説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】リーダライタから非接触通信の要求を受けたとしても、利用者が非接触ICカードを使用する意図がない場合にはその要求に対する応答動作を禁止できるようにする。
【解決手段】非接触ICカード1のCPU12Bは、リーダライタ端末2から通信要求を受けた際に、接触センサ13からの検出信号に基づいてカード本体11に人体が接触しているか否かを判別し、人体が接触しているときにはその要求に対する応答動作を実行する。また、カード本体11に人体が接触していないときには変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3をオフさせることによってリーダライタ端末2からの通信要求に対する応答動作を禁止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器であるリーダライタ端末との間で非接触通信を行う非接触ICカード処理機能を備えた携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定期券、乗車券、電子マネーなどとして利用可能な非接触ICカードあるいは非接触ICカード付きの携帯電話装置が実用化されているが、ICカードの紛失、盗難による不正使用の防止策として、例えば、暗証番号入力後、所定時間内で決済処理を許可するようにしたICカードが知られている(特許文献1参照)。また、バッテリからの電源供給で駆動する非接触ICカードにおいて、利用者がこのカードの筐体を手に持っていることを条件にICカードに電源を供給するようにした携帯型情報端末が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平05−108906号公報
【特許文献2】特開2004−46386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1の技術にあっては、紛失、盗難時の不正使用防止策として有効なものとなるが、非接触ICカードを使用する毎に、例えば、4桁数値列などの暗証番号を事前に入力しておく必要があり、ユーザに大きな負担をかけるほか、キー操作時に暗証番号を盗み読みされたり、指の動きによって推測される可能性が高く、安全性の点でも問題が残る。また、特許文献2の技術にあっては、利用者がその筐体を手に持っている場合に、ICカードに電源を供給することによってリーダライタ端末からの通信要求に対応可能となるが、電池消耗を低減することを目的とするものであった。
【0004】
ところで、近年、非接触ICカードの性能が向上してその通信可能な範囲(電波到達距離)が益々拡大すると、例えば、非接触ICカードをカバンあるいはポケットなどの中に入れて携行している状態であっても第三者が不正目的で利用者に接近し、この第三者が所持しているリーダライタによって利用者側のカード内容を読み取る(盗み取る)、所謂スキミングの可能性があり、安全性の点で大きな問題となる。
【0005】
この発明の課題は、リーダライタから非接触通信の要求を受けたとしても、利用者が非接触ICカードを使用する意図がない場合には、その要求に対する応答動作を禁止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、外部機器であるリーダライタ端末との間で非接触通信を行う非接触ICカード処理機能を備えた携帯端末装置であって、装置本体に人体が接触していることを検出する接触検出手段と、前記リーダライタ端末から非接触通信の要求を受けた際に、前記接触検出手段による検出結果を参照し、人体が接触しているときには前記非接触ICカード処理機能を有効として当該要求に対する応答動作を実行し、人体が接触していないときにはその応答動作を禁止する制御手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項10記載の発明)。
なお、携帯端末装置とは、非接触ICカード処理機能付きの携帯電話などのほか、非接触ICカード自体であってもよい。
【0007】
なお、上述した請求項1記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
前記接触検出手段は、装置本体に設けられた複数の導体を人体が同時に接触することによって当該導体間が人体を介して通電する通電状態に基づいて装置本体に人体が接触しているか否かを検出する(請求項2記載の発明)。
【0008】
前記複数の導体は、装置本体の両側面あるいは表裏両面において複数の指で装置本体を挟み持ちながら前記リーダライタ端末にかざす際にその指が接触する可能性がある領域部分に設けられている(請求項3記載の発明)。
【0009】
利用者に現在の状態を報知する報知手段を設け、前記制御手段は、人体が接触していないときには非接触通信要求に対する応答動作を禁止するほかに、非接触状態で不正アクセスを受けたことを報知するアラームの発生を前記報知手段に対して指示する(請求項4記載の発明)。
【0010】
この場合、前記リーダライタ端末からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、前記制御手段は、当該リーダライタ端末との間で正常に処理が終了したことを検出した際に、この正常終了を示す終了報知の発生を前記報知手段に対して指示するようにしてもよい(請求項5記載の発明)。また、前記リーダライタ端末からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、前記制御手段は、当該リーダライタ端末との間での処理の異常を検出した際に、正常に終了できなかったことを示す異常報知の発生を前記報知手段に対して指示するようにしてもよい(請求項6記載の発明)。
【0011】
前記接触検出手段のほか、装置本体の姿勢を検出する姿勢検出手段を設け、前記制御手段は、リーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、前記接触検出手段及び姿勢検出手段による検出結果を参照し、装置本体に人体が接触していてその傾きが所定角度であることを条件に当該要求に対する応答動作を実行し、それ以外のときにはその応答動作を禁止する(請求項7記載の発明)。
【0012】
前記接触検出手段のほか、外部光を検出する光検出手段を設け、前記制御手段は、リーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、前記接触検出手段及び光検出手段による検出結果を参照し、装置本体に人体が接触していて外部光が検出されていることを条件に当該要求に対する応答動作を実行し、それ以外のときにはその応答動作を禁止する(請求項8記載の発明)。なお、光検出手段は、外部光の有無を検出する場合に限らず、その光量が所定値以上か否かを検出するようにしてもよい。
【0013】
前記制御手段は、応答動作を禁止した場合に、不正アクセスが発生したと見なして、この不正アクセスに関する情報を来歴情報として記録する(請求項9記載の発明)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、リーダライタ端末から非接触通信の要求を受けた際に、装置本体に人体が接触しているときには非接触ICカード処理機能を有効として当該要求に対する応答動作を実行し、人体が接触していないときにはその応答動作を禁止するようにしたから、特別な操作を行うことなしに不正を目的としたカード内容の読み取りを確実に防止することが可能となる。すなわち、利用者が非接触ICカードを使用する意図があるときにはその要求に対する応答動作を実行することができるが、カバンあるいはポケットなどの中に入れていて使用する意思がないときにはその応答動作を禁止することができるので、不正読み取りを目的するスキミングあるいはカード内容の改竄などを目的とした不正アクセスを効果的に防止することが可能となる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、装置本体に設けられた複数の導体を人体が同時に接触することによって当該導体間が人体を介して通電する通電状態に基づいて装置本体に人体が接触しているか否かを検出するようにしたから、接触検出手段を簡単な構成によって実現することができる。
この場合、複数の導体は、装置本体の両側面あるいは表裏両面において複数の指で装置本体を挟み持ちながらリーダライタ端末にかざす際にその指が接触する可能性がある領域部分に設けられているので(請求項3記載の発明)、検出可能範囲を広くすることができ、確実な検出が可能となるほか、リーダライタ端末にかざす際に、どの位置を挟持すればよいかを意識することなく行うことが可能となる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、人体が接触していないときには非接触通信要求に対する応答動作を禁止するほかに、非接触状態で不正アクセスを受けたことを報知するアラームの発生を指示するようにしたから、近辺に不正者が居ることを知らせることができ、また、不正者にも聞こえるような音量のアラーム音とすれば、より効果的なものとなる。
【0017】
この場合、リーダライタ端末からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、このリーダライタ端末との間で正常に処理が終了したことを検出した際に、この正常終了を示す終了報知の発生を指示するようにしたから(請求項5記載の発明)、正常終了の確認が可能となり、利用者に安心感を与えることができる。また、リーダライタ端末からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、このリーダライタ端末との間での処理の異常を検出した際に、正常に終了できなかったことを示す異常報知の発生を指示するようにしたから(請求項6記載の発明)、残高不足などを確認することができ、素早い対応が可能となる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、リーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、装置本体に人体が接触していてその傾きが所定角度であることを条件に当該要求に対する応答動作を実行し、それ以外のときにはその応答動作を禁止するようにしたから、応答条件の強化が可能となる。つまり、リーダライタ端末にかざした際の装置本体の傾き度合いには個人差が生じるが、その傾きが通信可能な許容範囲内であれば、使用する意図があると見なすことができ、この傾きを応答条件の一つとすることで不正アクセスなどをより確実に防止することが可能となる。
【0019】
請求項8記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、リーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、装置本体に人体が接触していて外部光が検出されていることを条件に当該要求に対する応答動作を実行し、それ以外のときにはその応答動作を禁止するようにしたから、応答条件の強化が可能となる。つまり、カバンあるいはポケットなどの中に入れていて使用する意思がないときには外部光は検出されないが、リーダライタ端末にかざした際には外部光が検出されるので、この外部光を応答条件の一つとすることで不正アクセスなどを確実に防止することが可能となる。
【0020】
請求項9記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、応答動作を禁止した場合に、不正アクセスが発生したと見なして、この不正アクセスに関する情報を来歴情報として記録するようにしたから、例えば、不正アクセスの発生日時、そのアクセス元の情報などを記録しておくことができ、不正アクセス時に気付かなくても、この来歴記録を後で確認することが可能となり、その対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施例1)
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1実施例を説明する。
図1は、非接触ICカード処理機能を備えた携帯端末装置として非接触ICカードに適用した場合において、(A)は、非接触ICカード1とリーダライタ端末2との間での交信可能な通信範囲を示し、(B)は、非接触ICカード1をリーダライタ端末2にかざした状態を示した図である。
非接触ICカード1は、例えば、定期券、乗車券などのような入場券あるいは電子マネー、クレジットカードとして利用されるもので、そのカード本体11にはICチップ12のほかにコイルアンテナ(図1では図示省略)などが埋め込まれており、カード本体11をリーダライタ端末2が発生している磁界内(通信可能範囲内:例えば、70cm以内)にかざすと、その間の電磁誘導によってカード本体11側のコイルアンテナに電流が生じ、その起電力を電源として動作する。
【0022】
リーダライタ端末2は、非接触ICカード1との間で非接触通信を行うリーダライタ付きの自動改札機・電子レジスタ・入館管理装置などであり、非接触ICカード1に対して通信要求を発信出力している状態において、何れからの非接触ICカード1から応答を受信すると、リーダライタ端末2と非接触ICカード1との間でデータの送受信を行う。例えば、非接触ICカード1を定期券、乗車券などの入場券として利用している場合に、リーダライタ端末2は、このカード情報を受信取得して正規なカードか否かをチェックし、入退場ゲートの開閉を制御する。また、電子マネーの支払いカードとして利用している場合には、カード情報及びカード残高をチェックし、カード残高の更新などを行う。
【0023】
図2は、非接触ICカード1の全体構成とリーダライタ端末2の一部(非接触通信部)の構成を示した図である。
リーダライタ端末2の非接触通信部は、周波数が13.56MHzの搬送波を発生するための電圧源E1と内部抵抗R1にアンテナコイルL1を接続して電磁界を放射する構成で、この放射効率を高めるためにアンテナコイルL1にコンデンサC1を並列接続させて共振回路を形成し、また、電圧源E1を変化させることによって搬送波を共振変調させてデータを発信出力する。非接触ICカード1は、コンデンサC2と並列共振回路を形成するアンテナコイルL2によってリーダライタ端末2から搬送波を検出すると共に、この搬送波を整流素子D3と平滑コンデンサC3によって整流して電源回路12Aを起動し、ICチップ12内の各機能回路、すなわち、CPU12B、メモリ12C、復調回路12D、クロック再生回路12E、変調回路12Fを動作させる。
【0024】
CPU12Bは、メモリ12Cに格納されているプログラムに応じて非接触ICカード1の全体動作を制御するもので、クロック再生回路12Eによって受信搬送波から生成された動作クロックとして使用すると共に、この受信搬送波が復調回路12Dによって復調されると、この復調信号をデコードしてコマンド解釈を行い、コマンドに応じた動作を実行する。ここで、リーダライタ端末2から非接触通信の要求を受けた際に、その要求に対する応答動作を後述する一定の条件下で実行するようにしている。CPU12Bは、応答動作を行うために変調回路12Fを介してスイッチング素子(例えば、npn型トランジスタ)Tr2を制御して負荷抵抗R2をオン/オフさせる。つまり、リーダライタ端末2側からみた負荷インピーダンスを変化(負荷変調)させるこれによってリーダライタ端末2側の電圧V1を変化させる。この場合、リーダライタ端末2側では、この電圧V1の変化を利用して応答データを復調するようにしている。
【0025】
このように構成された非接触ICカード1には、そのカード本体11に人体が接触していることを検出する接触センサ13が組み込まれている。この接触センサ13は、図3に示すようにカード本体11の長辺両側部にそれぞれ配置された2本の導体13Aを人体が同時に接触することによって当該導体13A間が人体を介して通電し、この通電状態から人体がカード本体11に接触していることを検出する構成となっている。なお、図3(A)は、非接触ICカード1の表面側を示した図、(B)は、図3(A)のX-X線概略断面図である。
【0026】
接触センサ13を構成する2本の導体13Aは、例えば、帯状の平板部材を断面コ字型状に折り曲げた構成で、親指と人差し指でカード本体11を挟み持ちながらリーダライタ端末2にかざす際に、その指が接触する可能性の高い領域部分に埋設されている。この場合、各導体13Aは、カード本体11の長辺両側部においてその略全域に設けられている。なお、2本の導体13A間には低電圧が印加されており、その同時に接触で人体を介して当該導体13A間に流れる微弱電流を検知することによって接触センサ13は、カード本体11に人体が接触していることを示す検出信号を出力する。
【0027】
非接触ICカード1には、リーダライタ端末2からの通信要求に対する応答動作を制限するための変調制限回路14が設けられている。この変調制限回路14は、CPU12Bの制御下でワンショットパルスを発生出力してスイッチング素子Tr3をオン/オフさせるもので、CPU12Bは、接触センサ13からの検出信号に基づいてカード本体11に人体が接触しているか否か、言い換えれば、カード本体11をリーダライタ端末2にかざすためにカード本体11が指で挟み持ちされているか否かを判別し、その判別結果に基づいて変調制限回路14を介してスイッチング素子(例えば、npn型トランジスタ)Tr3をオン/オフさせる。
【0028】
このスイッチング素子Tr3は、負荷抵抗R2と接地間に挿入され、変調用スイッチング素子Tr2に直列接続されたもので、応答可否(変調可否)を制御するスイッチング素子として機能する。アラーム回路15は、変調制限回路14に並列接続されていてCPU12Bの制御下でアラーム音を発生するもので、小型薄型の電子ブザーなどによって構成されている。この場合、CPU12Bは、変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3をオフさせて応答禁止(変調禁止)させる際に、アラーム回路15を駆動させてアラーム音を発生出力させる。すなわち、CPU12Bから変調制限回路14に入力される信号(変調禁止指令)は、アラーム回路15に対しては駆動指令として入力される。
【0029】
次ぎに、この第1実施例における非接触ICカード1の動作概念を図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施例においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0030】
図4は、電源投入に伴って実行開始される非接触ICカード1の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、CPU12Bは、電波(非接触通信用の搬送波)の受信有無を常時監視しており(ステップA1)、この搬送波を検出するまで待機状態となっている。いま、非接触通信用の搬送波を検出すると、CPU12Bは、復調回路12Dによって復調されたデータをデコードして(ステップA2)、コマンド解釈を行い、応答が必要か否かを判別し(ステップA3)、応答が不要であれば、次ぎのデータを受信するために最初のステップA1に戻る。
【0031】
また、CPU12Bは、リーダライタ端末2から非接触通信の要求を受けた場合など、その要求に対する応答が必要な場合には、その応答動作に先立って接触センサ13からの検出信号に基づいてカード本体11に人体が接触しているか否かを判別する(ステップA4)。この結果、カード本体11の両側部の各導体13Aに指が接触しているときには、カード本体11をリーダライタ端末2にかざしていると見なし、リーダライタ端末2からの要求に対する応答動作を許可する(ステップA5)。この場合、変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3はオン状態に保持されているので、変調回路12Fでの負荷変調を制御しながら応答動作を行う。
【0032】
一方、応答が必要な場合であっても(ステップA3)、カード本体11に人体が接触していない場合、各導体13Aに人体が同時接触していない場合(ステップA4)、CPU12Bは、変調制限回路14に対して変調禁止指令を与え、この変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3をオフさせることにより変調回路12Fを無効として応答動作を禁止させる(ステップA6)。この場合、CPU12Bから変調制限回路14に入力される信号(変調禁止指令)は、アラーム回路15に対しては駆動指令として入力されるので、不正アクセスを報知するアラーム音が発生出力される(ステップA7)。この場合、利用者がこのアラーム音に気付かない場合もあるので、不正アクセスが発生したことを示すために、不正アクセスの発生日時、アクセス元に関する情報などをメモリ12Cに書き込む来歴記録を行う(ステップA8)。以下、最初のステップA1に戻り、以下、上述の動作が繰り返される。
【0033】
以上のように、この第1実施例において、非接触ICカード1のCPU12Bは、リーダライタ端末2から通信要求を受けた際に、接触センサ13からの検出信号に基づいてカード本体11に人体が接触しているか否かを判別し、人体が接触しているときにはその要求に対する応答動作を実行し、また、カード本体11に人体が接触していないときには変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3をオフさせることによってリーダライタ端末2からの通信要求に対する応答動作を禁止するようにしたから、特別な操作を行うことなしに不正を目的としたカード読み取りを確実に防止することが可能となる。すなわち、利用者が非接触ICカード1を使用する意図があるときにはその要求に対する応答動作を実行することができるが、カバンあるいはポケットなどの中に入れていて使用する意思がないときにはその応答動作を禁止することができるので、不正読み取りを目的するスキミングあるいはカード内容の改竄などを目的とした不正アクセスを効果的に防止することが可能となる。
【0034】
この場合、一般に、親指と人差し指でカード本体11を挟み持ちながらリーダライタ端末2にかざす際にその指が接触する可能性の高い領域部分として、カード本体11の長辺両側部に導体13Aをそれぞれ配置し、この導体13A間が人体を介して通電しているか否かに基づいて接触センサ13は、カード本体11に人体が接触しているか否かを検出するようにしたから、接触センサ13を簡単な構成によって実現することができる。また、カード本体11の長辺両側部においてその略全域に導体13Aをそれぞれ配置したから、検出可能範囲を広くすることができ、確実な検出が可能となるほか、リーダライタ端末2にかざす際に、どの位置を挟持すればよいかを意識することなく行うことが可能となる。
【0035】
CPU12Bは、リーダライタ端末2から非接触通信の要求を受けた際に、各導体13A間が通電していないときには、その要求に対する応答動作を禁止するほかに、非接触状態で不正アクセスを受けたことを報知するアラームの発生をアラーム回路15に対して指示するようにしたから、近辺に不正者が居ることを知らせることができ、また、不正者にも聞こえるような音量のアラーム音とすれば、より効果的なものとなる。CPU12Bは、リーダライタ端末2からの要求に対する応答動作を禁止した場合に、不正アクセスが発生したと見なして、この不正アクセスに関する情報を来歴情報として記録するようにしたから、例えば、不正アクセスの発生日時、そのアクセス元の情報などを記録しておくことができ、不正アクセス時に気付かなくても、この来歴記録を後で確認することが可能となり、その対応が可能となる。
【0036】
なお、上述した第1実施例においては、2本の導体13Aをカード本体11の長辺両側部にそれぞれ配置したが、短辺両側部にも配置するようにしてもよく、つまり、カード本体11の一方の短辺と長辺とを結ぶL字型状の導体13Aと、他方の短辺と長辺とを結ぶL字型状の導体13Aとを配置するようにしてもよい。また、カード本体11の表裏両面の所定領域内に導体13Aを配置するようにしてもよい。
【0037】
上述した第1実施例は、スイッチング素子Tr3とスイッチング素子Tr2とを直列接続するようにしたが、CPU12Bと変調回路12Fとの間にスイッチング素子Tr3を挿入することによって変調回路12F自体を直接的に制御するようにしてもよい。すなわち、CPU12Bは、変調回路12Fを起動する際に、接触センサ13からの検出信号に基づいてカード本体11に人体が接触しているか否かを判別し、人体が接触していることを条件として変調回路12Fを起動するようにしてもよい。
【0038】
また、スイッチング素子Tr3、変調制限回路14によってハード的に応答動作を制御する場合に限らず、プログラム制御によって応答動作の実行/禁止を切り替えるようにしてもよい。この場合、CPU12Bは、リーダライタ端末2と交信動作を行っている間、接触センサ13からの検出信号を監視し続け、この交信動作中に人体が離れたことが検出された際に、割り込み処理によって交信動作(変調動作)を強制終了させてエラー処理を実行するようにしてもよい。
(実施例2)
【0039】
以下、この発明の第2実施例について図5〜図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施例においては、非接触ICカード1に適用した場合を例示したが、この第2実施例においては、リーダライタ端末2との間で非接触通信を行う非接触ICカード処理機能を備えた携帯電話装置3に適用したものである。
ここで、両実施例において基本的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施例の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0040】
図5は、非接触ICカード処理機能を備えた携帯電話装置3を示した外観図である。
携帯電話装置3は通話機能、メール機能などのほか、電子マネー支払い機能を有している。装置本体301は、上部筐体301Aと下部筐体301Bとがヒンジ部301Cを介して開閉可能に取り付けられた構成で、この装置本体301には、非接触ICカード処理部(図5では図示省略)が組み込まれている。そして、装置本体301を折り畳んだ状態において、リーダライタ端末2にかざすと、非接触ICカード処理部とリーダライタ端末2との間で交信が行われる。
【0041】
この場合、装置本体301の傾きθが所定角度以内、例えば、水平角度±60度以内であれば、非接触ICカード処理部とリーダライタ端末2との間で正常な交信が可能であるが、それ以上の角度であれば、交信異常のおそれがあるため、装置本体301の傾きθが水平角度±60度以内であれば、装置本体301をリーダライタ端末2にかざしている状態であると見なすことができる。なお、図中、装置本体301の傾きθは、そのヒンジ部301Cが上向きとなる場合が+方向の角度となり、下向きとなる場合が−方向の角度となる。なお、この第2実施例においてリーダライタ端末2は、店舗に設置されたリーダライタ付きの取引端末(電子レジスタ)である。
【0042】
図6は、非接触ICカード処理機能を備えた携帯電話装置3の基本的な構成要素を示したブロック図である。
CPU311は、記憶部312内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する。記憶部312は、不揮発性メモリ(内部メモリ)であり、例えば、フラッシュメモリなどによって構成され、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図7及び図8に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されている。メモリ313は、ワーク領域を有する内部メモリで、例えば、DRAM(Direct Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)などによって構成されている。
【0043】
電話通信部314は、アンテナ314Aに接続された送受信デュプレクサの受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、音声出力させる。また、電話通信部314は、入力音声を送信ベースバンド信号に符号化したのちに、送受信デュプレクサの送信側に与えられ、アンテナ314Aから発信出力させる。一方、電話通信部314を介して受信した表示データは、LCD(液晶表示器)などの表示部315に与えられて表示出力される。報知部316は、着信報知などの報知用のスピーカ、LED(発光ダイオード)、振動モータを備え、電話・メール着信時には着信報知を行ったり、警告アラームなどの報知時にも駆動される。キー操作部317は、押しボタン式の各種のキーを備え、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、CPU311は、キー操作部317からのキー入力信号に応じた処理を実行する。
【0044】
非接触ICカード処理部318は、上述した第1実施例と基本的には同様であるが、以下の点が相違する。すなわち、この第2実施例の変調制限回路14は、本体側のCPU311によって制御されるようにした点、本体側に接触センサ319が設けられていると共に、この接触センサ319の検出信号を本体側のCPU311に与えるようにした点、アラーム報知時には非接触ICカード側のアラーム回路15に代わって本体側の報知部316を利用するようにした点がそれぞれ相違する。そして、この第2実施例では、非接触ICカード処理部318側のCPU12Bが搬送波の検出時にその復調データから応答が必要であるか否かを判別した際に、この判別結果を本体側のCPU311に与えるようにしている。また、本体側には上述した接触センサ319のほか、光センサ320、姿勢センサ321が設けられている。
【0045】
第2実施例における接触センサ319は、図5に示すように、装置本体301の長辺両側部にそれぞれ配置された導体319Aを人体が同時に接触することによって当該導体319Aの間が人体を介して通電すると、この通電状態から人体が装置本体301に接触していることを検出する構成となっている。この場合、装置本体301を構成する上部筐体301Aと下部筐体301Bの長辺両側部にそれぞれ導体319Aが配置されており、図中、破線は、導体319Aが配置されている領域を示している。接触センサ319は、装置本体301を手で握った際に、装置本体301に配置されている合計4本の導体319Aのうち、少なくとも2本の導体319A間が通電されることによって人体接触有りを検出するようにしている。例えば、上部筐体301Aの右側の導体319Aと下部筐体301Bの左側の導体319Aとが通電した場合あるいは上部筐体301A及び下部筐体301Bの右側の導体319A同士が通電した場合であっても人体接触有りを検出するようにしている。
【0046】
光センサ320は、フォトダイオード及びフォトトランジスタを有し、非接触ICカード処理部318の近傍に設けられ、光起電力効果によって得られた電圧値が所定値以上か否かに基づいて外部光の有無、つまり、装置本体301がカバンあるいはポケットなどから取り出されたか否かを検出してその検出信号をCPU311に与える。姿勢センサ321は、装置本体301の傾き(姿勢)を検出する電子水準器であり、非接触ICカード処理部318の近傍に設けられていて、水平角度が±60度以内であるか否かを検出してその検出信号をCPU311に与える。なお、水平角度±60度とは、リーダライタ端末2の電波送受信面(リーダライタ形成面)を水平面として仮定した場合に、このリーダライタ形成面に対して装置本体301の電波送受信面(非接触ICカード処理部318)が+方向(上方向)に最大60度傾いている状態から−方向(下方向)に最大60度傾いている状態までの範囲内をいう(以下、同様)。
【0047】
図7及び図8は、携帯電話装置3によって電子マネーを支払う場合の動作概要を示したフローチャートであり、一定時間毎の割り込みによって実行開始される。この図7及び図8のフローチャートは、非接触ICカード処理部318側のCPU12Bと電話本体側のCPU311とが連携し合って電子マネー支払い動作を実行する。
先ず、携帯電話装置3、つまり、非接触ICカード処理部318側のCPU12Bは、上述の第1実施例と同様に、非接触通信用の搬送波を検出したか否かを常時監視しており(ステップB1)、この搬送波を検出しなければ、そのことを本体側のCPU311に伝えることによって本体側のCPU311は、その他の処理の実行に移るが、非接触ICカード処理部318側で搬送波の受信を検出すると、この復調データに基づいて応答要否を判別してその結果を本体側のCPU311に通知する(ステップB2)。
【0048】
ここで、本体側のCPU311においては、非接触ICカード処理部318側からの判別結果に基づいて応答要否をチェックし、応答不要であれば(ステップB3でNO)、次ぎのデータを受信するために最初のステップB1に戻るが、リーダライタ端末2から非接触通信の要求を受けた場合など、その要求に対する応答が必要な場合には(ステップB3でYES)、接触センサ319からの検出信号に基づいて装置本体301に人体が接触しているか否かを判別する(ステップB4)。
【0049】
いま、装置本体301をリーダライタ端末2にかざすために装置本体301の両側部の各導体319Aに指が接触している場合には、ステップB5に進み、光センサ320からの検出信号に基づいて外部光の有無、つまり、装置本体301がカバンあるいはポケットなどから取り出されたか否かを判別する。その結果、所定光量以上の外部光を受光している場合にはカバンあるいはポケットなどから取り出されている状態であると判断してステップB6に進み、姿勢センサ321からの検出信号に基づいて装置本体301の傾き(姿勢)は水平角度±60度以内であるか否かを判別し、水平角度±60度以内であれば、変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3をオンさせることによってリーダライタ端末2への応答を許可する(ステップB7)。
【0050】
このようにリーダライタ端末2からの要求に対する応答は、装置本体301の両側部の各導体319Aに指が接触していること、所定光量以上の外部光を受光していること、装置本体301の傾きが水平角度±60度以内であることの3条件が成立した場合に許可される。すなわち、この3条件が成立したということは、電子マネー支払いのために装置本体301をリーダライタ端末2にかざしている可能性が極めて高いため、リーダライタ端末2からの要求に対する応答動作を許可する。これによって電子マネー支払い処理が実行可能となる。
【0051】
先ず、非接触ICカード処理部318は、リーダライタ端末2から非接触通信の要求に応答してメモリ12Cから「電子マネー種」を読み出して発信出力する(図8のステップB8)。リーダライタ端末2側では、「電子マネー種」を受信すると、自店舗で取り扱い可能な電子マネー種かを判別し、取り扱い不可の電子マネー種であれば、電子マネー不適合を示すエラー情報を送信するが、自店舗で取り扱い可能な電子マネー種であれば、電子マネー残高の送信要求を行う。非接触ICカード処理部318は、リーダライタ端末2から電子マネー取り扱い不可を示す情報を受信すると(ステップB9)、本体側のCPU311に対して電子マネー不適合のエラーメッセージを表示すべきことを指示し、本体側では表示部35にそのエラーメッセージを表示出力させる(ステップB10)。また、電子マネー残高の送信要求を受信した場合には(ステップB11)、メモリ12Cから「電子マネー残高」を読み出して発信出力する(ステップB12)。
【0052】
リーダライタ端末2側では、「電子マネー残高」を受信すると、今回取引分の取引金額と電子マネー残高とを比較することによって電子マネーで支払い可能か否かを調べ、取引金額が残高を超えている残高不足の場合には、そのエラー情報を送信出力するが、電子マネーで支払い可能であれば、電子マネー残高から取引金額を減算してマネー残高を更新すると共に、更新後のマネー残高を送信出力するようにしている。ここで、非接触ICカード処理部318は、残高不足のエラー情報を受信すると(ステップB13)、本体側のCPU311に対して残高不足のエラーメッセージを表示すべきことを指示し、本体側では、報知部316のスピーカを駆動させてアラーム音を発生出力させると共に、表示部35にそのエラーメッセージを表示出力させることによって残高不足の報知が行われる(ステップB14)。
【0053】
また、更新後のマネー残高を受信した場合には(ステップB15でYES)、メモリ12C内の「電子マネー残高」を更新後のマネー残高に書き換える(ステップB16)。そして、今回の取引に関する情報をメモリ12C内の「電子マネー使用履歴」に追加登録する (ステップB17)。このような電子マネー支払い処理が正常に終了すると、本体側のCPU311に対して正常終了の報知を指示し、本体側では、報知部316のスピーカを駆動させて正常終了の報知音(例えば、シャリンなど)を発生出力させると共に、正常終了を示すメッセージを表示出力させる(ステップB18)。
【0054】
一方、応答が必要な場合であっても(ステップB3でYES)、上述の3条件の一つでも不成立の場合、すなわち、装置本体301の両側部の各導体319Aに指が接触していない場合(ステップB4でNO)、所定光量以上の外部光を受光していない場合(ステップB5でNO)、装置本体301の傾きが水平角度±60度以内でない場合(ステップB6でNO)において、本体側のCPU311は、変調制限回路14に対して変調禁止指令を与え、この変調制限回路14を介してスイッチング素子Tr3をオフさせることにより変調回路12Fを無効として応答動作を禁止させる(ステップB19)。
【0055】
また、報知部316のスピーカを駆動させて不正アクセスが発生したことを示すアラーム音を発生出力させると共に、表示部35にそのエラーメッセージを表示出力させることによって不正アクセスがあったことを報知する(ステップB20)。この場合、上述した第1実施例と同様、不正アクセスが発生したことを示すために不正アクセスの発生日時、アクセス元に関する情報などをメモリ12Cに書き込む来歴記録が行われる(ステップB21)。
【0056】
以上のように、この第2実施例の非接触ICカード処理機能付き携帯電話装置3においても、上述した第1実施例と同様の効果を有するほか、この第2実施例の携帯電話装置3は、接触センサ13によって装置本体301の両側部の各導体319Aに指が接触していることが検出され、光センサ320によって所定光量以上の外部光を受光していること、姿勢センサ321の検出結果によって装置本体301の傾きが水平角度±60度以内であることが検出されている場合に、この3条件が成立に伴ってリーダライタ端末2からの要求に対する応答動作を許可し、その3条件の何れか一つでも不成立した場合にはその応答動作を禁止するようにしたから、応答条件を大幅に強化することが可能となる。
【0057】
この場合、装置本体301をカバンあるいはポケットなどの中に入れている場合には、非接触ICカード処理機能を使用する意思がないと見なすことができるが、リーダライタ端末2にかざしている場合には所定光量以上の外部光が検出されるので、使用する意図があると見なすことができる。また、リーダライタ端末2にかざした際の装置本体301の傾き度合いには個人差が生じるが、その傾きが通信可能な許容範囲内であれば、使用する意図があると見なすことができ、光センサ320、姿勢センサ321の検出結果を応答条件の一つとすることで不正アクセスなどをより確実に防止することが可能となる。
【0058】
携帯電話装置3は、リーダライタ端末2からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、このリーダライタ端末2との間で電子マネー支払い処理が正常に終了した際に、この正常終了を報知するようにしたから、正常終了の確認が可能となり、利用者に安心感を与えることができる。また、携帯電話装置3は、リーダライタ端末2との間での電子マネー支払い処理が正常に終了できなかった場合には、そのことをエラー報知するようにしたから、残高不足などを確認することができ、素早い対応が可能となる。
【0059】
なお、上述した第2実施例においては、接触センサ13、光センサ320、姿勢センサ321を設け、装置本体301の両側部の各導体319Aに指が接触していること、所定光量以上の外部光を受光していること、装置本体301の傾きが水平角度±60度以内であることを条件としてリーダライタ端末2からの要求に対する応答動作を許可するようにしたが、この3条件が全て成立する場合に限らず、その2条件として、装置本体301に接触していること、外部光を受光していることを条件として応答動作を許可するようにしてもよく、また、装置本体301に接触していること、装置本体301の傾きが水平角度±60度以内であることを条件として応答動作を許可するようにしてもよい。
【0060】
接触センサ13は、各導体319Aに指が接触していることを検出するようにしたが、装置本体301を手で握ることによって人体からの熱伝導を検出するようにしてもよく、また、タッチパネルで人体接触を検出するようにしてもよく、また、それらを組み合わせるなど、その構成は任意である。また、非接触ICカードを定期券、乗車券、クレジットカードなどとして利用する場合にも同様に適用可能である。
【0061】
上述した第2実施例においても、上述した第1実施例と同様、CPU12Bは、変調回路12Fを起動する際に、カード本体11に人体が接触しているか否かを判別し、人体が接触していることを条件として変調回路12Fを起動するようにしてもよい。また、リーダライタ端末2と交信動作を行っている交信動作中に人体が離れたことが検出された際に、割り込み処理によって交信動作(変調動作)を強制終了させてエラー処理を実行するようにしてもよい。
【0062】
上述した第2実施例においては、電子マネー支払い処理が正常終了した場合あるいはエラーが発生した場合の報知をアラーム音と共にメッセージ表示によって行うようにしたが、その何れであってもよく、また、振動モータを駆動させてバイブレーション報知するようにしてもよい。つまり、携帯電話に備えられている各種の報知手段を利用して各種の報知を行うようにしてもよい。
その他、携帯電話装置に限らず、例えば、非接触ICカード処理機能を備えたPDA・電子カメラ・電子腕時計・音楽再生機などの携帯端末装置であっても同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】非接触ICカード処理機能を備えた携帯端末装置として非接触ICカードに適用した場合において、(A)は、非接触ICカード1とリーダライタ端末2との間での交信可能な通信範囲を示し、(B)は、非接触ICカード1をリーダライタ端末2にかざした状態を示した図。
【図2】非接触ICカード1の全体構成とリーダライタ端末2の一部(非接触通信部)の構成を示した図。
【図3】カード本体11の長辺両側部にそれぞれ配置された2本の導体13Aを示した図で、(A)は、非接触ICカード1の表面図、(B)は、(A)のX-X線概略断面図。
【図4】電源投入に伴って実行開始される非接触ICカード1の全体動作を示したフローチャート。
【図5】非接触ICカード処理機能を備えた携帯電話装置3を示した外観図。
【図6】非接触ICカード処理機能を備えた携帯電話装置3の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図7】携帯電話装置3によって電子マネーを支払う場合の全体動作を示したフローチャート。
【図8】図7に続く、フローチャート。
【符号の説明】
【0064】
1 非接触ICカード
2 リーダライタ端末
3 携帯電話装置
11 カード本体11
12 ICチップ
12B CPU
12C メモリ
12D 復調回路
12F 変調回路
13 接触センサ
13A 導体
14 変調制限回路
15 アラーム回路
Tr2、Tr3 スイッチング素子
L1、L2 アンテナコイル
301 装置本体
311 CPU
312 記憶部
315 表示部
316 報知部
318 非接触ICカード処理チップ
319 接触センサ
319A 導体
320 光センサ
321 姿勢センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器であるリーダライタ端末との間で非接触通信を行う非接触ICカード処理機能を備えた携帯端末装置であって、
装置本体に人体が接触していることを検出する接触検出手段と、
前記リーダライタ端末から非接触通信の要求を受けた際に、前記接触検出手段による検出結果を参照し、人体が接触しているときには前記非接触ICカード処理機能を有効として当該要求に対する応答動作を実行し、人体が接触していないときにはその応答動作を禁止する制御手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記接触検出手段は、装置本体に設けられた複数の導体を人体が同時に接触することによって当該導体間が人体を介して通電する通電状態に基づいて装置本体に人体が接触しているか否かを検出する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記複数の導体は、装置本体の両側面あるいは表裏両面において複数の指で装置本体を挟み持ちながら前記リーダライタ端末にかざす際にその指が接触する可能性がある領域部分に設けられている、ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
利用者に現在の状態を報知する報知手段を設け、
前記制御手段は、人体が接触していないときには非接触通信要求に対する応答動作を禁止するほかに、非接触状態で不正アクセスを受けたことを報知するアラームの発生を前記報知手段に対して指示する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記リーダライタ端末からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、前記制御手段は、当該リーダライタ端末との間で正常に処理が終了したことを検出した際に、この正常終了を示す終了報知の発生を前記報知手段に対して指示する、
ようにしたことを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記リーダライタ端末からの非接触通信要求に対する応答動作を実行したのち、前記制御手段は、当該リーダライタ端末との間での処理の異常を検出した際に、正常に終了できなかったことを示す異常報知の発生を前記報知手段に対して指示する、
ようにしたことを特徴とする請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記接触検出手段のほか、装置本体の姿勢を検出する姿勢検出手段を設け、
前記制御手段は、リーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、前記接触検出手段及び姿勢検出手段による検出結果を参照し、装置本体に人体が接触していてその傾きが所定角度であることを条件に当該要求に対する応答動作を実行し、それ以外のときにはその応答動作を禁止する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記接触検出手段のほか、外部光を検出する光検出手段を設け、
前記制御手段は、リーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、前記接触検出手段及び光検出手段による検出結果を参照し、装置本体に人体が接触していて外部光が検出されていることを条件に当該要求に対する応答動作を実行し、それ以外のときにはその応答動作を禁止する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記制御手段は、応答動作を禁止した場合に、不正アクセスが発生したと見なして、この不正アクセスに関する情報を来歴情報として記録する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項10】
コンピュータに対して、
外部機器であるリーダライタ端末から非接触通信要求を受けた際に、装置本体に人体が接触していれば、前記非接触ICカード処理機能を有効として当該要求に対する応答動作を実行する機能と、
前記非接触通信要求を受けた際に、装置本体に人体が接触していなければ、当該要求に対する応答動作を禁止する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−115067(P2007−115067A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306521(P2005−306521)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】