撮像ユニット
【課題】プリズムの円滑な交換を可能にし、かつ、測定範囲の安定化を可能にする撮像ユニットを提供すること。
【解決手段】この撮像ユニット1は、プリズム9を内部に保持するプリズムユニット5と、プリズムユニット5が着脱可能にされるプリズム挿入部23が形成され、外部から測定光が入射される筐体部3と、筐体部3に内蔵された2つの撮像素子7a,7bとを備え、プリズム挿入部23は、プリズムユニット5が挿入された際に、プリズム9と共にプリズムユニット5を筐体部3の内部に位置決めするように形成され、撮像素子7a,7bは、プリズム9によって分けられた測定光を、受光可能な位置にそれぞれ設けられている。
【解決手段】この撮像ユニット1は、プリズム9を内部に保持するプリズムユニット5と、プリズムユニット5が着脱可能にされるプリズム挿入部23が形成され、外部から測定光が入射される筐体部3と、筐体部3に内蔵された2つの撮像素子7a,7bとを備え、プリズム挿入部23は、プリズムユニット5が挿入された際に、プリズム9と共にプリズムユニット5を筐体部3の内部に位置決めするように形成され、撮像素子7a,7bは、プリズム9によって分けられた測定光を、受光可能な位置にそれぞれ設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの測定光を撮像する撮像ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生細胞を対象にした顕微鏡ライブイメージングは、カルシウムイオンをはじめとする細胞内の情報伝達機構の解明に不可欠な研究手段となっている。最近では、その研究手段が、複数の機能細胞間の相互作用やシグナル情報など、より多くの情報を同時に取得する方法へと発展しつつある。また、培養細胞のみならずより生体に近い組織レベルでの機能研究が盛んに行われている。特に、(i)異なる波長の蛍光を同時に観察する、(ii)2波長蛍光のレシオイメージングを行う、(iii)FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)等によって発生する異なる2波長の蛍光を同時にイメージングする等により、細胞内の情報伝達機構を解明する研究が広く行われている。
【0003】
上述したような研究において異なる波長の光を撮像する際には、色分解光学系としてプリズムが用いられ、既存の顕微鏡で観察された測定光をプリズムによって分光して撮像する必要がある。このプリズムを備える従来の撮像装置としては、下記特許文献1,2のものが知られている。下記特許文献1に記載の撮像装置は、プリズム及び接合用突起を有するプリズムブロックと、固体撮像素子を有する撮像ブロックとが接合された構造を有し、プリズムブロックが撮像ブロックと接合された後でもプリズムを取り外し可能な構成を有している。また、下記特許文献2に記載の撮像装置は、プリズムを保持するプリズムケースを撮像レンズ系の筐体後部プレートに常時押圧するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−4686号公報
【特許文献2】特開平5−219514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1,2記載の撮像装置では、測定対象の波長域に応じてプリズムを交換しようとした際に、プリズムの交換作業が効率的でなく、プリズムの位置決め機構が不十分であり、測定範囲の安定したイメージングが困難な傾向にあった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、プリズムの円滑な交換を可能にし、かつ、測定範囲の安定化を可能にする撮像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の撮像ユニットは、プリズムを内部に保持するプリズム保持部材と、プリズム保持部材が着脱可能にされるプリズム挿入部が形成され、外部から測定光が入射される筐体部と、筐体部に内蔵された2以上の撮像素子と、を備え、プリズム挿入部は、プリズム保持部材が挿入された際に、プリズムと共にプリズム保持部材を筐体部の内部に位置決めするように形成され、2以上の撮像素子は、プリズムによって分けられた測定光を、受光可能な位置にそれぞれ設けられている。
【0008】
このような撮像ユニットによれば、プリズムを保持するプリズム保持部材が、筐体部に形成されたプリズム挿入部に着脱自在に挿入されることにより、プリズムが筐体部の内部で位置決めされると同時に、筐体部内部に設けられた2以上の撮像素子によってプリズムで分けられた測定光が受光される。これにより、測定光の波長域に対応してプリズムを円滑に交換することができるとともに、プリズムを交換した際でも撮像素子によって測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0009】
プリズム保持部材には、プリズム挿入部に対する挿入方向に略垂直に伸びるフランジ部が形成され、フランジ部がプリズム挿入部に当接することにより、プリズム保持部材が挿入方向に位置決めされる、ことが好適である。また、プリズム挿入部には、フランジ部の縁部と当接する面を有し、フランジ部の縁部が当該面に当接することにより、プリズム保持部材が挿入方向に位置決めされる、ことも好適である。この場合、プリズム保持部材をプリズム挿入部に挿入する際に、プリズム保持部材とプリズム挿入部との間に間隙を設けてもプリズム保持部材を挿入方向に容易に位置決めすることができる。その結果、プリズム保持部材を筐体にスムーズに挿入することができ、多少の加工誤差も許容することができる。なお、ここでいう「略垂直に伸びる」とは、部材のいずれかの面が略垂直な面を為している場合を含む概念である。
【0010】
また、プリズム保持部材のフランジ部には、突出部或いは孔部が設けられ、プリズム挿入部には、プリズム保持部材に対応して孔部或いは突出部が設けられ、プリズム保持部材の突出部或いは孔部が、プリズム挿入部の孔部或いは突出部に嵌め合わされることにより、プリズム保持部材が挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、ことも好適である。かかる構成を採れば、プリズム保持部材をプリズム挿入部に挿入する際に、プリズムを挿入方向に垂直な方向に容易に位置決めすることができる。
【0011】
さらに、プリズム挿入部には、フランジ部と嵌合する段差部が形成され、フランジ部が段差部に嵌合することにより、プリズム保持部材が挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、ことも好適である。かかる段差部を備えれば、プリズム保持部材をプリズム挿入部に挿入する際に、プリズムを挿入方向に垂直な方向に容易に位置決めすることができる。加えて、位置決め機構を比較的単純化することができる。
【0012】
またさらに、フランジ部とプリズム挿入部との間には、プリズム保持部材をプリズム挿入部に固定するための固定部材が設けられている、ことも好適である。かかる固定部材を備えることにより、プリズムの筐体部内での位置をさらに安定化することができる。
【0013】
上記の固定部材は、フランジ部をプリズム挿入部に向けて貫通されるネジ部材であってもよいし、フランジ部とプリズム挿入部との間の間隙に挿入され、フランジ部を挿入方向に略垂直な方向に付勢するバネ部材であってもよい。
【0014】
さらにまた、プリズム保持部材の外表面とプリズム挿入部の内表面との間には間隙部が形成され、間隙部に接するプリズム保持部材の外表面には、情報送信部が設けられ、間隙部に接するプリズム挿入部の内表面には、情報読取部が設けられている、ことも好適である。かかる構成を採れば、プリズムを交換した際に、そのプリズムの種別情報を容易に取得させることができ、プリズムの種別に応じたイメージング処理が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリズムの円滑な交換が可能にされ、かつ、測定範囲の安定化が可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像ユニットの概略構成図である。
【図2】図1のプリズムユニットの斜視図である。
【図3】図1のプリズムユニットの平面図である。
【図4】図1の筐体部にプリズムユニットが挿入された状態の撮像ユニットを示す斜視図である。
【図5】図4の撮像ユニットの平面図である。
【図6】図5の撮像ユニットのVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】図5の撮像ユニットのVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】図1の撮像ユニット内の各部の位置関係を説明するための平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態である撮像ユニットを示す斜視図である。
【図10】図9の撮像ユニットの平面図である。
【図11】図10の撮像ユニットのXI-XI線に沿った断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態である撮像ユニットを示す斜視図である。
【図13】図12の撮像ユニットの平面図である。
【図14】図13の撮像ユニットのXIV-XIV線に沿った断面図である。
【図15】本発明の変形例である撮像ユニットの断面図である。
【図16】本発明の別の変形例である撮像ユニットの断面図である。
【図17】本発明の別の変形例である撮像ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る撮像ユニットの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像ユニット1の概略構成図である。同図に示すように、撮像ユニット1は、顕微鏡装置101に接続されて顕微鏡装置101によって結ばれた観察対象の試料Aの蛍光等の測定光を分光して撮像する装置である。接続対象の顕微鏡装置101としては、例えば、内部に配置された試料Aから発せられる測定光(例えば、蛍光)を、顕微鏡光学系103及び反射鏡105を介して出力ポート107から出射するような構造のものが使用される。この撮像ユニット1は、顕微鏡装置101の出力ポート107に接続されて測定光が入射される入射窓2を有する筐体部3と、その筐体部3に着脱自在に収納されるプリズムユニット(プリズム保持部材)5と、筐体部3内でプリズムユニット5と対向するように内蔵された2つの撮像素子7a,7bとを備える。
【0019】
図2及び図3に示すように、プリズムユニット5は、断面台形状の外形をなすプリズムケース13Aを有し、このプリズムケース13Aの内部には2つのプリズム9a,9bが保持されている。これらの2つのプリズム9a,9bは、互いに接合されて色分解プリズム9を構成している。なお、プリズムケース13Aに保持される光学素子は色分解プリズムに限らず、偏光によって測定光の進む方向を分離する偏光プリズムや、色分解せずに単に測定光の進む方向を分離する分割プリズムであってもよい。そして、プリズムケース13Aの側面におけるプリズム9a,9bの光入射面11a及び光出射面11b,11cのそれぞれに対向する位置には、円形の入射孔15a及び出射孔15b,15cが設けられている。入射孔15の大きさは、顕微鏡装置101の顕微鏡光学系103の結像レンズから入射される光束と撮像素子7a,7bの受光面積によってきまり、入射孔15で光束を遮光しない程度の大きさとなっている。これにより、測定光を正確にプリズム9に入射させ、かつ外乱光をプリズム9に入射させにくくすることができる。なお、入射孔15a及び出射孔15b,15cの形状は、撮像素子7a,7bの受光面の形状や顕微鏡光学系103によって決まり、円形に限らず三角形や四角形などの多角形であってもよい。
【0020】
上記のような構成のプリズムユニット5は、入射孔15aの中心軸線に沿って入射した所定波長域の蛍光L1のうちの一部の波長域L2を、入射孔15aの中心軸線に沿ってプリズム9を透過させて光出射面11bから出射孔15bを通じて外部に出射させる。ここで、入射孔15aと出射孔15bの中心は同軸光路上に位置し、出射孔15bの半径は入射孔15aの半径と同じ大きさ、もしくは出射孔15bの半径は入射孔15aの半径よりも小さい。一般的に、出射孔15bを通過する際の蛍光L2の光束の大きさは、入射孔15aを通過する際の蛍光L1の光束の大きさに比べ、同程度もしくは小さくなる。従って、出射孔15bの大きさを蛍光L2を遮光しない程度に小さくすることで、外乱光が撮像素子7aに入射されることを防ぐことができる。それと同時に、プリズムユニット5は、その蛍光L1のうちの他の一部の波長域L3を、プリズム9a,9bの接合面及び光入射面11aで反射させて、プリズム9内を光出射面11cまで透過させた後に、出射孔15cを通じて外部に出射させる。ここで、出射孔15cの中心は光出射面11cから出射される蛍光L3の光束の光軸上に位置し、出射孔15cの半径は入射孔15aの半径と同じ大きさ、もしくは出射孔15cの半径は入射孔15aの半径よりも小さい。一般的に、出射孔15cを通過する際の蛍光L3の光束の大きさもまた、入射孔15aを通過する際の蛍光L1の光束の大きさに比べ、同程度もしくは小さくなる。従って、出射孔15cの大きさを蛍光L3を遮光しない程度に小さくすることで、外乱光が撮像素子7bに入射されることを防ぐことができる。このようなプリズム9は、蛍光L1を異なる方向に分光する役割を有し、その分光特性(分光波長特性や出射角度)は、プリズム9a,9bの材料や形状によって決定される。また、入射孔15a及び出射孔15b,15cの形状が円形以外の場合、出射孔15b,15cの面積は入射孔15aの面積と同程度もしくはそれより小さければよい。
【0021】
さらに、プリズムユニット5のプリズムケース13Aの上端部には、プリズムケース13Aの側面に対して略垂直な方向に沿ってフランジ部13Bが一体的に形成されている。このフランジ部13Bはプリズムケース13Aの側面から垂直に四方に向けて伸びており、プリズムケース13Aと反対側の面17a及びその反対側の面17bは、ほぼ垂直な平坦面となっている。そして、フランジ部13Bの縁部には、面17aからその反対側の面17bにかけて貫通する2つの貫通孔19a,19b、及び面17b上で面17aに向けて凹む2つの孔部21a,21bが形成されている。なお、プリズムケース13Aとフランジ部13Bは一体的に形成されることに限らず、それぞれ別の構成とし、それらを組み合わせてプリズムユニットを形成してもよい。
【0022】
上記プリズムユニット5は、プリズム9を内蔵したままで筐体部3に着脱可能に挿入される。これにより、測定対象の波長域に応じてプリズムを交換することが可能となる。図4は、筐体部3にプリズムユニット5が挿入された状態の撮像ユニット1を示す斜視図、図5は、図4の撮像ユニット1の平面図、図6は、図5の撮像ユニット1のVI-VI線に沿った断面図、図7は、図5の撮像ユニット1のVII-VII線に沿った断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、筐体部3には、プリズムユニット5を挿入するためのプリズム挿入部23が形成されており、プリズムユニット5は、プリズムケース13Aの側面をプリズム挿入部23に沿わせるように、プリズムケース13Aのフランジ部13Bに対して反対側の端面5a側からプリズム挿入部23に挿入される。このプリズム挿入部23は、プリズムユニット5の外形に対応するように、上段部(段差部)23Aと下段部23Bとを有する2段構造をなしている。ここで、上段部23A及び下段部23Bの幅は、フランジ部13B及びプリズムケース13Aの幅よりもやや広く、下段部23Bの深さは、プリズムケース13Aの高さよりもやや深くなっている。
【0024】
プリズムユニット5がプリズム挿入部23に挿入された状態では、フランジ部13B及びプリズムケース13Aが、その外周部に隙間を空けた状態で上段部23A及び下段部23Bに、それぞれ収められる。このとき、フランジ部13Bのプリズムケース13A側の面17bが上段部23Aの底面に当接して、プリズムユニット5がその挿入方向(プリズム挿入部23の深さ方向)に位置決めされる。したがって、フランジ部13Bとプリズム挿入部23の上段部23Aはプリズムユニット5の外形に対応するように形成されているので、フランジ部13Bがプリズム挿入部23の上段部23Aに当接することで、プランジ部13Bがふたの役割をはたし、外部からの光が筐体内部に漏れないようにすることができる。これにより、プリズムユニット5をプリズム挿入部23に挿入するだけで、簡単に遮光することが可能となる。また、プリズムケース13Aの端面5aと下段部23Bの底面33との間にも間隙が形成される。併せて、上段部23Aの底面におけるフランジ部13Bの孔部21a,21bに対向する位置には、それぞれ、ピン(突出部)25a,25bが埋め込まれて固定されており、フランジ部13Bの孔部21a,21bにピン25a,25bが嵌め合わされることにより、プリズムユニット5がその挿入方向に対して垂直な方向(プリズム挿入部23の底面に沿った方向)に位置決めされる(図6)。ここで、フランジ部13Bの孔部21aは、対向するピン25aと略同半径の円形状であるが、孔部21bは、対向するピン25bの半径と同じ大きさの短径とそれよりも大きい長径を有する楕円形状となっている。これにより、フランジ部13Bの孔部21a,21bやピン25a,25bの位置精度が不十分の場合でも、嵌め合わせでき、かつ片方の孔部が楕円なので位置決めを確実に行うことができる。なお、このような位置決め構造に関しては、フランジ部13Bにピン(突出部)が、プリズム挿入部23に孔部が、それぞれ設けられてもよい。これにより、プリズムユニット5がプリズム9と共に筐体部3内部において2次元的に位置決めされる。
【0025】
また、図7に示すように、フランジ部13Bと上段部23Aとの間には、固定ネジ(固定部材)27a,27bが設けられている。これらの固定ネジ27a,27bは、貫通孔19a,19bを貫通し、筐体部3の上段部23Aの底面に形成されたネジ穴にねじ込まれて固定され、プリズムユニット5の位置をプリズム挿入部23内で安定化するための役割を有する。
【0026】
さらに、図6に示すように、プリズムケース13Aの底面(外表面)5a、及び下段部23Bの底面(内表面)33には、それぞれ、情報送信部31A及び情報読取部31Bが取り付けられている。この情報送信部31Aは、プリズムユニット5のプリズム挿入部23への挿入に応じて、プリズムユニット5内のプリズム9の種別に関する情報を筐体部3側に伝達するための機能を有し、例えば、非接触で各種情報を送信するICタグ等が用いられる。また、情報読取部31Bは、情報送信部31Aからの識別情報を読み取る機能を有し、ICタグ用リーダ/ライタ等の情報読取装置が用いられる。また、プリズムケース13Aの底面(外表面)5a、及び下段部23Bの底面(内表面)33の間は間隙が形成されているので、情報送信部31A及び情報読取部31Bが接触する恐れを低減でき、情報送信部31A及び情報読取部31Bの破壊を防ぐことが可能となる。
【0027】
次に、図8を参照しながら、筐体部3内におけるプリズムユニット5と撮像素子7a,7bとの位置関係について説明する。同図に示すように、プリズムユニット5はそのフランジ部13Bの構造により、プリズム挿入部23に挿入するだけで容易に挿入方向ならびに挿入方向に対して垂直な方向に位置決めされる。このとき、プリズムユニット5は、その入射孔15aを筐体部3の入射窓2に対向させるように配置され、さらに、プリズムユニット5は、その出射孔15b,15cを筐体部3の出射窓(不図示)に対向させるように配置されている。また、筐体部3の各出射窓に受光面を対向させるように長波長領域の測定光L2を受光する撮像素子7a及び短波長領域の測定光L3を受光する撮像素子7bがそれぞれ配置されており、このうち撮像素子7aは、移動機構29によって支持されており、移動機構29によってプリズム9を透過する測定光L2の光軸に沿って移動可能にされている。なお、撮像素子7bが長波長領域を受光し、撮像素子7aが短波長領域を受光するようなプリズム9及び撮像素子7a,7bの構成であってもよい。ここで、撮像素子7a,7bは受光面の長手方向が挿入方向と略一致するように配置されている。これにより、撮像素子を複数配置した場合でも筐体部3の大きさをコンパクトにできる。また、測定光L2およびL3は撮像素子7aおよび撮像素子7bの受光面全体に結像されるが、一部の画素領域のみが画像化画素領域として画像化に用いられる。これにより、撮像素子7aおよび撮像素子7bの光軸に垂直な面の位置決め精度が不十分であったとしても測定範囲の安定化が可能となる。加えて、移動機構29は、プリズム9内で反射せずに透過した測定光L2を受光する撮像素子7aを支持したほうが好ましい。顕微鏡装置101の出力ポート107からの測定光L1の光軸に垂直な面方向には、顕微鏡装置101の筐体が突出していることが多い。従って、撮像ユニット1と顕微鏡装置101の出力ポート107との接続を考えた場合、撮像ユニット1の筐体部3を入射窓2の面方向に拡大しないほうが好ましいため、撮像素子7aが移動機構29によって支持されている。なお、撮像素子7a,7bとしては、CCDやCMOS等の素子が用いられるが、微弱光測定に適した冷却CCDが好適に用いられる。また、移動機構29としては、リニアモータ、ステッピングモータや、ピエゾモータなどを用いた駆動ステージや手動ステージが用いられる。
【0028】
以上説明した撮像ユニット1によれば、プリズム9を保持するプリズムユニット5が、筐体部3に形成されたプリズム挿入部23に着脱自在に挿入されることにより、プリズム9を交換した場合でも、プリズム9が筐体部3の内部で位置決めされると同時に、筐体部3内部に設けられた2つの撮像素子7a,7bによってプリズム9で分光された測定光が受光される。これにより、測定したい波長域に応じてプリズム9を交換しようとする場合に、その波長域に対応したプリズム9を円滑に交換することができる。さらには、プリズム9を交換した際でもプリズム9の位置を撮像素子7a,7bに対して2次元的に安定化させることができるので、試料A測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0029】
ここで、プリズムユニット5には、プリズム挿入部23に対する挿入方向に略垂直に伸びるフランジ部13Bが形成され、フランジ部13Bがプリズム挿入部23に当接することにより、プリズムユニット5がその挿入方向に位置決めされる。この場合、プリズムユニット5とプリズム挿入部23との間に間隙を設けつつ、プリズムユニット5を挿入方向に容易に位置決めすることができる。その結果、プリズムユニット5を筐体部3にスムーズに挿入することができ、多少の加工誤差も許容することができる。また、フランジ部13Bにより筐体3の外からの光が筐体3の内部に入ることを防ぐことができ、ノイズを減らすことが可能となる。さらには、その間隙を利用して、プリズムユニット5及びプリズム挿入部23に、それぞれ、情報送信部31A及び情報読取部31Bを取り付けることができる。プリズム9を交換して使用すると、一般には、プリズム9によって分光される測定光L2,L3に応じて撮像素子7a,7bの受光面において結像される範囲が変化してしまう傾向にある。この場合でも、情報送信部31Aから情報読取部31Bに対してプリズム9の種別情報が伝達されるので、筐体部3内の撮像素子7a,7bに接続される画像処理部等において、プリズム9を挿入した直後に必要な画素信号を適切に取り出して処理させることができる。なお、情報送信部31Aの送信する識別情報としては、撮像素子7a,7bにおける結像範囲の“四隅の位置情報”や、“位置と範囲に関する情報”等を示す情報が挙げられる。
【0030】
また、プリズムユニット5のフランジ部13Bには孔部21a,21bが設けられ、プリズム挿入部23にはピン25a,25bが設けられることにより、プリズムユニット5がその挿入方向に垂直な方向に位置決めされる。これにより、プリズムユニット5をプリズム挿入部23に挿入する際のプリズム9を位置決めするための構成が単純化される。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、本発明の第2実施形態である撮像ユニット51を示す斜視図、図10は、図9の撮像ユニット51の平面図、図11は、図10の撮像ユニット51のXI-XI線に沿った断面図である。この撮像ユニット51の第1実施形態との主な相違点は、プリズムユニット55のフランジ部63Bがその挿入方向に対して反対側に形成されている点にある。
【0032】
詳細には、プリズムユニット55は、断面台形状の外形をなすプリズムケース63Aを有し、このプリズムケース63Aの内部にはプリズム9が保持されている。そして、プリズムケース63Aの側面には、プリズムユニット5と同様に、円形の入射孔65a及び2つの出射孔(図示せず)が設けられている。さらに、プリズムユニット55のプリズムケース13Aの下端部には、プリズムケース63Aの側面に対して略垂直な方向に沿ってフランジ部63Bが一体的に形成されている。このフランジ部63Bは、プリズムケース63Aと反対側の面67aがほぼ平坦面に形成されている。そして、フランジ部13Bの面67aの縁部には、2つの貫通孔69a,69b及び2つの孔部71a,71bが形成されている。
【0033】
筐体部53には、プリズムユニット55を挿入するためのプリズム挿入部73が形成されており、プリズムユニット55は、フランジ部63Bの側面をプリズム挿入部73の内側面に沿わせるように、フランジ部63Bの面67a側からプリズム挿入部73に挿入される。このプリズム挿入部73は、プリズムユニット55の外形に対応する形状をなし、その深さがプリズムユニット55の高さとほぼ同じで、その幅がフランジ部63Bの幅よりもやや大きくなっている。
【0034】
プリズムユニット55がプリズム挿入部73に挿入されると、フランジ部63Bがその外周部に隙間を空けた状態でプリズム挿入部73に収められる。そうすると、フランジ部13Bの面67aがプリズム挿入部73の底面83に当接して、プリズムユニット55がその挿入方向(プリズム挿入部73の深さ方向)に位置決めされる。併せて、プリズム挿入部73の底面83におけるフランジ部63Bの孔部71a,71bに対向する位置には、それぞれ、ピン75a,75bが埋め込まれて固定されており、フランジ部63Bの孔部71a,71bにピン75a,75bが嵌め合わされることにより、プリズムユニット55がその挿入方向に対して垂直な方向(プリズム挿入部73の底面83に沿った方向)に位置決めされる(図11)。さらに、フランジ部63Bとプリズム挿入部73との間は、固定ネジ77a,77bによって固定されている。これにより、プリズムユニット55がプリズム9と共に筐体部53内部において2次元的に位置決めおよび固定される。
【0035】
また、フランジ部63Bの側面とプリズム挿入部73との間の間隙には、プリズム9に関する識別情報を伝達するために、情報送信部81A及び情報読取部81Bが取り付けられている。
【0036】
以上説明した撮像ユニット51によっても、測定したい波長域に応じてプリズム9を交換しようとする場合に、その波長域に対応したプリズムユニット55を円滑に交換することができる。さらには、プリズムユニット55を交換した際でもプリズム9の位置を撮像素子7a,7bに対して2次元的に安定化させることができるので、試料Aの測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0037】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12は、本発明の第3実施形態である撮像ユニット201を示す斜視図、図13は、図12の撮像ユニット201の平面図、図14は、図13の撮像ユニット201のXIV-XIV線に沿った断面図である。この撮像ユニット201の第1実施形態との主な相違点は、筐体部3に、プリズムユニット5の位置決め機構として固定レバー(バネ部材)203が設けられている点にある。
【0038】
具体的には、筐体部3のプリズム挿入部23の上段部23Aには、プリズムユニット5を挿入する際に、プリズムユニット5をその挿入方向と垂直な方向に付勢する固定レバー203が取り付けられている。固定レバー203は、上段部23Aの底面に沿った一方向に摺動可能なように上段部23Aの縁部に嵌め込まれており、この固定レバー203と上段部23Aの外周面との間に挿入されたバネ部材207によって、上段部23Aの底面に沿ってその中心部に向けて付勢されている。さらに、上段部23Aの底面の縁部には、固定レバー203と共にフランジ部13Bを挟み込むための突起部209a,209b,209cが、上段部23Aの中心部を取り囲むように埋め込まれている。
【0039】
このような構成の筐体部3に、固定レバー203を上段部23Aの縁部にスライドさせた状態でプリズムユニット5が挿入されると、フランジ部13Bの縁部と上段部23Aの内周面との間に固定レバー203が介在することにより、フランジ部13Bがその挿入方向に垂直な方向に押し付けられた状態で上段部23Aに収められる。そうすると、フランジ部13Bのプリズムケース13A側の面17bが上段部23Aの底面に当接するとともに、フランジ部13Bの縁部が固定レバー203及び突起部209a,209b,209cによって挟み込まれることによって、プリズムユニット5がその挿入方向、及び挿入方向に対して垂直な方向に位置決めされる(図14)。これにより、プリズムユニット5がプリズムケース13Aの側面及び底面をプリズム挿入部23から離間させた状態で、プリズム9と共に筐体部3内部において2次元的に位置決めされる。
【0040】
また、撮像ユニット201には、撮像ユニット1と同様に、固定ネジ27a、情報送信部81A、及び情報読取部81Bが設けられてもよい。
【0041】
このような撮像ユニット201によっても、測定対象の波長域に対応したプリズムユニット55を円滑に交換することができ、試料A測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0042】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、プリズムユニットの筐体部に対する挿入方向は特定の方向に限定されるものではない。例えば、図15に示す撮像ユニット251のように、筐体部253に測定光L1の光軸を含む面に沿ってプリズム挿入部273が形成されていてもよい。具体的には、プリズム挿入部273を、筐体部253の側面から内部に向けて形成される上段部273A及び下段部273Bの2段構造にし、プリズムケース263A及びフランジ部263Bから構成されるプリズムユニット255を、測定光L1の光軸を含む面に沿って、筐体部253の側面側から挿入するようにしてもよい。
【0043】
また、プリズムユニットの筐体部に対する位置決め構造は、様々な変形態様を採ることができる。例えば、図16に示す撮像ユニット301のように、プリズムユニット305のフランジ部313Bを、その側面がプリズムケース13Aにかけて直線的に傾斜するように形成し、プリズム挿入部323の上段部323Aの内周面をフランジ部313Bの形状及び幅に対応して傾斜するように形成する。このような形状にすれば、プリズムユニット305を筐体部303に挿入すると、フランジ部313Bが上段部323Aに嵌合することになり、プリズムユニット305の筐体部303に対する位置決め構造が単純化される。すなわち、固定ネジ27a,27bで固定するだけで位置決めが可能になり、孔部21a,21bやピン25a,25b(図6)等が不要になる。
【0044】
また、図17に示す撮像ユニット351のように、プリズムユニット5の筐体部3に対する位置決め及び固定用の部材として皿ネジ377a,377bを用いてもよい。この場合、プリズムユニット5のフランジ部13Bの縁部には、外表面17aから内表面17bに向けて貫通する貫通孔369a,369bが形成され、これらの貫通孔369a,369bは、皿ネジ377a,377bの頭部形状に対応するように、その内径が外表面17aから内表面17bにかけて小さくなるように形成されている。このような構造によっても、プリズムユニット5を筐体部3に挿入して固定する際に、皿ネジ377a,377bが貫通孔369a,369bに嵌合することになり、プリズムユニット5の筐体部3に対する位置決め構造が単純化される。すなわち、皿ネジ377a,377bで固定するだけで位置決めが可能になる。
【符号の説明】
【0045】
1,51,201,251,301,351…撮像ユニット、3,53,253,303…筐体部、5,55,255,305…プリズムユニット(プリズム保持部材)、7a,7b…撮像素子、9,9a,9b…プリズム、13B,63B,263B,313B…フランジ部、21a,21b,71a,71b…孔部、23,73,273,323…プリズム挿入部、25a,25b,75a,75b…ピン(突出部)、27a,27b,77a,77b…固定ネジ(固定部材)、31A,81A…情報送信部、31B,81B…情報読取部、203…固定レバー(バネ部材)、377a,377b…皿ネジ(固定部材)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの測定光を撮像する撮像ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生細胞を対象にした顕微鏡ライブイメージングは、カルシウムイオンをはじめとする細胞内の情報伝達機構の解明に不可欠な研究手段となっている。最近では、その研究手段が、複数の機能細胞間の相互作用やシグナル情報など、より多くの情報を同時に取得する方法へと発展しつつある。また、培養細胞のみならずより生体に近い組織レベルでの機能研究が盛んに行われている。特に、(i)異なる波長の蛍光を同時に観察する、(ii)2波長蛍光のレシオイメージングを行う、(iii)FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)等によって発生する異なる2波長の蛍光を同時にイメージングする等により、細胞内の情報伝達機構を解明する研究が広く行われている。
【0003】
上述したような研究において異なる波長の光を撮像する際には、色分解光学系としてプリズムが用いられ、既存の顕微鏡で観察された測定光をプリズムによって分光して撮像する必要がある。このプリズムを備える従来の撮像装置としては、下記特許文献1,2のものが知られている。下記特許文献1に記載の撮像装置は、プリズム及び接合用突起を有するプリズムブロックと、固体撮像素子を有する撮像ブロックとが接合された構造を有し、プリズムブロックが撮像ブロックと接合された後でもプリズムを取り外し可能な構成を有している。また、下記特許文献2に記載の撮像装置は、プリズムを保持するプリズムケースを撮像レンズ系の筐体後部プレートに常時押圧するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−4686号公報
【特許文献2】特開平5−219514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1,2記載の撮像装置では、測定対象の波長域に応じてプリズムを交換しようとした際に、プリズムの交換作業が効率的でなく、プリズムの位置決め機構が不十分であり、測定範囲の安定したイメージングが困難な傾向にあった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、プリズムの円滑な交換を可能にし、かつ、測定範囲の安定化を可能にする撮像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の撮像ユニットは、プリズムを内部に保持するプリズム保持部材と、プリズム保持部材が着脱可能にされるプリズム挿入部が形成され、外部から測定光が入射される筐体部と、筐体部に内蔵された2以上の撮像素子と、を備え、プリズム挿入部は、プリズム保持部材が挿入された際に、プリズムと共にプリズム保持部材を筐体部の内部に位置決めするように形成され、2以上の撮像素子は、プリズムによって分けられた測定光を、受光可能な位置にそれぞれ設けられている。
【0008】
このような撮像ユニットによれば、プリズムを保持するプリズム保持部材が、筐体部に形成されたプリズム挿入部に着脱自在に挿入されることにより、プリズムが筐体部の内部で位置決めされると同時に、筐体部内部に設けられた2以上の撮像素子によってプリズムで分けられた測定光が受光される。これにより、測定光の波長域に対応してプリズムを円滑に交換することができるとともに、プリズムを交換した際でも撮像素子によって測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0009】
プリズム保持部材には、プリズム挿入部に対する挿入方向に略垂直に伸びるフランジ部が形成され、フランジ部がプリズム挿入部に当接することにより、プリズム保持部材が挿入方向に位置決めされる、ことが好適である。また、プリズム挿入部には、フランジ部の縁部と当接する面を有し、フランジ部の縁部が当該面に当接することにより、プリズム保持部材が挿入方向に位置決めされる、ことも好適である。この場合、プリズム保持部材をプリズム挿入部に挿入する際に、プリズム保持部材とプリズム挿入部との間に間隙を設けてもプリズム保持部材を挿入方向に容易に位置決めすることができる。その結果、プリズム保持部材を筐体にスムーズに挿入することができ、多少の加工誤差も許容することができる。なお、ここでいう「略垂直に伸びる」とは、部材のいずれかの面が略垂直な面を為している場合を含む概念である。
【0010】
また、プリズム保持部材のフランジ部には、突出部或いは孔部が設けられ、プリズム挿入部には、プリズム保持部材に対応して孔部或いは突出部が設けられ、プリズム保持部材の突出部或いは孔部が、プリズム挿入部の孔部或いは突出部に嵌め合わされることにより、プリズム保持部材が挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、ことも好適である。かかる構成を採れば、プリズム保持部材をプリズム挿入部に挿入する際に、プリズムを挿入方向に垂直な方向に容易に位置決めすることができる。
【0011】
さらに、プリズム挿入部には、フランジ部と嵌合する段差部が形成され、フランジ部が段差部に嵌合することにより、プリズム保持部材が挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、ことも好適である。かかる段差部を備えれば、プリズム保持部材をプリズム挿入部に挿入する際に、プリズムを挿入方向に垂直な方向に容易に位置決めすることができる。加えて、位置決め機構を比較的単純化することができる。
【0012】
またさらに、フランジ部とプリズム挿入部との間には、プリズム保持部材をプリズム挿入部に固定するための固定部材が設けられている、ことも好適である。かかる固定部材を備えることにより、プリズムの筐体部内での位置をさらに安定化することができる。
【0013】
上記の固定部材は、フランジ部をプリズム挿入部に向けて貫通されるネジ部材であってもよいし、フランジ部とプリズム挿入部との間の間隙に挿入され、フランジ部を挿入方向に略垂直な方向に付勢するバネ部材であってもよい。
【0014】
さらにまた、プリズム保持部材の外表面とプリズム挿入部の内表面との間には間隙部が形成され、間隙部に接するプリズム保持部材の外表面には、情報送信部が設けられ、間隙部に接するプリズム挿入部の内表面には、情報読取部が設けられている、ことも好適である。かかる構成を採れば、プリズムを交換した際に、そのプリズムの種別情報を容易に取得させることができ、プリズムの種別に応じたイメージング処理が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリズムの円滑な交換が可能にされ、かつ、測定範囲の安定化が可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像ユニットの概略構成図である。
【図2】図1のプリズムユニットの斜視図である。
【図3】図1のプリズムユニットの平面図である。
【図4】図1の筐体部にプリズムユニットが挿入された状態の撮像ユニットを示す斜視図である。
【図5】図4の撮像ユニットの平面図である。
【図6】図5の撮像ユニットのVI-VI線に沿った断面図である。
【図7】図5の撮像ユニットのVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】図1の撮像ユニット内の各部の位置関係を説明するための平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態である撮像ユニットを示す斜視図である。
【図10】図9の撮像ユニットの平面図である。
【図11】図10の撮像ユニットのXI-XI線に沿った断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態である撮像ユニットを示す斜視図である。
【図13】図12の撮像ユニットの平面図である。
【図14】図13の撮像ユニットのXIV-XIV線に沿った断面図である。
【図15】本発明の変形例である撮像ユニットの断面図である。
【図16】本発明の別の変形例である撮像ユニットの断面図である。
【図17】本発明の別の変形例である撮像ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る撮像ユニットの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像ユニット1の概略構成図である。同図に示すように、撮像ユニット1は、顕微鏡装置101に接続されて顕微鏡装置101によって結ばれた観察対象の試料Aの蛍光等の測定光を分光して撮像する装置である。接続対象の顕微鏡装置101としては、例えば、内部に配置された試料Aから発せられる測定光(例えば、蛍光)を、顕微鏡光学系103及び反射鏡105を介して出力ポート107から出射するような構造のものが使用される。この撮像ユニット1は、顕微鏡装置101の出力ポート107に接続されて測定光が入射される入射窓2を有する筐体部3と、その筐体部3に着脱自在に収納されるプリズムユニット(プリズム保持部材)5と、筐体部3内でプリズムユニット5と対向するように内蔵された2つの撮像素子7a,7bとを備える。
【0019】
図2及び図3に示すように、プリズムユニット5は、断面台形状の外形をなすプリズムケース13Aを有し、このプリズムケース13Aの内部には2つのプリズム9a,9bが保持されている。これらの2つのプリズム9a,9bは、互いに接合されて色分解プリズム9を構成している。なお、プリズムケース13Aに保持される光学素子は色分解プリズムに限らず、偏光によって測定光の進む方向を分離する偏光プリズムや、色分解せずに単に測定光の進む方向を分離する分割プリズムであってもよい。そして、プリズムケース13Aの側面におけるプリズム9a,9bの光入射面11a及び光出射面11b,11cのそれぞれに対向する位置には、円形の入射孔15a及び出射孔15b,15cが設けられている。入射孔15の大きさは、顕微鏡装置101の顕微鏡光学系103の結像レンズから入射される光束と撮像素子7a,7bの受光面積によってきまり、入射孔15で光束を遮光しない程度の大きさとなっている。これにより、測定光を正確にプリズム9に入射させ、かつ外乱光をプリズム9に入射させにくくすることができる。なお、入射孔15a及び出射孔15b,15cの形状は、撮像素子7a,7bの受光面の形状や顕微鏡光学系103によって決まり、円形に限らず三角形や四角形などの多角形であってもよい。
【0020】
上記のような構成のプリズムユニット5は、入射孔15aの中心軸線に沿って入射した所定波長域の蛍光L1のうちの一部の波長域L2を、入射孔15aの中心軸線に沿ってプリズム9を透過させて光出射面11bから出射孔15bを通じて外部に出射させる。ここで、入射孔15aと出射孔15bの中心は同軸光路上に位置し、出射孔15bの半径は入射孔15aの半径と同じ大きさ、もしくは出射孔15bの半径は入射孔15aの半径よりも小さい。一般的に、出射孔15bを通過する際の蛍光L2の光束の大きさは、入射孔15aを通過する際の蛍光L1の光束の大きさに比べ、同程度もしくは小さくなる。従って、出射孔15bの大きさを蛍光L2を遮光しない程度に小さくすることで、外乱光が撮像素子7aに入射されることを防ぐことができる。それと同時に、プリズムユニット5は、その蛍光L1のうちの他の一部の波長域L3を、プリズム9a,9bの接合面及び光入射面11aで反射させて、プリズム9内を光出射面11cまで透過させた後に、出射孔15cを通じて外部に出射させる。ここで、出射孔15cの中心は光出射面11cから出射される蛍光L3の光束の光軸上に位置し、出射孔15cの半径は入射孔15aの半径と同じ大きさ、もしくは出射孔15cの半径は入射孔15aの半径よりも小さい。一般的に、出射孔15cを通過する際の蛍光L3の光束の大きさもまた、入射孔15aを通過する際の蛍光L1の光束の大きさに比べ、同程度もしくは小さくなる。従って、出射孔15cの大きさを蛍光L3を遮光しない程度に小さくすることで、外乱光が撮像素子7bに入射されることを防ぐことができる。このようなプリズム9は、蛍光L1を異なる方向に分光する役割を有し、その分光特性(分光波長特性や出射角度)は、プリズム9a,9bの材料や形状によって決定される。また、入射孔15a及び出射孔15b,15cの形状が円形以外の場合、出射孔15b,15cの面積は入射孔15aの面積と同程度もしくはそれより小さければよい。
【0021】
さらに、プリズムユニット5のプリズムケース13Aの上端部には、プリズムケース13Aの側面に対して略垂直な方向に沿ってフランジ部13Bが一体的に形成されている。このフランジ部13Bはプリズムケース13Aの側面から垂直に四方に向けて伸びており、プリズムケース13Aと反対側の面17a及びその反対側の面17bは、ほぼ垂直な平坦面となっている。そして、フランジ部13Bの縁部には、面17aからその反対側の面17bにかけて貫通する2つの貫通孔19a,19b、及び面17b上で面17aに向けて凹む2つの孔部21a,21bが形成されている。なお、プリズムケース13Aとフランジ部13Bは一体的に形成されることに限らず、それぞれ別の構成とし、それらを組み合わせてプリズムユニットを形成してもよい。
【0022】
上記プリズムユニット5は、プリズム9を内蔵したままで筐体部3に着脱可能に挿入される。これにより、測定対象の波長域に応じてプリズムを交換することが可能となる。図4は、筐体部3にプリズムユニット5が挿入された状態の撮像ユニット1を示す斜視図、図5は、図4の撮像ユニット1の平面図、図6は、図5の撮像ユニット1のVI-VI線に沿った断面図、図7は、図5の撮像ユニット1のVII-VII線に沿った断面図である。
【0023】
これらの図に示すように、筐体部3には、プリズムユニット5を挿入するためのプリズム挿入部23が形成されており、プリズムユニット5は、プリズムケース13Aの側面をプリズム挿入部23に沿わせるように、プリズムケース13Aのフランジ部13Bに対して反対側の端面5a側からプリズム挿入部23に挿入される。このプリズム挿入部23は、プリズムユニット5の外形に対応するように、上段部(段差部)23Aと下段部23Bとを有する2段構造をなしている。ここで、上段部23A及び下段部23Bの幅は、フランジ部13B及びプリズムケース13Aの幅よりもやや広く、下段部23Bの深さは、プリズムケース13Aの高さよりもやや深くなっている。
【0024】
プリズムユニット5がプリズム挿入部23に挿入された状態では、フランジ部13B及びプリズムケース13Aが、その外周部に隙間を空けた状態で上段部23A及び下段部23Bに、それぞれ収められる。このとき、フランジ部13Bのプリズムケース13A側の面17bが上段部23Aの底面に当接して、プリズムユニット5がその挿入方向(プリズム挿入部23の深さ方向)に位置決めされる。したがって、フランジ部13Bとプリズム挿入部23の上段部23Aはプリズムユニット5の外形に対応するように形成されているので、フランジ部13Bがプリズム挿入部23の上段部23Aに当接することで、プランジ部13Bがふたの役割をはたし、外部からの光が筐体内部に漏れないようにすることができる。これにより、プリズムユニット5をプリズム挿入部23に挿入するだけで、簡単に遮光することが可能となる。また、プリズムケース13Aの端面5aと下段部23Bの底面33との間にも間隙が形成される。併せて、上段部23Aの底面におけるフランジ部13Bの孔部21a,21bに対向する位置には、それぞれ、ピン(突出部)25a,25bが埋め込まれて固定されており、フランジ部13Bの孔部21a,21bにピン25a,25bが嵌め合わされることにより、プリズムユニット5がその挿入方向に対して垂直な方向(プリズム挿入部23の底面に沿った方向)に位置決めされる(図6)。ここで、フランジ部13Bの孔部21aは、対向するピン25aと略同半径の円形状であるが、孔部21bは、対向するピン25bの半径と同じ大きさの短径とそれよりも大きい長径を有する楕円形状となっている。これにより、フランジ部13Bの孔部21a,21bやピン25a,25bの位置精度が不十分の場合でも、嵌め合わせでき、かつ片方の孔部が楕円なので位置決めを確実に行うことができる。なお、このような位置決め構造に関しては、フランジ部13Bにピン(突出部)が、プリズム挿入部23に孔部が、それぞれ設けられてもよい。これにより、プリズムユニット5がプリズム9と共に筐体部3内部において2次元的に位置決めされる。
【0025】
また、図7に示すように、フランジ部13Bと上段部23Aとの間には、固定ネジ(固定部材)27a,27bが設けられている。これらの固定ネジ27a,27bは、貫通孔19a,19bを貫通し、筐体部3の上段部23Aの底面に形成されたネジ穴にねじ込まれて固定され、プリズムユニット5の位置をプリズム挿入部23内で安定化するための役割を有する。
【0026】
さらに、図6に示すように、プリズムケース13Aの底面(外表面)5a、及び下段部23Bの底面(内表面)33には、それぞれ、情報送信部31A及び情報読取部31Bが取り付けられている。この情報送信部31Aは、プリズムユニット5のプリズム挿入部23への挿入に応じて、プリズムユニット5内のプリズム9の種別に関する情報を筐体部3側に伝達するための機能を有し、例えば、非接触で各種情報を送信するICタグ等が用いられる。また、情報読取部31Bは、情報送信部31Aからの識別情報を読み取る機能を有し、ICタグ用リーダ/ライタ等の情報読取装置が用いられる。また、プリズムケース13Aの底面(外表面)5a、及び下段部23Bの底面(内表面)33の間は間隙が形成されているので、情報送信部31A及び情報読取部31Bが接触する恐れを低減でき、情報送信部31A及び情報読取部31Bの破壊を防ぐことが可能となる。
【0027】
次に、図8を参照しながら、筐体部3内におけるプリズムユニット5と撮像素子7a,7bとの位置関係について説明する。同図に示すように、プリズムユニット5はそのフランジ部13Bの構造により、プリズム挿入部23に挿入するだけで容易に挿入方向ならびに挿入方向に対して垂直な方向に位置決めされる。このとき、プリズムユニット5は、その入射孔15aを筐体部3の入射窓2に対向させるように配置され、さらに、プリズムユニット5は、その出射孔15b,15cを筐体部3の出射窓(不図示)に対向させるように配置されている。また、筐体部3の各出射窓に受光面を対向させるように長波長領域の測定光L2を受光する撮像素子7a及び短波長領域の測定光L3を受光する撮像素子7bがそれぞれ配置されており、このうち撮像素子7aは、移動機構29によって支持されており、移動機構29によってプリズム9を透過する測定光L2の光軸に沿って移動可能にされている。なお、撮像素子7bが長波長領域を受光し、撮像素子7aが短波長領域を受光するようなプリズム9及び撮像素子7a,7bの構成であってもよい。ここで、撮像素子7a,7bは受光面の長手方向が挿入方向と略一致するように配置されている。これにより、撮像素子を複数配置した場合でも筐体部3の大きさをコンパクトにできる。また、測定光L2およびL3は撮像素子7aおよび撮像素子7bの受光面全体に結像されるが、一部の画素領域のみが画像化画素領域として画像化に用いられる。これにより、撮像素子7aおよび撮像素子7bの光軸に垂直な面の位置決め精度が不十分であったとしても測定範囲の安定化が可能となる。加えて、移動機構29は、プリズム9内で反射せずに透過した測定光L2を受光する撮像素子7aを支持したほうが好ましい。顕微鏡装置101の出力ポート107からの測定光L1の光軸に垂直な面方向には、顕微鏡装置101の筐体が突出していることが多い。従って、撮像ユニット1と顕微鏡装置101の出力ポート107との接続を考えた場合、撮像ユニット1の筐体部3を入射窓2の面方向に拡大しないほうが好ましいため、撮像素子7aが移動機構29によって支持されている。なお、撮像素子7a,7bとしては、CCDやCMOS等の素子が用いられるが、微弱光測定に適した冷却CCDが好適に用いられる。また、移動機構29としては、リニアモータ、ステッピングモータや、ピエゾモータなどを用いた駆動ステージや手動ステージが用いられる。
【0028】
以上説明した撮像ユニット1によれば、プリズム9を保持するプリズムユニット5が、筐体部3に形成されたプリズム挿入部23に着脱自在に挿入されることにより、プリズム9を交換した場合でも、プリズム9が筐体部3の内部で位置決めされると同時に、筐体部3内部に設けられた2つの撮像素子7a,7bによってプリズム9で分光された測定光が受光される。これにより、測定したい波長域に応じてプリズム9を交換しようとする場合に、その波長域に対応したプリズム9を円滑に交換することができる。さらには、プリズム9を交換した際でもプリズム9の位置を撮像素子7a,7bに対して2次元的に安定化させることができるので、試料A測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0029】
ここで、プリズムユニット5には、プリズム挿入部23に対する挿入方向に略垂直に伸びるフランジ部13Bが形成され、フランジ部13Bがプリズム挿入部23に当接することにより、プリズムユニット5がその挿入方向に位置決めされる。この場合、プリズムユニット5とプリズム挿入部23との間に間隙を設けつつ、プリズムユニット5を挿入方向に容易に位置決めすることができる。その結果、プリズムユニット5を筐体部3にスムーズに挿入することができ、多少の加工誤差も許容することができる。また、フランジ部13Bにより筐体3の外からの光が筐体3の内部に入ることを防ぐことができ、ノイズを減らすことが可能となる。さらには、その間隙を利用して、プリズムユニット5及びプリズム挿入部23に、それぞれ、情報送信部31A及び情報読取部31Bを取り付けることができる。プリズム9を交換して使用すると、一般には、プリズム9によって分光される測定光L2,L3に応じて撮像素子7a,7bの受光面において結像される範囲が変化してしまう傾向にある。この場合でも、情報送信部31Aから情報読取部31Bに対してプリズム9の種別情報が伝達されるので、筐体部3内の撮像素子7a,7bに接続される画像処理部等において、プリズム9を挿入した直後に必要な画素信号を適切に取り出して処理させることができる。なお、情報送信部31Aの送信する識別情報としては、撮像素子7a,7bにおける結像範囲の“四隅の位置情報”や、“位置と範囲に関する情報”等を示す情報が挙げられる。
【0030】
また、プリズムユニット5のフランジ部13Bには孔部21a,21bが設けられ、プリズム挿入部23にはピン25a,25bが設けられることにより、プリズムユニット5がその挿入方向に垂直な方向に位置決めされる。これにより、プリズムユニット5をプリズム挿入部23に挿入する際のプリズム9を位置決めするための構成が単純化される。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、本発明の第2実施形態である撮像ユニット51を示す斜視図、図10は、図9の撮像ユニット51の平面図、図11は、図10の撮像ユニット51のXI-XI線に沿った断面図である。この撮像ユニット51の第1実施形態との主な相違点は、プリズムユニット55のフランジ部63Bがその挿入方向に対して反対側に形成されている点にある。
【0032】
詳細には、プリズムユニット55は、断面台形状の外形をなすプリズムケース63Aを有し、このプリズムケース63Aの内部にはプリズム9が保持されている。そして、プリズムケース63Aの側面には、プリズムユニット5と同様に、円形の入射孔65a及び2つの出射孔(図示せず)が設けられている。さらに、プリズムユニット55のプリズムケース13Aの下端部には、プリズムケース63Aの側面に対して略垂直な方向に沿ってフランジ部63Bが一体的に形成されている。このフランジ部63Bは、プリズムケース63Aと反対側の面67aがほぼ平坦面に形成されている。そして、フランジ部13Bの面67aの縁部には、2つの貫通孔69a,69b及び2つの孔部71a,71bが形成されている。
【0033】
筐体部53には、プリズムユニット55を挿入するためのプリズム挿入部73が形成されており、プリズムユニット55は、フランジ部63Bの側面をプリズム挿入部73の内側面に沿わせるように、フランジ部63Bの面67a側からプリズム挿入部73に挿入される。このプリズム挿入部73は、プリズムユニット55の外形に対応する形状をなし、その深さがプリズムユニット55の高さとほぼ同じで、その幅がフランジ部63Bの幅よりもやや大きくなっている。
【0034】
プリズムユニット55がプリズム挿入部73に挿入されると、フランジ部63Bがその外周部に隙間を空けた状態でプリズム挿入部73に収められる。そうすると、フランジ部13Bの面67aがプリズム挿入部73の底面83に当接して、プリズムユニット55がその挿入方向(プリズム挿入部73の深さ方向)に位置決めされる。併せて、プリズム挿入部73の底面83におけるフランジ部63Bの孔部71a,71bに対向する位置には、それぞれ、ピン75a,75bが埋め込まれて固定されており、フランジ部63Bの孔部71a,71bにピン75a,75bが嵌め合わされることにより、プリズムユニット55がその挿入方向に対して垂直な方向(プリズム挿入部73の底面83に沿った方向)に位置決めされる(図11)。さらに、フランジ部63Bとプリズム挿入部73との間は、固定ネジ77a,77bによって固定されている。これにより、プリズムユニット55がプリズム9と共に筐体部53内部において2次元的に位置決めおよび固定される。
【0035】
また、フランジ部63Bの側面とプリズム挿入部73との間の間隙には、プリズム9に関する識別情報を伝達するために、情報送信部81A及び情報読取部81Bが取り付けられている。
【0036】
以上説明した撮像ユニット51によっても、測定したい波長域に応じてプリズム9を交換しようとする場合に、その波長域に対応したプリズムユニット55を円滑に交換することができる。さらには、プリズムユニット55を交換した際でもプリズム9の位置を撮像素子7a,7bに対して2次元的に安定化させることができるので、試料Aの測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0037】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12は、本発明の第3実施形態である撮像ユニット201を示す斜視図、図13は、図12の撮像ユニット201の平面図、図14は、図13の撮像ユニット201のXIV-XIV線に沿った断面図である。この撮像ユニット201の第1実施形態との主な相違点は、筐体部3に、プリズムユニット5の位置決め機構として固定レバー(バネ部材)203が設けられている点にある。
【0038】
具体的には、筐体部3のプリズム挿入部23の上段部23Aには、プリズムユニット5を挿入する際に、プリズムユニット5をその挿入方向と垂直な方向に付勢する固定レバー203が取り付けられている。固定レバー203は、上段部23Aの底面に沿った一方向に摺動可能なように上段部23Aの縁部に嵌め込まれており、この固定レバー203と上段部23Aの外周面との間に挿入されたバネ部材207によって、上段部23Aの底面に沿ってその中心部に向けて付勢されている。さらに、上段部23Aの底面の縁部には、固定レバー203と共にフランジ部13Bを挟み込むための突起部209a,209b,209cが、上段部23Aの中心部を取り囲むように埋め込まれている。
【0039】
このような構成の筐体部3に、固定レバー203を上段部23Aの縁部にスライドさせた状態でプリズムユニット5が挿入されると、フランジ部13Bの縁部と上段部23Aの内周面との間に固定レバー203が介在することにより、フランジ部13Bがその挿入方向に垂直な方向に押し付けられた状態で上段部23Aに収められる。そうすると、フランジ部13Bのプリズムケース13A側の面17bが上段部23Aの底面に当接するとともに、フランジ部13Bの縁部が固定レバー203及び突起部209a,209b,209cによって挟み込まれることによって、プリズムユニット5がその挿入方向、及び挿入方向に対して垂直な方向に位置決めされる(図14)。これにより、プリズムユニット5がプリズムケース13Aの側面及び底面をプリズム挿入部23から離間させた状態で、プリズム9と共に筐体部3内部において2次元的に位置決めされる。
【0040】
また、撮像ユニット201には、撮像ユニット1と同様に、固定ネジ27a、情報送信部81A、及び情報読取部81Bが設けられてもよい。
【0041】
このような撮像ユニット201によっても、測定対象の波長域に対応したプリズムユニット55を円滑に交換することができ、試料A測定範囲に対する安定したイメージングが実現される。
【0042】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、プリズムユニットの筐体部に対する挿入方向は特定の方向に限定されるものではない。例えば、図15に示す撮像ユニット251のように、筐体部253に測定光L1の光軸を含む面に沿ってプリズム挿入部273が形成されていてもよい。具体的には、プリズム挿入部273を、筐体部253の側面から内部に向けて形成される上段部273A及び下段部273Bの2段構造にし、プリズムケース263A及びフランジ部263Bから構成されるプリズムユニット255を、測定光L1の光軸を含む面に沿って、筐体部253の側面側から挿入するようにしてもよい。
【0043】
また、プリズムユニットの筐体部に対する位置決め構造は、様々な変形態様を採ることができる。例えば、図16に示す撮像ユニット301のように、プリズムユニット305のフランジ部313Bを、その側面がプリズムケース13Aにかけて直線的に傾斜するように形成し、プリズム挿入部323の上段部323Aの内周面をフランジ部313Bの形状及び幅に対応して傾斜するように形成する。このような形状にすれば、プリズムユニット305を筐体部303に挿入すると、フランジ部313Bが上段部323Aに嵌合することになり、プリズムユニット305の筐体部303に対する位置決め構造が単純化される。すなわち、固定ネジ27a,27bで固定するだけで位置決めが可能になり、孔部21a,21bやピン25a,25b(図6)等が不要になる。
【0044】
また、図17に示す撮像ユニット351のように、プリズムユニット5の筐体部3に対する位置決め及び固定用の部材として皿ネジ377a,377bを用いてもよい。この場合、プリズムユニット5のフランジ部13Bの縁部には、外表面17aから内表面17bに向けて貫通する貫通孔369a,369bが形成され、これらの貫通孔369a,369bは、皿ネジ377a,377bの頭部形状に対応するように、その内径が外表面17aから内表面17bにかけて小さくなるように形成されている。このような構造によっても、プリズムユニット5を筐体部3に挿入して固定する際に、皿ネジ377a,377bが貫通孔369a,369bに嵌合することになり、プリズムユニット5の筐体部3に対する位置決め構造が単純化される。すなわち、皿ネジ377a,377bで固定するだけで位置決めが可能になる。
【符号の説明】
【0045】
1,51,201,251,301,351…撮像ユニット、3,53,253,303…筐体部、5,55,255,305…プリズムユニット(プリズム保持部材)、7a,7b…撮像素子、9,9a,9b…プリズム、13B,63B,263B,313B…フランジ部、21a,21b,71a,71b…孔部、23,73,273,323…プリズム挿入部、25a,25b,75a,75b…ピン(突出部)、27a,27b,77a,77b…固定ネジ(固定部材)、31A,81A…情報送信部、31B,81B…情報読取部、203…固定レバー(バネ部材)、377a,377b…皿ネジ(固定部材)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリズムを内部に保持するプリズム保持部材と、
前記プリズム保持部材が着脱可能にされるプリズム挿入部が形成され、外部から測定光が入射される筐体部と、
前記筐体部に内蔵された2以上の撮像素子と、
を備え、
前記プリズム挿入部は、前記プリズム保持部材が挿入された際に、前記プリズムと共に前記プリズム保持部材を前記筐体部の内部に位置決めするように形成され、
前記2以上の撮像素子は、前記プリズムによって分けられた前記測定光を、受光可能な位置にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記プリズム保持部材には、前記プリズム挿入部に対する挿入方向に略垂直に伸びるフランジ部が形成され、
前記フランジ部が前記プリズム挿入部に当接することにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記プリズム挿入部には、前記フランジ部の縁部と当接する面を有し、
前記フランジ部の前記縁部が当該面に当接することにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記プリズム保持部材のフランジ部には、突出部或いは孔部が設けられ、
前記プリズム挿入部には、前記プリズム保持部材に対応して孔部或いは突出部が設けられ、
前記プリズム保持部材の前記突出部或いは前記孔部が、前記プリズム挿入部の前記孔部或いは前記突出部に嵌め合わされることにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記プリズム挿入部には、前記フランジ部と嵌合する段差部が形成され、
前記フランジ部が前記段差部に嵌合することにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記フランジ部と前記プリズム挿入部との間には、前記プリズム保持部材を前記プリズム挿入部に固定するための固定部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記固定部材は、前記フランジ部を前記プリズム挿入部に向けて貫通されるネジ部材である、
ことを特徴とする請求項6記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記固定部材は、前記フランジ部と前記プリズム挿入部との間の間隙に挿入され、前記フランジ部を前記挿入方向に略垂直な方向に付勢するバネ部材である、
ことを特徴とする請求項6記載の撮像ユニット。
【請求項9】
前記プリズム保持部材の外表面と前記プリズム挿入部の内表面との間には間隙部が形成され、
前記間隙部に接する前記プリズム保持部材の外表面には、情報送信部が設けられ、
前記間隙部に接する前記プリズム挿入部の内表面には、情報読取部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項1】
プリズムを内部に保持するプリズム保持部材と、
前記プリズム保持部材が着脱可能にされるプリズム挿入部が形成され、外部から測定光が入射される筐体部と、
前記筐体部に内蔵された2以上の撮像素子と、
を備え、
前記プリズム挿入部は、前記プリズム保持部材が挿入された際に、前記プリズムと共に前記プリズム保持部材を前記筐体部の内部に位置決めするように形成され、
前記2以上の撮像素子は、前記プリズムによって分けられた前記測定光を、受光可能な位置にそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
前記プリズム保持部材には、前記プリズム挿入部に対する挿入方向に略垂直に伸びるフランジ部が形成され、
前記フランジ部が前記プリズム挿入部に当接することにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記プリズム挿入部には、前記フランジ部の縁部と当接する面を有し、
前記フランジ部の前記縁部が当該面に当接することにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記プリズム保持部材のフランジ部には、突出部或いは孔部が設けられ、
前記プリズム挿入部には、前記プリズム保持部材に対応して孔部或いは突出部が設けられ、
前記プリズム保持部材の前記突出部或いは前記孔部が、前記プリズム挿入部の前記孔部或いは前記突出部に嵌め合わされることにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記プリズム挿入部には、前記フランジ部と嵌合する段差部が形成され、
前記フランジ部が前記段差部に嵌合することにより、前記プリズム保持部材が前記挿入方向に垂直な方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記フランジ部と前記プリズム挿入部との間には、前記プリズム保持部材を前記プリズム挿入部に固定するための固定部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【請求項7】
前記固定部材は、前記フランジ部を前記プリズム挿入部に向けて貫通されるネジ部材である、
ことを特徴とする請求項6記載の撮像ユニット。
【請求項8】
前記固定部材は、前記フランジ部と前記プリズム挿入部との間の間隙に挿入され、前記フランジ部を前記挿入方向に略垂直な方向に付勢するバネ部材である、
ことを特徴とする請求項6記載の撮像ユニット。
【請求項9】
前記プリズム保持部材の外表面と前記プリズム挿入部の内表面との間には間隙部が形成され、
前記間隙部に接する前記プリズム保持部材の外表面には、情報送信部が設けられ、
前記間隙部に接する前記プリズム挿入部の内表面には、情報読取部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−19919(P2013−19919A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251064(P2009−251064)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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