応答をすることができ、また、他のサブヘッドホン使用者もその通話応答を聴くことができる。
【0058】
第六の例として、音楽再生や動画再生がなされている場合において、例えば音声通話の着信(着呼)のイベントが発生し、端末ユーザが端末本体のマイクロホン21及びレシーバ28を使用して通話応答をする場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンと他のサブヘッドホンに対して音楽や動画の音声の音量を完全にゼロする(音声出力を停止する)。これにより、当該第六の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは、端末本体のマイクロホン21及びレシーバ28を用いた通話応答が可能となる。
【0059】
第七の例として、例えば電車に乗車している状態で上記音楽再生や動画再生がなされている場合において、電車が最寄り駅に近づく所定イベントが発生した場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンに対しては音楽や動画の音声の音量を下げて(或いは音声出力を停止して)、端末ユーザが車内アナウンス等を聴き取り易くする。一方、他のサブヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声信号をそのまま継続して出力する。なお、この第七の例の場合、本実施形態の携帯電話端末は、一例として、非接触通信用の定期券により駅へ入場した後、GPS部30により検出される現在位置情報と地図や路線図情報との比較により、例えば定期券の最寄り駅に近づいたことを検出した時に、上記所定イベントが発生したと検知する。その他にも、最寄り駅へ近づいたか否かは、例えば電車車両内に設けられた近距離無線通信装置から送信されてくる駅情報の取得により検出することも可能である。また、最寄り駅については、定期券の降車駅に限らず、事前に設定した他の駅であってもよい。さらに、最寄り駅に近づいた時に、メインヘッドホンに対しその旨を通知する音声信号を送出するようにしてもよい。これにより、当該第七の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは、最寄り駅に近づいたことを確実に知ることができ、一方、他のサブヘッドホン使用者は音楽等をそのまま聴くことができる。
【0060】
第八の例として、音楽再生や動画再生がなされている場合において、予め設定した時間(年月日、時刻も含む)になったり、事前に設定した場所に到着した等のような、アラーム発生条件を満たす所定イベントが発生した場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンに対しては音楽や動画の音声の音量を下げて(或いは音声出力を停止して)、上記アラームの音を出力する。一方、他のサブヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声信号をそのまま継続して出力する。なお、予め設定した時間等になったかどうかについては、本実施形態の携帯電話端末が備える時計機能による時間を基に、また、予め設定した場所へ到着したかどうかについては、本実施形態の携帯電話端末が備えるGPS部30による位置検出情報を基に判断することができる。これにより、当該第八の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは、予め設定した時間等になったことを知ることができ、また例えば予め設定された所望の場所に到着したことを確実に知ることができ、一方、他のサブヘッドホン使用者は音楽等を継続して聴くことができる。
【0061】
第九の例として、音楽再生や動画再生がなされている場合において、例えばメール着信のイベントが発生し、当該携帯電話端末のユーザが当該メールの件名(Subject)やメール本文をいわゆるテキスト−音声変換処理により読み上げることを指示した場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンに対しては音楽や動画の音声の音量を下げて(或いは音声出力を停止して)、上記読み上げ音声を出力する。一方で、他のサブヘッドホンに対しては、音楽や動画の音声信号をそのまま継続して出力する。なお、テキスト−音声変換処理については既存の技術であるため、ここではその詳細な説明については省略している。また、動画の視聴が行われている場合には、受信メールの表示等は行わず、メインヘッドホンに対する上記読み上げ音声の出力のみ行うことが望ましい。これにより、当該第九の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザは、受信した電子メールの内容を確認することができ、一方、他のサブヘッドホン使用者は音楽等を継続することができる。
【0062】
第十の例として、音楽再生や動画再生がなされている場合において、例えばテレビジョン放送等を通じていわゆる緊急地震速報が受信される所定イベントが発生した場合、本実施形態の携帯電話端末は、メインヘッドホンとサブヘッドホンの双方に対して、音楽や動画の音声の音量をゼロにし(つまり音声出力を停止し)、緊急地震速報の音声を出力する。これにより、当該第十の例の場合、メインヘッドホンを使用している端末ユーザと他のサブヘッドホン使用者の双方が、緊急地震速報の発令をいち早く知ることができ、地震に対して適切な行動をとることができるようになる。なお、この第十の例のような緊急を要する情報の通知は、音声のみならず画面上の表示でも行うことが望ましく、例えば動画の視聴が行われている場合であってもその動画の表示を停止した上で緊急情報の表示を行うことが望ましい。
【0063】
その他、本実施形態では、一つのメインヘッドホンのみを本発明にかかる特定の外部ヘッドホンとし、他のヘッドホンを全てサブヘッドホンとしたが、例えばサブヘッドホンの中で所望の一つ或いは幾つかのヘッドホンを特定の外部ヘッドホンに含めることも可能である。
【0064】
また、図4に示したような各例における所定のイベントに応じた音声信号の出力制御動作の何れを行うか否かについては、予めそれぞれ個別に設定しても良い。
【0065】
[本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御のフローチャート]
図5には、本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、例えば音楽再生がなされている場合に音声通話の着信(着呼)のイベントが発生した場合の処理の流れを示す。なお、この図5に示すフローチャートと、後述する図6〜図8のフローチャートは、本実施形態の携帯電話端末の制御部10が、本発明の音声出力制御プログラムを実行することにより行われる処理を示している。
【0066】
本発明の音声出力制御プログラムが起動した状態の制御部10は、例えば音楽の再生処理が実行され、その音楽信号をメインヘッドホン及び他のサブヘッドホンへ出力している場合、この図5のフローチャートの処理を実行可能となされている。
【0067】
この図5のフローチャートにおいて、制御部10は、ステップS1の処理として、音声通話の着信(着呼)のイベントが発生したか否か監視しており、当該着呼のイベントが発生すると、ステップS2へ処理を進める。
【0068】
ステップS2の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御し、事前に設定されているメインヘッドホンに対して送出する音楽の音声信号の出力レベルを下げて(例えば停止させ)、着信音(着呼音)を出力させる。また、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンに対しては音楽の音声信号の出力をそのまま継続させるようにする。なお、この例のように、音楽再生のみが行われている場合、ステップS2において、ディスプレイ画面上に着呼があったことを示す画面表示を行ってもよいが、例えば動画の視聴等が行われている場合には着呼表示については一切行わないようにする。
【0069】
次に、制御部10は、ステップS3へ処理を進め、例えば操作部14或いはメインヘッドホンに設けられている操作デバイスを通じて、端末ユーザが当該着呼に対して応答する操作を行ったか否か判断する。そして、制御部10は、上記応答のための操作がなされた時にはステップS4へ処理を進め、一方、応答のための操作がなされない間はステップS1へ処理を戻す。
【0070】
着呼に対する応答のための操作がなされてステップS4の処理に進んだ場合、制御部10は、端末ユーザから、メインヘッドホンを用いたハンズフリーによる応答を行うための指示がなされたか否か判断する。なお、ハンズフリーによる応答がなされるか否かは、例えば操作部14を通じた操作、或いは、メインヘッドホンに設けられている所定操作デバイスを通じた操作、或いは、メインヘッドホン使用時に自動的にハンズフリーによる応答がなされる旨の事前設定の何れかにより決められる。そして、制御部10は、ハンズフリーによる応答がなされる場合にはステップS5へ処理を進め、一方、ハンズフリーによる応答がなされない場合にはステップS8へ処理を進める。
【0071】
上記ハンズフリーによる応答がなされると判断してステップS5の処理に進むと、制御部10は、通話相手の音声をサブヘッドホンへも出力する設定になっているか否か判断する。なお、通話相手の音声をサブヘッドホンへも出力するか否かは、例えば、操作部14を通じた操作、或いは、サブヘッドホン使用時に自動的に通話相手の音声をサブヘッドホンへ出力する旨の事前設定の何れかにより決められる。そして、制御部10は、通話相手の音声をサブヘッドホンへ出力しない場合にはステップS6へ処理を進め、一方、通話相手の音声をサブヘッドホンへも出力する場合にはステップS7へ処理を進める。
【0072】
通話相手の音声をサブヘッドホンへ出力しないと判断してステップS6の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御し、メインヘッドホンに対して音楽の出力レベルを下げる(例えば停止させる)一方で、通話相手の音声を出力させる。また、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンには音楽の音声信号出力をそのまま継続させるようにする。このステップS6の処理後、制御部10はステップS9へ処理を進める。
【0073】
また、ステップS5にて通話相手の音声をサブヘッドホンにも出力するとしてステップS7の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御し、メインヘッドホンに対して音楽の音声信号出力レベルを下げ(例えば音楽出力を停止させて)、通話相手の音声を出力させる。同様に、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンについても音楽の音声信号出力レベルを下げて(例えば音楽出力を停止させて)、通話相手の音声を出力させる。このステップS7の処理後、制御部10はステップS9へ処理を進める。
【0074】
ステップS9の処理に進み、さらに通話が終了すると、制御部10は、メインヘッドホンへの音楽出力を再開するか否か判断する。なお、メインヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かは、例えば操作部14を通じた操作、或いは、メインヘッドホンに設けられている所定操作デバイスを通じた操作の何れかにより決められる。そして、制御部10は、メインヘッドホンへの音楽出力を再開する時にはステップS10へ処理を進め、それ以外のときにはステップS9の判断を続ける。
【0075】
ステップS10の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御して、メインヘッドホンに対する音楽の出力を再開する。
【0076】
なお、ステップS7のようにサブヘッドホンへの音楽出力の停止されている場合、上記ステップS9ではサブヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かの判断も同時に行う。当該サブヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かは、例えば操作部14を通じた操作により決められる。そして、サブヘッドホンへの音楽再開がなされる場合、ステップS10では、当該サブヘッドホンに対する音楽の出力が再開されることになる。
【0077】
一方で、ステップS4にてハンズフリーによる応答を行わないと判断してステップS8の処理に進んだ場合、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24とサブ音声出力部25を制御し、メインヘッドホンとサブヘッドホンについて音楽の出力レベルを下げる(例えば音楽出力を停止させる)。そして、制御部10は、メイン音声出力部24を制御して、端末本体のマイクロホン21及びレシーバ28を使用した通話応答を可能とする。
【0078】
なお、このステップS8の処理に進んだ場合、本実施形態では、メインヘッドホン、サブヘッドホン共に音楽の出力を停止したままにしているが、前述のステップS9とステップS10の処理同様に、通話が終了した後には、それらメインヘッドホンとサブヘッドホンへ音楽の出力を再開してもよい。
【0079】
図6には、本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、例えば音楽再生がなされている場合に、メール着信のイベントが発生した場合の処理の流れを示す。
【0080】
本発明の音声出力制御プログラムが起動した状態の制御部10は、例えば音楽の再生処理が実行され、その音楽信号をメインヘッドホン及び他のサブヘッドホンへ出力している場合、図6のフローチャートの処理を実行可能となされている。
【0081】
この図6のフローチャートにおいて、制御部10は、ステップS11の処理として、メール着信のイベントが発生したか否か監視しており、メール着信のイベントが発生すると、ステップS12へ処理を進める。
【0082】
ステップS12の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御して、事前に設定されているメインヘッドホンに対して音楽の出力レベルを下げて(例えば停止して)メール着信音を出力させる。また、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンには音楽の出力をそのまま継続させるようにする。なお、この例のように、音楽再生のみが行われている場合、ステップS12において、ディスプレイ画面上に電子メールの着信を示す画面表示を行ってもよいが、例えば動画の視聴等が行われている場合には電子メールの着信表示については一切行わないようにする。
【0083】
次に、制御部10は、ステップS13へ処理を進め、例えば操作部14を通じて、端末ユーザが当該電子メールの内容を読み上げるように指示する操作を行ったか否か監視し、当該読み上げ指示のための操作がなされた時にはステップS14へ処理を進める。一方、読み上げ指示のための操作が行われない場合、制御部10は、ステップS15へ処理を進める。
【0084】
ステップS14の処理に進んだ場合、制御部10は、テキスト−音声変換処理を実行し、音声出力部23のメイン音声処理部24を制御して、そのテキスト−音声変換処理により生成されたメール読み上げ音声をメインヘッドホンから出力させる。また、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンには音楽の出力をそのまま継続させるようにする。このステップS14の処理後、制御部10はステップS17へ処理を進める。なお、例えば端末ユーザにより、メール読み上げ音声をサブヘッドホンへも出力させる旨の明示的な指示がなされたような場合には、それらサブヘッドホンについても音楽の信号の出力を停止し、上記メール読み上げ音声の信号を出力してもよい。
【0085】
また、ステップS13からステップS15の処理に進んだ場合、制御部10は、受信したメールの内容をディスプレイ画面上に表示させるか否か判断する。なお、メールの内容をディスプレイ表示するか否かは、例えば操作部14を通じた操作により、端末ユーザからメール内容を表示する旨の指示が入力されたか否かにより決められる。そして、制御部10は、メール内容を表示する旨の指示が入力された時にはステップS16へ処理を進め、一方で、メール内容を表示する指示が入力されていない間はステップS17へ処理を進める。
【0086】
ステップS16の処理に進んだ場合、制御部10は、ディスプレイ上にメールの内容を表示させた後、ステップS17へ処理を進める。
【0087】
ステップS17の処理に進むと、制御部10は、メインヘッドホンへの音楽出力を再開するか否か判断する。メインヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かは、例えば操作部14を通じた操作、或いは、メインヘッドホンに設けられている所定操作デバイスを通じた操作の何れかにより決められる。そして、制御部10は、メインヘッドホンへの音楽出力を再開する時にはステップS18へ処理を進め、それ以外のときには当該ステップS17の判断を続ける。
【0088】
ステップS18の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御して、メインヘッドホンに対する音楽の出力を再開する。
【0089】
なお、サブヘッドホンへもメール読み上げ音声が出力されることで、音楽出力が停止されている場合には、上記ステップS17ではサブヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かの判断も同時に行う。当該サブヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かは、例えば操作部14を通じた操作により決められる。そして、サブヘッドホンへの音楽再開がなされる場合、ステップS18では、当該サブヘッドホンに対する音楽の出力が再開されることになる。
【0090】
図7には、本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、例えば音楽再生がなされている場合に事前設定されたアラーム音出力の条件が満たされるイベントが発生した場合の処理の流れを示す。
【0091】
本発明の音声出力制御プログラムが起動した状態の制御部10は、例えば音楽の再生処理が実行され、その音楽信号をメインヘッドホン及び他のサブヘッドホンへ出力している場合、図7のフローチャートの処理を実行可能となされている。
【0092】
この図7のフローチャートにおいて、制御部10は、ステップS21の処理として、事前に設定されたアラーム音出力条件が満たされたか否かを監視しており、アラーム音出力条件が満たされたイベント発生により、ステップS22へ処理を進める。
【0093】
ステップS22の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御して、メインヘッドホンに対して音楽の出力レベルを下げて(停止させて)アラーム音を出力させる。一方、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンには音楽の出力をそのまま継続させるようにする。なお、例えば端末ユーザにより、予めサブヘッドホンについてもアラーム音を出力させる旨の明示的な設定がなされているような場合には、サブヘッドホンについても音楽の信号の出力を停止し、上記アラーム音の出力を出力してもよい。
【0094】
次に、制御部10は、ステップS23の処理として、メインヘッドホンへの音楽出力を再開するか否か判断する。なお、メインヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かは、例えば操作部14を通じた操作、或いは、メインヘッドホンに設けられている所定操作デバイスを通じた操作の何れかにより決められる。そして、制御部10は、メインヘッドホンへの音楽出力を再開する時にはステップS24へ処理を進め、それ以外のときにはステップS23へ判断を繰り返す。
【0095】
ステップS24の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御して、メインヘッドホンに対する音楽の出力を再開する。
【0096】
なお、サブヘッドホンへもアラーム音が出力されることで、音楽出力が停止されている場合には、上記ステップS23では、サブヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かの判断も同時に行われる。当該サブヘッドホンへの音楽出力を再開するか否かは、例えば操作部14を通じた操作により決められる。そして、サブヘッドホンへの音楽再開がなされる場合、ステップS24では、当該サブヘッドホンに対する音楽の出力が再開されることになる。
【0097】
図8には、本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、例えば電車に乗車していて音楽再生がなされている場合に、最寄り駅に電車が近づいたイベントが発生した場合の処理の流れを示す。
【0098】
本発明の音声出力制御プログラムが起動した状態の制御部10は、例えば非接触通信を利用して駅へ入場し、さらに電車等に乗車中に、例えば音楽の再生処理が実行され、その音楽信号をメインヘッドホン及び他のサブヘッドホンへ出力している場合、図8のフローチャートの処理を実行可能となされている。
【0099】
この図8のフローチャートにおいて、制御部10は、ステップS31の処理として、例えばGPS部30による位置計測により、常に現在位置を検出している。
【0100】
また、制御部10は、ステップS32の処理として、GPS部30からの現在位置情報と、メモリ部15に格納されている地図データや路線図データとから、当該電車が最寄り駅に近づいたか否かを判断する。なお、制御部10は、電車の車両内に設けられた近距離無線通信装置から近距離無線通信により得られる駅情報を基に、最寄り駅に近づいたか否かを判断してもよい。そして、制御部10は、最寄り駅に近づいたと判断した場合にはステップS33へ処理を進め、それ以外のときにはステップS31へ処理を戻す。
【0101】
ステップS32にて最寄り駅に近づいたことが検出されてステップS33の処理に進むと、制御部10は、音声出力部23のメイン音声出力部24を制御して、メインヘッドホンに対して音楽の出力ボリュームを下げて車内アナウンスを聴き取り易くさせるか、若しくは、最寄り駅に近づいたことを示す所定の通知音声を出力させる。一方、制御部10は、サブ音声出力部25を制御して、サブヘッドホンには音楽の出力をそのまま継続させるようにする。なお、例えば端末ユーザにより、予めサブヘッドホンについて最寄り駅への近接時に音声出力を下げることについて明示的な設定がなされているような場合には、サブヘッドホンについても音楽の信号の出力を下げ、サブヘッドホンの使用者がアナウンス等を聴き取り易くしてもよい。
【0102】
また、この図8の例では、最寄り駅に到着した後は各人が電車から降りることになると考えられるため、音楽出力の再開を行わないようにしているが、勿論、音楽出力を再開するようにしてもよい。
【0103】
[まとめ]
以上説明したように、本発明実施形態によれば、音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出可能となされた携帯電話端末において、着信等の所定イベントの発生があった時に各ヘッドホンへの音声出力を適切に制御することにより、着信音等が複数人による音楽や動画等の視聴の妨げになることを未然に防止できる。また、本発明実施形態の携帯電話端末によれば、例えば着信等の所定イベントの発生があった時、端末ユーザに対して最適な通知が可能となるため、その着信等の所定イベントに対して端末ユーザが適切に応答可能となっている。
【0104】
なお、上述した本発明の実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【0105】
例えば、本実施形態の携帯端末は、携帯電話端末に限定されず、複数の外部ヘッドホンへ音声信号を出力可能となされていて且つ所定イベントが発生する端末であれば、例えばPDA(Personal Digital Assistant)や携帯型パーソナルコンピュータ、携帯型テレビゲーム装置、携帯型ディジタルテレビジョン受信機、携帯型ナビゲーション装置など様々な端末にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第一の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第二の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第三の実施形態の携帯電話端末の概略的な内部回路構成を示すブロック図である。
【図4】本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の具体例を表にまとめた図である。
【図5】本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、音楽再生がなされている場合に音声通話の着信(着呼)のイベントが発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、音楽再生がなされている場合にメール着信のイベントが発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、音楽再生がなされている場合に事前設定されたアラーム音出力の条件が満たされるイベントが発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明実施形態の携帯電話端末における音声出力制御の一例として、電車に乗車していて音楽再生がなされている場合に、最寄り駅に電車が近づいたイベントが発生した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
10 制御部、11 通信回路、12 通信アンテナ、13 表示部、14 操作部、15 メモリ部、16 テレビジョン放送受信回路、17 テレビジョン放送受信用のアンテナ、18 非接触通信部、19 非接触通信用のアンテナ、21 マイクロホン、22 音声入力部、23 音声出力部、24 メイン音声出力部、25 サブ音声出力部、26 メインヘッドホンコネクタ、27 スピーカ、28 レシーバ、29 サブヘッドホンコネクタ、30 GPS部、 31 GPS用のアンテナ、32 近距離無線通信部、33 近距離無線通信用のアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出するための音声送出部と、
予め決められた所定イベントの発生を検出するイベント発生検出部と、
上記音声送出部から音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出している際に、上記イベント発生検出部が上記所定イベントの発生を検出した時、上記音声信号が送出されている複数の外部ヘッドホンのなかで予め決められた特定の外部ヘッドホンに対する上記音声送出部からの上記音声信号の出力を少なくとも下げさせる制御部と、
を有する携帯端末。
【請求項2】
上記イベント発生検出部は、外部通信装置から自端末に宛てた着信を、上記所定イベントの発生として検出し、
上記制御部は、上記音声送出部から音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出している際に上記イベント発生検出部が当該所定イベントの発生を検出した時、上記着信を示す音信号を、上記音声送出部から上記特定の外部ヘッドホンへ送出させる請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
音声通話の上記着信を、上記イベント発生検出部が上記所定イベントの発生として検出し、
当該音声通話の着信に対して上記特定の外部ヘッドホンを使用した音声通話による応答がなされる時、上記制御部は、上記外部通信装置からの上記音声通話による受話音声信号を、上記音声送出部から上記特定の外部ヘッドホンへ送出させる請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
音声通話のための上記着信を、上記イベント発生検出部が上記所定イベントの発生として検出し、
当該音声通話の着信に対して自端末に備えられた音声通話機能を使用した音声通話による応答がなされる時、上記制御部は、全ての外部ヘッドホンに対する上記音声送出部からの上記音声信号の出力を停止させる請求項2記載の携帯端末。
【請求項5】
電子メールの上記着信を、上記イベント発生検出部が上記所定イベントの発生として検出し、
当該電子メールへの応答がなされる時、上記制御部は、上記電子メールのテキストを音声に変換した読み上げ音声信号を、上記音声送出部から上記特定の外部ヘッドホンへ送出させる請求項2記載の携帯端末。
【請求項6】
上記イベント発生検出部は、予め設定された最寄り駅への自端末の接近を、上記所定イベントの発生として検出する請求項1記載の携帯端末。
【請求項7】
上記イベント発生検出部は、予め設定されたアラーム発生条件が満たされたことを、上記所定イベントの発生として検出し、
上記制御部は、上記音声送出部から音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出している際に上記イベント発生検出部が上記所定イベントの発生を検出した時、所定のアラーム音信号を、上記音声送出部から上記特定の外部ヘッドホンへ送出させる請求項1記載の携帯端末。
【請求項8】
音声信号を、音声送出部が複数の外部ヘッドホンへ送出するステップと、
予め決められた所定イベントの発生を、イベント発生検出部が検出するステップと、
上記音声送出部から音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出している際に、上記イベント発生検出部にて上記所定イベントの発生が検出された時、制御部が、上記音声信号が送出されている複数の外部ヘッドホンのなかで予め決められた特定の外部ヘッドホンに対する上記音声送出部からの上記音声信号の出力を少なくとも下げさせるステップと、
を有する音声出力制御方法。
【請求項9】
予め決められた所定イベントの発生を検出するイベント発生検出部と、
音声信号を複数の外部ヘッドホンへ送出するための音声送出部から、音声信号を上記複数の外部ヘッドホンへ送出している際に、上記イベント発生検出部が上記所定イベントの発生を検出した時、上記音声信号が送出されている複数の外部ヘッドホンのなかで予め決められた特定の外部ヘッドホンに対する上記音声送出部からの上記音声信号の出力を少なくとも下げさせる制御部として、
携帯端末を動作させる音声出力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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