説明

撮像装置、その制御方法、および制御プログラム

【課題】構図テンプレートとスルー画とがずれた場合に色補正が適切に行われない。
【解決手段】構図テンプレートの各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含む。撮影が開始されると、輪郭抽出部18は撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する。一致判定部19および構図輪郭変更部14は予め選択された構図テンプレートの輪郭を示す構図輪郭情報と抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する。画像補正部15は変更後の構図輪郭情報に応じて画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて閉領域毎に色設定情報に応じて色補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部に参照画像を表示して撮影の際に被写体に係る構図設定を行うことのできる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラなどの撮像装置において、LCDなどの表示部に表示された所謂スルー画上に参照画像の輪郭情報を重畳表示して、撮影の際に被写体に係る構図設定を行うようにしたものがある。
【0003】
例えば、モニタ表示装置(表示部)に表示された被写体画像に重畳して構図テンプレートを表示するようにしたものがある。ここでは、当該構図テンプレートを用いて被写体の構図を決定し、当該構図で容易に写真撮影ができるようにしている(特許文献1参照)また、特許文献1には、構図テンプレートに対応させて測距枠や測光枠を埋め込み、撮影条件の設定に用いる技術の開示がある。
【0004】
一方、構図テンプレートを用いて構図を決定して写真撮影を行う際に、撮像装置における広角および望遠画角スペック不足又は撮影者の位置などに起因して撮影画像を構図テンプレートに合わせることができないことがある。
【0005】
このような問題に対処するため、構図テンプレートのサイズを変更することが行われている。例えば,構図テンプレートに含まれる距離情報と撮像装置で得られた距離情報とを比較するようにしたものがある。ここでは、比較結果である比率に基づいて、構図テンプレートとスルー画との相似比が1:1となるように、構図テンプレートのサイズを変更している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−166250号公報
【特許文献2】特開2008−54031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2に記載のように、構図テンプレートのサイズを変更する場合には、構図テンプレートとスルー画の構図とが相似でなければ、構図テンプレートのサイズ変更に対応することが困難である。つまり、構図における被写体の配分は構図テンプレートとほぼ同一であっても、前後方向の距離又はズーム比率だけが構図テンプレートと異なる場合しかサイズ変更を行うことができない。
【0008】
従って、本発明の目的は、構図テンプレートとスルー画とがずれた場合であっても領域ごとの撮影条件または画像処理条件の設定を適切に行うことのできる撮像装置、その制御方法、および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明による撮像装置は、撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された構図情報に応じて撮影を行う撮像装置であって、前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する輪郭抽出手段と、予め選択された前記構図情報の輪郭を示す構図輪郭情報と前記抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する輪郭情報変更手段と、変更後の構図輪郭情報に応じて前記画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて前記閉領域毎に前記色設定情報に応じて色補正を行う画像補正手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明による制御方法は、撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された構図情報に応じて撮影を行う撮像装置の制御方法であって、前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する輪郭抽出ステップと、予め選択された前記構図情報の輪郭を示す構図輪郭情報と前記抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する輪郭情報ステップと、変更後の構図輪郭情報に応じて前記画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて前記閉領域毎に前記色設定情報に応じて色補正を行う画像補正ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明による制御プログラムは、撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された構図情報に応じて撮影を行う撮像装置で用いられる制御プログラムであって、前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、前記撮像装置が備えるコンピュータに、撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する輪郭抽出ステップと、予め選択された前記構図情報の輪郭を示す構図輪郭情報と前記抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する輪郭情報ステップと、変更後の構図輪郭情報に応じて前記画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて前記閉領域毎に前記色設定情報に応じて色補正を行う画像補正ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、構図情報(構図テンプレート)で示す輪郭と画像データが示す輪郭とがずれても、確実に閉領域毎に色補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による撮像装置の一例であるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】色補正処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】構図テンプレートを用いた撮影を説明するための図であり、(a)はユーザによって選択された構図テンプレートの一例を示す図、(b)は(a)に示す構図テンプレートの輪郭情報を示す図、(c)はスルー画を示す図、(d)は構図テンプレートの輪郭情報が重畳されたスルー画を示す図、(e)は図1に示す輪郭抽出部で抽出された輪郭情報を示す図、(f)は閾値による処理を行った後の輪郭情報を示す図である。
【図4】構図テンプレートを用いた撮影を説明するための図であり、(a)は閾値による処理後の輪郭情報を選定した後の輪郭情報を示す図、(b)は補完および復元後の輪郭情報を示す図、(c)は画素の座標とそのずれ量との関係を示す図、(d)は画像の輪郭と構図テンプレートの輪郭のずれ量を示す図、(e)は座標変更後の輪郭情報を示す図、(f)は変更後の輪郭情報をスルー画に重畳表示した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による撮像装置について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態による撮像装置の一例であるデジタルカメラを示すブロック図である。
【0016】
図1を参照して、図示のデジタルカメラは、撮像レンズを含む複数のレンズを有する光学部1を備えている。この光学部1はモータドライバ13によって光軸方向に駆動される。光学部1から入射した被写体からの光は光学像として撮像センサ5に結像する。
【0017】
撮像センサ5は光学像を光電変換して、光学像に応じた電気信号(アナログ画像信号)を出力する。AFE(アナログフロントエンド)4は、CPU2の制御下で撮像センサ5を駆動するとともに、撮像センサ5から出力されたアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換する。そして、このデジタル信号はCPU2に与えられる。なお、AFE5はCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)/AD変換器(図示せず)を備えており、このCDS/AD変換器によってデジタルサンプリングを行ってデジタル信号を生成する。
【0018】
スルー画を表示する際には、AFE4はCPU2の制御下で撮像センサ5を間引き駆動した結果得られた画像データを画像一時メモリ6に格納する。そして、表示画像生成部7は画像一時メモリ6に格納された画像データを表示用データに変換する。そして、表示用データは表示ドライバ8によってスルー画として表示部9に表示される。以下間引き駆動によって得られた画像データをスルー画像データと呼ぶ。
【0019】
撮影補助情報生成部10は、シャッタースピード、ISO感度値、および撮影可能枚数などを示す撮影補助情報を生成して、当該撮影補助情報を補助情報一時メモリ11に展開する。表示画像生成部7はスルー画を表示部9に表示する際、撮影補助情報をスルー画に重畳して表示部9に表示する。
【0020】
操作部12にはレリーズボタン(図示せず)が備えられており、ユーザがレリーズボタンを半押しすると、駆動制御部3はCPU2の制御下でAFE4を介して撮像センサ5をAF(オートフォーカス)用駆動制御する。そして、AFE4によって撮像センサ5から画像信号を取り込みつつ、駆動制御部3はモータドライバ13を制御して光学部1を駆動してAE(自動露出)およびAFを行う。
【0021】
その後、ユーザがレリーズボタンを全押しすると、駆動制御部3はCPU2の制御下でAFE4を介して撮像センサ5を本撮影用駆動制御する。これによって、AFE4は撮像センサ5から本撮影の画像信号を取り込んで、画像一時メモリ6に格納する(展開する)。以下本撮影駆動によって得られた画像を本撮影画像データと呼ぶ。
【0022】
画像補正部15は画像一時メモリ6に展開された本撮影画像データに対して光学系補正処理、色補正処理、およびノイズリダクション処理などの補正処理を行った、記録部16に静止画像データとして記録する。
【0023】
ここで、本実施形態の特徴である撮影の際に用いる構図テンプレートについて説明する。構図テンプレートは撮影時に被写体画像に重畳するなどして、撮影者が好みの構図で撮影することを補助するものである。本実施形態では、各構図テンプレートは構図情報として、各領域の境界を表わす輪郭情報、各領域を分類して示す色情報、さらに各領域に対して領域ごとの輝度補正、色補正を行うための補正情報を有する。具体的には、図3(a)に示すような画像データを閉領域の輪郭を示す座標データの集合と(輪郭情報)、色情報を含む構図情報として記憶し、各領域毎の補正情報として階調補正曲線や色差ゲインなどが各領域の位置に対応付けられて、画像データとセットで構図テンプレート保存部17に記憶されている。また、構図テンプレートについては、操作部12に備えられたタッチパネル(図示せず)を用いて新規作成される。または、構図テンプレート保存部17で保存された構図テンプレートを編集してもよい。
【0024】
構図テンプレート(構図情報)、つまり、輪郭情報、色情報及び補正情報を新規作成する場合には、操作部12を用いて表示部9の表示画面上に閉領域を作成して、閉領域毎に表示色を設定する。輪郭情報および色情報を編集して得る場合には、構図テンプレート保存部17に保存された構図テンプレートについて、ユーザは操作部12を操作して輪郭情報および表示色の少なくとも一方を修正する。そして、新規作成によって得られた構図テンプレート又は編集によって得られた構図テンプレートは構図テンプレート保存部17に上書き保存又は新規保存される。
【0025】
上記の構図テンプレートは、2つ以上の閉領域の集合で構成され、閉領域の各々には表示色が記録される。ユーザは、特に色補正の設定を意識することなく、出来上がりの各閉領域に対応する撮影画像の色のイメージに合わせて各閉領域の表示色の設定を行うことができる。また、本実施形態では各閉領域の表示色を各閉領域に対応する撮影画像への色補正の設定に対応させているが、表示色及び色補正の設定方法に関してはこの限りではない。すなわち、表示色、色補正を個別に設定できるようにしてもよい。
【0026】
このように、構図テンプレートの各々は少なくとも2つの閉領域を有している。そして、構図テンプレートには閉領域の境界を輪郭として規定する輪郭情報(構図輪郭情報)および閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれている。
【0027】
輪郭抽出部(輪郭抽出手段)18は、画像一時メモリ6に展開された本撮影画像データから輪郭を抽出して輪郭情報(以下抽出輪郭情報と呼ぶ)を得る。一致度判定部19は、構図テンプレート保存部17から補助情報一時メモリ11に展開された構図テンプレートの輪郭情報(以下テンプレート輪郭情報と呼ぶ)と抽出輪郭情報とを比較する。そして、一致度判定部19はテンプレート輪郭情報(色補正境界情報ともいう)と抽出輪郭情報との一致度合いを示す一致度(比較結果)を得る。
【0028】
一致度判定部19で算出された一致度が所定の一致度より低いと、構図輪郭変更部14は構図テンプレートの輪郭情報を変更する。そして、一致度判定部19で算出された一致度が所定の一致度以上になると、画像補正部(画像補正手段)15は変更された構図テンプレートの輪郭情報を新たな補正領域の境界として、各閉領域毎に構図テンプレートに設定された色補正処理を行う。
【0029】
ここで、富士山および桜を被写体の例として挙げて、構図テンプレートを用いて撮影した際の色補正処理について説明する。
【0030】
図2は、図1に示す撮像装置を用いて撮影を行う際の色補正処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図2に示すフローチャートは図1に示すCPU2によって実行される。
【0031】
図1および図2を参照して、まず、撮像装置は撮影の開始の前(撮影前)にユーザに対して構図テンプレートの選択を促す。この際には、例えば、表示部9に構図テンプレートの選択を促す画面(テンプレート選択画面)が表示される。テンプレート選択画面で構図テンプレートの選択ボタンを押すと、表示部9には構図テンプレート保存部18に保存された構図テンプレートの一覧(テンプレート一覧)が表示される。
【0032】
ユーザがテンプレート一覧から使用したい構図テンプレートを選択すると、当該選択された構図テンプレートの輪郭情報が構図テンプレート保存部17から補助情報一時メモリ11に展開される(ステップS201)。
【0033】
図3および図4は、富士山および桜を被写体の例として構図テンプレートを用いた撮影を説明するための図である。
【0034】
いま、ユーザは図3(a)に示す構図テンプレートを選択したとする。図3(a)に示す構図テンプレートの輪郭情報として図3(b)に示す輪郭情報が補助情報一時メモリ11に展開される。
【0035】
表示画像生成部7は画像一時メモリ6に展開されたスルー画像データに構図テンプレートの輪郭情報を重畳して、輪郭情報が重畳されたスルー画を表示部9に表示する(ステップS202)。図3(c)はスルー画像データに応じたスルー画の一例を示し、図3(d)はスルー画に構図テンプレートの輪郭情報を重畳した状態を示す。
【0036】
続いて、CPU2はユーザがレリーズボタンの半押し操作を行ったか否かを判定する(ステップS203)。レリーズボタンが半押し操作されないと(ステップS203において、NO)、CPU2は待機する。
【0037】
一方、レリーズボタンが半押し操作されると(ステップS203において、YES)、CPU2において前述したように、画像一時メモリ6にAF用画像データが格納される(ステップS204:AF用画像取り込み)。そして、CPU2はAF用画像データに応じてAF処理を行う(ステップS205)。
【0038】
続いて、輪郭情報抽出部18はAF用画像データに対して輪郭抽出処理を施して輪郭情報を抽出し、図3(e)に示す抽出輪郭情報とする(ステップS206)。輪郭情報を抽出する輪郭抽出処理として種々の手法が知られているが、ここでは、AF用画像データに対して微分処理を行って勾配の特徴点を抽出して抽出輪郭情報を得る。
【0039】
構図輪郭変更部14は抽出輪郭情報に対して輪郭の輝度に応じたしきい値処理を行って、所定の輝度よりも低い輪郭を削除する(ステップS207)。そして、構図輪郭変更部14はテンプレート輪郭情報に最も近い輪郭を抽出輪郭情報から選定する選定処理を行う(ステップS208)。図3(f)にしきい値処理を行った後の輪郭情報を示し、図4(a)に選定処理後の輪郭を示す。
【0040】
ところで、図4(a)に示す選定処理後の輪郭は、ステップS207で行われたしきい値処理によって非連続となる。このため、構図輪郭変更部14はテンプレート輪郭情報に基づいて選定処理後の輪郭に対して補完処理を行って輪郭の復元を行う(ステップS209)。この復元処理によって、例えば、図4(b)に示す補完・復元後の輪郭情報が得られる。
【0041】
続いて、一致度判定部19は補完・復元後の輪郭情報とテンプレート輪郭情報との座標のずれの総和Dを求めて、その一致度を判定する。ここでは、一致度判定部19は所定の閾値値Dthより総和Dが大きいか否かを判定する(ステップS210)。
【0042】
例えば、テンプレート輪郭情報における1番目の画素座標(構図画素座標)を(X1,Y1)とし、対応する画像データにおける画素座標(抽出画素座標)を(X2,Y2)とする。この場合、1番目の画素座標のずれ量は式(1)で表される。
【0043】
【数1】

【0044】
そして、輪郭情報を構成する画素がn(nは2以上の整数)個あって、テンプレート輪郭情報における画素座標を(X1,Y1)、対応する画像データにおける画素座標を(X2,Y2)とする。n番目の座標のずれ量は式(2)で表される。
【0045】
【数2】

【0046】
図4(c)にはテンプレート輪郭情報における画素座標(X1,Y1)と画像データにおける画素座標(X2,Y2)との関係が示されている。そして、ずれ量の総和Dは式(3)によって求められる。
【0047】
【数3】

【0048】
この際、対応する画像データの輪郭情報およびテンプレート輪郭情報のX軸およびY軸方向のずれ量がそれぞれCXおよびCYとして算出される。n番目の座標の場合にはずれ量CXnおよびCYnはそれぞれ式(4)および(5)で表される。
【0049】
【数4】

【0050】
上記の座標(X1,Y1)および(X2,Y2)とずれ量CX、CY、およびDとの関係は図4(d)で示される。
【0051】
ずれ量が所定の閾値を超えていると、つまり、D>Dthであると判定されると(ステップS210において、YES)、構図輪郭変更部14はステップS210で求めたずれ量がゼロになるようにテンプレート輪郭情報を構成する各画素の座標を変更する(ステップS211)。そして、処理はステップS210に戻って、一致度判定部19は再度一致度を求める。図4(e)は構図輪郭変更部14による座標変更後のテンプレート輪郭情報の一例を示す。
【0052】
Dn≦Dthと判定されると(ステップS210において、NO)、CPU2において表示画像生成部7は座標変更後のテンプレート輪郭情報をスルー画に重畳して表示部9に表示する(ステップS212)。そして、CPU2はユーザによる構図テンプレートの輪郭変更を受け付ける(ステップS213)。図4(f)は座標変更後のテンプレート輪郭情報をスルー画に重畳表示した状態を示す。
【0053】
ユーザは表示部9に表示されたテンプレート輪郭情報を目視して、当該輪郭に不満がある場合には、操作部12を操作して輪郭の修正を行う。前述のように輪郭は複数の座標データの集合によって構成されているので,ユーザはこれらの座標点を操作部12で移動することで輪郭の修正を行う。
【0054】
次に、CPU2はユーザによってレリーズボタンを全押しされたか否かを判定する(ステップS214)。レリーズボタンが全押しされないと(ステップS214において、NO)、CPU2は待機する。
【0055】
一方、レリーズボタンが全押しされると(ステップS214において、YES)、CPU2の制御下でAFE4は撮像センサ5に対して本画像用駆動を行って本撮影画像データを画像一時メモリ6に格納する(ステップS215)。
【0056】
続いて、画像補正部15はステップS213で得られた最終的な輪郭情報を色補正境界として(ステップS216)、画像補正部15は当該色補正境界の領域毎に構図テンプレートに設定された表示色と,取得した画像データの当該色補正境界内にある全画素の色データの平均との差分を色相,彩度,明度それぞれに対して算出し,領域内の画像データに対して一律シフトによる色補正処理を実行する(ステップS217)。画像補正部15は色補正処理後の画像データを記録部16に記録して(ステップS218)、処理を終了する。
【0057】
このように、上述の実施形態では、色補正情報を含む構図テンプレートを用いて撮影を行う際、スルー画の輪郭情報に応じて構図テンプレートの輪郭情報を修正するようにしたので、構図テンプレートの輪郭とスルー画の輪郭とがずれた場合でもあっても色補正を的確に行うことができる。
【0058】
なお、上述の説明から明らかなように、一致度判定部19および構図輪郭変更部14が輪郭情報変更手段として機能する。また、表示画像生成部7および液晶表示ドライバ8が表示制御手段として機能する。さらに、操作部12およびCPU2が設定手段として機能する。
【0059】
以上,本発明を実施の形態に基づいて詳述してきたが,本発明はこれら特定の実施の形態に限られるものではなく,この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0060】
例えば、上記の実施の形態では,デジタルカメラを例に挙げて説明したが、デジタルビデオカメラ又はカメラ付き携帯電話機などにも適用することができる。
【0061】
また、上記の実施の形態では、構図テンプレートを操作部からの入力するようしたが、ネットワークから構図テンプレートをダウンロードして構図テンプレート保存部17に保存するようにしてもよい。この場合、ネットワーク上に用意された複数の構図テンプレートの中からユーザ所望の構図テンプレートを選択して、構図テンプレート保存部17にダウンロードする。
【0062】
さらに、上記の実施の形態では、輪郭抽出処理を行う際に微分法を用いたが、画像の輝度を反転して強調する手法又は数値演算による抽出手法を用いるようにしてもよい。
【0063】
加えて、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を撮像装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、この制御プログラムを撮像装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0064】
この際、制御方法および制御プログラムの各々は、少なくとも輪郭抽出ステップ、輪郭情報ステップ、および画像補正ステップを有することになる。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0065】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0066】
4 AFE(アナログフロントエンド)
5 撮像センサ
7 表示画像生成部
9 表示部
12 操作部
14 構図輪郭変更部
15 画像補正部
17 構図テンプレート保存部
18 輪郭抽出部
19 一致度判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された構図情報に応じて撮影を行う撮像装置であって、
前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、
撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する輪郭抽出手段と、
予め選択された前記構図情報の輪郭を示す構図輪郭情報と前記抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する輪郭情報変更手段と、
変更後の構図輪郭情報に応じて前記画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて前記閉領域毎に前記色設定情報に応じて色補正を行う画像補正手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影前に前記撮像レンズを介して得られたスルー画像に前記選択された構図情報の輪郭を重畳して表示部に表示する表示制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記輪郭情報変更手段は、前記抽出輪郭情報が示す輪郭を構成する画素の座標である抽出画素座標と構図輪郭情報が示す輪郭を構成する画素の座標である構図画素座標とのずれ量に応じて構図輪郭情報を変更する否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記輪郭情報変更手段は、前記ずれ量が所定の閾値を超えると前記構図輪郭情報を変更することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
構図輪郭情報を変更すると判定すると、前記輪郭情報変更手段は、前記ずれ量に応じて構図輪郭情報を変更することを特徴とする請求項3又は4に記載の撮像装置。
【請求項6】
構図輪郭情報の変更を設定する設定手段を備え、
前記輪郭情報変更手段は、前記設定手段による設定に応じて構図輪郭情報を変更することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された構図情報に応じて撮影を行う撮像装置の制御方法であって、
前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、
撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する輪郭抽出ステップと、
予め選択された前記構図情報の輪郭を示す構図輪郭情報と前記抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する輪郭情報ステップと、
変更後の構図輪郭情報に応じて前記画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて前記閉領域毎に前記色設定情報に応じて色補正を行う画像補正ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された構図情報に応じて撮影を行う撮像装置で用いられる制御プログラムであって、
前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、
前記撮像装置が備えるコンピュータに、
撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データについてその輪郭を示す輪郭情報を抽出輪郭情報として抽出する輪郭抽出ステップと、
予め選択された前記構図情報の輪郭を示す構図輪郭情報と前記抽出輪郭情報とを比較して、当該比較結果に応じて構図輪郭情報を変更する輪郭情報ステップと、
変更後の構図輪郭情報に応じて前記画像データを補正する際、変更後の構図輪郭情報に基づいて前記閉領域毎に前記色設定情報に応じて色補正を行う画像補正ステップとを実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−46160(P2013−46160A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181676(P2011−181676)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】