撮像装置、信号処理回路、信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラム
【課題】回路規模を大きくすることなく、適切な量子化精度再生を行う。
【解決手段】アナログ・デジタル変換部から出力されたデジタル信号を用いて量子化精度の再生を行う場合に、まず、アナログ・デジタル変換部から出力された映像信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得る。そして、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成する。そして、出力信号から高精度成分を分離し、分離した高精度成分をアナログ・デジタル変換部からの出力信号に付加する。
【解決手段】アナログ・デジタル変換部から出力されたデジタル信号を用いて量子化精度の再生を行う場合に、まず、アナログ・デジタル変換部から出力された映像信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得る。そして、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成する。そして、出力信号から高精度成分を分離し、分離した高精度成分をアナログ・デジタル変換部からの出力信号に付加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、信号処理回路、信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムに関し、特にデジタル出力された映像信号から、原信号が有する量子化精度以下の情報を再生するものに適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ信号をデジタル信号に変換する場合、デジタル信号の情報量は、サンプリング周波数と量子化ビット数とで決定される。サンプリング周波数は、ナイキストの定理により表現できる最大の周波数を決定し、量子化ビット数は、振幅方向の精度を決定する。すなわち、量子化ビット数は、デジタル信号の最小の変化量を決定する。量子化ビット数により決定された最小の変化量が表現する信号に対して大きすぎる場合は、いわゆる量子化歪が人間に知覚されてしまう。
【0003】
このため、量子化歪みを目立たせないように、予めアナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器と称する)に入力するアナログ信号のダイナミックレンジを、A/D変換器のダイナミックレンジに適合させることが行われる。ところがこのような処理が行われると、原信号が有する量子化精度以下の情報が消失してしまうという問題があった。
【0004】
図7(a)には、A/D変換器に入力されるアナログ信号の波形の例を示してあり、図7(b)には、A/D変換器に入力されたアナログ信号のダイナミックレンジを、A/D変換器のダイナミックレンジに合わせこんだ場合の信号波形の例を示してある。この例では、A/D変換器の量子化ビット数を8ビットとしてある。図7(b)に示した例では、図中に矢印で示した8ビットの範囲を越える高精度部分の情報は、A/D変換器を通ることにより消失してしまうことが示されている。
【0005】
また、ビデオカメラ等におけるデジタル信号処理の段階で、デジタル信号の最小の変化量が、表現する信号に対して大きくなりすぎてしまう現象が発生してしまうことがある。例えば、暗い場所で撮影を行う場合等に大幅なゲイン調整が行われた場合には、原信号の最下位ビットデータが上位ビットに持ち上げられることになる。その結果、表現される映像における階調感が不足してしまうという問題があった。モニタのガンマ特性に合わせて、3色の原色信号のガンマ特性を補正するガンマ補正においても、同様の問題が起こりうる。
【0006】
このような問題があるなかで、出力信号において階調を滑らかに表現するには、量子化ビット数を多く取ることが有効な手段となる。しかし、A/D変換器の性能は一般に限られており、量子化ビット数を任意に増加させることは非常に難しい。また、製造原価の観点から量子化ビット数の大きいA/D変換器を用いることができない場合もある。
【0007】
A/D変換器における量子化ビット数を増やすことなく、これらの問題を解決する手法としては、例えば、A/D変換器からの出力信号の最下位ビットの方向にビット数を拡張し、拡張した部分にランダムノイズを挿入する手法がある。また他には、A/D変換器に入力される原信号の情報を保持したまま、A/D変換後のデジタル信号から、原信号の量子化精度以下の高精度成分を再生する手法も採られている。
【0008】
図8には、原信号の量子化精度以下の高精度成分を再生する場合の回路構成例を示してある。量子化精度以下の高精度成分を再生する回路のことを、以降、量子化精度再生回路と称する。この回路は、例えばビデオカメラ等に適用されるものであり、A/D変換された原信号或いはゲインが大幅に調整されたデジタル信号において、最下位ビットが持ち上げられたために起こる階調不足を補正するために、nビットの原信号から最下位ビット以下の高精度成分mビットを生成し、量子化ビット数をn+mビットとする処理を行う。
【0009】
量子化精度再生回路は、例えばローパスフィルタ201と、高精度成分分離部202と、高精度成分付加部203で構成される。ローパスフィルタ201は、量子化精度以下の信号成分(高精度成分)を含むn′+mビット長のデジタル信号を生成する。図9に、m=1とした場合のローパスフィルタ201の出力例を示してある。図9に示した例では、原信号をデジタル化して得たデジタル信号の信号長nが、8ビットであるものとしてある。
【0010】
ローパスフィルタ201では、2つのデジタル信号の平均値を算出することにより、原信号の量子化精度以下のビット情報を含む信号を出力する。図9(a)−1及び図9(a)−2は、処理対象となる2つのデジタル信号を示している。それぞれ8ビットのデジタル信号であるが、加算処理が行われることにより、図9(b)に示したように9ビットの出力信号となる。つまり、ローパスフィルタ201を通すことにより、n(8)+m(1)ビット=9ビット長の信号が生成される。
【0011】
図9において垂直方向に引かれた破線は、小数点の位置を示しており、図9(b)に示した信号に対して除算処理を行うことで、信号は図9(c)に示されたように桁が調整される。そして、図9(c)において小数点以下として算出された部分(1ビット)が高精度成分となる。図8の高精度成分分離部202は、図9(c)及び(d)に示したように、ローパスフィルタ201からの出力信号から、高精度成分のmビットを分離する処理を行う。そして、高精度成分付加部203は、高精度成分分離部202で分離されたmビットを、原信号であるnビットのデジタル信号の下位ビットに付加する処理を行う。
【0012】
つまり、図10(a)に示したようなnビットの原信号において、量子化精度以下の信号は破線で示されたように削除されてしまっているが、ローパスフィルタ201を通すことにより図10(b)に示されたような、量子化精度以下の信号を含む信号が生成される。そして、高精度成分分離部202によって、図10(c)に示されたように高精度成分mビットが分離され、高精度成分付加部203によって、図10(d)に示されたように、図10(a)に示した元のnビットの信号に、図10(c)で分離されたmビットの信号が付加された信号が生成される。このような処理を行うことによって、A/D変換部での量子化ビット数を増やすことなく高精度成分を再生することができるようになる。
【0013】
ところが、上述した手法では、特にエッジやノイズなどの高周波成分による影響を大きく受けてしまうという問題があった。また、量子化精度再生の効果を高めようとすると画質が破綻してしまうという問題があった。これらの問題を解決するため、高精度成分を検出して、検出された高精度成分の量に応じて高精度成分の再生効果を調整する手法が採られている。
【0014】
特許文献1には、高精度成分を検出して、検出された高精度成分の量に応じて高精度成分の再生効果を調整することについての開示がある。
【特許文献1】特開2006−222479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した量子化精度再生回路の構成例を、図11に示してある。図11に示された量子化精度再生回路には、図8に示した回路と同様に、A/D変換器でデジタル信号に変換されてゲイン調整が行われた映像信号が入力される。
【0016】
図11に示した量子化精度再生回路は、ローパスフィルタ201、高精度成分分離部202、高精度成分付加部203、高周波検出部204、高周波成分調整出力部205で構成される。ローパスフィルタ201は、入力されたnビットの原信号から、n+mビット長のデジタル信号を生成する。高精度成分分離部202は、ローパスフィルタ201から出力されたn′+mビットの信号から、高精度成分であるmビットの信号を分離する。高精度成分付加部203では、入力されたnビットの原信号にmビットの高精度成分信号を付加してn+mビット長のデジタル信号を出力する。
【0017】
ここまで説明した構成は、図8に示した量子化精度再生回路図と同一であるが、図11に示した量子化精度回路は、nビットの原信号に含まれる高周波成分を検出する高周波検出部204と、高周波検出部204の検出結果に応じて量子化精度の再生効果を調整する高周波成分調整出力部205を有することを特徴とする。
【0018】
高周波検出部204は、原信号に含まれる高周波成分を検出し、検出した高周波成分の大きさに応じた出力値を出力する。高周波成分調整出力部205は、高周波検出部204の出力値の大きさに応じたゲイン関数を生成し、生成したゲイン関数を用いて原信号と高精度成分が付与された量子化精度再生信号とのアルファブレンドを行う。或いは、原信号から生成した高精度成分に、高周波検出部204の検出結果に応じて生成されたゲインをかけ、この値を高精度成分付加部203から出力されたn+mビット長の量子化精度再生信号に加算する。このような処理を行うことで、原信号の特性を限りなく残したまま量子化精度を再生することができる。
【0019】
このような量子化精度再生回路では、高周波の検出精度が非常に重要となる。また、量子化精度の再生効果を高周波成分の検出結果に応じて適切に制御することも重要となる。これらの処理が適切に行われない場合には、生成した量子化精度再生信号の周波数特性が、原信号より劣化してしまうためである。この現象は、再生ビット数が多いほど顕著になる傾向がある。また、付加する再生ビット数が多くなる場合には、エッジなどの値が大きく変化する高周波部分の波形に、リンギングのような現象が生じてしまうことが確認されている。
【0020】
ところが、このような現象を防ぐために、エッジやノイズ、絵柄等の様々な高周波成分をより精度良く検出する仕組みや、量子化精度再生効果の適切な制御を実現しようとすると、処理が非常に複雑になり、回路規模が大きくなってしまうという問題があった。例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの処理で知られるDCT(離散コサイン変換)などは非常に有用であるものの、処理としては複雑であり、非常に大きな回路規模となってしまう。
【0021】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、回路規模を大きくすることなく、適切な量子化精度再生を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、撮像部と、撮像部で得た映像信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換部を備えた撮像装置において量子化精度の再生を行う場合に、まず、アナログ・デジタル変換部から出力された映像信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得るようにした。そして、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するようにした。そして、出力信号から高精度成分を分離し、分離した高精度成分をアナログ・デジタル変換部からの出力信号に付加するようにしたものである。
【0023】
上述したフィルタ処理を行うことにより、高周波成分の影響を除去することが可能となり、また、アナログ・デジタル変換部出力の量子化精度以下の高精度成分を再生することができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、高周波検出部や高周波成分調整出力部などを追加で持つ必要がなくなるため、高周波成分の影響を除去しつつ、アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を再生することができるようになる。これにより、回路規模を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図5を参照して説明する。図1は、本実施の形態における撮像装置を適用したビデオカメラの基本的な構成例のブロック図を示す。図1に示すビデオカメラは、イメージセンサ1,2,3と、ビデオアンプ4,5,6と、A/D変換器7,8,9と、映像信号処理部16と、マイクロコンピュータ17と、操作部18とを有する。映像信号処理部16は、補正回路10と、ゲイン調整回路11と、量子化精度再生回路12と、輝度調整回路13と、ガンマ補正回路14と、出力信号生成回路15とで構成してある。
【0026】
図1に示すビデオカメラにおいて、被写体の光学像は図示せぬレンズ等の光学系を介して、イメージセンサ1,2,3の受光部に入射され、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色ごとに光電変換される。本例では、赤色用、緑色用及び青色用の3個のイメージセンサを備えているが、4色分のイメージセンサを備えていてもよく、この例に限るものではない。
【0027】
イメージセンサ1,2,3は、被写体像から光電変換により映像信号を構成する各原色信号を各々生成し、それら3色の原色信号(R信号,G信号,B信号)をそれぞれビデオアンプ4,5,6に供給する。なお、上記映像信号は、動画及び静止画のいずれも適用可能である。
【0028】
ビデオアンプ4,5,6は利得調整手段であり、一例としてAGC(Automatic Gain Control)回路などを適用することができる。ビデオアンプ4,5,6は、原色信号のゲインを調整し、そのゲインが調整された原色信号をそれぞれA/D変換器7,8,9に供給する。A/D変換器7,8,9は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、映像信号処理部16に供給する。
【0029】
本例では、映像信号処理部16を、補正回路10、ゲイン調整回路11、量子化精度再生回路12、輝度調整回路13、ガンマ補正回路14、出力信号生成回路15から構成している。まず、上記ビデオアンプ4,5,6、A/D変換器7,8,9によって適切なレベルに調節され、量子化されたR,G,Bの原色信号は、映像信号処理部16の補正回路10に入力される。
【0030】
補正回路10は、入力された3色の原色信号に対して補間処理、それに伴うフィルタ処理、シェーディング処理などの信号処理を行い、ゲイン調整回路11に供給する。
【0031】
ゲイン調整回路11は、補正回路10から入力される3色の原色信号のゲインを適切なレベルに調整して、ノイズ低減回路12に供給する。
【0032】
量子化精度再生回路12は、ゲイン調整回路11から入力される3色の原色信号に含まれる高周波成分の影響を排除しつつ、量子化精度を再生した信号を生成する。量子化精度再生回路12の詳細説明については、後述する。
【0033】
輝度調整回路13は、映像信号を規定の範囲内に収めるために、量子化精度再生回路12より入力される信号から輝度信号を抽出し、その輝度信号の高輝度域の振幅特性を抑えることによりイメージセンサ出力のダイナミックレンジを圧縮し、ガンマ補正回路14へ供給する。
【0034】
ガンマ補正回路14は、輝度調整回路13から入力される3色の原色信号の各々について、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示パネルなどのモニタ(受像機)のガンマ特性に合わせて補正を行い、ガンマ補正した各原色信号を出力信号生成回路15に供給する。
【0035】
出力信号生成回路15は、ガンマ補正回路14から入力される3色の原色信号を最終的な映像信号出力形式に変換し、外部へ出力する。一例として、出力信号生成回路15は、NTSC(National Television System Committee)方式又はPAL(Phase Alternating Line)方式等の信号規格に沿うように、3色の原色信号を色差信号に変換し、図示せぬサブキャリア信号を用いて変調するエンコーダ回路としての機能を有する。さらに、出力すべき映像信号がアナログ信号である場合には、上記エンコーダ回路が出力した量子化された色差信号をアナログ信号に変換するD/A変換器を備えた構成とする。
【0036】
マイクロコンピュータ17は、制御部の一例であり、映像信号処理部16を構成する各回路を制御する。また、図示せぬレンズ等の光学系、ビデオアンプ4,5,6等の各部の動作を制御する。操作部18は、ビデオカメラに配設されたボタンキーや当該ビデオカメラに搭載されたモニタの画面に表示されるアイコンに割り当てられたソフトキー等からなり、操作に応じた操作信号が図示せぬインターフェースを介してマイクロコンピュータ17に入力される。マイクロコンピュータ17は、利用者が操作部18を操作して入力した操作信号、もしくは予め規定された設定等に基づいて、内蔵のROM(Read Only Memory)等の不揮発性記憶部に記録されているコンピュータプログラムに従い、所定の演算及び各回路に対する制御を行う。
【0037】
さらに、マイクロコンピュータ17には、必要に応じて、図示せぬドライブ回路が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどが適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じてマイクロコンピュータ17に内蔵されるRAM等にインストールされるようにしてもよい。
【0038】
上述のように構成されるビデオカメラにおいて、被写体像がイメージセンサ1,2,3で光電変換されて赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の原色信号が生成され、次いで、ビデオアンプ4,5,6とA/D変換器7,8,9によって適切なレベルのアナログ信号に調節され、量子化されてデジタル信号に変換される。量子化された各原色信号は補正回路10、ゲイン調整回路11によって適切な補正及びゲイン調整処理がなされた後、量子化精度再生回路12に入力される。量子化精度再生回路12に入力された信号は、高周波成分の影響が排除され、量子化精度が再生された上で、量子化精度再生信号として輝度調整回路13に入力される。そして、輝度調整回路13で適切な輝度圧縮処理がなされた後、ガンマ補正回路14に入力され、ガンマ補正された各原色信号が出力信号生成回路15によって最終的な映像信号出力形式に変換されて出力される。
【0039】
次に、図1の構成中の量子化精度再生回路12の構成例を、図2に示す。図2に示した量子化精度再生回路は、エッジ保持平滑化フィルタ121と、高精度成分分離部123と、高精度成分付加部124とで構成される。本例では、エッジ保持平滑化フィルタ121として、εフィルタを用いている。εフィルタは、信号における突発的大振幅変化成分を維持しながら、信号に加えられたランダム雑音などの小振幅信号を平滑化する特性を持つ。本例のエッジ保持平滑化フィルタ121は、フィルタ演算に使用する画素値のうち、注目画素値を基準とした場合の変化量が閾値以内である場合にはその画素値をフィルタ演算の対象とし、注目画素値からの変化量が閾値より上である場合には、注目画素値をフィルタ演算の対象として代用するものである。そして、このようにして求められた演算対象の画素値に対してフィルタ演算を行うことにより、量子化精度以下の高精度成分を含む信号を生成する。図3及び図4に、エッジ保持平滑化フィルタ121のフィルタ処理例を示してある。
【0040】
本例では、フィルタの中心に位置する注目画素及び、その周辺に位置する4つの画素(合計5画素)に対してフィルタ処理を行うようにしてあり、図3(a)及び図4(a)において、フィルタ処理を行う各画素を点P0〜P5として示してある。また、図中にThとして示した上下方向の矢印は、閾値の範囲を示している。なお、フィルタ処理の対象とする画素の個数は、5つに限定されるものではなく、任意の値に設定が可能であるものとする。
【0041】
図3(a)においては画素P2を注目画素に設定してあり、注目画素P2と、その周辺に位置する画素P0,P1,P3,P4とが、フィルタ処理の対象となっている様子が示されている。画素P0とP1は、注目画素P2からの変化量が閾値Thの範囲内に収まっているため、画素P0とP1の値がそのままフィルタ演算の対象となる。これに対して画素P3とP4は、注目画素P2からの変化量が閾値Thの範囲を超えているため、注目画素P2がフィルタ演算の対象となる。図3(b)には、フィルタ演算対象画素値の分布を示してあり、それぞれの画素値をF0〜F4として示してある。
【0042】
図3(a)における画素値P0とP1は、注目画素値P2からの変化量が閾値Thの範囲内であるため、画素値P0,P1の値がそのままF0,F1として出力されている。画素値P3とP4は、注目画素値P2からの変化量が閾値Thの範囲を超えているため、注目画素値P2の値が使用され、画素値F3(=P2),F4(=P2)として出力されている。
【0043】
図4(a)には、注目画素値がP2からP3に移動した場合の処理例について示してある。注目画素値がP3に設定されると、閾値Thも注目画素値P3を中心に設定されなおされる。注目画素値をP3とした場合は、周囲の画素のうち、画素P1とP4,P5が注目画素P3との変化量が閾値の範囲内にあるのに対し、画素P2との変化量が閾値の範囲外となる。このため、図4(b)に示すように、注目画素P3との変化量が閾値Thの範囲内にある画素値F1,F4,F5は、それぞれ図4(a)における画素値P1,P4,P5の値をそのまま引継ぎ、画素値F2は、注目画素P3の値を代用している。
【0044】
図5に、エッジ保持平滑化フィルタ121の処理例をフローチャートとして示してある。図5において、まず、注目画素の周囲画素の画素値における、注目画素の画素値からの変化量が抽出される(ステップS1)。そして、その変化量が閾値Thの範囲内であるか否かの判断がされる(ステップS2)。変化量が閾値Thの範囲内である場合には、周囲画素の画素値に対してフィルタ演算が行われ(ステップS3)、変化量が閾値Thを越える場合には、注目画素の画素値に対してフィルタ演算が行われる(ステップS4)。なお、フィルタ演算は、演算対象の画素値を決定する処理がフィルタのタップ数分繰り返された後に、最後に行うようにしてある。
【0045】
このような処理が行われることにより、例えば図3(a)における画素値P2からP3への比較的大きな変化は維持されつつ、注目画素値を中心に設けられた閾値を基準とした比較的小さな振幅(高周波成分)が平滑化される。そして、この平滑化された信号を基に量子化精度以下の高精度成分が再生される。ここで生成される高精度成分を含む信号は、ランダムノイズ等に比べて、原信号との相関性が高いものとなる。
【0046】
図2に戻って説明を続けると、エッジ保持平滑化フィルタ121に入力されたaビットのデジタル信号は、エッジ保持平滑化フィルタ121にて上述したような処理が行われることにより、bビットの高精度成分を含むa′+bビット長の信号として出力される。この信号は高精度成分分離部123に入力されて、高精度成分であるbビットが分離され、高精度成分付加部124によって、原信号であるaビットの最下位ビット以下に、高精度成分分離部123で分離されたbビットの信号が付加される。これにより、量子化精度を再生した信号を得ることができる。なお、高精度成分分離部123で分離するビット数は、任意のビット数に設定可能であるものとする。
【0047】
このように構成することで、高周波成分の影響を排除しながら同時に量子化精度の再生も行えるようになるため、回路の規模を最小限に抑えることができるようになる。
【0048】
また、εフィルタを用いることで高周波成分の影響を除去できるため、より適切な量子化精度再生を行うことができるようになる。
【0049】
また、εフィルタでは信号における突発的大振幅変化成分が維持されるため、特にエッジやインパルス等の振幅に大きな変化がある部分においても、原信号との相関性の高い高精度成分を生成できるようになる。
【0050】
なお、上述した実施の形態では、エッジ保持平滑型フィルタとしてεフィルタを用いた場合を例に上げて説明したが、エッジ保持平滑型フィルタと呼ばれるフィルタであれば、ガウシアンフィルタやボックスフィルタ等のバイラテラルフィルタや、他のフィルタを用いるようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、量子化精度再生回路を、撮像部及びアナログ・デジタル変換部を持つビデオカメラに適用した場合について説明したが、アナログ信号又はデジタル信号を入力して上述した信号処理(量子化精度再生処理)を行う信号処理装置や、上方処理装置等にも適用することが可能である。
【0052】
情報処理装置としては、コンピュータや印刷装置、ゲーム装置、携帯情報端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型ゲーム機、電子書籍等)、画像再生装置(光ディスク装置、ホームサーバ等)、モニタ、テレビジョン受像機、オーディオ信号再生装置等の装置が考えられる。
【0053】
図6には、情報処理装置310に量子化精度再生回路304を搭載した例を示してある。図6に示した情報処理装置310は、送信装置301やメディア302から送信される放送信号や通信データを受信する外部インターフェース部306と、信号処理部305と、量子化精度再生回路304と、表示部303とを備える。なお、図6に示した例では情報処理装置310が表示部303を有する構成としたが、表示部を備えない情報処理装置に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態によるビデオカメラの内部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による量子化精度再生回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるエッジ保持平滑化フィルタのフィルタ処理例を示す特性図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるエッジ保持平滑化フィルタのフィルタ処理例を示す特性図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるエッジ保持平滑化フィルタのフィルタ処理例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の形態による情報処理装置の構成例を示す説明図である。
【図7】従来のA/D変換器での高周波成分消失の例を示す特性図であり、(a)はA/D変換器入力前の特性であり、(b)はA/D変換器からの出力時の特性である。
【図8】従来の量子化精度再生回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】従来の量子化精度再生処理を示す説明図である。
【図10】従来の量子化精度再生処理を示す説明図である。
【図11】従来の量子化精度再生回路の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1,2,3…イメージセンサ、4,5,6…ビデオアンプ、7,8,9…A/D変換器、10…補正回路、11…ゲイン調整回路、12…量子化精度再生回路、13…輝度調整回路、14…ガンマ補正回路、15…出力信号生成回路、16…映像信号処理部、17…マイクロコンピュータ、18…操作部、121…エッジ保持平滑化フィルタ、123…高精度成分分離部、124…高精度成分付加部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、信号処理回路、信号処理装置、信号処理方法及びコンピュータプログラムに関し、特にデジタル出力された映像信号から、原信号が有する量子化精度以下の情報を再生するものに適用される技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ信号をデジタル信号に変換する場合、デジタル信号の情報量は、サンプリング周波数と量子化ビット数とで決定される。サンプリング周波数は、ナイキストの定理により表現できる最大の周波数を決定し、量子化ビット数は、振幅方向の精度を決定する。すなわち、量子化ビット数は、デジタル信号の最小の変化量を決定する。量子化ビット数により決定された最小の変化量が表現する信号に対して大きすぎる場合は、いわゆる量子化歪が人間に知覚されてしまう。
【0003】
このため、量子化歪みを目立たせないように、予めアナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器と称する)に入力するアナログ信号のダイナミックレンジを、A/D変換器のダイナミックレンジに適合させることが行われる。ところがこのような処理が行われると、原信号が有する量子化精度以下の情報が消失してしまうという問題があった。
【0004】
図7(a)には、A/D変換器に入力されるアナログ信号の波形の例を示してあり、図7(b)には、A/D変換器に入力されたアナログ信号のダイナミックレンジを、A/D変換器のダイナミックレンジに合わせこんだ場合の信号波形の例を示してある。この例では、A/D変換器の量子化ビット数を8ビットとしてある。図7(b)に示した例では、図中に矢印で示した8ビットの範囲を越える高精度部分の情報は、A/D変換器を通ることにより消失してしまうことが示されている。
【0005】
また、ビデオカメラ等におけるデジタル信号処理の段階で、デジタル信号の最小の変化量が、表現する信号に対して大きくなりすぎてしまう現象が発生してしまうことがある。例えば、暗い場所で撮影を行う場合等に大幅なゲイン調整が行われた場合には、原信号の最下位ビットデータが上位ビットに持ち上げられることになる。その結果、表現される映像における階調感が不足してしまうという問題があった。モニタのガンマ特性に合わせて、3色の原色信号のガンマ特性を補正するガンマ補正においても、同様の問題が起こりうる。
【0006】
このような問題があるなかで、出力信号において階調を滑らかに表現するには、量子化ビット数を多く取ることが有効な手段となる。しかし、A/D変換器の性能は一般に限られており、量子化ビット数を任意に増加させることは非常に難しい。また、製造原価の観点から量子化ビット数の大きいA/D変換器を用いることができない場合もある。
【0007】
A/D変換器における量子化ビット数を増やすことなく、これらの問題を解決する手法としては、例えば、A/D変換器からの出力信号の最下位ビットの方向にビット数を拡張し、拡張した部分にランダムノイズを挿入する手法がある。また他には、A/D変換器に入力される原信号の情報を保持したまま、A/D変換後のデジタル信号から、原信号の量子化精度以下の高精度成分を再生する手法も採られている。
【0008】
図8には、原信号の量子化精度以下の高精度成分を再生する場合の回路構成例を示してある。量子化精度以下の高精度成分を再生する回路のことを、以降、量子化精度再生回路と称する。この回路は、例えばビデオカメラ等に適用されるものであり、A/D変換された原信号或いはゲインが大幅に調整されたデジタル信号において、最下位ビットが持ち上げられたために起こる階調不足を補正するために、nビットの原信号から最下位ビット以下の高精度成分mビットを生成し、量子化ビット数をn+mビットとする処理を行う。
【0009】
量子化精度再生回路は、例えばローパスフィルタ201と、高精度成分分離部202と、高精度成分付加部203で構成される。ローパスフィルタ201は、量子化精度以下の信号成分(高精度成分)を含むn′+mビット長のデジタル信号を生成する。図9に、m=1とした場合のローパスフィルタ201の出力例を示してある。図9に示した例では、原信号をデジタル化して得たデジタル信号の信号長nが、8ビットであるものとしてある。
【0010】
ローパスフィルタ201では、2つのデジタル信号の平均値を算出することにより、原信号の量子化精度以下のビット情報を含む信号を出力する。図9(a)−1及び図9(a)−2は、処理対象となる2つのデジタル信号を示している。それぞれ8ビットのデジタル信号であるが、加算処理が行われることにより、図9(b)に示したように9ビットの出力信号となる。つまり、ローパスフィルタ201を通すことにより、n(8)+m(1)ビット=9ビット長の信号が生成される。
【0011】
図9において垂直方向に引かれた破線は、小数点の位置を示しており、図9(b)に示した信号に対して除算処理を行うことで、信号は図9(c)に示されたように桁が調整される。そして、図9(c)において小数点以下として算出された部分(1ビット)が高精度成分となる。図8の高精度成分分離部202は、図9(c)及び(d)に示したように、ローパスフィルタ201からの出力信号から、高精度成分のmビットを分離する処理を行う。そして、高精度成分付加部203は、高精度成分分離部202で分離されたmビットを、原信号であるnビットのデジタル信号の下位ビットに付加する処理を行う。
【0012】
つまり、図10(a)に示したようなnビットの原信号において、量子化精度以下の信号は破線で示されたように削除されてしまっているが、ローパスフィルタ201を通すことにより図10(b)に示されたような、量子化精度以下の信号を含む信号が生成される。そして、高精度成分分離部202によって、図10(c)に示されたように高精度成分mビットが分離され、高精度成分付加部203によって、図10(d)に示されたように、図10(a)に示した元のnビットの信号に、図10(c)で分離されたmビットの信号が付加された信号が生成される。このような処理を行うことによって、A/D変換部での量子化ビット数を増やすことなく高精度成分を再生することができるようになる。
【0013】
ところが、上述した手法では、特にエッジやノイズなどの高周波成分による影響を大きく受けてしまうという問題があった。また、量子化精度再生の効果を高めようとすると画質が破綻してしまうという問題があった。これらの問題を解決するため、高精度成分を検出して、検出された高精度成分の量に応じて高精度成分の再生効果を調整する手法が採られている。
【0014】
特許文献1には、高精度成分を検出して、検出された高精度成分の量に応じて高精度成分の再生効果を調整することについての開示がある。
【特許文献1】特開2006−222479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した量子化精度再生回路の構成例を、図11に示してある。図11に示された量子化精度再生回路には、図8に示した回路と同様に、A/D変換器でデジタル信号に変換されてゲイン調整が行われた映像信号が入力される。
【0016】
図11に示した量子化精度再生回路は、ローパスフィルタ201、高精度成分分離部202、高精度成分付加部203、高周波検出部204、高周波成分調整出力部205で構成される。ローパスフィルタ201は、入力されたnビットの原信号から、n+mビット長のデジタル信号を生成する。高精度成分分離部202は、ローパスフィルタ201から出力されたn′+mビットの信号から、高精度成分であるmビットの信号を分離する。高精度成分付加部203では、入力されたnビットの原信号にmビットの高精度成分信号を付加してn+mビット長のデジタル信号を出力する。
【0017】
ここまで説明した構成は、図8に示した量子化精度再生回路図と同一であるが、図11に示した量子化精度回路は、nビットの原信号に含まれる高周波成分を検出する高周波検出部204と、高周波検出部204の検出結果に応じて量子化精度の再生効果を調整する高周波成分調整出力部205を有することを特徴とする。
【0018】
高周波検出部204は、原信号に含まれる高周波成分を検出し、検出した高周波成分の大きさに応じた出力値を出力する。高周波成分調整出力部205は、高周波検出部204の出力値の大きさに応じたゲイン関数を生成し、生成したゲイン関数を用いて原信号と高精度成分が付与された量子化精度再生信号とのアルファブレンドを行う。或いは、原信号から生成した高精度成分に、高周波検出部204の検出結果に応じて生成されたゲインをかけ、この値を高精度成分付加部203から出力されたn+mビット長の量子化精度再生信号に加算する。このような処理を行うことで、原信号の特性を限りなく残したまま量子化精度を再生することができる。
【0019】
このような量子化精度再生回路では、高周波の検出精度が非常に重要となる。また、量子化精度の再生効果を高周波成分の検出結果に応じて適切に制御することも重要となる。これらの処理が適切に行われない場合には、生成した量子化精度再生信号の周波数特性が、原信号より劣化してしまうためである。この現象は、再生ビット数が多いほど顕著になる傾向がある。また、付加する再生ビット数が多くなる場合には、エッジなどの値が大きく変化する高周波部分の波形に、リンギングのような現象が生じてしまうことが確認されている。
【0020】
ところが、このような現象を防ぐために、エッジやノイズ、絵柄等の様々な高周波成分をより精度良く検出する仕組みや、量子化精度再生効果の適切な制御を実現しようとすると、処理が非常に複雑になり、回路規模が大きくなってしまうという問題があった。例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの処理で知られるDCT(離散コサイン変換)などは非常に有用であるものの、処理としては複雑であり、非常に大きな回路規模となってしまう。
【0021】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、回路規模を大きくすることなく、適切な量子化精度再生を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、撮像部と、撮像部で得た映像信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換部を備えた撮像装置において量子化精度の再生を行う場合に、まず、アナログ・デジタル変換部から出力された映像信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得るようにした。そして、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するようにした。そして、出力信号から高精度成分を分離し、分離した高精度成分をアナログ・デジタル変換部からの出力信号に付加するようにしたものである。
【0023】
上述したフィルタ処理を行うことにより、高周波成分の影響を除去することが可能となり、また、アナログ・デジタル変換部出力の量子化精度以下の高精度成分を再生することができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、高周波検出部や高周波成分調整出力部などを追加で持つ必要がなくなるため、高周波成分の影響を除去しつつ、アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を再生することができるようになる。これにより、回路規模を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を、図1〜図5を参照して説明する。図1は、本実施の形態における撮像装置を適用したビデオカメラの基本的な構成例のブロック図を示す。図1に示すビデオカメラは、イメージセンサ1,2,3と、ビデオアンプ4,5,6と、A/D変換器7,8,9と、映像信号処理部16と、マイクロコンピュータ17と、操作部18とを有する。映像信号処理部16は、補正回路10と、ゲイン調整回路11と、量子化精度再生回路12と、輝度調整回路13と、ガンマ補正回路14と、出力信号生成回路15とで構成してある。
【0026】
図1に示すビデオカメラにおいて、被写体の光学像は図示せぬレンズ等の光学系を介して、イメージセンサ1,2,3の受光部に入射され、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色ごとに光電変換される。本例では、赤色用、緑色用及び青色用の3個のイメージセンサを備えているが、4色分のイメージセンサを備えていてもよく、この例に限るものではない。
【0027】
イメージセンサ1,2,3は、被写体像から光電変換により映像信号を構成する各原色信号を各々生成し、それら3色の原色信号(R信号,G信号,B信号)をそれぞれビデオアンプ4,5,6に供給する。なお、上記映像信号は、動画及び静止画のいずれも適用可能である。
【0028】
ビデオアンプ4,5,6は利得調整手段であり、一例としてAGC(Automatic Gain Control)回路などを適用することができる。ビデオアンプ4,5,6は、原色信号のゲインを調整し、そのゲインが調整された原色信号をそれぞれA/D変換器7,8,9に供給する。A/D変換器7,8,9は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、映像信号処理部16に供給する。
【0029】
本例では、映像信号処理部16を、補正回路10、ゲイン調整回路11、量子化精度再生回路12、輝度調整回路13、ガンマ補正回路14、出力信号生成回路15から構成している。まず、上記ビデオアンプ4,5,6、A/D変換器7,8,9によって適切なレベルに調節され、量子化されたR,G,Bの原色信号は、映像信号処理部16の補正回路10に入力される。
【0030】
補正回路10は、入力された3色の原色信号に対して補間処理、それに伴うフィルタ処理、シェーディング処理などの信号処理を行い、ゲイン調整回路11に供給する。
【0031】
ゲイン調整回路11は、補正回路10から入力される3色の原色信号のゲインを適切なレベルに調整して、ノイズ低減回路12に供給する。
【0032】
量子化精度再生回路12は、ゲイン調整回路11から入力される3色の原色信号に含まれる高周波成分の影響を排除しつつ、量子化精度を再生した信号を生成する。量子化精度再生回路12の詳細説明については、後述する。
【0033】
輝度調整回路13は、映像信号を規定の範囲内に収めるために、量子化精度再生回路12より入力される信号から輝度信号を抽出し、その輝度信号の高輝度域の振幅特性を抑えることによりイメージセンサ出力のダイナミックレンジを圧縮し、ガンマ補正回路14へ供給する。
【0034】
ガンマ補正回路14は、輝度調整回路13から入力される3色の原色信号の各々について、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示パネルなどのモニタ(受像機)のガンマ特性に合わせて補正を行い、ガンマ補正した各原色信号を出力信号生成回路15に供給する。
【0035】
出力信号生成回路15は、ガンマ補正回路14から入力される3色の原色信号を最終的な映像信号出力形式に変換し、外部へ出力する。一例として、出力信号生成回路15は、NTSC(National Television System Committee)方式又はPAL(Phase Alternating Line)方式等の信号規格に沿うように、3色の原色信号を色差信号に変換し、図示せぬサブキャリア信号を用いて変調するエンコーダ回路としての機能を有する。さらに、出力すべき映像信号がアナログ信号である場合には、上記エンコーダ回路が出力した量子化された色差信号をアナログ信号に変換するD/A変換器を備えた構成とする。
【0036】
マイクロコンピュータ17は、制御部の一例であり、映像信号処理部16を構成する各回路を制御する。また、図示せぬレンズ等の光学系、ビデオアンプ4,5,6等の各部の動作を制御する。操作部18は、ビデオカメラに配設されたボタンキーや当該ビデオカメラに搭載されたモニタの画面に表示されるアイコンに割り当てられたソフトキー等からなり、操作に応じた操作信号が図示せぬインターフェースを介してマイクロコンピュータ17に入力される。マイクロコンピュータ17は、利用者が操作部18を操作して入力した操作信号、もしくは予め規定された設定等に基づいて、内蔵のROM(Read Only Memory)等の不揮発性記憶部に記録されているコンピュータプログラムに従い、所定の演算及び各回路に対する制御を行う。
【0037】
さらに、マイクロコンピュータ17には、必要に応じて、図示せぬドライブ回路が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどが適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じてマイクロコンピュータ17に内蔵されるRAM等にインストールされるようにしてもよい。
【0038】
上述のように構成されるビデオカメラにおいて、被写体像がイメージセンサ1,2,3で光電変換されて赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の原色信号が生成され、次いで、ビデオアンプ4,5,6とA/D変換器7,8,9によって適切なレベルのアナログ信号に調節され、量子化されてデジタル信号に変換される。量子化された各原色信号は補正回路10、ゲイン調整回路11によって適切な補正及びゲイン調整処理がなされた後、量子化精度再生回路12に入力される。量子化精度再生回路12に入力された信号は、高周波成分の影響が排除され、量子化精度が再生された上で、量子化精度再生信号として輝度調整回路13に入力される。そして、輝度調整回路13で適切な輝度圧縮処理がなされた後、ガンマ補正回路14に入力され、ガンマ補正された各原色信号が出力信号生成回路15によって最終的な映像信号出力形式に変換されて出力される。
【0039】
次に、図1の構成中の量子化精度再生回路12の構成例を、図2に示す。図2に示した量子化精度再生回路は、エッジ保持平滑化フィルタ121と、高精度成分分離部123と、高精度成分付加部124とで構成される。本例では、エッジ保持平滑化フィルタ121として、εフィルタを用いている。εフィルタは、信号における突発的大振幅変化成分を維持しながら、信号に加えられたランダム雑音などの小振幅信号を平滑化する特性を持つ。本例のエッジ保持平滑化フィルタ121は、フィルタ演算に使用する画素値のうち、注目画素値を基準とした場合の変化量が閾値以内である場合にはその画素値をフィルタ演算の対象とし、注目画素値からの変化量が閾値より上である場合には、注目画素値をフィルタ演算の対象として代用するものである。そして、このようにして求められた演算対象の画素値に対してフィルタ演算を行うことにより、量子化精度以下の高精度成分を含む信号を生成する。図3及び図4に、エッジ保持平滑化フィルタ121のフィルタ処理例を示してある。
【0040】
本例では、フィルタの中心に位置する注目画素及び、その周辺に位置する4つの画素(合計5画素)に対してフィルタ処理を行うようにしてあり、図3(a)及び図4(a)において、フィルタ処理を行う各画素を点P0〜P5として示してある。また、図中にThとして示した上下方向の矢印は、閾値の範囲を示している。なお、フィルタ処理の対象とする画素の個数は、5つに限定されるものではなく、任意の値に設定が可能であるものとする。
【0041】
図3(a)においては画素P2を注目画素に設定してあり、注目画素P2と、その周辺に位置する画素P0,P1,P3,P4とが、フィルタ処理の対象となっている様子が示されている。画素P0とP1は、注目画素P2からの変化量が閾値Thの範囲内に収まっているため、画素P0とP1の値がそのままフィルタ演算の対象となる。これに対して画素P3とP4は、注目画素P2からの変化量が閾値Thの範囲を超えているため、注目画素P2がフィルタ演算の対象となる。図3(b)には、フィルタ演算対象画素値の分布を示してあり、それぞれの画素値をF0〜F4として示してある。
【0042】
図3(a)における画素値P0とP1は、注目画素値P2からの変化量が閾値Thの範囲内であるため、画素値P0,P1の値がそのままF0,F1として出力されている。画素値P3とP4は、注目画素値P2からの変化量が閾値Thの範囲を超えているため、注目画素値P2の値が使用され、画素値F3(=P2),F4(=P2)として出力されている。
【0043】
図4(a)には、注目画素値がP2からP3に移動した場合の処理例について示してある。注目画素値がP3に設定されると、閾値Thも注目画素値P3を中心に設定されなおされる。注目画素値をP3とした場合は、周囲の画素のうち、画素P1とP4,P5が注目画素P3との変化量が閾値の範囲内にあるのに対し、画素P2との変化量が閾値の範囲外となる。このため、図4(b)に示すように、注目画素P3との変化量が閾値Thの範囲内にある画素値F1,F4,F5は、それぞれ図4(a)における画素値P1,P4,P5の値をそのまま引継ぎ、画素値F2は、注目画素P3の値を代用している。
【0044】
図5に、エッジ保持平滑化フィルタ121の処理例をフローチャートとして示してある。図5において、まず、注目画素の周囲画素の画素値における、注目画素の画素値からの変化量が抽出される(ステップS1)。そして、その変化量が閾値Thの範囲内であるか否かの判断がされる(ステップS2)。変化量が閾値Thの範囲内である場合には、周囲画素の画素値に対してフィルタ演算が行われ(ステップS3)、変化量が閾値Thを越える場合には、注目画素の画素値に対してフィルタ演算が行われる(ステップS4)。なお、フィルタ演算は、演算対象の画素値を決定する処理がフィルタのタップ数分繰り返された後に、最後に行うようにしてある。
【0045】
このような処理が行われることにより、例えば図3(a)における画素値P2からP3への比較的大きな変化は維持されつつ、注目画素値を中心に設けられた閾値を基準とした比較的小さな振幅(高周波成分)が平滑化される。そして、この平滑化された信号を基に量子化精度以下の高精度成分が再生される。ここで生成される高精度成分を含む信号は、ランダムノイズ等に比べて、原信号との相関性が高いものとなる。
【0046】
図2に戻って説明を続けると、エッジ保持平滑化フィルタ121に入力されたaビットのデジタル信号は、エッジ保持平滑化フィルタ121にて上述したような処理が行われることにより、bビットの高精度成分を含むa′+bビット長の信号として出力される。この信号は高精度成分分離部123に入力されて、高精度成分であるbビットが分離され、高精度成分付加部124によって、原信号であるaビットの最下位ビット以下に、高精度成分分離部123で分離されたbビットの信号が付加される。これにより、量子化精度を再生した信号を得ることができる。なお、高精度成分分離部123で分離するビット数は、任意のビット数に設定可能であるものとする。
【0047】
このように構成することで、高周波成分の影響を排除しながら同時に量子化精度の再生も行えるようになるため、回路の規模を最小限に抑えることができるようになる。
【0048】
また、εフィルタを用いることで高周波成分の影響を除去できるため、より適切な量子化精度再生を行うことができるようになる。
【0049】
また、εフィルタでは信号における突発的大振幅変化成分が維持されるため、特にエッジやインパルス等の振幅に大きな変化がある部分においても、原信号との相関性の高い高精度成分を生成できるようになる。
【0050】
なお、上述した実施の形態では、エッジ保持平滑型フィルタとしてεフィルタを用いた場合を例に上げて説明したが、エッジ保持平滑型フィルタと呼ばれるフィルタであれば、ガウシアンフィルタやボックスフィルタ等のバイラテラルフィルタや、他のフィルタを用いるようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、量子化精度再生回路を、撮像部及びアナログ・デジタル変換部を持つビデオカメラに適用した場合について説明したが、アナログ信号又はデジタル信号を入力して上述した信号処理(量子化精度再生処理)を行う信号処理装置や、上方処理装置等にも適用することが可能である。
【0052】
情報処理装置としては、コンピュータや印刷装置、ゲーム装置、携帯情報端末(携帯型のコンピュータ、携帯電話機、携帯型ゲーム機、電子書籍等)、画像再生装置(光ディスク装置、ホームサーバ等)、モニタ、テレビジョン受像機、オーディオ信号再生装置等の装置が考えられる。
【0053】
図6には、情報処理装置310に量子化精度再生回路304を搭載した例を示してある。図6に示した情報処理装置310は、送信装置301やメディア302から送信される放送信号や通信データを受信する外部インターフェース部306と、信号処理部305と、量子化精度再生回路304と、表示部303とを備える。なお、図6に示した例では情報処理装置310が表示部303を有する構成としたが、表示部を備えない情報処理装置に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態によるビデオカメラの内部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態による量子化精度再生回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるエッジ保持平滑化フィルタのフィルタ処理例を示す特性図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるエッジ保持平滑化フィルタのフィルタ処理例を示す特性図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるエッジ保持平滑化フィルタのフィルタ処理例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の形態による情報処理装置の構成例を示す説明図である。
【図7】従来のA/D変換器での高周波成分消失の例を示す特性図であり、(a)はA/D変換器入力前の特性であり、(b)はA/D変換器からの出力時の特性である。
【図8】従来の量子化精度再生回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】従来の量子化精度再生処理を示す説明図である。
【図10】従来の量子化精度再生処理を示す説明図である。
【図11】従来の量子化精度再生回路の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1,2,3…イメージセンサ、4,5,6…ビデオアンプ、7,8,9…A/D変換器、10…補正回路、11…ゲイン調整回路、12…量子化精度再生回路、13…輝度調整回路、14…ガンマ補正回路、15…出力信号生成回路、16…映像信号処理部、17…マイクロコンピュータ、18…操作部、121…エッジ保持平滑化フィルタ、123…高精度成分分離部、124…高精度成分付加部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部で得た映像信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換部を備えた撮像装置において、
前記アナログ・デジタル変換部から出力された前記映像信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するエッジ保持平滑化フィルタと、
前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、前記高精度成分を分離する高精度成分分離部と、
前記アナログ・デジタル変換部からの出力信号に、前記高精度成分分離部で分離された前記高精度成分を付加して出力する高精度成分付加部とを備えたことを特徴とする
撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、
前記エッジ保持平滑化フィルタは、εフィルタであることを特徴とする
撮像装置。
【請求項3】
請求項1記載の撮像装置において、
前記エッジ保持平滑化フィルタは、バイラテラルフィルタであることを特徴とする
撮像装置。
【請求項4】
請求項1記載の撮像装置において、
前記高精度成分付加部は、前記高精度成分分離部で分離された高精度成分を、前記アナログ・デジタル変換部から出力された映像信号の最下位ビット以下に付加することを特徴とする
撮像装置。
【請求項5】
請求項1記載の撮像装置において、
前記高精度成分分離部は、前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、予め定められた所定ビット数の高精度成分を分離することを特徴とする
撮像装置。
【請求項6】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記入力されたデジタル信号の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するエッジ保持平滑化フィルタと、
前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、前記高精度成分を分離する高精度成分分離部と、
前記入力されたデジタル信号に、前記高精度成分分離部で分離された前記高精度成分を付加して出力する高精度成分付加部とを備えたことを特徴とする
信号処理回路。
【請求項7】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記入力されたデジタル信号の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するエッジ保持平滑化フィルタと、
前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、前記高精度成分を分離する高精度成分分離部と、
前記入力されたデジタル信号に、前記高精度成分分離部で分離された前記高精度成分を付加して出力する高精度成分付加部とを備えたことを特徴とする
信号処理装置。
【請求項8】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記デジタル信号の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成する手順と、
前記高精度成分を含む出力信号から前記高精度成分を分離する手順と、
前記デジタル信号に、前記分離された高精度成分を付加して出力する手順とを備えたことを特徴とする
信号処理方法。
【請求項9】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記デジタル信号に変換時の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成する処理と、
前記高精度成分を含む出力信号から前記高精度成分を分離する処理と、
前記入力されたデジタル信号に、前記分離された高精度成分を付加して出力する処理とをコンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部で得た映像信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換部を備えた撮像装置において、
前記アナログ・デジタル変換部から出力された前記映像信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記アナログ・デジタル変換部の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するエッジ保持平滑化フィルタと、
前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、前記高精度成分を分離する高精度成分分離部と、
前記アナログ・デジタル変換部からの出力信号に、前記高精度成分分離部で分離された前記高精度成分を付加して出力する高精度成分付加部とを備えたことを特徴とする
撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置において、
前記エッジ保持平滑化フィルタは、εフィルタであることを特徴とする
撮像装置。
【請求項3】
請求項1記載の撮像装置において、
前記エッジ保持平滑化フィルタは、バイラテラルフィルタであることを特徴とする
撮像装置。
【請求項4】
請求項1記載の撮像装置において、
前記高精度成分付加部は、前記高精度成分分離部で分離された高精度成分を、前記アナログ・デジタル変換部から出力された映像信号の最下位ビット以下に付加することを特徴とする
撮像装置。
【請求項5】
請求項1記載の撮像装置において、
前記高精度成分分離部は、前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、予め定められた所定ビット数の高精度成分を分離することを特徴とする
撮像装置。
【請求項6】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記入力されたデジタル信号の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するエッジ保持平滑化フィルタと、
前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、前記高精度成分を分離する高精度成分分離部と、
前記入力されたデジタル信号に、前記高精度成分分離部で分離された前記高精度成分を付加して出力する高精度成分付加部とを備えたことを特徴とする
信号処理回路。
【請求項7】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記入力されたデジタル信号の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成するエッジ保持平滑化フィルタと、
前記エッジ保持平滑化フィルタからの出力信号から、前記高精度成分を分離する高精度成分分離部と、
前記入力されたデジタル信号に、前記高精度成分分離部で分離された前記高精度成分を付加して出力する高精度成分付加部とを備えたことを特徴とする
信号処理装置。
【請求項8】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記デジタル信号の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成する手順と、
前記高精度成分を含む出力信号から前記高精度成分を分離する手順と、
前記デジタル信号に、前記分離された高精度成分を付加して出力する手順とを備えたことを特徴とする
信号処理方法。
【請求項9】
入力されたデジタル信号を構成するそれぞれの画素について、注目する画素とその注目する画素の周囲の画素で構成される所定数の画素の集合を得、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲内にある場合には前記周囲の画素の値に対してフィルタ演算を行い、前前記注目する画素からの変化量が所定の閾値の範囲外である場合には前記注目する画素の値に対してフィルタ演算を行うことで、前記デジタル信号に変換時の量子化精度以下の高精度成分を含む出力信号を生成する処理と、
前記高精度成分を含む出力信号から前記高精度成分を分離する処理と、
前記入力されたデジタル信号に、前記分離された高精度成分を付加して出力する処理とをコンピュータに実行させる
コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−258836(P2008−258836A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97594(P2007−97594)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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