説明

携帯電子機器

【課題】アプリケーションの競合処理を回避し、ユーザビリティを向上することができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】筐体に所定の回転軸を中心に回転可能に取り付けられる回転ダイヤル部41と、回転ダイヤル部41の回転を検出する回転量検出部201と、回転量検出部201により検出された回転に基づいて、複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを決定して起動するアプリケーション起動処理部202と、アプリケーション起動処理部202にて決定されたアプリケーションが実行中か否かを判定するアプリケーション実行判定部203とを備える。アプリケーション実行判定部203においてアプリケーション起動処理部202で決定されたアプリケーションが実行中であると判定された場合、アプリケーション起動処理部202は、当該アプリケーションの起動を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部操作部を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機において、より直感的なユーザインターフェースが要求されている。ここで、ヒンジ部を有するフォルダタイプの携帯電話機において、ヒンジ部にボリューム切り替え等に用いる回転ダイヤルを設けたものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。また、このような回転ダイヤルの利用形態としては、予め所定のアプリケーションを回転ダイヤルに割り当てておき、当該回転ダイヤルが操作されることにより、当該所定のアプリケーションが起動するような形態が考えられる。
【0003】
また、携帯電話機は、通信・通話の機能のみならずテレビやラジオを視聴する機能も搭載されており、多機能化されている。ここで、携帯電話機においては、テレビ視聴機能等の機能が選択されていない場合には、通信・通話の待受画面がトップ画面(フォアグラウンド)として表示される。そして、ユーザが所定の操作を行うことにより、当該待受画面から他の機能を選択するメニュー選択画面に移行するとともに、当該選択メニュー画面においてユーザが所定の操作を行うことにより所望する機能の選択を行うことができる。
【特許文献1】特開平6−90200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このように構成される携帯電話機では、回転ダイヤルを操作することによって、所定のアプリケーション(以下、アプリケーションAという。)を起動し、当該起動したアプリケーションから回転ダイヤル部による操作を伴わずに異なるアプリケーション(以下、アプリケーションBという。)が起動される状況が想定される。このような状況が発生した場合において、回転ダイヤルの操作によって、現在フォアグラウンドで実行しているアプリケーションBと同じアプリケーションBが選択されたときには、現在フォアグラウンドで実行中のアプリケーションBを終了して待ち受け状態に戻ってから、再び選択されたアプリケーションBが起動される。
【0005】
ここで、具体的に、アプリケーションAをWebブラウザとし、アプリケーションBをEメールの作成アプリケーションとして、上記処理の流れを説明する。
1.回転ダイヤルの操作によってWebブラウザを選択する。
2.Webブラウザがフォアグラウンドで起動する。
3.Webブラウザに表示されているEメールアドレス(Eメールの作成アプリケーションの起動が関連付けられている)を、操作キーにより選択する。
4.Eメールの作成アプリケーションがフォアグラウンドで起動し、Eメール作成画面が表示される。
5.回転ダイヤルを操作し、Eメールの作成アプリケーションを選択する。
6.上記4.で起動中のEメール作成画面が中止され(Eメールの作成アプリケーションの終了)、上記5.の操作にしたがって、再びEメールの作成アプリケーション(Eメールメニュー画面)が起動する。
【0006】
このようにして、回転ダイヤルを操作して現在実行しているアプリケーションと同一のアプリケーションを選択してしまうと、現在実行されているアプリケーションの種類の有無を問わず、現在実行中のアプリケーションを終了し、再度同一のアプリケーションが起動されてしまい、ユーザビリティを損なう問題がある。
【0007】
本発明は、このようなアプリケーションの競合処理を回避し、ユーザビリティを向上することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体に所定の回転軸を中心に回転可能に取り付けられる回転ダイヤル部と、前記回転ダイヤル部の回転を検出する回転量検出部と、前記回転量検出部により検出された回転に基づいて、複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを決定して起動するアプリケーション起動処理部と、前記アプリケーション起動処理部にて決定されたアプリケーションが実行中か否かを判定するアプリケーション実行判定部と、を備え、前記アプリケーション実行判定部において前記アプリケーション起動処理部で決定されたアプリケーションが実行中であると判定された場合、前記アプリケーション起動処理部は、当該アプリケーションの起動を中止することを特徴とする。
【0009】
上記携帯電子機器では、複数のアプリケーションが実行中のときに、前記アプリケーション実行判定部において前記アプリケーション起動処理部で決定されたアプリケーションがバックグラウンドで実行中であると判定された場合、前記アプリケーション起動処理部は、当該アプリケーションの起動を中止し、前記バックグラウンドで実行中のアプリケーションをフォアグラウンドで実行するように切り替え、フォアグラウンドで実行中のアプリケーションをバックグラウンドで実行するように切り替えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アプリケーションの競合処理を回避し、ユーザビリティを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯電子機器の一例である携帯電話機1の外観斜視図を示す。また、図2は、携帯電話機1の閉状態における表示部側筐体部3から見たときの外観図を示す。また、図3は、携帯電話機1の閉状態における操作部側筐体部2から見たときの外観図を示す。また、図4は、外部操作部としての回転ダイヤル部付近の拡大図を示す。また、図5は、回転ダイヤル部の機能を示す図である。なお、以下では、携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、回転ダイヤル部等の外部操作部を有するものであり、なおかつ複数のアプリケーションを独立して起動可能であれば良く、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0012】
携帯電話機1は、図1に示すように、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作キー群11は、機能設定操作ボタン13と、入力操作ボタン14と、決定操作ボタン15と、コントロールボタン16と、から構成されている。機能設定操作ボタン13は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を動作させるためのボタンである。入力操作ボタン14は、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのボタンである。決定操作ボタン15は、各種操作における決定やスクロール等を行うボタンである。コントロールボタン16は、ボリュームコントロール等を行うボタンである。
【0013】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22と、を備えて構成されている。
【0014】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが互いに開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが折り畳まれた状態(閉状態)にしたりできる。
【0015】
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機1の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機1の形態としては特にこれに限られず、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)等であっても良い。
【0016】
また、ヒンジ機構4が形成されている位置には、所定方向に自在に回転するように筐体に取り付けられている外部操作部としての回転ダイヤル部41を備えている。なお、回転ダイヤル部41の操作及び機能については後述する。また、外部操作部は、回転ダイヤル部41以外の構成であっても良く、入力操作、選択操作や決定操作を行うための入力操作ボタン14や決定操作ボタン15とは別個に配置されて、筐体の外側に配置されるように構成されていれば良い。
【0017】
また、携帯電話機1は、図2に示すように、表示部側筐体部3のディスプレイ21が配置されている裏面側には、所定の情報が表示されるサブディスプレイ23を備えている。
【0018】
また、携帯電話機1は、図3に示すように、操作部側筐体部2の操作キー群11が配置されている裏面側には、被写体を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラ等により構成される撮影部17と、一定の光量を出力する発光部18とを備えている。
【0019】
ここで、回転ダイヤル部41の操作及び機能について説明する。回転ダイヤル部41は、図4に示すように、ヒンジ機構4の回転軸Xに沿って、ユーザの指により所定方向(図4中のa方向(ヒンジ機構4の回転軸と直交する第1の方向)及びb方向(ヒンジ機構4の回転軸と直交する第2の方向))に自在に回転するように筐体に取り付けられている。なお、回転ダイヤル部41は、図4に示すような構成に限定されず、ユーザの操作によって回転自在な構成であれば良く、回転軸(ヒンジ軸)Xと直交する方向の軸に沿って所定方向に自在に回転するような構成等であっても良い。
【0020】
また、回転ダイヤル部41には、回転方向において所定の間隔ごとに複数の指標(アイコン)Iが付されている。なお、指標Iは、例えば、図5に示すように、アプリケーションを選択する際の目印になるようなユーザにとって理解しやすいイメージによって描かれている。
【0021】
ここで、ユーザによる回転ダイヤル部41の操作について簡略的に説明する。ユーザは、当該指標Iを手掛かりとして、所望するアプリケーションに対応する指標Iをヒンジ機構4のケース外面にマーク等で示されている選択位置S(目印)まで回転させる。携帯電話機1は、選択位置Sに静止している指標Iに対応するアプリケーションを起動させる。このようにして、回転ダイヤル部41は、物理的な回転ダイヤルの操作により、各種の機能を発揮するメニュー選択を可能とする。
【0022】
また、回転ダイヤル部41は、物理的な回転ダイヤルの操作にしたがって、各種の機能を発揮するメニュー選択が可能である。回転ダイヤル部41は、例えば、図5に示すように、ユーザの回転操作によって、無操作時(ニュートラル(N))を基準として、a方向に45°(b方向に315°)回転されることにより、撮影部17のカメラ機能が起動し、a方向に90°(b方向に270°)回転されることにより、Webブラウザが起動する。また、回転ダイヤル部41は、無操作時((N))を基準として、a方向に135°(b方向に225°)回転されることにより、メールアプリケーションが起動し、a方向に180°(b方向に180°)回転されることにより、ツールメニュー(携帯電話機1における音出力等に関する各種の設定を行うメニュー)が起動する。また、回転ダイヤル部41は、無操作時((N))を基準として、a方向に225°(b方向に135°)回転されることにより、テレビ機能が起動し、a方向に270°(b方向に90°)回転されることにより、データフォルダが起動し、a方向に315°(b方向に45°)回転されることにより、アドレス帳が起動する。
【0023】
なお、上述した回転ダイヤル部41の回転角度に応じて割り当てられているメニューは一例であって、これに限定されることは無く、例えば、ユーザ自身が頻繁に使用するメニューを登録可能な構成であっても良いし、また、所望のWebアドレスを登録しておき、当該Webアドレスを回転ダイヤル部41により選択することによって、Webブラウザが起動して当該WebアドレスのWebページを閲覧できるような構成であっても良い。また、メニューの数も上述した数(7つ)に限定されるものではない。
【0024】
また、ユーザは、回転ダイヤル部41を直接操作することにより、一定条件下において、回転ダイヤル部41に割り当てられている各種機能を直接的に起動させることができ、従来のようにメインメニューを経由する必要がなく、簡易に所望するアプリケーションを起動することができる。
【0025】
また、図6は、携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話機1は、図6に示すように、表示部として閉状態にて外部に露出しないディスプレイ21と、閉状態でも外部に露出するサブディスプレイ23とを備える。さらに、ユーザの操作の用に供する操作キー群11と、ユーザの操作の用に供する回転ダイヤル部41と、外部の端末と通信を行う通信部60と、所定の処理を行う処理部70と、所定容量を有する充電池80と、充電池80から供給される電源電圧を所定の電圧に変換し、変換後の電圧を通信部60や処理部70等に供給する電源回路部90と、テーブル101を有する記憶部100と、を備えている。
【0026】
通信部60は、所定の使用周波数帯により外部装置と通信を行うメインアンテナ61と、変調処理又は復調処理等の信号処理を行う通信処理部62と、を備える。
【0027】
メインアンテナ61は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で外部装置(基地局)と通信を行う。なお、本実施の形態では、所定の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。また、メインアンテナ61は、所定の使用周波数帯の他に、第2の使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できる、いわゆるデュアルバンド対応型による構成であっても良いし、さらに、第3の使用周波数帯以上にも対応できる複数バンド対応型により構成されていても良い。
【0028】
通信処理部62は、メインアンテナ61によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を処理部70に供給し、一方、処理部70から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ61を介して外部装置(基地局)に送信する。
【0029】
電源回路部90は、充電池80から供給される電源電圧を所定の電圧値に変圧し、変圧後の電源電圧を通信部60や処理部70等に供給する。
【0030】
記憶部100は、処理部70にて実行される多数のプログラム及びパラメータや各種テーブル等が記憶される。具体的には、記憶部100は、処理部70にて起動、終了、中断等がなされる多数のアプリケーションプログラムや、これら複数のアプリケーションにて使用されるパラメータや、複数のアプリケーションプログラムを動作させるためのOS(Operating System)プログラムの他、詳細は後述する回転量検出部201にて検出される回転量と複数のアプリケーションとの対応関係(図5を参照。)、さらには閉状態でも起動可能なアプリケーションで有るか否かを示すテーブル110を記憶している。なお、複数のアプリケーションプログラムには、基準アプリケーション、画像再生用アプリケーション、カメラ、メール等の携帯電話機1が有するアプリケーションごとのアプリケーションプログラムが含まれる。
【0031】
処理部70は、回転ダイヤル部41から供給される回転量に応じて各種機能に対する起動処理を行う。ここで、処理部70の構成と動作について説明する。処理部70は、回転ダイヤル部41の回転量を検出し、検出された回転量に応じた所定のアプリケーションを起動し、当該起動した所定のアプリケーションに対応する表示画面をディスプレイ21に表示するように制御する。なお、本実施例では、回転ダイヤル部41の角度の変化量を回転量として検出しているが、これに限られず、回転ダイヤル部41の回転に応じた変化を検出できれば良く、例えば、抵抗率の変化等を回転量として検出しても良い。または、回転ダイヤル部41の回転位置(又は回転角度)を検出し、検出された回転位置に応じて制御するようにしても良い。
【0032】
また、処理部70は、回転ダイヤル部41の回転が生じる都度、記憶部100のアプリケーション対応関係のテーブル110を参照し、回転量に応じたアプリケーションを特定している。なお、テーブル110は、複数のテーブルを有しており、詳細は後述するが、処理部70は、現在選択されているアプリケーションに応じて、適宜、参照するテーブルを変更する。
【0033】
処理部70は、携帯電話機1の主電源がON状態されると、まずOSプログラムを立ち上げ、OS管理下で基準アプリケーションプログラムを起動することでディスプレイ21に通信の待受画面を表示するように制御する。その後、処理部70は、起動するアプリケーションが発生する都度、OS管理下で基準アプリケーションプログラムを終了あるいは中断して新たなアプリケーションプログラムを起動する制御を行う。この処理により、処理部70は、ディスプレイ21上に、待受画面に代えて新たに起動したアプリケーションに基づく画面を表示させる制御を行う。なお、処理部70は、起動していたアプリケーションプログラムが基準アプリケーションプログラムではなく、他のアプリケーションプログラムであった場合においても同様に、起動していたアプリケーションプログラムを終了あるいは中断して新たなアプリケーションプログラムを起動する。そして、処理部70は、以前のアプリケーションプログラムに基づく画面から新たなアプリケーションプログラムに基づく画面に変更するよう制御する。
【0034】
このように構成される携帯電話機1では、回転ダイヤル部41を操作して現在実行しているアプリケーションと同一のアプリケーションが選択された場合、回転ダイヤル部41の操作にしたがって選択されたアプリケーションの起動処理を実行せずに、現在実行しているアプリケーションを維持する機能を有する。
【0035】
ここで、当該機能を発揮するための処理部70の具体的な構成と動作について詳細に説明する。処理部70は、図6に示すように、回転量検出部201と、アプリケーション起動処理部202と、アプリケーション実行判定部203と、を備える。
【0036】
回転量検出部201は、回転ダイヤル部41の回転を検出する。ここで、本実施例では、回転量検出部201は、回転ダイヤル部41の角度の変化量を回転量として検出するように構成されているが、特にこの構成に限られず、回転ダイヤル部41の回転に応じた変化を検出できれば良い。例えば、回転量検出部201は、回転ダイヤル部41の回転を抵抗率の変化として検出し、当該検出された値から回転ダイヤル部41の回転量を検出する構成であっても良い。または、回転量検出部201は、回転ダイヤル部41の回転位置(又は回転角度)を検出し、当該検出された回転位置から回転ダイヤル部41の回転量を検出する構成であっても良い。
【0037】
アプリケーション起動処理部202は、回転量検出部201により検出された回転に基づいて、複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを決定して起動する。アプリケーション実行判定部203は、アプリケーション起動処理部202にて決定されたアプリケーションが現在実行中か否かを判定する。
【0038】
また、アプリケーション起動処理部202は、アプリケーション実行判定部203においてアプリケーション起動処理部202で決定されたアプリケーションが実行中であると判定された場合、当該アプリケーションの起動を中止する。
【0039】
したがって、携帯電話機1は、回転ダイヤル部41の回転操作にしたがって、アプリケーションを起動する際に、現在実行中のアプリケーションを確認し、現在実行中のアプリケーションと同一であった場合には、回転ダイヤル部41の回転操作により選択されたアプリケーションの起動を中止する。このようにして、携帯電話機1は、アプリケーションの競合処理を回避し、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0040】
また、複数のアプリケーションが実行中のときに、アプリケーション実行判定部203においてアプリケーション起動処理部202で決定されたアプリケーションがバックグラウンドで実行中であると判定された場合には、アプリケーション起動処理部202は以下のように処理を実行する。アプリケーション起動処理部202は、当該アプリケーションの起動を中止し、バックグラウンドで実行中のアプリケーションをフォアグラウンドで実行するように切り替え、フォアグラウンドで実行中のアプリケーションをバックグラウンドで実行するように切り替えるように処理を実行する。
【0041】
このように構成されることにより、携帯電話機1は、バックグラウンドで起動中のアプリケーションと同一にかかるアプリケーションが回転ダイヤル部41により選択された場合、バックグラウンドで起動中のアプリケーションを終了しないで、かつ、当該アプリケーションがフォアグラウンドで起動するように、起動中のアプリケーション間のアクティブ/インアクティブを切り替えるので、アプリケーションの競合処理を回避し、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0042】
ここで、処理部70の具体的な動作について図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、携帯電話機1は、待受アプリのみが起動している状態から、回転ダイヤル部41の操作にしたがってWebブラウザを起動し、その後、Webブラウザに表示されているEメールアドレス(メールアプリケーションの起動が関連付けられている)を操作キー群11により選択し、その後、メールアプリケーションが起動しているときに、回転ダイヤル部41によりメールアプリケーションが選択された場合を想定して説明する。
【0043】
ステップST1において、回転量検出部201は、回転ダイヤル部41の回転を検出する。なお、ステップST1の工程では、ディスプレイ21には待受画面が表示されている。
【0044】
ステップST2において、アプリケーション起動処理部202は、ステップST1の工程で検出された回転に基づいて起動するアプリケーションを判断する。本実施例では、アプリケーション起動処理部202は、Webブラウザが選択されたものと判断する。なお、ステップST2の工程では、ディスプレイ21には待受画面が表示されている。
【0045】
ステップST3において、アプリケーション起動処理部202は、アプリケーション実行判定部203により現在実行中のアプリケーションを確認する。本実施例では、アプリケーション起動処理部202は、待受アプリのみが起動中であることを確認する。
【0046】
ステップST4において、アプリケーション実行判定部203は、ステップST2の工程で判断されたアプリケーションと、ステップST3の工程で確認されたアプリケーションが同一のものか否かを判断する。同一であると判断された場合(Yes)には、ステップST11に進み、同一でないと判断された場合(No)には、ステップST5に進む。本実施例では、アプリケーション実行判定部203は、現在実行中のアプリケーションが待受アプリであり、選択されたアプリケーションがWebブラウザであるので、同一でないと判断する。
【0047】
ステップST5において、アプリケーション起動処理部202は、アプリケーションの起動処理を実行する。本実施例においては、アプリケーション起動処理部202は、Webブラウザをフォアグランドにおいて起動する。なお、ステップST5の工程では、ディスプレイ21にはWebブラウザが表示されている。
【0048】
ステップST6において、処理部70は、操作キー群11、回転ダイヤル部41による操作を待ち受ける。厳密に言えば、回転ダイヤル部41による操作を待ち受けるのは、回転量検出部201である。また、本実施例においては、Webブラウザに表示されているEメールアドレス(メールアプリケーションの起動が関連付けられている)が操作キー群11により選択される。処理部70は、メールアプリケーションをフォアグラウンドで起動する。なお、処理部70は、Webブラウザを終了する処理を行っても良いし、又はWebブラウザをバックグラウンドで起動しておいても良い。また、本実施例においては、メールアプリケーションが起動された状態において、回転ダイヤル部41は、ユーザの操作によって、現在の位置(Webブラウザを起動する位置)からメールアプリケーションを起動する位置に回転操作が行われる。
【0049】
ステップST7において、回転量検出部201は、回転ダイヤル部41の回転を検出する。
【0050】
ステップST8において、アプリケーション起動処理部202は、ステップST7の工程で検出された回転に基づいて起動するアプリケーションを判断する。本実施例では、アプリケーション起動処理部202は、メールアプリケーションが選択されたものと判断する。
【0051】
ステップST9において、アプリケーション起動処理部202は、アプリケーション実行判定部203により現在実行中のアプリケーションを確認する。本実施例では、アプリケーション起動処理部202は、メールアプリケーションが起動中であることを確認する。
【0052】
ステップST10において、アプリケーション実行判定部203は、ステップST8の工程で判断されたアプリケーションと、ステップST9の工程で確認されたアプリケーションが同一のものか否かを判断する。同一であると判断された場合(Yes)には、ステップST11に進み、同一でないと判断された場合(No)には、ステップST5に戻る。本実施例では、アプリケーション実行判定部203は、現在実行中のアプリケーションと、選択されたアプリケーションとは共にメールアプリケーションであり、同一であると判断する。
【0053】
ステップST11において、アプリケーション起動処理部202は、競合処理を回避するため、選択されたアプリケーションの起動を中止する。したがって、現在起動中のメールアプリケーションがそのまま維持される。
【0054】
このようにして、携帯電話機1は、回転ダイヤル部41の回転操作にしたがって、アプリケーションを起動する際に、現在実行中のアプリケーションを確認し、現在実行中のアプリケーションと同一であった場合には、回転ダイヤル部41の回転操作により選択されたアプリケーションの起動を中止するので、アプリケーションの競合処理を回避し、ユーザビリティの向上を図ることができる。
【0055】
また、携帯電話機1は、他の実施形態として、現在実行中のアプリケーションと選択されたアプリケーションが同一のものであった場合において、現在実行中のアプリケーションの状態が特定の状態(例えば、メールアプリケーションの場合には、通信中やメール作成中等の特定の状態)のときのみ選択されたアプリケーションの起動を中止する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る携帯電話機の外観を示す図である。
【図2】携帯電話機の閉状態における表示部側筐体部から見たときの外観を示す図である。
【図3】携帯電話機の閉状態における操作部側筐体部から見たときの外観を示す図である。
【図4】回転ダイヤル部付近を拡大したときの図である。
【図5】回転ダイヤル部の機能についての説明に供する図である。
【図6】携帯電話機の機能を示す機能ブロック図である。
【図7】処理部の具体的な動作(アプリケーションの競合を回避する動作)についての説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯電話機
70 処理部
201 回転量検出部
202 アプリケーション起動処理部
203 アプリケーション実行判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に所定の回転軸を中心に回転可能に取り付けられる回転ダイヤル部と、
前記回転ダイヤル部の回転を検出する回転量検出部と、
前記回転量検出部により検出された回転に基づいて、複数のアプリケーションのうち一のアプリケーションを決定して起動するアプリケーション起動処理部と、
前記アプリケーション起動処理部にて決定されたアプリケーションが実行中か否かを判定するアプリケーション実行判定部と、を備え、
前記アプリケーション実行判定部において前記アプリケーション起動処理部で決定されたアプリケーションが実行中であると判定された場合、前記アプリケーション起動処理部は、当該アプリケーションの起動を中止することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
複数のアプリケーションが実行中のときに、前記アプリケーション実行判定部において前記アプリケーション起動処理部で決定されたアプリケーションがバックグラウンドで実行中であると判定された場合、
前記アプリケーション起動処理部は、当該アプリケーションの起動を中止し、前記バックグラウンドで実行中のアプリケーションをフォアグラウンドで実行するように切り替え、フォアグラウンドで実行中のアプリケーションをバックグラウンドで実行するように切り替えることを特徴とする請求項1記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−109587(P2010−109587A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278590(P2008−278590)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】