説明

撮像レンズ、撮像装置、および情報端末装置

【課題】撮像レンズにおいて、光の入射側に凸面をなす撮像面上に光学像を形成する際の品質低下を抑制する。
【解決手段】光の入射側に凸面をなす撮像面210上に撮像レンズ100Aを通して光学像1Kを形成する際に、この光学像1Kの最大像高Hmaxの70%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高におけるデフォーカスMTFピーク位置Pa1を、光軸Z1上における同種のデフォーカスMTFピーク位置Paoよりも光進行方向側に位置させるように撮像レンズ100Aを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像レンズに関し、詳しくは、被写体の光学像を撮像する撮像レンズ、この撮像レンズを備えた撮像装置、およびこの撮像装置を備えた情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像レンズを通して撮像面上に形成される被写体の光学像を撮像する撮像装置が知られている。一般に、このような撮像装置の備える撮像素子の撮像面は平面であり、その撮像装置に用いられる撮像レンズは、この撮像面上、すなわち平面上に、諸収差の発生を極力抑えた光学像が形成されるように設計される(特許文献1参照)。
【0003】
また、平面形状をなす撮像面を有する撮像素子として、多数の受光画素が配列されたCCD素子やCMOS素子が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−184783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような撮像レンズおよび撮像素子を備えた撮像装置には、さらなる小型化および高画素化が求められており、撮像素子の画素数を増大させるとともにこの撮像素子の厚みを薄くする改良が行なわれている。撮像素子の厚みが薄くなるとこの撮像素子の撮像面が反って(湾曲して)しまうことがあり、そのような場合には、撮像装置で撮像し取得した画像に撮像面の変形に起因する画質劣化が生じてしまう。
【0006】
例えば、光の入射側に凸面をなす撮像面の変形に倣うように、撮像レンズを通して形成される光学像に像面湾曲収差を与えることも考えられるが、そのようにしても変形した撮像面に形成される光学像のコントラストを十分に回復できないことがある。そのため、このように変形した撮像面に形成される光学像の品質低下をより確実に抑制したいという要請がある。
【0007】
なお、上記撮像面の変形は、撮像素子の製造上の都合により、この撮像面への光の入射側に凸面をなすように変形するものである。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光の入射側に凸面をなす撮像面上に形成される光学像の品質低下を抑制することのできる撮像レンズ、この撮像レンズを備えた撮像装置、およびこの撮像装置を備えた情報端末装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の撮像レンズは、光の入射側に凸面をなす撮像面上に被写体の光学像を形成するための撮像レンズであって、撮像面上に形成される光学像の最大像高の70%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に位置するように構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
前記第1の撮像レンズは、最大像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に位置するように構成されたものとすることができる。
【0011】
前記第1の撮像レンズは、最大像高の80%の像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に位置するように構成されたものとすることができる。
【0012】
前記第1の撮像レンズは、前記撮像面上に形成される光学像の最大像高の70%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に0.005mm以上離れて位置するように、かつ、被写体側に0.025mmよりも離れて位置することのないように構成されたものとすることが望ましい。
【0013】
本発明の第2の撮像レンズは、光の入射側に凸面をなす撮像面上に被写体の光学像を形成するための撮像レンズであって、撮像面上に形成される光学像の最大像高の80%以上、100%以下の全ての像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に位置するように構成されたものであることを特徴とするものである。
【0014】
前記第2の撮像レンズは、最大像高の70%以上、100%以下の全ての像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に位置するように構成されたものとすることができる。
【0015】
前記第2の撮像レンズは、前記撮像面上に形成される光学像の最大像高の80%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に0.005mm以上離れて位置するように、かつ、被写体側に0.025mmよりも離れて位置することのないように構成されたものとすることが望ましい。
【0016】
前記第1の撮像レンズ、および第2の撮像レンズは、全ての像高において、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、像高が0%となる光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置から0.02mm以内の範囲に位置することが望ましい。
【0017】
前記第1の撮像レンズ、および第2の撮像レンズは、物体側から順に、正のパワーを有する第1レンズ、第2レンズ、正のパワーを有する第3レンズ、第4レンズを配置してなるものとするとともに、レンズ全系の焦点距離をf、第1レンズの焦点距離をf1、第3レンズの焦点距離をf3としたときに、条件式(1):0.49<f1/f<1.0、条件式(2):0.5<f3/f<3.0の両方を同時に満足するものとすることが望ましい。
【0018】
前記第1の撮像レンズ、および第2の撮像レンズは、条件式(3):0.49<f1/f<0.69、条件式(4):0.7<f3/f<2.0の両方を同時に満足するものとすることがさらに望ましい。
【0019】
本発明の撮像装置は、前記撮像レンズと、この撮像レンズを通して形成される光学像を撮像するための前記撮像面を有する撮像素子とを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の情報端末装置は、前記撮像装置を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
前記光軸上は、像高が0である場合を意味する。すなわち、光軸上は、像高が最大像高の0%である場合である。
【0022】
前記撮像面は、撮像レンズを通して被写体の光学像が形成され、かつ、その光学像が撮像される領域である。すなわち、光学像が形成され撮像される領域が撮像面である。被写体の光学像が形成されない領域は撮像面ではない。これとは逆に、光学像が形成される領域であっても、その光学像が撮像されない領域は撮像面ではない。
【0023】
より具体的には、撮像レンズと撮像素子とを備えた撮像装置によって撮像される光学像が形成される撮像素子上の領域が撮像面である。一方、撮像レンズを通して光学像が形成されない撮像素子上の領域は、撮像可能な領域であっても撮像面ではない。これとは逆に、光学像が形成される撮像素子上の領域であっても、その光学像が撮像されない領域は撮像面ではない。
【0024】
前記光の入射側は、撮像面に対して光の入射する側である。
【0025】
前記光の進行方向は、光軸に沿った方向で、かつ、光の進む方向を意味する。
【0026】
前記像高は、撮像面と交わる撮像レンズの光軸を基準とし、この光軸から撮像面上に形成される光学像中の特定の位置までの距離(光軸直交方向の高さ)である。
【0027】
前記最大像高は、像高の基準となる上記光軸から最も離れた撮像面中(撮像面中に形成された光学像)の位置までの距離(光軸直交方向の高さ)である。
【0028】
前記同種のデフォーカスMTFピーク位置は、被写体距離および被写体の空間周波数が同じであって、像高が異なる場合に得られるデフォーカスMTFピーク位置を意味する。
【0029】
デフォーカスMTFピーク位置は、デフォーカスさせながらMTF値を求めて得られたデフォーカスMTF曲線中のMTF値が最大となる位置(デフォーカス方向の位置、光軸方向の位置)である。
【0030】
なお、上記MTF値、デフォーカスMTF曲線等は、100LS/mmの空間周波数を持つ無限遠被写体について求めたものとすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明者は上記課題に対して、撮像レンズにおけるデフォーカスMTFピーク位置に注目し種々検討した結果、光の入射側に凸面をなす撮像面に倣うように撮像レンズを通して形成される光学像に対して像面湾曲収差を与えるよりも、そのような撮像面の形状
に倣うように、デフォーカスMTFピーク位置を定めるレンズ設計を行う方が、このような形状の撮像面に形成される光学像の品質低下をより確実に抑制できるという知見を得、かかる知見に基づいて本発明に至ったものである。
【0032】
本発明の撮像レンズによれば、光の入射側に凸面をなす撮像面上に被写体の光学像を形成するための撮像レンズであって、最大像高の70%以上、100%以下の任意の像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置、あるいは上記最大像高の80%以上、100%以下の全ての像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置に対し、この撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置が被写体側に位置するように構成したので、光の入射側に凸面をなす撮像面上に形成される光学像の品質低下をより確実に抑制することができる。
【0033】
すなわち、本発明者の得た知見によれば、上記のようにデフォーカスMTFピーク位置を定めることにより、像高に対するデフォーカスMTFピーク位置の変化を湾曲した撮像面に沿ったものとすることができるので、従来よりも、この撮像面上に形成される光学像のコントラストをより確実に高めることができる。これにより、光の入射側に凸面をなす撮像面上に形成される光学像の品質低下をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態による撮像レンズ等の概略構成を示す図
【図2】上記撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図3】上記撮像レンズに関するデフォーカスMTF曲線上のピーク位置を示す図である。
【図4A】実施例1の撮像レンズの構成を示す図
【図4B】実施例1の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図5A】実施例2の撮像レンズの構成を示す図
【図5B】実施例2の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図6A】実施例3の撮像レンズの構成を示す図
【図6B】実施例3の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図7A】実施例4の撮像レンズの構成を示す図
【図7B】実施例4の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図8A】実施例5の撮像レンズの構成を示す図
【図8B】実施例5の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図9A】実施例6の撮像レンズの構成を示す図
【図9B】実施例6の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図10A】実施例7の撮像レンズの構成を示す図
【図10B】実施例7の撮像レンズに関するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図11】各実施例の撮像レンズについて条件式を満足する度合いを示す図
【図12A】第1の実施の形態の他のデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【図12B】第2の実施の形態の他のデフォーカスMTFピーク曲線を示す図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態における撮像レンズを搭載した撮像装置の概略構成と第2の実施の形態における撮像レンズを搭載した撮像装置の概略構成とを両方共に示す共通の図である。図2は、縦軸に像高、横軸にデフォーカス量を示す座標面上に、後述するデフォーカスMTFピーク曲線を示す図、図3は、縦軸にMTF値、横軸にデフォーカス量を示す座標面上に、後述する各像高におけるデフォーカスMTF曲線上のピーク位置を同時に表すデフォーカスMTF曲線を示す図である。
【0036】
図1に示す本発明の第1の実施の形態による撮像装置300Aは、撮像レンズ100Aと、この撮像レンズ100Aを通して形成される被写体1の光学像1Kを撮像するための撮像面210を有する撮像素子200とを備えたものである。この撮像装置300Aは、携帯電話機等の情報端末装置に適用することができるものである。
【0037】
上記本発明の第1の実施の形態による撮像レンズ100Aは、光の入射側に凸面をなす撮像面210上に被写体1の光学像1Kを形成するためのものである。
【0038】
より詳しくは、撮像レンズ100Aは、光の入射側に凸面をなす(すなわち、撮像レンズ100Aの側に凸面を向けた)撮像面210上に形成される被写体1の光学像1Kを撮像する撮像装置300Aに用いられるものであって、被写体1の光学像1Kを、撮像装置300Aの備える撮像素子200の撮像面210上に形成するためのものである。
【0039】
なお、撮像面210は、撮像レンズ100Aを通して光学像1Kが形成されこの光学像1Kが撮像される領域として定められるものである。
【0040】
上記撮像面210は、この撮像面210中の後述する最大像高Hmaxを示す位置が、この撮像面210中の後述する中心位置200Cよりも、光の進行方向の側に、例えば0.01mmずれるような湾曲形状(凸面形状)をなすものである。なお、光の進行方向の側は、図中+Z方向の側であり、被写体1から遠ざかる側、あるいはとは反対の側でもある。
【0041】
上記中心位置200Cは、撮像レンズ100Aの光軸Z1と交わる撮像面210上の位置である。
【0042】
上記最大像高Hmaxは、光学像1Kが形成され撮像される撮像面210中における上記光軸Z1(像高0%の位置)から光軸直交方向へ最も離れた位置(例えば、図1中に符号Yhで示す位置)までの高さ(距離)である。
【0043】
図2は、光軸直交方向に延びる縦軸に撮像レンズ100Aを通して撮像面210上に形成される光学像1Kの像高、光軸Z1方向に延びる横軸にデフォーカス量を示すように定めた座標面上に、像高によるデフォーカスMTFピーク位置の変化を表す曲線であるデフォーカスMTFピーク曲線を示す図である。ここで、光軸上(像高=0mm)に形成される光学像に関するデフォーカスMTFピーク位置が上記座標面の原点となっている。
【0044】
なお、上記各像高におけるデフォーカスMTFピーク位置は、後述の図3で示すデフォーカスMTF曲線上のMTF値が最大となる位置(点)として求めることができる。
【0045】
なお、上記デフォーカスMTF曲線、デフォーカスMTFピーク位置、デフォーカスMTFピーク曲線等で示される、MTFに係る各値は、100LS/mmの空間周波数を持つ無限遠被写体について求めたものである。また、これらのMTFに係る各値は、白色光を用いたMTF測定によって求められるものであり、観察側の分光感度を視感度に合わせるために、表9に示すような各波長に対する重み付けを採用した光学シミュレーションを行っている(光学設計ソフトウエア:ZEMAXを使用)。
【0046】
なお、表9は「発明を実施するための形態」における説明の最後に示す。
【0047】
上記デフォーカスMTF曲線は、例えば、以下のようにして取得することができる。
【0048】
無限遠被写体であるチャート(サジタル方向、およびタンジェンシャル方向の空間周波数が100ライン・スペース/mm(LS/mm)であるチャート)を物点とし、そのチャートを表す光学像を光軸Z1と直交する直交平面上に、撮像レンズ100Aを通して形成する。そして、この直交平面上の各像高に形成された上記チャートを表す光学像に関するMTF値を求める。さらに、撮像レンズ100Aと上記直交平面との間隔(光軸Z1方向における間隔)を変化させつつ、直交平面上の所定像高に形成された上記チャートを表す光学像に関するMTF値を連続的に取得する。これにより、縦軸にMTF値、横軸にデフォーカス量を定めた座標上に、所定空間周波数(100LS/mm))を持つ無限遠被写体を表す光学像の各像高(0%、70%、80%、90%、100%)でのデフォーカスMTF曲線(デフォーカス量に応じて変化するMTF値を示す曲線)を求めることができる。
【0049】
そして、デフォーカスMTF曲線の示すMTF値の最大値、すなわち、デフォーカス量に応じて変化するMTF値の最大値がデフォーカスMTF曲線のピーク値となる。
【0050】
図3中に示す符号0S、0.7S、0.8S、0.9S、1.0Sそれぞれは、サジタル方向における像高0%、70%、80%、90%、100%それぞれのデフォーカスMTF曲線のピーク値を示している。
【0051】
一方、図3中に示す符号0T、0.7T、0.8T、0.9T、1.0Tそれぞれは、タンジェンシャル方向における、像高0%、70%、80%、90%、100%それぞれのデフォーカスMTF曲線のピーク値を示している。
【0052】
さらに、上記のようにして求めた、各像高におけるデフォーカスMTF曲線のピーク値を、図2に示す座標面上にプロットすることにより、上述のデフォーカスMTFピーク曲線を得ることができる。すなわち、このデフォーカスMTFピーク曲線は、光軸直交方向に延びる縦軸に像高、光軸Z1方向に延びる横軸にデフォーカス量を示す座標面上に、各像高におけるデフォーカスMTF曲線のピーク値をプロットしたものである。ただし、図2では、光軸上(像高=0mm)におけるデフォーカスMTF曲線のピーク位置を座標面上の原点としている。
【0053】
図2のデフォーカスMTFピーク曲線上に示すように、撮像レンズ100Aを通して撮像面210上に形成される光学像1Kの最大像高Hmaxの70%以上、100%以下の範囲(像高の範囲を符号Ja1で示す)に含まれる任意の像高における、サジタル方向(図2、3中に符号Sで示す)またはタンジェンシャル方向(図2、3中に符号Tで示す)のデフォーカスMTF曲線のピーク位置をピーク位置Pa1と定める。なお、図2中の符号Pa1は、最大像高の85%の像高でのタンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置を示している。
【0054】
また、光軸Z1上である像高Ho(像高=0mm:最大像高Hmaxの0%の像高)における同種のデフォーカスMTF曲線のピーク位置をピーク位置Paoと定める。そしてピーク位置Paoよりもピーク位置Pa1の方が光の進行方向の側(以後、光進行方向側ともいう)に位置するように、この撮像レンズ100Aは構成されている。
【0055】
ここで、タンジェンシャル方向に関するMTF値は、光軸を通りこの光軸に対して直交する放射方向にラインとスペースとが交互に表れる光学像に関するMTF値である。また、サジタル方向に関するMTF値は、光軸を中心とする円周方向にラインとスペースとが交互に表れる光学像に関するMTF値である。
【0056】
なお、同種のデフォーカスMTFピーク位置とは、上述のように、被写体距離および被写体の空間周波数が同じで像高が異なる場合のデフォーカスMTFピーク位置である。
【0057】
なお、撮像レンズ100Aは、最大像高Hmaxの70%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、像高が0%となる光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光進行方向側(+Z方向側)に0.005mm以上離れて位置するように、かつ0.025mmよりも離れて位置することのないように構成されたものとすることができる。
【0058】
さらに、撮像レンズ100Aは、全ての像高において、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、像高が0%となる光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置から光進行方向側(+Z方向側)に0.02mmを超えて離れることのないように構成されたものとしてもよい。
【0059】
次に、上記第1の実施の形態における撮像レンズを搭載した撮像装置の作用について説明する。
【0060】
図2のデフォーカスMTFピーク曲線上に示すように、撮像レンズ100Aを通して撮像面210上に形成される光学像1Kの最大像高Hmaxの70%以上、100%以下の範囲に含まれるいずれかの像高における、サジタル方向(図2、3中に符号Sで示す)またはタンジェンシャル方向(図2、3中に符号Tで示す)のデフォーカスMTFピーク位置が、光軸Z1上である像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光進行方向側(図中+Z方向の側)に位置する場合には、光軸Z1上(像高Ho)から最大像高Hmaxまで像高が大きくなるほど、同種のデフォーカスMTFピーク位置の光進行方向側へのずれが大きくなる傾向がある。
【0061】
このように、小型化および高画素化が要請される撮像装置に搭載される撮像レンズに関し、上記のように、デフォーカスMTFピーク位置が定められたものは、デフォーカスMTFピーク曲線が、概略、光の入射側に凸面をなす形状に沿うものとなるという性質がある。このような性質は、本発明者が、レンズ設計を行う上で見出したものである。
【0062】
なお、撮像レンズ100Aは、最大像高Hmaxでの、サジタル方向またはタンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置が、光軸Z1上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光進行方向側に位置するものとしても、上記のようにデフォーカスMTFピーク曲線を、概略、光の入射側に凸面をなす形状に沿うものとすることができる。
【0063】
さらに、最大像高Hmaxの80%の像高での、サジタル方向またはタンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置が、光軸Z1上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光進行方向側に位置するものとしても、上記と同様に、デフォーカスMTFピーク曲線を、概略、光の入射側に凸面をなす形状に沿うものとすることができる。
【0064】
なお、像高とその像高でのデフォーカスMTFピーク位置との関係は、上記のように定める場合に限るものではなく、撮像面の形状(撮像面の変形度合い)に応じて定めることが望ましい。
【0065】
次に、本発明の第2の実施の形態における撮像レンズを搭載した撮像装置について、上記第1の実施の形態と同様に図1、2を用いて説明する。なお、第1の実施の形態に係る構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0066】
図1に示す本発明の第2の実施の形態による撮像装置300Bは、撮像レンズ100Bと、この撮像レンズ100Bを通して形成される被写体1の光学像1Kを撮像するための撮像面210を有する撮像素子200とを備えたものである。この撮像装置300Bは、携帯電話機等の情報端末装置に適用することができるものである。
【0067】
上記本発明の第2の実施の形態による撮像レンズ100Bは、光の入射側に凸面をなす撮像面210上に被写体1の光学像1Kを形成するためのものである。
【0068】
より詳しくは、この撮像レンズ100Bは、光の入射側に凸面をなす(すなわち、撮像レンズ100Bの側に凸面を向けた)撮像面210上に形成される被写体1の光学像1Kを撮像する撮像装置300Bに用いられるものであって、被写体1の光学像1Kを、撮像装置300Bの備える撮像素子200の撮像面210に形成するためのものである。
【0069】
ここで、図2のデフォーカスMTFピーク曲線上に示すように、撮像レンズ100Bを通して撮像面210上に形成される光学像1Kの最大像高Hmaxの80%以上、100%以下の全ての像高(像高の範囲を符号Jb1で示す)における、サジタル方向(図2、3中に符号Sで示す)またはタンジェンシャル方向(図2、3中に符号Tで示す)のデフォーカスMTFピーク位置をピーク位置Pb1と定める。なお、図2中の符号Pb1は、上記像高の範囲Jb1内のサジタル方向に関する互いに異なる複数の像高の各デフォーカスMTFピーク位置を示している。
【0070】
また、光軸Z1上である像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置をピーク位置Pboと定める。
【0071】
この撮像レンズ100Bは、ピーク位置Pboよりもピーク位置Pb1の方が光進行方向側(図中+Z方向の側、被写体1から遠ざかる方向の側)に位置するように構成されている。
【0072】
撮像レンズ100Bを通して撮像面210上に形成される光学像1Kの最大像高Hmaxの80%以上、100%以下の全ての像高(像高の範囲を符号Jb1で示す)における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、光軸Z1上である像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光進行方向側(図中+Z方向の側)に位置する場合には、上記撮像レンズ100Aの場合と同様に、光軸Z1上(像高Ho)から最大像高Hmaxまで像高が大きくなるほど、同種のデフォーカスMTFピーク位置の光進行方向側へのずれが大きくなる傾向がある。これにより、デフォーカスMTFピーク曲線を、概略、光の入射側に凸面をなす形状に沿うものとすることができる。
【0073】
なお、撮像レンズ100Bは、最大像高Hmaxの70%以上、100%以下の全ての像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光進行方向側に位置させるものとしても、上記のようにデフォーカスMTFピーク曲線を、概略、光の入射側に凸面をなす形状に沿うものとすることができる。
【0074】
なお、撮像レンズ100Bは、最大像高Hmaxの80%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、像高が0%となる光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置から光進行方向側(+Z方向)に0.005mm以上離れて位置するように、かつ、0.025mmよりも離れて位置することのないように構成されたものとすることもできる。
【0075】
さらに、撮像レンズ100Bは、全ての像高において、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、像高が0%となる光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置から光進行方向側(+Z方向)に0.02mmを超えて離れることのないようにすることが望ましい。
【0076】
図12Aは、縦軸に像高、横軸にデフォーカス量を示す座標面上に、第1の実施の形態の他のデフォーカスMTFピーク曲線を示す図である。
【0077】
図12Aに示すように、上記デフォーカスMTFピーク曲線のうちの一方のデフォーカスMTFピーク曲線Ut1は、第1の実施の形態における他の撮像レンズを通して形成される光学像の最大像高Hmaxから像高Hoに亘る、タンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTF曲線の各ピーク位置を示すものである。また、他方のデフォーカスMTFピーク曲線Us1は、サジタル方向に関する上記と同様のデフォーカスMTF曲線の各ピーク位置を示すものである。
【0078】
なお、既に説明したように、像高Ho(像高=0mm:最大像高Hmaxの0%の像高)の位置は光軸Z1と一致している。
【0079】
また、図12Aに示すデフォーカスMTFピーク曲線Ut1上の位置Et1は、像高Hoでのタンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置(デフォーカスMTF曲線上の各ピーク位置)を示しており、デフォーカスMTFピーク曲線Us1上の位置Es1は、像高Hoでのサジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置を示している。
【0080】
ここで、上記タンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Ut1で表されるデフォーカスMTFピーク位置は、最大像高の70%以上、100%以下の範囲(図12A中のJa1で示す範囲)のいずれかの像高において、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置(すなわち、位置Et1)よりも光の進行方向の側(図中+Zの側)に位置するという条件(以後、第1の基本条件ともいう)を満足している。
【0081】
なお、ここでは、サジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Us1で表されるデフォーカスMTFピーク位置は、上記第1の基本条件を満足していない。すなわち、デフォーカスMTFピーク曲線Us1で表されるデフォーカスMTFピーク位置は、最大像高の70%以上、100%以下の範囲の全ての像高において、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置(すなわち、位置Es1)よりも、光の進行方向とは反対の側(図中−Zの側、以後、被写体側ともいう)に位置している。
【0082】
また、デフォーカスMTFピーク曲線Ut1、Us1それぞれで表されるタンジェンシャル方向およびサジタル方向におけるデフォーカスMTFピーク位置は、最大像高Hmaxにおいて、いずれもが、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも被写体側に位置している。
【0083】
また、デフォーカスMTFピーク曲線Ut1、Us1それぞれで表されるタンジェンシャル方向およびサジタル方向におけるデフォーカスMTFピーク位置は、最大像高の80%の像高において、いずれもが、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも被写体側に位置している。
【0084】
なお、ここでは、タンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Ut1で表されるデフォーカスMTFピーク位置のみが、上記第1の基本条件を満足する場合について説明したが、サジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Us1で表されるデフォーカスMTFピーク位置のみが、上記第1の基本条件を満足するように、第1の実施の形態における他の撮像レンズを構成するようにしてもよい。
【0085】
さらに、タンジェンシャル方向およびサジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Ut1、Us1で表されるデフォーカスMTFピーク位置のいずれもが、上記第1の基本条件を満足するように、第1の実施の形態における他の撮像レンズを構成するようにしてもよい。
【0086】
なお、同種のデフォーカスMTFピーク位置は、詳しくは、サジタル方向とタンジェンシャル方向の種別、被写体距離、および被写体の空間周波数等が同じであって、像高のみが異なる場合のデフォーカスMTFピーク位置である。
【0087】
図12Bは、縦軸に像高、横軸にデフォーカス量を示す座標面上に、第2の実施の形態の他のデフォーカスMTFピーク曲線を示す図である。
【0088】
図12Bに示すように、上記デフォーカスMTFピーク曲線のうちの一方のデフォーカスMTFピーク曲線Ut2は、第2の実施の形態における他の撮像レンズを通して形成される光学像の最大像高Hmaxから像高Hoに亘る、タンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTF曲線の各ピーク位置を示すものである。また、他方のデフォーカスMTFピーク曲線Us2は、サジタル方向に関する上記と同様のデフォーカスMTF曲線の各ピーク位置を示すものである。
【0089】
また、図12Bに示すデフォーカスMTFピーク曲線Ut2上の位置Et2は、像高Hoでのタンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置を示しており、デフォーカスMTFピーク曲線Us2上の位置Es2は、像高Hoでのサジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク位置を示している。
【0090】
ここで、上記タンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Ut2で表されるデフォーカスMTFピーク位置は、最大像高の80%以上、100%以下(図12B中のJb1で示す範囲)の全ての像高において、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置(すなわち、位置Et2)よりも光の進行方向の側(図中+Zの側)に位置するという条件(以後、第2の基本条件ともいう)を満足している。
【0091】
なお、ここでは、サジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Us2で表されるデフォーカスMTFピーク位置は、上記第2の基本条件を満足していない。すなわち、デフォーカスMTFピーク曲線Us2で表されるデフォーカスMTFピーク位置は、最大像高の80%以上、100%以下の全ての像高において、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置(すなわち、位置Es2)よりも、被写体側(図中−Zの側)に位置している。
【0092】
さらに、デフォーカスMTFピーク曲線Ut2、Us2は、両方共に、最大像高の70%以上、100%以下のいずれかの像高において、像高Hoにおける同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも被写体側に位置する部分を有している。
【0093】
なお、ここでは、タンジェンシャル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Ut2で表されるデフォーカスMTFピーク位置のみが、上記第2の基本条件を満足する場合について説明したが、サジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Us2で表されるデフォーカスMTFピーク位置のみが、上記第2の基本条件を満足するように、第2の実施の形態における他の撮像レンズを構成するようにしてもよい。
【0094】
さらに、タンジェンシャル方向およびサジタル方向に関するデフォーカスMTFピーク曲線Ut2、Us2で表されるデフォーカスMTFピーク位置のいずれもが、上記第2の基本条件を満足するように、第2の実施の形態における他の撮像レンズを構成するようにしてもよい。
【0095】
なお、第1の実施の形態の撮像レンズ100A、および第2の実施の形態の撮像レンズ100Bとして、以下のような撮像レンズを採用することができる。
【0096】
すなわち、撮像レンズ100A、100Bは、物体側から順に、正のパワーを有する第1レンズL1、第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、第4レンズL4を配置したものとし、レンズ全系の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf1、第3レンズL1の焦点距離をf3としたときに、条件式(1):0.49<f1/f<1.0と、条件式(2):0.5<f3/f<3.0との両方を同時に満足するものとすることができる。
【0097】
なお、条件式(1)は第1レンズL1の焦点距離に関するものであり、条件式(1)の下限を下回るようにその撮像レンズを構成すると、レンズL1のパワーが強くなりすぎて球面収差が増大するという問題が生じる。
【0098】
また、これとは逆に、条件式(1)の上限を上回るようにその撮像レンズを構成すると、全長の短縮化が困難になり、像面湾曲・非点収差等の補正が困難になるという問題が生じる。
【0099】
条件式(2)は第3レンズL3の焦点距離に関するものであり、条件式(2)の下限を下回るようにその撮像レンズを構成すると、第3レンズL3の正のパワーが強くなりすぎてしまい、光学性能が全般的に低下し、バックフォーカスの確保も難しくなる。
【0100】
また、これとは逆に、条件式(2)の上限を上回るようにその撮像レンズを構成すると、第3レンズL3の正のパワーが弱くなり過ぎて、収差の補正が困難となる。
【0101】
さらに、加えて、その撮像レンズを、条件式(3):0.49<f1/f<0.69と、(4):0.7<f3/f<2.0との両方を同時に満足するものとすれば、より望ましい光学性能を得ることができる。
【0102】
<具体的な実施例>
以下、図4A、4B、・・・10A、10B、11、および表1〜8を参照し、本発明の実施例1〜7それぞれの数値データ等についてまとめて説明する。なお、上述の撮像レンズ100Aおよび100Bを示す図1中の符号と一致する図4A、5A、・・・10A中の符号は互に対応する構成を示している。
【0103】
図4A、・・・10Aは、実施例1〜7の撮像レンズそれぞれの概略構成を示す断面図である。なお、各図中の撮像面210は上記の場合と同様に、光の入射側に凸面をなすように湾曲している。
【0104】
また、図4B、・・・10Bは、実施例1〜7の撮像レンズそれぞれに関する上述のデフォーカスMTFピーク曲線を示す図である。なお、これらのデフォーカスMTFピーク曲線は、上述の場合と同様に、100LS/mmの空間周波数を持つ無限遠被写体に関して得られたものであり、白色光を用いたMTF測定における観察側の分光感度を視感度に合わせるために上記表9に示すような各波長に対する重み付けを採用したシミュレーションを行っている。
【0105】
また、4A、・・・10Aの各図中に示すL1、L2、L3、L4の符号は、各レンズを指す符号であり、物体側から順に並ぶレンズの順番に対応している。
【0106】
なお、開口絞りは符号Stで示し、撮像面210に入射する不要な光を遮断するためのフィルタをLfで示す。撮像面210に隣接配置されたフィルタLfは、平行平面板であり、ローパスフィルタや赤外線カットフィルタ等の機能を有するものを採用できる。
【0107】
図11は、横軸に条件式(1)、(3)に関連するf1/fの値、縦軸に条件式(2)、(4)に関連するf3/fの値を示す座標面上に、条件式(1)、(2)を両方共に満足する望ましい範囲Q1、条件式(3)、(4)を両方共に満足するさらに望ましい範囲Q2、および実施例1〜7の撮像レンズに関するf1/fの値およびf3/fの値(後述する表8参照)に応じて上記座標面上に定められる各点J1〜J7を示す。
【0108】
ここで、実施例1に点J1が、実施例2に点J2が、実施例3に点J3が、実施例4に点J4が、実施例5に点J5が、実施例6に点J6が、実施例7に点J7がそれぞれ対応している。
【0109】
図11からわかるように、実施例1〜7(点J1〜J7)が、望ましい範囲Q1に含まれており、実施例1、2、3(点J1、J2、J3)が、さらに望ましい範囲Q2に含まれている。
【0110】
表1〜7は、実施例1〜7の撮像レンズそれぞれの基本的なデータを示す図である。表1〜7の各表中の上部(図中符号(a)で示す)にレンズデータを、下部(図中符号(b)で示す)に、上記符号(a)で示すレンズデータ中の面番号Siに対応する各レンズ面の非球面係数K、A3、A4・・・に対応する非球面データを示す。
【0111】
ここで用いられる非球面式を以下に示す。
【数1】

【0112】
また、表8は、実施例1〜7の撮像レンズに関し、条件式(1)、(2)それぞれによって定められる各値(実施例毎に定められる不等式中の計算式によって算出される値)を示す。
【0113】
表1〜7中に符号(a)で示す各表の上部には、f:レンズ全系の焦点距離、Fno:Fナンバーの値を記載している。
【0114】
また、表1〜7中の符号(a)で示す各レンズデータにおいて、面番号Siは、最も物体側から像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、・・・)のレンズ面の番号を示す。なお、これらのレンズデータ中には開口絞りStの面番号は記載していないが、フィルタLfに関する面番号は記載している。
【0115】
曲率半径Riはi番目(i=1、2、3、・・・)の面の曲率半径(非球面の場合は近軸曲率半径)を示し、面間隔Di(i=1、2、3、・・・)はi番目の面とi+1番目の面との光軸Z1上の面間隔を示す。レンズデータの符号Riおよび符号Diは、レンズ面等を示す符号Si(i=1、2、3、・・・)と対応している。
【0116】
Ndjは物体側から像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、・・・)の光学要素について波長587.6nm(d線)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線を基準としたアッベ数を示す。
【0117】
表1〜7のレンズデータにおいて、曲率半径および面間隔の単位はmmであり、曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0118】
なお、表1〜8は「発明を実施するための形態」における説明の最後にまとめて示す。
【0119】
以上、本発明による撮像レンズ、この撮像レンズを備えた撮像装置、およびこの撮像装置を備えた情報端末装置に関する実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない限りにおいて種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズの曲率半径、面間隔および屈折率の値などは、上記各表中に示した数値に限定されず、他の値を取り得る。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【符号の説明】
【0120】
1 被写体
1K 光学像
100A 撮像レンズ
210 撮像面
300A 撮像装置
Z1 光軸
Hmax 最大像高
Pa1 像高85%におけるデフォーカスMTFピーク位置
Pao 像高0%におけるデフォーカスMTFピーク位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入射側に凸面をなす撮像面上に被写体の光学像を形成するための撮像レンズであって、
前記撮像面上に形成される前記光学像の最大像高の70%以上、100%以下の範囲のいずれかの像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、前記撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光の進行方向の側に位置するように構成されたものであることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
光の入射側に凸面をなす撮像面上に被写体の光学像を形成するための撮像レンズであって、
前記撮像面上に形成される前記光学像の最大像高の80%以上、100%以下の全ての像高における、サジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、前記撮像レンズの光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光の進行方向の側に位置するように構成されたものであることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項3】
前記最大像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光の進行方向の側に位置していることを特徴とする請求項1記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記最大像高の80%の像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光の進行方向の側に位置していることを特徴とする請求項1記載の撮像レンズ。
【請求項5】
前記最大像高の70%以上、100%以下の全ての像高におけるサジタル方向またはタンジェンシャル方向のデフォーカスMTFピーク位置が、光軸上における同種のデフォーカスMTFピーク位置よりも光の進行方向の側に位置するものであることを特徴とする請求項2記載の撮像レンズ。
【請求項6】
前記撮像レンズが、物体側から順に、正のパワーを有する第1レンズ、第2レンズ、正のパワーを有する第3レンズ、第4レンズを配置したものであり、
以下の条件式(1)、(2)の両方を同時に満足するものであることを特徴とする請求項1または2記載の撮像レンズ。
0.49<f1/f<1.0・・・(1)
0.5<f3/f<3.0・・・(2)
ただし、
f:レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
【請求項7】
前記撮像レンズが、以下の条件式(3)、(4)の両方を同時に満足するものであることを特徴とする請求項6記載の撮像レンズ。
0.49<f1/f<0.69・・・(3)
0.7<f3/f<2.0・・・(4)
【請求項8】
請求項1から7に記載の撮像レンズと、該撮像レンズを通して形成される光学像を撮像するための前記撮像面を有する撮像素子とを備えたものであることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置を備えたものであることを特徴とする情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2012−88691(P2012−88691A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200186(P2011−200186)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】