説明

撮像装置と撮像方法およびプログラム

【課題】撮像画像の彩度を最適化できるようにする。
【解決手段】撮像部12は、撮像画像の画像信号を生成する。画像解析部14は、撮像部12により得られた画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する。露出制御部15は、画像解析部14で取得された明るさ情報に基づいて露出制御を行う。例えば主要被写体部分の画像信号に基づき色相領域毎に明るさ情報を取得して、この色相領域毎の明るさ情報に基づき、色相領域のそれぞれについて彩度が最大となる明るさとする補正量を算出する。さらに、算出した補正量と各色相領域に含まれる画像の割合に応じて露出制御値を算出して、露出制御値に基づき撮像光学系11や撮像部12を制御することで、主要被写体の彩度が高くなるように露出調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、撮像画像の彩度を最適化できる撮像装置と撮像方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置では、撮像画像の画像信号に対して所定の色再現特性を有するように画像処理が行われている。また、画像処理では、標準的な撮像条件での撮影画像について所定の色再現特性の画像を得られるように処理が行われている。このため、撮像画像が標準的な撮像条件と異なる撮像条件である場合、所望の色再現特性を有する画像を得ることができない。例えば、彩度の高い被写体を明るい太陽光の下で撮影して得られた撮像画像に対して画像処理を行った場合、彩度の高い色の部分で画像信号が飽和状態となって階調を適切に表現できなくなってしまうおそれがある。このため、特許文献1では、撮像後の画像信号を画像解析手段で解析して、解析結果に基づき画像信号を補正することで、どのような撮影シーンまたは撮影条件であっても、常に良好な撮影画像を取得することができるようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−23347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像後の画像信号の解析結果に基づいて画像信号の補正を行う場合、撮像後の画像信号が飽和状態であると解析結果に基づいて画像信号の補正を行っても、良好な撮像画像を得ることができない。例えば高彩度な被写体を撮像したときの画像信号が飽和状態となっていると、解析や補正を行う前に彩度の情報が失われていることから、解析結果に基づいて画像信号の補正を行っても適切な彩度の撮像画像を取得できない。
【0005】
また、特許文献1では、色差信号を用いて解析を行っているが、撮像時に画像信号が飽和していると、解析に用いる色差信号は被写体の色差を正しく表現できていないおそれがある。
【0006】
そこで、本技術では、撮像画像の彩度を最適化できる撮像装置と撮像方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術の第1の側面は、撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する画像解析部と、前記画像解析部で取得された明るさ情報に基づいて露出制御を行う露出制御部とを備える撮像装置にある。
【0008】
この技術においては、撮像画像の画像信号例えば主要被写体の画像信号から色相領域毎に明るさ情報が取得される。この取得された明るさ情報に基づき例えば主要被写体の彩度が高くなうように露出制御が行われる。色相領域は、彩度が最大となる明るさに基づいて区分してもよく、主要被写体特定部によって特定された主要被写体の色に応じて区分してもよい。また、画像解析部は、主要被写体特定部によって特定された主要被写体の色を含む色相領域についてのみ明るさ情報を生成してもよい。露出制御部は、色相領域毎の明るさ情報に基づき、色相領域のそれぞれについて彩度が最大となる明るさとする補正量を算出し、算出した補正量と各色相領域に含まれる画像の割合に応じて露出制御を行う。また、色空間の設定情報が取得されている場合は、設定情報で示されている色空間に応じた露出制御が行われる。
【0009】
この技術の第2の側面は、撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する工程と、前記取得された明るさ情報に基づいて露出制御を行う工程とを含む撮像方法にある。
【0010】
この技術の第3の側面は、撮像装置の露出制御をコンピュータで実行させるプログラムであって、撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する手順と、前記取得された明るさ情報に基づいて露出制御値を算出する手順とを前記コンピュータで実行させるプログラムにある。
【0011】
なお、本技術のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体、例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体、あるいは、ネットワークなどの通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ上でプログラムに応じた処理が実現される。
【発明の効果】
【0012】
この技術によれば、撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報が取得されて、この取得された明るさ情報に基づいて露出制御が行われる。このため、例えば所望の被写体の彩度が高くなるなるように露出制御を行い、撮像画像の彩度を最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】撮像装置の概略構成を例示した図である。
【図2】色相領域を複数の領域に区分した図である。
【図3】彩度が最大となる明るさ(sRGBの色空間の場合)を示す図である。
【図4】彩度が最大となる明るさ(AdobeRGBの色空間の場合)を示す図である。
【図5】撮像装置における露出制御動作を示すフローチャートである。
【図6】撮像画像を例示した図である。
【図7】色相領域への画素分類結果を例示した図である。
【図8】sRGBの色空間が選択された場合の明るさのターゲットを例示した図である。
【図9】色相領域の区分を主要被写体に応じて行うようにした場合を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.撮像装置の構成
2.撮像装置の動作
3.撮像装置の他の動作
【0015】
<1.撮像装置の構成>
図1は、本実施形態に係る撮像装置の概略構成を例示している。撮像装置10は、撮像光学系11、撮像部12、信号処理部13、画像解析部14、露出制御部15、画像処理部16、出力部17、表示部18、操作部19、制御部20を備えている。
【0016】
撮像光学系11は、ズームレンズやフォーカスレンズ、光量調節を行う絞り機構等の光学部品を備えている。
【0017】
撮像部12は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子を用いて構成されている。撮像素子は、撮像光学系11によって撮像面上に形成された被写体像を電気信号に変換して信号処理部13に出力する。
【0018】
信号処理部13は、撮像部12から供給された撮像信号に対して、ノイズ除去処理、ゲイン調整、A/D変換処理などの前処理を行う。さらに、信号処理部13は、前処理を行うことにより得られた画像信号に対してガンマ補正処理やホワイトバランス調整等のカメラ信号処理を行う。信号処理部13は、処理後の画像信号を画像解析部14と画像処理部16に出力する。
【0019】
画像解析部14は、信号処理部13から出力された画像信号を用いて色相と明るさの解析を行い、色相領域毎に明るさ情報を取得して露出制御部15に出力する。また、画像解析部14は、後述する制御部20からの制御信号に基づき、主要被写体の画像領域について色相や明るさの解析を行う。例えば、画像解析部14は、主要被写体特定部14aを有しており、被写体特定部はユーザによって設定された彩度を最良する領域や顔検出等によって検出された領域を主要被写体の画像領域とする。なお、主要被写体特定部14aは、後述する制御部20に設けるようにしてもよく、画像解析部14や制御部20から独立して設けるようにしてもよい。
【0020】
露出制御部15は、画像解析部14から供給された解析結果に基づき露出補正量を決定して、決定した露出補正量に基づき撮像光学系11や撮像部12を制御して、彩度の高い撮影画像を取得できるように露出制御を行う。
【0021】
画像処理部16は、撮像画像の符号化復号処理を行う。また、画像処理部16は、撮像画像を表示部18の表示サイズに対応した画像とするリサイズ処理を行い、リサイズ後の画像信号を表示部18に出力する。
【0022】
出力部17は、画像処理部16から出力された信号を所定のフォーマットとして外部機器に出力する処理を行う。また、出力部17は、画像処理部16から出力された信号を所定のフォーマットで記録媒体に記録する処理を行う。
【0023】
表示部18は、画像処理部16から出力された信号に基づき撮像画像を表示する。また、表示部18は、撮像装置10の動作等を設定するための表示や撮像装置10の動作状態等を示す表示等を行う。
【0024】
操作部19は、操作ボタンや表示部18の画面上に設けられたタッチパネル等で構成されている。操作部19は、ユーザ操作に応じた操作信号を生成して制御部20に供給する。
【0025】
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。ROMやフラッシュメモリには、CPUが実行するプログラムや各種データが記憶されている。また、RAMはワーキングメモリ等として用いられる。CPUは、メモリに記憶されているプログラムを実行して、メモリに記憶されている各種データや操作部19から供給された操作信号に基づき、撮像装置10の動作がユーザ操作に応じた動作となるように各部を制御する。なお、制御部20で実行されるプログラムは、光ディスクや半導体メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に格納されて、撮像装置に提供されてもよいし、LAN、インターネット等のネットワークを介して撮像装置にダウンロードされてもよい。
【0026】
<2.撮像装置の動作>
撮像画像では、彩度が最大となる明るさが色相に応じて異なることが知られている。このため、撮像装置では、色相領域毎に彩度が最大となる明るさを露出制御目標値として予め設定しておき、所望の被写体の彩度が高くなるように撮像時における明るさを制御する。
【0027】
また、色相領域毎に彩度が最大となる明るさは色空間によって異なる。図2は、彩度が最大となる明るさに基づいて色相領域を区分した場合を示している。なお、図2では、図2の(A)に示す色相領域を、彩度が最大となる明るさの近似した色をまとめて図2の(B)に示す5つの領域に区分した場合を示している。
【0028】
このように区分された各色相領域の彩度が最大となる明るさは、図3,4に示すように色空間によって異なる。図3は、IEC(International Electrotechnical Commission )で定められた色空間であるsRGBにおいて、色相領域毎に彩度が最大となる明るさをしている。例えば色相領域1では、明るさがLT1sである場合に色相領域1の彩度が最大となる。色相領域2では、明るさがLT2sである場合に色相領域2の彩度が最大となる。同様に色相領域3,4,5では、明るさがLT3s,LT4s,LT5sである場合に彩度が最大となる。図4は、アドビシステム社で定められた色空間であるAdobeRGBにおいて、色相領域毎に彩度が最大となる明るさを示している。例えば色相領域1では、明るさがLT1aである場合に色相領域1の彩度が最大となる。色相領域2では、明るさがLT2aである場合に色相領域2の彩度が最大となる。同様に色相領域3,4,5では、明るさがLT3a,LT4a,LT5aである場合に彩度が最大となる。さらに、sRGB色空間におけるLT2sはAdobeRGB色空間におけるLT2aよりも明るく、同様にLT3sはLT3a、LT4sはLT4aよりも明るくなっている。
【0029】
このように、色相領域毎に彩度が最大となる明るさは色空間によって異なることから、撮像装置10では、色空間毎に彩度が最大となる明るさであるターゲットを予め設定しておく。
【0030】
図5は、撮像装置における露出制御動作を示すフローチャートである。ステップST1で撮像装置10は設定情報を取得する。撮像装置10の制御部20は操作部19からの操作信号に基づきユーザ操作を受け付けることで設定情報を取得する。例えば、制御部20は、何れの色空間を使用するか等の設定情報を取得してステップST2に進む。
【0031】
ステップST2で撮像装置10は撮像を行う。撮像装置10の制御部20は、各部を制御して撮像動作を開始してステップST3に進む。
【0032】
ステップST3で撮像装置10は主要被写体を特定する。撮像装置10の主要被写体特定部14aは、画像解析を行う主要被写体を特定する。主要被写体特定部14aは、撮像画像における主要被写体の検出を行い、検出した主要被写体を画像解析の対象の被写体に特定してステップST4に進む。例えば主要被写体の特定では顔検出を行い、検出された顔を画像解析の対象の被写体とする。また、被写体の特定では、ユーザによって指示された被写体を主要被写体としてもよい。さらに、ユーザによって指示された領域の画像やユーザによって指示された色の画像を主要被写体の画像としてもよい。
【0033】
ステップST4で撮像装置10は、色相情報と明るさ情報を生成する。撮像装置10の画像解析部14は、ステップST3で特定した被写体の領域の色相情報と明るさ情報を生成する。画像解析部14は、特定した被写体の領域の画素を予め設定されている色相領域毎に分類して各色相領域の画素頻度を算出する。例えば画像解析部14は、彩度が所定の閾値THc以上の画素について、色相が何れの色相領域に含まれるか判別して、判別結果に基づき画素の振り分けを行うことで各色相領域に含まれる画素数を算出する。なお、閾値THcは、彩度が低く色相の判別が困難な画素を除外できるように設定する。
【0034】
また、画像解析部14は、色相領域毎に、領域に含まれる画素の明るさの統計値を算出して明るさ情報とする。例えば画像解析部14は、領域に含まれる画素の明るさの平均値を算出して明るさ情報とする。なお、統計値としては、中央値や最頻値等を明るさ情報として用いてもよい。
【0035】
このように、画像解析部14は、特定した被写体の領域の色相情報と明るさ情報を生成してステップST5に進む。
【0036】
ステップST5で撮像装置10は、明るさのターゲットを設定する。撮像装置10の露出制御部15は、ユーザによって選択された色空間において、色相領域毎に彩度が最大となる明るさをターゲットに設定してステップST6に進む。なお、上述の図3,4に示す各色相領域の明るさのターゲットを予め設定しておけば、露出制御部15は、ユーザによって選択された色空間に対応する明るさのターゲットを選択するだけでよいことから、処理が容易となる。
【0037】
ステップST6で撮像装置10は、露出制御値を決定する。撮像装置10の露出制御部15は、ステップST4で生成された明るさ情報およびステップST5で決定された明るさのターゲットから、色相領域毎に補正量を決定する。さらに、露出制御部15は、色相領域毎に決定した補正量に対して、ステップST4で生成された色相情報に基づいた重み付けを行い、重み付け後の補正量から露出制御値を決定してステップST7に進む。
【0038】
ステップST7で撮像装置10は、露出調整を行う。撮像装置10の露出制御部15は、ステップST6で決定した露出制御値に基づき、例えば撮像光学系11の絞りや撮像部12において撮像素子から読み出す電荷の蓄積時間等を調整する。また、露出制御値に応じてISO感度を切り替えてもよい。
【0039】
以下、撮像装置の具体的な動作を例示する。図6は、撮像画像を例示している。撮像装置10の主要被写体特定部14aは、図6の撮像画像から主要被写体を特定する。以下、主要被写体特定部14aによって、花の画像領域が主要被写体の領域として特定された場合について説明する。
【0040】
画像解析部14は、花の画像領域の各画素について、彩度と閾値THcを比較する。また、画像解析部14は、閾値THcより彩度の高い画素について、何れの色相領域に含まれるか判別して画素の振り分けを行う。
【0041】
図7は、色相領域への画素分類結果を例示している。図7に示すように、花冠の色が含まれる色相領域1や、葉と茎の色が含まれる色相領域3の画素数は大きく、雄ずいや雌ずいの部分の色が含まれる色相領域2の画素数は小さくなる。また、主要被写体に含まれていない色の色相領域4,5は画素数が「0」となる。なお、色相領域1の画素数を「W1」、色相領域2の画素数を「W2」、色相領域3の画素数を「W3」とする。
【0042】
画像解析部14は、色相領域毎に、領域に含まれる画素の明るさの統計値を算出して明るさ情報とする。画像解析部14は、色相領域1に含まれる画素の明るさの例えば平均値「Y1」を統計値とする。また、画像解析部14は、色相領域2に含まれる画素の明るさの平均値「Y2」、色相領域3に含まれる画素の明るさの平均値「Y3」をそれぞれ統計値として用いる。
【0043】
露出制御部15は、ユーザによって選択された色空間において、彩度が最大となる明るさを明るさのターゲットに設定する。図8は、例えばsRGB色空間が選択された場合の明るさのターゲットを示している。なお、上述のように、主要被写体に含まれている色は色相領域1,2,3の何れかであり、色相領域4,5の色は主要被写体に含まれていないことから、図8では、色相領域1,2,3についてターゲットを示している。
【0044】
露出制御部15は、図8の(A)に示す色相領域1において、明るさの平均値「Y1」がターゲット「LT1s」の明るさとなるように、色相領域1における補正量Ev1を算出する。例えば、明るさのターゲットに対する差分と補正量との関係を示すテーブルを予め生成しておき、明るさの平均値「Y1」とターゲット「LT1s」との差分から補正量Ev1をテーブルから取得できるようにする。
【0045】
同様に、露出制御部15は、図8の(B)に示す色相領域2において、明るさの平均値「Y2」をターゲット「LT2s」の明るさとするための補正量Ev2を算出する。また、露出制御部15は、図8の(C)に示す色相領域3において、明るさの平均値「Y3」をターゲット「LT3s」の明るさとするための補正量Ev3を算出する。
【0046】
さらに、露出制御部15は、色相領域1について算出した補正量Ev1と色相領域2について算出した補正量Ev2と色相領域3について算出した補正量Ev3について、色相領域に含まれる画像の割合すなわち画素数の割合に応じた重み付けを行い、露出制御値Evtを決定する。式(1)は、露出制御値を算出する式を示している
Evt=((Ev1×W1)+(Ev2×W2)+(Ev3×W3))
/(W1+W2+W3) ・・・(1)
【0047】
このようにして決定した露出制御値を用いて露出調整を行えば、彩度の高い色の部分で画像信号が飽和状態となってしまうことを防止することが可能となり、撮像画像の彩度を最適化できる。したがって、例えば主要被写体の彩度を強調してポップで生き生きとした撮像画像を容易に生成できるようになる。
【0048】
また、彩度の最大となる明るさが近似した色相をまとめることで色相領域の区分が行われていることから、所望の色相領域における彩度が最大となる明るさをターゲットとして露出制御を行うことで、所望の色相領域に含まれる色の彩度を最大に近づけることができる。
【0049】
さらに、画像信号が飽和状態となってしまうことを防止できるので、色差信号は被写体の色差を正しく表現した信号となるので、色差信号を用いて色処理等を行う場合、所望の色処理等を正しく行うことができる。
【0050】
<3.撮像装置の他の動作>
上述の実施の形態では、彩度が最大となる明るさに応じて色相領域の区分が行われている場合を例示したが、色相領域の区分を主要被写体に応じて行うようにしてもよい。例えば主要被写体の検出で顔検出を行う場合、顔の色を含む色相領域と、顔の色を含まない1または複数の色相領域に区分する。例えば、上述の動作では、図9の(A)に示す色相領域を、彩度が最大となる明るさに基づいて図9の(B)に示すように5つの領域に区分したが、顔の色を含む色相領域2を図9の(C)に示すように顔の色を示す範囲である色相領域2aとする。また、色相領域2の変更に伴い色相領域3を色相領域3aとする。また、ユーザによって指示された被写体を画像解析の対象の主要被写体とする場合や、ユーザによって指示された領域の画像やユーザによって指定された色の画像を画像解析の対象とする場合、指示された被写体の色や指示された領域の画像の色、指定された色等を基準として色相領域の区分を行うようにしてもよい。例えば、ユーザの指定した被写体や領域が空や海である場合、青色や水色の範囲を1つの色相領域の範囲として設定してもよい。このように主要被写体に応じて色相領域を区分すれば、主要被写体に対応する色相領域の明るさ情報に基づいて露出制御を行うことで、主要被写体の彩度をさらに最適化できる。
【0051】
ところで、色相領域を複数の領域に区分する場合、色相領域の領域幅が広いと色相領域が狭い領域に比べて画素数が大きくなりやすい。例えば主要被写体が黄色や緑色系のシャツを着用した人物である場合、顔の色に対応する色相領域2aの画素数に比べて、領域幅の広い色相領域3aの画像数が多くなり、色相領域2aの明るさよりも色相領域3aの明るさに応じて露出制御が行われてしまうおそれがある。したがって、露出制御部15は、色相領域毎に算出した補正量の重み付けにおいて、色相領域の画素数だけでなく領域幅を考慮して行うようにしてもよい。例えば、基準とする領域幅に対して、色相領域の領域幅が1/2倍である場合には画素数を2倍とし、色相領域の領域幅が2倍である場合には画素数を1/2倍とすることで、色相領域の画素数を色相領域の領域幅に応じて補正する。このようにすれば、補正後の画素数に応じて重み付けを行うことで、色相領域3aの明るさよりも色相領域2aの明るさに応じて露出制御を行うことができる。
【0052】
また、露出制御値の算出では、複数の色相領域で算出された補正量を用いる場合に限らず、主要被写体に対応する1つの色相領域の補正量を露出制御値として用いることもできる。この場合には、主要被写体に対応する1つの色相領域の彩度のみに着目した露出制御が行われることになる。
【0053】
なお、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させる。または、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0054】
例えば、プログラムは記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことができる。あるいは、プログラムはフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリカード等のリムーバブル記録媒体に、一時的または永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
【0055】
また、プログラムは、リムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトからLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介して、コンピュータに無線または有線で転送してもよい。コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0056】
なお、本技術は、上述した技術の実施の形態に限定して解釈されるべきではない。この技術の実施の形態は、例示という形態で本技術を開示しており、本技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施の形態の修正や代用をなし得ることは自明である。すなわち、本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【0057】
また、本技術の撮像装置は、以下のような構成も取ることができる。
(1) 撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する画像解析部と、前記画像解析部で取得された明るさ情報に基づいて露出制御を行う露出制御部とを備える撮像装置。
(2) 前記露出制御部は、前記明るさ情報に基づき彩度を高める露出制御を行う(1)に記載の撮像装置。
(3) 前記撮像画像における主要被写体を特定する主要被写体特定部を有し、前記画像解析部は、前記主要被写体の画像信号から前記明るさ情報を取得し、前記露出制御部は、前記明るさ情報に基づいて前記主要被写体の彩度を高める露出制御を行う(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4) 前記露出制御部は、前記色相領域毎の明るさ情報に基づき、前記色相領域のそれぞれについて彩度が最大となる明るさとする補正量を算出し、算出した補正量と各色相領域に含まれる画像の割合に応じて前記露出制御を行う(1)乃至(3)の何れかに記載の撮像装置。
(5) 前記画像解析部は、彩度が最大となる明るさに基づいて前記色相領域の区分を行う(1)乃至(4)の何れかに記載の撮像装置。
(6) 前記画像解析部は、前記主要被写体特定部によって特定された主要被写体の色に応じて前記色相領域の区分を行う(1)乃至(4)の何れかに記載の撮像装置。
(7) 前記画像解析部は、前記主要被写体特定部によって特定された主要被写体の色を含む色相領域についてのみ明るさ情報を生成する(1)乃至(3)の何れかに記載の撮像装置。
(8) 前記露出制御部は、色空間の設定情報を取得し、該設定情報で示されている色空間に応じた露出制御を行う(1)乃至(7)の何れかに記載の撮像装置。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この技術の撮像装置と撮像方法およびプログラムでは、撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報が取得されて、この取得された明るさ情報に基づいて露出制御が行われる。このため、例えば所望の被写体の彩度が高くなるように露出制御を行い、撮像画像の彩度を最適化できる。したがって、ディジタルカメラやビデオカメラ等に適している。
【符号の説明】
【0059】
10・・・撮像装置、11・・・撮像光学系、12・・・撮像部、13・・・信号処理部、14・・・画像解析部、14a・・・主要被写体特定部、15・・・露出制御部、16・・・画像処理部、17・・・出力部、18・・・表示部、19・・・操作部、20・・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する画像解析部と、
前記画像解析部で取得された明るさ情報に基づいて露出制御を行う露出制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記露出制御部は、前記明るさ情報に基づき彩度を高める露出制御を行う
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像画像における主要被写体を特定する主要被写体特定部を有し、
前記画像解析部は、前記主要被写体の画像信号から前記明るさ情報を取得し、
前記露出制御部は、前記明るさ情報に基づいて前記主要被写体の彩度を高める露出制御を行う
請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露出制御部は、前記色相領域毎の明るさ情報に基づき、前記色相領域のそれぞれについて彩度が最大となる明るさとする補正量を算出し、算出した補正量と各色相領域に含まれる画像の割合に応じて前記露出制御を行う請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像解析部は、彩度が最大となる明るさに基づいて前記色相領域の区分を行う
請求項3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像解析部は、前記主要被写体特定部によって特定された主要被写体の色に応じて前記色相領域の区分を行う
請求項3記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画像解析部は、前記主要被写体特定部によって特定された主要被写体の色を含む色相領域についてのみ明るさ情報を生成する
請求項3記載の撮像装置。
【請求項8】
前記露出制御部は、色空間の設定情報を取得し、該設定情報で示されている色空間に応じた露出制御を行う
請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する工程と、
前記取得された明るさ情報に基づいて露出制御を行う工程と
を含む撮像方法。
【請求項10】
撮像装置の露出制御をコンピュータで実行させるプログラムであって、
撮像画像の画像信号から色相領域毎に明るさ情報を取得する手順と、
前記取得された明るさ情報に基づいて露出制御値を算出する手順と
を前記コンピュータで実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図2】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−77879(P2013−77879A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215021(P2011−215021)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】