説明

携帯端末装置とその着信処理方法

【課題】発呼者名の読み上げを行うか否かについてユーザが適切に選択できる携帯端末装置とその着信処理方法を提供する。
【解決手段】制御部19は、着信があった時にその着信に係る発呼先名をメモリ12内のアドレス帳から検索して読み上げる読み上げ機能と、その読み上げ機能を動作させるか否かについての読み上げ設定と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に代表される無線通信を行う携帯端末装置とその着信処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末装置として、キー操作により設定された機能名等をアナウンスするようにした携帯電話機が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
この携帯電話機は、複数のキー入力部と、キー入力部の1あるいは複数のキー操作に従い電話機が備えた複数の機能のうち、キー操作に対応する機能に関して設定を行う制御部と、キー操作に連動して設定される機能名を音声出力する音声合成部とを有する。
【0003】
また、携帯電話機に着信があった時に、発呼者の電話番号がその携帯電話機のアドレス帳に登録されている場合には、その発呼者名を音声で読み上げるようにした携帯電話機について提案されている。
【特許文献1】特開平11−252216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、着信があった時や電子メールを受信した時に発信者名/発呼者名(以下、まとめて発呼者名と称する)を読み上げる機能を携帯電話機に搭載した場合には、プライバシー上問題が生ずる場合がある。
すなわち、ユーザが発呼者名の名前を読み上げて欲しくない場所、たとえば、公共の場所で突然発呼者名を読み上げることは、プライバシー上問題となる。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明の目的は、発呼者名の読み上げを行うか否かについてユーザが適切に選択できる携帯端末装置とその着信処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を克服するために、本発明の第1の観点は、着信が生じると、当該着信の発呼者名を着信信号に基づき生成する発呼者名生成部と、前記発呼者名生成部にて生成される発呼先名を音声合成して報音するか否かを設定する設定部と、着信に対して操作を行った場合に、当該着信に応答しない第1の操作部と、応答を行う第2の操作部と、着信が生じたときに、前記第2の操作部による操作がなされた場合には着信応答を行い、前記第1の操作部による操作がなされた場合には、予め設定されていた処理と異なる処理を行なうように制御する制御部と、を備える携帯端末装置である。
【0007】
好適には、着信報知を行う報知部と、をさらに有し、前記制御部は、着信報知中に前記第1の操作部が操作されると、前記設定部にて発呼者名を報音する設定となっていても、当該着信に関しては発呼者名を報音しない。
【0008】
好適には、着信報知を行う報知部と、をさらに有し、前記制御部は、着信報知中に前記第1の操作部が操作されると、前記設定部にて発呼者名を報音しない設定となっていても、当該着信に関しては発呼者名を報音する。
【0009】
好適には、前記制御部は、前記報知部の動作中に前記第1の操作部による操作がなされた場合には、前記報知部の動作を停止し、前記音声合成部を動作させる。
【0010】
好適には、前記制御部は、着信が生じ、前記音声合成部にて発呼者名を報音した後、前記第2の操作部が操作されるか、着信処理が終了するまでは再度前記報知部を動作させる。
【0011】
好適には、名称とアドレス情報とが対となって登録されるアドレス帳を記憶する記憶部を有し、前記発呼者名抽出部は、着信が生じると前記記憶部を検索し、当該着信にかかる発呼音のアドレスが前記アドレス帳に登録されている場合には、当該アドレスに対として登録される名称を発呼者名として抽出し、前記アドレス帳に登録されない場合には所定の文字列を抽出する。
【0012】
上記課題を克服するために、本発明の第2の観点は、着信報知を行う報知部と、着信報知中に操作を行った場合に、当該着信に応答しない第1の操作部と、応答を行う第2の操作部と、着信が生じると、当該着信の発呼者名を着信信号に基づき生成する発呼者名生成部と、着信が生じた際に、前記発呼者名生成部にて生成される発呼先名を音声合成して報音する第1の設定と、音声合成を行わない第2の設定とを、予め設定する設定部と、着信が生じると、発呼先名を報音するか否か前記設定部の設定を参照し、第1の設定であれば発呼先名を報音し、第2の設定であれば発呼先名の報音を行わない制御部と、を備え、前記制御部は、着信報知中に、前記第2の操作部による操作がなされた場合には着信報知を停止して着信応答を行い、前記第1の操作部による操作がなされた場合には発呼先名の報音に関して前記設定部の設定が第1の設定であれば当該着信に関しては発呼先名の報音を行わず、第2の設定であれば当該着信に関しては発呼先名の報音を行うように制御する携帯端末装置である。
【0013】
上記課題を克服するために、本発明の第3の観点は、着信に対して操作を行った場合に、当該着信に応答しない第1の操作部と、応答を行う第2の操作部と、を有する携帯端末装置の着信処理方法であって、着信が生じると、当該着信の発呼者名を着信信号に基づき生成するステップと、生成された発呼先名を音声合成して報音するか否かについての設定を参照するステップと、前記着信が生じたときに、前記第2の操作部による操作がなされた場合には着信応答を行い、前記第1の操作部による操作がなされた場合には、予め設定されていた処理と異なる処理を行なうステップと、を備える携帯端末装置の着信処理方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発呼者の読み上げを行うか否かについてユーザが適切に選択できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の携帯端末装置の一実施形態について添付図面に関連付けて説明する。
【0016】
図1は、本発明の携帯端末装置としての携帯電話機10のシステム構成の一例を図解したブロック図である。図2は、携帯電話機1の外観の一例を図解した図である。
携帯電話機10は、可動機構を有する、いわゆる折り畳み式携帯電話機であって、図2(a)は開かれた状態(開状態)での正面図を、(b)は閉じられた状態(閉状態)での正面図を、(c)は開状態での側面図を、(d)は閉状態での側面図を、それぞれ示す。
【0017】
本実施形態に係る携帯電話機10は、通常の携帯電話機の機能に加えて、音声読み上げ機能を有し、着信があった場合には音声読み上げ機能が動作して、発呼先名を読み上げ可能に構成されている。
携帯電話機10において、着信があった時に発呼先名を読み上げるか否かについては、予めユーザが設定できるようになっている。
また、そのユーザ設定にかかわらず、実際に着信があった時には、発呼先名を読み上げるか否か、または継続して読み上げるか否かについて、キー操作により変更できるように構成されている。
【0018】
以下、本実施形態に係る携帯電話機10の各部の構成、機能、並びに、音声読み上げ制御について順を追って説明する。
【0019】
図1に示すように、携帯電話機10は、送受信アンテナ111を含む通信処理部11と、メモリ12と、キー入力部13と、開閉スイッチ14と、サブ表示部15と、メイン表示部16と、スピーカ171およびマイクロフォン172を含む音声処理部17と、読み上げキー入力部18と、制御部(CPU)19とを有している。
また、図2(a)に示すように、携帯電話機10の本体ケース100は、キー入力側本体ケース101と、表示側本体ケース102とが、図示しない可動機構により連結されて、開閉状態を形成するように構成される。
【0020】
通信処理部11は、基地局を介した無線通信動作、たとえば、電話番号の発呼動作や電子メールの送受信動作などを行う。
通信処理部11は、送受信アンテナ111を含んで構成され、電波を利用した無線通信で行うために、制御部19で処理された音声情報、電子メール等を変調して送受信アンテナ111により図示しない基地局に送信する。
また、通信処理部11は、基地局から無線により送信され、送受信アンテナ111で受信した電子メールや音声情報等の各種情報を復調して制御部19に出力する。
なお、送受信アンテナ111は、キー入力側本体ケース101または表示側本体ケース102に内蔵され、図2において外部に露出されていない。
【0021】
メモリ12は、EEPROM等の不揮発性メモリを含んで構成され、通話やメールの送受信のための制御プログラム、インターネットブラウザ、メッセージデータ、名前および電話番号が登録されたアドレス帳などを記憶する。
メモリ12は、後述する読み上げ機能に必要なテキスト列を含む音声読み上げデータベースを記憶する。このデータベースでは、読み上げのためのテキスト列について、前後の接続関係が文章として成立するように、体系的に整理されている。
【0022】
キー入力部13は、終了(終話)/電源キー、開始(発呼)キー、数字等に対応した複数のテンキー等を有し、これらのキーがユーザにより操作されることにより、ユーザからの入力情報を制御部19に出力する。
キー入力部13には、着信に対して応答を行うキーが含まれる。着信に対する応答としては、通常の着信応答のほか、着信の保留や着信の拒否なども含まれる。この着信に対して応答を行うキーは、本発明の第2の操作部に対応する。
【0023】
開閉スイッチ14は、携帯電話機10の開閉状態を検出するためのスイッチである。
開閉スイッチ14の具体的な構成としては、様々な技術を適用することができるが、たとえば図2(a)に示すように、キー入力側本体ケース101および表示側本体ケース102のそれぞれに接点部を有し、閉状態(図2(b))において両接点が電気的に非導通となることにより、オフ状態となるような構成にすることができる。
たとえば、携帯電話機10が閉状態で開閉スイッチ14はオン状態(ON状態)となり、開状態で開閉スイッチ14はオフ状態(OFF状態)となるように構成し、制御部19が開閉スイッチの状態を検出することにより、携帯電話機10の開閉状態を判別する。
【0024】
サブ表示部15は、液晶表示装置(LCD)等の表示デバイスを有し、図2(c)に示すように、閉状態においてユーザに視認される。
メイン表示部16は、液晶表示装置(LCD)等の表示デバイスを有し、図2(a)に示すように、開状態においてユーザに視認される。
サブ表示部15およびメイン表示部16は、それぞれ閉状態および開状態において、受信した電子メールのテキストやメモリ12に格納された様々なテキストデータを表示する。
【0025】
音声処理部17は、音声処理回路を有し、通話機能のために音声出力を行うスピーカ171と音声入力を行うマイクロフォン172とが接続されている。
音声処理部17は、マイクロフォン172により集音した音声に対して所定の処理を行って制御部19に供給する。また、音声処理部17は、制御部19により供給された音声情報(たとえば、着信音データ)に対して所定の処理を行ってスピーカ171から出力させる。
なお、この音声処理部17は、本発明の報知部の一実施形態である。
【0026】
また、図2(a),(b)に示すように、スピーカ171は、受話スピーカ171aおよびリンガスピーカ171bの2箇所の音声出力部を含み、後述する読み上げ機能の処理結果である音声を出力する。
さらに、音声処理部17は、音声合成回路を有し、読み上げを行う際に、制御部19から供給されるテキストデータを音声データに変換して、音声出力部である受話スピーカ171aまたはリンガスピーカ171bにより音声合成して音声出力させる。
【0027】
読み上げキー入力部18は、図2(b)に示すように、表示側本体ケース102の中央に配設される押下式ボタン18aと、当該ボタンによるスイッチ入力に対する入力回路と、を含んで構成される。なお、押下式ボタン18aは、本発明の第1の操作部の一実施形態である。
押下式ボタン18aが操作されると、着信があった時に、後述する読み上げ設定が変更される。
【0028】
制御部19は、マイクロコンピュータを主体として構成され、携帯電話機1の全体の制御を行う。たとえば、制御部19は、通信処理部11における各種情報の無線による送受信の制御、音声処理部17に対する音声情報の処理、メイン表示部16への情報の表示制御、キー入力部13の入力情報に応じた処理、メモリ12に対するアクセス制御等を行う。
【0029】
制御部19は、読み上げ機能を実行する。
その際、制御部19は、テキスト列を1文字目から順に走査し、予めメモリ12内の読み上げデータベースを参照して、前後の接続関係を考慮しながら、文単位の音声合成を行うように、音声合成部20にテキストデータを供給する。
また、制御部19は、たとえば文単位の音声合成を行うように制御し、この読み上げ機能によれば、たとえば、男性音への変更、女性音への変更、読み上げスピードの変更などが可能である。
制御部19は、携帯電話機10の開閉状態を開閉スイッチ14の出力により判別した後、読み上げのための音声出力先を音声処理部17に通知する。
【0030】
制御部19は、着信があると、発呼先名に対して読み上げ機能を動作させる。その際、読み上げ機能として、読み上げ用の音声データを出力する方式ではなく、テキスト列を抽出/生成してそのテキストを読み上げるテキスト読み上げ方式を用いている。
すなわち、制御部19は、着信があると、その着信の発呼先名が登録されているかメモリ12内のアドレス帳を検索する。さらに、アドレス帳に登録されている場合には、その発呼先名を抽出して読み上げ用テキストを生成する。読み上げ用テキストを生成する際には、メモリ12内の音声読み上げデータベースが参照される。
この読み上げ用テキストは、音声処理部17に供給され、音声出力される。たとえば、検索の結果、発呼先名が「和田」と認識された場合には、読み上げ用テキストとして「和田さんから電話です」というテキストが生成される。
【0031】
なお、制御部19は、本発明の発呼者名抽出部の一実施形態である。また、制御部19と音声処理部17は、本発明の音声合成部の一実施形態である。
【0032】
また、着信の発呼先名がアドレス帳に登録されていない場合には、予めメモリ12に格納された報知用テキストを抽出して音声処理部17に供給する。
報知用テキストは、たとえば「電話です」といった、発呼先名を特定しないテキストである。
【0033】
なお、以下では、着信として発呼があった場合を例として説明するが、発呼に限られず、電子メールによる着信その他、ユーザが無線通信により得ることができるデータの受信動作すべてに適用することができる。
【0034】
制御部19は、上述した発呼先名に対する読み上げ機能について、ユーザの選択により「自動」/「手動」/「オフ」のいずれかを設定する。以下、この設定を「読み上げ設定」と称する。
なお、制御部19は、本発明の設定部および制御部の一実施形態である。
【0035】
読み上げ設定が「自動」となっている場合には、上述したように、着信があると、自動的に、その着信の発呼先名が登録されているかメモリ12内のアドレス帳を検索して、その検索結果に応じて、読み上げ用テキストまたは報知用テキストを音声合成して音声出力する。
【0036】
読み上げ用テキストまたは報知用テキストを音声合成して音声出力した後には、着信音を音声出力するようにしてもよい。その場合には、着信に対する応答、着信保留、着信拒否など着信に対して応答を行うキーが操作されるか、または、着信処理が終了するまでは、着信音の出力を継続する。
これにより、発呼先名を聞き逃してしまった場合にも、ユーザは確実に着信に対して対応することができる。
【0037】
読み上げ設定が「手動」となっている場合には、着信があると、予め設定された着信音により音声出力する。制御部19は、設定された着信音のデジタルデータ(着信音データ)を音声処理部17に供給し、音声処理部17では、この着信音データをアナログ変換の後増幅して出力する。
【0038】
着信音にて音声出力中に、押下式ボタン18aが操作されると、上述した「自動」の設定と同様の動作を行う。さらに、着信の発呼先名が登録されているかメモリ12内のアドレス帳を検索し、その検索結果に応じて、読み上げ用テキストまたは報知用テキストを生成して、音声出力する。すなわち、読み上げ機能は、手動で実行される。
なお、押下式ボタン18aが操作された場合でも、その着信の場合にのみ読み上げ機能が動作し、それ以降の読み上げ設定が「自動」となるわけではない。
【0039】
読み上げ設定が「オフ」となっている場合には、読み上げ設定が「手動」の場合と同様に、着信があると、設定された着信音により音声出力する。ただし、読み上げ設定が「手動」の場合と異なり、着信音にて音声出力中に押下式ボタン18aを操作しても、読み上げ機能が動作することはない。
【0040】
以上、携帯電話機10の各構成要素について述べた。
次に、携帯電話機10の動作について説明する。
【0041】
図3は、読み上げ設定を選択する場合のメイン表示部16の表示動作の一例を示す図である。図3では、読み上げ設定を「手動」とする場合の例である。
【0042】
図3において、画面SC1は、携帯電話機10のメニュー画面である。このメニュー画面で、ユーザが「2 着信/受信」をカーソルにより選択するか、またはキー入力部13のうち「2」の数字キーを押し下げすると、画面SC2の状態に遷移する。
画面SC2は、読み上げ設定を設定するための画面である。この画面で、ユーザが「2 手動」をカーソルにより選択するか、またはキー入力部13のうち「2」の数字キーを押し下げすると、画面SC3の状態に遷移する。
画面SC3により、ユーザに対して読み上げ設定が「手動」となったことが報知される。
【0043】
図3に示したように、ユーザにより読み上げ設定の決定/変更がなされると、制御部19では、読み上げ設定を確定させて、以後の着信に対しては、決定/変更された読み上げ設定によって読み上げ機能を制御する。
【0044】
次いで、本実施形態に係る携帯電話機10の着信時の読み上げ動作について、図4に関連付けて説明する。
【0045】
図4は、着信時の読み上げ動作を示す状態遷移図である。なお、図において、「操作」は、押下式ボタン18aに対する操作を意味する。
制御部19は、読み上げ設定に応じた3つの状態1〜状態3に基づいて読み上げ機能を制御する。
【0046】
(1)読み上げ設定が「オフ」の場合
制御部19は、着信があると、図4の状態1に基づいて制御する。すなわち、携帯電話機10は、その時点で設定されている着信音を出力する。
読み上げ設定が「オフ」の場合には、押下式ボタン18aを操作しても、他の状態(状態2および状態3)に遷移することはない。
【0047】
(2)読み上げ設定が「手動」の場合
制御部19は、着信があると、図4の状態2に基づいて制御する。すなわち、携帯電話機10は、その時点で設定されている着信音を出力する。
そして、着信音を出力中に押下式ボタン18aが操作されると、制御部19は、図4に示すように、状態3へ遷移させる。すなわち、着信音の出力を中止して、着信に係る電話番号に基づいてアドレス帳を検索する。そして、対応する発呼先名を抽出できた場合には、読み上げ用テキスト(たとえば、「和田さんから電話です」)を音声出力する。発呼先名を抽出できない場合には、報知用テキスト(たとえば、「電話です」)を音声出力(読み上げ出力)する。
【0048】
このように、読み上げ設定を「手動」とすることは、ユーザの状況に応じて、着信音または読み上げ出力をユーザがその都度選択したい場合に有効である。たとえば、ユーザが公共の場にいる時などでは、押下式ボタン18aを操作せずに着信に対して応答する等すれば、発呼先が周囲の人間にわからず、プライバシーが保たれる。また、ユーザが公共の場にいない時などでは、押下式ボタン18aを操作して読み上げ出力により発呼先名を知ることができるので、便利である。
【0049】
(3)読み上げ設定が「自動」の場合
制御部19は、着信があると、図4の状態3に基づいて制御する。すなわち、携帯電話機10は、着信に係る電話番号に基づいてアドレス帳を検索する。そして、対応する発呼先名を抽出できた場合には、読み上げ用テキスト(たとえば、「和田さんから電話です」)を音声出力する。発呼先名を抽出できない場合には、報知用テキスト(たとえば、「電話です」)を音声出力(読み上げ出力)する。
そして、発呼先名を読み上げ中に押下式ボタン18aが操作されると、制御部19は、図4に示すように、状態2へ遷移させる。すなわち、読み上げ出力を中止して、その時点で設定されている着信音を出力する。
【0050】
このように、読み上げ設定を「自動」とすることは、ユーザの状況に応じて、着信音または読み上げ出力をユーザが予め選択したい場合に有効である。たとえば、ユーザが公共の場にいる時などでは、押下式ボタン18aを操作して着信音の出力に変更すれば、発呼先が周囲の人間にわからず、プライバシーが保たれる。また、ユーザが公共の場にいない時などでは、そのまま読み上げ出力により発呼先名を知ることができるので、便利である。
【0051】
なお、読み上げ設定を「自動」または「手動」のいずれにするかについては、ユーザの携帯電話機10の使用状況に応じて、ユーザが選択すればよい。
【0052】
また、読み上げ機能により読み上げ用テキスト/報知用テキストを読み上げた後に、続けて着信音を出力するようにしてもよい。その場合には、着信に対する応答、着信保留、着信拒否など着信に対して応答を行うキーが操作されるか、または、着信処理が終了するまでは、着信音の出力を継続する。
これにより、読み上げ出力を聞き逃してしまった場合であっても、ユーザは、確実に着信に対する対応を行うことが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、着信があった時にその着信に係る発呼先名をアドレス帳から検索して読み上げる読み上げ機能と、その読み上げ機能を動作させるか否かについての読み上げ設定と、を備えているので、ユーザは、発呼先名の読み上げ有無について事前に設定することができ、プライバシーが保たれる。
【0054】
また、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、読み上げ設定として、着信があった時に発呼先名の読み上げを自動で行い、所定のボタンが操作された場合には、その着信時のみ着信音に切り替える「自動」の設定と、着信があった時には着信音を出力し、所定のボタンが操作された場合には、その着信時のみ発呼先名の読み上げを行う「手動」の設定と、を有しているので、読み上げ設定にかかわらず読み上げの停止/開始をユーザが状況に応じて選択することができる。
したがって、発呼先名の読み上げによるユーザの利便性を確保しつつ、ユーザの状況に応じてプライバシーを保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施形態に係る携帯電話機のシステム構成の一例を図解したブロック図である。
【図2】携帯電話機1の外観の一例を図解した図である。
【図3】読み上げ設定を選択する場合のメイン表示部16の表示動作の一例を示す図である。
【図4】着信時の読み上げ動作を示す状態遷移図である。
【符号の説明】
【0056】
10…携帯電話機
100…本体ケース
101…キー入力側本体ケース
102…表示側本体ケース
11…通信処理部
111…送受信アンテナ
12…メモリ
13…キー入力部
14…開閉スイッチ
15…サブ表示部
16…メイン表示部
17…音声処理部音
171…スピーカ
172…マイクロフォン
18…読み上げキー入力部
19…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信が生じると、当該着信の発呼者名を着信信号に基づき生成する発呼者名生成部と、
前記発呼者名生成部にて生成される発呼先名を音声合成して報音するか否かを設定する設定部と、
着信に対して操作を行った場合に、当該着信に応答しない第1の操作部と、応答を行う第2の操作部と、
着信が生じたときに、前記第2の操作部による操作がなされた場合には着信応答を行い、前記第1の操作部による操作がなされた場合には、予め設定されていた処理と異なる処理を行なうように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
着信報知を行う報知部と、をさらに有し、
前記制御部は、着信報知中に前記第1の操作部が操作されると、前記設定部にて発呼者名を報音する設定となっていても、当該着信に関しては発呼者名を報音しないことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
着信報知を行う報知部と、をさらに有し、
前記制御部は、着信報知中に前記第1の操作部が操作されると、前記設定部にて発呼者名を報音しない設定となっていても、当該着信に関しては発呼者名を報音することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記報知部の動作中に前記第1の操作部による操作がなされた場合には、前記報知部の動作を停止し、前記音声合成部を動作させることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、着信が生じ、前記音声合成部にて発呼者名を報音した後、前記第2の操作部が操作されるか、着信処理が終了するまでは再度前記報知部を動作させることを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
名称とアドレス情報とが対となって登録されるアドレス帳を記憶する記憶部を有し、
前記発呼者名抽出部は、着信が生じると前記記憶部を検索し、当該着信にかかる発呼音のアドレスが前記アドレス帳に登録されている場合には、当該アドレスに対として登録される名称を発呼者名として抽出し、前記アドレス帳に登録されない場合には所定の文字列を抽出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
着信報知を行う報知部と、
着信報知中に操作を行った場合に、当該着信に応答しない第1の操作部と、応答を行う第2の操作部と、
着信が生じると、当該着信の発呼者名を着信信号に基づき生成する発呼者名生成部と、
着信が生じた際に、前記発呼者名生成部にて生成される発呼先名を音声合成して報音する第1の設定と、音声合成を行わない第2の設定とを、予め設定する設定部と、
着信が生じると、発呼先名を報音するか否か前記設定部の設定を参照し、第1の設定であれば発呼先名を報音し、第2の設定であれば発呼先名の報音を行わない制御部と、を備え、
前記制御部は、着信報知中に、前記第2の操作部による操作がなされた場合には着信報知を停止して着信応答を行い、前記第1の操作部による操作がなされた場合には発呼先名の報音に関して前記設定部の設定が第1の設定であれば当該着信に関しては発呼先名の報音を行わず、第2の設定であれば当該着信に関しては発呼先名の報音を行うように制御する
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
着信に対して操作を行った場合に、当該着信に応答しない第1の操作部と、応答を行う第2の操作部と、を有する携帯端末装置の着信処理方法であって、
着信が生じると、当該着信の発呼者名を着信信号に基づき生成するステップと、
生成された発呼先名を音声合成して報音するか否かについての設定を参照するステップと、
前記着信が生じたときに、前記第2の操作部による操作がなされた場合には着信応答を行い、前記第1の操作部による操作がなされた場合には、予め設定されていた処理と異なる処理を行なうステップと、
を備えることを特徴とする携帯端末装置の着信処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−128783(P2006−128783A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310912(P2004−310912)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】