説明

携帯電子機器

【課題】電源が遮断された状態から文字の入力を迅速に行うことができる携帯電子機器を提供することができる。
【解決手段】一時記憶部26は、発電部24により発電され、蓄電部25に蓄積された電力で駆動し、操作部11の各キーの押下に基づく文字データを一時的に記憶する。電源制御部491は、タイマ27により計測された所定時間内に一時記憶部26に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入する。そして、第1表示制御部492は、電源制御部491により電源が投入されると、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、第1表示部21に文字を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機等の携帯電子機器は、電源と、操作部とを備え、電源が遮断された状態において、操作部の電源キーを押下すると、電源が投入される。このような携帯電子機器において、電源が遮断された状態から、簡易な操作で電源を投入して、発呼を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−274705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源が遮断された状態から文字を入力する場合には、携帯電子機器は、先ず、電源キーの押下により電源を投入した後に、操作部に対して所定の操作を行い、文字入力に関するアプリケーションを起動する。そして、携帯電子機器は、アプリケーションを起動した状態において、操作部に対して文字入力に関する操作が行われることで、アプリケーションの制御により表示部に操作に応じた文字を表示させる。
【0005】
このように電源が遮断された状態から文字を入力する場合には、多くの操作が必要となり、電源が遮断された状態から迅速に文字を入力することは困難であった。
【0006】
本発明は、電源が遮断された状態から文字の入力を迅速に行うことができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、複数のキーを有する操作部と、文字を表示する第1表示部と、電源が遮断された状態において、前記キーの押下に応じて発電する発電部と、前記発電部により発電された電力で駆動し、前記キーの押下に基づく文字データを一時的に記憶する一時記憶部と、前記一時記憶部に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入する電源制御部と、前記電源制御部により電源が投入されると、前記一時記憶部に記憶されている前記文字データに基づいて、前記第1表示部に文字を表示させる第1表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記携帯電子機器は、前記電源が遮断された状態において、前記キーの押下を契機として時間を計測する時間計測部を更に備え、前記電源制御部は、前記時間計測部により計測された所定時間内に所定回数以上の前記キーの押下が行われ、かつ、前記一時記憶部に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入することが好ましい。
【0009】
また、前記第1表示制御部は、前記電源制御部により電源が投入されると、文字入力に関する第1プログラムを起動して、前記第1表示部に文字を表示させることが好ましい。
【0010】
また、前記携帯電子機器は、前記発電部により発電された電力で駆動する第2表示部と、電源が遮断された状態において、前記一時記憶部に記憶されている前記文字データに基づいて、前記第2表示部に文字を表示させる第2表示制御部とを更に備えることが好ましい。
【0011】
また、前記第2表示制御部は、前記電源制御部により電源が投入されると、前記第2表示部における文字を表示する処理を停止することが好ましい。
【0012】
また、前記携帯電子機器は、前記第1表示制御部により前記第1表示部に表示された文字に対応する機能が選択された場合、選択された機能を、第2プログラムを起動して実行する主制御部を更に備えることが好ましい。
【0013】
また、前記第1プログラム及び前記第2プログラムは、オペレーティングシステムであり、前記第1プログラムは、前記2プログラムに含まれると共に、前記第2プログラムにおける通信機能が制限されていることが好ましい。
【0014】
また、前記発電部は、前記キーの押下に基づく誘導起電力を用いて電力を発生させることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源が遮断された状態から文字の入力を迅速に行うことができる携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の外観斜視図である。
【図2】本実施形態の携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】第1表示部21に表示されるデータの遷移を示す図である。
【図4】第1表示部21及び第2表示部22に表示されるデータの遷移を示す図である。
【図5】本実施形態における電源が遮断された状態からの文字の入力処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の外観斜視図を示す。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが一つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0018】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2は、表面部に、入力部としての操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12とを備える。操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15とから構成されている。なお、機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、第1表示部21と一体に形成されたタッチパネル上に配置するように構成してもよい。操作部11は、これらの機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15により文字又は文字列を入力する。
【0019】
また、表示部側筐体3は、表面部に、各種情報を表示するための第1表示部21及び第2表示部22と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ23とを備える。
【0020】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(閉状態)にしたりできる。
【0021】
図2は、本実施形態の携帯電話機1の機能を示す機能ブロック図である。本実施形態の携帯電話機1は、図2に示すように、操作部11と、マイク12と、第1表示部21と、第2表示部22と、スピーカ23と、通信部42と、表示処理部43と、記憶部44と、制御部49とを備える。
【0022】
通信部42は、メインアンテナ40とRF回路部41とを備え、所定の通信先と通信を行う。通信部42が通信を行う通信先としては、携帯電話機1と電話やメールの送受信を行う外部の端末装置や、携帯電話機1がインターネットの接続を行う外部のWebサーバ等の外部装置が挙げられる。
【0023】
メインアンテナ40は、所定の使用周波数帯で外部装置と通信を行う。
RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部49に供給する。また、RF回路部41は、制御部49から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信する。
【0024】
表示処理部43は、制御部49の制御に従って、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをドライバIC(図示せず)に出力する。ドライバICは、表示処理部43から供給された画像データをフレームバッファに蓄え、所定のタイミングで第1表示部21又は第2表示部22に出力する。
【0025】
第1表示部21及び第2表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electoro Luminescence)によって構成され、各種情報に基づく画像や動画等を表示する。
【0026】
第1表示部21は、いわゆるメインディスプレイであり、主として各種情報に基づく画像や動画等を表示する。第1表示部21は、二次電池としてのバッテリ(図示せず)に充電された電力で駆動する。
【0027】
第2表示部22は、いわゆるサブディスプレイであり、第1表示部21の補助的な情報が表示される。また、第2表示部22は、後述する発電部24により発電された電力で駆動する。
スピーカ23は、制御部49から供給された信号を外部に出力する。
【0028】
発電部24は、携帯電話機1の電源が遮断された状態において、操作部11の各キーの押下に応じて発電する。例えば、発電部24は、操作部11の各キーそれぞれに対応する位置に磁石及びコイルを有する。そして、発電部24は、操作部11の各キーの押下に基づく誘導起電力を用いて電力を発生させる。具体的には、発電部24は、キーが押下されると、磁石及びコイルが近接することにより誘導起電力が発生する。
【0029】
蓄電部25は、例えば、コンデンサで構成され、発電部24によって発電された電力を蓄積する。
【0030】
一時記憶部26は、例えば、バッファメモリで構成される。一時記憶部26は、発電部24により発電され、蓄電部25に蓄積された電力で駆動し、操作部11の各キーの押下に基づく文字データを一時的に記憶する。
【0031】
タイマ27は、蓄電部25に蓄積された電力で駆動し、携帯電話機1の電源が遮断された状態において、操作部11の各キーの押下を契機として時間を計測する。
例えば、携帯電話機1の電源が遮断された状態において、操作部11の各キーの押下が行われると、発電部24によって電力が発電される。発電された電力は、蓄電部25に蓄積(充電)される。そして、タイマ27は、操作部11において最先にキーの押下が行われたときを基準(時間0)として、時間の計測を開始する。
【0032】
記憶部44は、例えば、不揮発性メモリで構成される。記憶部44は、ワーキングメモリを含み、制御部49による演算処理に利用される。また、記憶部44には、オペレーティングシステム(OS)、各種データファイル、複数のアプリケーションプログラムや、各種情報等が記憶されている。また、記憶部44は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0033】
具体的には、記憶部44は、オペレーティングシステム45を記憶する。
オペレーティングシステム45は、待機用オペレーティングシステム451と、文字入力用オペレーティングシステム452とを有する。
【0034】
待機用オペレーティングシステム451は、電源が遮断された状態からの文字の入力及び表示に特化したオペレーティングシステムであり、第2表示制御部493の制御に従って動作する。待機用オペレーティングシステム451は、例えば、電源が遮断された状態でも第2表示制御部493が間欠的に動作することで、起動状態を維持している。
【0035】
文字入力用オペレーティングシステム452は、文字入力に特化したオペレーティングシステムであり、第1表示制御部492の制御に従って動作する。また、文字入力用オペレーティングシステム452は、オペレーティングシステム45における通信機能が制限されたものである。
【0036】
制御部49は、携帯電話機1の全体を制御する。例えば、制御部49は、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理(例えば、アナログ変換)を行い、処理後の信号をスピーカ23に出力する。また、制御部49は、マイク12から入力された信号を処理(例えば、デジタル変換)し、処理後の信号をRF回路部41に出力する。
【0037】
また、制御部49は、電源制御部491と、第1表示制御部492と、第2表示制御部493と、主制御部494とを備える。
【0038】
次に、図3及び図4を参照しながら本実施形態の携帯電話機1において、電源が遮断された状態から文字の入力を行う処理について説明する。
図3は、第1表示部21に表示されるデータの遷移を示す図である。図4は、第1表示部21及び第2表示部22に表示されるデータの遷移を示す図である。
【0039】
まず、発電部24は、電源が遮断された状態において、操作部11において数字「1」に対応するキーが2回押下され、数字「2」に対応するキーが1回押下されると(図3(a)参照)、これらのキーの押下に応じて、電力を発電する。そして、発電された電力は、蓄電部25に蓄積される。
【0040】
次に、第2表示制御部493は、操作部11における数字「1」に対応するキーが2回押下され、数字「2」に対応するキーが1回押下されたことを示す文字データを、待機用オペレーティングシステム451によって一時記憶部26に記憶する。
ここで、文字データは、操作部11の各キーの押下に基づくデータであり、例えば、押下されたキーが数字「1」及び文字「あ」に対応している場合には、数字「1」及び文字「あ」が入力されたことを示すデータが記憶される。
【0041】
電源制御部491は、タイマ27により計測された所定時間(例えば、3秒間)内に所定回数(例えば、3回)以上のキーの押下が行われ、かつ、一時記憶部26に所定量以上の文字データ(例えば、2文字分以上に相当する量の文字データ)が記憶された場合、電源を投入する。
【0042】
第1表示制御部492は、電源制御部491により電源が投入されると、文字入力に関する文字入力用オペレーティングシステム452を起動する。そして、第1表示制御部492は、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、起動した文字入力用オペレーティングシステム452により、文字列「いか」を第1表示部21の領域21aに表示させると共に、数字列「112」を第1表示部21の領域21bに表示させる(図3(b)参照)。
【0043】
また、第2表示制御部493は、電源が遮断された状態において(図4(a)参照)、操作部11における数字「1」に対応するキーが1回押下されると、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、第2表示部22に文字「あ」及び数字「1」を表示させる(図4(b)参照)。
【0044】
第2表示部22に文字「あ」及び数字「1」が表示されている状態から、操作部11における数字「1」に対応するキーが1回押下されると、第2表示制御部493は、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、第2表示部22に文字「い」及び数字列「11」を表示させる(図4(c)参照)。
【0045】
更に、第2表示部22に文字「い」及び数字列「11」が表示されている状態から、操作部11における数字「2」に対応するキーが1回押下されると、タイマ27により計測された所定時間(例えば、3秒間)内に所定回数(例えば、3回)以上のキーの押下が行われ、かつ、一時記憶部26に所定量以上の文字データ(例えば、2文字分以上に相当する量の文字データ)が記憶された場合、電源を投入する。
【0046】
電源制御部491により電源が投入されると、第1表示制御部492は、文字入力に関する文字入力用オペレーティングシステム452を起動する。そして、第1表示制御部492は、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、起動した文字入力用オペレーティングシステム452により、文字列「いか」を第1表示部21の領域21aに表示させると共に、数字列「112」を第1表示部21の領域21bに表示させる(図3(b)及び図4(d)参照)。
【0047】
この際に、第2表示制御部493は、電源制御部491により電源が投入されると、第2表示部22における文字を表示する処理を停止する。これにより、第2表示部22に表示されていた文字列「いか」及び数字列「112」が第1表示部21に表示されることとなる。
【0048】
文字列が第1表示部21の領域21aに表示され、数字列が第1表示部21の領域21bに表示された状態から操作部11の決定操作キー15が押下されると、第1表示制御部492は、文字列「いか」の入力が確定され、文字列「いか」と共に、第1表示部21の右下の領域にメニューを選択するためのソフトウェアキー32を表示させる(図3(c)参照)。
【0049】
そして、操作部11に対する操作によりソフトウェアキー32が選択されると、第1表示制御部492は、携帯電話機1において実行可能な複数の機能が列挙されたソフトウェアキー33を表示させる(図3(d)参照)。ソフトウェアキー33のうち、ある機能に係るソフトウェアキー(例えば、図3(d)中の「スケジュール登録」)が操作部11のキーの押下により選択されると、主制御部494は、オペレーティングシステム45を起動し(図3(e)参照)する。そして、主制御部494は、オペレーティングシステム45上で動作するアプリケーションプログラムにより、スケジュール登録機能を実行する(図3(f)参照)。
【0050】
図5は、本実施形態における電源が遮断された状態からの文字の入力処理について示すフローチャートである。なお、待機用オペレーティングシステム451は電源が遮断された状態で起動しているものとする。
【0051】
ステップS1において、第2表示制御部493は、電源が遮断された状態において(図4(a)参照)、操作部11のキーの押下を待機用オペレーティングシステム451により検出する。
ステップS2において、発電部24は、検出されたキーの押下に応じて、電力を発電し、発電された電力は、蓄電部25に蓄積される。
【0052】
ステップS3において、第2表示制御部493は、キーの押下に基づく文字データを待機用オペレーティングシステム451により一時記憶部26に記憶させる。更に、タイマ27は、操作部11において最先にキーの押下が行われたときを基準(時間0)として、時間の計測を開始する。
【0053】
ステップS4において、第2表示制御部493は、第2表示部22を点灯させ、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、待機用オペレーティングシステム451により第2表示部22に文字を表示させる(図4(a)及び図4(b)参照))。
【0054】
ステップS5において、電源制御部491は、タイマ27により計測された所定時間(例えば、3秒間)内に所定回数(例えば、3回)以上のキーの押下が行われ、かつ、一時記憶部26に所定量以上の文字データ(例えば、2文字分以上に相当する量の文字データ)が記憶されているか否かを判定する。所定回数以上のキーの押下が行われ、かつ、所定量以上の文字データが記憶されている場合(YES)には、ステップS6へ移る。所定回数未満のキーの押下が行われた、又は、所定量未満の文字データが記憶されている場合(NO)には、ステップS1へ戻る。
【0055】
ステップS6において、電源制御部491は、電源を投入する。
ステップS7において、第2表示制御部493は、第2表示部22における文字を表示する処理を停止する。
【0056】
ステップS8において、第1表示制御部492は、記憶部44に文字入力用オペレーティングシステム452が記憶されているか否かを判定する。文字入力用オペレーティングシステム452が記憶されている場合(YES)には、ステップS11へ移る。文字入力用オペレーティングシステム452が記憶されていない場合(NO)には、ステップS9へ移る。
【0057】
ステップS9において、主制御部494は、オペレーティングシステム45を起動し、このオペレーティングシステム45の動作に関連するデータを記憶部44に展開する。
ステップS10において、主制御部494は、オペレーティングシステム45における通信機能に関する処理を制限し、ステップS12へ移る。通信機能に関する処理としては、例えば、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)の存在を確認する処理、電子メールの受信を確認する処理、電波状態を確認する処理等が挙げられる。
【0058】
ステップS11において、第1表示制御部492は、文字入力に関する文字入力用オペレーティングシステム452を起動する。
ステップS12において、第1表示制御部492は、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、起動した文字入力用オペレーティングシステム452により、文字列を第1表示部21の領域21aに表示させると共に、数字列を第1表示部21の領域21bに表示させる(図3(b)参照)。
【0059】
ステップS13において、第1表示制御部492は、操作部11の決定操作キー15が操作されたか、つまり、入力された文字又は数字列が確定されたか否かを判定する。文字又は数字列が確定された場合(YES)には、ステップS13へ移る。文字又は数字列が確定されない場合(NO)には、ステップS12の処理を繰り返す。
ステップS14において、第1表示制御部492は、文字列又は数字列と共に、第1表示部21の右下の領域にメニューを選択するためのソフトウェアキー32を表示させる(図3(c)参照)。
【0060】
ステップS15において、第1表示制御部492は、キーの押下によりソフトウェアキー32が選択されたか否かを判定する。ソフトウェアキー32が選択された場合(YES)には、ステップS16へ移る。ソフトウェアキー32が選択されない場合(NO)には、ステップS15の処理を繰り返す。
【0061】
ステップS16において、第1表示制御部492は、携帯電話機1において実行可能な複数の機能が列挙されたソフトウェアキー33を表示させる(図3(d)参照)。
ステップS17において、第1表示制御部492は、ソフトウェアキー33のうち、いずれか一つのソフトウェアキーがキーの押下により選択されたか否かを判定する。いずれか一つのソフウェアトキーが選択された場合(YES)には、ステップS18へ移る。ソフトウェアキーが選択されない場合(NO)には、ステップS17の処理を繰り返す。
【0062】
ステップS18において、主制御部494は、ステップS17において選択されたソフトウェアキー33に対応する機能を実行させるために、オペレーティングシステム45の起動が必要であるか否かを判定する。オペレーティングシステム45の起動が必要である場合(YES)には、ステップS20へ移る。オペレーティングシステム45の起動が必要でない場合(NO)には、ステップS19へ移る。
【0063】
ステップS19において、主制御部494は、一時記憶部26に記憶されている文字データを記憶部44に記憶させ、ステップS22へ移る。
ステップS20において、主制御部494は、一時記憶部26に記憶されている文字データを記憶部44におけるバッファ領域に一時的に記憶させる。
【0064】
ステップS21において、主制御部494は、文字入力用オペレーティングシステム452のシャットダウン処理を行う。
ステップS22において、主制御部494は、ステップS17において選択されたソフトウェアキー33に対応する機能を実行させるために、当該機能に対応するアプリケーションプログラムを起動する。
【0065】
ステップS23において、主制御部494は、記憶部44又は記憶部44におけるバッファ領域に一時的に記憶させている文字データを読み出し、読み出した文字データをステップS22において起動したアプリケーションプログラムに適用する。
【0066】
本実施形態の携帯電話機1によれば、以下の効果を奏することができる。
本実施形態において、電源制御部491は、タイマ27により計測された所定時間内に一時記憶部26に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入する。そして、第1表示制御部492は、電源制御部491により電源が投入されると、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、第1表示部21に文字を表示させる。
【0067】
これにより、携帯電話機1は、電源が遮断された状態から簡易な操作で文字の入力を行うことができる、つまり、携帯電話機1は、電源が遮断された状態から文字の入力を迅速に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態において、タイマ27は、携帯電話機1の電源が遮断された状態において、キーの押下を契機として時間を計測する。そして、電源制御部491は、タイマ27により計測された所定時間内に所定回数以上のキーの押下が行われ、かつ、一時記憶部26に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入する。
【0069】
これにより、携帯電話機1は、電源が遮断された状態からキーの押下を契機として計測された時間を用いて、電源の投入を行う。したがって、携帯電話機1は、電源が遮断された状態から文字の入力に関する操作が行われたことを適切に認識することができる。
【0070】
また、本実施形態において、第1表示制御部492は、電源制御部491により電源が投入されると、文字入力に関する文字入力用オペレーティングシステム452を起動する。そして、第1表示制御部492は、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、起動した文字入力用オペレーティングシステム452により、第1表示部21に文字を表示させる。
【0071】
これにより、携帯電話機1は、文字の入力に関する文字入力用オペレーティングシステム452を用いて、この文字入力用オペレーティングシステム452における文字の入力を迅速に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態において、第2表示制御部493は、電源が遮断された状態において、一時記憶部26に記憶されている文字データに基づいて、第2表示部22に文字を表示させる。これにより、携帯電話機1は、発電部24により発電された電力で駆動する第2表示部22に文字を表示させることにより、文字の入力に関するオペレーティングシステムを起動せずに文字の入力を確認することができる。
【0073】
また、本実施形態において、第1表示制御部492は、文字入力用オペレーティングシステム452により、文字を第1表示部21に表示させる。更に、第2表示制御部493は、電源制御部491により電源が投入されると、第2表示部22における文字を表示する処理を停止する。
【0074】
これにより、携帯電話機1は、第2表示部22に表示されていた文字列「いか」及び数字列「112」が第1表示部21に表示されることとなる。したがって、携帯電話機1は、入力した文字が第2表示部22から第1表示部21に切り替わるため、文字の視認性が向上し、ユーザは文字の入力に係る機能を適切に行うことができる。
【0075】
また、本実施形態において、主制御部494は、第1表示制御部492により第1表示部21に表示された文字に対応する機能がキーの押下により選択されると、選択された機能を、オペレーティングシステム45を起動して実行する。
【0076】
これにより、携帯電話機1は、文字入力用オペレーティングシステム452により第1表示部21に文字を表示してから、オペレーティングシステム45で表示された文字に対応する機能を実行する。つまり、携帯電話機1は、発電部24により発電された電力により駆動する文字入力用オペレーティングシステム452を用いて、第1表示部21に文字を表示するため、より大きな電力を必要とするオペレーティングシステム45を用いることなく、第1表示部21に文字を表示することができる。したがって、携帯電話機1は、例えば、緊急時にバッテリの電池残量が少ない場合であっても、文字の入力が可能となる。
【0077】
また、本実施形態において、文字入力用オペレーティングシステム452及びオペレーティングシステム45は、オペレーティングシステムであり、文字入力用オペレーティングシステム452は、オペレーティングシステム45に含まれると共に、オペレーティングシステム45における通信機能が制限されている。これにより、文字入力用オペレーティングシステム452は、オペレーティングシステム45に比して起動に要する時間を短縮できるため、携帯電話機1は、文字の入力に係る機能を実行するために要する時間を短縮することができる。
【0078】
また、本実施形態において、発電部24は、キーの押下に基づく誘導起電力を用いて電力を発生させる。これにより、携帯電話機1は、キーの押下に基づく発電を好適に行うことができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上述した実施形態において、携帯電話機1は、電源が遮断した状態からの文字の入力及び表示に特化した待機用オペレーティングシステム451と、文字入力に特化した文字入力用オペレーティングシステム452とを用いたが、本発明はこれに限らない。例えば、携帯電話機1は、待機用オペレーティングシステム451及び文字入力用オペレーティングシステム452と同等の機能を有するアプリケーションプログラムを用いてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態において、携帯電子機器としての携帯電話機1について説明したが、これに限定されず、デジタルカメラ、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、パソコン、ノートパソコン、携帯ゲーム装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
11 操作部
21 第1表示部
24 発電部
26 一時記憶部
491 電源制御部
492 第1表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを有する操作部と、
文字を表示する第1表示部と、
電源が遮断された状態において、前記キーの押下に応じて発電する発電部と、
前記発電部により発電された電力で駆動し、前記キーの押下に基づく文字データを一時的に記憶する一時記憶部と、
前記一時記憶部に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入する電源制御部と、
前記電源制御部により電源が投入されると、前記一時記憶部に記憶されている前記文字データに基づいて、前記第1表示部に文字を表示させる第1表示制御部とを備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記電源が遮断された状態において、前記キーの押下を契機として時間を計測する時間計測部を更に備え、
前記電源制御部は、前記時間計測部により計測された所定時間内に所定回数以上の前記キーの押下が行われ、かつ、前記一時記憶部に所定量以上の文字データが記憶された場合、電源を投入する請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1表示制御部は、前記電源制御部により電源が投入されると、文字入力に関する第1プログラムを起動して、前記第1表示部に文字を表示させる請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記発電部により発電された電力で駆動する第2表示部と、
電源が遮断された状態において、前記一時記憶部に記憶されている前記文字データに基づいて、前記第2表示部に文字を表示させる第2表示制御部とを更に備える請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第2表示制御部は、前記電源制御部により電源が投入されると、前記第2表示部における文字を表示する処理を停止する請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第1表示制御部により前記第1表示部に表示された文字に対応する機能が選択された場合、選択された機能を、第2プログラムを起動して実行する主制御部を更に備える請求項3から5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記第1プログラム及び前記第2プログラムは、オペレーティングシステムであり、
前記第1プログラムは、前記2プログラムに含まれると共に、前記第2プログラムにおける通信機能が制限されている請求項6に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記発電部は、前記キーの押下に基づく誘導起電力を用いて電力を発生させる請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−211258(P2011−211258A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73803(P2010−73803)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】