説明

撮像装置、撮像方法および撮像プログラム

【課題】 消費電力を低下させること。
【解決手段】 ビデオカメラは、信号処理プロセッサ45がフレームを信号処理して出力する処理済フレームと、イメージセンサ15により出力されるフレームを参照フレームとして記憶するSDRAM19と、入力フレームが信号処理プロセッサ45により信号処理される前に、入力フレームと参照フレームとを比較する比較部43と、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、入力フレームを信号処理プロセッサ45に信号処理させ、入力フレームと参照フレームとが類似する場合、入力フレームを信号処理プロセッサ45に信号処理させない制御部47と、イメージセンサ15がフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートでSDRAM19に記憶された処理済フレームを読み出し、出力する出力部49と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置、撮像方法および撮像プログラムに関し、特に動画像を処理する機能を備えた撮像装置、撮像方法および撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラは、フレームごとに画像を処理する信号処理回路を備えている。この信号処理回路の消費電力は比較的大きいため、バッテリーの消費を低くして長時間の駆動を可能とするために、信号処理回路の消費電力を低下することが望まれている。
【0003】
特開2001−045493号公報には、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャから構成されるGOP(Group Of Picture)を有する符号化動画像データを生成する際に、復号化処理時に当該復号化処理を省くための情報を付加したフレームを適宜挿入することによって、符号化動画像データの情報量の削減、符号化処理時及び復号化処理時の処理量を低減した動画像符号化装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、復号化処理時に当該復号化処理を省くための情報を付加したフレームを適宜挿入しなければならず、処理が複雑になるといった問題がある。
【特許文献1】特開2001−045493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、消費電力を低下させることが可能な撮像装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、撮像装置の消費電力を低減させることが可能な撮像方法および撮像プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、撮像装置は、予め定められたフレームレートでフレームを出力するイメージセンサと、フレーム単位で予め定められた信号処理を実行する信号処理手段と、信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームを記憶する処理済フレーム記憶手段と、イメージセンサにより出力されるフレームを参照フレームとして記憶する参照フレーム記憶手段と、イメージセンサにより参照フレームより後に出力される入力フレームが信号処理手段により信号処理される前に、入力フレームと参照フレームとを比較する比較手段と、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させ、入力フレームと参照フレームとが類似する場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させない制御手段と、イメージセンサがフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、処理済フレーム記憶手段に記憶された処理済フレームを読み出し、出力する出力手段と、を備える。
【0008】
この局面に従えば、信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームが記憶され、イメージセンサにより参照フレームより後に出力される入力フレームが信号処理される前に、入力フレームと参照フレームとが比較され、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させ、入力フレームと参照フレームとが類似する場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させない。このため、信号処理手段による信号処理回数が減少するので、信号処理手段の消費電力を低減することができる。その結果、消費電力を低減させることが可能な撮像装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、フレーム記憶手段は、比較手段により入力フレームと参照フレームとが類似しないと判断された場合に、入力フレームを参照フレームとして記憶する。
【0010】
この局面によれば、入力フレームと参照フレームとが類似する場合は、信号処理手段が参照フレームを信号処理した処理済フレームが出力される。このため、動画像の画質の低下を所定の範囲内に抑えることができる。
【0011】
好ましくは、フレーム記憶手段は、比較手段による比較結果に係わらず入力フレームを参照フレームとして記憶する。
【0012】
この局面によれば、参照フレームは、入力フレームの直前の入力フレームとなる。このため、連続する入力フレームが類似する場合は、信号処理手段が最後に信号処理した処理済フレームが出力される。このため、動画像の画質の低下を所定の範囲内に抑えることができる。
【0013】
好ましくは、出力手段は、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、信号処理手段が入力フレームを信号処理した後に、処理済フレーム記憶手段から処理済フレームを読み出す。
【0014】
この発明の他の局面によれば、撮像方法は、予め定められたフレームレートでフレームを出力するイメージセンサと、フレーム単位で予め定められた信号処理を実行する信号処理手段と、を備えた撮像装置で実行させる撮像方法であって、信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームを記憶するステップと、イメージセンサにより出力されるフレームを参照フレームとして記憶するステップと、イメージセンサにより参照フレームより後に出力される入力フレームが信号処理手段により信号処理される前に、入力フレームと参照フレームとを比較するステップと、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させ、入力フレームと参照フレームとが類似する場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させないステップと、イメージセンサがフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、記憶された処理済フレームを読み出し、出力するステップと、を含む。
【0015】
この局面に従えば、撮像装置の消費電力を低減させることが可能な撮像方法を提供することができる。
【0016】
この発明のさらに他の局面によれば、撮像プログラムは、予め定められたフレームレートでフレームを出力するイメージセンサと、フレーム単位で予め定められた信号処理を実行する信号処理手段と、を備えた撮像装置を制御するプロセッサで実行される撮像プログラムであって、信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームを記憶するステップと、イメージセンサにより出力されるフレームを参照フレームとして記憶するステップと、イメージセンサにより参照フレームより後に出力される入力フレームが信号処理手段により信号処理される前に、入力フレームと参照フレームとを比較するステップと、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させ、入力フレームと参照フレームとが類似する場合、入力フレームを信号処理手段に信号処理させないステップと、イメージセンサがフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、記憶された処理済フレームを読み出し、出力するステップと、をプロセッサに実行させる。
【0017】
この局面に従えば、撮像装置の消費電力を低減させることが可能な撮像プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態の1つにおけるビデオカメラの構成の概略を示すブロック図である。
【図2】信号処理部の詳細な構成の一例を、イメージセンサおよびSDRAMとともに示す図である。
【図3】フレームの差分と時間との関係を示す図である。
【図4】入力フレームと処理済フレームの関係の一例を示す図である。
【図5】撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態における撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0020】
本実施の形態においては、撮像装置の一例としてビデオカメラを説明する。なお、撮像装置は、ビデオカメラに限られず、被写体を撮像し、動画像を記録する機能を有した装置であれば、例えば、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、音楽プレーヤ等であってもよい。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるビデオカメラの構成の概略を示すブロック図である。図1を参照して、ビデオカメラ1は、ビデオカメラ1の全体を制御するプロセッサであるCPU11と、フォーカスレンズおよびズームレンズを含む複数のレンズで構成されるレンズ群13と、イメージセンサ15と、信号処理部17と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)19と、CPU11が実行するためのプログラム等を記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)21と、ユーザの操作を受け付ける操作部23と、液晶表示装置(LCD)25と、メモリカード29が装着されるカードインターフェース(I/F)27と、を含む。
【0022】
イメージセンサ15は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサであり、二次元に配列された複数の光電変換素子を有し、複数の光電素子が蓄積した電荷から映像信号であるフレームを生成し、生成したフレームを予め定められたフレームレートで信号処理部17に出力する。イメージセンサ15は、その結像面がレンズ群13の光軸に対して垂直となる。なお、イメージセンサ15は、CMOSセンサに限定されず、CCD(Charge Coupled Device)やその他の撮像デバイスであってもよい。
【0023】
信号処理部17は、CPU11により制御され、イメージセンサ15から入力されるフレームに所定の信号処理を実行し、処理後のフレームをEEPROM21またはメモリカード29に記憶する。信号処理部17の詳細は後述する。
【0024】
カードI/F27は、不揮発性メモリを備えたメモリカード29が装着される。CPU11は、カードI/F27を介して、メモリカード29にアクセス可能であり、SDRAM19に記憶されたデータをメモリカード29に記憶したり、または、メモリカード29に記憶されたデータを読み出してSDRAM19に記憶したりする。
【0025】
操作部23は、撮像を開始する指示を受け付けるための撮影ボタンを含む複数のキーを備え、ユーザの操作を受け付ける。
【0026】
図2は、信号処理部の詳細な構成の一例を、イメージセンサおよびSDRAMとともに示す図である。図2を参照して、信号処理部17は、イメージセンサ15からフレームが入力される間引き部41と、比較部43と、信号処理プロセッサ45と、信号処理プロセッサ45を制御する制御部47と、出力部49と、を含む。
【0027】
間引き部41は、イメージセンサ15から入力されるフレームを間引いて、CPU11により定められたフレームレートで、フレームを出力する。間引き部41は、例えば30fps(frame per second)または60fpsのフレームレートでフレームを、信号処理プロセッサ45および比較部43に出力する。
【0028】
比較部43は、間引き部41が出力するフレームが入力される。比較部43は、間引き部41が最初に出力するフレームが入力される場合、最初に入力されるフレームをSDRAM19に記憶する。これによりSDRAM19に参照フレーム51が記憶される。以下の説明では、間引き部41が出力するフレームを入力フレームといい、比較部43によりSDRAM19に記憶されるフレームを参照フレームという。
【0029】
比較部43は、間引き部41が2番目以降に出力する入力フレームが入力される場合、入力フレームをSDRAM19に記憶された参照フレーム51と比較する。比較部43は、入力フレームと参照フレームとを比較し、2つのフレームが類似しているか否かを判断する。2つのフレームが類似しているか否かの判断方法は、従来周知の方法を用いることができる。例えば、2つのフレームから動きベクトルを抽出し、抽出された動きベクトルが、所定の大きさ以内であれば類似していると判断する。また、2つのフレームの明度や輝度の違いから類似しているか否かを判断するようにしてもよい。例えば、異なる明度の部分が全体に占める割合が所定の値以下ならば類似していると判断するようにしてもよい。
【0030】
比較部43は、入力フレームと参照フレームとが類似していないと判断する場合、SDRAM19に記憶されている参照フレームを入力フレームで書き換えるが、2つのフレームが類似していると判断する場合、SDRAM19に記憶されている参照フレームを入力フレームで書き換えない。
【0031】
比較部43は、比較結果を制御部47に出力する。制御部47は、入力フレームと参照フレームとが類似していることを示す比較結果が入力される場合、信号処理プロセッサ45に入力フレームに対する信号処理を実行させないように、OFF信号を信号処理プロセッサ45に出力する。制御部47は、入力フレームと参照フレームとが類似していないことを示す比較結果が入力される場合、信号処理プロセッサ45に入力フレームに対する信号処理を実行させるために、ON信号を信号処理プロセッサ45に出力する。
【0032】
信号処理プロセッサ45は、制御部47からON信号が入力されることを条件に、間引き部41から入力される入力フレームに対して信号処理を実行し、信号処理後の処理済フレームをSDRAM19に記憶する。ここで、入力フレームを配列F(t)で示し、信号処理した処理済フレームを配列F’(t)で示す。ただし、tは、正の整数であり、フレームの番号を示す。
【0033】
信号処理プロセッサ45は、制御部47からOFF信号が入力される場合、間引き部41から入力される入力フレームF(t)に対して信号処理を実行しない。信号処理プロセッサ45が入力フレームに対して駆動せず、信号処理をしないことにより、電力が消費されない。
【0034】
信号処理プロセッサ45が実行する信号処理は、リサイズ処理と符号化処理とを少なくとも含む。リサイズ処理は、フレームのサイズを変更する処理である。符号化処理は、CPU11により定められたフォーマットに変換する処理である。さらに、信号処理プロセッサ45が実行する信号処理は、画素の並び替え処理、色分離処理、フィルタリング処理、補正処理、変換処理を含んでもよい。画素の並び換え処理は、イメージセンサ15によってRGB画素の出力形式が異なるため、信号処理プロセッサ45の入力形式と整合させるために、すべての画素のRGBの画素を一様に並び換える処理である。補正処理は、ガンマ補正処理、ニー補正処理、ホワイトバランス補正処理、フレア補正処理、アパーチャ補正処理、コントラスト補正処理、色補正処理、画素欠陥処理、固定パターンノイズ除去処理、キズ除去処理を含むようにしてもよい。ガンマ補正処理は、フレームの画素値をLCD25の特性に合わせて補正する処理である。ホワイトバランス補正処理は、光源のRGB比を推定してフレームの画像を最適な色温度に設定する処理である。信号処理プロセッサ45が実行する信号処理の数が増えるほど、画質が向上するが、消費電力も増加する。
【0035】
出力部49は、イメージセンサ15がフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、SDRAM19に記憶されている処理済フレーム53を読み出し、CPU11に出力する。このため、イメージセンサ15のフレームレートと同じフレームレートでフレームがCPU11に出力される。CPU11は、出力部49から出力されるフレームを順にEEPROM21、またはメモリカード29に記憶する。出力部49が、SDRAM19に記憶されている処理済フレーム53を読み出すタイミングは、比較部43によって入力フレームと参照フレームとが類似していないと判断される場合は、信号処理プロセッサ45が処理済フレームをSDRAM19に記憶した後であり、比較部43によって入力フレームと参照フレームとが類似していないと判断される場合は、比較部43による判断がされた後である。
【0036】
図3は、フレームの差分と時間との関係を示す図である。図3を参照して、横軸に時間を、縦軸に入力フレームと参照フレームとのフレーム差分を示し、フレームごとにフレーム差分をプロットした図を示している。第1、7、8、9番目のフレームと、第19、20、21、22番目のフレームそれぞれの差分が、しきい値より大きいが、第2〜第6番目のフレームと、第10〜第18番目のフレームと、第23番目以降のフレームの差分がしきい値よりも小さい。なお、第1番目のフレームに対する差分は、比較対象が存在しないため、差分を最大の値として示している。
【0037】
図4は、入力フレームと処理済フレームの関係の一例を示す図である。図4では、図3に示した入力フレームが入力される場合の処理済フレームを示している。図4を参照して、第1行目は入力フレームの番号を示し、第2行目は入力フレームを配列F(t)で示し、第3行目は、SDRAM19に記憶される参照フレームを配列F(t)で示し、第4行目は制御部47の出力信号を示し、第5行目は処理済フレームを配列F’(t)で示す。
【0038】
例えば、第1番目の入力フレームF(1)に対して、SDRAM19に参照フレームが記憶されていないため、差分が最大となる。この場合には、制御部47は信号処理プロセッサ45にON信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(1)を信号処理して出力する処理済フレームF’(1)がSDRAM19に記憶されるとともに、出力される。
【0039】
第2番目の入力フレームF(2)に対して、SDRAM19に参照フレームF(1)が記憶されているため、入力フレームF(2)と参照フレームF(1)とが比較され、差分がしきい値以内なので、制御部47は信号処理プロセッサ45にOFF信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(2)を信号処理することなく、SDRAM19に記憶されている処理済フレームF’(1)が出力される。また、参照フレームF(1)は、入力フレームF(2)で更新されないので、参照フレームは、F(1)のままである。
【0040】
第3〜6番目の入力フレームF(3)〜F(6)それぞれは、SDRAM19に参照フレームF(1)との差分がしきい値以内なので、制御部47は信号処理プロセッサ45にOFF信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(3)〜F(6)を信号処理することなく、SDRAM19に記憶されている処理済フレームF’(1)が出力される。また、参照フレームF(1)は、入力フレームF(3)〜F(6)で更新されないので、参照フレームは、F(1)のままである。
【0041】
第7番目の入力フレームF(7)に対して、SDRAM19に参照フレームF(1)が記憶されているため、入力フレームF(7)と参照フレームF(1)とが比較され、差分がしきい値より大きいので、制御部47は信号処理プロセッサ45にON信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(7)を信号処理して出力する処理済フレームF’(7)がSDRAM19に記憶されるとともに、出力される。
【0042】
第8番目の入力フレームF(8)に対して、SDRAM19に参照フレームF(7)が記憶されているため、入力フレームF(8)と参照フレームF(7)とが比較され、差分がしきい値より大きいので、制御部47は信号処理プロセッサ45にON信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(8)を信号処理して出力する処理済フレームF’(8)がSDRAM19に記憶されるとともに、出力される。
【0043】
第9番目の入力フレームF(9)に対して、SDRAM19に参照フレームF(8)が記憶されているため、入力フレームF(9)と参照フレームF(8)とが比較され、差分がしきい値より大きいので、制御部47は信号処理プロセッサ45にON信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(9)を信号処理して出力する処理済フレームF’(9)がSDRAM19に記憶されるとともに、出力される。
【0044】
第10番目の入力フレームF(10)に対して、SDRAM19に参照フレームF(9)が記憶されているため、入力フレームF(10)と参照フレームF(9)とが比較され、差分がしきい値以内なので、制御部47は信号処理プロセッサ45にOFF信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(10)を信号処理することなく、SDRAM19に記憶されている処理済フレームF’(9)が出力される。また、参照フレームF(9)は、入力フレームF(10)で更新されないので、参照フレームは、F(9)のままである。
【0045】
第11〜18番目の入力フレームF(11)〜F(18)それぞれは、SDRAM19に参照フレームF(9)との差分がしきい値以内なので、制御部47は信号処理プロセッサ45にOFF信号を出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームF(11)〜F(18)を信号処理することなく、SDRAM19に記憶されている処理済フレームF’(9)が出力される。また、参照フレームF(9)は、入力フレームF(11)〜F(18)で更新されないので、参照フレームは、F(9)のままである。
【0046】
第19番目の入力フレームF(19)における処理は、第7番目の入力フレームF(7)における処理と同じであり、第20〜第22番目の入力フレームF(20)〜F(22)における処理は、第8〜9番目の入力フレームF(8)〜F(9)における処理と同じである。第23番目の入力フレームF(23)における処理は、第10番目の入力フレームF(10)における処理と同じであり、第24〜第30番目の入力フレームF(24)〜F(30)における処理は、第10〜18番目の入力フレームF(10)〜F(19)における処理と同じである。図4に示す第1〜第30番目の入力フレームに対して、信号処理プロセッサ45は8つの入力フレームに対して信号処理を実行するのみである。したがって、この例の場合における信号処理プロセッサ45のダイナミック電流は、第1〜30番目の全ての入力フレームを処理する場合に対して約27%となる。
【0047】
<変形例>
上記実施の形態における信号処理部17において、間引き部41、比較部43および制御部47をCPU11で実現するようにしてもよい。この場合、CPU11がEEPROM21に記憶された撮像プログラムを実行することにより、イメージセンサ15および信号処理プロセッサ45を制御する。
【0048】
図5は、撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。撮像処理は、CPU11が、EEPROM21に記憶された撮像プログラムを実行することにより、CPU11により実行される処理である。図5を参照して、CPU11は、イメージセンサ15からフレームが入力されるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、フレームが入力されると、処理をステップS02に進める。イメージセンサ15は、予め定められたフレームレートでフレームを出力する。
【0049】
次のステップS02においては、SDRAM19に、参照フレームが記憶されているか否かを判断する。SDRAM19に参照フレームが記憶されていれば処理をステップS03に進めるが、参照フレームが記憶されていなければ処理をステップS08に進める。撮像処理が実行されてから最初にフレームが入力される場合、SDRAM19に参照フレームは記憶されていない。この場合には、処理をステップS08に進める。
【0050】
ステップS08においては、イメージセンサ15から入力された入力フレームを、参照フレームとしてSDRAM19に記憶する。そして、入力フレームを信号処理プロセッサに信号処理させる(ステップS09)。次のステップS10においては、信号処理プロセッサ45が入力フレームを信号処理して出力する処理済フレームをDRAM19に記憶し、処理をステップS06に進める。
【0051】
ステップS06においては、処理済フレームをEEPROM21に記憶し、処理をステップS07に進める。ステップS07においては、撮像終了指示を受け付けたか否かを判断する。ユーザにより、撮像終了キーを押下する操作を検出したならば撮像終了指示を受け付ける。撮像終了し指示を受け付けたならば処理を終了するが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。
【0052】
ステップS01においては、処理がステップS07から進む場合、第2番目以降のフレームをイメージセンサ15から受け付ける。イメージセンサ15から2番目以降のフレームを受け付ける場合、SDRAM15に参照フレームが記憶されている。このため、CPU11は、イメージセンサ15から2番目以降のフレームを受け付ける場合、ステップS02において、処理をステップS03に進める。ステップS03においては、ステップS01において入力された2番目以降の入力フレームと、SDRAM19に記憶されている参照フレームとを比較する。そして、入力フレームと参照フレームとが類似するか否かにより処理を分岐させる(ステップS04)。入力フレームと参照フレームとが類似するならば処理をステップS05に進め、そうでなければ処理をステップS08に進める。
【0053】
ステップS05においては、SDRAM19に記憶された処理済フレームを読み出し、処理をステップS06に進める。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームを信号処理しないので、消費電力を低減することができる。出力される処理済フレームは、信号処理プロセッサ45が入力フレームに類似する参照フレームを過去に信号処理して記憶した処理済フレームなので、画質の低下を類似する範囲に抑えることができる。
【0054】
以上説明したように第1の実施の形態におけるビデオカメラ1は、参照フレームと、信号処理プロセッサ45が参照フレームを信号処理した処理済フレームとをSDRAM51に記憶し、参照フレームより後に出力される入力フレームが信号処理プロセッサ45により信号処理される前に、入力フレームと参照フレームとを比較する。そして、入力フレームと参照フレームとが類似しない場合、入力フレームを信号処理プロセッサ45に信号処理させた処理済フレームを出力し、入力フレームと参照フレームとが類似する場合は、入力フレームを信号処理手段に信号処理させることなく、参照フレームを信号処理した処理済フレームを出力する。このため、信号処理プロセッサ45の駆動回数が減少する場合に、信号処理プロセッサ45の消費電力を低減することができる。特に、動きの少ない動画像を撮像する場合における消費電力を低下させることができる。
【0055】
また、入力フレームと参照フレームとが類似する場合は、信号処理プロセッサ45が参照フレームを信号処理した処理済フレームが出力される。このため、動画像の画質の低下を、入力フレームと参照フレームとの類似範囲内に抑えることができる。
【0056】
この局面によれば、参照フレームは、入力フレームの直前の入力フレームとなる。このため、連続する入力フレームが類似する場合は、信号処理手段が最後に信号処理した処理済フレームが出力される。このため、動画像の画質の低下を所定の範囲内に抑えることができる。
【0057】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態においては、比較部43は、入力フレームと参照フレームとが類似していないと判断する場合、SDRAM19に記憶されている参照フレームを、間引き部41から入力される入力フレームで書き換えるようにした。第2の実施の形態にけるビデオカメラ1は、比較部43が、入力フレームと参照フレームとが類似しているか否かに係わりなく、入力フレームと参照フレームとを比較した後に、SDRAM19に記憶されている参照フレームを、間引き部41から入力される入力フレームで書き換えるようにしたものである。第2の実施の形態におけるビデオカメラ1のその他の構成は、第1の実施の形態におけるビデオカメラ1と同じなので、ここでは、異なる点を主に説明する。
【0058】
より具体的には、第2の実施の形態における比較部43は、入力フレームF(t)を、直前のフレームF(t−1)と比較し、2つのフレームが類似しているか否かを判断する。この場合、連続する2つのフレームが類似していれば、信号処理プロセッサ45によって入力フレームF(t)は処理されず、それより前に信号処理プロセッサ45が処理した処理済フレームが、入力フレームF(t)に対応する処理済フレームとして出力される。
【0059】
図6は、第2の実施の形態における撮像処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6を参照して、図5に示した撮像処理と異なる点は、ステップS03とステップS04との間に、ステップS11が追加された点、ステップS04がステップS04Aに変更された点である。その他の処理は図4に示した処理と同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0060】
ステップS11においては、入力フレームを参照フレームとしてSDRAM19に記憶する。このため、入力フレームが参照フレームと類似しているか否かに関係なく、入力フレームが新たな参照フレームとしてSDRAM19に記憶される。このため、入力フレームの直前のフレームが参照フレームとしてSDRAM19に記憶される。
【0061】
ステップS04Aにおいては、ステップS03における比較の結果、入力フレームが参照フレームと類似するならば処理をステップS05に進めるが、類似しなければ処理をステップS09に進める。
【0062】
第2の実施の形態における撮像処理においても、入力フレームが参照フレームと類似する場合には、信号処理プロセッサ45が入力フレームを信号処理することなく、信号処理プロセッサ45が参照フレームを信号処理した処理済フレームを出力する。このため、信号処理プロセッサ45が入力フレームを信号処理しないので、消費電力を低減することができる。
【0063】
第2の実施の形態におけるビデオカメラ1が実行する撮像処理においては、処理済フレームが信号処理される前の入力フレームが参照フレームとならず、入力フレームの直前のフレームが参照フレームとなるので、入力フレームと参照フレームとの誤差が累積されるが、第1の実施の形態置けるビデオカメラと同様に、画質の低下を類似する範囲に抑えることができる。
【0064】
第2の実施の形態におけるビデオカメラ1は、第1の実施の形態におけるビデオカメラ1と異なり、参照フレームを、入力フレームの直前の入力フレームとする。このため、連続する2つの入力フレームが類似する場合は、信号処理プロセッサ45が最後に信号処理した処理済フレームを出力するので、第1の実施の形態におけるビデオカメラ1と比較して、動画像の画質は低下するが、信号処理プロセッサ45の消費電力をより低減させることができる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 ビデオカメラ、11 CPU、13 レンズ群、15 イメージセンサ、17 信号処理部、19 SDRAM、23 操作部、25 LCD、27 カードI/F、29 メモリカード、41 間引き部、43 比較部、45 信号処理プロセッサ、47 制御部、49 出力部、51 参照フレーム、53 処理済フレーム。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められたフレームレートでフレームを出力するイメージセンサと、
フレーム単位で予め定められた信号処理を実行する信号処理手段と、
前記信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームを記憶する処理済フレーム記憶手段と、
イメージセンサにより出力されるフレームを参照フレームとして記憶する参照フレーム記憶手段と、
前記イメージセンサにより前記参照フレームより後に出力される入力フレームが前記信号処理手段により信号処理される前に、前記入力フレームと前記参照フレームとを比較する比較手段と、
前記入力フレームと前記参照フレームとが類似しない場合、前記入力フレームを前記信号処理手段に信号処理させ、前記入力フレームと前記参照フレームとが類似する場合、前記入力フレームを前記信号処理手段に信号処理させない制御手段と、
前記イメージセンサがフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、前記処理済フレーム記憶手段に記憶された処理済フレームを読み出し、出力する出力手段と、を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記フレーム記憶手段は、前記比較手段により前記入力フレームと前記参照フレームとが類似しないと判断された場合に、前記入力フレームを前記参照フレームとして記憶する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記フレーム記憶手段は、前記比較手段による比較結果に係わらず前記入力フレームを前記参照フレームとして記憶する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記入力フレームと前記参照フレームとが類似しない場合、前記信号処理手段が前記入力フレームを信号処理した後に、前記処理済フレーム記憶手段から前記処理済フレームを読み出す、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
予め定められたフレームレートでフレームを出力するイメージセンサと、
フレーム単位で予め定められた信号処理を実行する信号処理手段と、を備えた撮像装置で実行させる撮像方法であって、
前記信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームを記憶するステップと、
前記イメージセンサにより出力されるフレームを参照フレームとして記憶するステップと、
前記イメージセンサにより前記参照フレームより後に出力される入力フレームが前記信号処理手段により信号処理される前に、前記入力フレームと前記参照フレームとを比較するステップと、
前記入力フレームと前記参照フレームとが類似しない場合、前記入力フレームを前記信号処理手段に信号処理させ、前記入力フレームと前記参照フレームとが類似する場合、前記入力フレームを前記信号処理手段に信号処理させないステップと、
前記イメージセンサがフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、前記記憶された処理済フレームを読み出し、出力するステップと、を含む撮像方法。
【請求項6】
予め定められたフレームレートでフレームを出力するイメージセンサと、
フレーム単位で予め定められた信号処理を実行する信号処理手段と、を備えた撮像装置を制御するプロセッサで実行される撮像プログラムであって、
前記信号処理手段がフレームを信号処理して出力する処理済フレームを記憶するステップと、
前記イメージセンサにより出力されるフレームを参照フレームとして記憶するステップと、
前記イメージセンサにより前記参照フレームより後に出力される入力フレームが前記信号処理手段により信号処理される前に、前記入力フレームと前記参照フレームとを比較するステップと、
前記入力フレームと前記参照フレームとが類似しない場合、前記入力フレームを前記信号処理手段に信号処理させ、前記入力フレームと前記参照フレームとが類似する場合、前記入力フレームを前記信号処理手段に信号処理させないステップと、
前記イメージセンサがフレームを出力するフレームレートと同じフレームレートで、前記記憶された処理済フレームを読み出し、出力するステップと、を前記プロセッサに実行させる撮像プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156966(P2012−156966A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16857(P2011−16857)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】