説明

携帯電子機器の充電器

【課題】 外部直流電源から充電器に内蔵する二次電池と携帯電子機器を同時並行して充電できる携帯電子機器の充電器を提供する。
【解決手段】
内蔵する二次電池の電圧を携帯電子機器を充電するのにふさわしい電圧に昇圧する昇圧型DC/DCコンバータに2つの入力回路を設ける。第1の入力回路は内蔵二次電池から昇圧型DC/DCコンバータに給電する回路で、外部直流電源によって無効となる手段を備える。第2の入力回路は外部直流電源から昇圧型DC/DCコンバータを給電する。この間、内蔵電池は昇圧型DC/DCコンバータとは切り離され、充電回路を通して外部直流電源によって携帯電子機器と並行して充電される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー等のバッテリーで動作する携帯電子機器の充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー等、携帯電子機器はその電源として二次電池、主としてリチウムイオン電池、を内蔵しており、その内蔵二次電池への充電には、通常ACアダプタとして知られている交流入力で直流5V出力の小型直流電源、あるいはパソコン等のUSB電源が用いられている。
【0004】
また、外出先で携帯電子機器の内蔵電池が空になった場合の非常用として、乾電池を内蔵した小型携帯用の充電器も市販されているが、使い捨て電池の代わりに二次電池を内蔵した小型携帯電子機器用充電器が最近では主流となっている。
【0005】
上記二次電池内蔵小型携帯電子機器用充電器も内蔵する二次電池をACアダプタ又はUSB電源で充電できるよう、充電回路を備えている。また、太陽光で内蔵二次電池を充電するための太陽電池パネルを備えたものも市販されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記小型携帯電子機器用充電器と携帯電子機器は両者共にその内蔵電池の充電にはACアダプタ又はUSB電源が用いられる。従って、1つのACアダプタ又はUSB電源から両者を同時並行して充電できれば、いずれか片方を充電し忘れることがなく好便である。
【0006】
そのような携帯電子機器の充電器が特許文献1に開陳されている。
【特許文献1】特願2008−269928号公報
【0007】
特許文献1の携帯電子機器の充電器を図4に示す。この充電器は2つの充電回路を有している。その1つは、ダイオード413aと抵抗413bから成る二次電池414の充電回路であり、他の1つはダイオード412aと抵抗412bから成る携帯電子機器の充電回路である。
【0008】
最近の携帯電子機器の多くは、USB規格の電圧、5V±5%、で充電するように内部の充電回路が設計されている。このような仕様の携帯電子機器を図4の構成で充電しようとすると、携帯電子機器への入力電圧はUSB電源の電圧よりも少なくともダイオード412aの順方向電圧降下分は下がってしまうので、充電できない。
【0009】
さらに、二次電池414の電圧が低い状態では、外部電源42からの電流はその殆どが二次電池414に流れ、携帯電子機器へは給電されない。
【0010】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、USB規格の外部直流電源で、携帯電子機器と内蔵二次電池を同時並行して充電できる携帯電子機器の充電器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
全述の目的を達成するために、請求項1に記載の携帯電子機器の充電器は、内蔵二次電池、外部直流電源から該二次電池を充電するための充電回路、該内蔵二次電池の電圧を携帯電子機器を充電するにふさわしい電圧に昇圧する昇圧型DC/DCコンバータの基本構成に加えて、昇圧DC/DCコンバータへの2つの入力回路を備える。
【0012】
2つの入力回路のうちの1つは、二次電池から昇圧DC/DCコンバータに給電するための回路であり、この第1の入力回路は外部直流電源が接続された状態では無効となる手段を備えている。
【0013】
他の1つは、外部直流電源から昇圧型DC/DCコンバータに給電するための回路である。
この第2の入力回路で電圧降下が生じても、昇圧型DC/DCコンバータによって昇圧されるので、携帯電子機器を正常に充電することができる。
【0014】
請求項2は、2つの入力回路の具現に関するものであり、第1の入力回路は外部直流電源によってオフとなるpMOSトランジスタ、第2の入力回路は逆流防止のためのダイオードとするのが好便である。
【0015】
請求項3は、外部直流電源からの電流を、内蔵二次電池と携帯電子機器に適切に配分する手段を提供するものであり、外部直流電源から内蔵電池への充電回路に電流制限手段を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯電子機器の充電器に内蔵されている二次電池と携帯電子機器を同時並行して確実に充電できるので、極めて利便性の高い携帯電子機器の充電器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の図面において、最初の数字は図面番号を、2番目の数字1は充電機本体を、3番目の数字は充電器本体内部の各ブロックを示し、同一機能のブロックには同じ番号を符している。
【0018】
図1は、本発明の携帯電子機器の充電器のブロック構成を示している。11は充電器本体であり、充電器本体11には外部直流電源12が接続される端子11aと11a´、携帯電子機器が接続される端子11bと11b´が設けられている。
【0019】
充電器本体11の内部には二次電池114、外部直流電源12から二次電池114を充電するための充電回路113、昇圧型DC/DCコンバータ115、二次電池114からDC/DCコンバータ115へ給電するための第1の入力回路111、外部直流電源12から昇圧型DC/DCコンバータ115に給電するための第2の入力回路112が設けられている。
【0020】
外部直流電源12が端子11aと11a´に接続されると、接続端子11bと11b´に接続された携帯電子機器は第2の入力回路112と昇圧型DC/DCコンバータ115の経由で外部直流電源12によって充電される。
【0021】
一方、内蔵二次電池114は充電回路113経由で同時並行して外部直流電源12によって充電される。この時、第1の入力回路111は外部直流電源12によって無効となる手段を備えているので、充電回路113を流れる電流は全て内蔵二次電池114の充電電流となるので、二次電池114を急速充電することができる。
【0022】
外部直流電源12が接続されていない状態で携帯電子機器が端子11bと11b´に接続された場合は、携帯電子機器は内蔵二次電池114によって第1の入力回路111と昇圧型DC/DCコンバータ115経由で充電される。
【0023】
図2は、第1の入力回路111と第2の入力回路112の実施形態を示している。図2において、211aはpMOSトランジスタ、211bはpMOSトランジスタのボディダイオード、212aはダイオードである。いま、外部直流電源22の電圧をV、ダイオード212aの順方向電圧降下をVとすると、pMOSトランジスタ211aのソース電圧VはV−V、ゲート電圧VはVとなり、V<VであるのでpMOSトランジスタ211aはオフとなっている。又、ボディダイオード211bも逆バイアス状態でオフとなっている。従って、第1の入力回路211は外部直流電源によって無効となっている。
【0024】
なお、外部直流電源42が接続されていない状態では、pMOSトランジスタ211aのソース電圧Vは、二次電池214の電圧をV、ボディダイオード211bの順方向電圧降下をVとすると、V=V−Vとなっている。一方、ゲートは0VとなっているのでpMOSトランジスタ211aは順バイアスされ、オンとなっている。従って、外部直流電源42が接続されていない状態で携帯電子機器が端子21bと21b´に接続されると、携帯電子機器は内蔵二次電池214によって充電される。
【0025】
図3は本発明の充電器に内蔵する二次電池314の充電回路313の実施例を示している。
図3において、313aはpMOSトランジスタ、313bはpnpトランジスタ、313cはダイオード、313aと313eは抵抗である。
いま、pnpトランジスタ313bのベース・エミッタ間電圧をVBE、ダイオード313cの順方向電圧降下をVとすると、外部直流電源32から二次電池314を充電する電流ICHは[数1]:
【数1】

に制限される。
ここで、R313dは抵抗313dの抵抗値である。
【0026】
一方、第2の入力回路への電流Iは、外部直流電源32の出力電流をIとすると、I=I−ICHとなる。ICHは式(1)から明らかなように、抵抗313dによって調整できる。従って、電流制限手段を設けた図3の充電回路313によれば外部直流電源32からの電流を、二次電池314と携帯電子機器への充電電流に適切に振り分けることができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態を詳細に述べたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、各ブロックはその機能を逸脱することなく、多くの態様で具現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の携帯電子機器の充電器の構成
【図2】本発明の携帯電子機器の充電器の入力回路の実施例
【図3】本発明の携帯電子機器の充電器の充電回路の実施例
【図4】携帯電子機器と内蔵二次電池を同時並行充電する従来の充電器の構成
【符号の説明】
11,21,31,41:充電器本体
111,211,311:第1の入力回路
112,212,312:第2の入力回路
113,213,313:充電回路
114,214,314,414:二次電池
115,215:昇圧型DC/DCコンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に二次電池と、外部直流電源接続端子と、前記外部直流電源によって前記二次電池を充電する充電回路と、前記二次電池の電圧を昇圧する昇圧型DC/DCコンバータと、前記昇圧型DC/DCコンバータの出力を携帯電子機器に接続する携帯電子機器接電端子とを備える携帯電子機器の充電器であって、
前記昇圧型DC/DCコンバータは、前記二次電池から給電される第1の入力回路と、前記外部直流電源から給電される第2の入力回路と、さらに、前記第2の入力回路から給電される場合は前記第1の入力回路を無効とする手段とを備えたことを特徴とする携帯電子機器の充電器。
【請求項2】
前記第1の入力回路にpMOSFETを、前記第2の入力回路にダイオードを用いた請求項1に記載の携帯電子機器の充電器。
【請求項3】
前記外部直流電源から二次電池を充電する充電回路に電流制限手段を設けた請求項1に記載の携帯電子機器の充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−46563(P2013−46563A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199970(P2011−199970)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(505283393)電子システムデザイン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】