説明

携帯端末装置

【課題】筐体を薄型に保ちつつ印刷配線基板の強度を高く維持し、これにより装置の信頼性向上を図る。
【解決手段】印刷配線基板3にメモリカード用コネクタ4を避けるための切欠部31を形成すると共に、印刷配線基板3の両面側に上記切欠部31を間において相対向するように第1及び第2の補強板5,6を配置する。そして、上記メモリカード用コネクタ4を、上記切欠部31を通して上記第1の補強板5上に載置固定した状態で、当該第1補強板5と上記第2の補強板6とで上記印刷配線基板3をその両面から挟み込んだ状態でネジ7,8により固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末装置に係わり、特にメモリカード等を装着するためのコネクタを収容した携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に代表される携帯端末装置は、ユーザによる小型軽量化の要求に伴い筐体の軽薄短小化が進んでいる。その一方で、装置の高機能化の要求に伴いメモリカード用コネクタ等の大型回路部品の実装が要求されている。
【0003】
このような相反する要求に応えるため、従来では例えば種々の回路部品が実装される印刷配線基板の一部に切欠部を形成し、この切欠部内に上記メモリカード用コネクタを配置する構造が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような構造を採用すると、印刷配線基板上にメモリカード用コネクタを重ねて配置する場合に比べ、筐体を薄型にすることが可能となる。
【特許文献1】特許第3329230。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来提案されている構造では、印刷配線基板に切欠部を形成することにより印刷紙配線基板の強度が低下し、その結果印刷配線基板にクラックや折損が発生し易くなって、これが装置の信頼性低下の原因になりきわめて好ましくなかった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、筐体を薄型に保ちつつ印刷配線基板の強度を高く維持し、これにより装置の信頼性向上を図った携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1の発明は、筐体内に、印刷配線基板及びコネクタが収容される携帯端末装置にあって、上記印刷配線基板に上記コネクタを避けるための切欠部を形成すると共に、この切欠部と対向する位置に補強部材を配置し、上記コネクタを上記切欠部を通して上記補強部材上に載置固定した状態で、当該補強部材を上記印刷配線基板に固定するように構成したものである。
【0007】
したがって第1の発明によれば、コネクタは印刷配線基板の切欠部内に収容されるため筐体は薄型に保持され、しかも印刷配線基板は補強部材により補強されるため切欠部を形成したことによる強度上の問題も解消される。この結果、信頼性の高い携帯端末装置を提供することが可能となる。
【0008】
第2の発明は、印刷配線基板にコネクタを避けるための切欠部を形成すると共に、当該切欠部を挟んで相対向する位置に第1及び第2の補強部材を配置し、上記コネクタを上記切欠部を通して上記第1の補強部材上に載置固定した状態で、当該第1補強部材と上記第2の補強部材とで上記印刷配線基板をその両面から挟持して固定するようにしたものである。
【0009】
したがって第2の発明によれば、印刷配線基板は、切欠部の形成位置において、基板の両面から第1及び第2の補強部材により挟持された状態で固定される。このため、例えば印刷配線基板をその一方の面において補強する場合に比べ、より一層高強度に補強することが可能となる。
【0010】
また、上記第1及び第2の発明において、上記補強部材を導電性を有する金属部材により構成し、この補強部材を印刷配線基板の接地パターンに接続するとよい。このように構成すると、補強部材にシールド機能を持たせることが可能となり、これによりコネクタを周囲から電磁的に遮蔽して回路特性上の信頼性向上を図ることもできる。
【0011】
さらに、筐体内に無線ユニットが収納される場合には、上記補強部材を印刷配線基板の上記無線ユニットと近い側の面に配置するとよい。このように構成すると、1個の補強部材を使用する場合でも、この補強部材によりコネクタを無線ユニットから効果的に電磁遮蔽することが可能となり、これによりシールド効果をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
要するにこの発明では、印刷配線基板にコネクタを避けるための切欠部が形成される場合に、この切欠部と対向する位置に補強部材を配置し、この補強部材上にコネクタを載置固定した状態で当該補強部材を上記印刷配線基板に固定するように構成している。
したがってこの発明によれば、筐体を薄型に保ちつつ印刷配線基板の強度を高く維持し、これにより装置の信頼性向上を図った携帯端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、この発明に係わる携帯端末装置の一実施形態を示す分解斜視図である。この携帯端末装置は、下ケース1及び上カバー2により筐体を構成し、この筐体内に印刷配線基板3及びメモリカード用コネクタ4が収容される。なお、下ケース1の側面部及び上カバー2の側面部にはそれぞれ切欠部11,21が形成してあり、これらの切欠部11,21によりメモリカードの挿脱口が構成される。
【0014】
印刷配線基板3には、図示するごとく切欠部31が形成してある。この切欠部31は、メモリカード用コネクタ4を収容するためのもので、その寸法はメモリカード用コネクタの外形寸法より若干大きく設定されている。また、印刷配線基板3の上記切欠部31を挟んで相対向する位置には一対の孔部32,33が設けてある。これらの孔部32,33は、後述するネジ7,8の通し孔として使用される。
【0015】
ところで、上記印刷配線基板3の両面側には、上記切欠部31を間において相対向するように第1及び第2の補強板5,6が配置される。これらの補強板5,6は導電性を有する方形の金属板により構成される。これらの金属板の両側端及び背面端はクランク状に折曲されて鍔部51,52及び61,62を構成しており、これらの鍔部51,52及び61,62にはそれぞれネジ孔54,55及び64,65が設けてある。上記鍔部51,52及び61,62は、補強板5,6を印刷配線基板3に固定する際の台座として使用される。
【0016】
このような構造により装置を組み立てる場合には、先ずメモリカード用コネクタ4を印刷配線基板3の切欠部31を通して落とし込み、第1の補強板5の底面に載置固定する。固定手段としては例えば接着剤又は粘着材による固着が使用される。次に、第2の補強板6を印刷配線基板3の上面側に配置し、そのネジ孔64,65を上記印刷配線基板3の孔部32,33及び上記第1の補強板5のネジ孔54,55と位置合わせした状態で、ネジ7,8を螺着する。なお、このとき上記第2の補強板6又は第1の補強板5の鍔部61,62又は51,52が、印刷配線基板3に形成された接地パターンと電気的に接触するように位置決めされる。
【0017】
かくして、印刷配線基板3とメモリカード用コネクタ4は第1及び第2の補強板5,6により一体的に固定される。図2は、一体化された後の構造を示す縦断面図である。同図に示すように、メモリカード用コネクタ4は印刷配線基板3に形成された切欠部31内に収容され、かつ印刷配線基板3は切欠部31の両側端部において第1及び第2の補強板5,6により両面側から挟持される状態で一体的に固定される。
【0018】
このような構造であるから、メモリカード用コネクタ4は印刷配線基板3に形成された切欠部31内に収容されるので高さ寸法が制限され、これにより筐体の薄型化が可能となる。しかも、印刷配線基板3は切欠部31の両側端部において、第1及び第2の補強板5,6により両面側から挟持された状態で一体的に固定されることにより補強される。このため、切欠部31を形成したことによる強度上の問題も解消され、これにより装置の信頼性を高めることができる。
【0019】
さらに、第1及び第2の補強板5,6を導電性を有する金属板により構成し、かつこれらの補強板5,6を印刷配線基板3に形成された接地パターンと電気的に接続するようにしている。このため、補強板5,6はシールドケースとしての機能を発揮することになり、これにより補強板5,6内に収容されたメモリカード用コネクタ4を外部から電磁的に遮蔽することができる。したがって、メモリカード用コネクタ4内に装着されるメモリカードを、高周波電磁ノイズから効果的に保護することが可能となる。
【0020】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では第1及び第2の補強板5,6により印刷配線基板3をその両面側から挟み込んだ状態で一体的に固定した。しかし、それに限定されるものではなく、印刷配線基板3の表面又は裏面のいずれか一方に補強板5又は6を配置して印刷配線基板3に固定するようにしてもよい。このようにすると、前記実施形態に比べ補強強度及びシールド機能は低下するが、高さ寸法を減らすことができ、筐体のより一層の薄型化が可能となる。
【0021】
またその際、補強板5又は6を印刷配線基板3のいずれの面に設置するかについては、筐体内における高周波回路を含む無線ユニットの配置場所を考慮して決定するとよい。すなわち、補強部材は印刷配線基板の上記無線ユニットと近い側の面に配置する。このようにすると、補強板が1個の場合でも、この補強板によりメモリカード用コネクタを無線ユニットから効果的に電磁遮蔽することが可能となる。
【0022】
さらに、前記実施形態では補強部材として金属板を用いる場合を例示したが、特に補強部材にシールド機能を持たせる必要がない場合には、補強部材を樹脂等のその他の素材で構成してもよい。また、補強部材の形状や構造、固定位置等については、少なくとも印刷配線板の補強性能が損なわれない範囲であれば如何様にも設定できる。
【0023】
その他、携帯端末装置の種類やその構成、コネクタの種類、印刷配線基板に形成される切欠部の大きさや形状、補強部材の大きさや形状等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0024】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明に係わる携帯端末装置の一実施形態を示す分解斜視図。
【図2】図2に示した携帯端末装置の要部構造を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0026】
1…下ケース、2…上カバー、3…印刷配線基板、4…メモリカード用のコネクタ、5…第1の補強板、6…第2の補強板、7,8…ネジ、31…切欠部、32,33…孔部、51,52,53,61,62,63…補強板の鍔部、54,55,64,65…ネジ孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、印刷配線基板及びコネクタが収容される携帯端末装置であって、
前記印刷配線基板に前記コネクタを避けるための切欠部を形成すると共に、この切欠部と対向する位置に補強部材を配置し、前記コネクタを前記切欠部を通して前記補強部材上に載置固定した状態で、当該補強部材を前記印刷配線基板に固定したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
筐体内に、印刷配線基板及びコネクタが収容される携帯端末装置であって、
前記印刷配線基板に前記コネクタを避けるための切欠部を形成すると共に、当該切欠部を挟んで相対向する位置に第1及び第2の補強部材を配置し、前記コネクタを前記切欠部を通して前記第1の補強部材上に載置固定した状態で、当該第1補強部材と前記第2の補強部材とで前記印刷配線基板をその両面から挟持して固定するようにしたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項3】
前記補強部材を、導電性を有する金属部材により構成し、この補強部材を前記印刷配線基板の接地パターンに接続してなることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記印刷配線基板の第1の面に無線ユニットが実装される場合に、
前記補強部材は、前記印刷配線基板の少なくとも第1の面に配置されることを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−13235(P2006−13235A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190049(P2004−190049)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】