説明

携帯端末装置、携帯端末装置の消費電力低減方法及びプログラム

【課題】電子メール機能を頻繁に使用する場合でも電池を長持ちさせることが可能な携帯端末装置、携帯端末装置の消費電力低減方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末装置1は、液晶パネル31とバックライト32とを備える表示手段51と、電子メール処理手段52と、バックライト調整手段53と、背景画像設定手段54と、電池40と、を備えている。ユーザが電子メールを作成する場合、電子メール処理手段52は、電子メールの作成のためのメッセージと、背景色等の背景画像の一部とを液晶パネル31に表示させる。背景画像設定手段54は、バックライト32の消費電力が最も少なくなるように、所定の背景画像から表示させる背景画像を選択する。バックライト調整手段53は、選択された背景画像に応じてバックライト32の輝度を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、携帯端末装置の消費電力低減方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯端末装置において、画面表示用としてバックライトを備える液晶ディスプレイが広く用いられている。この液晶ディスプレイの表示形態を、ユーザの利便性を向上させる目的で自動的に変化させる技術が知られている(例えば特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1には、外部輝度に応じてユーザが見やすくなるように液晶ディスプレイの輝度を自動的に変化させる技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、主としてユーザが情報を直感的に理解可能となるように、スケジュール機能又はカレンダー機能の画面においてユーザの特定の操作に応じてバックライトに所定の色を発色させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−310983号公報
【特許文献2】特開2001−86217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話機が普及するにつれ、付随する電子メール(以下、単にメールともいう)機能を活用するユーザが多くなり、メール機能の使用頻度も高くなっている。しかし、メール作成中は常に携帯電話機の画面を表示しており、また文字入力中は液晶画面のバックライトが点灯したままとなるため、メール作成時の電池の消費電力は多い。そのために、メール作成を頻繁に行うユーザにとっては電池の減りが早い、即ち電池の充電又は交換の間隔が短くなってしまうという問題がある。
【0007】
電池の充電又は交換の間隔を少しでも延ばすために、即ち電池を長持ちさせるために、画面のバックライトの明るさを手動で段階的に変化させることは既に知られている。そのような携帯電話機においては画面のバックライトを暗めに設定することで電池の消費を少なくする。しかしながら、このような設定では、画面のバックライトを暗くすることで、周囲が明るい時にメール作成など文字入力を伴う場合など視認性に欠けるという欠点がある。
【0008】
また、近年の携帯電話機では、画面の背景色をユーザの好みによって選択できるものが多く、メール作成時の画面においてもそれぞれの背景色が反映される。そのような機能を搭載した携帯電話機の場合、背景色が明るい色であれば画面の表示に関わる消費電流が多く流れ、背景色が暗い色であれば明るい色に比べて画面の表示に関わる消費電流が少ないといったように、背景色によってメール作成時の電池の消費が異なる。よって、電池の消費が多い背景色を選択しているユーザにとっては電池の消費が最も少ない背景色を選択した場合に比べて、電池のもちが悪い。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電子メール機能を頻繁に使用する場合でも電池を長持ちさせることが可能な携帯端末装置、携帯端末装置の消費電力低減方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る携帯端末装置は、
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、
該表示手段に電力を供給する電池と、
背景画像の一部と電子メールについてユーザが所定操作をするための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示させる電子メール処理手段と、
前記液晶パネルに表示される前記背景画像に対応して前記バックライトの輝度を調整するバックライト調整手段と、
前記液晶パネルが前記所定画像を表示する際、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する背景画像設定手段と、を備える、
ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る携帯端末装置の消費電力低減方法は、
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、該表示手段に電力を供給する電池と、を備える携帯端末装置の消費電力低減方法であって、
背景画像の一部とユーザが電子メールについての所定操作のための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示する際に、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する、
ことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、該表示手段に電力を供給する電池と、を備えた携帯端末装置を制御するコンピュータを、
背景画像の一部と電子メールについてユーザが所定操作をするための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示させる電子メール処理手段、
前記液晶パネルが前記所定画像を表示する際、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する背景色設定手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯端末装置において、電子メール機能を頻繁に使用する場合でも電池を長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る携帯端末装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯端末装置のより具体的な構成を示すブロック図である。
【図3】待ち受け画面及びメール作成画面の例を示す図である。
【図4】第1実施形態の待ち受け画面及びメール作成画面を示す図である。
【図5】第1実施形態の画面呼び出し処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態の画面呼び出し処理を示すフローチャートである。
【図7】背景色の変更を問い合わせるポップアップ画面を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態における画面呼び出し処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4実施形態における背景色設定処理を示すフローチャートである。
【図10】背景色設定画面の表示例を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図12】第5実施形態の画面呼び出し処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下の例ではいわゆる携帯電話機としての携帯端末装置について説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態に係る携帯端末装置1は、表示手段51と、電子メール処理手段52と、バックライト調整手段53と、背景画像設定手段54と、電池40と、を備えている。
【0017】
表示手段51は、本実施形態では液晶ディスプレイとして構成されており、液晶パネル31とバックライト32とを備えている。液晶パネル31は、その画面領域に文字、図形等の各種情報を表示する。以下の動作の説明では、各図面では液晶パネル31の画面領域を図示する。バックライト32は、液晶パネル31の画面領域の後部から所定の色及び輝度の光を照射する。
【0018】
電子メール処理手段52は、携帯端末装置1が具備する電子メール機能全般を処理するが、本実施形態では特に表示手段51に電子メール作成画面を表示させるための機能を備える。
【0019】
バックライト調整手段53は、表示手段51の液晶パネル31に表示された画像に応じて、バックライト32の輝度を調整する。
【0020】
背景画像設定手段54は、予め設定された複数種類の背景画像の群から、電子メール作成時に消費電力が低くなるような画像を選択して表示手段51に表示させる。なお、この動作については後述する。
【0021】
電池40は、上述の各手段に電力を供給する二次電池である。なお、電池40の具体的構成等は任意でよく、一次電池であってもよい。
【0022】
図2は本実施形態に係る携帯端末装置1のより具体的な構成を表すブロック図である。図2に示すように、携帯端末装置1は、アンテナ11と、無線部12と、メモリ13と、音声/オーディオ信号処理部14と、出力デバイス15と、マイク16と、制御部17と、操作部18と、表示部19と、電池40と、を備えている。
【0023】
無線部12はアンテナ11に接続されており、アンテナ11を通じて無線信号の送受信処理を行う。
【0024】
音声/オーディオ信号処理部14は、出力デバイス15及びマイク16に接続されており、アンテナ11、無線部12及び制御部17を介して受信した音声やオーディオ信号をD/A(デジタル/アナログ)変換して、出力デバイス15から音声や音楽データとして出力する。また、音声/オーディオ信号処理部14は、マイク16から入力された音声をA/D(アナログ/デジタル)変換し、制御部17、無線部12及びアンテナ11を介して相手先に送信する。
【0025】
出力デバイス15は、本実施形態では音声を出力する装置である。出力デバイス15の具体的構成は任意であり、レシーバ、スピーカ、イヤホン及び外部ハンズフリー等の種々の形態のうちいずれであってもよい。
【0026】
操作部18は、ユーザが電話番号等の入力や各機能の選択等を行うための複数のキー等から構成されている。
【0027】
表示部19は、図1に示した表示手段51に相当する液晶ディスプレイとして構成されており、液晶パネル31とバックライト32とを備えている。
【0028】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)20を含んで構成されている。制御部17には、無線部12と、メモリ13と、音声信号処理部14と、操作部18と、表示部19と、電池40と、が接続されており、制御部17はこれら各部の制御を行う。また、制御部17は、操作部18を監視し、ユーザの操作を検出判断して操作に基づく処理を行うとともに、表示部19を制御して各種表示を行う。これらの制御のため、制御部17のCPU20は、メモリ13に格納されたプログラムを実行する。
【0029】
メモリ13は、制御部17が実行するプログラムを格納したり、ユーザが設定したデータ等を記憶したりする記憶装置である。
【0030】
以下、上述された構成を備える携帯端末装置1の動作について説明する。本実施形態でのメール作成時においては、制御部17にてメール作成に関する所定処理を行い、表示部19にてメール作成画面を表示する。また、文字入力があった場合は、制御部17にてバックライト32の制御を行い、表示部19の画面バックライト32を点灯する。
【0031】
初めに、図3を用いて本発明とは異なる関連技術であるメール作成画面表示例について説明する。
【0032】
この例では、図3に示すように、液晶パネル31に表示された待ち受け画面において背景画像としての背景色が例えば4パターン備わっているものとし、それぞれを背景色C1〜C4とする。
【0033】
このような複数の背景色のうちから、例えば筐体の色によってデフォルトの色が決められていることが多い。また、ユーザの好みによって、背景色を変更することも可能である。
【0034】
このようなデフォルトの背景色、又はユーザの好みによって変更された背景色は、各種設定を行う画面であったり、ゲーム中の画面であったり、メール作成中の画面であったりと、図3の待ち受け画面だけでなく他の画面においても同様の背景色が使われる。
【0035】
メール作成時に表示されるメール作成画面では、待ち受け画面と同じ背景色(C1〜C4のいずれか)が表示されるとともに、画面中央部にメール編集画面21が設けられている。
【0036】
このようなメール作成画面の場合は、表示部19の画面領域のほとんどが文字を入力するエリアであるメール編集画面21で占められており、背景色はその上部や下部のみ表示されている。
【0037】
次に、図3の例における電池40の電力消費について説明する。なお、以下の説明において、電池40(又は単に電池)の消費とは特に断りが無い限り電力消費のことを指す。また、消費電力とは単位時間当たりの量を指す。
【0038】
携帯電話機等の携帯端末装置で文字入力する場合、ユーザの視認性のために画面のバックライト32を点灯する。バックライト32の明るさはユーザが予め選択できることが多く、バックライト32の明るさを明るくすればするほど電池40の消費は多くなることは知られている。よって、電池40の消費を抑えたいユーザはバックライト32の明るさを暗くする必要がある。但し、バックライト32の明るさを暗めに設定することで、周囲が明るい時にメール作成で文字入力を行う場合など、視認性に欠けるという問題がある。また、メール作成時においては、図3の待ち受け画面の状態に比べユーザが文字入力をしている時間の割合が多く、そのために画面のバックライト32が点灯している時間も長くなる。そのため、待ち受け画面に比べメール作成画面での消費電力は多い。
【0039】
前述したように、表示画像に合わせて画面のバックライトの明るさを自動で調整する技術が備わっている携帯端末装置においては、背景色の状態によっても、点灯するバックライト32の明るさの違いにより消費する電流値が異なることが解っている。
【0040】
背景色C1〜C4ではそれぞれバックライト32の点灯時における消費電力は異なるものとする。ここでは、背景C2が最もバックライト32点灯時の消費電力が多く、背景色C4が最もバックライト32点灯時の消費電力が少ないものとする。
【0041】
前述したように、メール作成時はバックライト32の点灯時間が他の画面の状態に比べて支配的であるため、背景色の違いによる消費電力は大きな差となってしまう。ユーザは、デフォルトで設定されている背景色をそのまま使用することも多い。また、背景色を変更する場合、電池40の消費を意識して変更するユーザは少ない。
【0042】
そこで、本発明では、消費電力の差が大きいメール作成時において、背景色を最も消費電力が少ない背景色に一律で設定することで、メール作成を頻繁に行う場合でも電池40をより長持ちさせることを可能とする。
【0043】
図4は、第1実施形態でのメール作成画面表示を示す。
【0044】
図4は、図3と同様に待ち受け画面とメール作成画面とを示し、図3と同様に画面の背景色がC1〜C4の例えば4パターン備わっているものとする。また、図3と同様に、背景色C2が最もバックライト32点灯時の消費電力が多く、背景色C4最もバックライト32点灯時の消費電力が少ないものとする。
【0045】
図4に示すように、本実施形態ではメール作成時の電池40の消費をより抑えるべく、メール作成時は一律で最も消費電力が少ない背景色C4に設定する。このように、メール作成画面において、一律に背景色を消費電力が少ない色に設定することで、背景色C1〜C3に設定されている携帯端末装置においては、図3の場合と比べてメール作成時の電池40の消費をより少なくすることが可能となる。
【0046】
次に、本実施形態におけるメール作成時の背景色の設定方法について、図5を用いて説明する。
【0047】
まず、ユーザが各機能を使用するために所定画面を呼び出す(ステップS10)。次に、制御部17は呼び出された処理がメール作成処理であるかを判定する(ステップS20)。本実施形態では、背景色によって電流の差が最も大きいとされるメール作成時においてのみ背景色を変更するため、メール作成処理でない場合(ステップS20:No)は、予め設定された画面をそのまま表示する(ステップS40)。
【0048】
呼び出された処理がメール作成処理であった場合(ステップS20:Yes)、制御部17は現在の背景色を最もバックライト32点灯時の消費電力が少ない背景色に変更する(ステップS30)。このとき、制御部17は背景色設定手段として機能する。なお、現在の背景色が最も消費電力が少ないものである場合には背景色の変更は行わない。続いて、表示部19は制御部17の指令に基づき、背景色とユーザがメール作成を行うための情報(案内等)とを含む画面の表示を行う(ステップS40)。このとき、制御部17は電子メールに関する処理の全般を制御する電子メール処理手段として機能する。
【0049】
また、表示部19は、表示された画像に対応してバックライト32の輝度を調整するバックライト調整手段として機能する。つまり、表示部19は、ステップS30において変更された背景色を含む画像に合わせて、バックライト32に流れる電流を小さくし、バックライト32の輝度を低下させる。
【0050】
その後、メール作成が終了して別の画面を表示する際には、制御部17はメール作成前に設定されていた背景色の設定に戻す(ステップS50)。
【0051】
このように、本実施形態では、メール作成時のみに背景色の変更を行い、他の各種画面では、デフォルトの設定による背景色、又はユーザが変更した背景色のまま表示を行う。
【0052】
本発明では、近時ユーザの使用頻度が高まっているメール作成時において電池40の消費を抑えることで、より電池40の持ち時間を長くすることができる。加えて、背景色の変更を、他の画面と比べて消費電力の差が最も大きいメール作成時のみに限定することで、好みで背景色を選択しているユーザに対して、背景色の変更を最小限に抑えながら、電池40を長持ちさせることができる。
【0053】
(第2実施形態)
前述の第1実施形態ではメール作成画面の背景色を一律に変更していたが、ユーザによっては、メール作成時の電池の消費よりも、画面の背景色を重視することも考えられる。そこで、第2実施形態では、メール作成画面の背景色を変更するか否かをユーザが選択できるものとする。
【0054】
図6は第2実施形態における動作を示すフローチャートである。まず、ユーザが機能の呼び出しを行うと(ステップS10)、制御部17は呼び出された処理がメール作成処理であるか否かを判定する(ステップS20)。メール作成が呼び出されたと判断された場合(ステップS20:Yes)、第1実施形態では一律で背景色の変更を行ったが、本実施形態では、現在設定されている背景色が最もバックライト32点灯時の消費電力が少ない背景色であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0055】
呼び出された処理がメール作成処理でないと判定された場合(ステップS20:No)、図7に示すように、表示部19は制御部17の指令に基づいて、ユーザにメール作成画面の背景色を変更するか否かを促すポップアップ画面25を表示する(ステップS22)。このとき、制御部17及び表示部19は選択画面表示手段として機能する。また、ポップアップ画面25には、「メール作成画面の背景色を変更した場合、メール作成時の電池の消費を抑えることができます。」等の表示を行うことで、背景色を変更することで電池40の消費が異なってくる旨のメッセージをユーザに伝える。
【0056】
ユーザがメール作成時の背景色を変更しないと判断し、上記ポップアップ表示のメッセージに対して「背景色を変更しない」を選択する操作をした場合(ステップS23:No)、続いて表示部19はメール作成画面21を表示する(ステップS40)。また、ユーザが「背景色を変更する」を選択した場合(ステップS23:Yes)、制御部17は背景色を最もバックライト32点灯時の消費電力が少ない背景色に変更し(ステップS30)、表示部19は変更された背景色にてメール作成画面を表示する(ステップS40)。その後、メール作成画面での処理が終了すると、第1実施形態と同様に背景色を元に戻す(ステップS50)。
【0057】
上記のように、メール作成画面の背景色を変更するか否かをユーザが選択できるようにすることで、電池40が長持ちすることを重視するユーザ、背景色を重視するユーザ、それぞれに対応することが可能となる。
【0058】
(第3実施形態)
前述したように、メール作成時の背景色の違いによる電池40の消費は画面のバックライト32の点灯時に影響がある。また、画面のバックライト32が明るければ明るいほど消費電力の差が大きいことがわかっている。よって、バックライト32の明るさを暗めに設定した場合は、背景色の違いによるバックライト32点灯時の消費電力はほとんど差がない。
【0059】
そこで、第3実施形態では、バックライト32の明るさを明るめに設定している場合のみ、メール作成画面の背景色を変更することで、背景色を変更するシーンをより少なくする。
【0060】
図8は第3実施形態における動作を示すフローチャートである。本実施形態では、画面のバックライト32の明るさをユーザが選択できるものとし、ここでは、レベル1からレベル6の6段階の設定ができるものとする。より具体的には、レベル1が最もバックライト32の明るさが暗く、レベル6が最もバックライト32の明るさが明るく、レベル1からレベル6まで順番に明るくなるものとする。また、各レベルによるバックライト32点灯時の電池40の消費については、レベル1からレベル3までの場合は、背景色による消費電力の差が大きくないものとする。
【0061】
まず、ユーザが機能の呼び出しを行い(ステップS10)、メール作成が呼ばれたと判断された場合(ステップS20:Yes)、制御部17はバックライト32の明るさの設定状態を確認する。バックライト32の明るさの設定が所定の基準値と比べて明るめである場合、即ちレベル4、レベル5又はレベル6の場合は(ステップS24:Yes)、制御部17は第2実施形態と同様に背景色を消費電力が最も少ないものに変更し(ステップS30)、それに基づき表示部19はメール作成画面を表示する(ステップS40)。
【0062】
バックライト32の明るさの設定が所定の基準値と比べて暗めである場合、即ちレベル1、レベル2又はレベル3の場合は(ステップS24:No)、メール作成時の背景色の変更は行われず、表示部19は引き続き現在の背景色の設定のままメール作成画面の表示を行う(ステップS40)。なお、バックライト32が明るめ又は暗めのいずれの場合でも、その後、前述の実施形態の如く背景色を元に戻す(ステップS50)。
【0063】
上記のように、メール作成時の背景色の変更をバックライト32の明るさを明るめに設定しているユーザのみに限定することで、背景色を変更するための条件をより少なくし、ユーザの使用感に与える影響をより低くしながら効率的に消費電力を低減することができる。
【0064】
(第4実施形態)
第1実施形態では背景色の変更をメール作成時のみに限定していたが、メール作成時以外においても文字入力を伴うシーン(例えばテキストメモの作成など)でも背景色の違いにより消費電力の差があると考えられる。例えば、メモ帳代わりに携帯端末装置が具備するテキストメモ機能を使ってメモ入力を頻繁に行うユーザでは、テキストメモ作成時における背景色の違いによって消費電力に差が発生する。
【0065】
そこで、第4実施形態では、背景色を変更するシーンについてユーザが選択できるものとする。
【0066】
図9は、第4実施形態での背景色選択時のフローチャートを示す。ユーザは所定の操作を行い、画面の背景色選択の機能を呼び出すことで背景色設定処理が開始される。ユーザは、所定の選択画面にて好みの背景色を選択する(ステップS110)。その後、本実施形態では、選択された背景色に変更するシーンをユーザが選択する画面を表示し、この画面でユーザが任意にシーンを選択する(ステップS120)。本ステップでは図10に示す選択画面の例のように、メール作成、テキスト入力、電卓機能、スケジュール作成など、文字入力又はキー操作が頻繁に行われる画面のシーンが表示される。そして、ユーザはそれぞれについて背景色を変更するか否かを選択することができる。続いて、制御部17はステップS120で選択された画面に対して背景色をステップS110で選択されたものに変更する(ステップS130)。
【0067】
このように、背景色を変更するシーンをユーザが選択できるようにすることで、メール作成時以外においても電池40の消費を抑えることができ、かつ、背景色の変更をユーザが頻繁に使うシーンに限定することが可能となる。
【0068】
(第5実施形態)
近年の携帯電話機には周囲の明るさを検知する照度センサを搭載しているものが多い。このような携帯電話機は、照度センサから入力される周囲の明るさに応じて、バックライト32の輝度を最適な明るさに調整することで、高照度環境下における画面の見易さと低照度環境下での省電力効果を両立させている。以下、このような場合に更に消費電力を低減させるための構成について説明する。
【0069】
図11に、第5実施形態に係る携帯端末装置2のブロック図を示す。携帯端末装置2は、第1実施形態で示した携帯端末装置1の構成に加えて照度センサ22を備えている。
【0070】
照度センサ22は、周囲の明るさ(照度)を検知する。照度センサ22で検知された照度情報は制御部17に出力される。制御部17は、入力された照度情報に応じて、表示部19のバックライト32の輝度を調整する。
【0071】
例えば、周囲が明るいと判断された場合には、制御部17は視認性を考慮してバックライト32の輝度を明るめに調整する。逆に周囲が暗めと判断した場合は、制御部17はバックライト32の輝度を抑えることで消費電力を抑える。
【0072】
そこで、本実施形態では、表示画像に合わせて画面のバックライト32の明るさを自動で調整できる機能をもち、かつ照度センサ22により検知された周囲の明るさに応じてメール作成時の画面の背景色を変更することで、ユーザの視野性を考慮しながら電池40の消費を抑えることとする。
【0073】
図12は本実施形態の画面呼び出し処理を示すフローチャートである。まず、メール作成が開始されると(ステップS25)、照度センサ22は制御部17の指示に基づいて周囲の明るさを検知する(ステップS26)。制御部17は、検知された周囲の明るさが明るめであるか否か判定する(ステップS27)。明るめであるか否かの基準の照度は予め設定されている。
【0074】
周囲が所定の明るさと比べて明るめであると判定された場合は(ステップS27:Yes)、制御部17は画面の背景色を輝度が低い黒系の画面に設定する(ステップS30)。この設定により、ユーザの視認性をよくし、かつ第1実施形態でも示しているように、黒系の背景色にすることで電池40の消費を抑えることができる。また、周囲が所定の明るさと比べて暗めであると判定された場合は(ステップS27:No)、制御部17は画面の背景色を輝度が高い白系の画面に設定する。前述したように、周囲が暗めの時は、周囲が明るい時に比べて電池40の消費は少ないため、ユーザの視認性を考慮して、暗い状況下でも見やすい白系の背景色に設定する。なお、画像としての背景色の輝度の高低は、バックライト32の輝度が同じ場合において背景色の群の中で相対的に定められる。
【0075】
その後、ステップS30又はステップS40の処理を経て、前述の実施形態と同様に画面表示(ステップS40)及び背景色を元に戻す処理(ステップS50)が行われる。
【0076】
このように、メール作成時の背景色を変更してバックライト32の明るさを調整することに加え、さらに周囲の明るさに応じて画面の背景色を変更することで、ユーザの視認性を考慮しつつ電池40の消費を抑えることが可能となる。
【0077】
なお、この発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0078】
例えば、前述の各実施形態では電子メール作成画面における消費電力低減について説明しているが、これに限られるものではない。例えば、通話、音声等の再生、機能の設定等、表示部19で表示される各種の画面において本発明を適用することができる。この場合でも、ユーザが使用する頻度が高い画面に対して本発明を適用することが好ましい。
【0079】
また、前述の各実施形態では消費電力を低減する対象として背景色について説明した。この他にも、模様、図形、文字、写真等を含む背景画像であってもよい。この場合、画像の領域によって輝度が異なるため、例えばメール作成画面において表示される背景画像の一部について、複数種類の背景画像の群から消費電力の高低を予め定めておくこととすればよい。なお、前述の各実施形態における背景色は、図4の例でも示したように背景画像全体として均一の色を示すため、メール作成画面における表示領域を考慮する必要がなく、より簡潔に消費電力低減の処理を行うことができる。
【0080】
また、前述の各実施形態における携帯端末装置1,2で実行されるプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムを、携帯端末装置を制御するコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行するシステムを構成することとしてもよい。
【0081】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
【0082】
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
【0083】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0084】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0085】
(付記1)
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、
該表示手段に電力を供給する電池と、
背景画像の一部と電子メールについてユーザが所定操作をするための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示させる電子メール処理手段と、
前記液晶パネルに表示される前記背景画像に対応して前記バックライトの輝度を調整するバックライト調整手段と、
前記液晶パネルが前記所定画像を表示する際、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する背景画像設定手段と、を備える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【0086】
(付記2)
前記所定画像を表示する場合に前記背景画像を変更するか否かを前記ユーザが選択可能な案内画面を前記液晶パネルに表示する選択画面表示手段を更に備える、
ことを特徴とする付記1に記載の携帯端末装置。
【0087】
(付記3)
前記背景画像設定手段は、前記バックライトの輝度が所定の基準値以上の場合に前記背景画像を変更する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の携帯端末装置。
【0088】
(付記4)
前記背景画像設定手段は、さらに前記所定画像を表示する場合以外にユーザに入力を要求する画面を前記液晶パネルに表示する際に、前記消費電力が最も少なくなるように前記背景画像を設定する、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【0089】
(付記5)
周囲の照度を検知する照度センサを更に備え、
前記背景画像設定手段は、検知された前記照度に応じて、前記周囲が明るい場合には輝度が高い前記背景画像を選択し、前記周囲が暗い場合には輝度が低い前記背景画像を選択する、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【0090】
(付記6)
前記背景画像は、当該画像の全体が均一な所定の色の背景色画像である、
ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【0091】
(付記7)
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、該表示手段に電力を供給する電池と、を備える携帯端末装置の消費電力低減方法であって、
背景画像の一部とユーザが電子メールについての所定操作のための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示する際に、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する、
ことを特徴とする携帯端末装置の消費電力低減方法。
【0092】
(付記8)
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、該表示手段に電力を供給する電池と、を備えた携帯端末装置を制御するコンピュータを、
背景画像の一部と電子メールについてユーザが所定操作をするための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示させる電子メール処理手段、
前記液晶パネルが前記所定画像を表示する際、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する背景色設定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0093】
1,2 携帯端末装置
11 アンテナ
12 無線部
13 メモリ
14 音声/オーディオ信号処理部
15 出力デバイス
16 マイク
17 制御部
18 操作部
19 表示部
20 CPU
21 メール編集画面
22 照度センサ
31 液晶パネル
32 バックライト
40 電池
51 表示手段
52 電子メール処理手段
53 バックライト調整手段
54 背景画像設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、
該表示手段に電力を供給する電池と、
背景画像の一部と電子メールについてユーザが所定操作をするための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示させる電子メール処理手段と、
前記液晶パネルに表示される前記背景画像に対応して前記バックライトの輝度を調整するバックライト調整手段と、
前記液晶パネルが前記所定画像を表示する際、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する背景画像設定手段と、を備える、
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記所定画像を表示する場合に前記背景画像を変更するか否かを前記ユーザが選択可能な案内画面を前記液晶パネルに表示する選択画面表示手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記背景画像設定手段は、前記バックライトの輝度が所定の基準値以上の場合に前記背景画像を変更する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記背景画像設定手段は、さらに前記所定画像を表示する場合以外にユーザに入力を要求する画面を前記液晶パネルに表示する際に、前記消費電力が最も少なくなるように前記背景画像を設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
周囲の照度を検知する照度センサを更に備え、
前記背景画像設定手段は、検知された前記照度に応じて、前記周囲が明るい場合には輝度が高い前記背景画像を選択し、前記周囲が暗い場合には輝度が低い前記背景画像を選択する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記背景画像は、当該画像の全体が均一な所定の色の背景色画像である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、該表示手段に電力を供給する電池と、を備える携帯端末装置の消費電力低減方法であって、
背景画像の一部とユーザが電子メールについての所定操作のための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示する際に、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する、
ことを特徴とする携帯端末装置の消費電力低減方法。
【請求項8】
画像を表示する液晶パネルと該液晶パネルに背面から光を照射するバックライトとを備える表示手段と、該表示手段に電力を供給する電池と、を備えた携帯端末装置を制御するコンピュータを、
背景画像の一部と電子メールについてユーザが所定操作をするための情報とを含む所定画像を前記液晶パネルに表示させる電子メール処理手段、
前記液晶パネルが前記所定画像を表示する際、前記バックライトの消費電力が最も少なくなるように、予め用意された複数種類の前記背景画像の群から表示させる背景画像を選択する背景色設定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−216944(P2011−216944A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80306(P2010−80306)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】