説明

携帯電話装置

【課題】筐体内部の空間が十分に確保できない小型・薄型の携帯電話装置についても、内部を効率的に冷却することができる携帯電話装置を提供する。
【解決手段】本発明の携帯電話装置では、モータの回転運動を往復運動に変換する運動変換手段と、携帯電話装置の電子部品の熱を筐体の外側に少なくとも一部を露出させたフィンに伝熱させる手段とを備え、前記モータの回転運動により前記フィンを往復運動させることで、前記フィンから筐体の外側の空気への熱伝達を促進させ、携帯電話装置の発熱する電子部品を冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に携帯電話装置の内部で発生する熱を効率良く放熱し、内部を冷却するための構造を備えた携帯電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話装置では、小型化がますます進む一方で、前記携帯電話装置を使って画像を貼付した電子メールを送受信したり、デジタルテレビを視聴したり、テレビ電話をしたりすることが行われてきている。このため、市場からは、小型の携帯電話装置で高速のデータ通信が行えるように要望されてきている。
【0003】
デジタルデータを高速で送るようにすると、前記デジタルデータを高速で処理するCPU(Central Processing Unit)と高周波デバイスのうち特にパワーアンプの負荷が大きくなり、発熱量の増大を招く。この発熱量の増大により、高周波デバイス自体の動作出力が低下したり、特に小型・薄型の携帯電話装置などでは発熱部と筐体表面までの距離が近づくことにより、筐体表面の温度上昇量が局所的に大きくなり、人体の低温やけどを引き起こす危険性がある。
【0004】
従来の小型・薄型の携帯電話装置において、本体内部を冷却する方法としては、次の2つの方法が挙げられる。まず第1の冷却方法として、携帯電話装置内部に放熱用のファンを設置して熱風を外部に排気し、強制空冷する方法であり、第2の冷却方法として、ヒートパイプ、または熱伝導性のシート等の熱伝導体により熱源から電子機器の筺体壁面近傍の放熱部に熱を伝達し、前記放熱部から放熱する方法である。
【0005】
強制空冷を用いた前記第1の冷却方法としては、例えば特許文献1記載の携帯電話装置に採用されている方法がある。図9は、特許文献1に記載された従来の機器本体内部の冷却方法を実施するための構成を示す携帯電話装置の背面側から見たときの破断斜視図である。図10は前記携帯電話装置に内蔵する着信用振動モータ29の拡大図を示すものである。
【0006】
このカメラ付き携帯電話機の筐体30内部には、プリント基板26が設けられており、このプリント基板26上には、無線回路27、CPU28、着信用振動モータ29などが実装されている。この円筒型着信用振動モータ29の先端にはフライホイール的な機能を付与して振動を発生させる分銅29Aと冷却用ファン29Bが設けられている。
【0007】
円筒型着信用振動モータ29は、前述したように、分銅29Aの先端に冷却用の風を発生させる冷却ファン(羽)29Bを設けており、発熱部品であるCPU28の近傍に置いて、直接または間接的に風を当てることでCPU28を冷却させるようになっている。
【0008】
なお、筐体30の下部に配置された冷却ファン付き着信用振動モータ29周辺から筐体30の図示外の隙間を通じて冷たい外気が補給され、筐体30内の空気を循環または筐体30の隙間から排出させるだけでも冷却できるが、図9に示すように、さらに冷たい外気を取り入れるための吸気口30A及び熱くなった空気を排気するための排気口30Bを設けてもよいとしている。このように構成することで、筐体30内部での冷却効果をより増すことができるとしている。
【0009】
電子機器の筺体壁面近傍に放熱部を設け、前記放熱部から放熱をはかる前記第2の冷却方法は、例えば特許文献2記載の電子機器に採用されている。図11は電子機器の冷却ユニット(電子機器の冷却構造)の概略構成を示す図であって、この冷却ユニット31は電子機器の筐体等に固定されることによって機器内部に収容されるものである。図中符号32は熱伝導体、33は熱電変換素子(熱電変換部)、34は放熱部である。
【0010】
熱伝導体32(基体)は電子機器の任意の箇所に固定されており、図11に示すように、一端側の下面が電子機器の発熱部に面しており、この部分が電子機器の発熱部から発生する熱を受け取る受熱部35となる。熱伝導体32の他端側の上面には放熱部34が設けられ、放熱部34に隣接して熱電変換素子33が設けられている。したがって、熱伝導体32の受熱部35で受け取った熱は、熱伝導体32、熱電変換素子33、放熱部34と順次伝導される。熱電変換素子33は、その長手方向を熱の伝導する方向(熱伝導体32の長手方向)に向けて設置されている。
【0011】
放熱部34は、図12に示すように、放熱部本体をなす基板36と、基板36の一面(放熱面)から突出するように設けられた複数のフィン37(凸部)と、圧電振動子38とから構成されている。前記複数のフィン37は、長手方向が熱伝導体32の短手方向に向くように配置されている。
【0012】
また、図12に示すように、基板36には圧電振動子38が設置されている。この圧電振動子38は、内部の圧電材料の作用により熱電変換素子33から供給される電気エネルギーを機械的振動に変換し、基板36を振動させるためのものである。
【0013】
また、図11では図示を省略するが、実際には、熱電変換素子33が作り出す起電力(電圧)を放熱部34の圧電振動子38に供給するための配線が設けられている。
【0014】
上述したように、電子機器の内部において、熱伝導体32の一端側がCPU等の発熱源の近傍に位置し、熱伝導体32の受熱部35が充分に熱を受け取ることができる位置に本冷却ユニット31を設置する。そして、例えば熱伝導体32の受熱部35側の一端で電子機器の筐体等に固定することが望ましいとしている。そして、電子機器の発熱源から熱が発生すると、熱伝導体32の受熱部35が熱を受け取り、その熱が熱伝導体32を通じて熱電変換素子33に伝達される。この時、熱電変換素子33では、受熱部35に近い側の端面が高温側、放熱部34に近い側の端面が低温側となるような温度差が生じ、この温度差に応じた熱起電力が発生する。
【0015】
次に、熱電変換素子33が生成した起電力(電圧)が放熱部34の各圧電振動子38に供給されると、各圧電振動子38が電気エネルギーを機械的振動に変換し、基板36を振動させる。この振動により熱伝導体32の放熱部34側が大きい振幅をもって揺動するようになる。さらに、この揺動により下端を基板36に固定された個々のフィン37が揺動する。このようにして、電子機器の発熱源から発生した熱が熱伝導体32を通じて放熱部34側に伝達され、多数のフィン37の存在で表面積が大きくなった放熱部34から空気中に熱が放出される、いわば静的な放熱と、放熱部34およびフィン37が振動して積極的に周囲の空気を動かして風を起こしながら空冷する、いわば動的な放熱の双方の作用によって電子機器内部の放熱、冷却が行われるとしている。
【特許文献1】特開2004−72420号公報(第8−11頁、図5図6)
【特許文献2】特開2002−151873号公報(第3−7頁、図1図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、小型・薄型の携帯電話装置内部を冷却するには、上記従来の放熱構造についてそれぞれ以下のような問題点があった。
【0017】
まず、強制空冷を用いた前記第1の冷却方法の場合、発熱部の温度より低い温度の空気が継続して発熱部周辺の空間に冷媒として供給されなければならないが、近年の薄型の電子機器では発熱部の上部または周辺の空間が、例えば1mm以下と狭くなる傾向にあり、前記冷媒と発熱部を構成する壁面との摩擦損失が大きくなり、発熱部を冷却するための十分な流速を確保できない。つまり冷却ファンは前記冷却ファン近傍の空気をかく乱するだけであり、発熱部近傍には前記冷媒がほとんど流れて来ず、結果として発熱部を冷却できないという問題がある。
【0018】
次に、電子機器の筺体壁面近傍に放熱部を設け、前記放熱部から放熱をはかる前記第2の冷却方法の場合、機器本体の筺体壁面近傍に設置した放熱部に熱電変換素子と圧電振動子とを設けているので、機器の小型化・薄型化に適さない。また筺体壁面近傍の、冷たい外気に触れる箇所に熱電変換素子と圧電振動子とを配置しているので屋外使用時に雨滴や塵埃などの侵入を受けやすく、雨滴や塵埃などが侵入した場合に熱電変換素子または圧電振動子が正常に機能せず、放熱効果が小さくなるという問題がある。
【0019】
本発明は、前記従来の問題点に鑑み、筐体内部の空間が十分に確保できない小型・薄型の携帯電話装置についても前記携帯電話装置の内部を効率的に冷却することができる構造を持った携帯電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の携帯電話装置は、筐体を振動させる振動駆動用モータと、前記モータの回転運動を往復運動に変換する運動変換手段と、前記運動変換手段に接続され、電子部品の熱を前記運動変換手段に伝達させる伝熱手段と、前記運動変換手段に接続され往復運動するフィンを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の携帯電話装置によれば、携帯電話装置の筐体内部に設けた電子部品の熱をフィンに伝熱させ、前記フィンを携帯電話装置に設置されたモータを用いて往復運動させることにより、前記フィンから携帯電話装置の熱伝達を促進させているので、狭い空間しか確保できない小型・薄型の携帯電話装置内部の電子部品の冷却を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。小型・薄型の携帯電話装置には、着信時に外部に音を発することなく着信を知らせるために、内部にあらかじめ設置された小型のモータを利用したバイブレーション機能が設けられている。本発明では、携帯電話装置内部にあらかじめ設置された小型のモータを、電子機器のフィンを振動させるためのアクチュエータとして利用できるようにしたものである。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯電話装置の概略構成を示す破断斜視図である。図2は、携帯電話装置の破断斜視図であり、図3は携帯電話装置の概観図を示す。
【0024】
この携帯電話装置は、図3に示すように筐体1と筐体2で構成され、筐体1と筐体2はヒンジ部3を介して連結されている。筐体1の表面を構成する一方の(カバー)筐体1Aに、キー操作部4、送話部5が配置されている。側面1Cにカメラスイッチ6が配置されている。また図2に示すように(カバー)筐体1Bに、カメラ部7、電源8、モータ9が配置されている。このモータ9の軸の先端にはフライホイール的な機能を付与して振動を発生させる偏心分銅9Aが設けられている。筐体2の表面を構成する一方の(カバー)筐体2Aに、受話部10、表示部11、テレビ電話用カメラ12が設置されている。また図2に示すように筐体2の表面を構成する他方の(カバー)筐体2Bに、スピーカ部(スピーカ音孔)13が設置されている。なお、図中の符号14は、アンテナを示している。
【0025】
また、図1に示すようにこの筐体1内部には、プリント基板15が設けられており、このプリント基板15上には、無線回路16、CPU17を備えた制御回路18、カメラ画像を記憶できるメモリ39、などが実装されている。
【0026】
表示部11には、カメラ部7で撮影された画像が表示されるが、内蔵された制御回路18のCPU17が高速演算処理を行うことで撮影された画像を表示部11に映し出すようになっている。カメラ部7は、制御回路18によって制御されており、キー操作部4に配置されたカメラ撮影ボタンを押すことで、撮影画像を取り込んで表示部11に表示するようになっている。メモリ39は、携帯電話装置での撮影画像を必要に応じて表示部11に表示させたりするため、記憶させるようになっている。
【0027】
また、テレビ電話時、テレビ電話用カメラ12で撮影された画像は、CPU17によりMPEG規格に基づいて圧縮され、無線回路16を経て、アンテナ14からデジタルデータ送信される。このとき、相手側の携帯電話装置からアンテナ14により受信したデジタルデータはCPUにより圧縮解凍され、画像が表示部11に表示される。
【0028】
また、この筐体1の側面付近にはモータ9の回転運動を直線的な往復運動に変換する運動変換機構19が設けられている。前記運動変換機構19は、偏心分銅9Aと、板ばね20と、案内部21で構成される。板ばね20は、偏心分銅9Aに接する折り曲げ部20Aと、直線部20Bと、ばね部20Cと、筺体1への取り付け部20Dで構成される。板ばねには通常、例えば黄銅を主成分とする材料が用いられる。取り付け部20Dは、筺体1の内側壁面に対し、例えばビス止めなどの方法により固定されている。また筺体側面には、板ばねの直線部20Bと平行な方向に開口された長孔22が設けられており、長孔の隙間は板ばね20の厚み以上となっている。案内部21は、2枚のL型板金21Aと21Bで構成されており、L型板金の凸側の2面のうち一方の面が長孔22の直線部の両側の縁に沿って他方の面が長孔の中心に近くなる向きに、長孔をふさがないように、例えば接着などの方法により固定されている。板ばねの直線部20Bは、L型板金21Aと21Bの接着されていない方の面の間に隙間を保って平行に配置しているため、板ばねの直線部20Bが案内部21に沿って摺動することができる。
【0029】
さらに、板ばね20の一部は長孔22を貫通しており、その先端がフィン23に、例えば接着などの手法により接続されている。フィン23には、通常熱伝導率が高く押し出し成型がしやすい材料、例えばアルミニウムを主成分とする材料が用いられる。フィン23の少なくとも一部は、筺体1の外側に露出しており冷たい外気に接している。また、無線回路16、CPU17の天面には、伝熱シート24が接着などの手法により貼り付けられている。伝熱シート24には、通常熱伝導率の高い材料、例えばグラファイトや銅を主成分とするシートが用いられる。伝熱シート24の一部の面は、板ばねの取り付け部20Dに共締めされている。
【0030】
図6は、筐体1内部の運動変換機構の概略構成を示す模式的破断斜視図であり、図1を別の角度から見た図である。以下、運動変換機構19の運動変換原理について図6を用いて説明する。偏心分銅9Aはいわゆるカムとしての形状、機能を有しており、モータ9の回転に伴い、例えば矢印Aの方向に回転する。ばね部20Cは圧縮ばねの役割をし、偏心分銅9Aが回転しても折り曲げ部20Aの片面が偏心分銅9Aの外周に必ず接するようにしている。偏心分銅9Aが回転することによって、偏心分銅9Aと板ばねの折り曲げ部20Aとの接点からモータ9の回転軸の中心までの距離が変化するため、板ばねの直線部20Bが案内部21に沿って、矢印B、B´の方向に往復直線運動する。
【0031】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話装置の冷却動作原理について図6を用いて説明する。通常、例えば連続して静止画を表示したり、或いは動画像を表示させると、制御回路18のCPU17に負荷が掛かり、CPU17での消費電流が増大する。これにより、CPU17などから発熱する。またテレビ電話時にはデジタルデータの圧縮・解凍がCPU17にて行われ、無線回路16とアンテナ14を経由して高速にデータ通信がなされるので、無線回路16とCPU17などから発熱する。
【0032】
筺体1の外側に露出して設置されたフィン23は、冷たい外気に接している。筐体1の内部に無線回路16やCPU17のような発熱部品が存在する場合、筐体1の構成要素であるフィン23の温度は、冷たい外気の温度よりも高くなっている。また前記した発熱部品である無線回路16やCPU17などの温度と、フィン23の温度とを比べると、冷たい外気に接しているフィン23の温度の方が低いため、無線回路16またはCPU17の天面から、伝熱シート24と、板ばねの取り付け部20Dと、板ばねのばね部20Cと、板ばねの直線部20Bとを経由して、フィン23に向かって熱の流れが生じる。つまり、無線回路16またはCPU17の天面から、伝熱シート24と、板ばねの取り付け部20Dと、板ばねのばね部20Cと、板ばねの直線部20Bとを経由して、フィン23までの伝熱経路が形成される。フィン23は冷たい外気に接しているため、フィン23が静止している状態では、フィン23から冷たい外気へ自然対流熱伝達により熱が移動する。
【0033】
さらに、モータ9が矢印Aの方向に回転したとき、運動変換機構19の作用によって、前記板ばねの直線部20Bに接続されたフィン23も矢印B、B´の方向に往復直線運動するため、フィン23と冷たい外気との間に相対速度が発生し、フィン23から冷たい外気への熱の移動(熱伝達)が、フィン23が静止していた際の自然対流熱伝達の場合よりもさらに活発になる。フィン23が矢印B、B´の方向に往復直線運動することにより、フィン23から冷たい外気への熱伝達が静止時よりもさらに促進されることでフィン23が冷却される。
【0034】
このようにしてフィン23と、前記発熱部品の無線回路16やCPU17との温度差が大きくなるため、温度の高い無線回路16やCPU17から温度の低いフィン23への熱の流れる量が増え、結果として前記発熱部品である無線回路16やCPU17が冷却される。
【0035】
なお本実施の形態では、板ばねの取り付け部20Dは、筺体1の内側壁面に対して例えばビス止めなどの方法により固定されているとしたが、筺体1内部の基板15以外の別の構造物に固定してもよい。
【0036】
また、本発明の実施の形態1において、例えば図4に示すように運動変換機構19に、リンク軸25を取り付けてもよい。図4において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。リンク軸25はコの字型の棒であり、棒25Aと棒25Bが折り曲げ部25Cを介してが平行になるように繋がっている。偏心分銅9Aには棒25Aがモータ9の回転軸と平行に、互いに自由に動くように取り付けられている。他方、棒25Bは、円筒形をなす板ばねの巻き部20Eに、板ばねの直線部20Bの摺動方向と垂直な方向に挿入されている。この構成によれば、モータ9の回転時に、板ばねの直線部20Bが往復運動することができる。
【0037】
また、本発明の実施の形態1において、例えば図5に示すように運動変換機構19に用いる板ばねにコの字型の形状を採用してもよい。図5において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。折り曲げ部20Aは、直線部20Bと取り付け部20Gそれぞれに対し約90度の角度を保っており、曲がり部20Fは同様に直線部20Bと取り付け部20Hそれぞれに対し約90度の角度を保っている。取り付け部20Gと20Hとは、例えば筺体1の内側壁面にビス止めなどの方法により固定されている。なお、取り付け部20Gと20Hは同一平面にあるのが望ましい。また伝熱シート24の一部の面は、板ばねの取り付け部20Gと20Hに共締めされている。この構成によれば、モータ9の回転時に、板ばねの直線部20Bが往復運動することができ、無線回路16やCPU17からフィン23までの伝熱経路も設けることができるので、無線回路16やCPU17を冷却することができる。なお、板ばねの取り付け部20Gと20Hとは、筺体1の内側壁面に対して例えばビス止めなどの方法により固定されているとしたが、筺体1内部の基板15以外の別の構造物に固定してもよい。
【0038】
なお、本実施の形態では発熱する電子部品の例に無線回路16やCPU17を挙げたが、別の機能をもつ部品で同様に発熱する電子部品、例えば電源IC、充電FETなどでもよい。また、本実施例では発熱する電子部品である無線回路16やCPU17を基板15に実装されているとしたが、基板15とは別に設けた基板に実装されていてもよい。
【0039】
なお、(カバー)筐体1A、(カバー)筐体1B、(カバー)筐体1C、(カバー)筐体2A、(カバー)筐体2Bに配置されている各種の部品、たとえば、キー操作部4、送話部5、カメラスイッチ6、カメラ部7、電源8、モータ9、受話部10、表示部11、テレビ電話用カメラ12、スピーカ部(スピーカ音孔)13、アンテナ14などの部品は、筺体1と筺体2のどこに配置されていてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る携帯電話装置の概略構成を示す破断斜視図である。図7において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0041】
図7において、板ばね20の直線部20Bの面は、携帯電話装置の発熱する電子部品、例えば無線回路16、CPU17の天面に接触または隙間を設けて設置させている。
【0042】
図8は、筐体1内部の運動変換機構を示す模式的破断斜視図であり、図7を別の角度から見た図である。
【0043】
本発明の実施の形態2に係る携帯電話装置の冷却動作原理について図8を用いて説明する。筺体1の外側に少なくとも一部が露出して設置されたフィン23は、冷たい外気に接している。筐体1の内部に無線回路16やCPU17のような発熱する電子部品が存在する場合、筐体1の構成要素であるフィン23の温度は、冷たい外気の温度よりも高くなっている。また前記した発熱する電子部品である無線回路16やCPU17などの温度と、フィン23の温度とを比べると、冷たい外気に接しているフィンの温度の方が低いため、無線回路16またはCPU17の天面から、板ばねの直線部20Bに接触熱伝達または輻射、または隙間に存在する空気を介する熱伝導により熱が移動し、フィン23に向かって熱の流れが生じる。つまり、無線回路16またはCPU17の天面から、無線回路16またはCPU17の天面と板ばねの直線部20Bとの隙間に存在する隙間、板ばねの直線部20Bとを経由して、フィン23までの伝熱経路が形成される。フィン23は冷たい外気に接しているため、フィン23が静止している状態では、フィン23から冷たい外気へ自然対流熱伝達により熱が移動する。
【0044】
さらに、モータ9が矢印Aの方向に回転したとき、運動変換機構19の作用によって、前記板ばねの直線部20Bに接続されたフィン23も矢印B、B´の方向に往復直線運動するため、フィン23と冷たい外気との間に相対速度が発生し、フィン23から冷たい外気への熱の移動(熱伝達)が、フィン23が静止していた際の自然対流熱伝達の場合よりもさらに活発になる。フィン23が矢印B、B´の方向に往復直線運動することにより、フィン23から冷たい外気への熱伝達が静止時よりもさらに促進されることでフィン23が冷却される。このようにしてフィン23と、発熱する電子部品の無線回路16やCPU17との温度差が大きくなるため、温度の高い無線回路16やCPU17から温度の低いフィン23への熱の流れる量が増え、結果として発熱する電子部品である無線回路16やCPU17が冷却される。
【0045】
なお、本実施例では発熱する電子部品の例に無線回路16やCPU17を挙げたが、別の機能をもつ部品で同様に発熱する電子部品、例えば電源IC、充電FETなどでもよい。また、本実施例では発熱する電子部品である無線回路16やCPU17を基板15に実装されているとしたが、基板15とは別に設けた基板に実装されていてもよい。
【0046】
なお、(カバー)筐体1A、(カバー)筐体1B、(カバー)筐体1C、(カバー)筐体2A、(カバー)筐体2Bに配置されている各種の部品、たとえば、キー操作部4、送話部5、カメラスイッチ6、カメラ部7、電源8、モータ9、受話部10、表示部11、テレビ電話用カメラ12、スピーカ部(スピーカ音孔)13、アンテナ14などの部品は、筺体1と筺体2のどこに配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の携帯電話装置は、内部に狭い空間しか確保できない小型の携帯電話装置でも効率的に筺体内部を冷却する性能を有する。この構成を利用して、ノート型パソコン、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機等の携帯型の電子機器等の筺体内部を冷却する用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における携帯電話装置の概略構成を示す破断斜視図
【図2】携帯電話装置の破断斜視図
【図3】携帯電話装置の概観図
【図4】本発明の実施の形態1における携帯電話装置の概略構成を示す破断斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における携帯電話装置の他の変形例の概略構成を示す破断斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における携帯電話装置の運動変換機構の概略構成を示す模式的破断斜視図
【図7】本発明の実施の形態2における携帯電話装置の変形例の概略構成を示す破断斜視図
【図8】本発明の実施の形態2における携帯電話装置の運動変換機構の概略構成を示す模式的破断斜視図
【図9】従来例の携帯電話装置の破断斜視図
【図10】従来例の冷却ファン付着信用振動モータの破断斜視図
【図11】従来例の電子機器の冷却構造の概略構成を示す斜視図
【図12】従来例の電子機器の放熱部の構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0049】
1 筺体
9 モータ
9A 偏心分銅
15 基板
16 無線回路
17 CPU
19 運動変換機構
20 板ばね
20A 板ばねの折り曲げ部20A
20B 板ばねの直線部
20C 板ばねのばね部
20D 板ばねの取り付け部
21 案内部
22 長孔
23 フィン
24 伝熱シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を振動させる振動駆動用モータと、
前記モータの回転運動を往復運動に変換する運動変換手段と、
前記運動変換手段に接続され、電子部品の熱を前記運動変換手段に伝達させる伝熱手段と、前記運動変換手段に接続され往復運動するフィンを備えたことを特徴とする携帯電話装置。
【請求項2】
前記フィンは、
前記携帯電話装置の筐体の外側に少なくとも一部を露出していることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話装置。
【請求項3】
前記伝熱手段は、前記運動変換手段と前記携帯電話装置の筐体内部に設けた電子部品の両方に接続された伝熱シートであることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話装置。
【請求項4】
前記伝熱手段は、前記運動変換手段の一部を、前記携帯電話装置の筐体内部に設けた電子部品の上面に接触または隙間を設けて設置させた手段であることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話装置。
【請求項5】
前記運動変換手段は、モータに接続する偏心分銅と、
前記偏心分銅に接し、前記携帯電話装置の筐体の内側に接続する板バネを備え、
前記板バネの一部は、前記携帯電話装置の筐体に開口された孔に貫通して前記フィンと接続することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate