撮像装置、その焦点調整方法およびプログラム
【課題】撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなった場合であっても、良好に合焦できるようにすることを目的とする。
【解決手段】撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出手段と、焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測手段と、合焦度算出手段により算出される合焦度および形状予測手段による結果に基づいてフォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定手段と、を有する。
【解決手段】撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出手段と、焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測手段と、合焦度算出手段により算出される合焦度および形状予測手段による結果に基づいてフォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、その焦点調整方法及びプログラムに関するものである。詳しくは、オートフォーカス方式の撮像装置に用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置のオートフォーカス方法としては、例えば、CCD素子などの撮像素子から得られる輝度信号に基づいてフォーカスレンズを移動させることにより、被写体に焦点を合わせる方法が用いられている。具体的には、撮像画面内に設定された測距領域内における信号の高周波成分を積分することで、測距領域内のコントラストを示す焦点評価値を算出する。そして、撮像装置は、焦点評価値が増加する方向にフォーカスレンズを動かしながら焦点評価値を算出し、焦点評価値が最も高くなるフォーカスレンズの位置(すなわち、合焦点)を検出する。この動作を「山登り動作」と呼ぶ。
【0003】
そして、撮像装置は、合焦点近傍において、フォーカスレンズを前後方向に微小に移動させながら焦点評価値を取得し、フォーカスレンズの位置が、焦点評価値の最大値(=焦点評価値の曲線の山の頂点)にあることを確認する。この動作を、「ウォブリング動作」と呼ぶ。フォーカスレンズの位置が、焦点評価値が最大となる位置にないと検出された場合には、撮像装置は、フォーカスレンズを焦点評価値が最大となる位置に移動させる。このようにして、撮像装置は、フォーカスレンズを合焦状態に維持するように制御する。
【0004】
撮像装置には、山登り動作やウォブリング動作において、焦点評価値に基づいてフォーカスレンズの当該位置における合焦度(=ピントが合っている度合い)を算出し、算出した合焦度に基づいてフォーカスレンズの駆動条件を切り替える技術が知られている。例えば、合焦度が低いほど、山登り動作においてはフォーカスレンズの移動速度を大きくし、ウォブリング動作においてはフォーカスレンズの移動量を大きくする。一方、合焦度が高いほど、山登り動作においてはフォーカスレンズの移動速度を小さくし、ウォブリング動作においてはフォーカスレンズの移動量を小さくする。このような方法によれば、合焦度が低い状態から高い状態への復帰を早くでき、合焦点近傍では、フォーカスレンズが合焦点を通過する量を抑えることが可能となる。
【0005】
ただし、このようなオートフォーカスの方法では、合焦度がピントの変化に対応して適切な変化傾向を示す必要がある。このため、輝度信号に含まれるノイズが大きくなると、合焦度が期待した変化傾向を示さなくなることがある。そうすると、期待した速度制御が実現できず、合焦点近傍にてオートフォーカスの動作が安定しないことがある。
【0006】
例えば、特許文献1には、合焦度の算出方法として撮像信号中の同一ポイントにおける異なる周波数成分を抽出する手段を備え、周波数の高い信号成分を低い方の信号成分で除算し、高い周波数成分を低い周波数成分によって正規化する方法が記載されている。特許文献1によれば、正規化された出力を用いることで低コントラスト等の被写体の状態にかかわらず正確で誤動作のない焦点調整を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05-145827号公報
【特許文献2】特開平06-086143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載されている方法では、周波数の高い信号成分を低い方の信号成分で除算しているが、周波数の高い信号成分を抽出する場合は撮像信号中に含まれるノイズ成分の影響を受けやすい傾向にある。例えば、低照度シーンなどのように本来の信号成分よりもノイズ成分の影響が強く出る場合には、ノイズが作り出す高周波成分により実際のピント位置によらず周波数の高い信号成分が高い値で出力される場合がある。そのため、このようなシーンでは正規化された合焦度が正しい変化傾向を示さないという課題がある。
【0009】
また、例えば特許文献2には、撮像信号より特定の周波数成分を抽出した焦点評価値より一次、二次の微分量を求め、その微分量に基づいてフォーカスレンズの速度を制御する方法が記載されている。従来の一定時間内の焦点評価値の変化量を用いて速度制御する方式では、同じ合焦点であっても低コントラストな被写体と高コントラストな被写体では抽出される焦点評価値の最大値が異なる。したがって、低コントラストな被写体の場合に合焦点近傍で減速できず、必要以上に通過してしまう可能性があった。しかしながら、特許文献2の方法では一次、二次の微分量の変化傾向を基にフォーカスレンズの速度を制御するため合焦点の焦点評価値の高低に影響されず、ボケた時は速く、合焦点付近では遅くなるようにフォーカスレンズの速度を制御することが可能となる。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載されている方法では、合焦点近傍であるか否かが明確にわかる反面、焦点評価値の一次、二次の微分量を算出する必要があるため複数の焦点評価値を必要とする。また、上述の特許文献1の合焦度のように一回の焦点評価値の取得でピントがどの程度合っているかを判断することが難しい上、合焦点近傍での駆動速度の微調整が難しいという課題がある。
【0011】
本発明は上述したような実情に鑑みてなされたものであり、撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなった場合であっても、良好に合焦できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置であって、前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出手段と、前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測手段と、前記合焦度算出手段により算出される合焦度および前記形状予測手段による結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなった場合であっても、安定した焦点調整動作を行うことができ、良好に合焦できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る焦点調整動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係るウォブリング動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る山登り動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るフォーカス速度設定処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る露出条件判定処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る形状予測処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る1次微分算出処理を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る2次微分算出処理を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る合焦度算出処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る領域特定処理を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係るフォーカス速度選択処理を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る通常照度時の焦点評価値、微分出力、合焦度、フォーカス速度の関係を説明するための図である。
【図14】本実施形態に係るフォーカス速度選択処理を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る低照度時の焦点評価値、微分出力、合焦度、フォーカス速度の関係を説明するための図である。
【図16】本実施形態に係る明るさと速度制御の関係を比較した図である。
【図17】第2の実施形態に係る露出条件判定処理を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態に係る焦点調整動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態は以下に示す通りである。
(第1の実施形態)
以下、本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態ではスルー画像表示中に継続して実施されているAF動作に本発明を適用した例を示す。
【0016】
<撮像装置の全体構成>
まず、本実施形態に係る撮像装置1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る撮像装置1の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すシステム制御部115は、例えばCPU、RAMおよびROMを有する。システム制御部115は、ROMに予め記憶されたプログラムに従い、RAMを作業領域として用いながら撮像装置1全体の動作を制御する。なお、後述する各処理は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)として、主にシステム制御部115によって実行されるものとする。
また、システム制御部115は、AF処理部105が算出した焦点評価値に基づいて合焦位置を特定し、フォーカスレンズ制御部104を制御することでフォーカスレンズを移動させ、自動焦点調整(AF)処理を実施する。焦点評価値は、測距領域内のコントラストの指標となる数値である。
【0017】
撮像レンズ101は、ズーム機能を備える従来一般の撮像レンズを適用できる。絞り・シャッター制御部102は、光量を制御する絞りとシャッターの駆動を制御する。フォーカスレンズ制御部104は、撮像素子108上に焦点を合わせるためにフォーカスレンズの駆動を制御する。なお、絞り・シャッター制御部102とフォーカスレンズ制御部104は、レンズなどの光学要素、絞り・シャッターといった機構、これらを駆動するために必要な各種装置(いずれも図示しない)を含む。各種装置には、前記光学要素や前記機構を駆動するためのアクチュエータや、このアクチュエータを制御する回路や、D/A変換器などが含まれる。
【0018】
発光装置(ストロボ)106は、外部に向けて光を発することにより被写体輝度を調整する。EF処理部107は、システム制御部115から「フラッシュオン」の信号を受けると、発光装置106を制御して発光させる。システム制御部115は、発光装置106を発光させる必要があると判断した場合には、EF処理部107に「フラッシュオン」の信号を送る。
撮像素子108には、入射光を電気信号に変換する受光手段または光電変換手段が適用される。例えば、撮像素子108は、CCDやCMOSイメージャなどの光電変換素子からなり、入射した光を光電変換して撮像信号(画像信号)を生成し出力することができる。撮像処理部109は、CDS回路と非線形増幅回路とA/D変換部とを含む。CDS回路は、撮像素子108の出力ノイズを、相関二重サンプリング方式により除去する。非線形増幅回路は、CDS回路によりノイズが除去された撮像信号に対して信号増幅(ゲイン制御)を行う。A/D変換部は、アナログ信号である撮像信号をデジタル信号に変換する。撮像素子108と撮像処理部109とが、被写体を撮像することにより撮像信号を取得する撮像部として機能する。
【0019】
画像処理部110は、撮像信号(すなわち画像データ)のガンマ補正や輪郭補正などの所定の画像処理を実施する。また、画像処理部110は、WB処理部111の制御に基づき、撮像信号のホワイトバランス処理を行う。フォーマット変換部112は、供給された撮像信号を、画像記録部114における記録媒体への記録や、操作表示部117における表示に適した形式に変換する。DRAM113は、高速な内蔵メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)である。DRAM113は、撮像信号を一時的に記憶できる記憶手段としての高速バッファに使用される。また、DRAM113は、撮像信号の圧縮や伸張における作業用メモリなどとして使用される。画像記録部114は、メモリカードなどの記録媒体とそのインターフェースからなり、撮像信号を記録する。
【0020】
AE処理部103は、撮像部(撮像素子108および撮像処理部109)より取得された撮像信号を基に、被写体の明るさに応じた測光値を算出する。すなわち、AE処理部103と撮像処理部109は、被写体撮像時の露出条件を検出する露出条件検出部として機能する。また、AE処理部103は、被写体輝度が低い場合などに、撮像信号を増幅させて適正露出を維持するための信号増幅量(ゲイン量)を決定する。換言すると、AE処理部103は、撮像信号を適正な露出に補正するための信号増幅量(ゲイン量)を決定する。そして、システム制御部115は、AE処理部103が算出した測光値に基づいて、絞りシャッター制御部102と撮像処理部109の非線形増幅回路とを制御する。このようにシステム制御部115は、露光量を自動的に調整する。換言すると、システム制御部115は、露出条件検出部が検出した露出条件を用いて、自動露出(AE)処理を実施する。
【0021】
AF処理部105は、撮像部(撮像素子108および撮像処理部109)より取得された撮像信号を基に、複数の周波数成分を抽出して焦点評価値を算出する。すなわち、AF処理部105は、焦点評価値を算出する焦点評価値算出部として機能する。なお、本実施形態では高い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値を焦点評価値H、低い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値を焦点評価値Lの2つの出力を使い分けることにする。
VRAM(画像表示用メモリ)116は、撮像信号などを記録する。操作表示部117は、画像表示や操作補助のための表示やカメラ状態の表示を行うことができる。また、操作表示部117は、撮影時においては、撮影画面を表示することができる。メインスイッチ(メインSW)118は、撮像装置1の電源をON/OFFするためのスイッチである。第一のスイッチ(SW1)119は、AFやAE等の撮影スタンバイ動作(撮影準備動作)を行うためのスイッチである。第二のスイッチ(SW2)120は、第一のスイッチ119が操作された後に、撮像を行うためのスイッチである
【0022】
<基本動作>
次に、本実施形態の焦点調整動作の基本的な流れを説明する。
本実施形態の焦点調整動作は動画記録中および待機中に継続して実施される。
図2は焦点調整動作の大まかな流れを示すフローチャートである。図2に示す焦点調整動作の処理は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)として、システム制御部115のROMなどに記憶される。そして、メインスイッチ118が操作されて電源が投入され、撮像装置1が起動した後に、主にシステム制御部115およびフォーカスレンズ制御部104が実行する。
【0023】
撮像装置1のシステム制御部115は、起動後においては、焦点評価値の取得を周期的かつ継続的に実施する。
まず、ステップS200において、フォーカスレンズ制御部104は、ウォブリング動作を実行する。なお、ウォブリング動作の詳細については後述する。ステップS201では、システム制御部115は、ステップS200の判定結果が合焦であるか否かを判定する。合焦していると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS205に進む。合焦していないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS202に進む。
【0024】
ステップS202では、システム制御部115は、合焦点の方向を判定する。すなわち、システム制御部115は、合焦点がフォーカスレンズの現在の位置の前後いずれの方向にあるかを判定する。ステップS202において合焦点の向きが判定できなかった場合には(「No」の場合には)、ステップS200に戻り、ウォブリングを継続する。ステップS202において、合焦点の向きが判定できた場合には(「Yes」の場合には)、ステップS203に進む。
【0025】
ステップS203では、フォーカスレンズ制御部104は、「山登り動作」を実施する。「山登り動作」は、焦点評価値が大きくなる方向に向けて、ウォブリングよりも高速でフォーカスレンズを移動させる動作である。なお、「山登り動作」の詳細は後述する。
ステップS204では、システム制御部115は、ステップS203の山登り動作により焦点評価値の頂点を越え合焦点を検出できたか否かを判定する。ステップS204において、焦点評価値の頂点を越えたと判定されない場合には(「No」の場合には)、ステップS203に戻り、山登り動作を継続する。ステップS204において、焦点評価値の頂点を越えたと判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS200に進み、フォーカスレンズ制御部104は、ウォブリング動作にて合焦位置に収束させる。
【0026】
一方、ステップS201において、合焦していると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS205に進む。ステップS205では、システム制御部115は、合焦状態における焦点評価値をDRAM113に記憶する。DRAM113に記憶された焦点評価値は、ステップS206およびステップS207において、焦点調整動作の再起動判定に用いられる。
ステップS206では、システム制御部115は、ステップS205において記憶された合焦状態での焦点評価値と最新の焦点評価値とを比較する、再起動判定を行う。ステップS207では、システム制御部115は、ステップS206における再起動判定の結果を用いて、再起動条件が成立したか否かを判定する。具体的には、ステップS205において記憶された合焦状態での焦点評価値と、最新の焦点評価値との差が所定のレベル以上である場合には、焦点調整動作の再起動条件が成立したと判定される。ステップS207において再起動条件が成立したと判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS200に戻り、焦点調整動作を再開する。一方、再起動条件が成立したと判定されなかった場合には(「No」の場合には)、ステップS206に戻る。
その後、システム制御部115は、周期的に取得される焦点評価値に基づいて、再起動判定を繰り返す。すなわち、焦点評価値の変化の監視を継続する。
【0027】
以上、説明したとおり、AF動作においては、撮像装置1のシステム制御部115は、ウォブリング動作と、山登り動作と、再起動判定とを継続的に実施する。システム制御部115は、このAF動作により合焦状態を維持するようにフォーカスレンズを制御する。
【0028】
<ウォブリング動作>
次に、ウォブリング動作について説明する。ウォブリング動作は、合焦位置や合焦位置の方向を特定するための低速なAF動作である。ウォブリング動作では、断続的にフォーカスレンズを所定の量ずつ移動させ、取得された焦点評価値の増減に基づいて合焦点や合焦点の存在する方向を特定する。ウォブリング動作は、第1の焦点調整手段による処理の一例に対応する。図3は、ウォブリング動作の処理を示すフローチャートである。
【0029】
ステップS300では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値を取得する。
ステップS301では、システム制御部115は、ステップS300において取得した焦点評価値とそれよりも以前に取得した焦点評価値とが作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)を判定する。具体的には、今回取得した焦点評価値と前回取得した焦点評価値とを比較し、所定のレベルの上昇または下降があるか否かを判定する。なお、ステップS301の形状判定で判定に用いられる焦点評価値は焦点評価値Hと焦点評価値Lを加算したものとする(以後、ウォブリング動作においては焦点評価値という)。システム制御部115は、焦点評価値がフォーカスレンズの現在の進行方向に対して下降した場合には、反転条件が成立したと判定する。なお、システム制御部115は、反転条件が成立した位置を所定の回数にわたって記憶する。記憶した反転条件が成立した位置は、後述するステップS302における判定に使用される。
【0030】
一方、焦点評価値の連続した上昇の場合、システム制御部115は、その回数(カウンタ値)を計測する。システム制御部115は、焦点評価値の上昇が所定の回数にわたって連続した場合には、現在の進行方向に焦点評価値のピークがあると判定する。すなわち、フォーカスレンズの進行方向を、現在の進行方向に特定する。このように、ステップS301においては、システム制御部115は、ウォブリング動作における焦点評価値が作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)の判定を行う。
【0031】
ステップS302では、システム制御部115は、ウォブリング動作におけるフォーカスレンズの進行方向の反転条件が成立したか否かを判定する。反転条件が成立していると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS303に進む。ステップS303では、システム制御部115は、フォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズを、直前の進行方向と反対の方向に所定の距離だけ移動させる。
一方、ステップS302において反転条件が成立していないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS304に進む。ステップS304では、システム制御部115はフォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズを、直前の進行方向と同じ方向に所定の距離だけ移動させる。
【0032】
ステップS305では、システム制御部115は、フォーカスレンズの移動方向が、所定の回数にわたって連続して同一であるか否かを判定する。この判定には、ステップS301において計測した回数(カウンタ値)を用いる。同一であると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS307に進む。ステップS307では、システム制御部115は、合焦評価値のピーク値が存在する方向が、フォーカスレンズの現在の進行方向に存在すると判定する。すなわち、合焦評価値のピーク値の方向が特定される。
一方、ステップS305においてフォーカスレンズの移動方向が所定の回数にわたって同一であると判定されなかった場合には(「No」の場合には)、ステップS306に進む。
【0033】
ステップS306では、システム制御部115は、所定の回数のステップS302の判定にわたってフォーカスレンズが同一エリア内に存在しているか否かを判定する。この判定においては、ステップS301において方向反転時に記憶された位置情報を用いる。ステップS306において、所定の回数にわたって同一エリア内に存在していると判定されなかった場合には(「No」の場合には)、ウォブリング動作を終了する。一方、所定の回数にわたってフォーカスレンズが同一エリアに存在すると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS308に進む。
ステップS308では、システム制御部115は、フォーカスレンズが合焦位置にあると判定する。このように、焦点評価値の山の頂上近傍において、焦点評価値の上昇と下降とが互いに近いタイミングで現れた場合には、上記のような処理が実施されることになる。
以上のとおり、システム制御部115は、ウォブリング動作を実施する。
【0034】
<山登り動作>
次に、山登り動作について説明する。山登り動作は、合焦位置を特定するためのウォブリング動作よりも高速なAF動作である。すなわち、山登り動作においては、連続的に所定速度でフォーカスレンズを移動させ、取得された焦点評価値の増減によって合焦位置を特定する。山登り動作は、第2の焦点調整手段による処理の一例に対応する。図4は、山登り動作の処理を示すフローチャートである。
【0035】
ステップS400では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値と対応するレンズ位置を取得する。
次に、ステップS401では、システム制御部115は、フォーカス速度設定処理を実行する。詳細は後述するが、取得した焦点評価値や対応するレンズ位置に基づいて山登り動作におけるフォーカスレンズの駆動速度を決定し設定する。
【0036】
ステップS402では、システム制御部115は、ステップS400において取得した焦点評価値とそれよりも過去に取得した焦点評価値とから、焦点評価値が作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)を判定する。なお、ステップS402の山登り形状判定で判定に用いられる焦点評価値はより低い周波数成分によって算出された焦点評価値Lとする(以後、山登り動作においては焦点評価値という)。具体的には、取得した評点評価値が所定の回数にわたって連続して上昇傾向を示し、その後下降傾向を示した場合には、システム制御部115は、山の頂点の位置(ピーク位置)が検出されたと判定する。一方、取得した焦点評価値が、フォーカスレンズの進行方向に沿って、所定の回数にわたって連続して下降傾向を示した場合には、システム制御部115は、山の頂点の位置から遠ざかっていると判定する。山の頂点から遠ざかっていると判定された場合には、システム制御部115は、フォーカスレンズの進行方向を反転する条件が成立したと判定する。なお、山の形状の判定に必要な数の焦点評価値が取得されていない場合や、焦点評価値の上昇または下降が明確に判定できない場合には、現在の山登り動作を継続する(すなわち、現状維持と判定する)。
【0037】
ステップS403においては、システム制御部115は、ステップS402の結果に基づいて、フォーカスレンズの進行方向を反転する条件が成立したか否かを判定する。成立している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS407に進む。ステップS407では、システム制御部115はフォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズの進行方向を、その直前の進行方向に対して逆方向に設定する。フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズを、設定した進行方向に移動させる。
【0038】
一方、ステップS403において反転条件が成立していないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS404に進む。ステップS404では、システム制御部115は、ステップS402の結果に基づいて、合焦点が検出されているか否かを判定する。ステップS404において合焦点が検出されている場合にはステップS406に進む。ステップS406では、システム制御部115は、ステップS402の判定に基づいて、フォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズを停止させる。
【0039】
一方、ステップS404において合焦点が検出されていないと判定された場合には、ステップS405に進む。ステップS405では、システム制御部115はフォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズの進行方向をこれまでと同じ方向に設定する。なお、ステップS405とステップS407では、システム制御部115は、ステップS401において設定された駆動速度によって、フォーカスレンズを駆動する。また、初回においては、ステップS402の判定結果は合焦点が検出できないと判定される上、ステップS403の反転条件も成立しない。したがって、ステップS405では移動を開始していない(=停止中の)フォーカスレンズを、ウォブリング動作において検出した進行方向に向かって移動させる。そして、二回目以降は、ステップS402およびステップS403において決定された処理条件に基づいて、移動中のフォーカスレンズの進行方向を設定するとともに、駆動速度を変更する。
以上のとおり、システム制御部115は、山登り動作を実施する。
【0040】
<フォーカス速度設定処理>
次に、フォーカス速度設定処理について説明する。フォーカス速度設定処理とは、上述した山登り動作においてフォーカスレンズの駆動速度を焦点状態に応じて可変させることを目的とした、駆動速度を決定するための一連の処理である。図5は、フォーカス速度設定処理を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS500は、撮影している被写体が通常照度か低照度かを判定するための露出条件判定であり、判定結果は後に続く処理に用いられる。詳細については後述する。
次に、ステップS501では、システム制御部115は、焦点評価値と対応するレンズ位置を記憶する。ステップS502では、システム制御部115は、焦点評価値とレンズ位置とが作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)に基づき、山のピーク位置(合焦点)を中心として、その近傍を複数の領域に分割し、現在のフォーカスレンズ位置がどの領域に属するかを判定する。詳細については後述する。
【0042】
ステップS503では、システム制御部115は、ピントがどの程度あっているかを判定するため、焦点評価値を正規化した合焦度を算出する。詳細については後述する。ステップS504では、システム制御部115は、ステップS500で判定された露出条件に関する判定結果を読み出す。続いて、ステップS505では、システム制御部115は、ステップS504で読み出した判定結果に基づいて低照度シーンであるか否かを判定する。低照度シーンであると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS507に進む。ステップS507では、システム制御部115は、フォーカス速度選択処理(低照度)を実行する。
【0043】
一方、ステップS505で低照度シーンではないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS506に進む。ステップS506では、システム制御部115は、フォーカス速度選択処理(通常照度)を実行する。なお、ステップS506、ステップS507では、被写体の明るさによって切り替えているが、いずれも先に述べた露出条件判定、形状予測処理、合焦度算出処理の結果を用いて、山登り動作におけるフォーカスレンズの駆動速度を決定する処理である。詳細については後述する。
【0044】
ステップS506、ステップS507にて駆動速度が確定した後、ステップS508に進み、システム制御部115は、決定した駆動速度を記憶する。ここで記憶したフォーカスレンズの駆動速度は、上述した山登り処理にて実際に反映される。
以上のとおり、システム制御部115はフォーカス速度設定処理を実施する。
【0045】
<露出条件判定処理>
次に、露出条件判定処理について説明する。図6は露出条件判定処理を示すフローチャートである。
ステップS600では、システム制御部115は、現在設定されているゲイン量を取得する。この処理では、現在の露出条件のうち撮像処理部109における非線形増幅回路での信号増幅量(以下、ゲイン量という)を取得することにより行う。AE処理部103、システム制御部115によって実施される自動露出(AE)処理によりゲイン量は制御され、例えば、明るいシーンで撮像信号が所望の信号レベルを維持できる場合にはゲイン量は少なくてすむ。しかしながら、暗いシーンで所望の信号レベルを維持できない場合にはゲイン量は大きくなる傾向にある。
【0046】
次に、ステップS601では、システム制御部115は、低照度シーンであるか否かを判定する。具体的には、システム制御部115は、ゲイン量の基準値(低照度ゲイン閾値)とステップS600で取得したゲイン量とを比較し、現在のゲイン量が低照度ゲイン閾値よりも大きいか否かを判定する。現在のゲイン量が低照度ゲイン閾値よりも大きい場合には(「Yes」の場合には)、ステップS602に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「低照度」としてDRAM113に記憶する。一方、ステップS601にて現在のゲイン量が低照度ゲイン閾値よりも大きくない場合には(「No」の場合には)、ステップS603に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「通常照度」としてDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は露出条件判定処理を実施する。
【0047】
<形状予測処理>
次に、形状予測処理について説明する。図7は形状予測処理を示すフローチャートである。形状予測処理では、焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測し、現在のレンズ位置を判定する。
まず、ステップS700では、システム制御部115は、予め図4のステップS400にて記憶されている焦点評価値およびそれに対応するレンズ位置を用いて、焦点評価値とレンズ位置とが作り出す山の形状に基づいて、その1次微分出力である山の傾きを求める。システム制御部115は、求めた山の傾きをDRAM113に記憶する。処理の詳細については後述する。
ステップS701では、システム制御部115は、焦点評価値の2次微分出力を求める。具体的には、システム制御部115は、ステップS700で求めた焦点評価値の山の傾きの出力に基づいて、山の傾きの変化をさらに算出する。処理の詳細については後述する。
【0048】
次に、ステップS702では、システム制御部115は、現在のレンズ位置が合焦点に対してどの程度近づいているかを判定する領域特定処理を実施する。この処理では、システム制御部115は、ステップS700、ステップS701の1次、2次の微分出力に基づいて、現在のレンズ位置と合焦点との関係を予測する。処理の詳細については後述するが、焦点評価値に対する1次、2次の微分出力の関係は図13の下部のようになる。つまり、合焦点の位置(=焦点評価値が最大となる位置)では1次微分出力は0となる一方、1次微分出力が最大となる位置(=合焦点の近傍で焦点評価値が形成する山の傾きが最も急峻となる位置)では2次微分出力が0となる。したがって、1次、2次微分出力の変化を監視、判定することで大まかに合焦点と現在のレンズ位置との関係を判定することが可能である。
以上のとおり、システム制御部115は形状予測処理を実施する。
【0049】
<1次微分算出処理>
次に、1次微分算出処理について説明する。図8は1次微分算出処理を示すフローチャートである。なお、1次微分算出処理に用いられる焦点評価値はより低い周波数成分によって算出された焦点評価値Lとする(以後、山登り動作においては焦点評価値という)。
【0050】
まず、ステップS800では、システム制御部115は、直近の焦点評価値(AF1)とその焦点評価値に対応するレンズ位置(P1)を取得する。焦点評価値および対応するレンズ位置は予め図4のステップS400にてDRAM113に記憶されており、1次微分を算出するために必要な数だけ直近のものから一定数分の情報が記憶されている。システム制御部115は、DRAM113から該当する情報を読み出す。
【0051】
次に、ステップS801では、システム制御部115は、ステップS800と同様に一定時間前の焦点評価値(AF2)とその焦点評価値に対応するレンズ位置(P2)を取得する。ステップS802では、システム制御部115は、ステップS800とステップS801で取得した焦点評価値の差とレンズ値の差とを求め除算する。ステップS803では、システム制御部115は、計算の結果によって求められた1次微分出力D1をDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は1次微分算出処理を実施する。
【0052】
<2次微分算出処理>
次に、2次微分算出処理について説明する。図9は2次微分算出処理を示すフローチャートである。まず、ステップS900では、システム制御部115は、予め図8のステップS803にてDRAM113に記憶されている1次微分出力(D11)と対応するレンズ位置(P1)を取得する。
同様に、ステップS901では、システム制御部115は、一定時間前の1次微分出力(D12)と対応するレンズ位置(P2)を取得する。ステップS902では、システム制御部115は、ステップS900とステップS901で取得した1次微分出力の差とレンズ値の差とを求め除算する。ステップS903では、システム制御部115は、計算の結果によって求められた2次微分出力D2をDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は2次微分算出処理を実施する。
【0053】
<合焦度算出処理>
次に、合焦度算出処理について説明する。図10は合焦度算出処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1000では、システム制御部115は、最新の焦点評価値のうち高い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値HをDRAM113より読み出す。同様に、ステップS1001では、システム制御部115は、最新の焦点評価値のうち低い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値LをDRAM113より読み出す。
【0054】
次に、ステップS1002では、システム制御部115は、ステップS1000で読み出した焦点評価値HをステップS1001で読み出した焦点評価値Lで除算し正規化する。本実施形態では、ステップS1001で求めた値を合焦度と呼ぶ。図13に示す例では、ステップS1002で焦点評価値を正規化した出力は合焦点付近でおおよそ1となり、そこから外れるに従って値が下がる傾向になる。したがって、システム制御部115は、この信号の変化傾向を調べることで、合焦位置の近傍であるか否かを判定することができる。
次に、ステップS1003では、システム制御部115は、ステップS1002で求めた合焦度をDRAM113に記憶する。ここで記憶された合焦度は後述するフォーカス速度設定処理にて用いられる。
以上のとおり、システム制御部115は合焦度算出処理を実施する。
【0055】
<領域特定処理>
次に、領域特定処理について説明する。図11は領域特定処理を示すフローチャートである。なお、領域特定処理では図13の下部で示した焦点評価値の1次、2次の微分出力の変化傾向に応じて「領域0」、「領域1」、「領域2」の3つの領域を特定することを目的とする。図13において、「領域0」は合焦点から外れた領域、「領域1」は合焦点に比較的近く、「領域2」は合焦点近傍を示している。
【0056】
まず、ステップS1100では、システム制御部115は、図6を用いて上述した露出条件判定処理の判定結果をDRAM113より読み出す。次に、ステップS1101では、システム制御部115は、ステップS1100で読み出した結果が低照度であるか否かを判定する。ステップS1101において低照度ではないと判定される場合には(「No」の場合には)、ステップS1102に進む。ステップS1102では、システム制御部115は、後述する1次、2次微分出力の大きさを判定する際に使用する通常照度用の閾値(D1閾値、D2閾値)を選択し設定する。
【0057】
一方、ステップS1101において、低照度であると判定される場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1103に進む。ステップS1103では、システム制御部115は、低照度用の閾値(D1閾値、D2閾値)を選択し設定する。つまり、通常照度シーンと低照度シーンとで閾値を切り替えて判定に用いる。なお、低照度シーンの場合、撮像信号に含まれるノイズ成分の影響を受けやすく、かつ本来の信号成分が少なくなるため図15に示すように算出された焦点評価値は緩やかな変化傾向になりやすい。そのため、そこから算出される1次、2次微分出力への影響を考慮し、通常照度シーンと低照度シーンとで閾値を切り替える。
【0058】
次に、ステップS1104では、システム制御部115は、直前の判定結果が「領域0」であるか否かを判定する。 なお、この直前の判定結果はDRAM113に記憶されており、領域特定処理を実施するに当たり、山登り動作が開始される際に事前に「領域0」に初期化されているものとする。ここで、直前の判定結果が「領域0」の場合はステップS1105に進む。
ステップS1105では、システム制御部115は、先に求めた1次微分出力D1を読み出しその絶対値がステップS1102もしくはステップS1103で決定した閾値よりも大きいか否かを判定する。閾値よりも大きい場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1106に進み、システム制御部115は、先に求めた2次微分出力D2を読み出しその絶対値がステップS1102もしくはステップS1103で決定した閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップS1105およびステップS1106の条件を満たす場合には、ステップS1107において、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域1」に属すると判定し、その結果を記憶する。ステップS1108では、システム制御部115は、「領域1」にどのくらいの期間にレンズ位置があるかを判定するための継続回数をカウントアップして記憶する。なお、ステップS1106では上述した「領域1」の継続回数も判定しており、一定期間以上継続している場合には2次微分出力D2が閾値を下回ることを認めている。これは2次微分出力が1次微分出力のピーク付近で0に近づくように減少するためである。
【0059】
一方、ステップS1105において、閾値以下の場合には(「No」の場合には)、ステップS1109に進み、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域0」に属すると判定し、その結果を記憶する。また、ステップS1106において、閾値以下の場合にも(「No」の場合には)、ステップS1109に進み、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域0」に属すると判定し、その結果を記憶する。すなわち、システム制御部115は、1次、2次微分出力が閾値以下の期間は「領域0」と判定し、閾値よりも大きい期間は「領域1」と判定し、さらに「領域」に属している期間を合わせて記憶する。なお、この継続回数のカウンタは領域の切り替わり時にクリアされるものとし、領域特定処理を実施するに当たり、山登り動作が開始される際に事前に「領域0」に初期化された時点でもクリアされる。
【0060】
ステップS1104において、直前の判定結果が「領域0」でない場合(「No」の場合)、すなわち過去の判定により既に「領域0」以外の判定結果が出されている場合には、ステップS1110に進む。ステップS1110では、システム制御部115は、直前が「領域1」で且つ継続回数を確認し一定期間以上継続しているか否かを判定する。つまり、一定期間の間、1次、2次微分出力が安定して閾値以上を示していたか否かを判定し、条件を満たしている場合、ステップS1111に進む。一方、条件を満たしていない場合にはステップS1105に進み、システム制御部115は、再度「領域0」に属するか「領域1」に属するかを判定する。
【0061】
ステップS1111では、システム制御部115は、2次微分出力D2が0以下であるか否かを判定する。2次微分出力は1次微分出力が最大となる位置で0となる特徴を利用し、この条件を満たす場合はステップS1112において、システム制御部115は、判定結果を「領域2」として記憶し処理を終了する。
以上のとおり、システム制御部115は領域特定処理を実施し、山登り動作中のレンズ位置が「領域0」、「領域1」、「領域2」のいずれに属するかを判定する。
【0062】
<フォーカス速度選択処理(通常照度)>
次に、フォーカス速度選択処理(通常照度)について説明する。図12はフォーカス速度選択処理(通常照度)を示すフローチャートである。
まず、ステップS1200では、システム制御部115は、図5のステップS503にて算出し記憶した合焦度をDRAM113より読み出す。ステップS1201では、システム制御部115は、図5のステップS502にて判定した形状予測処理の結果をDRAM113より読み出す。
【0063】
ステップS1202では、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域2」に属しているか否かを判定する。現在のレンズ位置が「領域2」に属している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1204に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた低速に設定する。
一方、ステップS1202において、現在のレンズ位置が「領域2」に属していないと判定される場合には(「No」の場合には)、ステップS1203に進み、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域1」に属しているか否かを判定する。
【0064】
ステップS1203において、現在のレンズ位置が「領域1」に属している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1205に進み、ステップS1200で読み出した合焦度に応じてフォーカスレンズの駆動速度を算出し設定する。
一方、ステップS1203において、現在のレンズ位置が「領域1」に属していない場合には(「No」の場合には)、ステップS1206に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた高速に設定する。
【0065】
ここまでの駆動速度の設定に関して図13を参照して説明する。まず、図13に示す「領域0」では焦点評価値が作り出す山の形状としては変化が乏しく1次、2次の微分出力のレベルが低くなる。一方で、周波数の高い信号成分を抽出する場合は撮像信号中に含まれるノイズ成分の影響を受けやすい傾向にある。すなわち、合焦点から外れた場合など、本来の信号成分よりもノイズ成分の影響が強く出る場合には、ノイズが作り出す高周波成分により周波数の低い信号成分を抽出した場合よりも高い値で出力される場合がある。そのため、焦点評価値Hを焦点評価値Lで除算し正規化して求めた合焦度は、実際のピントの状態とは連動せずに値が高くなる場合がある(図13に示す合焦度の両端を参照)。
【0066】
そこで、本実施形態では、「領域0」においては合焦度よりも形状予測処理の判定結果を優先し、この領域においては算出された合焦度にかかわらず図13の上部のフォーカス速度のように駆動速度を予め決められた高速に設定する。次に、図13に示す「領域1」においては1次、2次の微分出力が所定の閾値よりも大きく、焦点評価値の変化がある程度見込める。したがって、この領域に属すると判定された場合には、図13のフォーカス速度のように合焦度に応じた駆動速度に設定する。例えば、所定の合焦度(合焦度Low)以下の場合は予め決められた高速に設定し、所定の合焦度(合焦度High)以上の場合は予め決められた低速に設定する。また、合焦度Lowと合焦度Highの中間の場合は、システム制御部115は、合焦度に応じて高速と低速間を線形補間により求める。さらに「領域2」においては合焦位置近傍であるため、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた低速に設定する。
【0067】
このように、形状予測処理から判定されたレンズ位置と合焦点との位置関係および焦点評価値より求めた合焦度の両方の結果を用いて、フォーカスレンズの駆動速度を適切に制御して、合焦点を通り越してしまう量を抑え、より良好な画像を得ることが可能となる。
以上のとおり、システム制御部115はフォーカス速度選択処理(通常照度)を実施する。
【0068】
<フォーカス速度選択処理(低照度)>
次に、フォーカス速度選択処理(低照度)について説明する。図14はフォーカス速度選択処理(低照度)を示すフローチャートである。
まず、ステップS1400では、システム制御部115は、図5のステップS503にて算出し記憶した合焦度をDRAM113より読み出す。ステップS1401では、システム制御部115は、図5のステップS502にて判定した形状予測処理の結果をDRAM113より読み出す。
【0069】
ステップS1402では、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域2」に属しているか否かを判定する。現在のレンズ位置が「領域2」に属している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1403に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた低速に設定する。
一方、ステップS1402において、現在のレンズ位置が「領域2」に属していない場合には(「No」の場合には)、ステップS1404に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた高速に設定する。
【0070】
ここまでの駆動速度の設定に関して図15を参照して説明する。上述した図14に示すフローチャートは低照度シーン向けの制御であり、通常照度時とは異なる制御となっている。周波数の高い信号成分を抽出して焦点評価値を算出する場合、より低い周波数の信号成分を抽出して算出される焦点評価値と比べ、撮像信号中に含まれるノイズ成分の影響を受けやすい傾向にある。特に低照度シーンのように本来の信号成分よりもノイズ成分の影響が強く出る場合には、ノイズが作り出す高周波成分により実際のピント位置によらず周波数の高い信号成分が高い値で出力される場合がある。そのため、図15の合焦度のグラフで示すように焦点評価値Hを焦点評価値Lで除算し正規化して求めた合焦度は、実際のピントの状態とは連動せずに値が高くなってしまう。
【0071】
そこで、フォーカス速度選択処理(低照度)が実施される場合、1次、2次微分出力を用いた形状予測処理にて「領域0」、「領域1」と判定される場合は、この判定結果を合焦度よりも優先する。すなわち、システム制御部115は、図15のフォーカス速度のグラフで示すようにフォーカスレンズの駆動速度を予め決められた高速に設定する。一方、「領域2」と判定される場合には、システム制御部115は、形状予測処理の判定結果を優先し予め決められた低速にフォーカスレンズの駆動速度を設定する。
以上のとおり、システム制御部115はフォーカス速度選択処理(低照度)を実施する。
【0072】
このように、本実施形態では、露出条件に応じてフォーカスレンズの駆動速度を設定するときの判断基準となる合焦度と、形状予測処理の予測結果との優先順位を切り替える。ここで、本実施形態における通常照度時と低照度時とのフォーカス速度設定処理の違いを比較したものを図16に示す。図16(a)が通常照度時、図16(b)が低照度時である。通常照度時は形状予測処理の判定結果および合焦度のうち、信頼性の高いもの、もしくは他の判定結果により信頼性が確保できていると判定されるものに基づいてフォーカスレンズの駆動速度を設定する。一方、低照度時は合焦度の信頼性が落ちることが懸念されるため、相対的に信頼性の高い形状予測処理の判定結果を用いてフォーカスレンズの駆動速度を設定する。
したがって、本実施形態によれば、撮像素子より得られる輝度信号にノイズ成分が多く含まれ、その影響を強く受ける状況であっても、その時点で信頼性の高い情報に基づいてフォーカスレンズの駆動速度を設定することで、安定した焦点調整動作が可能となる。
【0073】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図17のフローチャートを参照して説明する。
第1の実施形態では、撮像処理部109における非線形増幅回路でのゲイン量に基づいて通常照度シーンであるか低照度シーンであるかを判定したが、他の露出条件により判定してもよい。第2の実施形態では、AE処理部103によって算出された被写体の明るさを示す被写体輝度を用いる例を示す。
【0074】
まず、ステップS1700では、システム制御部115は、AE処理部103より現在の被写体輝度を取得する。この処理では、AE処理部103によって実施されている露出制御の結果として算出されている露出条件のうち、被写体の明るさを示す被写体輝度を取得する。
次に、ステップS1701では、システム制御部115は、低照度シーンであるか否かを判定する。具体的には、システム制御部115は、被写体輝度の基準値とステップS1700で取得した被写体輝度とを比較し、現在の被写体輝度が基準値よりも小さいか否かを判定する。現在の被写体輝度が基準値よりも小さい場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1702に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「低照度」としてDRAM113に記憶する。
【0075】
一方、ステップS1701にて現在の被写体輝度が基準値よりも小さくない場合には(「No」の場合には)、ステップS1703に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「通常照度」としてDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は第2の実施形態の露出条件判定処理を実施する。
このように、露出条件判定処理では、低照度シーンであるか通常照度シーンであるかを判定しうる情報を用いればよく、第1の実施形態または第2の実施形態に限定されるものではない。なお、ゲイン量および被写体輝度の両方に基づいて低照度シーンであるか通常照度シーンであるかを判定してもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、フォーカスレンズ速度選択処理において、「領域2」すなわち、合焦点近傍である場合には、駆動速度を予め決められた低速に設定するようにしている。これは、山登り動作を実施するに当たり合焦点を通り越してしまう量を抑えるためである。
第3の実施形態では、合焦点を通り越してしまう量をより抑えることを可能とする。具体的には、図12、図14で示したフォーカスレンズ速度選択処理において、それぞれの判定結果として所属領域が「領域2」と判定され、駆動速度を予め決められた低速に設定する際、この予め決められた低速を速度0(=停止)とするように変更する。
【0077】
更に、図2で示した焦点調整動作のフローチャートを図18に示すフローチャートのように変更する。図2と図18のフローチャートの主な違いはステップS1804とステップS1808、ステップS1809であり、それ以外の処理は同様であるため説明を省略する。
以下、ステップS1803から関連する部分の処理を説明する。
まず、ステップS1803では、フォーカスレンズ制御部104は、山登り動作を実施する。山登り動作は、焦点評価値が大きくなる方向に向けて、ウォブリングよりも高速でフォーカスレンズを移動させる動作である。
ステップS1804では、システム制御部115は、ステップS1803の山登り動作により焦点評価値の頂点を越え合焦点を検出できたか否かを判定する。ステップS1804において、焦点評価値の頂点を越えたと判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1800に進み、フォーカスレンズ制御部104は、細かい移動量で制御されるウォブリング動作にて合焦位置に収束させる。
【0078】
一方、ステップS1804において、焦点評価値の頂点を越えたと判定されない場合には(「No」の場合には)、ステップS1808に進む。ステップS1808では、システム制御部115は、ステップS1803で行われる上述したフォーカスレンズ速度選択処理の結果として、駆動速度が0(=停止)に設定されたか否かを判定する。駆動速度が0以外の場合にはステップS1803に戻り山登り動作を継続する。一方、駆動速度が0となっている場合、すなわち形状予測処理にて「領域2」と判定され、合焦点近傍である可能性が高い場合には、ステップS1809に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズを停止させる。次に、ステップS1800に戻り、フォーカスレンズ制御部104は、ウォブリング動作を開始する。
【0079】
したがって、図12および図14で示したフォーカスレンズ速度選択処理において、「領域2」に属していることが検出された場合には、山登り動作は合焦点を通過せずにその直前で停止し、そこから合焦点まではウォブリング動作にて合焦点に収束する。これにより、通常照度シーン、低照度シーンによらず、合焦点近傍での安定した焦点調整動作が可能となる。
【0080】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述したが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【符号の説明】
【0082】
101:撮影レンズ 104:フォーカスレンズ制御部 105:AF処理部 108:撮像素子 109:撮像処理部 115:システム制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、その焦点調整方法及びプログラムに関するものである。詳しくは、オートフォーカス方式の撮像装置に用いられて好適である。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置のオートフォーカス方法としては、例えば、CCD素子などの撮像素子から得られる輝度信号に基づいてフォーカスレンズを移動させることにより、被写体に焦点を合わせる方法が用いられている。具体的には、撮像画面内に設定された測距領域内における信号の高周波成分を積分することで、測距領域内のコントラストを示す焦点評価値を算出する。そして、撮像装置は、焦点評価値が増加する方向にフォーカスレンズを動かしながら焦点評価値を算出し、焦点評価値が最も高くなるフォーカスレンズの位置(すなわち、合焦点)を検出する。この動作を「山登り動作」と呼ぶ。
【0003】
そして、撮像装置は、合焦点近傍において、フォーカスレンズを前後方向に微小に移動させながら焦点評価値を取得し、フォーカスレンズの位置が、焦点評価値の最大値(=焦点評価値の曲線の山の頂点)にあることを確認する。この動作を、「ウォブリング動作」と呼ぶ。フォーカスレンズの位置が、焦点評価値が最大となる位置にないと検出された場合には、撮像装置は、フォーカスレンズを焦点評価値が最大となる位置に移動させる。このようにして、撮像装置は、フォーカスレンズを合焦状態に維持するように制御する。
【0004】
撮像装置には、山登り動作やウォブリング動作において、焦点評価値に基づいてフォーカスレンズの当該位置における合焦度(=ピントが合っている度合い)を算出し、算出した合焦度に基づいてフォーカスレンズの駆動条件を切り替える技術が知られている。例えば、合焦度が低いほど、山登り動作においてはフォーカスレンズの移動速度を大きくし、ウォブリング動作においてはフォーカスレンズの移動量を大きくする。一方、合焦度が高いほど、山登り動作においてはフォーカスレンズの移動速度を小さくし、ウォブリング動作においてはフォーカスレンズの移動量を小さくする。このような方法によれば、合焦度が低い状態から高い状態への復帰を早くでき、合焦点近傍では、フォーカスレンズが合焦点を通過する量を抑えることが可能となる。
【0005】
ただし、このようなオートフォーカスの方法では、合焦度がピントの変化に対応して適切な変化傾向を示す必要がある。このため、輝度信号に含まれるノイズが大きくなると、合焦度が期待した変化傾向を示さなくなることがある。そうすると、期待した速度制御が実現できず、合焦点近傍にてオートフォーカスの動作が安定しないことがある。
【0006】
例えば、特許文献1には、合焦度の算出方法として撮像信号中の同一ポイントにおける異なる周波数成分を抽出する手段を備え、周波数の高い信号成分を低い方の信号成分で除算し、高い周波数成分を低い周波数成分によって正規化する方法が記載されている。特許文献1によれば、正規化された出力を用いることで低コントラスト等の被写体の状態にかかわらず正確で誤動作のない焦点調整を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05-145827号公報
【特許文献2】特開平06-086143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載されている方法では、周波数の高い信号成分を低い方の信号成分で除算しているが、周波数の高い信号成分を抽出する場合は撮像信号中に含まれるノイズ成分の影響を受けやすい傾向にある。例えば、低照度シーンなどのように本来の信号成分よりもノイズ成分の影響が強く出る場合には、ノイズが作り出す高周波成分により実際のピント位置によらず周波数の高い信号成分が高い値で出力される場合がある。そのため、このようなシーンでは正規化された合焦度が正しい変化傾向を示さないという課題がある。
【0009】
また、例えば特許文献2には、撮像信号より特定の周波数成分を抽出した焦点評価値より一次、二次の微分量を求め、その微分量に基づいてフォーカスレンズの速度を制御する方法が記載されている。従来の一定時間内の焦点評価値の変化量を用いて速度制御する方式では、同じ合焦点であっても低コントラストな被写体と高コントラストな被写体では抽出される焦点評価値の最大値が異なる。したがって、低コントラストな被写体の場合に合焦点近傍で減速できず、必要以上に通過してしまう可能性があった。しかしながら、特許文献2の方法では一次、二次の微分量の変化傾向を基にフォーカスレンズの速度を制御するため合焦点の焦点評価値の高低に影響されず、ボケた時は速く、合焦点付近では遅くなるようにフォーカスレンズの速度を制御することが可能となる。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載されている方法では、合焦点近傍であるか否かが明確にわかる反面、焦点評価値の一次、二次の微分量を算出する必要があるため複数の焦点評価値を必要とする。また、上述の特許文献1の合焦度のように一回の焦点評価値の取得でピントがどの程度合っているかを判断することが難しい上、合焦点近傍での駆動速度の微調整が難しいという課題がある。
【0011】
本発明は上述したような実情に鑑みてなされたものであり、撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなった場合であっても、良好に合焦できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置であって、前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出手段と、前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測手段と、前記合焦度算出手段により算出される合焦度および前記形状予測手段による結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像信号に含まれるノイズの割合が大きくなった場合であっても、安定した焦点調整動作を行うことができ、良好に合焦できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る焦点調整動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係るウォブリング動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る山登り動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るフォーカス速度設定処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る露出条件判定処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る形状予測処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る1次微分算出処理を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る2次微分算出処理を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る合焦度算出処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る領域特定処理を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係るフォーカス速度選択処理を示すフローチャートである。
【図13】本実施形態に係る通常照度時の焦点評価値、微分出力、合焦度、フォーカス速度の関係を説明するための図である。
【図14】本実施形態に係るフォーカス速度選択処理を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る低照度時の焦点評価値、微分出力、合焦度、フォーカス速度の関係を説明するための図である。
【図16】本実施形態に係る明るさと速度制御の関係を比較した図である。
【図17】第2の実施形態に係る露出条件判定処理を示すフローチャートである。
【図18】第3の実施形態に係る焦点調整動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態は以下に示す通りである。
(第1の実施形態)
以下、本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態ではスルー画像表示中に継続して実施されているAF動作に本発明を適用した例を示す。
【0016】
<撮像装置の全体構成>
まず、本実施形態に係る撮像装置1の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る撮像装置1の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すシステム制御部115は、例えばCPU、RAMおよびROMを有する。システム制御部115は、ROMに予め記憶されたプログラムに従い、RAMを作業領域として用いながら撮像装置1全体の動作を制御する。なお、後述する各処理は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)として、主にシステム制御部115によって実行されるものとする。
また、システム制御部115は、AF処理部105が算出した焦点評価値に基づいて合焦位置を特定し、フォーカスレンズ制御部104を制御することでフォーカスレンズを移動させ、自動焦点調整(AF)処理を実施する。焦点評価値は、測距領域内のコントラストの指標となる数値である。
【0017】
撮像レンズ101は、ズーム機能を備える従来一般の撮像レンズを適用できる。絞り・シャッター制御部102は、光量を制御する絞りとシャッターの駆動を制御する。フォーカスレンズ制御部104は、撮像素子108上に焦点を合わせるためにフォーカスレンズの駆動を制御する。なお、絞り・シャッター制御部102とフォーカスレンズ制御部104は、レンズなどの光学要素、絞り・シャッターといった機構、これらを駆動するために必要な各種装置(いずれも図示しない)を含む。各種装置には、前記光学要素や前記機構を駆動するためのアクチュエータや、このアクチュエータを制御する回路や、D/A変換器などが含まれる。
【0018】
発光装置(ストロボ)106は、外部に向けて光を発することにより被写体輝度を調整する。EF処理部107は、システム制御部115から「フラッシュオン」の信号を受けると、発光装置106を制御して発光させる。システム制御部115は、発光装置106を発光させる必要があると判断した場合には、EF処理部107に「フラッシュオン」の信号を送る。
撮像素子108には、入射光を電気信号に変換する受光手段または光電変換手段が適用される。例えば、撮像素子108は、CCDやCMOSイメージャなどの光電変換素子からなり、入射した光を光電変換して撮像信号(画像信号)を生成し出力することができる。撮像処理部109は、CDS回路と非線形増幅回路とA/D変換部とを含む。CDS回路は、撮像素子108の出力ノイズを、相関二重サンプリング方式により除去する。非線形増幅回路は、CDS回路によりノイズが除去された撮像信号に対して信号増幅(ゲイン制御)を行う。A/D変換部は、アナログ信号である撮像信号をデジタル信号に変換する。撮像素子108と撮像処理部109とが、被写体を撮像することにより撮像信号を取得する撮像部として機能する。
【0019】
画像処理部110は、撮像信号(すなわち画像データ)のガンマ補正や輪郭補正などの所定の画像処理を実施する。また、画像処理部110は、WB処理部111の制御に基づき、撮像信号のホワイトバランス処理を行う。フォーマット変換部112は、供給された撮像信号を、画像記録部114における記録媒体への記録や、操作表示部117における表示に適した形式に変換する。DRAM113は、高速な内蔵メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)である。DRAM113は、撮像信号を一時的に記憶できる記憶手段としての高速バッファに使用される。また、DRAM113は、撮像信号の圧縮や伸張における作業用メモリなどとして使用される。画像記録部114は、メモリカードなどの記録媒体とそのインターフェースからなり、撮像信号を記録する。
【0020】
AE処理部103は、撮像部(撮像素子108および撮像処理部109)より取得された撮像信号を基に、被写体の明るさに応じた測光値を算出する。すなわち、AE処理部103と撮像処理部109は、被写体撮像時の露出条件を検出する露出条件検出部として機能する。また、AE処理部103は、被写体輝度が低い場合などに、撮像信号を増幅させて適正露出を維持するための信号増幅量(ゲイン量)を決定する。換言すると、AE処理部103は、撮像信号を適正な露出に補正するための信号増幅量(ゲイン量)を決定する。そして、システム制御部115は、AE処理部103が算出した測光値に基づいて、絞りシャッター制御部102と撮像処理部109の非線形増幅回路とを制御する。このようにシステム制御部115は、露光量を自動的に調整する。換言すると、システム制御部115は、露出条件検出部が検出した露出条件を用いて、自動露出(AE)処理を実施する。
【0021】
AF処理部105は、撮像部(撮像素子108および撮像処理部109)より取得された撮像信号を基に、複数の周波数成分を抽出して焦点評価値を算出する。すなわち、AF処理部105は、焦点評価値を算出する焦点評価値算出部として機能する。なお、本実施形態では高い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値を焦点評価値H、低い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値を焦点評価値Lの2つの出力を使い分けることにする。
VRAM(画像表示用メモリ)116は、撮像信号などを記録する。操作表示部117は、画像表示や操作補助のための表示やカメラ状態の表示を行うことができる。また、操作表示部117は、撮影時においては、撮影画面を表示することができる。メインスイッチ(メインSW)118は、撮像装置1の電源をON/OFFするためのスイッチである。第一のスイッチ(SW1)119は、AFやAE等の撮影スタンバイ動作(撮影準備動作)を行うためのスイッチである。第二のスイッチ(SW2)120は、第一のスイッチ119が操作された後に、撮像を行うためのスイッチである
【0022】
<基本動作>
次に、本実施形態の焦点調整動作の基本的な流れを説明する。
本実施形態の焦点調整動作は動画記録中および待機中に継続して実施される。
図2は焦点調整動作の大まかな流れを示すフローチャートである。図2に示す焦点調整動作の処理は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)として、システム制御部115のROMなどに記憶される。そして、メインスイッチ118が操作されて電源が投入され、撮像装置1が起動した後に、主にシステム制御部115およびフォーカスレンズ制御部104が実行する。
【0023】
撮像装置1のシステム制御部115は、起動後においては、焦点評価値の取得を周期的かつ継続的に実施する。
まず、ステップS200において、フォーカスレンズ制御部104は、ウォブリング動作を実行する。なお、ウォブリング動作の詳細については後述する。ステップS201では、システム制御部115は、ステップS200の判定結果が合焦であるか否かを判定する。合焦していると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS205に進む。合焦していないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS202に進む。
【0024】
ステップS202では、システム制御部115は、合焦点の方向を判定する。すなわち、システム制御部115は、合焦点がフォーカスレンズの現在の位置の前後いずれの方向にあるかを判定する。ステップS202において合焦点の向きが判定できなかった場合には(「No」の場合には)、ステップS200に戻り、ウォブリングを継続する。ステップS202において、合焦点の向きが判定できた場合には(「Yes」の場合には)、ステップS203に進む。
【0025】
ステップS203では、フォーカスレンズ制御部104は、「山登り動作」を実施する。「山登り動作」は、焦点評価値が大きくなる方向に向けて、ウォブリングよりも高速でフォーカスレンズを移動させる動作である。なお、「山登り動作」の詳細は後述する。
ステップS204では、システム制御部115は、ステップS203の山登り動作により焦点評価値の頂点を越え合焦点を検出できたか否かを判定する。ステップS204において、焦点評価値の頂点を越えたと判定されない場合には(「No」の場合には)、ステップS203に戻り、山登り動作を継続する。ステップS204において、焦点評価値の頂点を越えたと判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS200に進み、フォーカスレンズ制御部104は、ウォブリング動作にて合焦位置に収束させる。
【0026】
一方、ステップS201において、合焦していると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS205に進む。ステップS205では、システム制御部115は、合焦状態における焦点評価値をDRAM113に記憶する。DRAM113に記憶された焦点評価値は、ステップS206およびステップS207において、焦点調整動作の再起動判定に用いられる。
ステップS206では、システム制御部115は、ステップS205において記憶された合焦状態での焦点評価値と最新の焦点評価値とを比較する、再起動判定を行う。ステップS207では、システム制御部115は、ステップS206における再起動判定の結果を用いて、再起動条件が成立したか否かを判定する。具体的には、ステップS205において記憶された合焦状態での焦点評価値と、最新の焦点評価値との差が所定のレベル以上である場合には、焦点調整動作の再起動条件が成立したと判定される。ステップS207において再起動条件が成立したと判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS200に戻り、焦点調整動作を再開する。一方、再起動条件が成立したと判定されなかった場合には(「No」の場合には)、ステップS206に戻る。
その後、システム制御部115は、周期的に取得される焦点評価値に基づいて、再起動判定を繰り返す。すなわち、焦点評価値の変化の監視を継続する。
【0027】
以上、説明したとおり、AF動作においては、撮像装置1のシステム制御部115は、ウォブリング動作と、山登り動作と、再起動判定とを継続的に実施する。システム制御部115は、このAF動作により合焦状態を維持するようにフォーカスレンズを制御する。
【0028】
<ウォブリング動作>
次に、ウォブリング動作について説明する。ウォブリング動作は、合焦位置や合焦位置の方向を特定するための低速なAF動作である。ウォブリング動作では、断続的にフォーカスレンズを所定の量ずつ移動させ、取得された焦点評価値の増減に基づいて合焦点や合焦点の存在する方向を特定する。ウォブリング動作は、第1の焦点調整手段による処理の一例に対応する。図3は、ウォブリング動作の処理を示すフローチャートである。
【0029】
ステップS300では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値を取得する。
ステップS301では、システム制御部115は、ステップS300において取得した焦点評価値とそれよりも以前に取得した焦点評価値とが作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)を判定する。具体的には、今回取得した焦点評価値と前回取得した焦点評価値とを比較し、所定のレベルの上昇または下降があるか否かを判定する。なお、ステップS301の形状判定で判定に用いられる焦点評価値は焦点評価値Hと焦点評価値Lを加算したものとする(以後、ウォブリング動作においては焦点評価値という)。システム制御部115は、焦点評価値がフォーカスレンズの現在の進行方向に対して下降した場合には、反転条件が成立したと判定する。なお、システム制御部115は、反転条件が成立した位置を所定の回数にわたって記憶する。記憶した反転条件が成立した位置は、後述するステップS302における判定に使用される。
【0030】
一方、焦点評価値の連続した上昇の場合、システム制御部115は、その回数(カウンタ値)を計測する。システム制御部115は、焦点評価値の上昇が所定の回数にわたって連続した場合には、現在の進行方向に焦点評価値のピークがあると判定する。すなわち、フォーカスレンズの進行方向を、現在の進行方向に特定する。このように、ステップS301においては、システム制御部115は、ウォブリング動作における焦点評価値が作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)の判定を行う。
【0031】
ステップS302では、システム制御部115は、ウォブリング動作におけるフォーカスレンズの進行方向の反転条件が成立したか否かを判定する。反転条件が成立していると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS303に進む。ステップS303では、システム制御部115は、フォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズを、直前の進行方向と反対の方向に所定の距離だけ移動させる。
一方、ステップS302において反転条件が成立していないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS304に進む。ステップS304では、システム制御部115はフォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズを、直前の進行方向と同じ方向に所定の距離だけ移動させる。
【0032】
ステップS305では、システム制御部115は、フォーカスレンズの移動方向が、所定の回数にわたって連続して同一であるか否かを判定する。この判定には、ステップS301において計測した回数(カウンタ値)を用いる。同一であると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS307に進む。ステップS307では、システム制御部115は、合焦評価値のピーク値が存在する方向が、フォーカスレンズの現在の進行方向に存在すると判定する。すなわち、合焦評価値のピーク値の方向が特定される。
一方、ステップS305においてフォーカスレンズの移動方向が所定の回数にわたって同一であると判定されなかった場合には(「No」の場合には)、ステップS306に進む。
【0033】
ステップS306では、システム制御部115は、所定の回数のステップS302の判定にわたってフォーカスレンズが同一エリア内に存在しているか否かを判定する。この判定においては、ステップS301において方向反転時に記憶された位置情報を用いる。ステップS306において、所定の回数にわたって同一エリア内に存在していると判定されなかった場合には(「No」の場合には)、ウォブリング動作を終了する。一方、所定の回数にわたってフォーカスレンズが同一エリアに存在すると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS308に進む。
ステップS308では、システム制御部115は、フォーカスレンズが合焦位置にあると判定する。このように、焦点評価値の山の頂上近傍において、焦点評価値の上昇と下降とが互いに近いタイミングで現れた場合には、上記のような処理が実施されることになる。
以上のとおり、システム制御部115は、ウォブリング動作を実施する。
【0034】
<山登り動作>
次に、山登り動作について説明する。山登り動作は、合焦位置を特定するためのウォブリング動作よりも高速なAF動作である。すなわち、山登り動作においては、連続的に所定速度でフォーカスレンズを移動させ、取得された焦点評価値の増減によって合焦位置を特定する。山登り動作は、第2の焦点調整手段による処理の一例に対応する。図4は、山登り動作の処理を示すフローチャートである。
【0035】
ステップS400では、システム制御部115は、AF処理部105から焦点評価値と対応するレンズ位置を取得する。
次に、ステップS401では、システム制御部115は、フォーカス速度設定処理を実行する。詳細は後述するが、取得した焦点評価値や対応するレンズ位置に基づいて山登り動作におけるフォーカスレンズの駆動速度を決定し設定する。
【0036】
ステップS402では、システム制御部115は、ステップS400において取得した焦点評価値とそれよりも過去に取得した焦点評価値とから、焦点評価値が作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)を判定する。なお、ステップS402の山登り形状判定で判定に用いられる焦点評価値はより低い周波数成分によって算出された焦点評価値Lとする(以後、山登り動作においては焦点評価値という)。具体的には、取得した評点評価値が所定の回数にわたって連続して上昇傾向を示し、その後下降傾向を示した場合には、システム制御部115は、山の頂点の位置(ピーク位置)が検出されたと判定する。一方、取得した焦点評価値が、フォーカスレンズの進行方向に沿って、所定の回数にわたって連続して下降傾向を示した場合には、システム制御部115は、山の頂点の位置から遠ざかっていると判定する。山の頂点から遠ざかっていると判定された場合には、システム制御部115は、フォーカスレンズの進行方向を反転する条件が成立したと判定する。なお、山の形状の判定に必要な数の焦点評価値が取得されていない場合や、焦点評価値の上昇または下降が明確に判定できない場合には、現在の山登り動作を継続する(すなわち、現状維持と判定する)。
【0037】
ステップS403においては、システム制御部115は、ステップS402の結果に基づいて、フォーカスレンズの進行方向を反転する条件が成立したか否かを判定する。成立している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS407に進む。ステップS407では、システム制御部115はフォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズの進行方向を、その直前の進行方向に対して逆方向に設定する。フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズを、設定した進行方向に移動させる。
【0038】
一方、ステップS403において反転条件が成立していないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS404に進む。ステップS404では、システム制御部115は、ステップS402の結果に基づいて、合焦点が検出されているか否かを判定する。ステップS404において合焦点が検出されている場合にはステップS406に進む。ステップS406では、システム制御部115は、ステップS402の判定に基づいて、フォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズを停止させる。
【0039】
一方、ステップS404において合焦点が検出されていないと判定された場合には、ステップS405に進む。ステップS405では、システム制御部115はフォーカスレンズ制御部104を制御し、フォーカスレンズ制御部104は、フォーカスレンズの進行方向をこれまでと同じ方向に設定する。なお、ステップS405とステップS407では、システム制御部115は、ステップS401において設定された駆動速度によって、フォーカスレンズを駆動する。また、初回においては、ステップS402の判定結果は合焦点が検出できないと判定される上、ステップS403の反転条件も成立しない。したがって、ステップS405では移動を開始していない(=停止中の)フォーカスレンズを、ウォブリング動作において検出した進行方向に向かって移動させる。そして、二回目以降は、ステップS402およびステップS403において決定された処理条件に基づいて、移動中のフォーカスレンズの進行方向を設定するとともに、駆動速度を変更する。
以上のとおり、システム制御部115は、山登り動作を実施する。
【0040】
<フォーカス速度設定処理>
次に、フォーカス速度設定処理について説明する。フォーカス速度設定処理とは、上述した山登り動作においてフォーカスレンズの駆動速度を焦点状態に応じて可変させることを目的とした、駆動速度を決定するための一連の処理である。図5は、フォーカス速度設定処理を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS500は、撮影している被写体が通常照度か低照度かを判定するための露出条件判定であり、判定結果は後に続く処理に用いられる。詳細については後述する。
次に、ステップS501では、システム制御部115は、焦点評価値と対応するレンズ位置を記憶する。ステップS502では、システム制御部115は、焦点評価値とレンズ位置とが作り出す山の形状(グラフの曲線の形状)に基づき、山のピーク位置(合焦点)を中心として、その近傍を複数の領域に分割し、現在のフォーカスレンズ位置がどの領域に属するかを判定する。詳細については後述する。
【0042】
ステップS503では、システム制御部115は、ピントがどの程度あっているかを判定するため、焦点評価値を正規化した合焦度を算出する。詳細については後述する。ステップS504では、システム制御部115は、ステップS500で判定された露出条件に関する判定結果を読み出す。続いて、ステップS505では、システム制御部115は、ステップS504で読み出した判定結果に基づいて低照度シーンであるか否かを判定する。低照度シーンであると判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS507に進む。ステップS507では、システム制御部115は、フォーカス速度選択処理(低照度)を実行する。
【0043】
一方、ステップS505で低照度シーンではないと判定された場合には(「No」の場合には)、ステップS506に進む。ステップS506では、システム制御部115は、フォーカス速度選択処理(通常照度)を実行する。なお、ステップS506、ステップS507では、被写体の明るさによって切り替えているが、いずれも先に述べた露出条件判定、形状予測処理、合焦度算出処理の結果を用いて、山登り動作におけるフォーカスレンズの駆動速度を決定する処理である。詳細については後述する。
【0044】
ステップS506、ステップS507にて駆動速度が確定した後、ステップS508に進み、システム制御部115は、決定した駆動速度を記憶する。ここで記憶したフォーカスレンズの駆動速度は、上述した山登り処理にて実際に反映される。
以上のとおり、システム制御部115はフォーカス速度設定処理を実施する。
【0045】
<露出条件判定処理>
次に、露出条件判定処理について説明する。図6は露出条件判定処理を示すフローチャートである。
ステップS600では、システム制御部115は、現在設定されているゲイン量を取得する。この処理では、現在の露出条件のうち撮像処理部109における非線形増幅回路での信号増幅量(以下、ゲイン量という)を取得することにより行う。AE処理部103、システム制御部115によって実施される自動露出(AE)処理によりゲイン量は制御され、例えば、明るいシーンで撮像信号が所望の信号レベルを維持できる場合にはゲイン量は少なくてすむ。しかしながら、暗いシーンで所望の信号レベルを維持できない場合にはゲイン量は大きくなる傾向にある。
【0046】
次に、ステップS601では、システム制御部115は、低照度シーンであるか否かを判定する。具体的には、システム制御部115は、ゲイン量の基準値(低照度ゲイン閾値)とステップS600で取得したゲイン量とを比較し、現在のゲイン量が低照度ゲイン閾値よりも大きいか否かを判定する。現在のゲイン量が低照度ゲイン閾値よりも大きい場合には(「Yes」の場合には)、ステップS602に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「低照度」としてDRAM113に記憶する。一方、ステップS601にて現在のゲイン量が低照度ゲイン閾値よりも大きくない場合には(「No」の場合には)、ステップS603に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「通常照度」としてDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は露出条件判定処理を実施する。
【0047】
<形状予測処理>
次に、形状予測処理について説明する。図7は形状予測処理を示すフローチャートである。形状予測処理では、焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測し、現在のレンズ位置を判定する。
まず、ステップS700では、システム制御部115は、予め図4のステップS400にて記憶されている焦点評価値およびそれに対応するレンズ位置を用いて、焦点評価値とレンズ位置とが作り出す山の形状に基づいて、その1次微分出力である山の傾きを求める。システム制御部115は、求めた山の傾きをDRAM113に記憶する。処理の詳細については後述する。
ステップS701では、システム制御部115は、焦点評価値の2次微分出力を求める。具体的には、システム制御部115は、ステップS700で求めた焦点評価値の山の傾きの出力に基づいて、山の傾きの変化をさらに算出する。処理の詳細については後述する。
【0048】
次に、ステップS702では、システム制御部115は、現在のレンズ位置が合焦点に対してどの程度近づいているかを判定する領域特定処理を実施する。この処理では、システム制御部115は、ステップS700、ステップS701の1次、2次の微分出力に基づいて、現在のレンズ位置と合焦点との関係を予測する。処理の詳細については後述するが、焦点評価値に対する1次、2次の微分出力の関係は図13の下部のようになる。つまり、合焦点の位置(=焦点評価値が最大となる位置)では1次微分出力は0となる一方、1次微分出力が最大となる位置(=合焦点の近傍で焦点評価値が形成する山の傾きが最も急峻となる位置)では2次微分出力が0となる。したがって、1次、2次微分出力の変化を監視、判定することで大まかに合焦点と現在のレンズ位置との関係を判定することが可能である。
以上のとおり、システム制御部115は形状予測処理を実施する。
【0049】
<1次微分算出処理>
次に、1次微分算出処理について説明する。図8は1次微分算出処理を示すフローチャートである。なお、1次微分算出処理に用いられる焦点評価値はより低い周波数成分によって算出された焦点評価値Lとする(以後、山登り動作においては焦点評価値という)。
【0050】
まず、ステップS800では、システム制御部115は、直近の焦点評価値(AF1)とその焦点評価値に対応するレンズ位置(P1)を取得する。焦点評価値および対応するレンズ位置は予め図4のステップS400にてDRAM113に記憶されており、1次微分を算出するために必要な数だけ直近のものから一定数分の情報が記憶されている。システム制御部115は、DRAM113から該当する情報を読み出す。
【0051】
次に、ステップS801では、システム制御部115は、ステップS800と同様に一定時間前の焦点評価値(AF2)とその焦点評価値に対応するレンズ位置(P2)を取得する。ステップS802では、システム制御部115は、ステップS800とステップS801で取得した焦点評価値の差とレンズ値の差とを求め除算する。ステップS803では、システム制御部115は、計算の結果によって求められた1次微分出力D1をDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は1次微分算出処理を実施する。
【0052】
<2次微分算出処理>
次に、2次微分算出処理について説明する。図9は2次微分算出処理を示すフローチャートである。まず、ステップS900では、システム制御部115は、予め図8のステップS803にてDRAM113に記憶されている1次微分出力(D11)と対応するレンズ位置(P1)を取得する。
同様に、ステップS901では、システム制御部115は、一定時間前の1次微分出力(D12)と対応するレンズ位置(P2)を取得する。ステップS902では、システム制御部115は、ステップS900とステップS901で取得した1次微分出力の差とレンズ値の差とを求め除算する。ステップS903では、システム制御部115は、計算の結果によって求められた2次微分出力D2をDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は2次微分算出処理を実施する。
【0053】
<合焦度算出処理>
次に、合焦度算出処理について説明する。図10は合焦度算出処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1000では、システム制御部115は、最新の焦点評価値のうち高い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値HをDRAM113より読み出す。同様に、ステップS1001では、システム制御部115は、最新の焦点評価値のうち低い周波数成分を抽出して算出した焦点評価値LをDRAM113より読み出す。
【0054】
次に、ステップS1002では、システム制御部115は、ステップS1000で読み出した焦点評価値HをステップS1001で読み出した焦点評価値Lで除算し正規化する。本実施形態では、ステップS1001で求めた値を合焦度と呼ぶ。図13に示す例では、ステップS1002で焦点評価値を正規化した出力は合焦点付近でおおよそ1となり、そこから外れるに従って値が下がる傾向になる。したがって、システム制御部115は、この信号の変化傾向を調べることで、合焦位置の近傍であるか否かを判定することができる。
次に、ステップS1003では、システム制御部115は、ステップS1002で求めた合焦度をDRAM113に記憶する。ここで記憶された合焦度は後述するフォーカス速度設定処理にて用いられる。
以上のとおり、システム制御部115は合焦度算出処理を実施する。
【0055】
<領域特定処理>
次に、領域特定処理について説明する。図11は領域特定処理を示すフローチャートである。なお、領域特定処理では図13の下部で示した焦点評価値の1次、2次の微分出力の変化傾向に応じて「領域0」、「領域1」、「領域2」の3つの領域を特定することを目的とする。図13において、「領域0」は合焦点から外れた領域、「領域1」は合焦点に比較的近く、「領域2」は合焦点近傍を示している。
【0056】
まず、ステップS1100では、システム制御部115は、図6を用いて上述した露出条件判定処理の判定結果をDRAM113より読み出す。次に、ステップS1101では、システム制御部115は、ステップS1100で読み出した結果が低照度であるか否かを判定する。ステップS1101において低照度ではないと判定される場合には(「No」の場合には)、ステップS1102に進む。ステップS1102では、システム制御部115は、後述する1次、2次微分出力の大きさを判定する際に使用する通常照度用の閾値(D1閾値、D2閾値)を選択し設定する。
【0057】
一方、ステップS1101において、低照度であると判定される場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1103に進む。ステップS1103では、システム制御部115は、低照度用の閾値(D1閾値、D2閾値)を選択し設定する。つまり、通常照度シーンと低照度シーンとで閾値を切り替えて判定に用いる。なお、低照度シーンの場合、撮像信号に含まれるノイズ成分の影響を受けやすく、かつ本来の信号成分が少なくなるため図15に示すように算出された焦点評価値は緩やかな変化傾向になりやすい。そのため、そこから算出される1次、2次微分出力への影響を考慮し、通常照度シーンと低照度シーンとで閾値を切り替える。
【0058】
次に、ステップS1104では、システム制御部115は、直前の判定結果が「領域0」であるか否かを判定する。 なお、この直前の判定結果はDRAM113に記憶されており、領域特定処理を実施するに当たり、山登り動作が開始される際に事前に「領域0」に初期化されているものとする。ここで、直前の判定結果が「領域0」の場合はステップS1105に進む。
ステップS1105では、システム制御部115は、先に求めた1次微分出力D1を読み出しその絶対値がステップS1102もしくはステップS1103で決定した閾値よりも大きいか否かを判定する。閾値よりも大きい場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1106に進み、システム制御部115は、先に求めた2次微分出力D2を読み出しその絶対値がステップS1102もしくはステップS1103で決定した閾値よりも大きいか否かを判定する。ステップS1105およびステップS1106の条件を満たす場合には、ステップS1107において、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域1」に属すると判定し、その結果を記憶する。ステップS1108では、システム制御部115は、「領域1」にどのくらいの期間にレンズ位置があるかを判定するための継続回数をカウントアップして記憶する。なお、ステップS1106では上述した「領域1」の継続回数も判定しており、一定期間以上継続している場合には2次微分出力D2が閾値を下回ることを認めている。これは2次微分出力が1次微分出力のピーク付近で0に近づくように減少するためである。
【0059】
一方、ステップS1105において、閾値以下の場合には(「No」の場合には)、ステップS1109に進み、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域0」に属すると判定し、その結果を記憶する。また、ステップS1106において、閾値以下の場合にも(「No」の場合には)、ステップS1109に進み、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域0」に属すると判定し、その結果を記憶する。すなわち、システム制御部115は、1次、2次微分出力が閾値以下の期間は「領域0」と判定し、閾値よりも大きい期間は「領域1」と判定し、さらに「領域」に属している期間を合わせて記憶する。なお、この継続回数のカウンタは領域の切り替わり時にクリアされるものとし、領域特定処理を実施するに当たり、山登り動作が開始される際に事前に「領域0」に初期化された時点でもクリアされる。
【0060】
ステップS1104において、直前の判定結果が「領域0」でない場合(「No」の場合)、すなわち過去の判定により既に「領域0」以外の判定結果が出されている場合には、ステップS1110に進む。ステップS1110では、システム制御部115は、直前が「領域1」で且つ継続回数を確認し一定期間以上継続しているか否かを判定する。つまり、一定期間の間、1次、2次微分出力が安定して閾値以上を示していたか否かを判定し、条件を満たしている場合、ステップS1111に進む。一方、条件を満たしていない場合にはステップS1105に進み、システム制御部115は、再度「領域0」に属するか「領域1」に属するかを判定する。
【0061】
ステップS1111では、システム制御部115は、2次微分出力D2が0以下であるか否かを判定する。2次微分出力は1次微分出力が最大となる位置で0となる特徴を利用し、この条件を満たす場合はステップS1112において、システム制御部115は、判定結果を「領域2」として記憶し処理を終了する。
以上のとおり、システム制御部115は領域特定処理を実施し、山登り動作中のレンズ位置が「領域0」、「領域1」、「領域2」のいずれに属するかを判定する。
【0062】
<フォーカス速度選択処理(通常照度)>
次に、フォーカス速度選択処理(通常照度)について説明する。図12はフォーカス速度選択処理(通常照度)を示すフローチャートである。
まず、ステップS1200では、システム制御部115は、図5のステップS503にて算出し記憶した合焦度をDRAM113より読み出す。ステップS1201では、システム制御部115は、図5のステップS502にて判定した形状予測処理の結果をDRAM113より読み出す。
【0063】
ステップS1202では、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域2」に属しているか否かを判定する。現在のレンズ位置が「領域2」に属している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1204に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた低速に設定する。
一方、ステップS1202において、現在のレンズ位置が「領域2」に属していないと判定される場合には(「No」の場合には)、ステップS1203に進み、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域1」に属しているか否かを判定する。
【0064】
ステップS1203において、現在のレンズ位置が「領域1」に属している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1205に進み、ステップS1200で読み出した合焦度に応じてフォーカスレンズの駆動速度を算出し設定する。
一方、ステップS1203において、現在のレンズ位置が「領域1」に属していない場合には(「No」の場合には)、ステップS1206に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた高速に設定する。
【0065】
ここまでの駆動速度の設定に関して図13を参照して説明する。まず、図13に示す「領域0」では焦点評価値が作り出す山の形状としては変化が乏しく1次、2次の微分出力のレベルが低くなる。一方で、周波数の高い信号成分を抽出する場合は撮像信号中に含まれるノイズ成分の影響を受けやすい傾向にある。すなわち、合焦点から外れた場合など、本来の信号成分よりもノイズ成分の影響が強く出る場合には、ノイズが作り出す高周波成分により周波数の低い信号成分を抽出した場合よりも高い値で出力される場合がある。そのため、焦点評価値Hを焦点評価値Lで除算し正規化して求めた合焦度は、実際のピントの状態とは連動せずに値が高くなる場合がある(図13に示す合焦度の両端を参照)。
【0066】
そこで、本実施形態では、「領域0」においては合焦度よりも形状予測処理の判定結果を優先し、この領域においては算出された合焦度にかかわらず図13の上部のフォーカス速度のように駆動速度を予め決められた高速に設定する。次に、図13に示す「領域1」においては1次、2次の微分出力が所定の閾値よりも大きく、焦点評価値の変化がある程度見込める。したがって、この領域に属すると判定された場合には、図13のフォーカス速度のように合焦度に応じた駆動速度に設定する。例えば、所定の合焦度(合焦度Low)以下の場合は予め決められた高速に設定し、所定の合焦度(合焦度High)以上の場合は予め決められた低速に設定する。また、合焦度Lowと合焦度Highの中間の場合は、システム制御部115は、合焦度に応じて高速と低速間を線形補間により求める。さらに「領域2」においては合焦位置近傍であるため、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた低速に設定する。
【0067】
このように、形状予測処理から判定されたレンズ位置と合焦点との位置関係および焦点評価値より求めた合焦度の両方の結果を用いて、フォーカスレンズの駆動速度を適切に制御して、合焦点を通り越してしまう量を抑え、より良好な画像を得ることが可能となる。
以上のとおり、システム制御部115はフォーカス速度選択処理(通常照度)を実施する。
【0068】
<フォーカス速度選択処理(低照度)>
次に、フォーカス速度選択処理(低照度)について説明する。図14はフォーカス速度選択処理(低照度)を示すフローチャートである。
まず、ステップS1400では、システム制御部115は、図5のステップS503にて算出し記憶した合焦度をDRAM113より読み出す。ステップS1401では、システム制御部115は、図5のステップS502にて判定した形状予測処理の結果をDRAM113より読み出す。
【0069】
ステップS1402では、システム制御部115は、現在のレンズ位置が「領域2」に属しているか否かを判定する。現在のレンズ位置が「領域2」に属している場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1403に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた低速に設定する。
一方、ステップS1402において、現在のレンズ位置が「領域2」に属していない場合には(「No」の場合には)、ステップS1404に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズの駆動速度を予め決められた高速に設定する。
【0070】
ここまでの駆動速度の設定に関して図15を参照して説明する。上述した図14に示すフローチャートは低照度シーン向けの制御であり、通常照度時とは異なる制御となっている。周波数の高い信号成分を抽出して焦点評価値を算出する場合、より低い周波数の信号成分を抽出して算出される焦点評価値と比べ、撮像信号中に含まれるノイズ成分の影響を受けやすい傾向にある。特に低照度シーンのように本来の信号成分よりもノイズ成分の影響が強く出る場合には、ノイズが作り出す高周波成分により実際のピント位置によらず周波数の高い信号成分が高い値で出力される場合がある。そのため、図15の合焦度のグラフで示すように焦点評価値Hを焦点評価値Lで除算し正規化して求めた合焦度は、実際のピントの状態とは連動せずに値が高くなってしまう。
【0071】
そこで、フォーカス速度選択処理(低照度)が実施される場合、1次、2次微分出力を用いた形状予測処理にて「領域0」、「領域1」と判定される場合は、この判定結果を合焦度よりも優先する。すなわち、システム制御部115は、図15のフォーカス速度のグラフで示すようにフォーカスレンズの駆動速度を予め決められた高速に設定する。一方、「領域2」と判定される場合には、システム制御部115は、形状予測処理の判定結果を優先し予め決められた低速にフォーカスレンズの駆動速度を設定する。
以上のとおり、システム制御部115はフォーカス速度選択処理(低照度)を実施する。
【0072】
このように、本実施形態では、露出条件に応じてフォーカスレンズの駆動速度を設定するときの判断基準となる合焦度と、形状予測処理の予測結果との優先順位を切り替える。ここで、本実施形態における通常照度時と低照度時とのフォーカス速度設定処理の違いを比較したものを図16に示す。図16(a)が通常照度時、図16(b)が低照度時である。通常照度時は形状予測処理の判定結果および合焦度のうち、信頼性の高いもの、もしくは他の判定結果により信頼性が確保できていると判定されるものに基づいてフォーカスレンズの駆動速度を設定する。一方、低照度時は合焦度の信頼性が落ちることが懸念されるため、相対的に信頼性の高い形状予測処理の判定結果を用いてフォーカスレンズの駆動速度を設定する。
したがって、本実施形態によれば、撮像素子より得られる輝度信号にノイズ成分が多く含まれ、その影響を強く受ける状況であっても、その時点で信頼性の高い情報に基づいてフォーカスレンズの駆動速度を設定することで、安定した焦点調整動作が可能となる。
【0073】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図17のフローチャートを参照して説明する。
第1の実施形態では、撮像処理部109における非線形増幅回路でのゲイン量に基づいて通常照度シーンであるか低照度シーンであるかを判定したが、他の露出条件により判定してもよい。第2の実施形態では、AE処理部103によって算出された被写体の明るさを示す被写体輝度を用いる例を示す。
【0074】
まず、ステップS1700では、システム制御部115は、AE処理部103より現在の被写体輝度を取得する。この処理では、AE処理部103によって実施されている露出制御の結果として算出されている露出条件のうち、被写体の明るさを示す被写体輝度を取得する。
次に、ステップS1701では、システム制御部115は、低照度シーンであるか否かを判定する。具体的には、システム制御部115は、被写体輝度の基準値とステップS1700で取得した被写体輝度とを比較し、現在の被写体輝度が基準値よりも小さいか否かを判定する。現在の被写体輝度が基準値よりも小さい場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1702に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「低照度」としてDRAM113に記憶する。
【0075】
一方、ステップS1701にて現在の被写体輝度が基準値よりも小さくない場合には(「No」の場合には)、ステップS1703に進み、システム制御部115は、露出条件判定結果を「通常照度」としてDRAM113に記憶する。
以上のとおり、システム制御部115は第2の実施形態の露出条件判定処理を実施する。
このように、露出条件判定処理では、低照度シーンであるか通常照度シーンであるかを判定しうる情報を用いればよく、第1の実施形態または第2の実施形態に限定されるものではない。なお、ゲイン量および被写体輝度の両方に基づいて低照度シーンであるか通常照度シーンであるかを判定してもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、フォーカスレンズ速度選択処理において、「領域2」すなわち、合焦点近傍である場合には、駆動速度を予め決められた低速に設定するようにしている。これは、山登り動作を実施するに当たり合焦点を通り越してしまう量を抑えるためである。
第3の実施形態では、合焦点を通り越してしまう量をより抑えることを可能とする。具体的には、図12、図14で示したフォーカスレンズ速度選択処理において、それぞれの判定結果として所属領域が「領域2」と判定され、駆動速度を予め決められた低速に設定する際、この予め決められた低速を速度0(=停止)とするように変更する。
【0077】
更に、図2で示した焦点調整動作のフローチャートを図18に示すフローチャートのように変更する。図2と図18のフローチャートの主な違いはステップS1804とステップS1808、ステップS1809であり、それ以外の処理は同様であるため説明を省略する。
以下、ステップS1803から関連する部分の処理を説明する。
まず、ステップS1803では、フォーカスレンズ制御部104は、山登り動作を実施する。山登り動作は、焦点評価値が大きくなる方向に向けて、ウォブリングよりも高速でフォーカスレンズを移動させる動作である。
ステップS1804では、システム制御部115は、ステップS1803の山登り動作により焦点評価値の頂点を越え合焦点を検出できたか否かを判定する。ステップS1804において、焦点評価値の頂点を越えたと判定された場合には(「Yes」の場合には)、ステップS1800に進み、フォーカスレンズ制御部104は、細かい移動量で制御されるウォブリング動作にて合焦位置に収束させる。
【0078】
一方、ステップS1804において、焦点評価値の頂点を越えたと判定されない場合には(「No」の場合には)、ステップS1808に進む。ステップS1808では、システム制御部115は、ステップS1803で行われる上述したフォーカスレンズ速度選択処理の結果として、駆動速度が0(=停止)に設定されたか否かを判定する。駆動速度が0以外の場合にはステップS1803に戻り山登り動作を継続する。一方、駆動速度が0となっている場合、すなわち形状予測処理にて「領域2」と判定され、合焦点近傍である可能性が高い場合には、ステップS1809に進み、システム制御部115は、フォーカスレンズを停止させる。次に、ステップS1800に戻り、フォーカスレンズ制御部104は、ウォブリング動作を開始する。
【0079】
したがって、図12および図14で示したフォーカスレンズ速度選択処理において、「領域2」に属していることが検出された場合には、山登り動作は合焦点を通過せずにその直前で停止し、そこから合焦点まではウォブリング動作にて合焦点に収束する。これにより、通常照度シーン、低照度シーンによらず、合焦点近傍での安定した焦点調整動作が可能となる。
【0080】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述したが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータはがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【符号の説明】
【0082】
101:撮影レンズ 104:フォーカスレンズ制御部 105:AF処理部 108:撮像素子 109:撮像処理部 115:システム制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置であって、
前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、
前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出手段と、
前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測手段と、
前記合焦度算出手段により算出される合焦度および前記形状予測手段による結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体を撮像するときの露出条件を検出する露出条件検出手段を有し、
前記フォーカス速度設定手段は、前記露出条件検出手段によって検出された露出条件に応じて、前記駆動速度を設定するときの判断基準となる前記合焦度と前記形状予測手段による結果との優先順位を切り替えて、前記フォーカスレンズの駆動速度を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記合焦度算出手段は、前記焦点評価値算出手段によって前記撮像信号より抽出された周波数の高い信号成分と周波数の低い信号成分とを用いて正規化することで合焦度を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記形状予測手段は、前記焦点評価値の1次、2次微分出力を求め、それぞれの微分出力の変化に基づいて焦点状態を予測することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記露出条件検出手段によって検出される露出条件は、前記撮像信号のレベルを一定にするためのゲイン量であり、
前記フォーカス速度設定手段は、前記ゲイン量が所定の値よりも大きくなった場合に、前記合焦度よりも前記形状予測手段による結果を優先して、前記フォーカスレンズの駆動速度を設定することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記露出条件検出手段によって検出される露出条件は、被写体の明るさを示す被写体輝度であり、
前記フォーカス速度設定手段は、前記被写体輝度が所定の明るさよりも暗くなった場合に、前記合焦度よりも前記形状予測手段による結果を優先して、前記フォーカスレンズの駆動速度を設定することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
断続的にフォーカスレンズを動かした後、焦点評価値を取得し、合焦点を検出する第1の焦点調整手段と、
連続的にフォーカスレンズを動かしながら焦点評価値を取得し、合焦点を検出する第2の焦点調整手段と、
前記第2の焦点調整手段により合焦点を検出するとき、前記フォーカス速度設定手段により駆動速度が0に設定された場合には、前記第1の焦点調整手段による焦点調整動作に切り替える切り替え手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置の焦点調整方法であって、
前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出ステップと、
前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測ステップと、
前記合焦度算出ステップにより算出される合焦度および前記形状予測ステップによる結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定ステップと、を有することを特徴とする焦点調整方法。
【請求項9】
被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置の焦点調整のためのプログラムであって、
前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出ステップと、
前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測ステップと、
前記合焦度算出ステップにより算出される合焦度および前記形状予測ステップによる結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置であって、
前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、
前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出手段と、
前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測手段と、
前記合焦度算出手段により算出される合焦度および前記形状予測手段による結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体を撮像するときの露出条件を検出する露出条件検出手段を有し、
前記フォーカス速度設定手段は、前記露出条件検出手段によって検出された露出条件に応じて、前記駆動速度を設定するときの判断基準となる前記合焦度と前記形状予測手段による結果との優先順位を切り替えて、前記フォーカスレンズの駆動速度を設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記合焦度算出手段は、前記焦点評価値算出手段によって前記撮像信号より抽出された周波数の高い信号成分と周波数の低い信号成分とを用いて正規化することで合焦度を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記形状予測手段は、前記焦点評価値の1次、2次微分出力を求め、それぞれの微分出力の変化に基づいて焦点状態を予測することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記露出条件検出手段によって検出される露出条件は、前記撮像信号のレベルを一定にするためのゲイン量であり、
前記フォーカス速度設定手段は、前記ゲイン量が所定の値よりも大きくなった場合に、前記合焦度よりも前記形状予測手段による結果を優先して、前記フォーカスレンズの駆動速度を設定することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記露出条件検出手段によって検出される露出条件は、被写体の明るさを示す被写体輝度であり、
前記フォーカス速度設定手段は、前記被写体輝度が所定の明るさよりも暗くなった場合に、前記合焦度よりも前記形状予測手段による結果を優先して、前記フォーカスレンズの駆動速度を設定することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
断続的にフォーカスレンズを動かした後、焦点評価値を取得し、合焦点を検出する第1の焦点調整手段と、
連続的にフォーカスレンズを動かしながら焦点評価値を取得し、合焦点を検出する第2の焦点調整手段と、
前記第2の焦点調整手段により合焦点を検出するとき、前記フォーカス速度設定手段により駆動速度が0に設定された場合には、前記第1の焦点調整手段による焦点調整動作に切り替える切り替え手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置の焦点調整方法であって、
前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出ステップと、
前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測ステップと、
前記合焦度算出ステップにより算出される合焦度および前記形状予測ステップによる結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定ステップと、を有することを特徴とする焦点調整方法。
【請求項9】
被写体を撮像することによって撮像部により取得される撮像信号に基づいてフォーカスレンズの位置を制御する撮像装置の焦点調整のためのプログラムであって、
前記撮像信号より特定の周波数成分を抽出し、前記撮像信号のコントラストを示す焦点評価値を算出する焦点評価値算出ステップと、
前記焦点評価値を用いて合焦の程度を示す合焦度を算出する合焦度算出ステップと、
前記焦点評価値の一定期間毎の変化量を用いて焦点評価値の山の形状を予測する形状予測ステップと、
前記合焦度算出ステップにより算出される合焦度および前記形状予測ステップによる結果に基づいて前記フォーカスレンズの駆動速度を設定するフォーカス速度設定ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−255896(P2012−255896A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128551(P2011−128551)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]