説明

摩擦接合構造

【課題】小型で低コストの摩擦接合構造を提供する。
【解決手段】摩擦接合構造1は十字形部材2a、2bを有しており、十字形部材2a、3aの、互いに交差する面には接合部材3a、3b、3c、3dが設けられている。
接合部材3a、3b、3c、3dは、十字形部材2a、2bの十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある部材同士が、締結手段としての高力ボルトによって締結されている。
即ち、十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dは高力ボルトの軸力によって締結され、これによって十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dとの間に発生する摩擦力によって十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dとを接合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、梁、柱、筋違等の建築構造物の接続方法としては、高力ボルトを利用した摩擦接合が用いられている。
【0003】
摩擦接合とは高力ボルトに軸力を導入して接合部材を締め付け、部材間に発生する摩擦力によって部材同士を接続する方法である。
なお、筋違の接合方法としては、以下のようなものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005-42537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、摩擦接合では、摩擦力が接合部の摩擦係数とボルトの軸力に依存する。 しかしながら、建築構造物で使用される鋼材の摩擦接合面は、通常、赤錆面やショットブラスト面等とする処理がされるが、大きな摩擦係数を安定して得ることは困難で、摩擦係数は0.45に設定されている。従って、大きな摩擦力を得ようとする場合、ボルトの軸力を大きくしなければならない。
【0005】
そのため、ボルトの本数を増やしたり、ボルトの径を大きくしたりしなくてはならず、接合部が大型化し、コストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は小型で低コストの摩擦接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、断面形状が略十字形である第1の部材と、前記第1の部材の、互いに交差する2つの面に接するように各々設けられた4つの接合部材と、前記接合部材のうち、前記十字のなす角の互いに隣り合わない位置に設けられた前記接合部材同士を、前記第1の部材を貫通して締結する締結手段と、を具備し、前記第1の部材と前記接合部材の間に生じる摩擦力によって前記第1の部材と前記接合部材を接合することを特徴とする摩擦接合構造である。
【0008】
前記接合部材は、前記十字のなす角の、互いに隣り合う位置に設けられた2つの接合部材、または4つの接合部材の、前記第1の部材と接合される側とは反対側の端部が連結され、連結された前記端部は、1または複数の略板状の形状に形成され、第1のピン挿入孔を有するピン接合部を有し、前記ピン接合部に対応する1または複数の略板状の形状に形成され、第2のピン挿入孔を有する取付部材と、前記第1のピン挿入孔と前記第2のピン挿入孔を貫通して設けられるピンと、をさらに具備し、前記接合部材の連結された前記端部は、前記ピンにより接合されてもよい。
【0009】
前記締結手段は高力ボルトである。
前記接合部材は、前記第1の部材と接する面に突起を有してもよい。
【0010】
本発明では、摩擦接合構造が、断面形状が略十字形である第1の部材と、第1の部材の、十字の交差する面に接するように設けられた4つの接合部材とからなり、4つの接合部材のうち、前記十字のなす角の互いに隣り合わない部材同士を締結する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の部材に設けられた4つの接合部材のうち、前記十字のなす角の互いに隣り合わない部材同士を締結するため、見かけの摩擦係数を従来の摩擦接合構造よりも大きくすることができ、摩擦接合構造を小型で低コストにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る摩擦接合構造1を示す斜視図であって、図2は図1のA方向矢視図である。
【0013】
また、図3は図1の接合部材3aを示す斜視図、図4は図3のB−B断面図である。
さらに、図5は図2の接合部材3a付近の拡大図である。
【0014】
図1および図2に示すように、摩擦接合構造1は第1の部材としての十字形部材2aおよび第2の部材としての十字形部材2bを有している。
十字形部材2a、2bは、軸方向の断面形状が略十字形の部材であり、互いに交差する面の交差角度は略90°である。
また、十字形部材2a、2bの材質は構造用の炭素鋼等である。
【0015】
十字形部材2a、2bの、互いに交差する面には接合部材3a、3b、3c、3dが設けられている。
【0016】
図3および図4に示すように、接合部材3aは、断面が三角形の部材であり、三角形の中心を貫通するようにして、貫通孔8a、8b、8c、8dが設けられている。接合部材3b、3c、3dの構造も同様である。
【0017】
接合部材3a、3b、3c、3dは、十字形部材2a、2bの、互いに交差する面の両面に接するようにして設けられている。
接合部材3a、3b、3c、3dの材質は十字形部材2a、2bと同様である。
なお、接合部材3a、3b、3c、3dは、十字形部材2a、2bと接する面に突起を有してもよい。
【0018】
高力ボルト5a、5b、5c、5d、7a、7b、7c、7dは、接合部材3a、3b、3c、3dに設けられた貫通孔に挿入され、さらに十字形部材2a、2bを貫通して設けられている。
【0019】
そして、接合部材3aと接合部材3cとが、高力ボルト5a、5b、5c、5dによって締結され、接合部材3bと接合部材3dとが、高力ボルト7a、7b、7c、7dによって締結されている。
【0020】
即ち、接合部材3a、3b、3c、3dは、十字形部材2a、2bの十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある部材同士が、締結手段としての高力ボルトによって締結されている。
【0021】
そして、十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dは高力ボルト5a、5b、5c、5d、7a、7b、7c、7dの軸力によって締結され、これによって十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dとの間に発生する摩擦力によって十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dが接合している。
【0022】
このようにして、接合部材3a、3b、3c、3dは、十字形部材2aと十字形部材2bとを連結している。
【0023】
ここで、十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dの間で発生する摩擦力について説明する。
【0024】
図5に示すように、高力ボルト5aが接合部材3aと十字形部材2aを締め付けることによって、接合部材3aと十字形部材2aの間に垂直抗力12a、12bが生じる。
【0025】
この垂直抗力12a、12bをNとし、十字形部材2aの、交差角度10をθとすると、接合部材3aと十字形部材2aの間の押圧力Cとの関係は以下の式で表される。
C=2N・sinθ
【0026】
従って摩擦力をFとすると、接合部材3aと十字形部材2aの見かけの摩擦係数μは以下の式で表される。
μ=F/C=F/(2N・sinθ)
【0027】
μ(F/C)はθが小さいほど大きくなるため、第1の実施形態のように2θ=90°の時は、平板同士を締結する場合(2θ=180°の場合)と比べ、μは約1.4倍の値になる。
【0028】
従って、第1の実施形態のように、接合部材3aを、十字形部材2a、2bの、互いに交差する面の両面に接するようにしては設け、十字形部材2a、2bの十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある部材同士を高力ボルトで締結することにより、接合部材3aと十字形部材2a、2bの材質や、ボルトの締め付け力、本数を変更することなく、見かけの摩擦係数を大きくすることができる。
なお、接合部材3aの表面に突起を設けた場合は、突起と十字形部材2aの間に掘り起こしによる抵抗力が生じるため、みかけの摩擦係数をさらに上昇させることができる
【0029】
即ち、摩擦接合構造1は、平板同士を締結する従来の摩擦接合構造と比べ、ボルトの本数を減らしたり、ボルトの径を小さくしたりすることができるため、摩擦接合構造1を小型で低コストな構造にすることができる。
【0030】
このように、第1の実施の形態によれば、摩擦接合構造1は十字形部材2a、2bおよび十字形部材2a、2bの十字の交差する面に接するように設けられた接合部材3a、3b、3c、3dを有し、接合部材3a、3b、3c、3dのうち、十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある接合部材3a、3cおよび接合部材3b、3dが高力ボルトによって締結されている。
【0031】
従って、平板同士を締結する場合と比べて見かけの摩擦係数を大きくすることができ、摩擦接合構造1を小型で低コストな構造にすることができる。
【0032】
次に、第2の実施形態について説明する。
図6は第2の実施形態に係る摩擦接合構造1a、1bが設けられた構造物19を示す側面図であって、図7は図6の摩擦接合構造1a付近の斜視図、図8は図7のガセットプレート25aを示す図である。
また、図9は、図6の筋違27および筋違27の他の実施例を示す斜視図である。
【0033】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態に係る摩擦接合構造1と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0034】
第2の実施形態では、第1の実施形態において、摩擦接合構造1a、1bを筋違27と、柱21a、21b、梁23a、23bを連結するために用いている。
【0035】
図6に示すように、構造物19は柱21a、21bを有し、柱21aと柱21bの間には梁23a、23bが設けられている。
梁23a、23bの両端部はそれぞれ、柱21a、柱21bに連結されている。
【0036】
柱21bと梁23bの連結部にはガセットプレート25aが設けられている。 同様に、柱21aと梁23aの連結部にはガセットプレート25bが設けられている。
【0037】
ガセットプレート25aとガセットプレート25bの間には筋違27が設けられている。
筋違27の両端は摩擦接合構造1a、1bを介してガセットプレート25a、25bに連結されている。
【0038】
図7に示すように、筋違27の端部は断面形状が略十字形であり、第1の実施形態における十字形部材2aに相当する。
一方、図8に示すように、ガセットプレート25aの端部も断面形状が略十字形であり、第1の実施形態における十字形部材2bに相当する。
【0039】
また、筋違27およびガセットプレート25aの、互いに交差する面には接合部材3a、3b、3c(図示せず)、3d(図示せず)が設けられている。
【0040】
そして、接合部材3a、3b、3c、3dは、筋違27およびガセットプレート25aの、十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある部材同士が、締結手段としての高力ボルトによって締結されている。
【0041】
即ち、筋違27およびガセットプレート25aと接合部材3a、3b、3c、3dは高力ボルト5a、5b、5c、5d、7a、7b、7c、7dの軸力によって締結され、これによって十字形部材2a、2bと接合部材3a、3b、3c、3dとの間に発生する摩擦力によって接合している。
【0042】
なお、摩擦接合構造1bの構造は、摩擦接合構造1aの構造と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
このように、摩擦接合構造1a、1bを筋違27とガセットプレート25a、25bの連結に用いることにより、連結部をより小型で低コストな構造とすることができる。
【0044】
なお、筋違27の形状は、少なくとも端部の断面形状が略十字形であればよい。
【0045】
従って、図9(a)に示す筋違27のように、端部以外の部分が柱体でもよく、あるいは図9(b)に示す筋違27aのように、端部以外の部分が板状の形状を有していてもよい。
なお、図9(c)に示す筋違27bのように、全体の断面形状が略十字形でもよい。
【0046】
このように、第2の実施形態によれば、構造物19は、筋違27の両端が摩擦接合構造1a、1bを介してガセットプレート25a、25bに連結されており、摩擦接合構造1aの構造は、断面形状が十字形の筋違27、ガセットプレート25a、25bを接合部材3a、3b、3c、3dが連結した構造を有している。
【0047】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
次に、第3の実施形態について説明する。
図10は第3の実施形態に係る摩擦接合構造31を示す斜視図であって、図11は図10の分解斜視図、図12はクレビス状部材33aを示す平面図である。
さらに、図13は図10のD方向矢視図である。
【0049】
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態に係る摩擦接合構造1と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0050】
第3の実施形態に係る摩擦接合構造31では、第1の実施形態において、接合部材3aと接合部材3dおよび接合部材3bと接合部材3cの端部をそれぞれ連結し、クレビス状部材33a、33bとしたものである。
【0051】
図10〜図13に示すように、十字形部材2aの十字のなす角の、互いに隣り合う位置に設けられた位置にある接合部材、即ち接合部材3aと接合部材3dの端部がピン接合部としての連結部37aによって連結され、連結部37aには第1のピン挿入孔としてのピン挿入口39aが設けられている。
同様に、接合部材3bと接合部材3cの端部は連結部37bによって連結され、連結部37bにはピン挿入口39bが設けられている。
【0052】
そして、接合部材3a、3dと連結部37aとでクレビス状部材33aを構成している。
同様に、接合部材3b、3cと連結部37bとでクレビス状部材33bを構成している。
【0053】
すなわち、摩擦接合構造31は、十字形部材2aと、十字形部材2aを挟み込むようにして設けられたクレビス状部材33a、33bからなっている。
【0054】
このような構造にすることにより、接合部を力学的に完全なピン状態とすることができる。また接合部を小さくすることができ、コストを低減することができる。さらに、意匠性に優れた接合部とすることができる。
なお、クレビス状部材33aとクレビス状部材33bとは、ピン挿入口39a、39bに図示しないピンを挿入することにより、一体化することができる。
【0055】
このように、第3の実施形態によれば、摩擦接合構造31は十字形部材2a、および十字形部材2aの、十字の交差する面に接するように設けられた接合部材3a、3b、3c、3dを有し、接合部材3a、3b、3c、3dのうち、十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある接合部材3a、3cおよび接合部材3b、3dが高力ボルトによって締結されている。
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0056】
また、第3の実施形態によれば、十字形部材2a、2bの十字のなす角の、互いに隣り合う位置にある接合部材である、接合部材3a、3dおよび接合部材3b、3cの端部が連結部37a、37bによって連結され、連結部37a、37bにはピン挿入口39a、39bが設けられている。
従って、接合部を力学的に完全なピン状態とすることができる。また接合部を小さくすることができ、コストを低減することができる。さらに、意匠性に優れた接合部とすることができる。
【0057】
次に、第4の実施形態について説明する。図14は摩擦接合構造31a、31bが設けられた構造物41を示す側面図であって、図15は図14の摩擦接合構造31a付近の斜視図、図16は、図15の分解斜視図である。
【0058】
なお、第4の実施形態において、第3の実施形態に係る摩擦接合構造31と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0059】
第4の実施形態では、第3の実施形態において、摩擦接合構造31a、31bを、筋違27と柱21a、21b、梁23a、23bに接続するために用いている。
【0060】
図14に示すように、柱21bと梁23bの連結部には取付部材としてのガセットプレート45aが設けられ、柱21aと梁23aの連結部にはガセットプレート45bが設けられている。
【0061】
ガセットプレート45aとガセットプレート45bの間には筋違27が設けられ、筋違27の両端は摩擦接合構造31a、31bを介してガセットプレート45a、45bに連結されている。
【0062】
図15および図16に示すように、クレビス状部材33a、33bは筋違27の端部およびガセットプレート45aを挟み込むようにして設けられている。
また、ピン43は、ピン挿入口39a、39bおよびガセットプレート45aに設けられた第2のピン挿入孔としてのピン挿入口40を挿通して設けられている。
【0063】
なお、摩擦接合構造31bの構造は、摩擦接合構造31aの構造と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
このように、摩擦接合構造31a、31bを筋違27とガセットプレート45a、45bの接合に用いることにより、筋違27と摩擦接合構造31a、31bのクレビス状部材33a、33bとの接合部を小さくすることができる。また、クレビス状部材33a、33bとガセットプレート45a、45bとが、ピン43で接合される構造を有しているため、接合部を力学的に完全なピン状態とすることができる。
【0065】
このように、第4の実施形態によれば構造物41は、筋違27の両端が摩擦接合構造31a、31bを介してガセットプレート45a、45bに、ピン43で接合される構造を有しており、従って、接合部を力学的に完全なピン状態とすることができる。また、接合部を小さくすることができ、コストを低減することができる。さらに、意匠性に優れた接合部とすることができるという、第3の実施形態と同様の効果を奏する。
【0066】
次に、第5の実施形態について説明する。
図17は、第5の実施形態に係る摩擦接合構造71を示す斜視図であって、図18は図17の軸方向断面図である。
【0067】
なお、第5の実施形態において、第1の実施形態における摩擦接合構造1と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する
【0068】
第5の実施形態に係る摩擦接合構造71は、第1の実施形態に係る摩擦接合構造1において、十字形部材の、互いに交差する面の角度を鋭角にしたものである。
【0069】
図17および図18に示すように、摩擦接合構造71は十字形部材72aを有し、十字形部材72aの、互いに交差する面には接合部材73a、73b、73c、73dが設けられている。
【0070】
接合部材73a、73b、73c、73dの端部には、ピン接合部としての板状の連結部79が設けられ、連結部79が、接合部材73a、73b、73c、73dを連結している。
連結部79にはクレビス76が設けられ、クレビス76にはピン挿入孔78が設けられている。
【0071】
連結部79およびクレビス76は、第3の実施形態における連結部37aに相当する部材であり、ピン挿入孔78は、第3の実施形態におけるピン挿入口39aに相当する部材である。
また、十字形部材72aの端部には鋼管80が連結されている。
【0072】
ここで、図18に示すように、十字形部材72aの、互いに交差する面のなす角度75は鋭角である。
このように、角度75を鋭角にすることによって、図5に示す角度10を、第1の実施形態と比べてさらに小さくすることができる。
【0073】
例えば、第1の実施形態では互いに交差する面のなす角度は90°であり、見かけの摩擦係数は平面同士を接触させた場合と比べて約1.4倍となったが、角度75を60°にすると、見かけの摩擦係数は平面同士を接触させた場合と比べて約2倍となる。
【0074】
従って、みかけの摩擦係数をさらに上昇させることができ、摩擦接合構造71をさらに小型の構造にすることができる。
【0075】
なお、十字形部材72aは、鋼製の丸棒、もしくは角棒の側面に角度75の溝を設けることによって形成される。
【0076】
このように、第5の実施形態によれば、摩擦接合構造71は十字形部材72aおよび十字形部材72aの十字の交差する面に接するように設けられた接合部材73a、73b、73c、73dを有し、接合部材73a、73b、73c、73dのうち、十字のなす角の、互いに隣り合わない位置にある接合部材73a、73cおよび接合部材73b、73dが高力ボルトによって締結されている。
【0077】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
また、第5の実施形態によれば、十字形部材72aの、互いに交差する面のなす角度75は鋭角である。
従って、みかけの摩擦係数をさらに上昇させることができ、摩擦接合構造71をさらに小型の構造にすることができる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】摩擦接合構造1を示す斜視図
【図2】は図1のA方向矢視図
【図3】図1の接合部材3aを示す斜視図
【図4】図3のB−B断面図
【図5】図2の接合部材3a付近の拡大図
【図6】摩擦接合構造1a、1bが設けられた構造物19を示す側面図
【図7】図6の摩擦接合構造1a付近の斜視図
【図8】図7のガセットプレート25aを示す図
【図9】図6の筋違27および筋違27の他の実施例を示す斜視図
【図10】摩擦接合構造31を示す斜視図
【図11】図10の分解斜視図
【図12】クレビス状部材33aを示す平面図
【図13】図10のD方向矢視図
【図14】摩擦接合構造31a、31bが設けられた構造物41を示す側面図
【図15】図14の摩擦接合構造31a付近の斜視図
【図16】図15の分解斜視図
【図17】摩擦接合構造71を示す斜視図
【図18】図17の軸方向断面図
【符号の説明】
【0081】
1…………摩擦接合構造
2a………十字形部材
3a………接合部材
5a………高力ボルト
7a………高力ボルト
19………構造物
25a……ガセットプレート
27………筋違
31………摩擦接合構造
33a……クレビス状部材
37a……連結部
41………構造物
43………ピン
45a……ガセットプレート
51………摩擦接合構造
53a……接合部材
57………突起
61………摩擦接合構造
63a……接合部材
65a……凸部
67a……溝部
71………摩擦接合構造
72a……十字形部材
73a……接合部材
75………角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が略十字形である第1の部材と、
前記第1の部材の、互いに交差する2つの面に接するように各々設けられた4つの接合部材と、
前記接合部材のうち、前記十字のなす角の互いに隣り合わない位置に設けられた前記接合部材同士を、前記第1の部材を貫通して締結する締結手段と、
を具備し、
前記第1の部材と前記接合部材の間に生じる摩擦力によって前記第1の部材と前記接合部材を接合することを特徴とする摩擦接合構造。
【請求項2】
前記接合部材は、前記十字のなす角の、互いに隣り合う位置に設けられた2つの接合部材、または4つの接合部材の、前記第1の部材と接合される側とは反対側の端部が連結され、連結された前記端部は、1または複数の略板状の形状に形成され、第1のピン挿入孔を有するピン接合部を有し、
前記ピン接合部に対応する1または複数の略板状の形状に形成され、第2のピン挿入孔を有する取付部材と、前記第1のピン挿入孔と前記第2のピン挿入孔を貫通して設けられるピンと、
をさらに具備し、
前記接合部材の連結された前記端部は、前記ピンにより接合されることを特徴とする請求項1記載の摩擦接合構造。
【請求項3】
前記締結手段は高力ボルトであることを特徴とする請求項1記載の摩擦接合構造。
【請求項4】
前記接合部材は、前記第1の部材と接する面に突起を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の摩擦接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−8019(P2008−8019A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178959(P2006−178959)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】