説明

撮像装置、及び撮像装置の制御方法

【課題】調光センサ等の測光センサを必要とせず、逆光時の日中シンクロ撮影などの撮影条件において適正輝度が得られ、近距離からの調光精度向上と、遠距離での調光範囲拡大が可能な仕組みを提供する。
【解決手段】デジタルカメラのCPU104は、コンデンサ132の充電を停止してLED134の予備発光を行うように充電発光制御部130を制御し、また、本露光時に必要なLED134の本発光時間T2を予備発光での被写体からの反射光量に基づき算出すると共に、予備発光前のコンデンサ132の電荷から予備発光時のコンデンサ132からの放電電荷を引いた残電荷から、本発光時にコンデンサ132に充電せずにLED134の発光制御可能な時間T3を算出し、T2がT3を超えている場合は、キセノン管120の本発光を行うように充電発光制御部106を制御し、超えていない場合は、LED134の本発光を行うように充電発光制御部130を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光部を備える撮像装置、及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キセノン管及びLEDの2つの発光部を備え、撮影環境に応じて発光させる発光部を切り替え制御するカメラが知られている(特許文献1)。
【0003】
このカメラは、キセノン管発光用のキャパシタが満充電で無ければ、LEDを発光させるように発光部を切り替え制御し、また、測距センサにより測距された被写体までの距離に応じて発光部を切り替え制御する。更に、前記カメラは、測光センサにより測光された被写体輝度に応じて発光部を切り替え制御し、また、被写体輝度と感度設定手段で設定された感度とに応じて感度調整を自動で行い、発光部を切り替え制御する。これにより、撮影補助光の発光に至るまでの時間応答性の改善を図っている。
【0004】
また、前記カメラは、LEDのフラット発光特性を利用して、微小発光時の調光精度の改善を図っている。ここで、LEDのフラット発光特性とは、図8に示すように、LEDの温度上昇が無視できる発光電流と発光時間であれば、LEDを定電流制御した場合の発光輝度は一定で、輝度積算値GNoは、発光時間に対して線形性を保った特性になることをいう。
【0005】
このとき、雰囲気温度が変わらず、かつ、LEDの温度上昇がなければ、LEDの発光輝度は、発光時間にかかわらず、繰り返し発光した際の輝度バラツキがほとんど無視できる程度に収まる。
【0006】
これに対し、キセノン管発光の場合は、急峻に大電流が流れた後に、緩やかに電流が小さくなってくる閃光発光のため、図9に示すように、輝度積算値GNoは、発光時間に対して非線形の輝度特性となる。また、キセノン管発光の場合、微小発光時間では、繰り返し発光した際の輝度バラツキが大きい傾向がある。従って、キセノン管で微小発光する調光範囲をLEDストロボが代替する事で、繰り返し発光した際の輝度バラツキが抑えられるため、調光精度の改善が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−119264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、撮像素子とは別に、被写体輝度を測定するための調光センサ等の測光センサを備えているため、測光センサの機構実装スペースとコストが必要となる。このため、撮像装置の小型化及び低コスト化を妨げる原因になる。
【0009】
また、測光センサによる被写体輝度の測定は、TTL測光での測光値である被写体輝度である。このため、主被写体が測光枠から外れている場合や、測光枠内の被写界輝度に対して相対的に主被写体の輝度が低い場合には、LED発光で適正な輝度が得られない可能性がある。
【0010】
例えば、逆光時の日中シンクロ撮影で、主被写体の輝度が被写界輝度よりも著しく低い場合等においては、被写界輝度が閾値以上であると判断されてLED発光しても、主被写体の輝度が適正値に至るまでに発光が停止する事が考えられる。
【0011】
また、測距結果や感度設定、被写体輝度のみに応じてLED発光を選択した場合、カメラの露光時間が短く設定されていると、相対的に発光時間の長いLEDでは、発光途中で撮像素子の露光が終了し、露出不足となってしまう。
【0012】
また、LED発光時には相対的に大きな電流値を必要とするため、電池駆動時の電圧降下を考慮する必要があり、電池減電時も満充電時と同様にLED発光を使用すると、撮影途中でカメラがシャットダウンしてしまう事が考えられる。ここで、LED発光用の大容量キャパシタから定電流制御してLED発光する回路構成の場合でも、キャパシタへの充電監視手段が無ければ、キャパシタの充電不足によりLED発光が適正輝度に至るまで発光できない事が考えられる。
【0013】
そこで、本発明は、調光センサ等の測光センサを必要とせず、逆光時の日中シンクロ撮影などの撮影条件において適正輝度が得られ、近距離からの調光精度向上と、遠距離での調光範囲拡大が可能な仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、放電制御型の閃光を発光する第1の発光部及び前記第1の発光部に必要な電力を充電する第1の充電部を制御する第1の充電発光制御部と、電流制御型の連続光を発光する第2の発光部及び前記第2の発光部に必要な電力を充電する第2の充電部を制御する第2の充電発光制御部とを備える撮像装置であって、前記第2の充電部への充電を停止した状態で前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による予備発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御する予備発光制御手段と、本露光時に必要な前記第2の発光部による本発光時間を前記予備発光で発した光の被写体からの反射光量に基づき算出するとともに、前記予備発光前に前記第2の充電部に充電されていた電荷から前記予備発光時に前記第2の充電部から放電した電荷を差し引いた残電荷から、本発光時に前記第2の充電部に充電せずに前記第2の発光部を発光制御することが可能な時間を算出する演算手段と、前記本発光時間が前記発光制御可能時間を超えている場合は、前記第1の充電部に充電された電力を用いて前記第1の発光部による本発光を行うように前記第1の充電発光制御部を制御し、前記本発光時間が前記発光制御可能時間を超えていない場合は、前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による本発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御する切替手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、調光センサ等の測光センサを必要とせず、逆光時の日中シンクロ撮影などの撮影条件において適正輝度が得られ、近距離からの調光精度向上と、遠距離での調光範囲拡大が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の撮像装置の第1の実施形態であるデジタルカメラを説明するためのブロック図である。
【図2】デジタルカメラにおけるストロボ撮影処理について説明するためのフローチャート図である。
【図3】本発明の撮像装置の第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明するためのフローチャート図である。
【図4】本発明の撮像装置の第3の実施形態であるデジタルカメラについて説明するためのフローチャート図である。
【図5】本発明の撮像装置の第4の実施形態であるデジタルカメラについて説明するためのフローチャート図である。
【図6】本発明の撮像装置の第4の実施形態であるデジタルカメラについて説明するためのフローチャート図である。
【図7】本発明の撮像装置の第4の実施形態であるデジタルカメラについて説明するためのフローチャート図である。
【図8】LEDの発光特性を示すグラフ図である。
【図9】キセノン管の発光特性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の撮像装置の第1の実施形態であるデジタルカメラを説明するためのブロック図である。
【0019】
図1に示す本実施形態のデジタルカメラ202において、電池100は、電源部102及びストロボ部200に電源を供給する。操作部101には、デジタルカメラ202の起動や撮像パラメータの設定変更、及び撮影時の各種操作等を行うためのスイッチ群が設けられている。
【0020】
電源部102は、CPU104やストロボ部200に必要な電源を供給するメイン電源である。撮像部103は、被写体光を電気信号に変換する撮像素子や撮像素子から出力された電気信号を画像データとして処理する画像処理部等を有する。
【0021】
CPU104は、充電・発光信号の出力や、発光時間の演算、発光部の切り替え制御等の他、デジタルカメラ全体の制御を行う。ROM105は、デジタルカメラ202の起動プログラムや制御プログラム等を格納する。
【0022】
次に、ストロボ部200について説明する。ストロボ部200は、キセノン管120の発光を制御する充電発光制御部106と、LED134の発光を制御する充電発光制御部130とを備える。
【0023】
ここで、キセノン管120は、本発明の放電制御型の閃光を発光する第1の発光部の一例に相当し、充電発光制御部106は、本発明の第1の充電発光制御部の一例に相当する。また、LED134は、本発明の電流制御型の連続光を発光する第2の発光部の一例に相当し、充電発光制御部130は、本発明の第2の充電発光制御部の一例に相当する。
【0024】
充電発光制御部106は、CPU104からの充電信号を受けて、コンデンサ112を充電し、また、CPU104からの発光信号を受けて、キセノン管120を発光させる制御を行う。トランス108は、電池100から供給された電力をコンデンサ112へ充電するための電力変換素子である。ダイオード110は、トランス108からのパルス電圧をコンデンサ112へ充電するために整流する整流素子である。
【0025】
コンデンサ112は、キセノン管120を発光させるために必要な高電圧用のメインコンデンサである。ここで、コンデンサ112は、本発明の第1の充電部の一例に相当する。抵抗114は、コンデンサ116を充電するためのトリガー抵抗である。コンデンサ116は、コイル118を発振させるためのトリガーコンデンサである。コイル118は、キセノン管120を励起するために必要なトリガーコイルである。IGBT122は、キセノン管120を発光させるために必要なスイッチ素子である。
【0026】
一方、充電発光制御部130は、CPU104からの充電信号を受けて、電池100から供給された電力をコンデンサ132に充電し、また、CPU104からの発光信号を受けて、LED134を発光させる制御を行う。コンデンサ132は、LED134を発光させるために必要な大容量のキャパシタである。ここで、コンデンサ132は、本発明の第2の充電部の一例に相当する。電流制御部136は、LED134の発光電流を制御する。
【0027】
次に、図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ202におけるストロボ撮影処理について説明する。図2での各処理は、ROM105等に記憶されたプログラムが不図示のRAMにロードされて、CPU104により実行される。
【0028】
ステップS101では、CPU104は、ストロボ部200の充電発光制御部130に発光信号を出力して、予め設定されている予備発光時間でLED134を予備発光させ、ステップS102に進む。
【0029】
このときのLED134の発光電流は、電流制御部136により一定電流で制御され、予め設定されている電流値となっている。また、LED134が発光する際は、充電発光制御部130による電池100からコンデンサ132への充電は停止した状態になっており、LED134には、コンデンサ132からのみ電流を供給する。
【0030】
これにより、電池100の減電時での撮影でLED134が選択されても、発光時に電池100からの電流を必要としないため、LED134の発光途中でデジタルカメラ202がシャットダウンする事はない。
【0031】
ステップS102では、CPU104は、演算部により、LED134が予備発光で発した光の被写体からの反射光量から本露光時に必要な本発光量を算出すると共に、算出した本発光量に必要なLED134の本発光時間T2を算出して、ステップS103に進む。
【0032】
ここで、一般的な予備発光と本発光の2回発光方式による、本発光時間T2の算出方法について簡単に説明する。
【0033】
まず、CPU104は、撮像部103で主被写体の反射光を受光して生成した画像信号を処理して得られたデータから測光値を算出し、算出した測光値を用いて、適正輝度値からの差ΔEvを次式(1)より求める。
【0034】
ΔEv=Log2 ((YFL−YDL)/(Yref−YDL)) …(1)
ΔEv:外光(定常光)輝度値と適正輝度値との差
YDL:CPU104が算出した測光値(外光(定常光)輝度値)
YFL:CPU104が算出した予備発光時の測光輝度値
Yref:基準となる適正輝度値
YFLは、LED134が予備発光で発した光と外光(定常光)とが重なっているものである。適正輝度値に対する純粋なストロボ光のみの光量を求めるため、外光(定常光)のみから測光した輝度値を、LED134が予備発光した際に測光した輝度値から差し引く。
【0035】
YFLの測光では、外光(定常光)の影響を減らすため電子シャッターを速く切り(露光時間を短くし)、同じ露光時間で露光したYDLを差し引く事で、LED134が予備発光で発した光のみの正確な輝度値を得る事ができる。
【0036】
そして、CPU104は、予めデジタルカメラの不図示の記録部に記録されているLED発光量と発光時間との関係テーブルから、算出したΔEvに相当する発光時間を直線補間する事によって本発光時間T2を求める。
【0037】
また、絞り制御やシャッター制御、撮像時のゲインを考慮すれば、外光(定常光)輝度値と適正輝度値との差ΔEvは次式(2)より求める事が出来る。
【0038】
ΔEv=Log2 (((YFL−YDL)・AvDG)/(Yref・Ka・Kb−YDL・AvTvDG)) …(2)
AvDG=2(ΔAv+ΔDG)
AvTvDG=2(ΔAv+ΔTv+ΔDG)
ΔAv=EFPreAv−EFHAv
ΔTv=EFPreTv−EFHTv
ΔDG=−(EFPreDG−EFHDG )
Ka:露出補正係数
Kb:感度補正係数
EFPreAv:予備発光測光用のAv値
EFHAv:本発光測光用のAv値
EFPreTv:予備発光測光用のTv値
EFHTv:本発光測光用のTv値
EFPreDG:予備発光用のDeltaGain
EFHDG:本発光用のDeltaGain
ステップS103では、CPU104は、演算部により、予備発光時の発光時間T1と発光電流ILEDとから、コンデンサ132に充電せずに発光制御可能な発光制御可能時間T3を次式(3)より、ステップS104に進む。
【0039】
T3<(Vo−Vc−Vf)・C/ILED−T1 …(3)
Vo:コンデンサ132の充電電圧値
Vc:LEDのカソード電圧値
Vf:LEDに発光電流を流したときの順方向電圧値
C:コンデンサ132の容量値
ここで算出したT3は、充電されたコンデンサ132の容量値からLED134の予備発光時に放電した電荷を差し引いた残電荷であり、LED134が発光可能な制御限界閾値となる。
【0040】
また、LED134において、予備発光時と本発光時との発光電流値を変える場合は、コンデンサ132に充電せずに発光制御可能な発光制御可能時間T3を次式(4)より求める。
【0041】
T3<(Vo−Vc−Vf)・C/ILEDH−T1・ILEDP/ILEDH…(4)
ILEDP:予備発光時の発光電流値
ILEDH:本発光時の発光電流値
ステップS104では、CPU104は、発光切替制御部により、LED134の本発光時間T2がLED134の発光制御可能時間T3を超えているか否かを判断する。そして、CPU104は、本発光時間T2が発光制御可能時間T3を超えている場合(T2>T3)は、ステップS105に進み、本発光時間T2が発光制御可能時間T3以下(T2≦T3)の場合は、ステップS106に進む。
【0042】
ステップS105では、CPU104は、キセノン管発光を選択し、LED134の本発光時間T2を算出した場合と同様に、キセノン管発光量と発光時間との関係テーブルからΔEvに相当する発光時間を直線補間する事によって本発光時間を算出する。
【0043】
そして、CPU104は、算出した本発光時間で充電発光制御部106によるキセノン管120の発光制御を行い、処理を終了する。
【0044】
ステップS106では、CPU104は、LED発光を選択し、算出した本発光時間T2で充電発光制御部130によるLED134の発光制御を行い、処理を終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、LED134の本発光時間T2が発光制御可能時間T3を超えている場合は、キセノン管発光を選択し、超えていない場合は、LED発光を選択する。これにより、逆光時の日中シンクロ撮影時にLED発光が選択されても、光量不足でアンダーになる事がないので、主被写体が適正輝度となる画像を得る事ができる。
【0046】
また、電池減電時での撮影時にLED発光が選択されても、LED134の発光途中でデジタルカメラ202がシャットダウンする事がないので、主被写体が適正輝度となる画像を得る事ができる。
【0047】
したがって、LED発光とキセノン管発光との適切な切り替え制御により、近距離等で微小発光をする調光範囲での調光精度の向上を図ることができる。
【0048】
また、予備発光をLED134で行い、キセノン管120のコンデンサ112からの放電がないため、キセノン管120を本発光する遠距離での調光距離を拡大することができる。
【0049】
更に、調光センサ等の測光センサを必要としないため、デジタルカメラ202の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の撮像装置の第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、図及び符号を流用して説明する。
【0051】
本実施形態のデジタルカメラ202は、図1において、LED134の充電発光制御部130に不図示の電圧検出手段が追加される。この電圧検出手段は、LED134の予備発光後のコンデンサ132の電圧値を検出し、検出結果をCPU104に出力する。
【0052】
図3は、本実施形態のデジタルカメラ202におけるストロボ撮影処理について説明するためのフローチャート図である。図3での各処理は、ROM105等に記憶されたプログラムが不図示のRAMにロードされて、CPU104により実行される。
【0053】
なお、図3のステップS203、ステップS206〜ステップS207は、それぞれ上記第1の実施形態における図2のステップS102、ステップS104〜ステップS106と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
ステップS201では、CPU104は、ストロボ部200の充電発光制御部130に発光信号を出力してLED134を予備発光させ、被写体からの反射光の受光信号の積算値である輝度積算値が所定値以上となると、ステップS202に進む。
【0055】
ステップS202では、CPU104は、ストロボ部200の充電発光制御部130により、LED134の予備発光を停止させ、ステップS203に進む。これにより、必要最低限の発光時間で、LED134の予備発光時に測光して得られる輝度値から本発光時間T2の算出処理が可能となる。
【0056】
ステップS203では、CPU104は、図2のステップS102と同様に、演算部により、本発光量に必要なLED134の本発光時間T2を算出して、ステップS204に進む。
【0057】
ステップS204では、CPU104は、充電発光制御部130の電圧検出手段によるLED134の予備発光後のコンデンサ132の検出電圧値Vpを取得し、ステップS205に進む。
【0058】
ステップS205では、CPU104は、演算部により、予備発光後のコンデンサ132の電圧値Vpと発光電流値ILEDとから、コンデンサ132に充電せずに発光制御可能な発光制御可能時間T3を次式(5)より求め、ステップS206に進む。
【0059】
T3<(Vp−Vc−Vf)・C/ILED …(5)
ここで算出した発光制御可能時間T3は、充電されたコンデンサ132の容量値からLED134の予備発光時に放電した電荷を差し引いた残電荷であり、LED134の発光が可能な制御限界閾値となる。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の撮像装置の第3の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1及び第2の実施形態に対して重複又は相当する部分については、図及び符号を流用して説明する。
【0061】
本実施形態のデジタルカメラ202は、上記第2の実施形態と同様に、図1における、LED134の充電発光制御部130に不図示の電圧検出手段が追加される。ただし、本実施形態では、電圧検出手段は、LED134の予備発光前、及び予備発光後のコンデンサ132の電圧値を検出し、検出結果をCPU104に出力する。
【0062】
図4は、本実施形態のデジタルカメラ202におけるストロボ撮影処理について説明するためのフローチャート図である。図4での各処理は、ROM105等に記憶されたプログラムが不図示のRAMにロードされて、CPU104により実行される。
【0063】
なお、図4のステップS301のYes以降の処理は、上記第2の実施形態における図3のステップS201〜ステップS208までの処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0064】
ステップS301では、CPU104は、充電発光制御部130の電圧検出手段によるLED134の予備発光前のコンデンサ132の検出電圧値を取得する。
【0065】
そして、CPU104は、取得した検出電圧値が所定値以上の場合は、ステップS201に進んで上記第2の実施形態と同様の予備発光制御を行い、所定値未満の場合は、コンデンサ132の検出電圧値が所定値以上となるまでコンデンサ132を充電する。
【0066】
ここで、所定値とは、LED134を予備発光制御するのに必要な電圧値である。なお、LED134の予備発光制御後も、キセノン管120では発光バラツキが大きくなってしまう微小発光時間を、LED134で本発光制御できるように所定値を予め定めておいてもよい。
【0067】
本実施形態では、LED134の予備発光前にコンデンサ132への充電が必須ではないため、同じ撮影条件であっても本発光の発光部が確定しておらず、コンデンサ132の残電荷が多い場合は、ストロボ撮影時に充電時間を必要としないという効果が得られる。その他の構成及び作用効果は、上記第1及び第2の実施形態と同様である。
【0068】
(第4の実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の撮像装置の第4の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1〜第3の実施形態に対して重複又は相当する部分については、図及び符号を流用して説明する。
【0069】
図5は、本実施形態のデジタルカメラ202におけるストロボ撮影処理について説明するためのフローチャート図である。図5での各処理は、ROM105等に記憶されたプログラムが不図示のRAMにロードされて、CPU104により実行される。
【0070】
なお、本実施形態では、上記第3の実施形態における図4のステップS203とステップS204との間にステップS401を追加している点が相違するだけであるため、相違点についてのみ説明する。
【0071】
ステップS401では、CPU104は、デジタルカメラ202で設定されているシャッタースピードの設定時間(本露光時間)T4とステップS203で算出したLED134の本発光時間T2とを比較する。
【0072】
そして、CPU104は、シャッタースピードの設定時間T4がLED134の本発光時間T2よりも長い場合は、ステップS205に進んで、発光制御可能時間T3の算出処理を行う。また、CPU104は、シャッタースピードの設定時間T4がLED134の本発光時間T2以下の場合は、ステップS207に進んで、キセノン管120での本発光制御を行う。
【0073】
本実施形態では、連続発光する際にコンデンサ112を撮影の度に充電しなくても良いという効果がある。また、速いシャッタースピード(短い本露光時間)に設定した撮影時にLED134の本発光が選択されても、発光途中で撮像素子の露光が終わる事が無く、主被写体が適正輝度となる画像を得る事ができる。その他の構成及び作用効果は、上記第3の実施形態と同様である。
【0074】
なお、本実施形態では、上記第3の実施形態における図4のステップS203とステップS204との間にステップS401を追加した場合を例示したが、上記第1及び第2の実施形態にステップS401を追加してもよい。
【0075】
即ち、図6に示すように、上記第1の実施形態における図2のステップS102とステップS103との間にステップS401を追加してもよい。また、図7に示すように、上記第2の実施形態における図3のステップS203とステップS204との間にステップS401を追加してもよい。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0077】
例えば、本実施形態のデジタルカメラは、発光部としてキセノン管とLEDの両方を備えているが、デジタルカメラが発光部としてLEDのみを備えていて、発光部としてキセノン管を備えた外部ストロボをデジタルカメラに装着したカメラシステムにも適用できる。
【符号の説明】
【0078】
103 撮像部
104 CPU
106 充電発光制御部
120 キセノン管
130 充電発光制御部
134 LED
200 ストロボ部
202 デジタルカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電制御型の閃光を発光する第1の発光部及び前記第1の発光部に必要な電力を充電する第1の充電部を制御する第1の充電発光制御部と、電流制御型の連続光を発光する第2の発光部及び前記第2の発光部に必要な電力を充電する第2の充電部を制御する第2の充電発光制御部とを備える撮像装置であって、
前記第2の充電部への充電を停止した状態で前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による予備発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御する予備発光制御手段と、
本露光時に必要な前記第2の発光部による本発光時間を前記予備発光で発した光の被写体からの反射光量に基づき算出するとともに、前記予備発光前に前記第2の充電部に充電されていた電荷から前記予備発光時に前記第2の充電部から放電した電荷を差し引いた残電荷から、本発光時に前記第2の充電部に充電せずに前記第2の発光部を発光制御することが可能な時間を算出する演算手段と、
前記本発光時間が前記発光制御可能時間を超えている場合は、前記第1の充電部に充電された電力を用いて前記第1の発光部による本発光を行うように前記第1の充電発光制御部を制御し、前記本発光時間が前記発光制御可能時間を超えていない場合は、前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による本発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御する切替手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第2の充電部の電圧値を検出する電圧検出手段を備え、
前記予備発光制御手段は、前記予備発光で発した光の被写体からの反射光の受光信号の積算値が所定値に達するまで前記予備発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御し、
前記演算手段は、前記電圧検出手段による前記予備発光後の前記第2の充電部の検出電圧値に基づき、前記発光制御可能時間を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記予備発光制御手段は、前記電圧検出手段による前記予備発光前の前記第2の充電部の検出電圧値が所定値以上の場合は、前記第2の充電部への充電を停止した状態で前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による予備発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御し、前記所定値未満の場合は、前記電圧検出手段による前記予備発光前の前記第2の充電部の検出電圧値が前記所定値以上となるまで前記第2の充電部を充電する、ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
シャッタースピードの設定時間と前記第2の発光部による前記本発光時間とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較により、前記シャッタースピードの設定時間が前記本発光時間を超えている場合は、前記第2の発光部の発光制御可能時間の算出を行うように前記演算手段を制御し、前記シャッタースピードの設定時間が前記本発光時間を超えていない場合は、前記第1の充電部に充電された電力を用いて前記第1の発光部による本発光を行うように前記第1の充電発光制御部を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
放電制御型の閃光を発光する第1の発光部及び前記第1の発光部に必要な電力を充電する第1の充電部を制御する第1の充電発光制御部と、電流制御型の連続光を発光する第2の発光部及び前記第2の発光部に必要な電力を充電する第2の充電部を制御する第2の充電発光制御部とを備える撮像装置の制御方法であって、
前記第2の充電部への充電を停止した状態で前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による予備発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御する予備発光制御ステップと、
本露光時に必要な前記第2の発光部による本発光時間を前記予備発光で発した光の被写体からの反射光量に基づき算出するとともに、前記予備発光前に前記第2の充電部に充電されていた電荷から前記予備発光時に前記第2の充電部から放電した電荷を差し引いた残電荷から、本発光時に前記第2の充電部に充電せずに前記第2の発光部を発光制御することが可能な時間を算出する演算ステップと、
前記本発光時間が前記発光制御可能時間を超えている場合は、前記第1の充電部に充電された電力を用いて前記第1の発光部による本発光を行うように前記第1の充電発光制御部を制御し、前記本発光時間が前記発光制御可能時間を超えていない場合は、前記第2の充電部に充電された電力を用いて前記第2の発光部による本発光を行うように前記第2の充電発光制御部を制御する切替ステップと、を備えることを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−32495(P2012−32495A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170472(P2010−170472)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】