説明

撮像装置、撮像方法およびコンピュータプログラム

【課題】顔の肌の色を補正すると共に、補正後の肌色に似合う色に衣服の色を補正することで、全体的にバランスが取れた色合いの画像出力を提供することが可能な撮像装置を提供すること。
【解決手段】画像データを生成する現像部と、現像部が生成した画像データから顔領域を検出する顔検出部と、顔検出部の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出部と、顔検出部に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算部と、補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類部と、肌色分類部の分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成部と、補正パラメータ及びテーブルを用いて、顔領域及び顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正部と、を備える、撮像装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ等の撮像装置で人物を撮影する際に、被写体となった人物の肌色をより綺麗に見せるために、肌色を補正する技術がある。しかし、肌色を綺麗に見せるための補正を画像全体に対して実行してしまうと、その人物が着ている衣服の色まで変化してしまう。その様な問題を解消するための技術として、例えば特許文献1〜5がある。
【0003】
例えば、特許文献1〜3には、ウエディングドレスを着た女性の肌の色を綺麗な肌色に補正した場合に、ウエディングドレスの色を綺麗な白色に変換するものである。このように色補正処理を実行することで、肌の色を綺麗な肌色に補正しながらも、衣服の色を元の色に戻すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−172318号公報
【特許文献2】特開2008−166963号公報
【特許文献3】特開2008−153756号公報
【特許文献4】特開2002−252783号公報
【特許文献5】特開2007−94623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、肌の色を綺麗な肌色に補正しながらも、衣服の色を元の色に戻そうとするが、肌色が変更されているために、被写体の人物が元々の肌の色に似合う色の衣服を選択して着ていた場合に、衣服の色が顔の色とマッチしていない色合いに変更されてしまうという問題があった。このような衣服の色の変更は、被写体となっている人物が希望する色修正とは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、被写体となる人物の顔の肌の色を補正すると共に、補正後の肌色に似合う色に顔の周囲色(例えば衣服の色)を補正することで、全体的にバランスが取れた色合いの画像出力を提供することが可能な、新規かつ改良された撮像装置、撮像方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、撮像センサからの読み出しデータを出力する撮像部と、撮像部が出力したデータを用いて画像データを生成する現像部と、現像部が生成した画像データから顔領域を検出する顔検出部と、顔領域の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出部と、顔領域に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算部と、補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類部と、肌色分類部の分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成部と、補正パラメータ及びテーブルを用いて、顔領域及び顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正部と、を備える、撮像装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、被写体となる人物の顔の肌の色を補正すると共に、補正後の肌色に似合う色に顔の周囲色を補正することで、全体的にバランスが取れた色合いの画像を生成することが可能となる。
【0009】
肌色分類部は、補正後の顔の肌色のRGB比率を演算するR/G/B比率演算部を備えていてもよい。その結果、肌色分類部は、補正後の顔の肌色のRGB比率をR/G/B比率演算部で演算することによって、肌色を分類することが出来る。
【0010】
肌色分類部は、補正後の顔の肌色の彩度を演算する彩度演算部をさらに備えていてもよい。その結果、肌色分類部は、補正後の顔の肌色のRGB比率をR/G/B比率演算部で、彩度を彩度演算部で演算することによって、肌色を分類することが出来る。
【0011】
テーブル生成部は、顔周囲領域における所定の色が所定の比率以上であった場合にテーブルを生成するようにしてもよい。その結果、顔周囲領域における所定の色の比率が予め定めた所定値以上であった場合に、顔の周囲色を補正することで、顔周囲領域における顔の周囲色を適切に補正することができる。
【0012】
また、テーブル生成部は、予め定めた基準となる肌色からの、補正後の顔の肌色の離れ具合によって加減量を決定してもよい。その結果、基準となる肌色からの離れ具合に応じて加減量を決定して顔の肌色及び顔周囲領域の色を補正することで、全体的にバランスが取れた画像を得ることができる。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、撮像センサからの読み出しデータを出力する撮像ステップと、撮像ステップで出力されたデータを用いて画像データを生成する現像ステップと、現像ステップで生成した画像データから顔領域を検出する顔検出ステップと、顔領域の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出ステップと、顔領域に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算ステップと、補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類ステップと、肌色分類ステップでの分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成ステップと、補正パラメータ及びテーブルを用いて、顔領域及び顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正ステップと、を備える、撮像方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、被写体を撮像して撮像センサからの読み出しデータを用いて画像データを生成する現像ステップと、現像ステップで生成した画像データから顔領域を検出する顔検出ステップと、顔領域の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出ステップと、顔領域に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算ステップと、補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類ステップと、肌色分類ステップでの分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成ステップと、補正パラメータ及びテーブルを用いて、顔領域及び顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正ステップと、を実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、顔の肌の色を補正すると共に、補正後の肌色に似合う色に顔の周囲色(例えば衣服の色)を補正することで、全体的にバランスが取れた色合いの画像出力を提供することが可能な、新規かつ改良された撮像装置、撮像方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る撮像装置100に含まれる肌色分類部112の構成について示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る撮像装置100を用いた画像の色補正処理について説明する流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る撮像装置100の、肌色分類部112による肌色分類処理について示す流れ図である。
【図5】色補正処理及び肌色分類処理の対象となるカラー画像データの一例を示す説明図である。
【図6】xy平面上に色を表す一般的な色度図である。
【図7】4シーズン法による肌色の分類イメージを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について示す説明図である。以下、図1を用いて、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について説明する。
【0019】
図1に示した撮像装置100は、撮像素子で光電変換された結果得られるデータから画像データを生成するデジタルスチルカメラである。図1に示したように、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100は、レンズ部102と、現像部104と、顔検出部106と、顔周囲領域抽出部108と、顔色補正パラメータ演算部110と、肌色分類部112と、顔周囲色変換テーブル作成部114と、色補正部116と、JPEG圧縮符号部118と、メモリカード120と、を含んで構成される。
【0020】
レンズ部102は、本発明の撮像部の一例であり、図1には図示しないが、ズームレンズ、フォーカスレンズ、撮像素子等からなり、被写体からの光を撮像素子で光電変換し、撮像素子からの読み出しデータを出力するものである。ここで、撮像素子としてはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることができる。撮像素子にはベイヤー配列を有する画素が設けられており、この画素でデータが生成される。レンズ部102で生成されて出力される読み出しデータ(以下、レンズ部102から出力される読み出しデータを単に「データ」とも称する)は、レンズ部102から読み出されて、後段の現像部104に送られる。
【0021】
現像部104は、レンズ部102で生成され、レンズ部102から出力されるデータを用いて、輝度信号と色差信号とを含むYCbCr情報からなる画像データを生成するものである。現像部104が生成する画像データは、顔検出部106、顔周囲領域抽出部108及び色補正部116に送られる。
【0022】
顔検出部106は、現像部104で生成された画像データに対して、人間の顔の存在を検出し、人間の顔が画像データに含まれていたら、さらのその顔の位置を検出するものである。人間の顔を検出する方法としては、例えば、目、鼻、口といった人間の顔の特徴点を画像データの中から検出する手法がある。また例えば、被写体の顔領域を抽出する方法としては、指定領域内で肌の部分であると考えられる領域を基本的な領域として求め、その領域を出発点として肌らしい領域を所定の指標に基づいて拡張していき、最終的に肌らしき領域の固まりを顔領域として抽出するといった方法を用いてもよい。
【0023】
また、例えば、指定領域の画像を構成する画素の明度、色相、彩度等を求め、指定領域の中からこれらの色の指標が肌の色の特徴と合致する画素からなる画像領域を人物の肌の部分を表す領域として抽出する方法を用いてもよい。以下の説明では、人間の顔の存在の検出及び顔の位置の検出を、以後「顔検出」とも称する。顔検出部106における顔検出手法は、任意のものを使用することができ、特定の手法に限られるものではない。顔検出部106で検出した顔部分が含まれる顔領域情報は、顔周囲領域抽出部108及び顔色補正パラメータ演算部110に送られる。
【0024】
顔周囲領域抽出部108は、顔検出部106から送られてくる顔領域情報を用いて、顔の下方向に位置する領域で、色が連続している部分を顔周囲領域として抽出するものである。顔の下方向に位置する領域で、色が連続している部分は、その人物が着ている服が含まれている領域であると判断し、この顔周囲領域に対して適切な色補正処理を実行することで、補正後の肌色に似合う色に衣服の色を補正することができる。顔周囲領域抽出部108で抽出した顔周囲領域の情報は顔周囲色変換テーブル作成部114に送られる。
【0025】
顔色補正パラメータ演算部110は、顔検出部106が検出した顔領域に含まれている人間の顔の肌色を補正するためのパラメータを演算して決定するものである。顔色補正パラメータ演算部110が決定するパラメータは、画像の明度、色相、彩度の補正量(シフト量)を定めるものであり、例えば、画像を構成する各画素の画素値に加算もしくは減算する値を定めるものである。顔色補正パラメータ演算部110が決定した顔の肌色を補正するためのパラメータは、色補正部116に送られ、色補正部116における色補正処理に用いられる。また、顔色補正パラメータ演算部110が決定したパラメータは肌色分類部112にも送られ、肌色分類部112における肌色分類処理に用いられる。
【0026】
本実施形態では、顔色補正パラメータ演算部110は、顔検出部106が検出した顔領域に含まれている人間の顔の肌色を構成する画素の明度、色相、彩度等を検出し、これらの要素が、綺麗な肌色を示すものとして予め定めた目標範囲に含まれるように、パラメータを決定する。なお、本発明における顔色補正パラメータ演算部110でのパラメータ決定手法は、かかる例に限られない。
【0027】
肌色分類部112は、顔色補正パラメータ演算部110が決定したパラメータを用いて、色補正部116における顔の肌色に対する色補正処理が施された後の肌色(補正後の肌色)を分類する肌色分類処理を実行するものである。本実施形態における肌色分類部112により肌色分類処理の詳細については後述するが、肌色分類部112は、補正後の肌色をいくつかのパターンに分類する。この分類後の肌色のパターンに応じて、顔周囲領域に対する色補正処理を実行することで、補正後の肌色に似合う色に衣服の色を補正することができる。肌色分類部112による肌色分類処理の実行結果は、顔周囲色変換テーブル作成部114に送られる。
【0028】
顔周囲色変換テーブル作成部114は、顔周囲領域抽出部108が抽出した顔周囲領域の情報及び肌色分類部112で分類された補正後の肌色に対する分類結果を用いて、顔周囲領域に対する色補正処理に用いる色変換テーブルを作成するものである。顔周囲色変換テーブル作成部114における色変換テーブル作成処理の詳細については後に詳述する。顔周囲色変換テーブル作成部114が作成した色変換テーブルは色補正部116に送られる。
【0029】
色補正部116は、顔色補正パラメータ演算部110が決定した顔の肌色を補正するためのパラメータ及び顔周囲色変換テーブル作成部114が作成した顔周囲領域の色を補正するための色変換テーブルを用いて、現像部104が生成した画像データに対する色変換処理を実行するものである。顔の肌色を補正するためのパラメータ及び顔周囲領域の色を補正するための色変換テーブルを用いて画像データに対する色変換を実行することで、補正後の肌色に似合う色に衣服の色を補正し、全体的にバランスが取れた色合いの画像を生成することができる。色補正部116によって色補正処理が施された画像データはJPEG圧縮符号部118に送られる。
【0030】
JPEG圧縮符号部118は、色補正部116によって色補正処理が施された画像データに対して、JPEG圧縮符号化処理を施して、JPEG画像データを作成するものである。JPEG圧縮符号部118で生成されたJPEG画像データはメモリカード120に送られ、メモリカード120に記録される。
【0031】
メモリカード120は、JPEG圧縮符号部118で生成されたJPEG画像データが記録される記録媒体である。
【0032】
なお、図1には図示しないが、撮像装置100には、撮像動作を開始するためのシャッタボタン、撮影された画像を表示するための表示部、撮像装置100に対する各種設定を実行するための操作部等が含まれていてもよい。また、撮像装置100には、各部の動作を制御するためのCPU等の制御部や、各部の動作を制御するためのコンピュータが格納されたメモリが含まれていてもよい。
【0033】
以上、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態に係る撮像装置100に含まれる肌色分類部112の構成について説明する。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る撮像装置100に含まれる肌色分類部112の構成について示す説明図である。以下、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る撮像装置100に含まれる肌色分類部112の構成について説明する。
【0035】
図2に示したように、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100に含まれる肌色分類部112は、R/G/B比率演算部122と、彩度演算部124と、肌色種別判定部126と、を含んで構成される。
【0036】
R/G/B比率演算部122は、顔色補正パラメータ演算部110が決定した顔の肌色を補正するためのパラメータを用いて、補正後の肌色のR(赤)/G(緑)/B(青)の比率を演算するものである。補正後の肌色のRGB比率を演算することで、補正後の肌色が黄色寄りの色なのか、青色寄りの色なのかを判別することができる。R/G/B比率演算部が演算した補正後の肌色のRGB比率の情報は、後段の肌色種別判定部126に送られる。
【0037】
彩度演算部124は、顔色補正パラメータ演算部110が決定した顔の肌色を補正するためのパラメータを用いて、補正後の肌色の彩度を演算するものである。補正後の肌色の彩度を演算することで、補正後の肌色の彩度の高低を判別することができる。彩度演算部124が演算した補正後の肌色の彩度の情報は、後段の肌色種別判定部126に送られる。
【0038】
肌色種別判定部126は、R/G/B比率演算部122が演算した補正後の肌色のRGB比率の情報および彩度演算部124が演算した補正後の肌色の彩度の情報を用いて、補正後の肌色がどの種別に分類されるかを判別するものである。本実施形態では、肌色種別判定部126は、R/G/B比率演算部122が演算した補正後の肌色のRGB比率の情報および彩度演算部124が演算した補正後の肌色の彩度の情報から、補正後の肌色を4つのパターンに分類する。補正後の肌色がどの種別に分類されるかを判別すると、肌色種別判定部126その判別結果を出力する。判別結果は、顔周囲色変換テーブル作成部114に送られ、顔周囲領域に対する色補正処理のための色変換テーブルの作成に用いられる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態に係る撮像装置100に含まれる肌色分類部112の構成について説明した。なお、本実施形態では、補正後の肌色のRGB比率の情報および補正後の肌色の彩度の情報を用いて補正後の肌色を分類していたが、本発明は、補正後の肌色のRGB比率の情報のみを用いて補正後の肌色を分類してもよい。肌色は、RGB比率の情報のみを用いても大まかに分類することが可能である。
【0040】
次に、本発明の一実施形態に係る撮像装置100を用いた画像の色補正処理について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る撮像装置100を用いた画像の色補正処理について説明する流れ図である。以下、図3を用いて本発明の一実施形態に係る撮像装置100を用いた画像の色補正処理について説明する。
【0041】
ユーザがシャッタボタンを押下する等によって撮像装置100で撮像動作が開始されると、撮像装置100はレンズ部102で光電変換してデータを生成し、生成されたデータをレンズ部102から出力し、現像部104でカラー画像データを生成する。現像部104で生成されたカラー画像データは顔検出部106、顔周囲領域抽出部108および色補正部116に送られる。顔検出部106では、カラー画像データに対する顔の有無の検出及び顔領域の検出処理が実行され、顔周囲領域抽出部108では、顔周囲領域の抽出処理が実行される(ステップS101)。
【0042】
顔領域及び顔周囲領域の検出が完了すると、続いて、顔検出部106が検出した顔の肌色を検出する(ステップS102)。具体的には、顔検出部106が検出した顔領域に含まれている人間の顔の肌色を補正するためのパラメータを、顔色補正パラメータ演算部110が演算して決定し、決定したパラメータに基づいて顔の肌色を検出する。
【0043】
顔の肌色を検出すると、肌色分類部112は、顔検出部106が検出した顔領域に含まれている人間の顔の肌色を分類する(ステップS103)。肌色分類部112は、上述したように、本実施形態では補正後の肌色のRGB比率の情報および補正後の肌色の彩度の情報を用いて補正後の肌色を分類する。
【0044】
顔の肌色の分類が完了すると、分類結果に基づいて、顔周囲色変換テーブル作成部114が顔周囲領域に対する色補正処理に用いる色変換テーブルを作成する(ステップS104)。顔周囲色変換テーブル作成部114で色変換テーブルが作成されると、顔色補正パラメータ演算部110が決定した顔の肌色を補正するためのパラメータ及び顔周囲色変換テーブル作成部114が作成した顔周囲領域の色を補正するための色変換テーブルを用いて、現像部104が生成した画像データに対する色変換処理を色補正部116が実行する(ステップS105)。
【0045】
この一連の処理によって、肌色を綺麗な色に補正すると共に、補正後の肌色に似合う色に衣服の色を補正することができる。
【0046】
以上本発明の一実施形態に係る撮像装置100を用いた画像の色補正処理について説明した。次に、本発明の一実施形態に係る撮像装置100の、肌色分類部112による肌色分類処理について説明する。
【0047】
図4は,本発明の一実施形態に係る撮像装置100の、肌色分類部112による肌色分類処理について示す流れ図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態に係る撮像装置100の、肌色分類部112による肌色分類処理について説明する。
【0048】
肌色分類部112に顔色補正パラメータ演算部110が決定した顔の肌色を補正するためのパラメータが送られると、このパラメータを用いて、補正後の肌色のRGB比率をR/G/B比率演算部122が演算する(ステップS111)。そして、補正後の肌色のRGB比率の演算と並行して、顔色補正パラメータ演算部110から送られてくるパラメータを用いて、補正後の肌色の彩度を彩度演算部124が演算する(ステップS112)。
【0049】
R/G/B比率演算部122で補正後の肌色のRGB比率の情報が、彩度演算部124で補正後の肌色の彩度の情報がそれぞれ演算されると、RGB比率の情報および彩度の情報を用いて、補正後の肌色がどの種別に分類されるかを肌色種別判定部126が判別する(ステップS113)。肌色種別判定部126は、補正後の肌色の判別結果を出力し、顔周囲色変換テーブル作成部114での色変換テーブルの作成処理に用いられる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態に係る撮像装置100の、肌色分類部112による肌色分類処理について説明した。続いて、上述した、本発明の一実施形態に係る撮像装置100による画像の色補正処理及び肌色分類処理を、図面を用いてより詳細に説明する。
【0051】
図5は、本発明の一実施形態に係る撮像装置100における画像の色補正処理及び肌色分類処理の対象となるカラー画像データの一例を示す説明図である。図5に示した画像データ131は、女性が椅子に座っている状態を撮像した結果得られたものである。なお、画像データ131において、女性が着ている服は明るいピンク色であるとする。以下では、この画像データ131に対して色補正処理及び肌色分類処理を実行する場合について説明する。
【0052】
画像データ131に対して顔検出部106で顔検出処理を実行すると、図5の符号132で囲まれた部分が顔領域として検出される。そして、顔周囲領域抽出部108で顔周囲領域抽出処理を実行すると、顔領域132に含まれている顔の下方向に位置し、色が連続している、符号133で囲まれた部分が顔周囲領域として抽出される。
【0053】
本発明の一実施形態に係る撮像装置100は、このように検出された顔領域132における顔の肌色を補正するとともに、顔周囲領域133における洋服の色を、補正後の顔の肌色に合うように、画像データ131に対して色補正処理を実行することで、全体的にバランスが取れた色合いの画像を生成することができる。
【0054】
本実施形態では、顔領域132における顔の肌色を補正した後の色に対して、肌色分類部112が4種類のパーソナルカラーに分類することで、その人の肌色に合った色への顔周囲領域133における洋服の色の補正ができる。人間の肌は、「黄み寄りの肌であるか、青み寄りの肌であるか」によって、また「くすんだ色合いであるか、鮮やかな(ビビッドな)色合いであるか」によって、4種類に分類することができる。
【0055】
そして、「黄み寄りでビビッドな肌色」を「Spring」、「黄み寄りでくすんだ肌色」を「Autumn」、「青み寄りでビビッドな肌色」を「Summer」、「青み寄りでくすんだ肌色」を「Winter」として、肌色分類部112が肌色を分類する。このような分類法は「4シーズン法」と呼ばれる。従って、同じピンク色でも、この4種類の分類結果によって異なる色が存在し、肌色によって似合うピンク色が異なる。
【0056】
図6は、xy平面上に色を表す一般的な色度図である。図中に示した「肌色領域」から黄色寄りの色になるか、青色寄りの色になるかによって、「黄み寄りの肌であるか、青み寄りの肌であるか」をR/G/B比率演算部122が判別することができる。そして、「くすんだ色合いであるか、鮮やかな(ビビッドな)色合いであるか」については、補正後の肌色の彩度を分析することで彩度演算部124が判別することができる。
【0057】
図7は、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100における色分類処理で用いる、4シーズン法による肌色の分類イメージを示す説明図である。上述したように、「黄み寄りの肌であるか、青み寄りの肌であるか」によって、また「くすんだ色合いであるか、鮮やかな(ビビッドな)色合いであるか」によって、肌色種別判定部126は、補正後の肌色を「Spring」、「Summer」、「Autumn」、「Winter」の4つの中のいずれかに分類する。
【0058】
肌色種別判定部126が、補正後の肌色を「Spring」、「Summer」、「Autumn」、「Winter」の4つの中のいずれかに分類すると、顔周囲色変換テーブル作成部114は顔周囲領域133におけるピンク色の洋服の色を補正するためのテーブルを作成する。例えば、図5に示した画像データ131における、補正後の女性の肌の色が、黄色寄りであって彩度が高い「Spring」であった場合には、その肌の色に似合うピンク色は単なるピンク色ではなくコーラルピンク(Coral Pink)であることが知られている。従って、補正後の女性の肌の色が、黄色寄りであって彩度が高い「Spring」であった場合には、顔周囲色変換テーブル作成部114は洋服の色をコーラルピンクに変換するようなテーブルを作成する。
【0059】
また例えば、図5に示した画像データ131における、補正後の女性の肌の色が、黄色寄りであって彩度が低い「Autumn」であった場合には、その肌の色に似合うピンク色は単なるピンク色ではなくサーモンピンク(Salmon Pink)であることが知られている。従って、補正後の女性の肌の色が、黄色寄りであって彩度が低い「Autumn」であった場合には、顔周囲色変換テーブル作成部114は洋服の色をサーモンピンクに変換するようなテーブルを作成する。
【0060】
また例えば、図5に示した画像データ131における、補正後の女性の肌の色が、青色寄りであって彩度が高い「Summer」であった場合には、その肌の色に似合うピンク色は単なるピンク色ではなくフューシャピンク(Fuchsia Pink)であることが知られている。従って、補正後の女性の肌の色が、青色寄りであって彩度が高い「Summer」であった場合には、顔周囲色変換テーブル作成部114は洋服の色をフューシャピンクに変換するようなテーブルを作成する。
【0061】
また例えば、図5に示した画像データ131における、補正後の女性の肌の色が、青色寄りであって彩度が低い「Winter」であった場合には、その肌の色に似合うピンク色は単なるピンク色ではなくソフトフューシャピンク(Soft Fuchsia Pink)であることが知られている。従って、補正後の女性の肌の色が、青色寄りであって彩度が低い「Winter」であった場合には、顔周囲色変換テーブル作成部114は洋服の色をソフトフューシャピンクに変換するようなテーブルを作成する。
【0062】
上記の説明では、ピンク色を補正する場合の一例を説明したが、その他の色の衣服を着ている場合における、肌の色とその肌の色にマッチする色との間の関係は、例えば、http://www.geocities.jp/net_t3/color/personal02_spring.html、http://www.geocities.jp/net_t3/color/personal02_summer.html、http://www.geocities.jp/net_t3/color/personal02_autumn.html、http://www.geocities.jp/net_t3/color/personal02_winter.html等に開示されているものを用いることができる。肌の色とその肌の色にマッチする色との間の関係に関する情報を予め撮像装置100の内部(例えば顔周囲色変換テーブル作成部114)に保持しておき、補正後の肌の色にマッチする色を選択してテーブルを作成することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、「黄み寄りの肌であるか、青み寄りの肌であるか」、及び「くすんだ色合いであるか、鮮やかな(ビビッドな)色合いであるか」によって、肌の色を4種類に分類していたが、本発明はかかる例に限定されない。顔の肌の色は、「黄み寄りの肌であるか、青み寄りの肌であるか」のみによっても大まかに分類することができる。従って本発明においては、顔の肌の色をRGB比率の情報のみによって分類してもよい。
【0064】
以上、本発明の一実施形態に係る撮像装置100による画像の色補正処理及び肌色分類処理について説明した。なお、上記実施形態で説明した一連の処理は、撮像装置100内部のハードウエアにより実行させてもよく、撮像装置100の内部に格納されたソフトウエアにより実行させてもよい。
【0065】
また、上記説明では本発明の一実施形態として撮像装置100を挙げて説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、カメラ機能を内蔵した携帯電話についても、当然に本発明を適用可能であることは言うまでも無い。
【0066】
以上説明したように本発明の一実施形態にかかる撮像装置100は、撮影された画像データに対して顔検出処理を実行し、顔の肌色を綺麗な色に補正する。また撮像装置100は撮影された画像データに対して顔周囲領域を抽出すると共に、補正後の顔の肌色を4シーズン法に基づいて分類する。そして、撮像装置100は、補正後の顔の肌色がどのパターンに属しているかに基づいて、顔周囲領域に対する色変換処理のためのテーブルを作成し、作成したテーブルに基づいて顔周囲領域に対する色変換処理を実行する。
【0067】
これにより、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100によれば、補正後の肌色に似合う色に衣服の色を補正することで、全体的にバランスが取れた色合いの画像出力を提供することが可能となる。
【0068】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0069】
例えば、上記実施形態では、顔の肌色を補正すると共に、補正後の肌色にマッチした色に顔周囲領域に対する色変換処理を実行していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、顔周囲領域に対する色変換処理を敢えて実行しないようにしてもよい。例えば、顔周囲領域に、補正後の肌色に似合う色と似合っていない色とが混在しているような場合には、補正することでかえって似合わない色になってしまうことが考えられる。このような場合には顔周囲領域に対する色変換処理を敢えて実行しないようにしてもよい。
【0070】
また例えば、色補正部116は、顔周囲領域の所定の色の面積が所定の比率以上の場合に限り、顔周囲領域に対して色補正を実行してもよい。顔周囲領域の所定の色の面積が所定の比率に限って顔周囲領域に対して色補正を実行することで、顔周囲領域に含まれる衣服その他の顔周囲色を適切に補正することができる。この所定の色としては、例えば記憶色と呼ばれる、多くの人がイメージとして記憶している色(桜の色、空の色、人間の肌の色等)であってもよい。
【0071】
また例えば、上記実施形態では、顔領域及び顔周囲領域の形状は四角形であったが、本発明においては顔領域や顔周囲領域の形状は四角形に限られないことはいうまでも無い。また例えば、顔周囲色変換テーブル作成部114は、テーブルの作成の際に、予め定めた基準となる肌色からの離れ具合に応じて、顔周囲領域における色補正処理の際の色調整値の加算量や減算量を加減させてもよい。例えば、補正後の肌色が基準となる肌色からあまり離れていなければ、加減量を小さくし、補正後の肌色が基準となる肌色から大きく離れていれば、加減量を大きくしてもよい。基準となる肌色からの離れ具合に応じて加減量を決定して顔の肌色及び顔周囲領域の色を補正することで、全体的にバランスが取れた画像を得ることができる。
【0072】
また例えば、上記実施形態では、顔周囲領域に含まれている衣服の色を補正していたが、本発明はかかる例に限定されない。顔の下に位置しているものが衣服以外のもの、例えばテーブルや布団のようなものであっても、その衣服以外のものの色を色補正部116で補正してもよい。顔の色に似合う、似合わない、の評価は、周囲の色との対比による心理効果であるためで、顔の下に位置しているものの色を肌色に適合する色に補正することにより、顔色をより健康的に見せる効果が期待できる。
【符号の説明】
【0073】
100 撮像装置
102 レンズ部
104 現像部
106 顔検出部
108 顔周囲領域抽出部
110 顔色補正パラメータ演算部
112 肌色分類部
114 顔周囲色変換テーブル作成部
116 色補正部
118 JPEG圧縮符号部
120 メモリカード
122 R/G/B比率演算部
124 彩度演算部
126 肌色種別判定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像センサからの読み出しデータを出力する撮像部と、
前記撮像部が出力した前記データを用いて画像データを生成する現像部と、
前記現像部が生成した画像データから顔領域を検出する顔検出部と、
前記顔領域の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出部と、
前記顔領域に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算部と、
前記補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類部と、
前記肌色分類部の分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成部と、
前記補正パラメータ及び前記テーブルを用いて、前記顔領域及び前記顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正部と、
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記肌色分類部は、前記補正後の顔の肌色のRGB比率を演算するR/G/B比率演算部を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記肌色分類部は、前記補正後の顔の肌色の彩度を演算する彩度演算部をさらに備える、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記テーブル生成部は、前記顔周囲領域における所定の色が所定の比率以上であった場合に前記テーブルを生成する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記テーブル生成部は、予め定めた基準となる肌色からの、前記補正後の顔の肌色の離れ具合によって前記色補正部による補正時の色調整値の加減量を決定する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像センサからの読み出しデータを出力する撮像ステップと、
前記撮像ステップで出力された前記データを用いて画像データを生成する現像ステップと、
前記現像ステップで生成した画像データから顔領域を検出する顔検出ステップと、
前記顔領域の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出ステップと、
前記顔領域に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算ステップと、
前記補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類ステップと、
前記肌色分類ステップでの分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成ステップと、
前記補正パラメータ及び前記テーブルを用いて、前記顔領域及び前記顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正ステップと、
を備える、撮像方法。
【請求項7】
コンピュータに、
被写体を撮像して撮像センサからの読み出しデータを用いて画像データを生成する現像ステップと、
前記現像ステップで生成した画像データから顔領域を検出する顔検出ステップと、
前記顔領域の周囲領域を顔周囲領域として抽出する顔周囲領域抽出ステップと、
前記顔領域に含まれる顔の色に対する補正パラメータを演算して決定する顔色補正パラメータ演算ステップと、
前記補正パラメータによる補正後の顔の肌色を分類する肌色分類ステップと、
前記肌色分類ステップでの分類結果に応じて顔周囲領域抽出部に対する色補正に用いるテーブルを生成するテーブル生成ステップと、
前記補正パラメータ及び前記テーブルを用いて、前記顔領域及び前記顔周囲領域に対する色補正を実行する色補正ステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−44964(P2011−44964A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192623(P2009−192623)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】