説明

撮像素子

【課題】従来の撮像素子では、バンプをセンサアレイ領域の外側のみに配置していた。半導体基板の裏面から入射する光を撮像する方式の撮像素子を指紋センサーとして用いたときに、従来の撮像素子のようにバンプをセンサアレイ領域の外側のみ配置してしまうと、指をセンサアレイ領域上に置いたときに、半導体基板に曲がりが生じて破損してしまう
【解決手段】裏面式撮像素子において、半導体基板の表面側で、かつ、平面視した際にセンサアレイ領域やフォトダイオードと重なる位置にバンプを配置する。これにより、当該バンプが支えとなり、半導体基板に曲がりが生じて破損することを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像素子に関し、特にバンプを用いて他の装置や基板に接続される撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CMOSイメージセンサ等、半導体チップを用いた撮像素子が知られており、このような撮像素子を用いて指紋認証装置を構成することが行なわれている。特に近年では、情報保護の観点から、携帯電話などの非常に小型の装置に組み込まれる指紋認証装置が開発されている。
【0003】
指紋認証装置用の撮像素子を開示した文献として、特許文献1や特許文献2がある。
【0004】
例えば特許文献1の図4には、従来の指紋認証装置用の撮像素子の断面図が開示されている。同図の指紋センサー20Aにおいて、半導体チップ22Aにセンサー部26が設けられており、半導体チップ22Aは、センサー部26が設けられた面と同じ側の面に設けられたスタッドバンプ37を用いて回路基板23Aに接続されている。回路基板23Aには開口部29が設けられており、この開口部29を通して指をセンサー部26に接触させることにより、指紋画像を撮像する。
【0005】
一方、半導体チップの裏面から入射した光を検出し撮像を行なう撮像素子が開発されており、かかる素子が特許文献2や特許文献3に開示されている。
【0006】
特許文献2の図1のMOSイメージセンサチップでは、半導体チップであるSi基板1の表面(図で下を向いている面)には受光部拡散層5が設けられている。そして、受光部拡散層5が、Si基板の裏面(図で上を向いている面)から入射した光32を電気信号に変換して、撮像を行なうものである。以下、裏面から撮像すべき光が入射する撮像素子を、裏面式撮像素子と呼ぶ。
【0007】
尚、特許文献3にも裏面式撮像素子が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2004−304054号公報
【特許文献2】特開2002−33469号公報
【特許文献3】米国特許公報 US6,168,965
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、本発明者は、上記の従来技術に以下の課題があることを見出した。
【0010】
特許文献1の図4に記載された指紋センサー20Aでは、スタッドバンプ37が半導体チップの端に設けられているが、中央付近には設けられていない。これは、指紋センサー20Aでは、半導体チップ22Aの表面(センサー部26が設けられている側の面)から撮像すべき光が入射するので、半導体チップ22Aの表面側でかつセンサー部26上にスタッドバンプ37を設けると、撮像すべき光がスタッドバンプにより遮光されてしまうからである。
【0011】
しかし、バンプを半導体チップの端に設ける構造を裏面式撮像素子に適用して指紋センサーを構成すると、強度上の問題が生じる。
【0012】
すなわち、半導体チップがその端をバンプで支えられた両端支持梁となるため、センサー部付近を指で押すことにより曲げが生じ、半導体チップが破損する恐れがあるという問題がある。
【0013】
仮に、特許文献1の図4において、回路基板23Aに開口部が設けられておらず(裏面式撮像素子であれば、開口部は必ずしも必要でない)、半導体チップ22Aと回路基板23Aの間にアンダーフィル剤が充填されていたとしても、一般的に、アンダーフィルの硬さはバンプの硬さよりも小さいため、半導体チップに曲げが生じることは避けられない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる撮像素子は、第1主面と該第1主面に対向する第2主面とを有する半導体基板と、前記第1主面側に形成された不純物領域により構成されるフォトダイオードと、前記第1主面側に設けられた複数のバンプと、を有し、前記複数のバンプのうち少なくとも1つが平面視した際に前記フォトダイオードと重なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、半導体チップの裏面が指で押されたときに、半導体チップの表面でかつ平面視した際にフォトダイオードと重なる位置に配置されたバンプが支えとなり、半導体チップに曲げが生じることが抑制されるので、半導体チップが破損することを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、裏面式撮像素子が、その裏面が指で押された際に、半導体基板に曲がりが生じて破損することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図1および2を用いて説明する。この実施の形態では、CMOSイメージセンサを例として説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る裏面式撮像素子10を、バンプ1が形成されている側から見た図である。本実施の形態では、バンプ1を半田バンプとして説明する。図2は、図1のA−A’断面を半導体基板の裏面を上にして示した図である
図1を参照して、裏面式撮像素子10は、半導体基板2、半導体基板2の第1主面である表面22に形成されたセンサアレイ領域3、行デコーダ40、列デコーダ42、センスアンプ44、撮像したイメージ信号の出力に用いられるI/O領域46、その他の周辺回路48を有する。本実施の形態においては、半導体基板2の導電型をP型として説明する。
【0019】
センサアレイ領域3内には、複数のセンサー30が形成されており、各々のセンサー30は、半導体基板2と共にフォトダイオードを構成する受光用N型領域32、ゲート電極34、および、N型のソース・ドレイン領域36を有する。受光N型領域32には光電変換により発生した電荷が蓄積し、ゲート電極34とソース・ドレイン領域35は、受光N型領域32に蓄積した電荷を排出するために用いられる。各々のセンサー30にはアンプ素子など他の回路が接続せれているが、図では簡略のために省略してある。
【0020】
次いで図2を参照して、受光N型領域32、列デコーダ42、センスアンプ44、およびI/O領域46は、半導体基板2の表面22に形成されている。そして、半導体基板2の表面22上に配線層5が形成され、配線層5上に複数の半田バンプ1が形成されている。すなわち、半田バンプ1は、半導体基板2の表面22側に形成されている。
【0021】
配線層5内には配線52が形成されており、この配線52は、例えば、半田バンプ1とI/O領域46とを電気的に接続している。
【0022】
裏面式撮像素子10は、実装基板6に接続される。この際、実装基板6には電極パッド62が設けられており、半田バンプ1はこの電極パッド62と接合される。
【0023】
撮像すべき光Pは、半導体基板2の第2主面である裏面24から入射し、半導体基板2中で光電変換により電子−正孔対を発生させる。発生した電子は、受光N型領域32に蓄積し、同領域32の電位を低下させる。この電位の変化を検出することにより撮像する。
【0024】
再度、図1を参照して、半田バンプ1の中には、平面視した際にセンサアレイ領域3と重なる位置に形成されているものがある。(以下、ある領域と重なる位置とは、平面視した際にその領域と重なる位置のことを意味する。)さらに、センサアレイ領域3と重なる位置に形成された半田バンプの中には、受光N型領域32が構成するフォトダイオードと重なるものがある。裏面式撮像素子10では、撮像すべき光が裏面24から入射するので、センサアレイ領域3や、受光N型領域32が構成するフォトダイオードと重なる位置に半田バンプ1を配置しても撮像すべき光が遮られることがない。
【0025】
このような構造とすることにより、裏面式撮像素子10で指紋を撮像するために、半導体基板2の裏面24に指が置かれた際に、センサアレイ領域3や受光N型領域32と重なる位置に配置された半田バンプ1が、半導体基板2を支え(図2中の矢印Yが、半田バンプ1が半導体基板2を支える力を表している)、半導体基板2に曲がりが生じることを抑制する。そのため、半導体基板2が破損することを抑制することができる。
【0026】
尚、本実施の形態において、半田バンプ1が半導体基板2の曲がりを抑制するという効果を十分に発揮するように、半田バンプ1は、半導体基板2の表面22側の実質的に全面にわたって実質的に均一な間隔で配置されている。
【0027】
また、半田バンプ1の中には、センサアレイ領域3と重ならない位置に配置されているものもある。例えば、撮像したイメージ信号の出力に用いられる半田バンプ1は、信号を高速に伝送するためにI/O領域46と重なる位置に配置されることが好ましい。
【0028】
本実施の形態の他の効果として、撮像したイメージ信号の出力や行デコーダ・列デコーダの制御信号など、各種信号ために多数の半田バンプが必要な場合であっても、半田バンプをセンサアレイ領域内に配置するので、半田バンプ用の面積をセンサアレイ領域外に余分に設ける必要が無く、撮像素子の面積を小さくできる、ということが挙げられる。
【0029】
一方、各種信号がシリアルで入出力される場合には、信号の入出力に用いられる半田バンプ1の数が少なくてよい場合がある。この場合には、センサアレイ領域3や受光N型領域32と重なる位置に配置された半田バンプ1を、イメージ信号や制御信号などの各種信号の入出力に用いなくてもよい。従って、この場合には、センサアレイ領域3や受光N型領域32と重なる位置に配置された半田バンプ1を浮遊電位としておいても良いし、グランド電位や裏面式撮像素子10に供給される駆動電位などの電源電位に接続しておいても良い。
【0030】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の範囲や思想から乖離することなく、各種の修正や変更を伴うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る撮像素子の平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 半田バンプ
2 半導体基板
3 センサアレイ領域
30 センサー
40−48 周辺回路
5 配線層
6 実装基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、該第1主面に対向し撮像すべき光が通過する第2主面と、を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面に形成された不純物領域により構成されるフォトダイオードと、
前記半導体基板の前記第1主面上に設けられた配線層と、
前記配線層上に設けられた複数のバンプと、
を有し、
前記複数のバンプのうち少なくとも1つが平面視した際に前記フォトダイオードと重なる位置に形成されていること、
を特徴とする撮像素子。
【請求項2】
前記半導体基板の前記第1主面であって前記複数のフォトダイオードが配置されたセンサアレイ領域の外に配置された周辺回路と、
をさらに有し、
前記複数のバンプのうち少なくとも一つが平面視した際に前記周辺回路に重なるように配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記周辺回路がI/O回路であることを特徴とする請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
平面視した際に前記周辺回路に重なり、かつ、前記フォトダイオードには重ならないように配置されたバンプを有することを特徴とする請求項2に記載された撮像素子。
【請求項5】
平面視した際に前記フォトダイオードに重なるように配置された前記バンプはイメージ信号の出力に用いられないこと、
を特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
平面視して前記フォトダイオードに重なるように配置された前記バンプが電源電位に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記電源電位がグランド電位であることを特徴とする請求項6に記載の撮像素子。
【請求項8】
平面視した際に前記フォトダイオードに重なるように配置された前記バンプは浮遊電位にあることを特徴とする請求項5に記載された撮像素子。
【請求項9】
前記複数のバンプが、前記第1主面側の実質的に全面にわたって実質的に均一な間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像素子。
【請求項10】
第1主面と、該第1主面に対向し撮像すべき光が通過する第2主面と、を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面に形成されたセンサアレイ領域と、
前記半導体基板の前記第1主面上に形成された配線層と、
前記配線層上に設けられた複数のバンプと、
を有し、
前記複数のバンプのうち少なくとも1つが平面視した際に前記センサアレイ領域と重なる位置に形成されていること、
を特徴とする撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−258199(P2007−258199A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76557(P2006−76557)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】