説明

撮像装置、プログラムおよび撮像方法

【課題】撮像画像に重畳表示される複数の補助的な情報の干渉を抑制する。
【解決手段】撮像装置100は、撮像のための補助的な情報を提供する第1の補助画像210および第2の補助画像220を合成して合成補助画像250を生成するときに、第2の補助画像220に設定された透明な背景領域223において第1の補助画像210の表示領域211の透明度を変更する補助画像合成部117と、撮像画像300に合成補助画像250を重畳して表示部121に表示させる表示制御部119とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、プログラムおよび撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置においては、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などを用いた背面パネルや電子ファインダなどの表示部が設けられることが一般的である。この表示部では、撮像素子が出力する撮像画像がライブビュー表示されるとともに、例えば撮影モードやズーム倍率など、撮像のための補助的な情報を撮像画像に重畳して表示することが可能である。
【0003】
このような表示部を用いて、例えばユーザによる撮像の構図の決定を補助する情報をユーザに提供する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、電子ファインダにおいてグリッドパターンなどの補助線を撮像画像に重畳表示する技術が記載されている。特許文献2には、ユーザが任意に作成した格子線などの図形画像を同様に重畳表示する技術が記載されている。また、特許文献3には、レンズ交換可能なデジタルカメラにおいて、各レンズに応じた目盛線や格子線などを撮像画像に合成表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−279767号公報
【特許文献2】特開2009−33507号公報
【特許文献3】特開2007−36983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような技術によって複数の種類の補助的な情報を撮像画像に重畳して表示する場合、複数の情報が重複してしまい、却ってユーザによる撮像の構図の決定などを阻害してしまうという問題があった。例えば、特許文献1に記載されているようなグリッド線と、オートフォーカスによる合焦の対象となる領域を示すオートフォーカス枠とが撮像画像に重畳表示される場合、オートフォーカス枠の内部にグリッド線が表示されて、オートフォーカス枠内の部分の撮像画像が視認しにくい場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、撮像画像に重畳表示される複数の補助的な情報の干渉を抑制することが可能な、新規かつ改良された撮像装置、プログラムおよび撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、上記第2の補助画像に設定された透明な背景領域において上記第1の補助画像の表示領域の透明度を変更する補助画像合成部と、撮像画像に上記合成補助画像を重畳して表示部に表示させる表示制御部とを備える撮像装置が提供される。
【0008】
上記補助画像合成部は、少なくとも上記第2の補助画像に付加された合成モード情報に基づいて、上記透明度を変更してもよい。
【0009】
上記補助画像合成部は、上記背景領域において上記第1の補助画像の表示領域を完全に透明にしてもよい。
【0010】
上記背景領域は、上記第2の補助画像の表示領域を包含する領域であってもよい。
【0011】
上記第1の補助画像は、上記撮像画像の基準線画像であり、上記第2の補助画像は、上記撮像画像の領域線画像であってもよい。
【0012】
上記基準線画像は、グリッド線画像であり、上記領域線画像は、オートフォーカス枠画像であってもよい。
【0013】
上記オートフォーカス枠画像は、複数のオートフォーカス枠を含んでもよい。
【0014】
上記基準線画像は、グリッド線画像であり、上記領域線画像は、顔検出枠画像であってもよい。
【0015】
上記撮像装置は、上記変更後の透明度を、操作部によって取得されたユーザの操作に応じて設定する制御部をさらに備えてもよい。
【0016】
上記撮像装置は、上記変更後の透明度を撮像処理の状態に応じて自動的に設定する制御部をさらに備えてもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、上記第2の補助画像に設定された透明な背景領域において上記第1の補助画像の表示領域の透明度を変更する処理と、撮像画像に上記合成補助画像を重畳して表示部に表示させる処理とをコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、上記第2の補助画像に設定された透明な背景領域において上記第1の補助画像の表示領域の透明度を変更するステップと、撮像画像に上記合成補助画像を重畳して表示部に表示させるステップとを含む撮像方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、撮像画像に重畳表示される複数の補助的な情報の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る基準線画像の例を示す図である。
【図3】同実施形態に係る領域線画像の例を示す図である。
【図4】同実施形態に係る補助画像の合成処理の一例について説明するための図である。
【図5】同実施形態において表示される画像の例について説明するための図である。
【図6】同実施形態に係る補助画像の合成処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る表示モード設定画面を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る領域線画像の例を示す図である。
【図9】同実施形態に係る領域線画像の例を示す図である。
【図10】同実施形態に係る領域線画像の例を示す図である。
【図11】同実施形態に係る領域線画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1−1.撮像装置の機能構成
1−2.補助画像の構成
1−3.補助画像の合成
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.まとめ
【0023】
<1.第1の実施形態>
(1−1.撮像装置の機能構成)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置の機能構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る撮像装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
撮像装置100は、被写体を撮像して、撮像によって得られた静止画または動画をデジタル方式の画像データとして記録媒体に記録する。この撮像装置100は、例えばデジタルカメラとして実現されるほか、上記のような撮像機能を有する任意の電子機器として実現されうる。
【0025】
図1を参照すると、撮像装置100は、撮像部101、撮像画像処理部103、撮像画像記録部105、記憶部107、操作部109、制御部111、オートフォーカス部113、顔検出部115、補助画像合成部117、表示制御部119、および表示部121を含む。
【0026】
撮像部101は、被写体を撮像して、撮像画像を出力する。撮像部101は、例えば、撮像光学系、撮像素子、タイミングジェネレータ、および光学部品駆動部などを含む。ここで、撮像光学系は、フォーカスレンズ、ズームレンズ等の各種レンズ、不要な波長を除去する光学フィルタ、および絞りなどの光学部品からなる。被写体から入射された光学像(被写体像)は、撮像光学系における各光学部品を介して、撮像素子の露光面に結像される。撮像素子(イメージセンサ)は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子で構成される。この撮像素子は、撮像光学系から導かれた光学像を光電変換し、撮像画像を表す画像信号(アナログ画像信号)を撮像画像処理部103に出力する。
【0027】
撮像画像処理部103は、撮像部101から出力される撮像画像を表す画像信号に対して所定の信号処理を実行し、信号処理後の画像信号を出力する。撮像画像処理部103は、例えばDSP(Digital Signal Processor)を用いて実現されうる。この撮像画像処理部103は、例えば、アナログ信号処理部、アナログ/デジタル変換部、およびデジタル信号処理部などを含む。ここで、アナログ信号処理部は、画像信号を前処理するいわゆるアナログフロントエンドである。アナログ信号処理部は、例えば、撮像部101から出力される画像信号に対して、CDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)処理、PGA(Programmable Gain Amplifier)によるゲイン処理などを実行する。アナログ/デジタル変換部は、アナログ信号処理部から入力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換して、デジタル信号処理部に出力する。デジタル信号処理部は、入力されたデジタル画像信号に対して、例えば、ノイズ除去、ホワイトバランス調整、色補正、エッジ強調、ガンマ補正などのデジタル信号処理を実行し、デジタル信号処理後の画像信号を撮像画像記録部105および表示制御部119に出力する。なお、撮像画像処理部103は、必ずしもアナログおよびデジタル信号処理を実行しなくてもよい。例えば、撮像部101がデジタル画像信号を出力し、撮像画像処理部103がデジタル信号処理だけを実行してもよい。
【0028】
撮像画像記録部105は、撮像画像記録部105は、撮像画像処理部103から出力される信号処理後の画像信号を、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの所定の圧縮符号化様式で圧縮し、画像データとして記憶部107に格納する。撮像画像記録部105は、さらに、画像データに対する付加的な情報を示すメタデータを記憶部107に格納してもよい。撮像画像記録部105は、撮像画像処理部103と同様に、例えばDSPを用いて実現されうる。
【0029】
記憶部107には、撮像装置100の処理に関するデータが格納される。記憶部107は、例えば、フラッシュROM(Read Only Memory)、もしくはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリ、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、もしくはCD(Compact Disc)などの光ディスク、またはハードディスクなどでありうる。記憶部107は、撮像装置100に内蔵される記憶装置であってもよく、メモリカードなど、撮像装置100に着脱可能なリムーバブルメディアであってもよい。また、記憶部107は、複数の種類の記憶装置またはリムーバブルメディアを含んでもよい。記憶部107には、撮像画像記録部105によって画像データが格納されるほか、制御部111が用いるプログラム、および後述する補助画像のデータなどが格納されうる。
【0030】
操作部109は、撮像装置100を操作するためのユーザインターフェースとして機能する、操作部109は、例えば、撮像装置100の外装に設けられたシャッターボタン、十字ボタン、またはメニューボタンなど各種の操作ボタン、タッチパネル、またはリモートコントローラなどであり、ユーザ操作に応じた操作信号を制御部111に出力する。操作部109は、例えば、撮像装置100の起動および停止、静止画像の撮影、動画像の撮影開始および終了、または撮像装置100の各種機能の設定などのユーザ操作に応じた操作信号を制御部111に出力する。
【0031】
制御部111は、撮像装置100の各部の動作を制御する。制御部111は、例えばDSPに設けられたマイクロコントローラなどの演算処理装置を用いて実現されうる。制御部111は、例えば記憶部107に含まれるフラッシュROMなどに格納されたプログラムに基づいて動作することによって、制御のために必要な各種の演算処理を実行する。演算処理には、記憶部107に含まれるDRAMが用いられてもよい。なお、上記のプログラムは、ディスク状記録媒体、またはメモリカードなどのリムーバブル記憶媒体に格納されて撮像装置100に提供されるものであってもよく、またLAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワークを介して撮像装置100にダウンロードされるものであってもよい。
【0032】
オートフォーカス部113は、制御部111を介して、撮像部101に含まれる撮像光学系のフォーカスレンズを移動させ、特定の被写体に対して撮像光学系の焦点を自動的に合わせる。オートフォーカス部113は、撮像画像処理部103などと同様に、例えばDSPを用いて実現されうる。オートフォーカス部113は、後述するオートフォーカス枠またはオートフォーカス領域についての情報を出力してもよい。オートフォーカス部113は、例えば、位相差検出方式によって動作してもよい。この場合、まず、オートフォーカス部113は、図示しないラインセンサなどの測光センサを用いて、撮像画像に予め設定されたオートフォーカス枠内の位相差を検出する。次に、オートフォーカス部113は、この位相差に基づいて撮像光学系の焦点がオートフォーカス枠内の特定の被写体に合焦するような焦点位置(フォーカスポジション)を計算する。さらに、オートフォーカス部113は、制御部111を介して撮像部101の光学部品駆動部を制御してフォーカスレンズを移動させ、撮像光学系の焦点を上記の特定の被写体に合焦させる。ここで、オートフォーカス部113は、予め設定された複数のオートフォーカス枠の中から、操作部109を介したユーザ操作によって、または自動的に抽出した1または複数のオートフォーカス枠に対して、上記の合焦の処理を行ってもよい。また、オートフォーカス部113は、コントラスト検出方式によって動作してもよい。この場合、まず、オートフォーカス部113は、制御部111を介して撮像部101の光学部品駆動部を制御してフォーカスレンズを移動させる。次に、オートフォーカス部113は、撮像画像の被写体を含む特定のオートフォーカス領域におけるコントラストを検出し、コントラストが最大になる位置をフォーカスポジションとして特定する。上記のオートフォーカス領域は、撮像画像の中の任意の領域でありえ、例えば、後述する顔検出部115によって検出された顔の領域であってもよい。
【0033】
顔検出部115は、撮像画像に含まれる1または複数の顔を検出する。顔検出部115は、撮像画像処理部103などと同様に、例えばDSPを用いて実現されうる。顔検出部115は、撮像画像から、例えばウェーブレット変換やHaar特徴検出などのアルゴリズムを用いて顔の領域を算出する。顔の領域とは、例えば、あご、耳、および眉が含まれる最小矩形の座標値でありうる。なお、顔の領域は、必ずしも矩形でなくてもよく、三角形または楕円などの形であってもよい。また、顔検出部115は、撮像画像に含まれるすべての顔を検出するように設定されていてもよく、また顔の領域の大きさなどの順位によって数を限定して顔を検出するように設定されていてもよい。顔検出部115は、算出した顔の領域の情報を出力してもよい。
【0034】
補助画像合成部117は、撮像画像に重畳表示するための複数の補助画像を合成して合成補助画像を生成し、表示制御部119に出力する。補助画像合成部117は、撮像画像処理部103などと同様に、例えばDSPを用いて実現されうる。補助画像は、撮像のための補助的な情報を提供する画像であり、具体的には、オートフォーカス部113による合焦の対象になるオートフォーカス枠を示す画像、顔検出部115によって検出された顔の領域の画像、ユーザによる撮像の構図の決定を補助するグリッド線の画像、撮影モードやズーム倍率などの設定値を示す画像、または、撮像装置100がタッチパネルを有する場合に操作ボタンの画像などでありうる。この補助画像は、記憶部107に予め格納された画像データによるものであってもよく、また、オートフォーカス部113または顔検出部115の出力に基づいて生成されるものであってもよい。補助画像合成部117は、例えば、複数の補助画像のそれぞれをレイヤとして合成し、1つの合成補助画像を生成する。このとき、補助画像合成部117は、補助画像の特定の部分の透明度を変化させうる。補助画像合成部117は、透明度を変化させるために、補助画像に付加されている後述の合成モード情報を参照してもよい。なお、補助画像合成部117の処理については後述する。
【0035】
表示制御部119は、表示部121に各種データを表示させるための表示制御を行う。表示制御部119は、撮像画像処理部103などと同様に、例えばDSPを用いて実現されうる。表示制御部119は、例えば、撮像画像処理部103からリアルタイムで入力される撮像中の撮像画像(スルー画像)に、補助画像合成部117から出力される合成補助画像を重畳した画像データを、表示部121に出力する。表示部121は、例えば、LCD、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成され、表示制御部119から入力される画像データを表示する。上記の場合、表示部121には、撮像中の撮像画像に、撮像のための補助的な情報が重畳表示された画像が表示される。これによって、ユーザは、撮像中の画像、および撮像中の画像に対する補助的な情報を同時に見ながら、撮像装置100を操作することが可能である。
【0036】
ここで、表示制御部119から表示部121に出力される画像データは、定期的に更新される。補助画像合成部117は、この画像データの更新に合わせて定期的に補助画像を合成して合成補助画像を生成し、表示制御部119に出力してもよい。また、補助画像合成部117は、合成される補助画像が更新された場合に補助画像を合成して合成補助画像を生成し、表示制御部119に出力してもよい。この場合、合成補助画像は記憶部107に格納され、次の合成補助画像が補助画像合成部117によって出力されるまで、表示制御部119によって繰り返し用いられてもよい。
【0037】
(1−2.補助画像の構成)
次に、図2および図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る補助画像の構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る第1の補助画像である基準線画像210の例を示す図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る第2の補助画像である領域線画像220の例を示す図である。ここでは、基準線画像210および領域線画像220という2つの補助画像を例として説明するが、例えば、撮影モードやズーム倍率などの設定値を示す画像、または、撮像装置100がタッチパネルを有する場合に操作ボタンの画像などの他の補助画像が、上記の2つの補助画像に代えて、または上記の2つの補助画像と共に用いられてもよい。
【0038】
(1)基準線画像
図2には、第1の補助画像である基準線画像210について、(a)〜(c)の3つの例が示されている。基準線画像210は、例えばユーザが構図を決定するときの目安または目印として表示され、具体的には、水平線、垂直線、水平線と垂直線とを組み合わせたグリッド線、または画面200の中心を表す中心マークなどでありうる。基準線画像210は、撮像装置100の記憶部107に画像データとして予め格納されているものであってもよい。それぞれの基準線画像210において、表示領域211以外の部分は透明領域である。基準線画像210を撮像画像などの他の画像に重畳した場合、透明領域では重畳された他の画像が透過して表示される。
【0039】
図2(a)に示される基準線画像210aにおいて、表示領域211aは、画面200を縦横それぞれに3分割するグリッド線である。図2(b)に示される基準線画像210bにおいて表示領域211bは、画面200を縦に4分割、横に6分割する、図2(a)に示されるものよりも細かいグリッド線である。図2(c)に示される基準線画像210cにおいて、表示領域211cは、画面200を縦横それぞれに4分割するグリッド線、および画面200の対角線である。
【0040】
上記の3つの例以外にも、ユーザの用途や嗜好に応じて様々なパターンの基準線画像210が存在しうる。撮像装置100では、これらの基準線画像210のうちのいずれかを表示するように予め設定されてもよく、また、ユーザの操作に応じて、表示する基準線画像210を選択可能であってもよい。さらに、撮像装置100では、撮像画像の内容を認識して自動的に表示する基準線画像210が選択されてもよい。
【0041】
(2)領域線画像
図3には、第2の補助画像である領域線画像220について、(a)および(b)の2つの例が示されている。領域線画像220は、例えば撮像装置100においてオートフォーカス部113の処理で使用されるオートフォーカス枠や、顔検出部115によって検出された顔の領域などでありうる。領域線画像220は、例えばオートフォーカス部113が位相差検出方式で動作する場合のオートフォーカス枠のように、撮像装置100の記憶部107に画像データとして予め格納されているものであってもよい。また、領域線画像220は、例えばオートフォーカス部113がコントラスト検出方式で動作する場合のオートフォーカス枠、または顔検出部115によって検出された顔の領域のように、撮像装置100の各部によって生成されて記憶部107に格納された画像であってもよい。それぞれの領域線画像220において、表示領域221以外の部分は透明領域である。領域線画像220を基準線画像210、または撮像画像などの他の画像に重畳した場合、透明領域では重畳された他の画像が透過して表示される。
【0042】
領域線画像220には、さらに、背景領域223が設定される。背景領域223は、表示領域221を包含する領域である。背景領域223は、具体的には、図示されているように、領域線画像220において表示領域221によって囲まれる領域の内側を示す領域でありうる。背景領域223は、さらに、表示領域221の近傍の領域を含んでもよい。領域線画像220を基準線画像210などの他の補助画像に重畳した場合、背景領域223では、重畳された基準線画像210などの他の補助画像の透明度が変更されうる。この透明度変更の処理については後述する。
【0043】
図3(a)に示される領域線画像220aは、オートフォーカス部113が位相差検出方式によって動作する場合に、画面200に設定されうる複数のオートフォーカス枠の画像である。図では9つのオートフォーカス枠が示されているが、オートフォーカス枠の数はこれには限らず、1または任意の複数のオートフォーカス枠が表示されうる。さらに、図3(a)では、複数のオートフォーカス枠のうちの1つについて拡大した図が示されている。表示領域221aは、略矩形の領域であり、この略矩形がオートフォーカス枠を示す。背景領域223aは、上記の略矩形の内部の領域と、その近傍とを含む領域である。
【0044】
図3(b)に示される領域線画像220bは、オートフォーカス部113がコントラスト検出方式によって動作する場合に、画面200に設定されうる複数のオートフォーカス領域の画像である。図では9つのオートフォーカス領域が示されているが、オートフォーカス領域の数はこれには限られず、1または任意の複数のオートフォーカス領域が表示されうる。さらに、図3(b)では、複数のオートフォーカス領域のうち1つについて拡大した図が示されている。表示領域221bは、オートフォーカス領域として表示される4つのかぎ状の図形が、略矩形をなすように組み合わされた形状の領域であり、この略矩形がオートフォーカス領域を示す。背景領域223bは、上記の略矩形の内部と、その近傍とを含む領域である。
【0045】
(1−3.補助画像の合成)
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る補助画像の合成について説明する。図4は、本実施形態に係る補助画像の合成処理の一例について説明するための図である。図5は、本実施形態において表示される画像の例について説明するための図である。図6は、本実施形態に係る補助画像の合成処理を示すフローチャートである。
【0046】
(1)処理の概略的な説明
図4には、本実施形態に係る撮像装置100における補助画像の合成処理の一例が概略的に示されている。補助画像合成部117は、第1の補助画像である基準線画像210bと、第2の補助画像である領域線画像220bとを含む複数の補助画像を合成して、合成補助画像250を生成する。合成される補助画像には、さらに、他の補助画像215,225が含まれてもよい。他の補助画像215,225は、例えば、上述のように、撮影モードやズーム倍率などの設定値を示す画像、または、撮像装置100がタッチパネルを有する場合に操作ボタンの画像などでありうる。
【0047】
なお、図示された例において合成される補助画像の組み合わせは一例である。従って、例えば、基準線画像210bは、図2において説明された基準線画像210a,210cなど、他の種類の基準線画像であってもよい。領域線画像220bも、図3において説明された領域線画像220aなど、他の種類の領域線画像であってもよい。また、第1の補助画像は必ずしも基準線画像210でなくてもよく、第2の補助画像は必ずしも領域線画像220でなくてもよい。補助画像合成部117によって合成される複数の補助画像には、少なくとも第1の補助画像および第2の補助画像が含まれればよく、他の補助画像215,225は存在しなくてもよいし、より多く存在してもよい。
【0048】
ここで、補助画像合成部117によって合成される複数の補助画像には、表示優先順位が設定される。図示された例では、順位が低い方から、第1の補助画像である基準線画像210b、他の補助画像215、第2の補助画像である領域線画像220b、他の補助画像225の順に表示優先順位が設定されている。補助画像合成部117は、表示優先順位がより低い補助画像を下位のレイヤ、表示優先順位がより高い画像を上位のレイヤとするレイヤ構造として各補助画像データを扱い、下位レイヤから順に重ね合わせていくことによって、各補助画像を合成して合成補助画像250を生成する。
【0049】
なお、図示された例において設定される表示優先順位は一例である。従って、例えば、第1の補助画像である基準線画像210bは、必ずしも最下位のレイヤでなくてもよく、他の補助画像215がさらに下位のレイヤに設定されていてもよい。また、領域線画像220bより上位にはレイヤが存在せず、領域線画像220bが最上位のレイヤであってもよい。表示優先順位は、第1の補助画像よりも第2の補助画像が高いように設定されればよく、他の補助画像215,225の表示優先順位はどのように設定されてもよい。
【0050】
図示された例において、まず、補助画像合成部117は、最下位のレイヤとして、第1の補助画像である基準線画像210bを合成する。基準線画像210bは、画面200を縦に4分割、横に6分割するグリッド線である表示領域211bを含む。次に、補助画像合成部117は、1つ上位のレイヤとして、他の補助画像215を合成する。次に、補助画像合成部117は、さらに上位のレイヤとして、第2の補助画像である領域線画像220bを合成する。領域線画像220bは、オートフォーカス領域として表示される4つのかぎ状の図形が略矩形をなすように組み合わされた形状の領域である表示領域221bと、この略矩形の内部およびその近傍を含む領域である背景領域223bとを含む。次に、補助画像合成部117は、最上位のレイヤとして、他の補助画像225を合成して、合成補助画像250を完成させる。
【0051】
合成補助画像250においては、基準線画像210bの表示領域211bと、領域線画像220bの表示領域221bとが表示される。なお、簡単のため、他の補助画像215,225の表示領域は図示されていない。ここで、第1の補助画像である基準線画像210bの表示領域211bであるグリッド線は、第2の補助画像である領域線画像220bに設定された背景領域223bにおいて透明になっている。つまり、領域線画像220bの背景領域223bにおいては、基準線画像210bの表示領域211bは表示されていない。これは、領域線画像220bの背景領域223bにおいて、基準線画像210bの表示領域211bの透明度が変更され、基準線画像210bの表示領域211bが完全に透明にされたことによるものである。なお、基準線画像210bの表示領域211bは、完全に透明にされなくてもよく、半透明にされてもよい。また、図示されていない他の補助画像215の表示領域も同様に、領域線画像220bに設定された背景領域223bにおいて透明または半透明になってもよい。基準線画像210bの表示領域211bの透明度を変更する補助画像合成部117の処理については後述する。
【0052】
(2)表示される画像の例
図5には、本実施形態において撮像装置100の表示制御部119によって表示部121に表示されうる画像の例が示されている。図4において説明したような処理によって生成された合成補助画像250は、表示制御部119によって撮像画像300に重畳されて、表示部121に表示される。ここでは、合成補助画像250に含まれる基準線画像210bの表示領域211b、および領域線画像220bの表示領域221bが図示されている。なお、簡単のため、他の補助画像215,225の表示領域は図示されていない。
【0053】
図5(a)には、領域線画像220bの背景領域223bにおいて、基準線画像210bの表示領域211bであるグリッド線が完全に透明にされた例が示されている。これによって、撮像画像300のうち、領域線画像220bの表示領域221bによって示される略矩形の領域の内部に表示される部分へのグリッド線の干渉をなくし、この部分の視認性を最大化することが可能である。ユーザは、画面200の背景領域223b以外の部分では、表示領域211bが表示されていることによってグリッド線を利用することが可能である。撮像画像300のうち上記の略矩形の領域の内部に表示される部分は、例えばオートフォーカス部113による合焦の対象になるオートフォーカス枠、または顔検出部115によって検出された顔の領域を示す顔検出枠でありうる。
【0054】
図5(b)には、領域線画像220bの背景領域223bにおいて、基準線画像210bの表示領域211bであるグリッド線が半透明にされた例が示されている。これによって、撮像画像300のうち、領域線画像220bの表示領域221bによって示される略矩形の領域の内部に表示される部分へのグリッド線の干渉を軽減し、この部分の視認性を高めつつ、この部分のグリッド線についてもある程度の視認性を確保することが可能である。撮像画像300のうち上記の略矩形の領域の内部に表示される部分は、図5(a)の場合と同様に、オートフォーカス枠、または顔検出枠でありうる。
【0055】
図5(c)には、領域線画像220bの背景領域223bにおいて、基準線画像210bの表示領域211bであるグリッド線がそのまま表示された例が示されている。この場合、撮像画像300のうち、領域線画像220bの表示領域221bによって示される略矩形の領域の内部に表示される部分にも、他の部分と同様にグリッド線が表示される。例えばグリッド線を優先して表示させたい場合などのために、撮像装置100は、背景領域223において表示領域211の透明度を変更するか否かを切り換え可能であってもよい。
【0056】
(3)処理の詳細な説明
本実施形態において、各補助画像は、RGBAカラーモデルによって表現される。RGBAカラーモデルとは、例えば画素ごとに、R(Red)、G(Green)、およびB(Blue)の各色の情報と、画像データにおける透明度を指定するアルファ値A(Alpha)の情報とを設定して、画像の色を表現する手法である。アルファ値Aは、0〜1の範囲であり、0で画像が完全に透明になり、1で画像が完全に不透明になる値として設定されうる。なお、色の表現手法は必ずしもRGBAカラーモデルには限られず、画像の透明度を変更することが可能であれば、どのような手法が用いられてもよい。
【0057】
以下で、RGBAカラーモデルが用いられる場合の、補助画像の基本的な合成処理について説明する。簡単のために、ここでは上位レイヤと下位レイヤの2つのレイヤを合成する場合について説明するが、3つ以上のレイヤを合成する場合も同様である。下位レイヤの任意の画素のRGBAの値は、式(1)のように設定される。
【0058】
【数1】

【0059】
また、上位レイヤの対応する画素のRGBAの値は、式(2)のように設定される。
【0060】
【数2】

【0061】
この場合、合成後の画素のRGBAの値は、式(3)のようになる。
【0062】
【数3】

【0063】
ここで、例えば、上位レイヤのアルファ値sAが1に近い値であれば、下位レイヤのR,G,Bは、上位レイヤのR,G,Bによって遮蔽され、合成後の画素にはほとんど反映されない。一方、上位レイヤのアルファ値sAが0に近い値であれば、下位レイヤのR,G,Bは、上位レイヤのR,G,Bを透過して、合成後の画素に反映される。
【0064】
また、本実施形態において、各補助画像には、合成モード情報が付加されている。合成モード情報は、撮像装置100の記憶部107に格納された補助画像の画像データに予め付加されたものであってもよく、また、制御部111によって付加または更新されたものであってもよい。補助画像合成部117は、合成モード情報に基づいて、第1の補助画像である基準線画像210の表示領域211の透明度を変更する。合成モード情報は、例えば表1に示されるような数値情報でありうる。
【0065】
【表1】

【0066】
ここで、「通常合成モード」は、上位レイヤにあたる補助画像を、下位レイヤにあたる補助画像の透明度を変更せずにそのまま合成するモードである。「上書きモード」は、上位レイヤにあたる補助画像の背景領域で、下位レイヤにあたる補助画像を完全に透明にして合成するモードである。「透明度変更モード」は、上位レイヤにあたる補助画像の背景領域で、下位レイヤにあたる補助画像の透明度を変更して合成するモードである。「透明度変更モード」では、変更後の透明度の値を設定することが可能であり、この値を調整することによって、下位レイヤにあたる補助画像を半透明にする度合いを調整することが可能である。
【0067】
なお、合成モード情報は、必ずしもすべての補助画像に付加されていなくてもよい。例えば、合成モード情報は、下位レイヤにあたる補助画像の透明度を変更する、第2の補助画像である領域線画像220にだけ付加されていてもよい。この場合、補助画像合成部117は、合成モード情報が付加されていない他の補助画像を、合成モード「通常合成モード」であるものとみなして処理してもよい。
【0068】
図6には、本実施形態に係る撮像装置100の補助画像合成部117における処理を示すフローチャートが示されている。この処理は、補助画像のレイヤ単位のループ処理になっており、下位レイヤから順にこの処理が実行されることによって、複数の補助画像から1つの合成補助画像が生成される。
【0069】
まず、補助画像合成部117は、合成するレイヤの合成モードが「上書きモード」であるか否かを判定する(ステップS101)。ここで、合成モードが「上書きモード」である場合に、補助画像合成部117は、このレイヤを下位レイヤに上書きして合成する(ステップS103)。
【0070】
ここで、上位レイヤを下位レイヤに上書きして合成する場合の処理について説明する。例として、上位レイヤが、第2の補助画像である領域線画像220であり、下位レイヤが、第1の補助画像である基準線画像210である場合について説明する。このとき、領域線画像220の背景領域223にあたる部分以外では、上述の基本的な合成処理が実行され、合成後の画素のRGBAの値は、式(3)のようになる。一方、領域線画像220の背景領域223にあたる部分では、上述の基本的な合成処理とは異なる合成処理が実行され、合成後の画素のRGBAの値は、式(4)のようになる。
【0071】
【数4】

【0072】
これによって、合成補助画像250には、領域線画像220のRGBAの値だけが反映される。つまり、第2の補助画像である領域線画像220に設定された背景領域223において、第1の補助画像である基準線画像210は完全に透明になっている。従って、背景領域223において、領域線画像220の画素が完全に透明(sA=0)である部分では、合成補助画像250は透明になり、合成補助画像250と撮像画像300との合成後の画像では、撮像画像300が完全に透過して表示される。
【0073】
再び図6を参照して、ステップS101において、合成するレイヤの合成モードが「上書きモード」ではないと判定された場合、次に、補助画像合成部117は、合成するレイヤの合成モードが「透明度変更モード」であるか否かを判定する(ステップS105)。ここで、合成モードが「透明度変更モード」である場合に、補助画像合成部117は、このレイヤを下位レイヤの透明度を変更して合成する(ステップS107)。
【0074】
ここで、上位レイヤを下位レイヤの透明度を変更して合成する場合の処理について説明する。例として、上位レイヤが、第2の補助画像である領域線画像220であり、下位レイヤが、第1の補助画像である基準線画像210である場合について説明する。このとき、領域線画像220の背景領域223にあたる部分以外では、上述の基本的な合成処理が実行され、合成後の画素のRGBAの値は、式(3)のようになる。一方、領域線画像220の背景領域223にあたる部分では、上述の基本的な合成処理とは異なる合成処理が実行され、合成後の画素のRGBAの値は、式(5)のようになる。なお、vAは、表1に示された合成モード情報において、「透明度変更モード」の場合に設定される1〜100の数値を100で割った、0.01〜1の範囲の値である。
【0075】
【数5】

【0076】
これによって、合成補助画像250には、領域線画像220のRGBAの値と、vAの値に応じて透明度が変更された基準線画像210のRGBAの値とが反映される。上記の式(5)は、式(3)において、dAをdA×vAにしたものである。つまり、第2の補助画像である領域線画像220に設定された背景領域223において、第1の補助画像である基準線画像210の透明度が変更され、基準線画像210は半透明になっている。半透明の度合いは、上記の合成モード情報において設定される値によって変化し、値がより小さいほど、基準線画像210はより透明に近くなる。従って、背景領域223において、領域線画像220の画素が完全に透明(sA=0)である部分では、合成補助画像250に基準線画像210が表示されるが、そのアルファ値dAは、基準線画像210の元のアルファ値dAよりも小さく(∵vAは0.01〜1の範囲)、基準線画像210の表示領域211は半透明になって表示される。このため、合成補助画像250と撮像画像300との合成後の画像では、撮像画像300がある程度透過して表示される。
【0077】
再び図6を参照して、ステップS105において、合成するレイヤの合成モードが「透明度変更モード」ではないと判定された場合、補助画像合成部117は、合成するレイヤの合成モードが「通常合成モード」であると判断する。次に、補助画像合成部117は、このレイヤを下位レイヤにそのまま合成する(ステップS109)。この場合、領域線画像220の背景領域223にあたる部分を含めた領域で、上述の基本的な合成処理が実行され、合成後の画素のRGBAの値は式(3)のようになる。
【0078】
ステップS103、ステップS107、またはステップS109における合成処理の後、補助画像合成部117は、合成するレイヤが最上位レイヤであるか否かを判定する(ステップS111)。ここで、合成するレイヤが最上位レイヤである場合、補助画像合成部117は、処理を終了する。一方、ステップS111において、合成するレイヤが最上位レイヤではない場合、補助画像合成部117は、1つ上位のレイヤの処理に移り(ステップS113)、ステップS101に戻る。
【0079】
<2.第2の実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態と比べて、撮像装置が表示モード設定機能を有する点において相違するが、その他の機能構成は第1の実施形態と略同一であるため、詳細説明を省略する。
【0080】
本実施形態において、制御部111は、操作部109によって取得されたユーザの操作に応じて、第2の補助画像である領域線画像220に設定される合成モード情報を変更し、これによって、第1の補助画像である基準線画像210の、補助画像合成部117による変更後の透明度を設定する。具体的には、制御部111は、領域線画像220に設定される合成モードが、「通常合成モード」、「上書きモード」、または「透明度変更モード」のいずれであるかを変更する。また、制御部111は、合成モードが「透明度変更モード」である場合に、変更後の基準線画像210の透明度を示す値を変更してもよい。なお、制御部111が合成モード情報を変更する補助画像は、領域線画像220には限られず、他の補助画像であってもよい。
【0081】
図7には、本発明の第2の実施形態に係る撮像装置100において、表示制御部119によって表示される表示モード設定画面400が示されている。表示モード設定画面400は、例えば撮像装置100の操作部109に含まれるメニューボタンの押下によって表示部121に表示される。図示された例においては、表示モード設定画面400には、上書きモードボタン410、透明度変更モードボタン420、通常合成モードボタン430が含まれる。制御部111は、例えば操作部109に含まれる十字ボタンまたはタッチパネルなどを用いた、これらのボタンに対する操作によって、基準線画像210の変更後の透明度を設定するためのユーザの操作を取得する。これによって、例えば、ユーザが上書きモードボタン410を押下した場合、制御部111は、記憶部107に格納される領域線画像220に付加する合成モード情報の合成モードを「上書きモード」にする。
【0082】
なお、表示モード設定画面400は、必ずしも図示されているような画面でなくてもよい。例えば、表示モード設定画面400は、上書きモードボタン410と、通常合成モードボタン430だけを含んでいてもよい。また、表示モード設定画面400は、基準線画像210の変更後の透明度を直接設定するスライドバーなど調節用の操作子を含んでいてもよい。
【0083】
また、本発明の第2の実施形態の変形例として、制御部111は、撮像処理の状態に応じて、第2の補助画像である領域線画像220に設定される合成モード情報を自動的に変更し、これによって、第1の補助画像である基準線画像210の、補助画像合成部117による変更後の透明度を設定してもよい。例えば、制御部111は、オートフォーカス部113による合焦をトリガーとして、オートフォーカス枠の画像である領域線画像220の背景領域223において基準線画像210の透明度を変更し、基準線画像210を完全に透明に、または半透明にしてもよい。また、制御部111は、顔検出部115による下位の領域の検出をトリガーとして、顔検出枠の画像である領域線画像220の背景領域223において基準線画像210の透明度を変更し、基準線画像210を完全に透明に、または半透明にしてもよい。
【0084】
<3.第3の実施形態>
次に、図8〜図11を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態と比べて、第2の補助画像である領域線画像220の構成において相違するが、その他の機能構成は第1の実施形態と略同一であるため、詳細説明を省略する。なお、以下の説明における領域線画像220は、表示の状態を理解しやすくするために、撮像画像300に重畳された状態で図示されている。
【0085】
図8には、本実施形態に係る領域線画像220の第1の例として、領域線画像220cが示されている。領域線画像220cにおける表示領域221cは、画面200に1つ設定されたオートフォーカス枠である。表示領域221cは、例えば、ユーザの設定によって、撮像装置100のオートフォーカス部113によるオートフォーカスの対象となる領域、または、オートフォーカス部113の処理によって合焦された領域を示すものでありうる。
【0086】
図9には、本実施形態に係る領域線画像220の第2の例として、領域線画像220dが示されている。領域線画像220dにおける表示領域221dは、画面200に複数設定されたオートフォーカス枠である。表示領域221dに含まれる複数のオートフォーカス枠は、互いに透明度が異なるものであってもよい。図示された例において、表示領域221dは、15個のオートフォーカス枠であり、不透明に近い1つのオートフォーカス枠と、半透明の14個のオートフォーカス枠を含む。このうち、半透明なオートフォーカス枠は、例えば、撮像装置100のオートフォーカス部113がオートフォーカスの対象とすることが可能な領域を示すものでありうる。また、不透明に近いオートフォーカス枠は、例えば、15個のオートフォーカス枠の中からユーザによって選択によって、オートフォーカス部113によるオートフォーカスの対象となる領域、または、15個のオートフォーカス枠の中で、オートフォーカス部113の処理によって合焦された領域を示すものでありうる。
【0087】
図10には、本実施形態に係る領域線画像220の第3の例として、領域線画像220eが示されている。領域線画像220eにおける表示領域221eは、画面200に複数設定されたオートフォーカス枠である。表示領域221eに含まれる複数のオートフォーカス枠は、いずれも半透明で表示されている。図示された例において、表示領域221eは、半透明で表示された15個のオートフォーカス枠である。これらのオートフォーカス枠は、例えば、撮像装置100のオートフォーカス部113がオートフォーカスの対象とすることが可能な領域を示すものでありうる。
【0088】
図11には、本実施形態に係る領域線画像220の第4の例として、領域線画像220fが示されている。領域線画像220fにおける表示領域221fは、画面200に複数設定されたオートフォーカス枠である。表示領域221fに含まれる複数のオートフォーカス枠は、いずれも不透明に近い。図示された例において、表示領域221fは、5つのオートフォーカス枠である。なお、オートフォーカス枠の数は5つには限られない。これらのオートフォーカス枠は、例えば、撮像装置100のオートフォーカス部113の処理によって合焦された領域を示すものでありうる。
【0089】
以上の4種類の領域線画像220c〜220fを用いた撮像装置100の動作例について説明する。この動作例において、撮像装置100は、複数のオートフォーカス枠から、合焦可能なオートフォーカス枠を自動的に抽出する。まず、補助画像合成部117は、図10において示された領域線画像220eを含む合成補助画像250を生成する。この合成補助画像250が撮像画像300に重畳させることによって、ユーザは、オートフォーカス部113がオートフォーカスの対象とすることが可能な領域を認識する。この状態で、ユーザが、例えば操作部109に含まれるシャッターボタンの操作によって、合焦の指示を示す操作信号を制御部111に与えた場合、制御部111は、オートフォーカス部113に合焦の動作をさせる。その結果、合焦された領域が複数であれば、制御部111は、図11において示された領域線画像220fを生成して補助画像合成部117に提供する。また、合焦された領域が1つであれば、制御部111は、図8において示された領域線画像220cを生成して補助画像合成部117に提供する。補助画像合成部117は、領域線画像220fまたは領域線画像220cを含む合成補助画像250を生成する。この合成補助画像250が撮像画像300に重畳されることによって、ユーザは、オートフォーカス部113によって合焦された領域を認識する。
【0090】
さらに、4種類の領域線画像220c〜220fを用いた撮像装置100の別の動作例について説明する。この動作例において、撮像装置100は、複数のオートフォーカス枠から、ユーザの操作に基づいて合焦するオートフォーカス枠を選択する。まず、補助画像合成部117は、図9において示された領域線画像220dを含む合成補助画像250を生成する。ここで、領域線画像220dにおいて不透明に近い色で示されたオートフォーカス枠は、現在選択されているオートフォーカス枠を示す。この状態で、ユーザは、例えば操作部109に含まれる十字キーの操作によって、選択されているオートフォーカス枠を移動する。制御部111は、ユーザの操作に応じて、領域線画像220dにおいて不透明に近い色で示されるオートフォーカス枠の位置を更新し、更新された領域線画像220dを補助画像合成部117に提供する。さらに、ユーザが、例えば操作部109に含まれるシャッターボタンの操作によって、合焦の指示を示す操作信号を制御部111に与えた場合、制御部111は、オートフォーカス部113に合焦の動作をさせる。このとき、制御部111は、図8において示された領域線画像220cを生成して補助画像合成部117に提供する。補助画像合成部117は、領域線画像220cを含む合成補助画像250を生成する。この合成補助画像250が撮像画像300に重畳されることによって、ユーザは、選択されたオートフォーカス枠によって示される領域について合焦されたことを認識する。
【0091】
以上で説明された本発明の第3の実施形態では、領域線画像220の背景領域223においてグリッド線などの基準線画像の透明度が変更されることによって、例えば領域線画像220c〜220fを用いた上記のような撮像装置100の動作において、ユーザがオートフォーカス枠に含まれる画像を認識することが容易になる。
【0092】
<4.まとめ>
上記の本発明の実施形態において、撮像装置は、撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、第2の補助画像に設定された透明な背景領域において第1の補助画像の表示領域の透明度を変更する補助画像合成部と、撮像画像に合成補助画像を重畳して表示部に表示させる表示制御部とを備える。このような構成によれば、第1の補助画像と第2の補助画像とが重複して表示される場合に、第2の補助画像の背景領域における第1の補助画像の透明度が変更されて表示されるため、第2の補助画像に対する第1の補助画像の干渉を抑制することができる。
【0093】
また、補助画像合成部は、少なくとも第2の補助画像に付加された合成モード情報に基づいて、透明度を変更してもよい。このような構成によれば、複数の補助画像において、第1の補助画像と第2の補助画像に相当する組み合わせを複数設定した場合に、それぞれの組み合わせごとに、透明度の変更の仕方を設定することができる。
【0094】
また、補助画像合成部は、背景領域において第1の補助画像の表示領域を完全に透明にしてもよい。このような構成によれば、合成補助画像において、第2の補助画像の背景領域では、第2の補助画像だけが表示され、ユーザは、第2の補助画像によって示される内容を明確に把握することができる。
【0095】
また、背景領域は、第2の補助画像の表示領域を包含する領域であってもよい。このような構成によれば、第2の補助画像の表示領域の近傍にある程度のマージンが確保され、第1の補助画像の表示領域と第2の補助画像の表示領域とが連続しないため、ユーザは、第1の補助画像と第2の補助画像とを容易に区別して視認することができる。
【0096】
また、第1の補助画像は、撮像画像の基準線画像であり、第2の補助画像は、撮像画像の領域線画像であってもよい。このような構成によれば、画面の全体に表示される基準線画像に、画面の特定の部分に表示される領域線画像が重複した場合に、領域線画像によって示される領域への基準線画像の干渉を抑制することができる。
【0097】
また、基準線画像は、グリッド線画像であり、領域線画像は、オートフォーカス枠画像であってもよい。このような構成によれば、オートフォーカス枠の内部でのグリッド線の表示を透明または半透明にして、オートフォーカス枠に含まれる被写体を容易に確認することができる。
【0098】
また、オートフォーカス枠画像は、複数のオートフォーカス枠を含んでもよい。このような構成によれば、撮像画像に対して複数設定されたオートフォーカス枠を、領域線画像と容易に区別して視認し、またオートフォーカス枠に含まれる被写体を容易に確認することができる。
【0099】
また、基準線画像は、グリッド線画像であり、領域線画像は、顔検出枠画像であってもよい。このような構成によれば、顔検出枠の内部でのグリッド線の表示を透明または半透明にして、顔検出枠に含まれる顔を容易に確認することができる。
【0100】
また、撮像装置は、変更後の透明度を、操作部によって取得されたユーザの操作に応じて設定する制御部をさらに備えてもよい。このような構成によれば、第2の補助画像の背景領域における第1の補助画像の透明度をどの程度変更するかを、撮像の被写体やユーザの嗜好に合わせて随意に設定することができる。
【0101】
また、撮像装置は、変更後の透明度を撮像処理の状態に応じて自動的に設定する制御部をさらに備えてもよい。このような構成によれば、オートフォーカスの合焦、または顔の領域の検出のような、撮像処理の状態の変化に応じて、ユーザにとってより適切な透明度を設定することができる。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0103】
100 撮像装置
101 撮像部
109 操作部
111 制御部
117 補助画像合成部
119 表示制御部
121 表示部
200 画面
210 基準線画像
211 表示領域
220 領域線画像
221 表示領域
223 背景領域
250 合成補助画像
300 撮像画像
400 表示モード設定画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、前記第2の補助画像に設定された透明な背景領域において前記第1の補助画像の透明度を変更する補助画像合成部と、
撮像画像に前記合成補助画像を重畳して表示部に表示させる表示制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記補助画像合成部は、少なくとも前記第2の補助画像に付加された合成モード情報に基づいて、前記透明度を変更する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補助画像合成部は、前記背景領域において前記第1の補助画像を完全に透明にする、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記背景領域は、前記第2の補助画像の表示領域を包含する領域である、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の補助画像は、前記撮像画像の基準線画像であり、
前記第2の補助画像は、前記撮像画像の領域線画像である、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記基準線画像は、グリッド線画像であり、
前記領域線画像は、オートフォーカス枠画像である、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記オートフォーカス枠画像は、複数のオートフォーカス枠を含む、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記基準線画像は、グリッド線画像であり、
前記領域線画像は、顔検出枠画像である、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記変更後の透明度を、操作部によって取得されたユーザの操作に応じて設定する制御部をさらに備える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記変更後の透明度を、撮像処理の状態に応じて自動的に設定する制御部をさらに備える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、前記第2の補助画像に設定された透明な背景領域において前記第1の補助画像の透明度を変更する処理と、
撮像画像に前記合成補助画像を重畳して表示部に表示させる処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
撮像のための補助的な情報を提供する第1および第2の補助画像を合成して合成補助画像を生成するときに、前記第2の補助画像に設定された透明な背景領域において前記第1の補助画像の透明度を変更するステップと、
撮像画像に前記合成補助画像を重畳して表示部に表示させるステップと、
を含む撮像方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−44604(P2012−44604A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186294(P2010−186294)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】