説明

撮像装置、発光装置及びカメラシステム

【課題】 電波による無線通信で撮像装置から発光装置へ発光開始信号を送信する場合であっても、発光開始指示から発光開始までの遅延時間を正確に測定できるようにする。
【解決手段】 マスター装置であるカメラ200のカメラマイコン203は、プリ発光動作時、プリ発光開始信号を出力してからスレーブ装置である閃光装置300がプリ発光するまでの経過時間を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行う撮像装置、発光装置及びカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置と発光装置とを電波を利用した無線通信により接続するカメラシステムが開発されている。このカメラシステムでは、撮像装置は発光装置に対して発光の開始コマンドを電波によって送信し、発光装置はそのコマンドを受信して発光を開始する。
【0003】
しかし上記システムでは、デジタル信号と電波との変調・復調期間や通信レートにより異なる送信側から受信側への電波受け渡し期間等を含む遅延時間が発生するため、撮像装置での撮影と無線接続された発光装置での発光のタイミングを合わせることが困難である。
【0004】
この電波を利用した無線通信による遅延時間を解決するため、例えば特許文献1には、ワイヤレスシステムのマスターが遅延量測定用パケットを送信した時からスレーブのACK信号を受信するまでの時間を測定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−53653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1のような方法では、マスターのパケット送信からマスターのACK信号受信までの時間を測定しており、マスターで信号を送信してから該信号をスレーブで受信までの遅延時間のみを正確に知ることができない。そのため、電波を利用した無線通信により撮像装置から送信された発光開始信号にしたがって発光装置を発光させる場合、撮像装置の露光と発光装置の発光を正確に同期させることができない。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、電波による無線通信で撮像装置から発光装置へ発光開始信号を送信する場合であっても、発光開始指示から発光開始までの遅延時間を正確に測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る撮像装置は、通信手段を介して発光装置と電波による無線通信を行う撮像装置であって、被写体を撮像する撮像手段と、前記発光装置に対する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの遅延時間を取得する取得手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明に係る発光装置は、発光装置に対する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの遅延時間を取得する取得手段と、を有する撮像装置と通信手段を介して電波による無線通信を行う発光装置であって、前記通信手段を介して受信した撮像装置からの前記発光開始信号に基づいて発光を行った後に、前記発光開始信号に基づいて発光を行ったことを示す発光確認信号を前記通信手段を介して前記撮像装置に送信することを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明に係るカメラシステムは、通信手段を介して撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行うカメラシステムであって、前記発光装置に対する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの遅延時間を取得する取得手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電波による無線通信で撮像装置から発光装置へ発光開始信号を送信する場合であっても、発光開始指示から発光開始までの遅延時間を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電波を利用した無線通信を行うカメラシステムを示す概要図である。
【図2】第1の実施形態におけるマスター装置であるカメラの構成の一部を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるスレーブ装置である閃光装置の構成の一部を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における発光撮影を行う際のカメラの撮影シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態におけるカメラの遅延時間測定動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態における閃光装置の発光シーケンスを示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態におけるカメラの撮影動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態における遅延時間測定時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】第1の実施形態における本撮影時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】第2の実施形態におけるカメラの遅延時間測定動作を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施形態における遅延時間測定時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図12】第3の実施形態におけるカメラの遅延時間測定動作を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施形態における閃光装置の発光シーケンスを示すフローチャートである。
【図14】第3の実施形態例における遅延時間測定時のカメラと閃光装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態における、撮像装置と発光装置とで電波を利用した無線通信を行うカメラシステムを示す概要図である。カメラシステム100では、撮像装置としてのカメラ200と発光装置としての閃光装置300とが、それぞれに内蔵あるいは接続されたアンテナ201、309を介して無線LANやBluetoothなどに代表される電波を利用した無線通信で接続されている。
【0014】
このカメラシステムにおいて、閃光装置300の発光を伴う発光撮影を行うとき、閃光装置300の本発光量を決めるため、撮影直前に閃光装置300によるプリ発光を行う。カメラは後述する測光部によってプリ発光時の被写体の明るさを検知後、撮影時に適切となる発光量を無線通信にて閃光装置へ情報送信する。なお、以下では、カメラシステム100において、カメラ200をマスター装置とし、閃光装置300をスレーブ装置とする。
【0015】
図2は、本実施形態におけるマスター装置であるカメラ200の構成の一部を表すブロック図であり、図2を用いてカメラ200の構成について説明する。
【0016】
図2において、201は無線通信用アンテナ、202は電波通信制御を行う電波通信部、203はカメラ200の各部動作の制御を行うマイクロコンピュータ(以下カメラマイコン)である。204は測光センサなどを含む、測光により被写体の輝度を測定する測光部、205は撮像素子などを含む、被写体を撮影するための撮像部である。206は操作部であり、カメラ200の電源のオン/オフを切り換えるための電源スイッチや、撮影準備動作の開始指示や撮影動作の開始指示を行うためのレリーズスイッチなどを含んでいる。
【0017】
次に、上記構成を有するカメラ200の発光撮影を行う際の撮影シーケンスについて、図4を用いて説明する。
【0018】
まず、操作部206の電源スイッチがONされると、カメラマイコン203は動作を開始し、電波通信部202、測光部204、撮像部205などの制御準備に入る。そして、操作部206のレリーズスイッチがONされて撮影動作の開始指示がなされると、発光撮影を行うための以下のサブルーチンを開始する(ステップS401)。
【0019】
ステップS402でカメラ200は、発光撮影時における閃光装置300の本発光量を決めるためのプリ発光動作を行うためのサブルーチンを開始する。次のステップS403でカメラ200は、ステップS402のプリ発光動作により求められた発光量で閃光装置300を本発光させて撮影する、撮影動作を行うためのサブルーチンを開始する。そして、ステップS404で撮影シーケンスを終了する。
【0020】
図3は、スレーブ装置である閃光装置300の構成の一部を表すブロック図であり、図3を用いて、閃光装置300の構成について説明する。
【0021】
図3において301は電源である電池、302は電池301の電圧を数百V昇圧する昇圧回路、303は昇圧回路302で昇圧された電気エネルギーを蓄える(充電する)主コンデンサである。304は放電管305に数KVの高電圧を印加し励起させるための既存のトリガ回路であり、放電管305は主コンデンサ303に蓄えられた電気エネルギーを光エネルギーに変換する。306は放電管305の発光制御を行う発光制御部であり、307は閃光装置300の各部動作を制御するマイクロコンピュータ(以下閃光装置マイコン)である。309は無線通信用アンテナであって、308は接続されたカメラや他の発光装置との電波通信の制御を行う電波通信部である。
【0022】
上記構成を有する閃光装置300において、不図示の電源スイッチがONされると、閃光装置マイコン307は動作を開始し、昇圧回路302の昇圧動作を開始させる。昇圧回路302で昇圧された電気エネルギーは主コンデンサ303に蓄えられ、放電管305が発光可能な充電電圧になるまで主コンデンサ303に電気エネルギーが蓄えられる。そして、電波通信部308によりカメラ200からの発光開始信号を受信すると、主コンデンサ303に蓄えられた電気エネルギーを使って放電管305を発光させる。
【0023】
次に、電波による無線通信を行う際に生じる遅延時間をプリ発光を利用して測定する動作について、図5のフローチャートと図8のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図8では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。
【0024】
カメラ200は、操作部206のレリーズスイッチがONされて撮影動作の開始指示がなされると、図4のステップS402においてプリ発光動作を行うためのサブルーチンを開始する(ステップS1001)。
【0025】
ステップS1002では、カメラマイコン203は測光部204の測光動作を開始させステップS1003へ進む。ステップS1003では、カメラマイコン203はプリ発光開始信号を電波通信部202へ出力してステップS1004へ進む。この信号出力のタイミングに対応するのが図8のT1301である。
【0026】
ステップS1004では、カメラマイコン203は内部に持つタイマーを動作させ、測光部204による発光検知信号を受けるまでの時間を測定する。なお、タイマーの計時動作はT1301で開始させるものとし、測光部204は所定時間内に所定値以上の輝度変化を検知するとカメラマイコン203へ発光検知信号を出力するものとする。
【0027】
ステップS1005では、電波通信部202は、カメラマイコン203から出力されたプリ発光開始信号を通信データに変調をかけ、アンテナ201から通信データの送信を開始させる。この送信開始のタイミングに対応するのが図8のT1302である。
【0028】
ステップS1006では、プリ発光開始信号を電波通信部202を介して送信した後、カメラマイコン203は測光部204からの発光検知信号が検出されたか否かを判定し、測光部204による発光検知信号が検出されるとステップS1007へ進む。ここでの測光部204による発光検知信号が検出されるタイミングは、図8のT1303に対応している。
【0029】
ステップS1007では、カメラマイコン203は、動作させていたタイマーの発光検知信号が検出されたときの値、すなわち、プリ発光開始信号を出力してから発光検知信号が検出されるまでの経過時間を遅延時間Tとして記憶してステップS1008へ進む。そして、プリ発光動作のサブルーチンを終了して撮影シーケンスの次のステップであるステップS403へ進む。
【0030】
以上のように、カメラマイコン203がプリ発光開始信号を出力してから閃光装置300のプリ発光を測光部204が検知するまでの時間を測定することで、発光開始指示から発光開始までの遅延時間を正確に測定することができる。これは、閃光装置300がプリ発光してから測光部204がその光を検知するまでにかかる時間にはほぼ遅延が無いため、プリ発光したタイミングとプリ発光を検知したタイミングが等しいと考えることができるからである。また、プリ発光と本発光は時間差が小さくプリ発光時の遅延時間と本発光時の遅延時間は等しいと考えることができるので、プリ発光時に遅延時間を測定することでより正確に本発光時の遅延時間を取得することができる。
【0031】
本実施形態では、遅延時間を取得する方法として、カメラマイコン203の内部のタイマーと測光部204の発光検知信号を用いて遅延時間を測定する方法を説明したが、その他の方法として、例えば下記の方法を用いてもよい。
【0032】
ステップS1005でプリ発光開始信号を電波通信部202を介して送信した後、撮像部205の撮像素子を用いて予め決められた速度で連続撮影(連写)を行い、撮影された複数の画像の中から閃光装置300がプリ発光したと判断される画像を選択する。そして、選択された画像が何枚目に撮られたものであるかを読み込んで、ステップS1003でカメラマイコン203がプリ発光開始信号を出力してから、閃光装置300がプリ発光を行うまでの時間を演算する。なお、測光部204の測光センサが信号の高速読み出しが可能であれば撮像部205の撮像素子の代わりに用いても構わない。また、高速読み出しを行う際にはプリ発光が行われたか否かが判別できればよいため、高速読み出しを行う際には通常の読み出しよりも信号を間引いて読み出すことで読み出し速度を向上させてもよい。
【0033】
次に、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308とを介して発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理を図6のフローチャートと図8のタイミングチャートを用いて説明する。
【0034】
閃光装置300の電波通信部308は、カメラ200からのプリ発光あるいは本発光の発光開始信号を変調した通信データをアンテナ309より受信すると、受信した通信データを復調して閃光装置マイコン307へ発光開始信号を送る。このカメラ200から通信データを受信するタイミングは、図8のT1304のタイミングに対応している。
【0035】
電波通信部308からの発光開始信号を受けると、受け取った発光開始信号にしたがって閃光装置マイコン307はプリ発光あるいは本発光処理のサブルーチンを開始する(ステップS1101)。
【0036】
ステップS1102では、閃光装置マイコン307は発光制御部306にH信号を出力し、これにより発光制御部306は導通状態となって主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを形成する。
【0037】
ステップS1103では、閃光装置マイコン307はトリガ回路304に所定時間H信号を出力し、これによりトリガ回路304は放電管305に高電圧を印加することにより、放電管305は発光を開始する。この発光開始のタイミングは、図8のT1305に対応している。
【0038】
ステップS1104では、閃光装置マイコン307は発光制御部306にL信号を出力し、これにより発光制御部306は遮断状態となって主コンデンサ303の陽極−放電管305−発光制御部306−主コンデンサ303の陰極の放電ループを遮断する。これにより放電管305は発光を停止し、続くステップS1105で発光動作を終了する。
【0039】
次に、プリ発光時に測定した遅延時間を使用した撮影動作を、図7のフローチャートと図9のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図9では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。
【0040】
プリ発光動作のサブルーチンが終了すると、本発光による撮影動作のサブルーチンを開始する(ステップS1201)。
【0041】
ステップS1202では、カメラマイコン203は本発光開始信号を電波通信部202へ出力してS1203へ進む。この信号出力のタイミングに対応するのが図9のT1401である。
【0042】
ステップS1203では、電波通信部202は、カメラマイコン203から出力された本発光開始信号を通信データに変調をかけ、アンテナ201から通信データの送信を開始させる。この送信開始のタイミングに対応するのが図9のT1402である。
【0043】
ステップS1204では、プリ発光時に測定して記憶しておいた遅延時間に応じた待機処理を行う。ここで行う待機処理は、以下で行う本露光を閃光装置300の本発光に同期させるためのものであり、カメラ200の本露光中に本発光が行われるように、プリ発光時に測定した遅延時間に基づいて待機時間を設定する。なお、本実施形態では、測定した遅延時間と等しい時間を待機時間として設定する場合を説明するが、測定した遅延時間だけでなく発光タイミングの設定も考慮して待機時間を設定してもよい。例えば、露光開始直後に本発光を行う、いわゆる先幕シンクロ撮影を行う場合に、プリ発光時に測定した遅延時間と同等の遅延時間が本発光時に生じるとして、プリ発光時に測定した遅延時間と等しい時間を本露光を開始するまでの待機時間として設定してもよい。また、露光終了直前に本発光を行う、いわゆる後幕シンクロ撮影を行う場合に、プリ発光時に測定した遅延時間と同等の遅延時間が本発光時に生じるとして、プリ発光時に測定した遅延時間と設定された露光時間とに基づいて待機時間を設定してもよい。なお、ここでの露光開始とは、不図示のシャッタの走行などにより撮像素子の撮像領域全体が露光を開始する時点のことであり、露光終了とは、不図示のシャッタの走行などにより撮像素子の撮像領域の少なくとも一部が露光を終了する時点のことである。
【0044】
待機処理が終了するとステップS1205へ進み、カメラマイコン203は撮像部205を制御して本露光(撮影)を行う。このタイミングに対応するのが図9のT1403である。その後、ステップS1205で撮影動作のサブルーチンを終了し、撮影シーケンスのルーチンに戻る。
【0045】
一方、閃光装置300は、カメラ200からの本発光開始信号を変調した通信データをアンテナ309より受信すると、電波通信部308が受信した通信データを復調して閃光装置マイコン307へ本発光開始信号を送る。このカメラ200から通信データを受信するタイミングは、図9のT1404のタイミングに対応している。
【0046】
電波通信部308からの本発光開始信号を受けると、受け取った本発光開始信号にしたがって閃光装置マイコン307は放電管305の本発光を開始させる。この発光開始のタイミングは、図9のT1405に対応している。
【0047】
以上のように、プリ発光時に発光指示から発光開始までの遅延時間を正確に求め、その遅延時間に応じて本露光を待機させることで、撮影者の意図したようにカメラの本露光と閃光装置の本発光とを同期させることができる。
【0048】
〔第2の実施形態〕
本発明における第2の実施形態でのカメラと閃光装置の構成は第1の実施形態の図2、図3と同様であるため、説明を省略する。第2の実施形態は、第1の実施形態と遅延時間の測定動作が異なっており、発光開始信号が出力された時点を基準とした所定期間内に、測光部204から発光検知信号が出力された場合にプリ発光を検知したと判断する構成としている。このような構成により、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してプリ発光と判断してしまう誤検知を低減することができるとともに、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であることを検知することができる。
【0049】
第2の実施形態における遅延時間測定動作について図10のフローチャートと図11のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図11では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。また、図10のステップS2001〜ステップS2005は、第1の実施形態で説明した図5のステップS1001〜ステップS1005とそれぞれ同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0050】
ステップS2006では、カメラマイコン203はプリ発光開始信号を出力してから予め定められた所定時間T2が経過したか否かを判定する。所定時間T2が経過していない場合はステップS2007へ進み、所定時間T2が経過した場合はステップS2010へ進む。
【0051】
ステップS2010では、測光部204が閃光装置300のプリ発光を検知できなかったことを表すエラー処理を行い、プリ発光動作のサブルーチンを終了する。このように、所定時間T2が経過しても測光部204から発光検知信号が出力されない場合には、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であると判断することができる。なお、ステップS2010のエラー処理として、エラーフラグを立ててもよいし、カメラマイコン203とは別の不図示の制御ICへエラー通知を出してもよいし、再度ステップS2002あるいはS2003へ戻るシーケンスとしてもよい。また、不図示の報知手段により、エラーが発生したことをユーザに報知してもよい。
【0052】
ステップS2007では、プリ発光開始信号を電波通信部202を介して送信した後、カメラマイコン203は測光部204からの発光検知信号が検出されたか否かを判定し、測光部204による発光検知信号が検出されるとステップS2008へ進む。発光検知信号が検出されない場合は、ステップS2006へ戻る。
【0053】
ステップS2008では、カメラマイコン203はプリ発光開始信号を出力してから発光検知信号が検出されるまでに予め定められた所定時間T1が経過しているか否かを判定する。所定時間T1が経過している場合はステップS2009へ進み、所定時間T1が経過していない場合は測光部204が誤検知したと判断してステップS2006へ戻る。
【0054】
このように、予め想定したプリ発光開始時間よりも早くに測光部204が発光検知した場合には、別の光源による光を検知した誤検知と判断して再度プリ発光が行われるのを待つことで、正確に遅延時間を測定することができる。なお、所定時間T1(第1の所定時間)と所定時間T2(第2の所定時間)の関係は、図11に示すようにT1<T2である。
【0055】
ステップS2009では、カメラマイコン203は、動作させていたタイマーの発光検知信号が検出されたときの値、すなわち、プリ発光開始信号を出力してから発光検知信号が検出されるまでの経過時間を遅延時間Tとして記憶してステップS2011へ進む。そして、プリ発光動作のサブルーチンを終了する。
【0056】
本実施形態における、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308により発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理については、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0057】
以上のように、測光部204から発光検知信号が所定期間内に出力された場合にプリ発光を検知したと判断することで、目的の閃光装置とは別の光源による光を検知してプリ発光と判断してしまう誤検知を低減することができる。そのため、より正確に遅延時間を測定することができ、撮像装置の本露光と発光装置の本発光を正確に同期させることができる。
【0058】
また、プリ発光開始信号が出力された時点を基準とした所定期間内にプリ発光を検知できない場合には、通信エラーの発生などにより発光開始信号を送信しても閃光装置が発光できない状態であることを検知することができる。
【0059】
なお、遅延時間を取得する方法については、第1の実施形態と同様にその他の方法を用いてもよく、例えば、高速で連続撮影を行いプリ発光したと判断できる画像が何枚目に撮影されたかによって遅延時間を測定してもよい。この場合、所定時間T1よりも前に撮影された画像はプリ発光した画像と判断しないようにすればよい。あるいは、所定時間T1が経過したのに合わせて連続撮影を始めるようにすればよい。
【0060】
また、所定時間T1及び所定時間T2はプリ発光が開始される可能性が高い期間を予め想定して設定されるので、通信方式や通信レートなどに応じて所定時間T1及び所定時間T2を変更するようにしてもよい。
【0061】
〔第3の実施形態〕
本発明における第3の実施形態でのカメラと閃光装置の構成は第1の実施形態の図2、図3と同様であるため、説明は省略する。第3の実施形態は、第1、第2の実施形態と遅延時間測定動作が異なっており、閃光装置がプリ発光を行うとプリ発光を行ったことを示すプリ発光確認信号をカメラへ送信する構成としている。さらに、カメラマイコン203が測光部204からの発光検知信号と閃光装置からのプリ発光確認信号の両方を受け取ることでプリ発光が行われたと判断する構成としている。このような構成により、測光部204が検知した発光の中から目的の閃光装置のプリ発光を正確に特定することができ、別の光源による誤検知をより低減することができる。また、プリ発光確認信号を閃光装置からカメラへ送信することで、カメラと閃光装置との間で正常に通信が行われていることを確認することができる。
【0062】
第3の実施形態における遅延時間測定動作を図12のフローチャートと図14のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図14では、上の横軸がカメラの時間軸、下の横軸が閃光装置の時間軸を示している。また、図12のステップS3001〜ステップS3008は、第2の実施形態で説明した図10のステップS2001〜ステップS2008とそれぞれ同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0063】
ステップS3008で所定時間T1が経過していると判定された場合、ステップS3009では、カメラマイコン203は、動作させていたタイマーの発光検知信号が検出されたときの値を仮の遅延時間T3として記憶してステップS3010へ進む。
【0064】
ステップS3010では、カメラマイコン203は、閃光装置300がプリ発光を行ったことを示すプリ発光確認信号を、閃光装置300から受信したか否かを判定する。プリ発光確認信号を受信していればステップS3011へ進み、受信していなければステップS3012へ進む。
【0065】
ステップS3011では、ステップS3009で記憶した仮の遅延時間T3を遅延時間Tとして確定してステップS3015へ進み、プリ発光動作のサブルーチンを終了する。
【0066】
ステップS3010で受信していないと判定された場合、ステップS3012では、カメラマイコン203はプリ発光開始信号を出力してから予め定められた所定時間T2が経過したか否かを判定する。所定時間T2が経過していないと判定された場合は、ステップS3010へ戻り、所定時間T2が経過したと判定された場合は、ステップS3013へ進みエラー処理を行う。
【0067】
次に、閃光装置300のアンテナ309と電波通信部308によりプリ発光開始信号を受信した時の閃光装置マイコン307の処理を図13のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS3101〜ステップS3104は、第1の実施形態で説明した図6のステップS1101〜ステップS1104とそれぞれ同様の処理を行うので、以下では詳細な説明は省略する。
【0068】
ステップS3104で、発光制御部306を遮断状態にしたあと、ステップS3105では、プリ発光したことをカメラ200へ通知するためのプリ発光確認信号を電波通信部308を介してアンテナ309より送信する。このプリ発光確認信号の送信タイミングは、図14のT3208に対応している。プリ発光確認信号を送信するとS3106へ進み、プリ発光処理のサブルーチンを終了する。
【0069】
以上のように、閃光装置300がプリ発光を行った後にプリ発光確認信号をカメラ200へ送信することで、測光部204が複数の発光を検知しても目的とするプリ発光を正確に特定することができる。具体的には、プリ発光開始信号が出力された時点を基準とした所定期間内(経過時間が所定時間T1以上で所定時間T2未満の間)に発光検知と発光確認信号の受信が行われた場合に目的とする発光装置からのプリ発光を検知したと判断することができる。つまり、そのため、より正確に遅延時間を測定することができ、撮像装置の本露光と発光装置の本発光を正確に同期させることができる。また、プリ発光確認信号を閃光装置からカメラへ送信することで、カメラと閃光装置との間で正常に通信が行われていることを確認することができる。
【0070】
なお、遅延時間を取得する方法については、第1、第2の実施形態と同様にその他の方法を用いてもよい。また、測光部204の発光検知の検知期間に制限を設けない構成とし、発光検知してから所定時間内に発光確認信号を受信した場合に目的とする発光装置からのプリ発光を検知したと判断するような構成にしてもよい。
【0071】
なお、上記の3つの実施形態では、プリ発光開始信号が出力されてからプリ発光を検知するまでの時間を測定することで電波による無線通信を行う際の遅延時間を取得するが、プリ発光以外で遅延時間を取得する構成であってもよい。例えば、発光撮影時の閃光装置の照射方向などを予め確認するためのモデリング発光を行う際に遅延時間を取得するようにしてもよい。
【0072】
また、上記の3つの実施形態では、撮像装置が電波通信部およびアンテナを備えた構成を説明したが、発光装置との間で電波による無線通信が可能な通信装置を装着した撮像装置にも適用できる。同様に、発光装置が電波通信部およびアンテナを備えていない構成であって、撮像装置との間で電波による無線通信が可能な通信装置を発光装置が装着した場合にも適用できる。
【0073】
また、発光開始信号を出力してから閃光装置へ発光開始信号を変調した通信データを送信するまでの時間を撮像装置で把握できる構成であれば、発光開始信号を出力してからではなく、通信データを送信してからの時間を測定して遅延時間を求めるようにしてもよい。
【0074】
また、上記の3つの実施形態では、放電管を発光手段とする閃光装置を発光装置として用いた場合を説明したが、LEDなどのその他の発光手段を用いる発光装置であっても適用できる。
【0075】
また、遅延時間の測定に関する処理を、撮像装置ではなく撮像装置に装着された発光装置あるいは通信装置で行う構成であっても構わない。例えば、撮像装置に装着された発光装置のマイコンが、撮像装置からスレーブ装置に対する発光開始信号を受けると内部のタイマーを動作させ、発光装置の受光部によりスレーブ装置の発光を検知したらそのときのタイマーの値を撮像装置に伝えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
100 カメラシステム
200 カメラ
201 アンテナ(カメラ側)
202 電波通信部(カメラ側)
203 カメラマイコン
204 測光部
205 撮像部
300 閃光装置
307 閃光装置マイコン
308 電波通信部(閃光装置側)
309 アンテナ(閃光装置側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を介して発光装置と電波による無線通信を行う撮像装置であって、
被写体を撮像する撮像手段と、
前記発光装置に対する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、
前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、
前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの遅延時間を取得する取得手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記発光検知手段は、被写体の輝度を測定する測光手段であって、被写体の輝度変化に基づいて前記発光装置の発光を検知し、
前記取得手段は、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの経過時間を測定することで前記遅延時間を取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記発光検知手段は、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力した後に前記撮像手段により連続して撮影される複数の画像に基づいて前記発光装置の発光を検知し、
前記取得手段は、前記発光検知手段により前記発光装置の発光を検知した画像が連続撮影の何枚目に撮影されたかに基づいて前記遅延時間を取得することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記発光検知手段により検知した発光が前記発光装置による発光か否かを判断する判断手段を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記信号出力手段により前記発光開始信号が出力された時点を基準とした所定期間内に前記発光検知手段により検知された発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記発光検知手段により発光が検知されてから所定時間内に、前記発光装置から送信される前記発光装置が発光を行ったことを示す発光確認信号が前記通信手段を介して受信された場合に、当該発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力した時点を基準とした所定期間内に、前記発光検知手段により発光検知が行われて、かつ、前記発光装置から送信される前記発光装置が発光を行ったことを示す発光確認信号を前記通信手段を介して受信した場合に、当該発光を前記発光装置による発光と判断することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記取得手段は、前記信号出力手段によりプリ発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により前記発光装置のプリ発光を検知するまでの遅延時間を取得し、
前記取得手段により取得されたプリ発光時の遅延時間に基づいて、前記信号出力手段により本発光開始信号を出力してから本露光を開始させるまでの待機時間を設定する設定手段を有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記取得手段は、前記信号出力手段によりプリ発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により前記発光装置のプリ発光を検知するまでの遅延時間を取得し、
前記撮像手段は、前記信号出力手段により本発光開始信号を出力してから前記取得手段により取得されたプリ発光時の遅延時間と等しい時間が経過してから本露光を開始させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
発光装置に対する発光開始信号を出力する信号出力手段と、前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの遅延時間を取得する取得手段と、を有する撮像装置と通信手段を介して電波による無線通信を行う発光装置であって、
前記通信手段を介して受信した撮像装置からの前記発光開始信号に基づいて発光を行った後に、前記発光開始信号に基づいて発光を行ったことを示す発光確認信号を前記通信手段を介して前記撮像装置へ送信することを特徴とする発光装置。
【請求項11】
通信手段を介して撮像装置と発光装置とが電波による無線通信を行うカメラシステムであって、
前記発光装置に対する発光開始信号を前記通信手段へ出力する信号出力手段と、
前記発光装置による発光を検知する発光検知手段と、
前記信号出力手段により前記発光開始信号を出力してから前記発光検知手段により発光を検知するまでの遅延時間を取得する取得手段と、を有することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−160206(P2011−160206A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20364(P2010−20364)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】