説明

携帯端末

【課題】電子マネーの使用制限状態および使用許可状態を制御し、電子マネーの使いすぎを好適に防止することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】電子マネー機能を実現し、電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報を保持する非接触ICチップ部と、電子マネーの利用額を監視する監視期間の開始時期と、監視期間内に利用可能な限度額とを記憶する限度額等記憶部と、非接触ICチップ部より監視期間内の履歴情報を取得し蓄積する履歴情報記憶部と、履歴情報記憶部に蓄積された履歴情報に基づき電子マネーの利用額の合計を算出し、利用額の合計が限度額を超過した場合、電子マネー機能の使用を禁止し、次の監視期間の開始時期が到来した場合に電子マネー機能の使用を許可する電子マネー機能監視部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー機能を備えた携帯端末に係り、特に電子マネーの使いすぎを防止する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、非接触ICカードの技術進歩に伴い、電子マネーによる支払いを可能とした電子マネー機能付の携帯端末が広く用いられるようになった。電子マネーを用いた支払いは、現金の支払いに比べて金銭授受を行っているという感覚に乏しいため、金銭感覚を弱めて使いすぎる傾向があるといわれている。
【0003】
そこで、従来、電子マネーの使用を制限する技術が特許文献1に開示されている。この技術は、予め決められている制限範囲を超えるまで電子マネーの使用を許可し、この制限を超えた際には電子マネー機能を使用可能状態から使用禁止状態に切り換えるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−209453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、特定発信者からのメール受信あるいは電話着信を検出した際に、電子マネー機能を使用禁止状態から使用可能状態に切り替えると共に、予め設定された制限付使用許可情報を参照し、この制限範囲を超えるまで使用可能状態から使用禁止状態に切り替えるものであった。この技術は、例えば親の監視下で子供が電子マネーを使いすぎることを効果的に抑制するためのものであった。
【0006】
しかし、子供のみならず大人にとっても電子マネーの使いすぎは起こり得る。このため、携帯端末がユーザにより課された制限に応じて自動的に使用制限状態および使用許可状態を切り替えることが好ましいといえる。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、電子マネーの使用制限状態および使用許可状態を制御し、電子マネーの使いすぎを好適に防止することができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯端末は、上述した課題を解決するために、電子マネー機能を実現し、前記電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報を保持する非接触ICチップ部と、前記電子マネーの利用額を監視する監視期間の開始時期と、前記監視期間内に利用可能な限度額とを記憶する限度額等記憶部と、前記非接触ICチップ部より前記監視期間内の前記履歴情報を取得し蓄積する履歴情報記憶部と、前記履歴情報記憶部に蓄積された前記履歴情報に基づき前記電子マネーの利用額の合計を算出し、前記利用額の合計が前記限度額を超過した場合、前記電子マネー機能の使用を禁止し、次の前記監視期間の開始時期が到来した場合に前記電子マネー機能の使用を許可する電子マネー機能監視部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯端末は、電子マネーの使用制限状態および使用許可状態を制御し、電子マネーの使いすぎを好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る携帯端末の実施形態を示す概略的な機能ブロック図。
【図2】表示部に表示された電子マネーの残高情報などの表示例を示す図。
【図3】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、携帯端末の電源がON状態に移行した際に実行される処理を説明するシーケンス図。
【図4】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、図3のステップS12の限度額の超過判定処理において現在の利用額が限度額内であると判定された場合の処理を説明するシーケンス図。
【図5】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、図4のステップS27の限度額の超過判定処理において現在の利用額が超過したと判定された場合に実行される処理を説明するシーケンス図。
【図6】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、電子マネー機能が使用不可となった後に実行される処理を説明するシーケンス図。
【図7】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、限度額内を維持したまま次の監視期間の開始時期が到来した場合の処理を説明するシーケンス図。
【図8】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、電子マネーの利用額が限度額内を維持したまま、携帯端末の電源がOFF状態に移行した場合に実行される処理を説明するシーケンス図。
【図9】本実施形態における携帯端末で実行される電子マネー機能制御処理のうち、電子マネーの利用額が限度額を超過している状態で、携帯端末の電源がOFF状態に移行した場合に実行される処理を説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る携帯端末の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る携帯端末の実施形態を示す概略的な機能ブロック図である。
【0013】
携帯端末1は、W−CDMA方式、GSM方式、cdma2000 1x RTT方式、EVDO方式、および3.9世代のLTEシステムの無線アクセスであるE−UTRA方式のいずれの無線通信方式によっても音声通信やデータ通信を行うことが可能である。また、アンテナ11、無線送受信部12、信号処理部13はこれらの方式に対応する。
【0014】
アンテナ11は、移動通信網に収容される基地局から種々の通信処理システムで送信される無線信号を空間から受信する。また、アンテナ11は、所定の通信処理システムで無線通信できるように空間に所定のアクセス方式の無線信号を放射する。
【0015】
無線送受信部12は、アンテナ11を介して、移動通信網に収容される基地局との間で所定の通信処理方式で無線通信する。無線送受信部12は、信号処理部13にて生成された変調信号に基づいて、制御部19から指示されるキャリア周波数の無線信号を生成する。また、無線送受信部12は、制御部19から指示されるキャリア周波数の無線信号を受信し、周波数シンセサイザから出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)する。そして、無線送受信部12は、このダウンコンバートされた中間周波数信号を直交復調して受信ベースバンド信号を出力する。この受信結果は、信号処理部13と制御部19に出力される。
【0016】
信号処理部13は、DSP(Digital Signal Processor)などにより構成され、受信ベースバンド信号に所定の信号処理を施し、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータを得る。また、信号処理部13は、受信パケットデータに含まれる音声信号を復調し、この復調結果を復号して音声データなどを得る。復号処理により得られた音声データは、PCMコーデック14に供給される。PCMコーデック14は、音声データをPCM復号し、PCM復号後のアナログオーディオデータ信号を受話増幅器15に出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器15にて増幅された後、レシーバ16により出力される。
【0017】
一方、マイクロフォン17に入力された話者(ユーザ)の音声信号(アナログオーディオ信号)は、送話増幅器18により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック14によりPCM符号化される。このPCM符号化後のオーディオ信号は、信号処理部13に入力される。信号処理部13は、このオーディオ信号を符号化し、符号化によって得た音声データやその他のデータに基づいて変調信号を生成するとともに、生成された変調信号を無線送受信部12に出力する。
【0018】
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などからなる。
【0019】
CPUは、ROMに記憶されているプログラムまたは記憶部からRAMにロードされた、オペレーティングシステム(OS)20を含む各種のアプリケーションプログラムや制御プログラムに従って各種の処理を実行する。CPUは、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯端末1を統括的に制御する。本実施形態においては、CPUは特に電子マネー監視アプリケーション21および待受けアプリケーション22を実行する。また、CPUは、電子マネー監視アプリケーション21および待受けアプリケーション22をはじめとするアプリケーションを管理するアプリケーションマネージャ23を実行する。なお、CPUにより実行されるOS20、電子マネー監視アプリケーション21、待受けアプリケーション22およびアプリケーションマネージャ23は、説明の便宜上制御部19の内部に図示した。
【0020】
電子マネー監視アプリケーション21は、詳細を後述する電子マネー機能制御処理を実行するアプリケーションである。待受けアプリケーション22は、他のアプリケーションの指示に基づいて表示部34の表示処理を行うアプリケーションである。
【0021】
制御部19のRAMは、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどを適宜記憶する。
【0022】
非接触ICチップ部25は、携帯端末1において電子マネー機能を実現するためのチップである。非接触ICチップ部25は、専用CPU26、メモリ部27やアンテナ28を有する。非接触ICチップ部25は、アンテナ28を介して外部端末装置であるICカードリーダライタ(図示せず)との間で微弱電波によって近距離通信を行う。専用CPU26は、非接触ICチップ部25で行われる処理を統括的に制御する。メモリ部27(メモリ部の共通領域)は、例えばフラッシュメモリであり、電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報や電子マネーの残高情報を保持する。非接触ICチップ部25は、携帯端末1の電源回路35から動作電力を得るようになっている。
【0023】
非接触ICチップ部25は、ICカードリーダライタからの受信電波を検出すると、電子マネーの残高情報を読み出しアンテナ28より出力する。ICカードリーダライタは、会計端末装置(図示せず)などに接続されている。ICカードリーダライタは、この会計端末装置により非接触ICチップ部25より受信した残高情報から今回の利用金額を減算して残高情報が更新されると、更新後の新たな残高情報、利用額に関する履歴情報などを非接触ICチップ部25に出力する。非接触ICチップ部25は、更新後の新たな残高情報などを受信すると、更新後の残高情報などをメモリ部27に記憶する。メモリ部27に記憶された残高情報、履歴情報は、表示部34に表示させることで、ユーザが適宜確認できるようになっている。図2は、表示部34に表示された電子マネーの残高情報などの表示例を示す図である。ユーザの所定の操作に基づき、表示部34には電子マネーの残金(12,000円)、購買履歴(7/30 ¥3,000、8/01 ¥4,000)などの電子マネーの情報が表示されるようになっている。
【0024】
なお、非接触ICチップ部25に専用CPU26を設け、この専用CPU26の制御に基づき非接触ICチップ部25が動作する例を説明したが、携帯端末1の制御部19(CPU)の制御に基づき動作してもよい。
【0025】
記憶部30は、例えば、電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などからなる。記憶部30は、制御部19のCPUより実行される種々のアプリケーションプログラムや種々のデータ群、携帯端末1の制御プログラムや制御データなどを格納する。本実施形態においては、記憶部30は特に限度額等記憶部31および履歴情報記憶部32を備える。
【0026】
限度額等記憶部31は、電子マネーの利用額を監視する監視期間の開始時期と、監視期間内に利用可能な限度額とを記憶する。監視期間の開始時期および利用可能な限度額は、予めユーザによる設定を受け付ける設定部としての設定アプリケーション(図示せず)により設定されており、限度額等記憶部31はこの設定された情報などを記憶する。監視期間の開始時期には、例えば「毎月10日」、「毎月25日」や、「毎週月曜日」のように、ユーザ個々の給料支給日やカード支払日などに応じた、周期的に監視を行うのに適したタイミングが設定される。監視期間は、開始時期から次の開始時期が到来するまでの期間となり、例えば開始時期が「毎月10日」に設定された場合には、監視期間は「毎月10日〜翌月9日」となる。限度額等記憶部31は、電子マネー監視アプリケーション21により実行される処理に基づいて、次の監視期間の開始時期についても記憶する。例えば、現在10月13日であり、監視期間の開始時期が「毎月25日」に設定されていた場合には、次の監視期間の開始時期を「10月25日」として記憶する。
【0027】
履歴情報記憶部32は、電子マネー監視アプリケーション21が非接触ICチップ部25より取得した監視期間内の履歴情報を蓄積する。履歴情報記憶部32は、電子マネー監視アプリケーション21により新たに取得された履歴情報と現在履歴情報記憶部32に記憶されている履歴情報とに差分があれば、新たに取得された履歴情報を履歴情報記憶部32に上書きして蓄積する。
【0028】
操作部33は、例えば操作キータイプやタッチパネルタイプの操作面に対する入力動作を検出する。表示部34は、制御部19の指示に基づいて文字や画像などからなるデータを表示する。この表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイにより構成される。
【0029】
電源回路35は、バッテリ36の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して携帯端末1の各部に供給する。時計回路(タイマ)37は、現在の時刻や一定の時間を測定する。
【0030】
以下、携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理について説明する。
【0031】
図3は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、携帯端末1の電源がON状態に移行した際に実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0032】
ステップS1において、例えばユーザ操作により携帯端末1の電源がON状態に移行すると、電源回路35により各部に動作電源電圧の供給が開始される。ステップS2およびS3において、アプリケーションマネージャ23は、待受けアプリケーション22および電子マネー監視アプリケーション21に起動指示を行う。これにより、待受けアプリケーション22および電子マネー監視アプリケーション21は起動し動作を開始する。
【0033】
ステップS4において、起動された電子マネー監視アプリケーション21は、オペレーティングシステム(以下、単に「OS」という。)20に対してシステム時刻の取得を要求する。OS20は、時計回路37より現時刻を取得し(ステップS5)、電子マネー監視アプリケーション21に通知する(ステップS6)。
【0034】
ステップS7において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の限度額等記憶部31より監視期間の次の開始時期に関する情報を取得する。ステップS8において、電子マネー監視アプリケーション21は、取得された次の開始時期に関する情報とOS20より取得したシステム時刻とに基づいて、次の監視期間の開始時期(現在の監視期間の終了時期)までの日数を算出する。このとき算出されるのは、次の監視期間の開始時期までの「日数」に限らず、「時間」であってもよい。
【0035】
ステップS9において、電子マネー監視アプリケーション21は、算出された次の監視期間の開始時期までの日数に基づいて、算出された日数経過後にタイムアップの通知を行うタイマを設定する要求をOS20に対して行う。OS20は、電子マネー監視アプリケーション21から受け付けたタイマ設定要求に基づいて所定時間のタイマを設定する。
【0036】
ステップS10において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の限度額等記憶部31より予め設定された電子マネーの利用可能な限度額を取得する。また、ステップS11において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の履歴情報記憶部32より監視期間内の電子マネーの履歴情報を取得する。
【0037】
ステップS12において、電子マネー監視アプリケーション21は、取得した電子マネーの利用可能な限度額および履歴情報に基づいて、現在の利用額が限度額を超過しているか否かの判定を行う。電子マネー監視アプリケーション21は、限度額を超過していると判定した場合、ステップS13において、待受けアプリケーション22に対して次の監視期間の開始時期までの日数を表示部34に表示させるよう要求する。ステップS14において、待受けアプリケーション22は、表示部34に日数表示を行う。このとき、例えば表示部34には、「次の電子マネーの使用可能日まであと3日です」のように、ユーザが次の使用可能日、すなわち次の監視期間の開始時期までの日数が常に確認できるように、ポップアップが表示される。一方、電子マネー監視アプリケーション21は、限度額を超過していないと判定した場合、次の図4で説明する電子マネー機能制御処理に進む。
【0038】
図4は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、図3のステップS12の限度額の超過判定処理において現在の利用額が限度額内であると判定された場合の処理を説明するシーケンス図である。
【0039】
ステップS21において、電子マネー監視アプリケーション21は、OS20に対して非接触ICチップ部25に対する電源の供給開始を要求する。OS20は、非接触ICチップ部25に対して電源供給を開始する(ステップS22)。これにより、非接触ICチップ部25は動作を開始し、電子マネー機能は使用可能となる。
【0040】
ステップS23において、電子マネー監視アプリケーション21は、OS20に対して電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報の取得を要求する。OS20は、非接触ICチップ部25のメモリ部27に格納された履歴情報を取得して(ステップS24)、電子マネー監視アプリケーション21に渡す(ステップS25)。
【0041】
ステップS26において、電子マネー監視アプリケーション21は、取得した履歴情報を用いて、記憶部30の履歴情報記憶部32に既に記憶された履歴情報を更新する。ステップS27において、電子マネー監視アプリケーション21は、更新された履歴情報に基づいて、現在の電子マネーの利用額が限度額を超過しているか否かの判定を行う。
【0042】
電子マネー監視アプリケーション21は、利用額が限度額を超過していないと判定した場合、ステップS23の履歴情報取得要求処理からステップS27の限度額の超過判定処理を繰り返す。このステップS23〜S27の処理は、ステップS27の限度額の超過判定処理において限度額を超過していると判定された場合、携帯端末1の電源がOFF状態に移行した場合、または次の監視期間の開始時期が到来した場合まで繰り返し実行される。
【0043】
次に、図4のステップS27の限度額の超過判定処理において限度額を超過していると判定された場合の処理について説明する。
【0044】
図5は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、図4のステップS27の限度額の超過判定処理において現在の利用額が超過したと判定された場合に実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0045】
ステップS31において、電子マネー監視アプリケーション21は、OS20に対して非接触ICチップ部25に対する電源の供給停止を要求する。OS20は、非接触ICチップ部25に対して電源供給を停止する(ステップS32)。これにより、非接触ICチップ部25は動作を停止し、電子マネー機能は使用不可となる。
【0046】
ステップS33において、電子マネー監視アプリケーション21は、待受けアプリケーション22に対して次の監視期間の開始時期までの日数を表示部34に表示させるよう要求する。ステップS34において、待受けアプリケーション22は、表示部34に日数表示を行う。
【0047】
次に、図3のステップS14および図4のステップS34の日数表示処理の後、すなわち電子マネー機能が使用不可となった後に実行される処理について説明する。以下に説明する処理は、電子マネー監視アプリケーション21の要求に基づいてOS20が設定したタイマがタイムアップした場合に実行される処理である。
【0048】
図6は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、電子マネー機能が使用不可となった後に実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0049】
ステップS41において、OS20は、タイマがタイムアップしたことに基づいて、電子マネー監視アプリケーション21に対してタイムアップ通知を行う。OS20のタイムアップ通知は、現在の監視期間が終了し、次の監視期間が開始された旨を通知している。
【0050】
ステップS42において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の履歴情報記憶部32に記憶された履歴情報をリセットする。すなわち、終了した監視期間中に記憶された履歴情報を消去し、履歴情報記憶部32を履歴情報がない状態にする。ステップS43において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の限度額等記憶部31に記憶されている監視期間の開始時期を、次の監視期間の開始時期(タイムアップとともに開始した監視期間の次の監視期間の開始時期)に更新する。
【0051】
ステップS44において、電子マネー監視アプリケーション21は、待受けアプリケーション22に対して現在表示部34に表示されている日数表示を消去するよう要求する。ステップS45において、待受けアプリケーション22は、表示部34に表示された日数表示を消去する。
【0052】
ステップS46において、電子マネー監視アプリケーション21は、次の監視期間の開始時期までの日数を算出し、算出された日数の経過後にタイムアップの通知を行うタイマを設定する要求をOS20に対して行う。OS20は、電子マネー監視アプリケーション21から受け付けたタイマ設定要求に基づいて所定時間のタイマを設定する。
【0053】
ステップS46以降は、図4のステップS23の履歴情報取得要求処理からステップS27の限度額の超過判定処理を繰り返す。
【0054】
なお、携帯端末1が、遠隔から操作することにより携帯端末1の使用を禁止するリモートロック機能を備えることも考えられる。リモートロック機能は、携帯端末1を紛失した際に遠隔操作で携帯端末1をロックできる機能である。ロックされた携帯端末1は発着信、アドレス帳閲覧などを含む全ての操作が行えなくなる。このため、拾得者による不正使用や、保存されている情報の流出などを防ぐことができる。なお、携帯端末1を発見した場合には、同様の操作でロックを解除できる。
【0055】
このリモートロック機能動作中においては、タイムアップの通知が行われた場合であっても、電子マネー機能の使用禁止を解除することなく維持するのが好ましい。リモートロック機能動作中においても非接触ICチップ部25は駆動可能である場合があり、不正に使用されることを防止するためである。
【0056】
次に、図4のステップS27の限度額の超過判定処理において限度額の範囲内であると判定され、かつ次の監視期間の開始時期が到来した場合の処理について説明する。
【0057】
図7は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、限度額内を維持したまま次の監視期間の開始時期が到来した場合の処理を説明するシーケンス図である。
【0058】
ステップS51において、OS20は、タイマがタイムアップしたことに基づいて、電子マネー監視アプリケーション21に対してタイムアップ通知を行う。
【0059】
ステップS52において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の履歴情報記憶部32に記憶された履歴情報をリセットする。ステップS53において、電子マネー監視アプリケーション21は、記憶部30の限度額等記憶部31に記憶された監視期間の開始時期を、次の監視期間の開始時期(タイムアップとともに開始した監視期間の次の監視期間の開始時期)に更新する。
【0060】
ステップS54において、電子マネー監視アプリケーション21は、次の監視期間の開始時期までの日数に基づいて、次の監視期間の開始時期までのタイマを設定するための要求をOS20に対して行う。OS20は、電子マネー監視アプリケーション21から受け付けたタイマ設定要求に基づいて所定時間のタイマを設定する。
【0061】
ステップS54以降は、図4のステップS23の履歴情報取得要求処理からステップS27の限度額の超過判定処理を繰り返す。
【0062】
次に、携帯端末1の電源がOFF状態に移行した際に実行される処理を説明する。
【0063】
まず、電子マネーの利用額が限度額内であった場合に、携帯端末1がOFF状態に移行した場合に実行される処理を説明する。
【0064】
図8は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、電子マネーの利用額が限度額内を維持したまま、携帯端末1の電源がOFF状態に移行した場合に実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0065】
ステップS61において、例えばユーザ操作により携帯端末1の電源がOFF状態に移行すると、ステップS62において、アプリケーションマネージャ23は、電子マネー監視アプリケーション21に終了指示を行う。終了指示を受け付けた電子マネー監視アプリケーション21は、ステップS63において、OS20に対して電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報の取得を要求する。OS20は、非接触ICチップ部25のメモリ部27に格納された履歴情報を取得して(ステップS64)、電子マネー監視アプリケーション21に渡す(ステップS65)。ステップS66において、電子マネー監視アプリケーション21は、取得した履歴情報を用いて、記憶部30の履歴情報記憶部32に既に記憶された履歴情報を更新する。
【0066】
ステップS67において、電子マネー監視アプリケーション21は、OS20に対して非接触ICチップ部25に対する電源の供給停止を要求する。OS20は、非接触ICチップ部25に対して電源供給を停止する(ステップS68)。これにより、非接触ICチップ部25は動作を停止し、電子マネー機能は使用不可となる。
【0067】
次に、電子マネーの利用額が限度額を超過している場合に、携帯端末1がOFF状態に移行した場合に実行される処理を説明する。
【0068】
図9は、本実施形態における携帯端末1で実行される電子マネー機能制御処理のうち、電子マネーの利用額が限度額を超過している状態で、携帯端末1の電源がOFF状態に移行した場合に実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0069】
ステップS71において、携帯端末1の電源がOFF状態に移行すると、ステップS72において、アプリケーションマネージャ23は、電子マネー監視アプリケーション21に終了指示を行う。このとき、電子マネーの利用額は限度額を超過しているため、非接触ICチップ部25に対する電源供給が停止されている状態である。よって、電子マネー監視アプリケーション21は特に処理を行うことなく、電源OFF状態に移行する。
【0070】
この電子マネー機能制御処理を行う携帯端末1によれば、予め設定された電子マネーの利用可能な限度額および監視期間に基づいて、携帯端末1がユーザの利用額を管理するため、ICカードリーダライタに電子マネー機能のロック処理を行わせたり、携帯端末1に対する遠隔操作を行ったりする必要がなく、電子マネーの使いすぎを好適に防止することができる。
【0071】
また、携帯端末1が電源OFF状態に移行し、電子マネー機能制御処理が実行できない状況であっても、携帯端末1の電源がOFF状態に移行する際には非接触ICチップ部25への電源供給を停止した。これにより、電子マネーの使い過ぎを抑制することを所望するユーザの意図をくみ取り、電子マネー機能制御処理を好適に動作させることができる。
【0072】
本発明に係る携帯端末は、携帯電話機、PDA(PersonalDigitalAssistant)、パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの各種携帯端末に適用することができる。
【0073】
なお、本発明の実施形態において説明した一連の処理は、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0074】
1 携帯端末
11 アンテナ
12 無線送受信部
13 信号処理部
14 PCMコーデック
15 受話増幅器
16 レシーバ
17 マイクロフォン
18 送話増幅器
19 制御部
20 オペレーティングシステム(OS)
21 電子マネー監視アプリケーション
22 アプリケーション
23 アプリケーションマネージャ
25 非接触ICチップ部
26 専用CPU
27 メモリ部
28 アンテナ
30 記憶部
31 限度額等記憶部
32 履歴情報記憶部
33 操作部
34 表示部
35 電源回路
36 バッテリ
37 時計回路(タイマ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー機能を実現し、前記電子マネーの利用額に関する情報である履歴情報を保持する非接触ICチップ部と、
前記電子マネーの利用額を監視する監視期間の開始時期と、前記監視期間内に利用可能な限度額とを記憶する限度額等記憶部と、
前記非接触ICチップ部より前記監視期間内の前記履歴情報を取得し蓄積する履歴情報記憶部と、
前記履歴情報記憶部に蓄積された前記履歴情報に基づき前記電子マネーの利用額の合計を算出し、前記利用額の合計が前記限度額を超過した場合、前記電子マネー機能の使用を禁止し、次の前記監視期間の開始時期が到来した場合に前記電子マネー機能の使用を許可する電子マネー機能監視部とを備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記電子マネー機能監視部は、前記非接触ICチップ部への電源の供給を停止させることにより前記非接触ICチップ部の使用を禁止する請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記禁止部は、前記携帯端末の電源がOFF状態へ移行した場合、前記電子マネー機能の使用を禁止する請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記監視期間の開始時期および前記限度額の設定を受け付ける設定部をさらに備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記電子マネー機能の使用が禁止された場合、次の前記監視期間の開始時期が到来するまでの日数を表示する表示部をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項6】
遠隔から操作することにより前記携帯端末の使用を禁止するリモートロック機能を設定するリモートロック機能設定部をさらに備え、
前記リモートロック機能が設定されている場合には、前記電子マネー機能の使用禁止時において次の前記監視期間の開始時期が到来した場合であっても、引き続き前記電子マネー機能の使用を禁止する請求項1記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−95901(P2011−95901A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247738(P2009−247738)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】