説明

撮像レンズ

【課題】 小型軽量化および光学性能の更なる向上への要求に充分に応えることができ、製造性を向上することができる撮像レンズを提供すること。
【解決手段】 物体側から、絞り2、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとされた第1レンズ3、像面側に凸面を向けた正レンズとされた第2レンズ4を配設し、1.25≧L/fl≧0.8、0.55≧f/f≧0.2、1.8≧f/fl≧1、4≧f/fl≧1.5、1≧d/d≧0.5、0.27≧d/fl≧0.1、0.27≧d/fl≧0.1(L:レンズ系の全長、fl:レンズ系全体の焦点距離、f:第1レンズの焦点距離、f:第2レンズの焦点距離、d:第1レンズの中心厚、d:光軸上における第1レンズと第2レンズとの間隔、d:第2レンズの中心厚)を満足すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズに係り、特に、携帯型のコンピュータ、テレビ電話、携帯電話等に搭載されるCCD、CMOS等の固体撮像素子の撮像面に、風景や人物等の物体の像を結像させる撮像装置に用いられ、小型軽量化、光学性能の向上および製造性の向上を図ることを可能とした2枚レンズ構成の撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、携帯電話、携帯型のコンピュータやテレビ電話等に搭載するためのCCD、CMOS等の固体撮像素子を利用したカメラの需要が著しく高まっている。このようなカメラは、限られた設置スペースに搭載する必要があることから、小型であり、かつ、軽量であることが望まれている。
【0003】
そのため、このようなカメラに用いられる撮像レンズも、同様に、小型軽量であることが要求されており、このような撮像レンズとしては、従来から、1枚のレンズを用いた1枚構成のレンズ系が用いられている。
【0004】
このような1枚構成のレンズ系では、CIFと呼ばれる約11万画素程度の解像度を持った固体撮像素子に適用する場合には、十分対応することができるが、近年、VGAと呼ばれる約30万画素程度の高い解像度を有する固体撮像素子の利用が検討されてきており、このような高解像度の固体撮像素子の解像能力を十分に発揮させるためには、従来の1枚構成のレンズ系では対応することができないという問題がある。
【0005】
そのため、従来から、1枚構成のレンズ系に比較して光学性能に優れる2枚構成のレンズ系あるいは3枚構成のレンズ系が各種提案されている。
【0006】
この場合に、3枚構成のレンズ系においては、光学性能の低下につながる各収差を有効に補正することができることから、極めて高い光学性能を得ることが可能となるが、3枚構成のレンズ系では、部品点数が多いことから、小型軽量化が困難であり、各構成部品に高い精度が要求されるため製造コストも高くなってしまうという問題を有している。
【0007】
これに対して、2枚構成のレンズ系は、3枚構成のレンズ系ほどの光学性能を望むことはできないものの、1枚構成のレンズ系より高い光学性能を得ることができ、小型でかつ高解像度の固体撮像素子に好適なレンズ系であるといえる。
【0008】
そして、このような2枚構成のレンズ系として、従来から、レトロフォーカス型と呼ばれる負レンズと正レンズを組み合わせたレンズ系が多数提案されている。しかし、このようなレトロフォーカス型のレンズ系では、部品点数を低減させることによる低コスト化は可能であるが、バックフォーカス距離が長くなるため1枚構成のレンズ系と同程度の小型軽量化はその構成からみて、実質的に不可能である。
【0009】
また、他の2枚構成のレンズ系としては、テレフォト型と呼ばれる正レンズと負レンズを組み合わせたレンズ系がある。しかし、このようなテレフォト型のレンズ系は、本来銀塩写真用に開発されたものであり、バックフォーカス距離が短すぎ、また、テレセントリック性の問題もあり、固体撮像素子用の撮像レンズとしてそのまま適用することは困難である。
【0010】
さらに、従来は、2枚構成あるいは3枚構成のレンズ系においては、光軸方向に互いに隣接する2枚のレンズの間に絞りを配置した構成が主流とされていた(例えば、特許文献1および2参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2004−163850号公報
【特許文献2】特開2004−170460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、近年、この種の撮像レンズには、小型軽量化に加えて光学性能の更なる向上への要求が益々高まりつつあるところ、特許文献1および2に記載の撮像レンズのように、2枚のレンズの間に絞りを配置する構成では、小型軽量化と更なる光学性能の向上とを両立させることが困難で、しかも、センサの特性(センサへの入射角度)に合わせることが困難であるといった問題点を有している。
【0013】
そこで、 本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、小型軽量化および光学性能の更なる向上への要求に充分に応えることができ、さらに、製造性を向上させることができる撮像レンズを提供することを目的とするものである。
【0014】
なお、本明細書において、製造性とは、撮像レンズを大量生産する場合の製造性(例えば、射出成形により、撮像レンズを大量生産する場合の成形性やコスト等)である意の他、撮像レンズを製造するために使用される設備の加工、製作等の容易性(例えば、射出成形に用いる金型の加工の容易性等)である意も含む。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る撮像レンズの特徴は、固体撮像素子の撮像面に物体の像を結像させるために使用される撮像レンズであって、
物体側から像面側に向かって順に、絞り、物体側に凸面を向けた正のパワーを有するメニスカスレンズとされた第1レンズ、および像面側に凸面を向けた正のパワーを有するレンズとされた第2レンズを配設し、次の(1)〜(7)の各条件式、
1.25≧L/fl≧0.8 (1)
0.55≧f/f≧0.2 (2)
1.8≧f/fl≧1 (3)
4≧f/fl≧1.5 (4)
1≧d/d≧0.5 (5)
0.27≧d/fl≧0.1 (6)
0.27≧d/fl≧0.1 (7)
但し、
L:レンズ系の全長
fl:レンズ系全体の焦点距離
:第1レンズの焦点距離
:第2レンズの焦点距離
:第1レンズの中心厚
:光軸上における第1レンズと第2レンズとの間隔
:第2レンズの中心厚
を満足する点にある。
【0016】
そして、この請求項1に係る発明によれば、絞りを最も物体側に配置することによって、高いテレセントリック性を確保することが可能となり、固体撮像素子のセンサに対する光線の入射角度を緩和することができる。
【0017】
なお、本発明において、絞りを最も物体側に配置することは、第1レンズの物体側の面(凸面)の光軸近傍部が絞りを通して絞りよりも物体側に位置することを妨げない。その場合であっても、物理的な配置としては絞りが第1レンズ全体よりも物体側に配置されるといえるので、特許請求の範囲の記載に反するものとはならない。
【0018】
また、請求項1に係る発明によれば、第1レンズを物体側に凸面を向けた正のパワーを有するメニスカスレンズとし、かつ、第2レンズを正のパワーを有するレンズとし、さらに、各レンズのパワーを(1)〜(7)の各条件式のように規定することによって、小型軽量化を図りながら、製造性を向上することが可能となる。
【0019】
また、請求項2に係る撮像レンズの特徴は、請求項1において、前記第2レンズが、メニスカスレンズに形成されている点にある。
【0020】
そして、この請求項2に係る発明によれば、更に、第1レンズおよび第2レンズの形状に負担をかけることなく周辺部の光学性能を向上させることが可能となり、かつ、固体撮像素子の周辺部に入射する光線をさらに有効に利用することが可能となる。
【0021】
さらに、請求項3に係る撮像レンズの特徴は、請求項1において、前記第2レンズの物体側の面は、光軸近傍部において物体側に凸とされ、かつ、変曲点を持つ非球面に形成されている点にある。
【0022】
そして、この請求項3に係る発明によれば、更に、各レンズの形状にかかる負担をさらに軽減して周辺部の光学性能をさらに向上させることが可能となり、かつ、固体撮像素子の周辺部に入射する光線をさらに有効に利用することが可能となる。
【0023】
さらにまた、請求項4に係る撮像レンズの特徴は、請求項3において、前記第2レンズの物体側の面における有効径の外端部位が、当該第2レンズの物体側の面における光軸上の点よりも物体側に位置されている点にある。
【0024】
そして、この請求項4に係る発明によれば、更に、周辺部の光学性能をさらに向上することが可能となる。また、レンズを取り扱う際の利点があるだけでなく、レンズをバレルに組み付けてユニット化する際の組み立て上においても利点がある。
【0025】
また、請求項5に係る撮像レンズの特徴は、請求項1〜4のいずれか1項において、
更に、前記絞りが、次の条件式、
0.2≧S (8)
但し、
S:光軸上における前記絞りと最も物体側の光学面との距離
を満足する点にある。
【0026】
そして、この請求項5に係る発明によれば、更に、(8)の条件式を満足することにより、テレセントリック性をさらに有効に確保することが可能となり、かつ、さらなる小型軽量化を図ることが可能となる。
【0027】
さらに、請求項6に係る撮像レンズの特徴は、請求項1〜5のいずれか1項において、更に、次の条件式、
0.8≧Bfl/fl≧0.4 (9)
但し、
Bfl:バックフォーカス距離(レンズ最終面から撮像面までの光軸上の距離(空気換算長))
を満足する点にある。
【0028】
そして、この請求項6に係る発明によれば、更に、(9)の条件式を満足することにより、さらに有効に小型軽量化を図ることが可能となり、かつ、製造性および組み立て上の扱いやすさをさらに向上することが可能となる。
【0029】
さらにまた、請求項7に係る撮像レンズの特徴は、請求項1〜6のいずれか1項において、更に、次の条件式、
2.5≧Bfl≧1.2 (10)
を満足する点にある。
【0030】
そして、この請求項7に係る発明によれば、更に、(10)の条件式を満足することにより、さらに有効に小型軽量化を図ることが可能となり、かつ、製造性および組み立て上の扱いやすさをさらに向上することが可能となる。
【0031】
また、請求項8に係る撮像レンズの特徴は、請求項1〜7のいずれか1項において、
更に、次の条件式、
−0.5≧r/fl≧−6.0 (11)
:第2レンズの像面側の面の曲率半径
を満足する点にある。
【0032】
そして、この請求項8に係る発明によれば、更に、(11)の条件式を満足することにより、光学面の加工をさらに容易に行うことが可能となり、かつ、周辺部における諸収差をさらに良好に補正することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の請求項1に係る撮像レンズによれば、小型軽量で、かつ、光学性能に優れ、さらに製造性の良好な撮像レンズを実現することができる。
【0034】
また、請求項2に係る撮像レンズによれば、請求項1に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、製造性を良好に維持しつつ光学性能をさらに向上することができ、かつ、固体撮像素子の周辺部に入射する光線を有効に利用できる小型の撮像レンズを実現することができる。
【0035】
さらに、請求項3に係る撮像レンズによれば、請求項1に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、製造性を良好に維持しつつ、さらに優れた光学性能を発揮することができ、かつ、固体撮像素子の周辺部に入射する光線をより有効に利用可能な小型の撮像レンズを実現することができる。
【0036】
さらにまた、請求項4に係る撮像レンズによれば、請求項3に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、良好な製造性を維持しながら光学性能にさらに優れ、かつ、固体撮像素子の周辺部に入射する光線をさらに有効に利用できる小型の撮像レンズを実現することができる。
【0037】
また、請求項5に係る撮像レンズによれば、請求項1〜4に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、テレセントリック性をさらに有効に確保することができ、かつ、さらなる小型軽量化に好適な撮像レンズを実現することができる。
【0038】
さらに、請求項6に係る撮像レンズによれば、請求項1〜5に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、より小型軽量で製造性に優れた撮像レンズを実現することができる。
【0039】
さらにまた、請求項7に係る撮像レンズによれば、請求項1〜6に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、より一層の小型軽量化および製造性の向上に適した撮像レンズを実現することができる。
【0040】
さらに、請求項8に係る撮像レンズによれば、請求項1〜7に係る撮像レンズの効果に加えて、更に、光学性能および製造性にさらに優れた撮像レンズを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明に係る撮像レンズの実施形態について、図1を参照して説明する。
【0042】
本実施形態における撮像レンズ1は、図1に示すように、物体側から像面側に向かって順に、絞り2と、物体側に凸面を向けた正のパワーを有するメニスカスレンズとされた樹脂製の第1レンズ3と、像面側に凸面を向けた正のパワーを有するレンズとされた樹脂製の第2レンズ4とを有している。
【0043】
以下、第1レンズ3および第2レンズ4における物体側および像面側の各レンズ面を、それぞれ第1面、第2面と称することとする。
【0044】
また、第2レンズ4の第2面側には、カバーガラス、IRカットフィルタ、ローパスフィルタ等の各種フィルタ6およびCCDあるいはCMOS等の撮像素子の受光面である撮像面7がそれぞれ配設されている。なお、各種フィルタ6は、必要に応じて省略することも可能である。
【0045】
ここで、絞り2の位置が像面側に近づくほど、射出瞳位置も像面側に近づくことになる。これにより、テレセントリック性を確保することが困難となり、撮像レンズ1から出射された軸外光線が、固体撮像素子のセンサに対して斜めに入射することになる。
【0046】
これに対し、本実施形態においては、絞り2を最も物体側に配置することによって、射出瞳位置を固体撮像素子のセンサ面(撮像面)から遠い位置にとることができる。
【0047】
これにより、本実施形態においては、高いテレセントリック性を確保することが可能となり、固体撮像素子のセンサに対する光線の入射角度を緩和することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、第1レンズ3の物体側に絞り2を配置し、かつ、第1レンズ3を物体側に凸面を向けたメニスカス形状にすることにより、第1レンズ3の第2面を効果的に利用することが可能となる。
【0049】
つまり、軸外の光線を、第1レンズ3の第2面の法線に対して光軸8から離れる方向に急峻な角度とすることにより、第1レンズ3の第2面の屈折力(補正効果)を増大させることができる。
【0050】
これにより、軸外に発生する各収差(特に、駒収差および色収差)を効果的に補正することが可能となる。
【0051】
これに対し、仮に、第1レンズ3の第2面の形状が、像面側に向かって凸であったり、または、絞り2が第1レンズ3よりも像面側に配置されている場合には、第1レンズ3の第2面の屈折力を増大させることができず、前述した軸外に発生する各収差を補正する効果は非常に限定されてしまう。
【0052】
また、このような軸外に発生する各収差の補正効果を増大させる観点から、第1レンズ3の第2面を非球面とすることは更に有効である。さらに、この場合には、第1レンズ3の第2面を、光軸8から離れるにしたがって曲率が大きくなる非球面とすることが望ましい。そのようにすれば、軸外の光線を、第1レンズ3の第2面の法線に対して光軸8から離れる方向にさらに急峻な角度とすることができ、前述した軸外に発生する各収差の補正効果をより効果的に増大させることができる。
【0053】
さらに、本実施形態においては、第2レンズ4の第2面の形状が、像面側に向かって凸とされていることによって、より高いテレセントリック性を確保することができ、固体撮像素子のセンサに対する光線の入射角度をさらに有効に制御することができる。さらに、第2レンズ4の第2面の形状は、光軸8から離れるにしたがって曲率が大きくなる非球面とすることが好ましい。そのようにすれば、さらに高いテレセントリック性を確保することができ、固体撮像素子のセンサに対する光線の入射角度をより有効に制御することができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、撮像レンズ1が、次の(1)〜(7)に示す各条件式を満足するようにする。
【0055】
1.25≧L/fl≧0.8 (1)
0.55≧f/f≧0.2 (2)
1.8≧f/fl≧1.0 (3)
4.0≧f/fl≧1.5 (4)
1.0≧d/d≧0.5 (5)
0.27≧d/fl≧0.1 (6)
0.27≧d/fl≧0.1 (7)
【0056】
但し、(1)式におけるLは、レンズ系の全長、すなわち物理的に最も物体側の面から撮像面までの光学上の距離である。さらに詳しくいえば、第1レンズ3の第1面の光軸8近傍部が絞り2よりも像面側に位置する場合には、絞り2から撮像面までの距離がLとなる。一方、前述したように、第1レンズ3の第1面の光軸8近傍部が絞り2を通して絞り2よりも物体側に位置する場合には、絞り2ではなく第1レンズ3の第1面から撮像面までの距離がLとなる。また、(1)、(3)、(6)および(7)式におけるflは、レンズ系全体の焦点距離である。さらに、(2)および(3)式におけるfは、第1レンズ3の焦点距離である。さらにまた、(2)および(4)式におけるfは、第2レンズ4の焦点距離である。また、(5)および(6)式におけるdは、第1レンズ3の中心厚である。さらに、(5)式におけるdは、光軸8上における第1レンズ3と第2レンズ4との間隔である。さらにまた、(7)式におけるdは、第2レンズ4の中心厚である。
【0057】
ここで、L/flの値が(1)式に示す値(1.25)を超えて大きくなると、光学系全体が大型化してしまい、小型軽量化の要請に反することとなる。一方、Lの値が(1)式に示す値(0.8)よりも小さくなると、光学系全体が小型化することによって製造性が低下し、光学性能の維持が困難になる。
【0058】
従って、本実施形態によれば、L/flの値を(1)の条件式を満足するようにすることによって、必要なバックフォーカス距離を確保しつつも光学系全体を充分に小型軽量化することが可能となり、かつ、良好な光学性能を維持することが可能となり、さらに、製造性を向上することが可能となる。
【0059】
なお、このLとflとの関係は、1.15≧L/fl≧0.95とされることが、より好ましい。
【0060】
また、f/fの値が(2)式に示す値(0.55)を超えて大きくなると、第2レンズ4のパワーが強くなり過ぎることによって製造性が低下し、さらに、バックフォーカス距離が長くなり過ぎて小型軽量化が困難になる。一方、f/fの値が(2)式に示す値(0.2)よりも小さくなると、第1レンズ3の製造性が低下し、さらに、必要なバックフォーカス距離を確保することが困難になる。
【0061】
従って、本実施形態によれば、更に、f/fの値を(2)の条件式を満足するようにすることによって、製造性をさらに向上することが可能となり、かつ、必要なバックフォーカス距離をさらに有効に確保しながら光学系全体をさらに小型化軽量化することが可能となる。
【0062】
なお、このfとfとの関係は、0.5≧f/f≧0.3とされることが、より好ましい。
【0063】
さらに、f/flの値が(3)式に示す値(1.8)を超えて大きくなると、
バックフォーカス距離が長くなり過ぎて小型軽量化が困難になる。一方、f/flの値が(3)式に示す値(1.0)よりも小さくなると、第1レンズの製造性が低下することになる。
【0064】
従って、本実施形態によれば、更に、f/flの値を(3)の条件式を満足するようにすることにより、さらなる小型軽量化および製造性の向上が可能となる。
【0065】
なお、このfとflとの関係は、1.4≧f/fl≧1.1とされることが、より好ましい。
【0066】
さらにまた、f/flの値が、(4)式に示す値(4.0)を超えて大きくなると、第1レンズ3の製造性が低下し、さらに、必要なバックフォーカス距離を確保することが困難になる。一方、f/flの値が、(4)式に示す値(1.5)よりも小さくなると、第2レンズ4のパワーが強くなり過ぎることによって、製造性が低下することになる。
【0067】
従って、本実施形態によれば、更に、f/flの値を(4)の条件式を満足するようにすることによって、必要なバックフォーカス距離をさらに適切に確保しつつ、さらに製造性を向上することが可能となる。
【0068】
なお、このfとflとの関係は、4≧f/fl≧2.5とされることが、より好ましい。
【0069】
また、d/dの値が、(5)式に示す値(1.0)を超えて大きくなると、第1レンズ3および第2レンズ4のパワーを大きくしなければならず、各レンズ3、4の製造が困難になる。また、第2レンズ4の像面側の面を通過する光線高さが高くなるため、非球面のパワーが増大し、さらに製造が困難になる。一方、d/dの値が、(5)式に示す値(0.5)よりも小さくなると、相対的に第1レンズ3の中心厚が厚くなることによって、バックフォーカス距離の確保が困難になり、さらに、光量を効果的に制限する絞りの挿入が困難になる。
【0070】
従って、本実施形態によれば、更に、d/dの値を(5)の条件式を満足するようにすることによって、製造性をさらに向上することが可能となり、かつ、必要なバックフォーカス距離をさらに適切に確保することが可能となり、さらに、光学性能をさらに良好に維持することが可能となる。
【0071】
なお、このdとdとの関係は、0.9≧d/d≧0.5とされることが、より好ましい。
【0072】
さらに、d/flの値が(6)式に示す値(0.27)を超えて大きくなると、光学系の全長が長くなり過ぎ、小型軽量化が困難になる。一方、d/flの値が(6)式に示す値(0.1)よりも小さくなると、第1レンズ3の製造が困難になる。
【0073】
従って、本実施形態によれば、更に、d/flの値を(6)の条件式を満足するようにすることによって、さらなる小型軽量化および製造性の向上が可能となる。
【0074】
なお、このdとflとの関係は、0.25≧d/fl≧0.15とされることが、より好ましい。
【0075】
さらにまた、d/flの値が(7)式に示す値(0.27)を超えて大きくなると、光学系の全長が長くなり過ぎ、小型軽量化が困難になる。一方、d/flの値が(7)式に示す値(0.1)よりも小さくなると、第2レンズ4の製造が困難になる。
【0076】
従って、本実施形態によれば、更に、d/flの値を(7)の条件式を満足するようにすることによって、光学系全体をさらに小型軽量化することが可能となり、かつ、製造性をさらに向上することが可能となる。
【0077】
なお、このdとflとの関係は、0.25≧d/fl≧0.15とされることが、より好ましい。
【0078】
上記構成に加えて、更に、第2レンズ4が、メニスカスレンズに形成されていることが望ましい。
【0079】
そのようにすれば、第1レンズ3および第2レンズ4の形状に負担をかけることなく周辺部の光学性能を向上させることが可能となり、かつ、固体撮像素子の周辺部に入射する光線をさらに有効に利用することが可能となる。
【0080】
また、更に、第2レンズ4の第1面は、光軸8近傍部が物体側に向かって凸面であり、かつ、変曲点を持つ非球面に形成されているものも望ましい。
【0081】
ここで、第2レンズ4の第1面が持つ変曲点とは、光軸8を含む断面で第2レンズ4を切断した断面上において、第2レンズ4の第1面の曲線(断面上の曲線)に接する接線が、その傾きの符号を変化させる点である。
【0082】
したがって、前述のように、第2レンズ4の第1面における中心側の部位が物体側に向いた凸面の場合には、当該第1面における中心側の部位を囲む周辺側の部位は、変曲点を境にして面形状が物体側に向いた凹面に変化することになる。
【0083】
そのようにすれば、さらに、各レンズ3、4の形状により負担をかけることなく周辺部の光学性能をさらに向上させることが可能となり、レンズ3、4各々の周辺部を通過する光線をさらに有効に利用することが可能となる。
【0084】
なお、光軸8から周辺側に向かうにしたがって、複数の変曲点が順次現れるように第2レンズ4の第1面の面形状を形成してもよい。そのような場合には、諸収差をさらに良好に補正することが可能となる。
【0085】
さらにまた、上記構成に加えて、更に、第2レンズ4の第1面における有効径の外端部位が、当該第2レンズの第1面における光軸8上の点よりも物体側に位置されていることが望ましい。
【0086】
そのようにすれば、周辺部の光学性能をさらに向上することが可能となる。また、レンズを取り扱う際の利点があるだけでなく、レンズをバレルに組み付けてユニット化する際の組み立て上においても利点がある。
【0087】
また、上記構成に加えて、更に、絞り2が、次の(8)に示す条件式を満足することが望ましい。
【0088】
但し、(8)式におけるSは、光軸8上における絞り2と最も物体側の光学面との距離、すなわち、光軸8上における絞り2と第1レンズ3の第1面との距離である。また、Sは、物理上の距離であり、絞り2が第1レンズ3の第1面の光軸8上の点よりも物体側、像面側のどちらにあってもよい。
【0089】
0.2≧S (8)
そのようにすれば、更に、テレセントリック性をさらに有効に確保することが可能となり、かつ、さらなる小型軽量化が可能となる。
【0090】
なお、このSは、0.15≧Sとされることが、より好ましい。
【0091】
さらに、上記構成に加えて、更に、次の(9)に示す条件式を満足することが望ましい。
【0092】
但し、(9)式におけるBflは、バックフォーカス距離すなわちレンズ最終面(第2レンズ4の第2面)から撮像面7までの光軸8上の距離(空気換算長)である。
【0093】
0.8≧Bfl/fl≧0.4 (9)
そのようにすれば、更に、より有効に小型軽量化を図ることが可能となり、かつ、製造性および組み立て上の扱いやすさをさらに向上することが可能となる。
【0094】
なお、このBflとflとの関係は、0.6≧Bfl/fl≧0.45とされることが、より好ましい。
【0095】
さらにまた、上記構成に加えて、更に、次の(10)に示す条件式を満足することが望ましい。
【0096】
2.5≧Bfl≧1.2 (10)
そのようにすれば、更に、より有効に小型軽量化を図ることが可能となり、かつ、製造性および組み立て上の扱いやすさをさらに向上することが可能となる。
【0097】
なお、このBflは、2.5≧Bfl≧1.5とされることが、より好ましい。
【0098】
また、上記構成に加えて、更に、次の(11)に示す条件式を満足することが望ましい。
【0099】
但し、(11)式において、rは、第2レンズ4の第2面の曲率半径である。
【0100】
−0.5≧r/fl≧−6.0 (11)
そのようにすれば、光学面の加工をさらに容易に行うことが可能となり、かつ、周辺部における諸収差をさらに良好に補正することが可能となる。
【0101】
なお、このrとflとの関係は、−1.0≧r/fl≧−2.0とされることが、より好ましい。
【0102】
また、上記構成に加えて、更に、flは、5.0≧fl≧2.0(より好ましくは5.0≧fl≧3.0)を満足することが望ましい。
【0103】
そのようにすれば、携帯端末等に搭載されるカメラモジュール用のレンズにさらに好適な構成にすることが可能となる。
【0104】
さらに、第1レンズ3および第2レンズ4を成形するための樹脂材料は、アクリル、ポリカーボネート、非晶質ポリオレフィン樹脂等、光学部品の成形に用いられる透明性を有するものであればどのような組成を有するものであってもよいが、製造効率のさらなる向上および製造コストのさらなる低廉化の観点からは、両レンズ3、4の樹脂材料を同一の樹脂材料に統一することが望ましい。
【実施例】
【0105】
次に、本発明の実施例について、図2乃至図11を参照して説明する。
【0106】
ここで、本実施例において、Fnoは、Fナンバー、r は、光学面の曲率半径(レンズの場合は中心曲率半径)を示す。また、dは、次の光学面までの距離を示す。また、ndは、d線(黄色)を照射した場合における各光学系の屈折率、νdは、同じくd線の場合における各光学系のアッベ数を示す。
【0107】
k、A、B、C、Dは、次の(12)式における各係数を示す。すなわち、レンズの非球面の形状は、光軸8方向にZ軸、光軸8に直交する方向にX軸をとり、光の進行方向を正とし、kを円錐係数、A、B、C、Dを非球面係数、rを曲率半径としたとき次式で表される。
【0108】
Z(X)=r−1 /[1+{1−(k+1)r−2 1/2
+AX+BX+CX +DX10 (12)
【0109】
<第1実施例>
図2は、本発明の第1実施例を示したもので、本実施例においては、図1に示す構成の撮像レンズ1と同様に、第1レンズ3の第1面の物体側に絞り2を配置し、第2レンズ4の第2面と撮像面7との間にフィルタ6としてのカバーガラスを配置している。なお、第1レンズ3の第1面は、絞り2を通して絞り2よりも物体側に位置している。
【0110】
この第1実施例の撮像レンズ1は、以下の条件に設定されている。
【0111】
レンズデータ

L=4.04mm、fl=3.82mm、f=4.52mm、f=13.28mm、d=0.70mm、d=0.45mm、d=0.75mm、r=−6.029mm、Fno=3.5

面番号 r d nd νd
(物点)
1(第1レンズ第1面) 1.033 0.700 1.531 56.0
2(第1レンズ第2面) 1.387 0.200
3(第2レンズ第1面) -39.796 0.750 1.531 56.0
4(第2レンズ第2面) -6.029 0.300
5(カバーガラス第1面) 0.000 0.300 1.516 64.0
6(カバーガラス第2面) 0.000
(像面)
絞り2は、第1レンズ3の第1面の光軸8上の点より像面側に0.1mmの位置に配置

面番号 k A B C D
1 -1.14E-1 7.57E-3 7.43E-2 -1.04E-1 1.87E-1
2 2.39E -6.17E-3 -1.40E-1 4.13E-1 6.23E-2
3 -7.95E+3 -1.60E-1 4.08E-2 -4.48E-1 0
4 -1.60E+2 -9.31E-2 3.36E-2 -4.93E-2 2.84E-3
【0112】
このような条件の下で、L/fl=1.06となり、(1)式を満足するものであった。また、f /f=0.34となり、(2)式を満足するものであった。さらに、f /fl=1.18となり、(3)式を満足するものであった。さらにまた、f /fl=3.48となり、(4)式を満足するものであった。また、d/d=0.64となり、(5)式を満足するものであった。さらに、d/fl=0.18となり、(6)式を満足するものであった。さらにまた、d/fl=0.20となり、(7)式を満足するものであった。また、S=0.10mmとなり、(8)式を満足するものであった。さらに、Bfl/fl=0.56となり、(9)式を満足するものであった。さらにまた、Bfl=2.14mmとなり、(10)式を満足するものであった。また、r/fl=−1.58となり、(11)式を満足するものであった。
【0113】
この第1実施例の撮像レンズ1における球面収差、非点収差およびディストーションを図3に示す。
【0114】
この結果によれば、球面収差、非点収差およびディストーションのいずれもほぼ満足できる結果となり、充分な光学特性を得ることができることが分かる。
【0115】
<第2実施例>
図4は、本発明の第2実施例を示したもので、本実施例においては、図1に示す構成の撮像レンズ1と同様に、第1レンズ3の第1面の物体側に絞り2を配置し、第2レンズ4の第2面と撮像面7との間にフィルタ6としてのカバーガラスを配置している。なお、第1レンズ3の第1面は、絞り2を通して絞り2よりも物体側に位置している。
【0116】
この第2実施例の撮像レンズ1は、以下の条件に設定されている。
【0117】
レンズデータ

L=4.12mm、fl=3.82mm、f=4.85mm、f=10.06mm、d=0.80mm、d=0.45mm、d=0.75mm、r=−5.472mm、Fno=3.2

面番号 r d nd νd
(物点)
1(第1レンズ第1面) 1.115 0.800 1.531 56.0
2(第1レンズ第2面) 1.478 0.250
3(第2レンズ第1面) 217.325 0.750 1.531 56.0
4(第2レンズ第2面) -5.472 0.300
5(カバーガラス第1面) 0.000 0.300 1.516 64.0
6(カバーガラス第2面) 0.000
(像面)
絞り2は、第1レンズ3の第1面の光軸8上の点より像面側に0.05mmの位置に配置

面番号 k A B C D
1 8.42E-2 -2.13E-2 6.78E-3 7.52E-2 -1.24E-1
2 -1.66E 1.47E-1 1.23E-2 -6.11E-2 7.47E-1
3 0 1.24E-2 -8.16E-1 1.77E -1.92E
4 -7.50E 3.21E-2 -1.82E-1 1.48E-1 -6.76E-2
【0118】
このような条件の下で、L/fl=1.08となり、(1)式を満足するものであった。また、f /f=0.48となり、(2)式を満足するものであった。さらに、f /fl=1.27となり、(3)式を満足するものであった。さらにまた、f /fl=2.63となり、(4)式を満足するものであった。また、d/d=0.56となり、(5)式を満足するものであった。さらに、d/fl=0.21となり、(6)式を満足するものであった。さらにまた、d/fl=0.20となり、(7)式を満足するものであった。また、S=0.05mmとなり、(8)式を満足するものであった。さらに、Bfl/fl=0.55となり、(9)式を満足するものであった。さらにまた、Bfl=2.12mmとなり、(10)式を満足するものであった。また、r/fl=−1.43となり、(11)式を満足するものであった。
【0119】
この第2実施例の撮像レンズ1における球面収差、非点収差およびディストーションを図5に示す。
【0120】
この結果によれば、球面収差、非点収差およびディストーションのいずれもほぼ満足できる結果となり、充分な光学特性を得ることができることが分かる。
【0121】
<第3実施例>
図6は、本発明の第3実施例を示したもので、本実施例においては、図1に示す構成の撮像レンズ1と同様に、第1レンズ3の第1面の物体側に絞り2を配置し、第2レンズ4の第2面と撮像面7との間にフィルタ6としてのカバーガラスを配置している。なお、第1レンズ3の第1面は、絞り2を通して絞り2よりも物体側に位置している。
【0122】
この第3実施例の撮像レンズ1は、以下の条件に設定されている。
【0123】
レンズデータ

L=3.96mm、fl=3.66mm、f=4.45mm、f=10.68mm、d=0.8mm、d=0.45mm、d=0.75mm、r=−5.00mm、Fno=3.2

面番号 r d nd νd
(物点)
1(第1レンズ第1面) 1.081 0.800 1.531 56.0
2(第1レンズ第2面) 1.481 0.450
3(第2レンズ第1面) -40.000 0.750 1.531 56.0
4(第2レンズ第2面) -5.000 0.300
5(カバーガラス第1面) 0.000 0.600 1.516 64.0
6(カバーガラス第2面) 0.000
(像面)
絞り2は、第1レンズ3の第1面の光軸8上の点より像面側に0.05mmの位置に配置

面番号 k A B C D
3 -8.84E-2 1.33E-2 -4.73E-2 4.06E-1 -7.27E-1
4 -9.35E-1 1.69E-1 -1.65E-1 1.14E -8.97E-1
5 -8.48E+4 -1.31E-1 5.33E-2 -3.53E-1 0
6 -7.12E+1 -2.99E-2 -9.48E-2 7.79E-2 -4.36E-2
【0124】
このような条件の下で、L/fl=1.08となり、(1)式を満足するものであった。また、f /f=0.42となり、(2)式を満足するものであった。さらに、f /fl=1.22となり、(3)式を満足するものであった。さらにまた、f /fl=2.92となり、(4)式を満足するものであった。また、d/d=0.56となり、(5)式を満足するものであった。さらに、d/fl=0.22となり、(6)式を満足するものであった。さらにまた、d/fl=0.20となり、(7)式を満足するものであった。また、S=0.05mmとなり、(8)式を満足するものであった。さらに、Bfl/fl=0.54となり、(9)式を満足するものであった。さらにまた、Bfl=1.96mmとなり、(10)式を満足するものであった。また、r/fl=−1.37となり、(11)式を満足するものであった。
【0125】
この第3実施例の撮像レンズ1における球面収差、非点収差およびディストーションを図7に示す。
【0126】
この結果によれば、球面収差、非点収差およびディストーションのいずれもほぼ満足できる結果となり、充分な光学特性を得ることができることが分かる。
【0127】
<第4実施例>
図8は、本発明の第4実施例を示したもので、本実施例においては、図1に示す構成の撮像レンズ1と同様に、第1レンズ3の第1面の物体側に絞り2を配置し、第2レンズ4の第2面と撮像面7との間にフィルタ6としてのカバーガラスを配置している。なお、第1レンズ3の第1面は、絞り2を通して絞り2よりも物体側に位置している。
【0128】
この第4実施例の撮像レンズ1は、以下の条件に設定されている。
【0129】
レンズデータ

L=3.81mm、fl=3.46mm、f=4.37mm、f=10.44mm、d=0.646mm、d=0.562mm、d=0.792mm、r=−17.929mm、Fno=3.2

面番号 r d nd νd
(物点)
1(第1レンズ第1面) 1.087 0.646 1.531 56.0
2(第1レンズ第2面) 1.622 0.250
3(第2レンズ第1面) 7.906 0.792 1.531 56.0
4(第2レンズ第2面) -17.929 0.300
5(カバーガラス第1面) 0.000 0.300 1.516 64.0
6(カバーガラス第2面) 0.000
(像面)
絞り2は、第1レンズ3の第1面の光軸8上の点より物体側に0.05mmの位置に配置

面番号 k A B C D
1 -4.61E-1 4.34E-2 -3.33E-2 3.71E-1 -3.17E-1
2 -4.03E 1.54E-1 1.82E-1 -4.96E-1 1.36E
3 -2.22E -1.24E-1 1.81E-1 -1.44E 2.76E
4 1.54E-2 6.27E-2 -2.03E-1 1.77E-1 -9.16E-2
【0130】
このような条件の下で、L/fl=1.10となり、(1)式を満足するものであった。また、f /f=0.42となり、(2)式を満足するものであった。さらに、f /fl=1.26となり、(3)式を満足するものであった。さらにまた、f /fl=3.02となり、(4)式を満足するものであった。また、d/d=0.87となり、(5)式を満足するものであった。さらに、d/fl=0.19となり、(6)式を満足するものであった。さらにまた、d/fl=0.23となり、(7)式を満足するものであった。また、S=0.05mmとなり、(8)式を満足するものであった。さらに、Bfl/fl=0.52となり、(9)式を満足するものであった。さらにまた、Bfl=1.81mmとなり、(10)式を満足するものであった。また、r/fl=−5.19となり、(11)式を満足するものであった。
【0131】
この第4実施例の撮像レンズ1における球面収差、非点収差およびディストーションを図9に示す。
【0132】
この結果によれば、球面収差、非点収差およびディストーションのいずれもほぼ満足できる結果となり、充分な光学特性を得ることができることが分かる。
【0133】
なお、本発明は前記実施例のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0134】
例えば、第1レンズ3の第2面と、第2レンズ4の第1面との間に、光量制限板を配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明に係る撮像レンズの実施の一形態を示す概略構成図
【図2】本発明に係る撮像レンズの第1実施例を示す概略構成図
【図3】図2に示す撮像レンズにおける球面収差、非点収差およびディストーションを示す説明図
【図4】本発明に係る撮像レンズの第2実施形態を示す概略構成図
【図5】図4に示す撮像レンズにおける球面収差、非点収差およびディストーションを示す説明図
【図6】本発明に係る撮像レンズの第3実施形態を示す概略構成図
【図7】図6に示す撮像レンズにおける球面収差、非点収差およびディストーションを示す説明図
【図8】本発明に係る撮像レンズの第4実施形態を示す概略構成図
【図9】図8に示す撮像レンズにおける球面収差、非点収差およびディストーションを示す説明図
【符号の説明】
【0136】
1 撮像レンズ
2 絞り
3 第1レンズ
4 第2レンズ
6 フィルタ
7 撮像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子の撮像面に物体の像を結像させるために使用される撮像レンズであって、
物体側から像面側に向かって順に、絞り、物体側に凸面を向けた正のパワーを有するメニスカスレンズとされた第1レンズ、および像面側に凸面を向けた正のパワーを有するレンズとされた第2レンズを配設し、次の(1)〜(7)の各条件式、
1.25≧L/fl≧0.8 (1)
0.55≧f/f≧0.2 (2)
1.8≧f/fl≧1 (3)
4≧f/fl≧1.5 (4)
1≧d/d≧0.5 (5)
0.27≧d/fl≧0.1 (6)
0.27≧d/fl≧0.1 (7)
但し、
L:レンズ系の全長
fl:レンズ系全体の焦点距離
:第1レンズの焦点距離
:第2レンズの焦点距離
:第1レンズの中心厚
:光軸上における第1レンズと第2レンズとの間隔
:第2レンズの中心厚
を満足することを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
前記第2レンズが、メニスカスレンズに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項3】
前記第2レンズの物体側の面は、光軸近傍部において物体側に凸とされ、かつ、変曲点を持つ非球面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
前記第2レンズの物体側の面における有効径の外端部位が、当該第2レンズの物体側の面における光軸上の点よりも物体側に位置されていることを特徴とする請求項3に記載の撮像レンズ。
【請求項5】
更に、前記絞りが、次の条件式、
0.2≧S (8)
但し、
S:光軸上における前記絞りと最も物体側の光学面との距離
を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
【請求項6】
更に、次の条件式、
0.8≧Bfl/fl≧0.4 (9)
但し、
Bfl:バックフォーカス距離(レンズ最終面から撮像面までの光軸上の距離(空気換算長))
を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
【請求項7】
更に、次の条件式、
2.5≧Bfl≧1.2 (10)
を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
【請求項8】
更に、次の条件式、
−0.5≧r/fl≧−6.0 (11)
:第2レンズの像面側の面の曲率半径
を満足することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の撮像レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−47309(P2007−47309A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229827(P2005−229827)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【分割の表示】特願2005−226266(P2005−226266)の分割
【原出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】