説明

摩擦低減船およびマイクロバブル発生ポンプ

【課題】従来より浮力の影響の少ない微細化した大量の気泡を含む吐出し流れを船体表面に沿って安定的に供給し、水面下の船体表面を全体的に効率良く微細気泡で覆うことができる摩擦低減船を提供する。
【解決手段】微細気泡発生機構を有するマイクロバブル発生ポンプ55b、55cを船首側水面14下の船体の外板に設置し、吐出し口から船尾に向けて大量の微細気泡を伴う一様で幅広シ−ト状の吐出し気泡流Dを船体表面に沿って流すようにする。この手法により、船体表面が効率良く微小気泡で覆われることになり、航行時の摩擦抵抗を減少させることが出来る。ポンプ本体を船首側の船内に設置する場合は、取水口と吐出し口は船体外板を通して外部に開放し、吐出流れは船尾に向かって船体表面に沿って流れるように吐出側ケ−シング形状をアレンジする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船首側の水面下において大量のマイクロバブル(微細気泡)を発生させ、船の底面および側面の水に接する外板表面を微細気泡で覆うことによって、航行時の船体の摩擦抵抗を低減し、高い省エネ効果を得る装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、船体の表面をマイクロバブルで覆って摩擦抵抗を低減させるための手段として、船首側に設けた細いスリットや多数の噴出口およびノズルにより空気を吹き出させる方法などがある。例えば、吹き出し口がスリット形状では特許文献1、多数の噴出口形状では特許文献2や特許文献3、ノズル形状では特許文献4などが開示されている。
【0003】
空気吹き出し口の形状は種々あるが、いずれも吐き出される気泡径は微小とは言い難く、浮上速度の影響が大きいこと、また吹き出しによる流れは乱れが大きく、剥離などを起こし、船体に沿って流れ難いなどの問題がる。特に船の側面に噴出口がある場合、吹き出される気泡は、浮力の影響や乱れの影響もあり、安定して船尾まで船の側面を気泡流で覆うことは困難である。従ってマイクロバブルによる顕著な省エネ効果は得られ難い。
【0004】
非特許文献1によれば、吹き出し気泡群の粒子径を微小にすることが難しいため、気泡群の浮力の影響が大きいこと、船首側の船底に設けた細いスリットからの空気気吹き出し法では、吹き出し気泡は不安定で剥離なども生じるため、船尾まで船底を安定して覆うのは困難などの理由から、船底外板の外側に端板を設けて船底の側面からの気泡の流出を抑える手法を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−156576号公報
【特許文献2】特開平9−207873号公報
【特許文献3】特開平11−49080号公報
【特許文献4】特開2008−18781号公報
【非特許文献1】児玉良明「空気潤滑法による船舶の抵抗低減技術の実用化にむけて」日本機械学会誌,112−1086(2009−5),46−49.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマイクロバブルの生成技術では、気泡の微細化が不十分であり、浮上速度が速く効率が悪い。また、安定した微細気泡流が得られない。これらの問題点を解決するためには、さらに微細化した気泡が得られる発生装置とともに気泡流を船体表面に沿う流れとして安定的に供給できる摩擦低減技術が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は従来技術の問題点を解決するために、マイクロバブル発生用に開発した新規の貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)を船首側の水面下に設置したものである。貫流ポンプ内部で発生させた大量の微小気泡は、ポンプ内部で流れに一様に混入しながら吐き出される。この微小気泡を大量に含む吐出し気泡流は、貫流ポンプ特有の流れの特性により、吐出し部において一様で乱れの少ない幅広の層状的な流れとなり、その流れは船体表面に沿って船尾に向かって安定した流れを形成し、船体を微小バブルで覆うことになる。このようにして、効率良く摩擦低減を図ることができる。
【0008】
図1に本特許で開発した貫流ポンプ本体の断面図を示す。(a)は貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)本体50の断面図、(b)は(a)のY−Y矢視断面図でマイクロバブル発生ポンプ55を示す。貫流ポンプ本体50は、基本的には円筒状の多翼羽根車7を収容したケ−シング30と流れを制御する舌部8および散気孔5を有する中空回転軸3からなる。マイクロバブル発生ポンプ55は貫流ポンプ本体50にエアなどを供給するためにホ−ス13により接続されたエアポンプ11と液体ポンプ11bおよび該中空回転軸3に接続した駆動用モ−タ12からなる。
【0009】
流れは図1(a)のポンプ断面図に示すように吸込み側9から吐出し側10に向って2回羽根6を通過する。即ち流れは吸込み側9では、羽根車7の外側から内側へ、吐出し側10では内側から外側へ流出して羽根車7を横断する。羽根車7は幅方向に長くとれること、また、流れが羽根車に接線方向に吐出されることから、吐出し流れは従来技術と異なり、幅広のシ−ト状で乱れも少なく、拡散せずに遠くまで達することができるので、船首側から船尾に向かって全体的に微小気泡の流れが船体表面に沿って行き渡る。
【0010】
また、吸込み側における羽根6の入口と出口が吐出し側では逆になるため、物が羽根間に詰まりにくい構造であることは運転上、優れた強みである。
【0011】
微細気泡を発生させる構造は、図1の(a)、(b)に示すように羽根車7内の中空回転軸3の外周面に多数の散気孔5を窄孔、あるいは追加の多孔質材を貼り付け、中空回転軸3を通して羽根車外部のホ−ス13に接続したエアポンプ11および液体ポンプ11bにより、気体や液体を供給できるようになっている。外部から羽根車内に供給された気体が該中空回転軸3の散気孔5からSで示される噴出によって気泡となって放出されることになるが、気泡は回転を伴って散気孔5から放出されるため、回転を伴う効果により気泡は微小径となり、さらに回転する羽根6の間を通過することにより細分化され、理想的な微小気泡となって吐出し水流とともに船体表面に沿って吐出される。回転数は大きいほど微細化される。このように回転する羽根車7内の中空シャフト3の散気孔5からの気泡供給方法は、一様で均一な微細気泡を得るための手法として優れている。
【0012】
液体ポンプ11bは貫流ポンプに貝などが附着するのを防ぐために薬液を注入したり、ポンプ内部を洗浄するときに洗浄液を注入するためのものである。
【0013】
図2はポンプ吸込み側9にエア分散発生器17を設置した場合の例を示す。気体は前述の図1と同様にエアポンプ11によりエア分散発生器17に供給される。この場合、エア分散発生器17から放出された気泡の大部分は流れと共に、吸込み側9から吐出し側10に向って2度、羽根6を通過して羽根車7を横断することになる。気泡は回転する羽根6を通過する毎に細分化されるために、吐出し側では微細化した気泡が得られる。エア分散発生器17はポンプの吐出側に取付けたり、ケ−シング壁面に取り付けてもても良いが均一な微細気泡が得られ難い。
【0014】
図3と図4は散気孔5から放出される気泡径をさらに小さくするための手法を示す。図3は貫流ポンプ羽根車7の散気孔を有する中空回転軸3の外周面に多数の棒状の小さな突起28を放射状に突き出した構造、図4は中空回転軸3の外周面の外側に隙間を空けて数本の細長パイプ状の棒29を中空回転軸3に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造であることを特徴とする。羽根車の回転に伴い、前記2種の棒状体の後流乱れが散気孔5から放出された気泡を局部的に乱すことによってさらに微細化した状態でポンプ吐出し口から船体表面に沿って放出されることになる。
【0015】
摩擦抵抗を低減させるためには、基本的には、水面下の船体表面の薄い境界層を微小気泡で覆えば良い。本発明では、微小気泡を含む吐出し流れを船体表面に沿ってシ−ト状に供給できるのとコアンダ効果(流れが物体表面の曲面に沿って流れる効果)により、確実に境界層を覆うことができるので効率が良い。また、貫流ポンプ本体の吸込み口と吐出し口を含むケ−シング形状や舌部の構造を適切にアレンジすることによって船体の形状あった流れの状態を得ることが出来るという優れた特徴を持っている。
【0016】
また、ポンプからの微細気泡を含む吐出し流れは、船の推進にも寄与することが出来るので無駄がない。
【発明の効果】
【0017】
本発明のマイクロバブル発生ポンプによれば従来の技術では得られなかった微細気泡を含む幅広でシ−ト状の安定した流れを船体表面に沿って供給することが出来るため、航行時の船の摩擦抵抗を効率良く減らすための技術として貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明のマイクロバブル発生ポンプの基本的構造を示す。(a)は貫流ポンプ本体の構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視のマイクロバブル発生ポンプの断面図である。
【図2】図2は図1とは異なる別形態のマイクロバブル発生ポンプの基本的構造を示す。(a)は貫流ポンプ本体の構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視のマイクロバブル発生ポンプの断面図である。
【図3】図3(a)は羽根車の散気孔を有する中空回転軸の外周表面に多数の棒状の小突起を放射状に突き出した構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の羽根車断面図である。
【図4】図4(a)は数本の細長パイプ状の棒を回転軸に平行で略同芯状に配列して羽根車幅方向に差し渡した構造を示す断面図、(b)は(a)のY−Y矢視の羽根車断面図である。
【図5】図5はマイクロバブル発生ポンプを船首部の船の側面と底面に複数台連結して設置した場合の摩擦低減船の据付け状態を示す。(a)はポンプからの吐出し気泡流が船体の表面に沿って流れる状態を示す平面断面図、(b)は側面図である。(実施例1)
【図6】図6は図5(a)のマイクロバブル発生ポンプ55bのポンプ部の拡大断面図で、微細気泡を含む流れの状態を示す。
【図7】図7は図5(b)のマイクロバブル発生ポンプ55cのポンプ部の拡大断面図で、微細気泡を含む流れの状態を示す。
【図8】図8は図5の実施例1とは異なる別形態の船71にマイクロバブル発生ポンプを複数台連結して設置した場合の摩擦低減船の形態を示す。(a)は船体の表面に沿って流れる気泡流の状態を示す平面断面図、(b)は側面図である。(実施例2)
【図9】図9は図8(a)のマイクロバブル発生ポンプ55dのポンプ部の拡大断面図で、微細気泡を含む流れの状態を示す。
【図10】図10は図8(b)のマイクロバブル発生ポンプ55eのポンプ部の拡大断面図で、微細気泡を含む流れの状態を示す。
【図11】図11は羽根車を4個連結した一体型のマイクロバブル発生ポンプを、船の側面と底面に設置した形態を示す。(a)はポンプからの吐出し気泡流が船体の表面に沿って流れる状態を示す平面断面図、(b)は側面図である。(実施例3)
【図12】図12は図11のマイクロバブル発生ポンプ55f(55g)のポンプ部の拡大図を示す。
【図13】図13はポンプを3台連結したマイクロバブル発生ポンプ55hを本体装置は船内に据付け、取水口と吐出し口を船腹外板を通して外部に開口した構成示す。(a)は微細気泡を含む流れの状態を示す平面断面図、(b)は側面図である。(実施例4)
【図14】図14はマイクロバブル発生ポンプ55iを本体装置は船内底部に据付け、取水口と吐出し口を船底外板を通して外部に開口した構成示す。(a)は装置の据付け状態と微細気泡を含む流れの状態を示す断面図、(b)はY−Y矢視図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図5〜図14を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図5は本発明の第1実施例で、請求項1に記載のマイクロバブル発生ポンプ55bを船70にセットし、一体化したときの摩擦低減船80の形態を示す。(a)は平面断面図、(b)は側面図である。本発明では船首部の水面下の船の左舷と右舷の外板にポンプを2台接続したマイクロバブル発生ポンプ55b、船底外板に水中モ−タ12bの両端軸にポンプを2台ずつ接続したマイクロバブル発生ポンプ55cを設置している。図6と図7にマイクロバブル発生ポンプの55bと55cの拡大断面図を示す。図5並びに図6、図7の拡大図により大量の微小気泡を含む流れが船体表面に沿って流れる状態を示す。エアは前述の図1と同様にエアポンプ11からホ−ス13により、図6と図7に示すマイクロバブル発生ポンプ55bと55cの中空回転軸3に供給され、羽根車7の内部において、中空回転軸外周部に穿孔された散気孔5から回転を伴いながら微細気泡となって放出され、流れとともに吐出し気泡流として供給される。
【0021】
この実施の形態によれば、図5(a)に示すように船首部の左舷と右舷の外板に設置したマイクロバブル発生ポンプ55bのポンプ内で生成された微小気泡を含む吐出し流れがコアンダ効果(流れが物体表面に沿って流れる)によって曲率のある船体表面に沿って流れる。微細気泡を含む吐出し流れは、貫流ポンプの特性により、幅広のシ−ト状で乱れも少なく、また拡散することなく、一様な流れとなって遠くまで達することができる。従って船首側から船尾まで船体表面を微細気泡で覆うことが出来るので、効率よく摩擦抵抗を低減できる。船底の外板に設置したマイクロバブル発生ポンプ55cのポンプから吐き出される微細気泡を含む流れも同様の手法で船体表面を微細気泡流で覆うことができる。
【0022】
摩擦抵抗低減のためには、前述のように基本的には船体表面が水と接する薄い境界層を気泡で覆えばよく、厚い層で覆う必要はない。従って、貫流ポンプの吐出し流れDは前述のように幅広のシ−ト状で乱れも少なく、また拡散することなく、一様な流れとなって遠くまで達することができるので都合がよい。ポンプ吐出し口からの流出速度はポンプの回転数を変えることによって増減できるので、外流F(船体近傍を通り過ぎる流れで、船の速度や海流に関係)との関係で吐き出し流れが最も拡散し難い速度に設定すれば良い。いずれにしても、コアンダ効果を有効にするために、吐出し流れDの流速は外流Fの速度よりも速くする必要がある。
【0023】
図5に描いたマイクロバブル発生ポンプ55bと55cの大きさは分かりやすく説明するために実際とは異なり船体に対して大きな比率で描いている。基本的には船体表面の薄い境界層を微小気泡で覆えばよいので、ポンプの羽根径の大きさは船の大きさにもよるが、10cm〜20cm程度でよいと考えられる。ポンプの大きさや台数と駆動用モ−タの組み合わせは、船の大きさによって異なる。
【0024】
液体ポンプ11bは前述のようにポンプに貝などが附着するのを防いだり、ポンプ内部を洗浄したりするときにホ−ス13を通じて薬液や洗浄液をホ−ス13によって、ポンプ内に供給するときに使用する。
【実施例2】
【0025】
図8は本発明の第2実施例で、請求項1に記載のマイクロバブル発生ポンプを船にセットし、一体化したときの摩擦低減船81の形態を示す。(a)は平面断面図、(b)は側面図である。船の構造は船体の外板にマイクロバブル発生ポンプ55d、55eを収容して設置するための窪み75、75bを設けた構造になっている。ポンプ55dは船首部の左舷と右舷の水面下の窪み75の外板にポンプ2台を連結して設置したもの、ポンプ55eは船底の窪み75bの外板に水中モ−タ12bの両端軸にポンプを2台ずつ連結して設置した場合を示す。ポンプ台数やモ−タ台数との組合わせは船の大きさによって異なる。
【0026】
ポンプの吸込み口のすぐ上流側には、ゴミ除け用のスクリ−ン35を設置している。前述のように、貫流ポンプでは、構造上羽根間に物が詰り難い構造なので、スクリーンの網目はある程度粗くて良い。以後の実施例では、ゴミ除けスクリ−ンは省略している。
【0027】
この実施の形態によれば、マイクロバブル発生ポンプの55dと55eが船体外板から突出していないため、ポンプ本体が流れの障害物になることもないので微細気泡の流れを船体表面に沿ってスム−ズに流すことが出来る。また、スクリ−ン35によってゴミやクラゲなどの浮遊物の吸込み口への侵入を防ぐことが出来る。スクリ−ン35を船体に沿って斜めに取り付けているのは、ゴミなどが後方に流れやすくするためである。
【0028】
なお、船腹部の外板に設置したマイクロバブル発生ポンプ55bはタンカーなど船体の長さが大きい場合に、途中で微細気泡を増強するためのものであるが、ポンプを窪みに設置していないため、ポンプ本体が外板から突出している。この場合は接岸時などの損傷を防ぐための補強枠が必要である。
【0029】
図9と図10はマイクロバブル発生ポンプの55dと55eの据付け状態と微細気泡含む流れが船体表面に沿って流出する状態を示す拡大断面図である。いずれもポンプの吸込み口と吐出し口の方向を船体に沿うようにケ−シング形状をアレンジしている。特に吐出し口からの流出方向は微細気泡を含む流れが船体表面に沿うように細心の注意を払う必要がある。また、前述のようにポンプ吐出し流れDの流速は外流Fよりも速くする必要がある。吐出し流速はポンプの回転数を変えることによって行う。微細気泡の発生メカニズムは、前述の実施例1と同様である。
【実施例3】
【0030】
図11は本発明の第3実施例で、第1実施例とは異なり羽根車7を4個連続して一体化したマイクロバブル発生ポンプ55fと55gを船首側の船の側面と底面の外板に設置したときの摩擦低減船82の形態を示す。(a)は平面断面図、(b)は側面図である。ポンプ吐出し口の形状と方向は微細気泡を含む流れが船体表面に沿って流れるようにアレンジしている。図12はマイクロバブル発生ポンプ55f(55g)の構造を示す拡大図である。微細気泡の発生メカニズムと微細気泡を含む流れが船体表面に沿って放出される状態は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0031】
図13は本発明の第4実施例で、ポンプを3台連結したマイクロバブル発生ポンプ55hの本体は船内に据付け、取水口42と吐出し口43を船腹外板を通して外部に開口した構成示す。(a)は平面断面図、(b)は側面図である。図(a)に示すように船外から取水口42を通してタンク40に流れを取り込み、タンク40に接続したマイクロバブル発生ポンプ55hを通して吐出し口43より船外へ吐き出される構造になっている。微細気泡は前述のように羽根車7の内部で生成され、吐出しダクト47を通して吐出し口43から微細気泡を含む流れが船体表面に沿って流出するようになっている。吐出しダクト47および吐出し口43の形状は微細気泡を含む流れが船体表面に沿って流れるように調整している。本構造では、ポンプが船内に設置されているため、流れの障害とならず、ゴミなどの影響を直接受けないこと、またポンプのメンテナンスにも都合が良い。
【実施例5】
【0032】
図14は本発明の第5実施例で、マイクロバブル発生ポンプ55iの本体は船内底部に据付け、取水口42と吐出し口43を船底外板を通して外部に開口した構造を示す。(a)は装置の据付け状態を示す断面図、(b)はY−Y矢視図で、対称図面の半分を描いた平面図である。装置の構成は図13の実施例4と基本的に同じで、船外から取水口42を通してタンク40bに流れを取り込み、タンク40bに接続したマイクロバブル発生ポンプ55iから吐出しダクト47を通して吐出し口43より、船外へ吐き出す構造になっている。本実施例では船底において、吐出し口43から微細気泡を含む流れが船体表面に沿って流れることによって、船底表面を微細気泡で覆うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のマイクロバブル発生ポンプの技術は、羽根車内中空回転軸の散気孔を通して生成される大量の微細気泡を含む流れを船体表面に沿って幅広でシ−ト状の安定した吐出し流れとして供給し、船体表面を微小気泡で覆うことができることから、船舶航行時の摩擦低減に有効である。
【符号の説明】
【0034】
3 散気孔を有する羽根車中空回転軸
5、5b 散気孔
6 羽根
7 貫流ポンプ羽根車
8 ケ−シング舌部
9 ポンプ吸込側
10 ポンプ吐出側
11 エアポンプ
11b 液体ポンプ
12 駆動用モ−タ
12b 駆動用水中モ−タ
13 ホ−ス
14 水面
17 エア分散発生器
28 中空回転軸3の外周面から放射状に突き出した棒状の小突起
29 中空回転軸3に平行で羽根車幅に渡って設置した細長パイプ状の棒
30,30b ポンプケ−シング
35 ゴミ除けスクリ−ン
40,40b タンク
41 取水パイプ
42 取水口
43 ポンプ吐出し口
45 取水バルブ
46 吐出しバルブ
47 吐出しダクト
50 貫流ポンプ本体
55、55b、55c、55d、55e、55f、55g、55h、55i マイ
クロバブル発生ポンプ
70,71 船
75 スクリュ−
80,81,82,83,84 摩擦低減船
B 微小気泡
D ポンプ吐出し口から船体表面に沿って流出する微小気泡を含む流れ
F 外流(船の速度や海流に関係する船体近傍を通り過ぎる流れ)
S 散気孔5および散気孔5bから微細気泡(液体)となって噴出する流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車形状が円筒状で多翼の貫流ポンプ(クロスフロ−ポンプ)羽根車の回転軸を中空にして、羽根車内回転軸の外周面に多数の散気孔を穿孔、あるいは追加の多孔質材を貼付けた構造とし、羽根車外部より該中空回転軸へ接続したホ−スを通して空気を羽根車内中心部に供給できるようにした構造のマイクロバブル発生機構付き貫流ポンプを船首側水面下の船体の側面や底面の外板に設置し、微細気泡を含む吐出し流れが船尾に向かって船体表面に沿うように吸込み口を含む吐出しケ−シング形状をアレンジしたことを特徴とする摩擦低減船およびマイクロバブル発生ポンプ
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロバブル発生機構付き貫流ポンプの本体を船首側の船内に設置し、取水口と吐出し口は船体外板を通して外部に開口し、吐出し口は船体外板の表面に沿って船尾側に向かって流出するように吐出しケ−シング形状をアレンジしたことを特徴とする摩擦低減船およびマイクロバブル発生ポンプ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−106542(P2012−106542A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255487(P2010−255487)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(709003735)
【Fターム(参考)】