説明

携帯端末装置

【課題】装置の薄型化を図りつつ、光源からの光を効率良く外部に放出すること。
【解決手段】携帯端末装置は、筐体の前面を覆う前面パネルと、前面パネルと対向した状態で筐体の内部に設置され、一部に切欠部が形成された回路基板と、回路基板に一端部が接続され、該一端部から切欠部へ延出するとともに、他端部が前面パネルと対向する回路基板の対向面に載置されたフレキシブル基板と、切欠部へ延出したフレキシブル基板の中途部に底面が接続され、該底面が回路基板の対向面よりも前面パネルとの距離が離れた位置に配置された電子部品と、フレキシブル基板の他端部に底面が接続され、電子部品よりも薄肉に形成され前面パネルに向けて光を発する光源とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の携帯端末装置は、ユーザに着信を通知すること等を目的として、様々な色やパターンの光を発する光源を有している。このような光源は、一般に、筐体の内部に設置された回路基板上に他の電子部品とともに取り付けられる。
【0003】
具体的に、従来の携帯端末装置における光源の取り付け例を図5に示す。図5は、従来の携帯端末装置における光源付近の断面図である。図5に示すように、筐体の前面を覆う前面パネル301と対向した状態で筐体の内部に回路基板302が配置され、前面パネル301と対向する回路基板302の対向面303には、光源となるLED(Light Emitting Diode)304が実装されている。また、回路基板302の対向面303には、LED304の他に、受話音声を発音するレシーバ305が実装されている。LED304は、レシーバ305よりも薄肉に形成されている。このような構成の下で、LED304が発する光は、前面パネル301に投射されて外部に放出され、結果として、ユーザに着信を通知することができる。
【0004】
なお、カメラ付き携帯端末装置では、暗所の撮影を可能とするために、LEDとカメラとをフレキシブル基板により接続したうえでこれらLEDとカメラとを回路基板上に実装する例も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−215223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光源を他の電子部品とともに回路基板に実装する方式では、他の電子部品が比較的肉厚に形成されている場合に、装置の薄型化を阻害するという問題がある。すなわち、図5に示した例では、前面パネル301と回路基板302との間に介在するレシーバ305が比較的肉厚に形成されている場合に、前面パネル301と回路基板302との間隔をレシーバ305の厚みよりも小さく設定することができない。この結果、レシーバ305が障害となり装置の薄型化を図ることが困難となる。
【0007】
また、上記の方式では、他の電子部品よりも薄肉に形成された光源が他の電子部品と同一の回路基板上に配置されているため、光源から発する光を効率良く外部に放出できないという問題もある。すなわち、図5に示した例では、LED304がレシーバ305よりも薄肉に形成されている。このため、同一の回路基板302に実装されたLED304と前面パネル301との間隔がレシーバ305の厚みにより制限を受け、レシーバ305よりも薄肉に形成されたLED304を前面パネル301に対して近接させることが困難となる。この結果、LED304から発する光を前面パネル301に投射して外部に放出することが困難となる。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の薄型化を図りつつ、光源からの光を効率良く外部に放出することができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する携帯端末装置は、筐体の前面を覆う前面パネルと、前記前面パネルと対向した状態で前記筐体の内部に設置され、一部に切欠部が形成された回路基板と、前記回路基板に一端部が接続され、該一端部から前記切欠部へ延出するとともに、他端部が前記前面パネルと対向する前記回路基板の対向面に載置されたフレキシブル基板と、前記切欠部へ延出した前記フレキシブル基板の中途部に底面が接続され、該底面が前記回路基板の対向面よりも前記前面パネルとの距離が離れた位置に配置された電子部品と、前記フレキシブル基板の他端部に底面が接続され、前記電子部品よりも薄肉に形成され前記前面パネルに向けて光を発する光源とを備えた。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する携帯端末装置の一つの態様によれば、装置の薄型化を図りつつ、光源からの光を効率良く外部に放出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施例に係る携帯電話機を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、外装ケース等を取り外した筐体の内部構成例を示す外観斜視図である。
【図3】図3は、図1のA−A線における断面を模式的に示す図である。
【図4】図4は、図1のA−A線における断面の他の例を模式的に示す図である。
【図5】図5は、従来の携帯端末装置における光源付近の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する携帯端末装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願の開示する携帯端末装置が限定されるものではない。例えば、以下の実施例では、本願の開示する携帯端末装置を携帯電話機に適用する例を示すが、本願の開示する携帯端末装置は、PDA(Personal Digital Assistant)などの他の携帯端末装置にも適用することができる。
【実施例】
【0013】
まず、図1を用いて、本実施例に係る携帯電話機の外観構成について説明する。図1は、本実施例に係る携帯電話機10を示す外観斜視図である。本実施例に係る携帯電話機10は、掌サイズの2つの筐体20、30を備える。これら2つの筐体20、30は、スライド機構等の連結部を介してスライド自在に連結されている。
【0014】
筐体20は、多機能キー、決定キー、モードキー、ダイヤルキー等を含む操作キー部21が設けられた固定側の筐体である。筐体30は、前面パネル31、送話部32、カメラ部33、受話部34、着信通知部35等が設けられた可動側の筐体である。なお、図1は、固定側の筐体20に対して可動側の筐体30をスライドすることによって、可動側の筐体30が固定側の筐体20に対して開放された状態を示している。
【0015】
操作キー部21は、ユーザの入力操作を受付ける。例えば、操作キー部21は、通話先の電話番号の入力操作を受け付けたり、通話の開始又は終了の入力操作を受け付けたりする。前面パネル31は、筐体30の前面を覆う透明なパネル部材であり、筐体30内部に備えられたLCD(Liquid Crystal Display)モジュールの表示画面や着信通知部35等を外部に対して視認可能に露出させる。
【0016】
送話部32は、筐体30の内部に備えられたマイクへ通じる貫通孔である。すなわち、ユーザが発する送話音声は、送話部32から筐体30の内部へ侵入し、マイクにより収音される。カメラ部33は、撮像用のカメラモジュールを備えており、操作キー部21に対するユーザの操作に応じて被写体を撮像する。
【0017】
受話部34は、筐体30の内部に備えられたレシーバへ通じる貫通孔である。すなわち、筐体30の内部には、受話音声を発音するレシーバが備えられており、レシーバから発音された音声が受話部34から外部へ放出される。
【0018】
着信通知部35は、前面パネル31の一部に形成され、筐体30の内部に備えられたLEDから発せられた光を外部へ放出する。すなわち、着信通知部35は、例えば着信時に、着信をユーザに通知するための所定の色やパターンの光を外部へ放出する。
【0019】
また、筐体20は、内面となる操作キー部21側に位置する前面外装ケース22と、外面となる背面側に位置する背面外装ケース23との2つ割り構造である。筐体30は、外面となる前面パネル31側に位置する前面外装ケース36と、内面となる背面側に位置する背面外装ケース37との2つ割り構造である。
【0020】
次に、図2及び図3を用いて、着信通知部35付近における筐体30の内部構成について説明する。図2は、外装ケース等を取り外した筐体30の内部構成例を示す外観斜視図である。図3は、図1のA−A線における断面を模式的に示す図である。図2及び図3に示すように、可動側の筐体30は、回路基板110と、カメラ用フレキシブル基板120と、カメラモジュール130と、レシーバ用フレキシブル基板140と、レシーバ150と、LED160とを有する。
【0021】
回路基板110は、前面パネル31と対向した状態で筐体30の内部に設置され、各種の回路部品を実装している。前面パネル31と対向する回路基板110の対向面111と反対の面112には、カメラ用フレキシブル基板120の基端部121と接続されるコネクタ部113やレシーバ用フレキシブル基板140の基端部141と接続されるコネクタ部114が形成されている。また、回路基板110のコネクタ部113及びコネクタ部114側の端部には、切欠部115が形成されている。切欠部115は、カメラモジュール130及びレシーバ150を包含する程度の大きさ及び形状に形成されている。
【0022】
カメラ用フレキシブル基板120は、可撓性の材料により形成されたフレキシブルケーブルであり、基端部121を回路基板110のコネクタ部113に接続するとともに、先端部122を切欠部115へ延出している。カメラモジュール130は、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子と対物レンズとを一体化したカメラICを基板上に実装したモジュールであり、底面がカメラ用フレキシブル基板120の先端部122に接続されている。
【0023】
レシーバ用フレキシブル基板140は、可撓性の材料により形成されたフレキシブルケーブルである。レシーバ用フレキシブル基板140は、基端部141を回路基板110のコネクタ部114に接続し、該基端部141から切欠部115へ延出するとともに、先端部142を回路基板110の対向面111に載置している。また、切欠部115へ延出した中途部143と回路基板110の対向面111に載置された先端部142とは、これら中途部143及び先端部142よりも狭幅に形成された連結部144により連結されている。また、中途部143の底部には、この中途部143を筐体30の内部の所定位置に固定するための位置決め部材145が取り付けられている。
【0024】
レシーバ150は、受話部34に向けて受話音声を発音する装置である。レシーバ150の底面151は、切欠部115へ延出したレシーバ用フレキシブル基板140の中途部143に接続されている。この際、レシーバ150の底面151は、前面パネル31に対して回路基板110の対向面111よりも離れた位置に配置されている。
【0025】
LED160は、前面パネル31に向けて光を発する光源であり、発光面を除く周囲を遮光部材170により覆われている。LED160は、レシーバ150やカメラモジュール130よりも薄肉に形成されている。LED160の底面161は、回路基板110の対向面111に載置されたレシーバ用フレキシブル基板140の先端部142に接続されている。
【0026】
なお、LED160の底面161がカメラ用フレキシブル基板120ではなくレシーバ用フレキシブル基板140に接続されている理由は以下の通りである。カメラ用フレキシブル基板140の先端部122に接続されるカメラモジュール130は、一般に、電磁ノイズの影響を受け易い。このため、カメラモジュール130の近傍に電磁ノイズの発生源となる電子部品を近接させることは好ましくない。ここで、LED160は、微小ではあるが電磁ノイズを発生する電子部品である。そこで、本実施例では、カメラモジュール130に対する電磁ノイズの影響を抑制する観点から、LED160の底面161を、カメラ用フレキシブル基板120に接続するのではなく、レシーバ用フレキシブル基板140に接続している。
【0027】
次に、レシーバ150及びLED160と回路基板110との接続手順について説明する。(1)まず、本実施例では、レシーバ150の底面151をレシーバ用フレキシブル基板140の中途部143に接続する。また、LED160の底面161をレシーバ用フレキシブル基板140の先端部142に接続する。
【0028】
(2)次いで、レシーバ150及びLED160が接続されたレシーバ用フレキシブル基板140の基端部141を回路基板110のコネクタ部114に接続する。このとき、レシーバ用フレキシブル基板140の中途部143を回路基板110の切欠部115に対応する位置に配置するとともに、先端部142を回路基板110の対向面111に載置する。
【0029】
(3)次いで、レシーバ用フレキシブル基板140の先端部142に接続されたLED160の周囲に遮光部材170を取り付け、前面パネル31を筐体30の前面に取り付ける。これにより、前面パネル31がレシーバ150を押し下げ、レシーバ150及びレシーバ150が接続されたレシーバ用フレキシブル基板140の中途部143が回路基板110の切欠部115内に進入する。このため、レシーバ150の底面が前面パネル31に対して回路基板110の対向面111よりも離れた位置に配置される。この際、切欠部115へ延出した中途部143及び回路基板110の対向面111に載置された先端部142とは、狭幅の連結部144により連結されているので、連結部144が容易に屈曲し、レシーバ150の切欠部115内への進入が円滑化される。
【0030】
したがって、本実施例では、前面パネル31と回路基板110との間に介在するレシーバ150が比較的肉厚に形成されている場合であっても、前面パネル31と回路基板110との間隔をレシーバ150の厚みよりも小さく設定することができる。この結果、本実施例では、レシーバ150により装置の薄型化が阻害されることがない。
【0031】
また、本実施例では、レシーバ150の底面が前面パネル31に対して回路基板110の対向面111よりも離れた位置に配置される一方、LED160の底面が回路基板110の対向面111上に配置される。このため、本実施例では、LED160と前面パネル31との間隔がレシーバ150の厚みにより制限を受けず、レシーバ150よりも薄肉に形成されたLED160を前面パネル31に対して可及的に近接させることができる。この結果、本実施例では、LED160から発する光を前面パネル31に投射して着信通知部35から外部へ効率良く放出することができる。
【0032】
上述してきたように、本実施例では、一部に切欠部115が形成された回路基板110に基端部141を接続したレシーバ用フレキシブル基板140の中途部143を切欠部115へ延出して先端部142を回路基板110の対向面111に載置する。そして、本実施例では、レシーバ用フレキシブル基板140の中途部143にレシーバ150の底面151を接続する一方、先端部142にレシーバ150より薄肉のLED160の底面161を接続する。このため、本実施例では、レシーバ150及びレシーバ用フレキシブル基板140の中途部143が切欠部115内に進入し、レシーバ150の底面が前面パネル31に対して回路基板110の対向面111よりも離れた位置に配置される。したがって、本実施例では、レシーバ150の厚みが回路基板110の切欠部115に吸収される。その結果、本実施例では、LED及びレシーバを同一の回路基板に実装する従来の方式と比べて装置の薄型化を図ることが可能となる。
【0033】
また、本実施例では、レシーバ150の底面が前面パネル31に対して回路基板110の対向面111よりも離れた位置に配置される一方、LED160の底面が回路基板110の対向面111上に配置される。このため、本実施例では、LED160と前面パネル31との間隔がレシーバ150の厚みにより制限を受けず、レシーバ150よりも薄肉に形成されたLED160を前面パネル31に対して可及的に近接させることができる。この結果、本実施例では、LED160から発する光を前面パネル31に投射して着信通知部35から外部へ効率良く放出することができる。すなわち、本実施例によれば、装置の薄型化を図りつつ、光源からの光を効率良く外部に放出することができる。
【0034】
なお、本実施例では、レシーバ用フレキシブル基板140の先端部142を回路基板110の対向面111に直接的に載置する例を示したが、図4に示すように、回路基板110の対向面111と先端部142との間に底上げ部品200を介在させてもよい。図4は、図1のA−A線における断面の他の例を模式的に示す図である。底上げ部品200は、スポンジ又はゴム等の緩衝材料により形成され、回路基板110の対向面111に貼り付け等により取り付けられる。
【0035】
このように、底上げ部品200を備えた携帯電話機10によれば、レシーバ用フレキシブル基板140の先端部142に接続されたLED160の高さ位置を底上げ部品200の厚みによって調整することができる。その結果、LED160を前面パネル31に対してより一層近接させることができ、LED160から発する光を前面パネル31に投射して着信通知部35から外部へ効率良く放出することができる。
【0036】
(他の実施例)
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において、種々の異なる実施例にて実施することもできる。
【0037】
すなわち、本実施例では、筐体20、30をスライド自在に連結するスライド機構を用いたスライド方式の携帯電話機を例に挙げて説明したが、本願の開示する携帯端末装置は、スライド方式以外の携帯端末装置にも適用することができる。例えば、本願の開示する携帯端末装置は、折り畳み方式や平面回転方式の連結部により一方の筐体に対して他方の筐体を可動自在とした携帯端末装置にも同様に適用することができる。
【0038】
また、本実施例では、携帯端末装置としての携帯電話機への適用例を説明したが、本願の開示する携帯端末装置は、これに限定されるものではない。例えば、本願の開示する携帯端末装置は、PDAのような小型情報処理端末、小型音楽再生装置、携帯テレビ、携帯型ゲーム機等の他の各種携帯端末装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 携帯電話機
20 筐体
21 操作キー部
30 筐体
31 前面パネル
34 受話部
35 着信通知部
110 回路基板
111 対向面
115 切欠部
140 レシーバ用フレキシブル基板(フレキシブル基板)
141 基端部
142 先端部
143 中途部
144 連結部
150 レシーバ(電子部品)
151 底面
160 LED(光源)
161 底面
200 底上げ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面を覆う前面パネルと、
前記前面パネルと対向した状態で前記筐体の内部に設置され、一部に切欠部が形成された回路基板と、
前記回路基板に基端部を接続し、該基端部から前記切欠部へ延出するとともに、先端部を前記前面パネルと対向する前記回路基板の対向面に載置したフレキシブル基板と、
前記切欠部へ延出した前記フレキシブル基板の中途部に底面が接続され、前記前面パネルに対して前記回路基板の対向面よりも離れた位置に該底面が配置された電子部品と、
前記フレキシブル基板の先端部に底面が接続され、前記電子部品よりも薄肉に形成され前記前面パネルに向けて光を発する光源と
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記切欠部へ延出した前記フレキシブル基板の中途部と前記回路基板の対向面に載置された前記フレキシブル基板の先端部とは、該中途部及び先端部よりも狭幅に形成された連結部により連結されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記回路基板の対向面と前記フレキシブル基板の先端部との間に介在される底上げ部品をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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