説明

携帯端末装置

【課題】長期にわたってスクリーン部を良好に維持することができ、外観にも優れた携帯端末装置を提供すること。
【解決手段】第1の筐体と第2の筐体とが閉じられたときの第1の筐体の重ね合わせ面に、第1の筐体の厚さ方向に没する凹部が形成されており、第1の筐体が、凹部の中に配置された表示部と、前記表示部を覆うようにして凹部の枠内に配置されたスクリーン部と、重ね合わせ面のうち、スクリーン部よりも先端側に設けられ、スクリーン部よりも厚さ方向に突出する保護部材とを備え、保護部材に、厚さ方向の内方にオフセットされ、かつ基端部側に延びるフランジ部が設けられ、スクリーン部の基端部側の端部に、凹部のうちの基端部側の枠に当接された突起部が設けられ、スクリーン部が基端部側で片持ち支持されており、スクリーン部の先端部が、フランジ部の基端部側の端部を越えて先端部側に延在していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式の携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1の筐体と第2の筐体とが開閉可能に連結された携帯端末装置が利用されている(例えば、特許文献1参照。)。これら携帯端末装置としては、図6及び図7に示すように、第1の筐体100の重ね合わせ面に液晶などからなる表示部101と、この表示部101を覆うスクリーン部102とが設けられ、第2の筐体の重ね合わせ面にキーボードなどからなる操作部が設けられたものが知られている。スクリーン部102は、その外縁部の全長にわたって設けられた両面テープ104を介して、第1の筐体100に取り付けられている。また、第1の筐体100の重ね合わせ面のうち、スクリーン部102よりも先端側に、シリコンゴムパッド103が設けられている。このシリコンゴムパッド103は、第1の筐体100と第2の筐体とが互いに閉じられたときに、第1の筐体100と第2の筐体との互いの重ね合わせ面同士が接触しないようにするためのスペーサとして機能するものである。
ここで、近年では、表示部101の薄型化、大型化に伴い、スクリーン部102も薄型化、大型化してきている。
【特許文献1】特開2003−241170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような携帯端末装置では、スクリーン部102が薄く、大きくなっているために、温度などの環境変化によるスクリーン部102の変形量が、筐体の変形量よりも大きくなってしまい、筐体に対してスクリーン部102が変形してしまうという問題がある。特に、スクリーン部102における変形量を逃がすために、スクリーン部102自身が、厚さ方向外方に湾曲してしまう。
また、表示部101を大きくしたまま、スクリーン部102のみを小さくすれば、表示部101の大きさを保ったまま、スクリーン部102を変形し難くさせることができるものの、スクリーン部102を小さくすると、シリコンゴムパッド103とスクリーン部102との間にクリアランスCができてしまうという問題がある。すなわち、第1の筐体100の先端部には、ねじや電子部品などの各種部品が設置されているため、クリアランスCが大きくなると、それら各種部品が外方に露出してしまい外観が損なわれてしまう。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、長期にわたってスクリーン部を良好に維持することができ、外観にも優れた携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る携帯端末装置は、第1の筐体と第2の筐体との互いの基端部が連結部を介して開閉可能に連結された携帯端末装置であって、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じられたときの前記第1の筐体の重ね合わせ面に、前記第1の筐体の厚さ方向に没する凹部が形成されており、前記第1の筐体が、前記凹部の中に配置された表示部と、前記表示部の外方側において前記表示部を覆うようにして前記凹部の枠内に配置されたスクリーン部と、前記重ね合わせ面のうち、前記スクリーン部よりも先端側に設けられ、前記スクリーン部よりも前記厚さ方向に突出する保護部材とを備え、前記保護部材に、前記厚さ方向の内方にオフセットされ、かつ前記基端部側に延びるフランジ部が設けられ、前記スクリーン部の前記基端部側の端部に、前記凹部のうちの前記基端部側の枠に当接された突起部が設けられ、前記スクリーン部が前記基端部側で片持ち支持されており、前記スクリーン部の先端部が、前記フランジ部の前記基端部側の端部を越えて前記先端部側に延在していることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、スクリーン部の突起部が凹部の枠に当接することから、スクリーン部の基端部側の端部と凹部の枠との間にクリアランスが設けられ、そのため、スクリーン部の基端部が膨張しても、その膨張がクリアランスによって許容される。
また、スクリーン部が片持ち支持されていることから、スクリーン部の先端部が膨張しようとしても、その膨張が許容される。
また、スクリーン部が基端部側で片持ち支持されており、スクリーン部の先端部が、フランジ部の基端部側の端部を越えて先端部側に延在していることから、凹部の内方の各種部品が覆われるため、それら各種部品が外方に露出することもない。
以上より、長期にわたってスクリーン部を良好に維持することができ、さらに外観を向上させることができる。
【0007】
また、本発明に係る携帯端末装置は、前記スクリーン部の先端に、基端側に没する切欠が形成されており、前記切欠に、前記保護部材が配されていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、簡易な構成により、第1の筐体と第2の筐体との間のストッパーとしてシリコンゴムパッドを機能させるとともに、スクリーン部の変形を許容することができる。
【0009】
また、本発明に係る携帯端末装置は、前記突起部が、前記スクリーン部の基端辺のうち、前記第1の筐体の基端部から先端部にわたって延在する方向に交差する方向の両端に設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、スクリーン部が変形するときでも、前記交差する方向にバランスを取ることができ、安定状態を保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期にわたってスクリーン部を良好に維持することができ、さらに外観を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態における携帯端末装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る携帯端末装置を携帯電話に適用した例を示したものである。
図2は、第1の筐体10を拡大して示す平面図である。
図1及び図2に示すように、携帯電話1は、直方体形状の第1の筐体10と、同形状の第2の筐体20とを備えている。そして、これら第1の筐体10と第2の筐体20とが、ヒンジ部(連結部)30を介して、開閉可能に連結されている。すなわち、第1の筐体10と第2の筐体20とは、ヒンジ部30によって、第1の筐体10及び第2の筐体20の短手方向Sに延びる軸線Aを回転中心として回転可能に支持されている。
【0013】
なお、第1の筐体10と第2の筐体20とが閉じられたときに、互いに重ね合わされる面が、重ね合わせ面(内面)10A,20Aとなる。
ヒンジ部30は、第1の筐体10及び第2の筐体20の長手方向L1,L2の基端部10b,20bに設けられている。
【0014】
第2の筐体20の重ね合わせ面20Aには、メールや通話など使用者からの携帯電話1の各種操作を受け付ける操作部7が設けられている。
一方、第1の筐体10の重ね合わせ面10Aには、厚さ方向に没する長方形状の凹部5が形成されている。凹部5は、第1の筐体10の基端部10bから先端部10aにわたって延ばされている。凹部5内の長手方向の中央には、液晶からなる表示部6が設置されている。また、第1の筐体10の先端部10aには、固定ねじ11(図5に示す)や電子部品などの各種部品が設けられている。
【0015】
さらに、凹部5の枠内には、図2及び図3に示すように、枠の全域にわたって延在するスクリーン部2が設けられている。すなわち、スクリーン部2は、表示部6の外方側において表示部6を覆うようにして凹部5の枠内に固定されている。この、スクリーン部2は、例えば透明なアクリル板からなっており、長方形板状に形成されている。また、スクリーン部2の先端辺2aのうち、短手方向Sの両端には、基端側に切り込まれた切欠2bが形成されている。これら切欠2bは、面取りされてR状に湾曲して形成されている。また、スクリーン部2の基端辺2cのうち、短手方向Sの両端には、基端辺2cから長手方向L1に突出する突起部9が設けられている。突起部9は、ドーム状に緩やかに湾曲して形成されている。これら突起部9は、凹部5の枠のうち、基端部10b側の縁に当接している。そのため、スクリーン部2の基端辺2cと基端部10b側の縁との間には、クリアランスが設けられている。
なお、基端部10b側の縁には、スクリーン部2の基端辺2cを越えて先端側に向けて取付部(不図示)が延ばされているため、クリアランスから各種電気部品が露出することはない。
【0016】
また、スクリーン部2の裏面には、図4に示すように、外縁部の全周にわたって延ばされた両面テープ8が設けられている。そして、スクリーン部2は、基端部側に設けられた両面テープ8によって、凹部5内に固定されている。すなわち、スクリーン部2の先端部に設けられた両面テープ8は、図5に示すように、第1の筐体10や凹部5内の部品などに接触しておらず、基端部側に設けられた両面テープ8のみが第1の筐体10に当接している。つまり、スクリーン部2は、基端部側に設けられた両面テープ8によって、基端部側において片持ち支持されている。
【0017】
また、凹部5内のうち、短手方向Sの両端には、樹脂からなる一対のシリコンゴムパッド(保護部材)4が設けられている。これらシリコンゴムパッド4は、スクリーン部2の表面から厚さ方向に突出する本体部4aと、この本体部4aの基端部から第1の筐体10の基端部10b側に延びるフランジ部4bとを備えている。
本体部4aは、スクリーン部2の切欠2b内に配置されている。すなわち、本体部4aは、切欠2bよりも先端側に設けられている。また、本体部4aは、第1の筐体10と第2の筐体20とを閉じたときに、第2の筐体20の重ね合わせ面20Aに当接する。すなわち、本体部4aは、両筐体10,20を閉じたとき、互いの重ね合わせ面10A,20Aが接触しないようにスペーサとして機能する。
【0018】
フランジ部4bは、スクリーン部2に対して、凹部5の内方にオフセットして設けられている。また、フランジ部4bは、本体部4aから切欠2bを越えて第1の筐体10の基端部10b側に延ばされている。すなわち、スクリーン部2が、フランジ部4bに重ね合わされて配置されている。
なお、上述したように、スクリーン部2は片持ち支持されているため、スクリーン部2の先端部と、フランジ部4bとは接触しておらず、これらスクリーン部2の先端部とフランジ部4bとの間には、クリアランスC1が設けられている。また、スクリーン部2の長手寸法は、凹部5の長手寸法よりも小さくなっており、スクリーン部2の切欠2bと本体部4aとの間にはクリアランスC2が設けられている。さらに、スクリーン部2の先端辺2aと凹部5の先端側の縁との間にも、クリアランスが設けられている。
【0019】
次に、このように構成された本実施形態における携帯電話1の作用について説明する。
使用者は、第1の筐体10と第2の筐体20とを閉じた状態で、携帯電話1を携行する。一方、通話やメールなどの機能を利用する場合には、使用者は、第1の筐体10と第2の筐体20とを相互に開いた状態で、表示部6に表示される文字などを確認しながら操作部7を操作する。これにより、メールの送受信や通話などが行われる。
【0020】
ここで、従来では、スクリーン部2の変形量が、第1の筐体10の変形量よりも大きくなってしまい、第1の筐体10に対してスクリーン部2が変形してしまう場合があった。
本実施形態においては、スクリーン部2の突起部9が凹部5の枠に当接し、基端辺2cと枠との間にクリアランスが設けられていることから、スクリーン部2の基端部が長手方向L1に膨張しても、その膨張がクリアランスによって許容される。また、このとき、突起部9が、基端辺2cのうち、短手方向Sの両端部に設けられていることから、スクリーン部2が短手方向Sにバランスされながら、安定状態が保たれる。
【0021】
また、スクリーン部2が片持ち支持されていることから、スクリーン部2の先端部が長手方向L1に膨張しようとしても、その膨張が許容され、また、仮に先端辺2aが凹部5の枠に当接したとしても、長手方向L1に広がろうとする力が短手方向Sなどにも分散されていく。そのため、スクリーン部2が長手方向L1に変形しようとしても、第1の筐体10に対して、スクリーン部2が厚さ方向外方に湾曲することが防止される。
さらに、スクリーン部2の先端辺2aとシリコンゴムパッド4の本体部4a及び凹部5の枠との間にクリアランスC2が設けられていることから、スクリーン部2の長手方向L1の変形が許容され易くなる。
【0022】
また、シリコンゴムパッド4のフランジ部4bが先端辺2aを超えて基端部10b側に延ばされていることから、凹部5の内方の固定ねじ11などの各種部品が覆われるため、それら各種部品がクリアランスC2を介して外方に露出することもない。
【0023】
以上より、本実施形態における携帯電話1によれば、スクリーン部2の基端部側及び先端部側の長手方向L1の変形を許容することができ、スクリーン部2の厚さ方向外方への湾曲を防止することができる。
そのため、長期にわたってスクリーン部2を良好に維持することができる。
また、凹部5の内方の固定ねじ11などの各種部品がフランジ部4bによって覆われているため、それら各種部品がクリアランスC2を介して外方に露出することを防止することができ、外観を損ねることもない。
【0024】
また、突起部9が、基端辺2cのうち、短手方向Sの両端部に設けられていることから、スクリーン部2が変形するときでも、短手方向Sにスクリーン部2のバランスを取りながら、安定状態を保持することができる。
また、スクリーン部2に切欠2bが形成されており、それら切欠2bに本体部4aが配置されていることから、簡易な構成により、本体部4aを第1の筐体10と第2の筐体20との間のストッパーとして機能させるとともに、スクリーン部2の長手方向L1の変形を許容することができる。
また、シリコンゴムパッド4が短手方向Sの両端部に設けられていることから、重ね合わせ面10A,10B同士の接触を確実に防止することができ、耐久性を向上させることができる。
また、シリコンゴムパッド4のフランジ部4bが先端辺2aを超えて基端部10b側に延ばされていることから、各種部品が外方に露出することを防止することができる。そのため、携帯電話1の美観を保持することができる。
【0025】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、突起部9を短手方向Sの両端部に設けるとしたが、これに限ることはなく、その設置数、設置場所は適宜変更可能である。
また、切欠2bを短手方向Sの両端部に設けるとしたが、これに限ることはなく、その設置数、設置場所は適宜変更可能である。
また、両面テープ8をスクリーン部2の全周に設けるとしたが、これに限ることはなく、基端部側の取付部分のみに両面テープ8を設けてもよい。
また、本実施形態においては、本発明に係る携帯端末装置として、携帯電話1に適用する例を示したが、これに限ることはなく、例えばPDA(Personal Digital Assistants)等の他の携帯端末装置にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る携帯端末装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の第1の筐体を拡大して示す正面図である。
【図3】図1のスクリーン部を示す説明図である。
【図4】図3のスクリーン部の裏面側を示す正面図である。
【図5】図2のA−A線矢視断面図である。
【図6】従来の携帯電話の第1の筐体を示す正面図である。
【図7】図6のB−B線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 携帯電話(携帯端末装置)
2 スクリーン部
2b 切欠
2c 基端辺
4 シリコンゴムパッド(保護部材)
4b フランジ部
5 凹部
6 表示部
9 突起部
10 第1の筐体
10A 重ね合わせ面
10b 基端部
20 第2の筐体
30 連結部(ヒンジ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体との互いの基端部が連結部を介して開閉可能に連結された携帯端末装置であって、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが閉じられたときの前記第1の筐体の重ね合わせ面に、前記第1の筐体の厚さ方向に没する凹部が形成されており、
前記第1の筐体が、
前記凹部の中に配置された表示部と、
前記表示部の外方側において前記表示部を覆うようにして前記凹部の枠内に配置されたスクリーン部と、
前記重ね合わせ面のうち、前記スクリーン部よりも先端側に設けられ、前記スクリーン部よりも前記厚さ方向に突出する保護部材とを備え、
前記保護部材に、前記厚さ方向の内方にオフセットされ、かつ前記基端部側に延びるフランジ部が設けられ、
前記スクリーン部の前記基端部側の端部に、前記凹部のうちの前記基端部側の枠に当接された突起部が設けられ、
前記スクリーン部が前記基端部側で片持ち支持されており、前記スクリーン部の先端部が、前記フランジ部の前記基端部側の端部を越えて前記先端部側に延在していることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記スクリーン部の先端に、基端側に没する切欠が形成されており、
前記切欠に、前記保護部材が配されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記突起部が、前記スクリーン部の基端辺のうち、前記第1の筐体の基端部から先端部にわたって延在する方向に交差する方向の両端に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−265228(P2009−265228A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112381(P2008−112381)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】