説明

携帯端末及びそれに用いる携帯端末用カバー

【課題】 表面に突起物を設けず、外観をすっきりさせたデザインを実現できる携帯端末を得る。
【解決手段】 可撓性を有して折り曲げ可能であり、2つの筐体1、2を所定間隔離間して連結するとともに、折り曲げ状態から開放状態に戻る復元力を有し、かつ2つの筐体1、2間を電気的に接続する連結装置3を備え、この連結装置3の近傍に、ストラップ41の巻着紐43を取り付けるストラップ取付手段(取付環49)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの筐体が折曲可能に連結されて開閉される携帯端末及びそれに用いる携帯端末用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機が多数開発され使用されているが、この携帯電話機には、単純な棒状を呈するストレート型のほかに、ヒンジ部を介して開閉可能な折畳型も各種開発されている。
折畳型携帯電話機は、表示部を有する上筐体と、操作部を有する下筐体と、表示部と操作部とが対面するように上下の筐体を開閉可能に連結するヒンジ部とを具備しており、ヒンジ部の軸心を中心に上下の筐体が相対的に回動して折畳まれる構造となっている。
他方、表示部を有する上筐体と操作部を有する下筐体とを連結する連結部が、上下の筐体の厚さよりも薄い折曲可能な帯状に形成された携帯電話機(以下、これを「折曲型携帯電話機」とよぶ)も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この折曲型携帯電話機は、折畳型携帯電話機がヒンジ部を介して開閉可能とされるのに対し、帯状連結部の可撓性を利用して折り曲げ可能とされる点で折畳型携帯電話機と異なる。
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1161572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ストレート型携帯電話機、折畳型携帯電話機、或いは折曲型携帯電話機は、いずれの場合も手提げ紐として用いられるストラップを備えている。しかしながら、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段は、一般的に携帯端末本体部の表面に露出して設けられるため、見栄えが低下し、特にストラップ取付手段が突起物であれば、見栄えの低下が顕著になるとともに、他のものに衝突し易くなる問題が生じた。また、折曲型携帯電話機の場合、折り曲げ状態から復元力によって2つの筐体が開放されるので、いずれか一方の筺体開閉端にストラップが取り付けられていると、ストラップ取付手段を中心とした開閉半径が展開全長となり、展開時のバタツキが大きくなる不利があった。さらに、折曲型携帯電話機の場合、折り曲げ部分に未利用の有効空間が生じた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、表面に突起物を設けず、外観をすっきりさせたデザインを実現できる携帯端末を得ることにある。また、その第二の目的は、展開時のバタツキを少なくすることができる携帯端末及びそれに用いる携帯端末用カバーを得ることにある。さらに、その第三の目的は、折り曲げられた際に生じる未利用の空間が有効利用される携帯端末を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の携帯端末は、可撓性を有して折り曲げ可能であり、2つの筐体を所定間隔離間して連結するとともに、折り曲げ状態から開放状態に戻る復元力を有し、かつ前記2つの筐体間を電気的に接続する連結装置を備え、該連結装置の近傍に、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられたことを特徴とする。
【0006】
この携帯端末では、ストラップ取付手段が連結装置の近傍に設けられ、表面に突起物を設けずに済む。また、折曲型携帯電話機の場合、折り曲げ状態から連結装置の復元力によって2つの筐体が開放されるので、いずれか一方の筺体開閉端にストラップが取り付けられていると、開閉の際、ストラップ取付手段を支持中心とした開閉半径が展開全長となり、展開時にバタツキが生じる。これに対し、本発明に係る携帯端末では、ストラップ取付手段が連結装置の近傍に設けられるので、開閉半径が展開全長の半分となり、展開時のバタツキが少なくなる。
【0007】
請求項2記載の携帯端末は、前記連結装置の近傍が、折り曲げ側となる前記連結装置の内面と、前記連結装置を挟んで対面する前記2つの筐体の一対の対向面とであることを特徴とする。
【0008】
この携帯端末では、連結装置の近傍が、折り曲げ側となる連結装置の内面と、連結装置を挟んで対面する2つの筐体の一対の対向面となることで、連結装置が折り曲げられた際に生じる未利用の空間が有効利用される。
【0009】
請求項3記載の携帯端末は、前記連結装置に、前記巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられたことを特徴とする。
【0010】
この携帯端末では、ストラップ取付手段が携帯端末の折り曲げ中心に配置可能となる。
【0011】
請求項4記載の携帯端末は、前記ストラップ取付手段が、前記2つの筐体の対向面のうち、いずれか一方の筺体の対向面から該筺体の側面に貫通する挿通孔であることを特徴とする。
【0012】
この携帯端末では、筐体の一部分を貫通してストラップ取付手段が高強度に形成され、肉厚が薄い連結装置や、布地の携帯端末用カバーにストラップ取付手段が設けられた場合に発生し易い、強く引っ張られたときの破損が生じ難くなる。
【0013】
請求項5記載の携帯端末は、前記ストラップ取付手段が、前記連結装置の近傍と、前記2つの筐体の一対の対向面のうちいずれか一方の筺体の対向面に平行な該筺体の開閉外端面との二箇所に設けられたことを特徴とする。
【0014】
この携帯端末では、連結装置の近傍に設けられたストラップ取付手段に保持紐の一端が取り付けられるとともに、一方の筺体の対向面に平行な当該筺体の開閉外端面に保持紐の他端が取り付けられ、折り曲げられた携帯端末の両端が一本の保持紐に支持され、小型ハンドバック状となり、携帯端末の斬新な保持スタイルが可能となる。
【0015】
請求項6記載の携帯端末用カバーは、折り曲げ状態から開放状態に戻る復元力を有した連結装置によって所定間隔離間して連結される2つの筐体の裏面を前記連結装置と共に覆う携帯端末用カバーであって、前記連結装置を覆う部位に、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられたことを特徴とする。
【0016】
この携帯端末用カバーでは、携帯端末の展開時におけるバタツキを少なくすることが可能となる。すなわち、折曲型携帯電話機の場合、折り曲げ状態から連結装置の復元力によって2つの筐体が開放されるので、いずれか一方の筺体開閉端にストラップが取り付けられていると、開閉の際、ストラップ取付手段を支持中心とした開閉半径が展開全長となり、展開時にバタツキが生じる。これに対し、本発明に係る携帯端末用カバーでは、ストラップ取付手段が連結装置を覆う部位に設けられることで、開閉半径が展開全長の半分となり、展開時のバタツキが少なくなる。また、携帯端末の本体部にストラップ取付手段を設ける必要がなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る携帯端末によれば、連結装置の近傍に、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられているので、表面に突起物を設けずに済み、外観をすっきりさせたデザインを実現できる。また、折曲型携帯電話機の場合、折り曲げ状態から連結装置の復元力によって2つの筐体が開放されるので、いずれか一方の筺体開閉端にストラップが取り付けられるよりも、ストラップ取付手段を中心とした開閉半径が展開全長の半分となり、展開時のバタツキを少なくすることができる。
【0018】
本発明に係る携帯端末用カバーによれば、連結装置を覆う部位に、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられているので、いずれか一方の筺体開閉端側にストラップが取り付けられるよりも、ストラップ取付手段を中心とした開閉半径が展開全長の半分となり、展開時のバタツキを少なくすることができる。また、携帯端末の本体部にストラップ取付手段を設ける必要がないので、携帯端末本体部のコストを安価にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る携帯端末及びそれに用いる携帯端末用カバーの好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る携帯端末の外観を示す斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3は図1の本体部を裏面から見た斜視図、図4は(a)に本発明に係る携帯端末の開いた状態の本体部及びこれに設けた連結装置を示し、(b)にその本体部が閉じた状態を示す説明図、図5は本発明に係る携帯端末を開いたときの中央断面図である。
本実施の形態に係る携帯端末(折曲型携帯電話機)100は、大略構成として、本体部Aと、本体部Aの外面に設けられるファッションカバーBとから構成される。
【0020】
本体部Aは、図1に示すように、上筐体1及び下筐体2からなる筐体と、これら上下の筐体1、2を固設し、これら上下の筐体1、2の間で折り曲り可能な連結装置3とを備えている。
【0021】
このうち、上筐体1は、第1の音声出力部である受話部(レシーバ)11と、第2の音声出力部であるスピーカ12(図5参照)と、表示部13と、永久磁石14と、第1プリント基板15(図5参照)などを収容している。なお、第1プリント基板15には、表示部13を構成するLCD等が設けられている。
【0022】
一方、下筐体2には、送話部(マイクロフォン)21と、操作部22と、バイブレータ部23(図5参照)と、カメラ部24(図5参照)と、ホール素子25と、着脱可能な電池26(図5参照)と、第2プリント基板27(図5参照)などを収容している。なお、第2プリント基板27は、送受信部、データ変換部、音声処理部、画像処理部、情報記録部及び制御部などを実装している。
【0023】
連結装置3は、折曲可能な連結部を挟んで上下の筐体1、2を固設するものであり、主に、シート状部材と屈曲性部材とで構成されており、アンテナ34(図4参照)と、可撓性配線部材(例えば、フレキシブル基板など)35とを収容している。
【0024】
連結装置3は、上筐体1の下側端面側と下筐体2の上側端面側とを連結するものであり、この連結装置3の屈曲動作により連結部3Aで、図1の矢印P方向及びその反対方向に折曲可能となる。つまり、不使用時には、図4(b)に示すように、本体部Aが閉じた状態、すなわち、上筐体1が下筐体2と対面(対向)する状態に折り曲げられる。他方、使用時には、図4(a)に示すように、使用者の顔が上筐体1と下筐体2に対面するように本体部Aが開かれる。
【0025】
受話部であるレシーバ11は、本体部Aを閉じた時に下筐体2と対面する上筐体1の主面1Aに設けられ、この主面1Aから音声が出力するように配設されている。本実施の形態に係る折曲型携帯電話機100を通常使用するときには、通信相手の音声を出力するものである。一方、図5に示したスピーカ12は、上筐体1の主面1Aとは反対側の裏面1Bに設けられており、メールや電話の待ち状態のようなときには、この裏面1Bから着信音が出力されるように配設されている。
【0026】
送話部のマイクロフォン21と操作部22は、本体部Aが閉じた状態のときに上筐体1の主面1Aと対向する下筐体2の主面2Aに設けられている。バイブレータ部23は、着信時に起振することにより着信を振動で報知するものである。
【0027】
カメラ部24は、下筐体2の主面2Aとは反対側の裏面2Bに、下筐体2に対して着脱可能な電池26と併設して設けられており、操作部22の後方の被写体が撮像可能になっている。カメラ部24が捉えた被写体からの入射光は、レンズ群を通過してCCD(電荷結合素子)などの光電変換素子にて光信号から電気信号に変換され、画像情報が生成される。この画像情報は、画像処理部にて処理された後、表示部13に画像を生成する。
【0028】
ホール素子25は、筐体用永久磁石14の磁界を検出する手段とされ、本体部Aが閉じた状態のときには筐体用永久磁石14と対向するように、第2プリント基板27上に設けられている。このホール素子25は、本体部Aが閉じられた閉状態では、筐体用永久磁石14が近接状態にあるため、筐体用永久磁石14の磁界を検出して制御部に検出信号を出力する。また、このホール素子25は、本体部Aが開状態であれば筐体用永久磁石14が離間するので、この筐体用永久磁石14の磁界を検出できないため、ホール素子25は検出信号を生成しない。
【0029】
すなわち、ホール素子25が筐体用永久磁石14を検出すると本体部Aは閉じた状態であり、検出できなければ開いた状態である。本実施の形態に係る折曲型携帯電話機100では、筐体が閉じた状態のとき、受信待受け状態であれば表示部13には何も表示されず、電力が消費されない。また、表示部13を照明する照明手段(図示せず)も発光しない。開いた状態であれば、受信電界強度を示すマーク、電池残容量情報、時刻情報や着信情報等が表示されるとともに、照明手段による照明が行われる。
【0030】
連結装置3は、本体部Aが閉じられるときには屈曲し、本体部Aが開かれるときには屈曲状態が解除されるものであり、可撓性を有し、中央部の連結部3Aを隔てて上下2つの筐体1、2を固設するシート状部材と、折り曲げるとフラットな状態(折り曲げる前の状態)に戻る復元力と剛性を有し、上下2つの筐体1、2を固設する屈曲性部材とを備えている。連結装置3は、図5に示すように、第1連結部材31と、第2連結部材32と、第3連結部材33とから構成されている。このうち、第1連結部材31と第3連結部材33がシート状部材を構成するとともに、第2連結部材32が屈曲性部材を構成している。
【0031】
第1連結部材31は、上筐体1の主面1A及び下筐体2の主面1Bと同じ向きの面を構成するのと同時に、上筐体1の外表面と下筐体2の外表面を一体的に形成する(上下筐体1、2の外表面を兼用する)。第2連結部材32は、上筐体1から下筐体2に跨って設けられ、可撓性と剛性を有する薄板状の鋼材(炭素工具鋼鋼材やステンレス鋼等)で形成してある。第3連結部材33は、下筐体2の裏面2Bを一体に連結するとともに、第2連結部材32や可撓性配線部材35を覆い隠すようにして第1連結部材31に取付けられる。
【0032】
なお、第1連結部材31と第3連結部材33とは、熱可塑性ポリエステル・エーテル・エラストマやポリウレタン樹脂など可撓性を有する適宜の材料で形成してある。また、この第1連結部材31と第3連結部材33を形成する材料は、上述した材料に限るものではなく、可撓性や弾性を有する材料でシート状に形成すればよい。
【0033】
第1連結部材31で構成する上下の筐体1、2の主面1A、2Aの内面側は、主面1A、2Aの形成材料とは異なるABS樹脂などの別の材料を用いて内面部1C、2Cを形成してある。すなわち、異種材料で一体的に形成される異材質成形法(例えば、インサート成形など)によって、上筐体1及び下筐体2を一体的に構成する。本実施の形態では、熱可塑性ポリエステル・エーテル・エラストマで成形される上筐体1及び下筐体2の外表面(実際には、第1連結部材31で構成している)1A、2Aと、ABS樹脂で成形される窓枠部13Aとを一体的に形成している。
【0034】
第2連結部材32は、図4に示すように、上筐体1から下筐体2に向かって直線状に延設されており、その断面形状は、薄板が幅W1、曲率R2の円弧状に形成されている。なお、曲率R2の中心は、上筐体1の主面1A側(または下筐体2の主面2A側)にあり、この中心を点Oで示す。
【0035】
図4(A)に示すように、本体部Aの連結装置3が開いた状態では、第2連結部材32は曲率R2の断面円弧状が片端から他端まで維持されながら上筐体1から下筐体2に向かって直線状に延在しており、安定した状態が保持されている。ここで、この本体部Aの連結装置3が開いた状態(図1の状態)から、さらに開放(拡開)させるために矢印Pとは反対方向へ曲げようとしても、湾曲状態が形成されているときには、この湾曲状態を解除させようとする(本体部Aをフラットな開放状態からさらに開放する)方向への剛性が高められており、開放状態を保持しようとする力(以下、これを「湾曲保持力」とよぶ)が発生している。従って、本体部Aを開放上体からさらに開放させる方向、つまり凹状の湾曲面(負曲面)方向とは反対の凸状の背曲面(正曲面)方向への開放に要する力(逆曲力)は、P方向へ本体部を閉じるのに要する力(折曲力)に比べて格段と大きいので、曲がりづらい。この曲がりづらさは、第2連結部材32の固定方法や断面2次モーメント、ヤング率等から決定される。
【0036】
一方、逆に、所定以上の力で矢印P方向(図5参照)へ曲げると、第2連結部材32の中央部は、飛び移り現象によって本体部Aの連結装置3が閉じる方向へ曲がるが、塑性変形はせず、加えた力を排除すると復元力で元のフラットな開放状態に復帰して、本体部Aの連結装置3は開かれた状態に戻る。すなわち、第2連結部材32は、本体部Aが開かれた状態から矢印P方向への容易な曲げ動作がおこなわれるのを防止する手段としても機能する。
【0037】
したがって、本体部Aを開いているときには、第1、第2、第3連結部材31〜33がストレート(真直)な開放状態となり、第2連結部材32の剛性によってこの状態が維持される。下筐体2を手に持ったときには上筐体1が開放状態を保持して静止しており、矢印P方向には曲がらず、またその反対方向へは垂れ下がらない。しかも、本体部Aを閉じるときには容易に閉じることができる。
【0038】
次に、ファッションカバーBについて説明する。
ファッションカバーBは、基材であるベース部材4A(図5参照)と、ベース部材4Aの外表面を覆い、綿や麻などの天然繊維、アクリルやナイロン、ウレタンなどからなる合成繊維や革部材など、ファッション性に富んだ材料(外皮)からなる外観部4Bと、同様な材料をベース部材4Aの外周面に、外観部4Bと連設した縁巻き部4Cとで構成されている。
【0039】
ベース部材4Aは、熱可塑性ポリエステル・エーテル・エラストマやポリウレタン樹脂など可撓性を有する適宜の材料で形成されている。ベース部材4Aの内面には、上筐体1の裏面1Bを形成する上筐体裏面部(裏面)4Dと、電池26を覆う電池カバー部4Eとが、ABS樹脂で一体的に形成されている。すなわち、ベース部材4Aも異材質成形を用いている。また、ベース部材4Aの裏面が上下の筐体1、2に装着されたときに該筐体1、2の外形より外側に突出する屈曲可能な突出部を形成するために、中央には湾曲部4Fが設けられている。
【0040】
上筐体裏面部4Dには下穴332Bが設けられ、上筐体1に対してタッピンねじ29によって螺着される。ファッションカバーBは、ベース部材4Aの例えば電池カバー部4Eに形成された係合部としての係合爪4Gが下筐体2に形成された引掛け爪2Dに対して着脱可能に装着される。本体部Aに対してベース部材4Aの内面側が取付けられると、連結部3Aに対して湾曲部4Fが離間するようになっている。
【0041】
ベース部材4Aの外表面に設けられる外観部4B(外皮)は、ベース部材4Aに対して外皮4Bが移動するのを防止するために、予めベース部材4Aに対して外皮4Bを接着固定して位置決めが行われる。次にベルト部材6を糸でベース部材4Aとともに外皮4Bに縫製し、次に縁巻き部4Cを糸5Bでベース部材4Aとともに外皮4Bに縫製する。縁巻き部4Cを縫製するときには、ミシンによる素材押さえ、素材送りのため、ベース部材4Aの端面から所定の距離だけ平坦部が確保されている。
【0042】
外観部4Bには、スピーカ12から出力された音声を通過させる第1開口孔4Hや、カメラ部24の前方を開口した第2開口孔4Jが設けられている。外皮4Bは、前述したように、ベース部材4Aに貼り付けられた後に縫製される。縫製前に貼り付けることで、縫製位置を安定させ、また、把持したときにベース部材4Aに対して外観部の移動(ズレ)を防止するので、把持時のズレによってカメラ部24を覆ってしまうことで撮影ができなることを防止したり、持つ手に違和感を感じさせずに済む。
【0043】
また、このファッションカバーBの外観部4Bの一端側(電池カバーの裏面側近傍)には、一端が縫製され他端には中央に凸部6Aが形成された磁性体の金具6Bが設けられたベルト部材6が取付けられている。また、外観部4Bの他端側(レシーバの裏面近傍側)には、内部に第2永久磁石4K(図5参照)を有し中央に凹部4Lが形成された係合部4Mが設けられている。
【0044】
これにより、本体部Aを閉じた時、ベルト部材6を折り曲げて外観部4Bの他端部寄りに設けた係合部4Mに金具6Bを吸着させて係合させることができる。このとき、縁巻き部4Cが本体部Aに近接する方向へ倒れ、ベルト部材6が折り曲げられながらも張架して、金具6Bと係合部4Mが係合し、本体部Aが略密着するように閉じられる。
【0045】
このようにして、本体部Aを閉じたときには、第2連結部材32の戻り力F2により本体部Aが開こうとするが、金具6Bが係合部4Mに係合することで、本体部Aに戻り力F2が作用していても本体部Aが開かれることを防止することができる。
【0046】
なお、金具6Bと係合部4Mの係合を解除する時は、ベルト部材6の先端を引き上げるようにするとよい。すなわち、凹部4Lに嵌った凸部6Aを抜くような力を加えると、簡単に係合が解除される。係合した状態で本体部Aに戻り力F2が作用しているときには、凸部6Aは凹部4Lの半径方向に寄せられるだけなので、容易には抜けない。この第2連結部材32の戻り力F2は、本体部Aを閉じた状態で上筐体1又は下筐体2自身の自重よりも小さく設定することで、ベルト部材6を用いなくても、折り曲げ状態を保持できるように構成してもよい。
【0047】
また、ベルト部材6の金具6Bに凹部4Lを設け、外観部4Bの他端側に凸部6Aを設けて、両者を磁力により吸着係合させるようにしてもよい。
【0048】
ここで、図3及び図5を用いて、ファッションカバーBを本体部Aに装着するときの動作について説明する。
同図に示すように、まず、初めに、ファッションカバーBの上筐体裏面部4Dに本体部Aの上筐体1を組付ける。次に、ファッションカバーBの湾曲部4Fが略平坦になるように矢印T方向へ引く。矢印T方向へ引張った状態を2点鎖線で示す。ファッションカバーBの電池カバー部4Eに形成された係合爪4Gを本体部Aに形成された引掛け爪2Dに引掛けながら、ファッションカバーBを矢印T方向とは反対方向へ移動させると、係合爪4Gと引掛け爪2Dが係合して、本体部Aに対してファッションカバーBの装着が完了する。
【0049】
他の方法として、ファッションカバーBの上筐体裏面部4Dに本体部Aの上筐体1を組付けた後、本体部Aを矢印P方向へさらに拡開させることで、ファッションカバーBが矢印T方向へ移動させるだけの余長が生じる。後は、前述したように、係合爪4Gを本体部Aに形成された引掛け爪2Dに引掛けながらファッションカバーBを矢印T方向とは反対方向へ移動させると、係合爪4Gと引掛け爪2Dが係合して、本体部Aに対してファッションカバーBの装着が完了する。
【0050】
このように、ファッションカバーBに湾曲部4Fを設けたり、連結装置3を拡開させることにより、本体部Aに対してファッションカバーBを簡単に着脱可能にする。しかも、その操作方法は極めて簡単である。
【0051】
また、本実施形態によれば、第1連結部材31は、上筐体1と下筐体2を連続的に繋げた構成としたので、上下の筐体1、2に一体感を備えさせることができる。また、ファッションカバーBを上筐体1に対して着脱できる構成(電池カバー部と同様な構成)にすれば、使用者は好みに応じてファッションカバーBを自由に交換することも可能なので、使用者の好みに応じた個性的な折曲型携帯電話機100を提供できる。また、勿論、ファッションカバーBが汚れた際には交換して洗濯などもできるので、常に新鮮さ清潔さを維持できる。
【0052】
図6は連結装置の近傍を表した要部斜視図、図7はストラップが取り付けられた折り曲げ状態の折曲型携帯電話機を表す斜視図および変形例を表す斜視図、図8は連結装置にストラップを巻回して取り付けた折曲型携帯電話機の展開状態の斜視図である。
ところで、折曲型携帯電話機100には図1に示したストラップ41が取り付けられている。ストラップ41は、折曲型携帯電話機100に取り付ける巻着紐43の両端と、手で保持するための保持紐45の両端とを束ねて止具47により固定し、巻着紐43と保持紐45とが大小二つの環状に形成される。
【0053】
一方、連結装置3の近傍には、ストラップ41の巻着紐43を取り付けるためのストラップ取付手段(取付環)49が設けられている。取付環49は、例えば布材等の可撓性を有する長片材の両端を連結部3Aに固着することで、巻着紐43の挿通環部51を形成してなる。
【0054】
ストラップ41は、一端側の巻着紐43を取付環49に挿通し、その巻着紐43の環状部に、他端側の保持紐45を挿通することにより、巻着紐43が取付環49に巻着されて取り付けられる。これにより、ストラップ41は、巻着紐43を介して折曲型携帯電話機100に取り付けられ、保持紐45の環状部53に、指或いは手首を掛けることにより、折曲型携帯電話機100を吊り下げて保持できるようになっている。
【0055】
ここで、連結装置3の近傍とは、図6に示すように、折り曲げ側となる連結装置の内面3aと、連結装置3を挟んで対面する2つの筐体1、2の一対の対向面1a、2aとを言う。このように、連結装置3の近傍が、連結装置3の内面3aと、2つの筐体1、2の一対の対向面1a、2aとなることで、連結装置3が折り曲げられた際に生じる未利用の空間55(図7(A)参照)が有効利用されることになる。
また、取付環49は、連結装置3の近傍のうち、特に図1に示したように連結装置3に設けられれば、折曲型携帯電話機100の折り曲げ中心に配置することが可能となる。このように、折り曲げ中心に取付環49が配置されていれば、取付環49に巻着したストラップ41を保持することで、折曲型携帯電話機100をバランスよく吊下げることができる。
【0056】
さらに、ストラップ41は、図8に示すように、巻着紐43を長く形成し、連結装置3の外周に巻きつけるようにして取り付けられるものであってもよい。この場合、ストラップ4の巻着紐43によって形成される環状部43aは、連結装置3の外周に巻きつけ可能な大きさを有し、かつ筐体1、2の通過を阻止する大きさに形成される。これにより、特別な取付環49を設けることなく、環状部43aから筐体1、2が通過しないようにして、ストラップ41を連結装置3に巻着することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、連結装置3に取付環49が固着される場合を例を説明したが、ストラップ取付手段は、この他、連結装置3に穿設される図示しない巻着穴であってもよい。この場合、巻着穴にハトメを取付けて強度を高め、当該巻着穴からの破れを防止することが好ましい。
【0058】
次に、本実施形態の折曲型携帯電話機100の動作について詳細に説明する。
上述のように構成された本実施形態の折曲型携帯電話機100にあっては、普段使用しないときには、ベルト部材6で閉止することで上筐体1と下筐体2とが閉じて連結部3Aで折れ曲がった状態を保持するが、使用するために、ベルト部材6の金具6Bと係合部4Mとの係合状態を解除すると、第2連結部材32の戻り力F2により本体部Aが開かれて略フラットな状態に戻って静止し、この開放状態が第2連結部材32の湾曲保持力(作用)によって安定的に保持される。
【0059】
一方、非使用時(受信待受け状態)には、本体部Aに閉鎖力F1以上の閉じる力を与えて上筐体1の主面1Aと下筐体2の主面2Aを対面させ、ベルト部材6の金具6Bを係合部4Mに係合させて、本体部Aを閉じた状態にすることができる。この本体部Aが閉じられた状態では、ファッションカバーBの湾曲部4Fが第3連結部材33に近接しながら小さく折り曲げられ、しかも、縁巻き部4Cが上、下筐体1、2へ近づく方向に倒れているので、上下筐体1、2の主面1A、2Aに対して垂直方向に関する投影面積が最小となり、携帯性に好適となる。
【0060】
また、この本体部Aが閉じた状態では、第3連結部材33の最肉薄部(凹部)33Bが拡開し(図5参照)、連結部3Aに対応する第2連結部材32の中央部が平坦化する。このとき、第3連結部材33の最肉薄部33Bには、この部分の拡開状態を解消しようとする力が作用し、第2連結部材32の中央部には平坦状から湾曲状に戻ろうとする力が作用し続けているが、前述したように、ファッションカバーBの第1連結部材31のベルト部材6に設けた金具6Bを係合部4Mに係合させることで、閉じられた状態が維持される。
【0061】
そして、取付環49が連結装置3の近傍に設けられることで、表面にストラップ取付手段である突起物等を設けずに済む。また、折曲型携帯電話機100の場合、折り曲げ状態から連結装置3の復元力によって2つの筐体1、2が開放されるので、いずれか一方の筺体開閉端にストラップ41が取り付けられていると、開閉の際、取付環49を支持中心とした開閉半径が展開全長となり、展開時にバタツキが生じる。これに対し、本発明に係る折曲型携帯電話機100では、取付環49が連結装置3の近傍に設けられるので、開閉半径が展開全長の略半分となり、展開時のバタツキが少なくなる。
【0062】
したがって、本実施形態による折曲型携帯電話機100によれば、連結装置3の近傍に、ストラップ41の巻着紐43を取り付ける取付環49が設けられているので、表面に突起物を設けずに済み、外観をすっきりさせたデザインを実現できる。また、いずれか一方の筺体開閉端にストラップ41が取り付けられるよりも、展開時のバタツキを少なくすることができる。
なお、図7(B)に示すように、取付環49は、連結装置3の近傍に2個設けても良い。これによれば、図7(C)に示すように、各取付環49にまたがってストラップ41を架け渡すことにより、小型ハンドバック状の保持スタイルが可能となる。
【0063】
次に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
図9(A)は挿通孔が筐体を貫通して設けられた第2実施形態に係る折曲型携帯電話機の要部斜視図である。
この実施形態による折曲型携帯電話機200は、ストラップ取付手段である挿通孔61が、2つの筐体1、2の対向面1a、2aのうち、いずれか一方の筺体(本実施の形態では筺体1)の対向面1aから、この筺体1の側面1bに貫通して設けられている。
したがって、この折曲型携帯電話機200によれば、肉厚が薄い連結装置3や、布地のファッションカバーBにストラップ取付手段が設けられた場合に発生し易い、強く引っ張られたときの破損を生じ難くすることができる。
【0064】
次に、本発明に係る第3実施形態を説明する。
図10は一方の筐体の両端側に保持紐の両端を取り付けた第3実施形態に係る折曲型携帯電話機の斜視図である。
この実施形態による折曲型携帯電話機300は、ストラップ取付手段である取付環49、巻着穴又は挿通孔61(本実施の形態では取付環49)が、連結装置3の近傍と、2つの筐体1、2の一対の対向面1a、2aのうちいずれか一方の筺体(本実施の形態では筺体1)の対向面1aに平行な筺体1の開閉外端面1cとの二箇所に設けられている。
したがって、この折曲型携帯電話機300によれば、連結装置3の近傍に設けられた取付環49に保持紐45の一端45aが取り付けられるとともに、開閉外端面1cに保持紐45の他端45bが取り付けられ、折り曲げられた折曲型携帯電話機300の両端が一本の保持紐45に支持され、図示のように小型ハンドバック状となり、折曲型携帯電話機300の斬新な保持スタイルが可能となる。
【0065】
次に、本発明に係る第4実施形態を説明する。
本実施の形態は、図示は省略するが、本体部Aに被着されるファッションカバーBに、ストラップ取付手段が設けられる。すなわち、ファッションカバーBは、連結装置3を覆う部位に、ストラップ取付手段である取付環49又は巻着穴を備えている。
ストラップ取付手段を備えたこのようなファッションカバーBが折曲型携帯電話機に被着されることで、上述した効果と同様、展開時におけるバタツキを少なくすることが可能となる。すなわち、ファッションカバーBの連結装置3を覆う部位に、ストラップ取付手段が設けられているので、いずれか一方の筺体開閉端側にストラップ41が取り付けられるよりも、ストラップ取付手段を中心とした開閉半径が展開全長の半分となり、展開時のバタツキを少なくすることができる。また、本体部Aにストラップ取付手段を設ける必要がないので、折曲型携帯電話機のコストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る携帯端末の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の本体部を裏面から見た斜視図である。
【図4】(a)に本発明に係る携帯端末の開いた状態の本体部及びこれに設けた連結装置を示し、(b)にその本体部が閉じた状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る携帯端末を開いたときの中央断面図である。
【図6】連結装置の近傍を表した要部斜視図である。
【図7】ストラップが取り付けられた折り曲げ状態の折曲型携帯電話機を表す斜視図および変形例の要部斜視図である。
【図8】連結装置にストラップを巻回して取り付けた折曲型携帯電話機の展開状態の斜視図である。
【図9】挿通孔が筐体を貫通して設けられた第2実施形態に係る折曲型携帯電話機の要部斜視図および変形例の要部斜視図である。
【図10】一方の筐体の両端側に保持紐の両端を取り付けた第3実施形態に係る折曲型携帯電話機の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2 筐体
1a、2a 一対の対向面
1b 側面
1c 開閉外端面
3 連結装置
3a 内面
41 ストラップ
43 巻着紐
49 取付環(取付環ストラップ取付手段)
61 挿通孔(取付環ストラップ取付手段)
100、200、300 折曲型携帯電話機(携帯端末)
B 携帯端末用カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有して折り曲げ可能であり、2つの筐体を所定間隔離間して連結するとともに、折り曲げ状態から開放状態に戻る復元力を有し、かつ前記2つの筐体間を電気的に接続する連結装置を備え、
該連結装置の近傍に、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記連結装置の近傍が、折り曲げ側となる前記連結装置の内面と、前記連結装置を挟んで対面する前記2つの筐体の一対の対向面とであることを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記連結装置に、前記巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記ストラップ取付手段が、前記2つの筐体の対向面のうち、いずれか一方の筺体の対向面から該筺体の側面に貫通する挿通孔であることを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
【請求項5】
前記ストラップ取付手段が、前記連結装置の近傍と、前記2つの筐体の一対の対向面のうちいずれか一方の筺体の対向面に平行な該筺体の開閉外端面との二箇所に設けられたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
折り曲げ状態から開放状態に戻る復元力を有した連結装置によって所定間隔離間して連結される2つの筐体の裏面を前記連結装置と共に覆う携帯端末用カバーであって、
前記連結装置を覆う部位に、ストラップの巻着紐を取り付けるストラップ取付手段が設けられたことを特徴とする携帯端末用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−19921(P2006−19921A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194219(P2004−194219)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】