説明

撮像照明手段およびパターン検査装置

【課題】同軸照明を使った撮像照明手段において、明るい画像が撮像素子に取り込まれるようにするとともに、線幅の細くなっている部分を明瞭に撮像できるようにすること。
【解決手段】光源100から出射した照明光は拡散板101を介してハーフミラー(ペリクル)110に入射し一部の光が反射されて基板W(被照明物)を照明する。基板Wで反射した光の一部はハーフミラー110を通過して撮像手段120の撮像素子121に入射し、基板Wに形成されたパターン像が撮像される。ハーフミラー110の、撮像対象(撮像領域)の像が通過する部分の外側であって照明光が入射する側に、被照明物に向かって照明光を全反射する反射部材(ミラー)130が取り付けられている。光源100からの照明光は、上記ハーフミラー110で反射するとともに、この反射部材130で反射して基板Wに照射される。このため、基板W(被照明物)を明るく照明することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照明物(対象物)を同軸照明により照明し撮像する撮像照明手段およびこの撮像照明手段を用いたパターン検査装置に関し、特に、プリント配線基板等の基板に形成された配線等のパターンの線幅や形状の検査に用いられる撮像照明手段およびパターン検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板等の基板に形成された配線等のパターンの線幅を検査するパターン検査装置においては、パターンが形成された基板に対して照明光を照射し、照明されたパターン像を撮像素子により撮像し、撮像した画像を、例えば良品のサンプル画像と比較して、形成したパターンの良否を判定することが行われる。
この、基板を照明して撮像する手段の一つに同軸照明と呼ばれる方法がある。同軸照明は、照明光が照射されている方向と同じ方向から撮像する方法である。図7に、同軸照明を使った従来の撮像照明手段の構成例を示す。
図7(a)は、同軸照明の撮像照明手段の断面図である。
撮像照明手段は、大まかには、照明光を出射する光源100と、光源100からの照明光を被照明物に向かつて反射するハーフミラー110と、ハーフミラー110に対して被照明物とは反対側に配置された撮像手段120とを備える。
100は照明光を出射する光源であり、同図においては、平面状に複数配置されたLEDである。光源100の光出射側には拡散板101が配置され、光源の光強度のムラを少なくする。拡散板101により拡散された光は、斜めに配置されたハーフミラー110に入射する。
【0003】
本例においては、ハーフミラー110としてペリクルと呼ばれる半透過性の薄膜を使用している。ハーフミラー(ペリクル)110は、透過光と反射光の比率を任意に設定できるが、ここでは、例えば入射する光のうち50%の光が反射し50%の光が透過するものとする。したがって、入射した光のうち50%が反射され、ハーフミラー110の下方に置かれた、パターンを形成した基板(撮像対象)Wの表面を照明する。
上記したように、光源100からの光は拡散板101により拡散されており、ハーフミラー(ペリクル)110には、様々な入射角度の光が入射する。したがって、ハーフミラー(ペリクル)110による反射光も様々な角度であり、基板Wは様々な入射角度の光により照明される。同図において、光源から出射した照明光を、点線の矢印で示している。
基板Wの表面に照射された照明光は、形成されているパターンや基板表面で反射され、再びハーフミラー110に入射する。ハーフミラー110に入射した光は、50%は光源100の方向に反射されるが、50%は撮像手段120に入射する。これにより照明光により照明されたパターン像が撮像される。撮像手段120は内部にCCDセンサなどの撮像素子121を備える。Sは、撮像素子121が撮像する領域(撮像領域)である。
このような撮像照明手段を用いて、例えば、樹脂製のプリント基板上に形成された金属の配線パターンを観察すると、金属の配線パターンと樹脂製の基板とでは照明光の反射率が異なるので、撮像素子121には配線パターンがくっきりと映し出され、パターンの線幅の測定を容易に行うことができる。
【0004】
図7(b)は、ハーフミラーであるペリクル110とその保持手段(フレーム)111を、照明光が入射する側から見た図である。ペリクル110は、半透過性の薄膜であり市販されている。露光装置のフォトマスクの保護膜として使用されることが多いが、透過する光の量と反射する光量の比を設定できることもあり、ハーフミラーとしても使用される。ペリクル110は、周辺部をフレームによってたわまないように挟まれて支持され、フレーム111はとめねじ112等で固定される。
このような同軸照明を使った撮像照明手段は、例えば特許文献1に記載されたパターン検査装置の、反射照明手段31として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−267851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同軸照明を使った撮像照明手段においては、上記したように、撮像対象を照明する照明光は、ハーフミラー(ペリクル)110に反射した光である。そのため、ハーフミラー(ペリクル)110の透過率と反射率が50:50であれば、撮像対象を照明する明るさは、光源100から出射する光の明るさに比べると半分になる。また、照明された撮像対象の画像も、ハーフミラー(ペリクル)110を介して撮像素子121に取り込まれる。そのため、画像の明るさはさらに半分になる。
したがって、撮像素子121に入射する光の明るさは、光源100から出射する照明光の明るさから比べると1/4からそれ以下となり、撮像素子121が取り込む画像は暗くなりがちである。そのため、撮像対象(基板W)に形成されているパターンの反射率が低い場合、基板とパターンのコントラストが悪くなり、パターンを検出することが難しくなる。
【0007】
この問題を解決するために、例えば、反射率の大きいハーフミラー(ペリクル)110を使用することも考えられる。そのようにすると、ハーフミラー(ペリクル)110により反射される照明光の量が多くなるので、撮像対象の照度は明るくなる。しかし、ハーフミラー(ペリクル)110は、反射率を高くした分透過率が低くなる(反射率を80%にすると透過率は20%になる)ので、撮像領域の画像がハーフミラー(ペリクル)110を通過しにくくなり、やはり撮像素子に取り込まれる画像は暗くなる。
また、照明光源100であるLEDのパワーを大きくすれば照度は明るくなる。しかし、LEDのパワーが大きくなると、その分LEDの発熱量も大きくなり、冷却手段が必要となると共に、LEDの寿命も短くなる。そのため、LEDのパワーを上げることなく効率よく照明を行い、画像を明るくすることが望まれている。
【0008】
一方、エッチングにより基板上に形成される配線パターンの断面形状は、図8に示すように、上部よりも下部の幅が広い台形状になる。
このような断面形状の配線パターンに、図7に示すように拡散板101を介して照明光を照射すると、図8に示すように上方向からの光と斜め方向からの光が配線パターンに入射し、配線パターンの上面で反射した照明光が撮像素子121に入射するとともに、配線パターンの側面で反射した照明光の一部が撮像素子121に入射する。そのため、撮像手段120では、配線パターンの上面が明るく、配線パターンの側面がやや暗く撮像される。
ここで、撮像対象を照明する照明光が暗く、撮像素子121に入射する光の明るさが暗くなると、撮像素子121が取り込む画像は暗くなり、配線パターンの画像のコントラストが悪くなる。このため、配線パターンの上面と側面の区別がしにくくなる。
【0009】
また、配線パターンによっては、図8の点線に示すように、配線上部のエッジ部分が欠けて、線幅が狭くなっているものもある。このような配線パターンの「欠け」を配線パターンの欠陥として検出できるようにすることが望ましいが、撮像された配線パターンの画像のコントラストが悪く、配線パターンの上面と側面の区別がしにくくなると、配線パターン上面の形状が不明確になり、上記「欠け」を明瞭に撮像することができなくなる。
同軸照明により照明し撮像する撮像照明手段において、上記のような配線パターンの上部と側面部分とのコントラストを向上させ、上記エッジ部分の「欠け」を明瞭に撮像できるようにするためには、撮像対象を照明する照明光を明るくすることが必要であるが、それに加えて、上方向からの照明光の成分と斜め方向からの照射光の成分のバランスを適切にすることが望ましいと考えられる。
図7に示した撮像照明手段では、上方向からの光の成分の方に対して斜め方向からの光の成分が弱く、上記「欠け」を明瞭に撮像するのが難しかった。
すなわち、配線パターンの上面の形状、側面の形状をコントラスよく撮像するためには、撮像対象を照明する照明光を明るくするとともに、上方向からの光の成分に対して、斜め方向からの光の成分を増加させることが望ましい。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、同軸照明を使った撮像照明手段において、ハーフミラー(ペリクル)の透過率を変えることなく、撮像対象の照度を明るくして、従来よりも明るい画像が撮像素子に取り込まれるようにするとともに、配線パターンのエッジ部分の欠け等により線幅の細くなっている部分をコントラストよく撮像することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては、以下のようにして前記課題を解決する。
(1)光源から出射した照明光がハーフミラーにより反射されて被照明物を照明し、該被照明物から反射する照明光が上記ハーフミラーを通過して撮像素子に入射し被照明物を撮像する撮像照明手段において、上記ハーフミラーの、撮像対象(撮像領域)の像が通過する部分を除いて、光源からの照明光が入射する側に、被照明物に向かって照明光を全反射する反射部材(ミラー)を取り付ける。
(2)上記ハーフミラーとしてペリクルを用いる。
(3)上記(1)(2)において、光源の光出射側に、光源の周辺部から出射した光を内側に屈折させる光学素子(例えばレンズ)を配置する。または、ハーフミラー(ペリクル)の周辺に設けた反射部材(ミラー)を、反射光が内側(被照射物側)に向かうように傾ける。
(4)上記(1)(2)において、光源を複数のLEDを平面状に並べたもので構成し、周辺部に並べたLEDを、出射する光の主光線が内側に向かうように傾けて配置する。
(5)基板上に形成されたパターンに照明光を照射して該パターンの画像を撮像する手段を備え、該撮像された画像に基づきパターンの良否を判定するパターン検査装置において、上記パターンに照明光を照射して撮像する手段として、上記(1)〜(4)の撮像照明手段を用いる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)ハーフミラー(ペリクル)の周辺部に反射部材(ミラー)を設けたので、ハーフミラー(ペリクル)を通過していた光の一部が、撮像対象に向かって全反射され、撮像対象の照度を明るくすることができる。
(2)光源の周辺部から出射した光を内側に屈折させる光学素子(レンズ)を設けるか、または反射部材(ミラー)を反射光が内側に向かうように傾けて配置することにより、撮像領域に向かう照明光を増やすことができ、撮像領域をより明るく照明することができる。また、光源が複数のLEDである場合は、周辺部に並べたLEDを、出射する光の主光線が内側に向かうように傾けて配置することにより、撮像領域に向かう照明光を増やすことができ、撮像領域をより明るく照明することができる。
(3)撮像領域の照度を従来に比べて明るくすることができるので、撮像対象(基板)に形成されているパターンの反射率が低い場合であっても、基板とパターンのコントラストが低下するのを防ぐことができ、パターンを検出することができる。
また、撮像対象が配線パターンの場合、配線パターンに対して斜め方向から入射する光の成分を増加させることができるので、配線パターンの上面、側面の形状をコントラスよく撮像することができ、前記配線パターンの「欠け」ている部分等を明瞭に撮像することが可能となる。
したがって、上記構成の撮像照明手段を配線パターン検査装置に適用することにより、配線パターンが細くなっている部分等の欠陥を確実に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の撮像照明手段の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】第1の実施例の変形例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施例の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施例の構成を示す図である。
【図6】本発明の撮像照明手段を備えたパターン検査装置の構成例を示す図である。
【図7】従来の撮像照明手段の構成例を示す図である。
【図8】配線パターンの断面と配線パターンを照明する光の成分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、本発明の撮像照明手段の、第1の実施例の構成を示す。
図1(a)は、同軸照明の撮像照明手段の断面図であり、図1(b)は図1(a)において、ハーフミラー(ペリクル)を、照明光が入射する側から見た図である。
同図において、図7と同じ構成のものには同じ符号をつけており、前記背景技術として説明した部分と同じものについては詳細な説明は省略する。
図1において、撮像照明手段は、前記したように照明光を出射する光源100と、光源100からの照明光を被照明物に向かつて反射するハーフミラー110と、ハーフミラー110に対して被照明物とは反対側に配置された撮像手段120とを備える。撮像手段120は前記したように内部にCCDセンサなどの撮像素子121を備える。Sは、撮像素子121が撮像する領域(撮像領域)である。
照明光を出射する光源100は、前記したように平面状に複数配置されたLEDであり、光源100の光出射側には拡散板101が配置され、拡散板101により拡散された光は、斜めに配置されたハーフミラー(ペリクル)110に入射する。
【0014】
本実施例において、図7と構成が異なる部分は、ハーフミラー(ペリクル)110の、撮像素子121の視野に当たる部分(撮像対象の撮像領域Sの像が通過する部分)以外であって、光源100からの照明光が入射する側に、照明光を撮像対象(基板)Wに向かって全反射する反射部材(ミラー)130を設けている点である。反射部材(ミラー)130は例えばアルミ板である。
従来、ハーフミラー(ペリクル)110に入射する照明光は、ハーフミラーの透過率と反射率が50:50であれば、半分しか反射されない。しかし、本実施例においては、反射部材(ミラー)130に入射する照明光は全反射され、基板Wを照明する。反射部材(ミラー)130に入射する光は散乱光であるので、反射した光の一部は撮像領域Sを照明する。
したがって、従来よりも撮像領域Sの照度を上げる(すなわち明るくする)ことができる。また、ハーフミラー(ペリクル)110の撮像対象の撮像領域Sの像が通過する部分の周囲に、反射部材130を設けているので、パターンに対して斜め方向から入射する光の成分を増加させることができる。このため、配線パターンの上面、側面をコントラスよく撮像することができ、「欠け」等の欠陥を明瞭に撮像することが可能となる。
【0015】
また、ハーフミラー(ペリクル)110の、撮像素子の視野に当たる部分(撮像対象の撮像領域の像が通過する部分)には、反射部材(ミラー)130を設けないので、撮像素子121は、従来と同様にハーフミラー(ペリクル)110を介して、撮像領域Sの画像を受像することができる。
図1(b)は、反射部材(ミラー)130を設けたハーフミラー(ペリクル)110を、照明光が入射する側から見た図である。
従来と同様に、ハーフミラーであるペリクル110は、周辺部をフレーム111によって挟まれて支持されるが、その撮像素子121の視野に当たる部分(撮像対象の撮像領域Sの像が通過する部分、同図においては中央の円形の部分)を除く部分であって、光源からの照明光が入射する側に、反射部材(ミラー)130であるアルミ板を取り付けている。
【0016】
図2は、上記第1の実施例の変形例である。
上記実施例においては、ペリクル110を支持するフレーム111とは別に反射部材(ミラー)130を設けた。しかし、図2においては、ペリクル110の大きさを、撮像素子の視野に当たる大きさ(撮像対象の撮像領域の像が通過する大きさ)にまで小さくし、その分フレーム131を大きくしている。また、フレーム131の、光源からの照明光が入射する面を反射面に加工している。
このように、ペリクル110を支持するフレーム111に反射面加工を施し、ペリクル110の支持と照明光の反射を兼用するようにしても良い。
【0017】
次に、図3、図4、図5を用いて、第2、第3、第4の実施例を説明する。いずれの実施例も、第1の実施例において、斜め方向からの照明光を増加させて、撮像領域の照度をさらに上げる(明るくする)工夫である。即ち、光源100から出射する照明光は、拡散板101を介するとはいえ、直進する成分が大きい。そのため、光源100の周辺部から直進する光の成分を、内側即ち基板Wの撮像領域の方向に曲げるように構成する。
図3(a)は、第2の実施例の構成を示す図である。
本実施例においては、光源100とハーフミラー(ペリクル)110の間(同図においては拡散板101の光出射側)に、光源の周辺部から出射した光を内側に屈折させる光学素子102を設けている。同図においては、この光学素子102としてフレネルレンズを用いたが通常の凸レンズでも良い。
図3(b)は、本実施例の光学素子(フレネルレンズ)102を光出射側から見た図である。フレネルレンズは、凸レンズを同心円状の領域に分割し厚みを減らしたレンズであり、のこぎり状の断面を持つ。
【0018】
このフレネルレンズ102により、光源100の周辺部から出射する光のうち直進する成分の光を、内側に曲げる(屈折させる)ことができる。内側に屈折した光は、ハーフミラー(ペリクル)110の周辺部に設けた反射部材(ミラー)130により、撮像対象の撮像領域Sの方向に反射する。
これにより、光源100から直進する明るい成分の光を、撮像領域Sに照射することができ、撮像領域Sの照度を上げる(明るくする)ことができる。また、パターンに対して斜め方向から入射する光の成分を増加させることができる。
なお、光源の中央部の光は内側に曲げなくても、撮像領域Sを照射するので、フレネルレンズ102の中央部はレンズがなく貫通孔102aになっている。
【0019】
図4は、第3の実施例の構成を示す図である。
本実施例においては、ハーフミラー(ペリクル)110の周辺部に設けた反射部材(ミラー)130を、光源100からの照明光が内側に向かって反射するように傾けて配置している。
これにより、光源100から直進する明るい成分の光を、撮像領域Sに照射することができ、撮像領域Sの照度を上げる(明るくする)ことができる。また、パターンに対して斜め方向から入射する光の成分を増加させることができる。
【0020】
図5は、第4の実施例の構成を示す図である。
光源100が、複数のLEDを平面状に並べたものである場合は、周辺部に配置したLEDを、出射する光の主光線が内側に向くように傾けて配置する。
これにより、各LEDから直進して出射する明るい成分の光を、撮像領域Sに照射することができ、撮像領域Sの照度を上げる(明るくする)ことができる。また、パターンに対して斜め方向から入射する光の成分を増加させることができる。
なお、第2の実施例において示したフレネルレンズの使用、第3の実施例において示した反射部材(ミラー)を傾けて配置すること、第4の実施例において示したLEDを傾斜して配置させることは、それぞれを互いに組み合わせて用いてもよい。これらを組み合わせることにより、照明の効率を上げることができる。
【0021】
なお、以上の説明では、ハーフミラー(ペリクル)110の透過率が50%(反射率も50%)の場合について説明したが、ハーフミラーの透過率を50%以上とすることで、撮像素子121に入射する画像をより明るくすることができる。
すなわち、ハーフミラー(ペリクル)110の透過率を50%以上とすると、光源100からハーフミラー(ペリクル)110に入射して撮像対象側に反射する光の量は減少するものの、反射部材130で反射して撮像対象側に入射する光の量は変わらないので、撮像素子に入射する照明光は、それほど減少しない。
一方、ハーフミラーの透過率を大きくすることで、撮像対象で反射してハーフミラー(ペリクル)110を介して撮像素子121に入射する光の量は多くなるので、結果として撮像素子121に入射する光の量は多くなり、撮像される画像をより明るくすることができる。
【0022】
図6は、本発明の撮像照明手段を備えたパターン検査装置の構成例を示す図である。
同図において、1はポリイミド(樹脂)等からなるTABテープ等の光透過性の基板、2は基板1上に形成され銅等の金属からなる配線パターン等のパターン、3は検査部であり、上記で説明した本発明の撮像照明手段が使用されている。
4は制御部、5はテープ搬送機構、51は送り出しリール、52は巻き取りリール、53はマーカー部、6は検査領域である。ここで、検査領域6とは照明光が照射され、撮像手段120により撮像される撮像領域である。
基板(TABテープ)1は、送り出しリール51から送りだされて検査領域6でパターン2の良否が判定され、マーカー部53を経て、巻き取りリール52に巻き取られる。
マーカー部53では、不良と判定されたパターン2に対しその部分が不良品であることを目視ですぐ確認できるようにパンチでの穿孔や、色塗り等のマークを施す。
制御部4は、予めパターン検査の基準となる基準パターンが入力されており、撮像したパターン2と基準パターンとを比較し製品の良否を判定する。また、制御部4は、検査部3、マーカー部53、及びテープ搬送機構5の動作を制御する。
検査部1においては、撮像照明手段31により基板(TABテープ)1に対して同軸照明が行われ撮像される。
【0023】
撮像照明手段31において、照明光は、平面状に並べられた複数個のLEDからなる光源100から出射し、反射部材(ミラー)130とハーフミラー(ペリクル)110により反射され、基板1上の検査領域6に対して直交またはほぼ直交するように照射される。 そして、パターン2により反射された光はハーフミラー(ペリクル)110を通過して撮像手段120に入射する。
撮像手段120は、照明光の波長に受光感度を有する、例えば、CCDラインセンサまたはエリアセンサが用いられる。また、本実施例においては、撮像手段120の光入射側には、TABテープからなる基板1のパターン2の検査を行う領域を拡大して投影するレンズ32が設けられており、レンズ32は複数のレンズが組み合わされて鏡筒に収納されている。
【0024】
照明光が基板1に対して直交またはほぼ直交するように照射されると、基板1に形成されているパターン2の表面がほぼ平らな状態であれば、パターンは銅等の金属であるので照明光は反射され、撮像手段120に入射する。パターン2以外の部分に照射された照明光は、基板1は樹脂であるので、基板1を透過または基板1に吸収され、撮像手段120に入射しない。
これにより、撮像手段120により撮像された画像は、基板1のパターンがある部分とない部分及びパターンの上面と側面とでコントラストに差ができ、制御部4にて画像処理を行うことにより、パターンのエッジを検出してパターンの幅を求めることができる。
制御部4は、このようにして求めたパターンの幅を、あらかじめ記憶しておいた基準パターンの幅と比較し製品の良否を判定する。
【0025】
本実施例のパターン検査装置においては、上記実施例に示した撮像照明手段を使用しているので、撮像領域の照度を従来に比べて明るくすることができる。したがって、撮像対象(基板)に形成されているパターンの反射率が低い場合であっても、基板とパターンのコントラストが低下するのを防ぐことができ、パターンを検出することができる。
また、配線パターンに対して上方向からの光の成分と斜め方向からの光の成分をバランスよく照射できるので、パターンの上面の形状、側面の形状をコントラスよく撮像することができ、パターンの欠陥を確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 基板(TABテープ)
2 パターン
3 検査部
31 撮像照明手段
32 レンズ
4 制御部
5 テープ搬送機構
51 送り出しリール
52 巻き取りリール
53 マーカー部
6 検査領域
100 光源
101 拡散板
102 フレネルレンズ
110 ハーフミラー
111 フレーム
120 撮像手段
121 撮像素子
130 反射部材
131 表面が反射面であるフレーム
W 基板
S 撮像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射した照明光がハーフミラーにより反射されて被照明物を照明し、該被照明物から反射する照明光が上記ハーフミラーを通過して撮像素子に入射し被照明物を撮像する撮像照明手段において、
上記ハーフミラーの、被照明物から反射して撮像素子に入射する照明光が通過する部分の外側であって、光源からの照明光が入射する側に、
該照明光を被照明物に向かって反射する反射部材を設ける
ことを特徴とする撮像照明手段。
【請求項2】
上記ハーフミラーはペリクルである
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像照明手段。
【請求項3】
上記光源とハーフミラーとの間には、光源の周辺部から出射した光を内側に屈折させる光学素子が配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像照明手段。
【請求項4】
上記反射部材は、照明光が内側に向かって反射するように傾けて配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像照明手段。
【請求項5】
上記光源は、複数のLEDを平面状に並べたものであり、該複数のLEDのうち周辺部のLEDは、出射する光の主光線が内側に向かうように傾けて配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像照明手段。
【請求項6】
基板上に形成されたパターンに照明光を照射して該パターンの画像を撮像する手段を備え、該撮像された画像に基づきパターンの良否を判定するパターン検査装置において、
上記パターンに照明光を照射して撮像する手段は、請求項1,2,3,4または請求項5に記載の撮像照明手段である
ことを特徴とするパターン検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−106912(P2011−106912A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260885(P2009−260885)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】