説明

撮像装置及びフォーカス制御方法

【課題】高精度のフォーカス制御が可能である撮像装置及びフォーカス制御方法等を提供すること。
【解決手段】撮像装置は、複数色の画素が配列される撮像素子103と、所定の画素数で構成される加算単位において、その加算単位に含まれる画素の画素信号に対して所定の重み付けを行って加算し、複数の加算画像を取得する加算画像取得部180と、複数の加算画像を平均した平均画像を生成する平均画像生成部123と、複数の加算画像の各加算画像と平均画像との差分である複数の差分画像を生成する差分画像生成部121と、複数の差分画像のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて、フォーカス評価値を算出するフォーカス評価値算出部と、フォーカス評価値に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びフォーカス制御方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子を用いて被写体像を撮像し、撮像素子から出力される撮像信号に基づいて、撮影レンズによる焦点位置の調節状態を検出するカメラの焦点検出手法が知られている。焦点検出手法のうち山登り方式と呼ばれる手法では、フォーカスレンズを光軸方向に進退駆動させながら、撮像信号の高周波数成分によるデータ(即ち、フォーカス評価値)が極大値をとるように合焦位置を検出する。
【0003】
フォーカス評価値の算出手法には、複数の手法がある。まず、フォーカス評価値の算出に使用される画像の生成手法として、例えばベイヤ画像からYCrCb信号を算出し、そのY信号(輝度値)からフォーカス評価値を算出する手法がある。また、ベイヤ画像のG信号(グリーン信号)からフォーカス評価値を算出する手法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
次に、画像からフォーカス評価値を算出する手法として、例えば、HPFを用いて上記画像から高周波成分を抽出し、その高周波成分の量を評価値とする手法がある。また、上記画像を微分してエッジ成分を抽出し、そのエッジ成分の量を評価値とする手法がある(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−285094号公報
【特許文献2】特開2011−107682号公報
【特許文献3】特開平11−142742公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の手法では高精度のフォーカス制御が困難であるという課題がある。例えば、特許文献1の手法では、被写体の色がR成分やB成分に偏っている場合に、G信号から算出したフォーカス評価値が小さくなり、フォーカス制御の精度が低下してしまう。また、特許文献2、3の手法では、エッジ成分が画像のノイズ成分の影響を受けるため、例えば暗い被写体を撮影した場合のように低S/Nの画像ではフォーカス制御の精度が低下してしまう。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、高精度のフォーカス制御が可能である撮像装置及びフォーカス制御方法等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、複数色の画素が配列される撮像素子と、所定の画素数で構成される加算単位において、前記加算単位に含まれる画素の画素信号に対して所定の重み付けを行って加算し、複数の加算画像を取得する加算画像取得部と、前記複数の加算画像を平均した平均画像を生成する平均画像生成部と、前記複数の加算画像の各加算画像と前記平均画像との差分である複数の差分画像を生成する差分画像生成部と、前記複数の差分画像のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて、フォーカス評価値を算出するフォーカス評価値算出部と、前記フォーカス評価値に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、を備える撮像装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様によれば、複数の加算画像の各加算画像と、その複数の加算画像が平均された平均画像と、の差分である複数の差分画像が生成される。そして、その複数の差分画像のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて算出されたフォーカス評価値に基づいて、フォーカス制御が行われる。これにより、高精度のフォーカス制御を行うことが可能になる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記フォーカス評価値を比較する比較部と、を備え、前記フォーカス評価値算出部は、前記複数の差分画像毎に対応する複数のフォーカス評価値を算出し、前記比較部は、前記複数のフォーカス評価値の値を比較し、前記比較の結果に基づいて最大のフォーカス評価値を選択してもよい。
【0011】
また本発明の一態様では、前記加算画像取得部は、前記複数色の各色と前記重み付けの係数との対応が異なる前記複数の加算画像を取得し、前記フォーカス制御部は、前記複数の差分画像の各差分画像に基づく前記フォーカス評価値のうちの最大のフォーカス評価値に基づいて、前記フォーカス制御を行ってもよい。
【0012】
また本発明の一態様では、前記撮像素子には、前記複数色の画素としてRGBの画素がベイヤ配列で配列され、前記加算画像取得部は、色に対する前記重み付けの係数がG色及びB色に対する前記重み付け係数よりも大きい第1の加算画像と、G色に対する前記重み付けの係数がR色及びB色に対する前記重み付けの係数よりも大きい第2の加算画像と、B色に対する前記重み付けの係数がR色及びG色に対する前記重み付けの係数よりも大きい第3の加算画像と、を取得し、前記差分画像生成部は、記第1〜第3の加算画像から第1〜第3の差分画像を生成し、前記フォーカス制御部は、記第1〜第3の差分画像に対応する第1〜第3のフォーカス評価値のうちの前記最大のフォーカス評価値に基づいて、前記フォーカス制御を行ってもよい。
【0013】
また本発明の一態様では、前記平均画像に基づいて露出評価値を算出する露出評価値算出部と、前記露出評価値に基づいて露出制御を行う露出制御部と、を備えてもよい。
【0014】
また本発明の一態様では、前記加算画像取得部は、前記撮像素子による撮像画像を取得する撮像画像取得部と、前記加算単位を前記撮像画像の複数の画素毎に設定し、前記加算単位に含まれる画素値を前記重み付け加算して前記加算画素値を求め、求めた前記加算画素値による加算画像を生成する加算画像生成部と、を有し、前記加算画像生成部は、前記加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第nの加算画像(nは2以上の自然数)を前記複数の加算画像として生成してもよい。
【0015】
また本発明の一態様では、前記加算画像生成部は、前記加算単位を、水平又は垂直に1画素ずつ順次シフトさせて第1〜第nのポジションに設定し、前記第1〜第nのポジションにおいてそれぞれ前記第1〜第nの加算画像を取得し、前記第1〜第nのポジションのうちの第mのポジションと第m+1のポジションの前記加算単位は、共通の画素を含んでもよい。
【0016】
また本発明の一態様では、前記平均画像生成部は、前記第1〜第nのポジションの前記加算画素値の平均値を、前記平均画像の画素値として求め、前記差分画像生成部は、前記平均画像の画素値と、前記第mのポジションの前記加算画素値の差分値を、前記第mの差分画像の画素値として求めてもよい。
【0017】
また本発明の一態様では、前記平均画像と前記複数の差分画像から前記複数の加算画像を再生成する加算画像再生成部と、再生成された前記複数の加算画像に基づいて前記重み付け加算前の画素値を推定する推定演算部と、を備えてもよい。
【0018】
また本発明の一態様では、前記複数の差分画像を圧縮する圧縮処理部と、圧縮された前記複数の差分画像を伸張し、伸張した前記複数の差分画像を前記加算画像再生成部に出力する伸張処理部と、を備えてもよい。
【0019】
また本発明の他の態様は、複数色の画素が撮像素子に配列される場合に、所定の画素数で構成される加算単位において、前記加算単位に含まれる画素の画素信号に対して所定の重み付けを行って加算して複数の加算画像を取得し、前記複数の加算画像を平均した平均画像を生成し、前記複数の加算画像の各加算画像と前記平均画像との差分である複数の差分画像を生成し、前記複数の差分画像のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて、フォーカス評価値を算出し、前記フォーカス評価値に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の撮像装置の第1の構成例。
【図2】差分画像、平均画像の第1の生成手法における加算画像取得部の詳細な構成例。
【図3】差分画像、平均画像の第1の生成手法についての説明図。
【図4】差分画像、平均画像の第2の生成手法についての説明図。
【図5】AF制御、AE制御のフローチャート。
【図6】本実施形態の撮像装置の第2の構成例。
【図7】第2の構成例におけるAF制御のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0022】
1.撮像装置
図1に、被写体の色成分が偏っている場合や、画像が低S/Nの場合であっても高精度にフォーカス制御が可能な本実施形態の撮像装置の第1の構成例を示す。
【0023】
撮像装置は、撮像素子103、光学ズーム駆動部105、絞り駆動部107、AF駆動部109、撮像素子駆動部111、バッファメモリ115、ユーザI/F部117、差分画像生成部121、平均画像生成部123、加算画像再生成部124、高精細画像復元推定部125、モニタ画像生成部127、モニタ129、圧縮処理部130、伸張処理部139、AE評価値算出部141(AE: Automatic Exposure)、AF評価値算出部143(AF: Automatic Focus)、光学系150、圧縮データ記憶部170、加算画像取得部180、制御部190を含む。
【0024】
撮像装置は、光学的な画像情報を電気信号に変換し、電子的に記録媒体に記録する装置であり、例えばデジタルスチルカメラ等が想定される。撮像装置は、例えばコンパクトデジタルカメラのように、図1に示す構成要素が一体に形成される。あるいは、レンズ交換式デジタルカメラのように、光学系150と光学ズーム駆動部105と絞り駆動部107とAF駆動部109が交換レンズ部として形成され、その交換レンズ部がカメラボディ部に着脱されてもよい。
【0025】
光学系150(撮影レンズ)は、撮像素子103の撮像面上に被写体像を形成し、例えば焦点距離可変のズームレンズにより構成される。光学系150は、レンズ151、ズームレンズ152、絞り機構153、フォーカスレンズ154を含む。ズームレンズ152は光学ズームを行うためのレンズである。フォーカスレンズ154は、フォーカス調整を行うためのレンズである。これらのレンズ151、152、154や絞り機構153はレンズ鏡筒に収納されている。
【0026】
光学ズーム駆動部105は、ズームレンズ152を駆動する。絞り駆動部107は、絞り機構153を駆動する。AF駆動部109は、フォーカスレンズ154を駆動する。具体的には、光学ズーム駆動部105は、ズームレンズ152を光軸方向に移動させるための電気機械的機構を含む。絞り駆動部107は、絞り機構153を光軸方向と垂直な方向に移動させるための電気機械的機構を含む。AF駆動部109は、フォーカスレンズ154を光軸方向に移動させるための電気機械的機構を含む。これらの駆動部105、107、109は、制御部190からの制御信号に応じて、それぞれレンズ152、154、絞り機構153の位置を制御する。
【0027】
撮像素子103は、例えばCCDあるいはCMOSイメージセンサで構成される。撮像素子103は、図示しないCDS処理部(CDS:Correlated Double Sampling)、A/D変換部等の処理ブロックを有し、撮像画像をデジタルの画像信号として出力する。なお、これらの処理ブロックは撮像素子103の外部に設けられてもよい。
【0028】
撮像素子駆動部111は、撮像素子103を駆動する。具体的には、撮像素子駆動部111は、制御部190からの制御信号に応じて、撮像素子103の電荷蓄積動作や画像の読み出し動作を制御する。
【0029】
ユーザI/F部117は、ユーザが撮像装置に対して種々の操作を行うためのI/Fであり、例えば図示しないシャッターやズームレバー等の各種操作スイッチを含み、その操作信号を制御部190に送信する。バッファメモリ115は、画像処理のために一時的に画像データを格納する。
【0030】
加算画像取得部180は、撮像素子103から出力された画像信号に基づき、ベイヤ配列における複数の隣接画素値が加算された加算画像を取得する。加算画像は複数取得され、各加算画像では加算画素の組み合わせが異なる。なお、詳細は後述する。
【0031】
平均画像生成部123は、複数の加算画像の画素値を平均して平均画像を生成する。差分画像生成部121は、平均画像と加算画像の画素値を減算して差分画像を生成する。なお、詳細は後述する。
【0032】
圧縮処理部130は、差分画像や平均画像の圧縮処理を行う。例えば、圧縮処理部130は、差分画像に対してエントロピー符号化等の可逆圧縮を行い、平均画像に対してMPEG等の不可逆圧縮を行う。圧縮データ記憶部170は、圧縮処理された画像データを記憶し、例えば外部メモリにより構成される。
【0033】
伸張処理部139は、圧縮データ記憶部170に記憶された圧縮画像データを伸張する処理を行い、差分画像と平均画像を出力する。
【0034】
加算画像再生成部124は、伸張処理部139からの差分画像及び平均画像に基づいて加算画像を再生成する。なお、圧縮・伸張処理は外部メモリ容量や撮像装置の仕様等の都合で削除してもよい。この場合、加算画像再生成部124は、差分画像生成部121からの差分画像及び平均画像生成部123からの平均画像に基づいて加算画像を再生成する。
【0035】
高精細画像復元推定部125は、再生成された複数の加算画像に基づいて、加算前のベイヤ画像を復元する処理を行う。例えば、後述するように特開2011−151569に開示される推定処理を行う。
【0036】
モニタ画像生成部127は、復元処理された画像をモニタ129に表示可能な解像度及びフレームレートに変換し、表示画像を生成する。また、モニタ画像生成部127は、撮像素子103による撮像画像をモニタ129に表示可能な解像度及びフレームレートに変換し、スルー画像を生成してもよい。スルー画像とは、撮像素子103により撮像された画像を、リアルタイムにモニタ表示するための画像である。モニタ129は、例えば液晶表示素子により構成され、モニタ画像生成部127からの表示画像を表示する。
【0037】
AF評価値算出部143は、差分画像のコントラスト値に基づいてAF評価値を算出する。AE評価値算出部141は、平均画像の輝度値に基づいてAE評価値を算出する。
【0038】
制御部190は、撮像装置の各部の制御を行う。制御部190は、AF制御部191、AE制御部192、光学ズーム制御部193を含む。
【0039】
AF制御部191は、AF駆動部109を制御することにより、AF評価値に基づくAF制御を行う。例えば、山登り法によりAF評価値が最大となる位置にフォーカスレンズ154を移動させる制御を行う。AE制御部192は、絞り駆動部107や撮像素子駆動部111を制御することによりF値や露出時間を制御し、AE評価値に基づく露出制御を行う。光学ズーム制御部193は、光学ズーム駆動部105を制御することによりズーム倍率を制御する。
【0040】
2.差分画像、平均画像の第1の生成手法
次に、差分画像、平均画像の第1の生成手法について説明する。まず、図2に第1の生成手法における加算画像取得部180の詳細な構成例を示す。加算画像取得部180は、撮像画像取得部181、加算画像生成部182を含む。
【0041】
撮像画像取得部181は、撮像素子103により撮像されたベイヤ画像を取得する。ベイヤ画像は、例えば撮像素子103から全画素読み出しされた画像である。撮像画像取得部181は、例えば、撮像素子103の図示しないA/D変換部から送信されたデジタル画像データを受信する受信回路に対応する。加算画像生成部182は、各フレームのベイヤ画像から第1〜第4の加算画像A〜Aを生成する。なお、この手法については図3で後述する。
【0042】
ここで、フレームとは、例えば撮像素子103により画像が撮像されるタイミングや、画像処理において1つの撮像画像が処理されるタイミングである。あるいは、画像データにおける1つの画像も適宜フレームと呼ぶ。
【0043】
次に、図3に第1の生成手法についての説明図を示す。なお以下では、撮像素子103がRGBベイヤ配列である場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、例えば補色フィルターの撮像素子等であってもよい。また以下では4画素加算を行う場合を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、他の画素数の加算を行ってもよい。
【0044】
図3に示すように、加算画像取得部180に構成される撮像画像取得部181は、撮像素子103により、フレームfx(xは自然数)において全画素読み出しによりRGBベイヤ配列の撮像画像(以下、「高精細フレーム画像fx」と呼ぶ)を取得する。そして、加算画像生成部182は、当該取得した高精細フレーム画像fxに、所定の画素数(例えば、本実施形態では4画素)で構成される加算単位(加算される画素群)を設定し、その加算単位の画素値に対して所定の重み付けを行って加算する。このとき、加算単位を1画素分重畳させながら水平又は垂直にシフトさせ、4枚の加算画像A〜Aを生成することで、加算画像が取得される。
【0045】
4画素加算値aijは下式(1)で表わされ、加算画像A〜Aを構成する加算画素値はそれぞれ{aij、a(i+1)j、a(i+1)(j+1)、ai(j+1)}である。
ij=vij+(1/r)v(i+1)j
(1/r)vi(j+1)+(1/r)v(i+1)(j+1) (1)
【0046】
ここで、rは重み付け係数のパラメータであり、1≦rである。またvijは高精細フレーム画像におけるアドレス(i,j)の画素値である。
【0047】
次に、生成した加算画像A〜Aの加算位置の整合を行い、平均画像生成部123は、4枚の加算画像を重ね合わせた上で同一位置の値の加算平均をとることにより平均画像Mを生成する。即ち、加算画像A〜Aの4画素加算値をそれぞれ{a(1)ij,a(2)(i+1)j,a(3)(i+1)(j+1),a(4)i(j+1)}とすると、平均画像Mの画素値aijは下式(2)で表される。
ij=[a(1)ij+a(2)(i+1)j
(3)i(j+1)+a(4)(i+1)(j+1)]/4 (2)
【0048】
差分画像生成部121は、生成された平均画像Mを基準とし、その平均画像Mと加算画像A〜Aとの差分をそれぞれ差分画像D〜Dとする。差分画像D〜Dを構成する画素値を{aD1ij,aD2ij,aD3ij,aD4ij}とすれば、下式(3)のように表わせる。
D1ij=aij−a(1)ij
D2ij=aij−a(2)(i+1)j
D3ij=aij−a(3)(i+1)(j+1)
D4ij=aij−a(4)i(j+1) (3)
【0049】
図1で上述のように、この差分画像D〜Dに対して圧縮処理が行われる。差分画像D〜Dの画素値データは、発生頻度分布の偏りが顕著になるため、エントロピー符号化(例えばハフマン符号,LZH等)がデータ圧縮として効果的である。エントロピー符号化とは、画素値の発生確率を求め、発生確率の高いものから短い符号長を割当てる圧縮手法である。
【0050】
例えば、差分画像D〜Dの画素値データの平均値に対して最も短い符号長を割り当て、その平均値から離れる値ほど符号長を長くしていく符号化が適当である。即ち、差分画像D〜Dの画素値データは各々の平均がゼロであり、ゼロの発生確率をピークとして分布しているので、ゼロ値に最も短い符号を割当てるようにすればよい。また、差分画像D〜Dの画素値データは、確率密度に応じて非線形量子化を行うことも有効である。
【0051】
加算画像再生成部124による加算画像A〜Aの再生成は、上式(3)を逆算することにより行う。即ち、下式(4)により加算画像A〜Aの画素値を求める。
(1)ij=aij−aD1ij
(2)(i+1)j=aij−aD2ij
(3)(i+1)(j+1)=aij−aD3ij
(4)i(j+1)=aij−aD4ij (4)
【0052】
3.差分画像、平均画像の第2の生成手法
上述の第1の生成手法では、撮像素子103からベイヤ画像を読み出し、そのベイヤ画像を画素加算することで加算画像A〜Aを生成したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、撮像素子103からの読み出し動作において画素加算が行われてもよい。
【0053】
具体的には、フレームfx〜fx+3において、それぞれ加算画像A〜Aの加算読み出しを行う。加算読み出しでは、例えば画素の蓄積電荷をアナログ的に加算し、その加算値をA/D変換してもよいし、あるいは、画素値をA/D変換し、その画素値をデジタル的に加算してもよい。
【0054】
第1の生成手法とは異なり、加算画像取得部180は、撮像素子103において既に加算された加算画像A〜Aを取得する。平均画像Mと差分画像D〜Dは、上式(2)、(3)により生成される。例えば、f4においてAが読み出された後に、f1〜f4で取得したA〜AからM、D〜Dを生成する。そして、f5においてAが読み出された後に、f2〜f5で取得したA、A、A、AからM、D〜Dを生成する。
【0055】
なお、上記では各フレームにおいて1つの加算画像を取得する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、fxにおいて、加算画像A、Aを読み出し、fx+1において、加算画像A、Aを読み出してもよい。
【0056】
4.AF制御、AE制御の手法
次に、上述の平均画像Mと差分画像D〜Dを用いてAF制御、AE制御を行う手法について説明する。図5に、AF制御、AE制御のフローチャートを示す。
【0057】
図5に示すように、処理が開始されると、撮像素子103から撮像されたベイヤ画像を取得する(S1)。図3等で説明した手法により、加算画像取得部180によりベイヤ画像から加算画像A〜Aを生成し(S2)、平均画像生成部123により加算画像A〜Aから平均画像Mを生成する(S3)。
【0058】
次に、差分画像生成部121により、加算画像A〜Aと平均画像Mから差分画像Yg、Yr、Ybを生成する(S4)。例えば、Yg=D、D、Yr=D、Yb=Dである。次に、AF評価値算出部143により、差分画像Yg、Yr、YbからAF評価値を算出する(S5)。具体的には、差分画像Yg、Yr、Ybに評価領域を設定し、その評価領域内の画素値の平均値をAF評価値として求める。
【0059】
次に、AF評価値に基づいてAF制御を行う(S6)。具体的には、制御部190とAF駆動部109によって、フォーカスレンズ154を複数の位置に順次移動させ、各位置についてのAF評価値を求める。そして、AF評価値が最大となる位置にフォーカスレンズ154を移動させることによりコントラストAFを行う。
【0060】
図3で説明したように、加算画像A〜Aでは、加算される画素グループaij(加算単位)の位置(i,j)がシフトされている。そのため、平均画像Mと加算画像A〜Aの差分は一種の微分画像となり、差分画像D〜Dは、被写体のエッジ成分が抽出された画像となる。このエッジ成分からAF評価値を求めることで、コントラストAFを実現することができる。
【0061】
また、上式(1)で説明したように、加算画像A〜Aでは、ベイヤ画像において隣接するRGBの4画素が加算されている。そのため、差分画像D〜Dのエッジ成分には、RGBのエッジ成分が含まれており、例えば赤い花のように被写体の色が偏っていても、G画像のみでAFを行う場合に比べて大きなエッジ成分を得ることができる。また、画素加算により画素値が平均化されるため、加算せずにエッジ成分を抽出した場合よりも高いS/Nのエッジ成分を得ることができる。
【0062】
次に、平均画像MからAE評価値を算出する(S7)。具体的には、平均画像Mに評価領域を設定し、その評価領域内の画素値の平均値をAE評価値として算出する。次に、AE評価値に基づいてAE制御を行う(S8)。具体的には、F値や露出時間、ISO感度等を制御することにより、AE評価値をターゲット値に近づける制御を行う。
【0063】
図3で説明したように、平均画像Mは、RGBの4画素が加算された加算画像A〜Aの平均である。そのため、平均画像Mの画素値は、RGBの画素値が加算された値となっており、被写体の明るさを表す情報としてAE制御に用いることができる。
【0064】
なお、上記では差分画像としてYg、Yr、Ybの全てを生成する例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、差分画像としてYg、Yr、Ybのうちの1つが生成されてもよい。また、YgとしてD、Dのうちの一方のみが生成されてもよい。
【0065】
以上の実施形態によれば、図1に示すように、撮像装置は撮像素子103と加算画像取得部180と平均画像生成部123と差分画像生成部121とフォーカス評価値算出部(AF評価値算出部143)とフォーカス制御部(AF制御部191)を含む。
【0066】
図3又は図4で説明したように、撮像素子103には複数色(例えばRGB)の画素が配列される。加算画像取得部180は、所定の画素数(例えば4画素)で構成される加算単位において、その加算単位に含まれる画素の画素信号に対して所定の重み付けを行って加算し、複数の加算画像A〜Aを取得する。平均画像生成部123は、複数の加算画像A〜Aを平均した平均画像Mを生成する。差分画像生成部121は、複数の加算画像A〜Aの各加算画像と平均画像Mとの差分である複数の差分画像D〜Dを生成する。フォーカス評価値算出部は、複数の差分画像Yg、Yr、Yb(例えばYg=D、D、Yr=D、Yb=D)のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて、フォーカス評価値(AF評価値)を算出する。フォーカス制御部は、そのフォーカス評価値に基づいてフォーカス制御を行う。
【0067】
このようにすれば、AF制御において高精度あるいは高速なフォーカス制御が可能になる。例えば、AF制御においてG信号からフォーカス評価値を算出する手法(特許文献1)がある。しかしながら、この手法では、被写体の色成分が赤や青に偏っている場合、フォーカス評価値が小さくなり、合焦精度あるいはAF制御の高速性が損なわれるという課題がある。この点、本実施形態によれば、図5で説明したように、RGBの画素値が加算された画像を用いるため被写体の色成分が赤や青に偏っている場合であっても高精度の合焦や高速なAF制御を実現できる。
【0068】
また、画像の微分成分やエッジ成分に基づいてAF制御を行う手法(特許文献2、3)がある。しかしながら、この手法では、例えば被写体が低輝度あるいは低コントラストである場合に、微分成分やエッジ成分のS/Nが低下し、合焦精度あるいはAF制御の高速性が損なわれるという課題がある。この点、本実施形態によれば、複数の画素値が加算された画像を用いるためノイズが平均化され、エッジ成分のS/Nを向上できる。
【0069】
また、従来のAF制御では、AF評価値を算出するためのエッジ画像等を生成する必要があった。この点、本実施形態によれば、AF評価値の算出に用いる差分画像D〜Dは、図3等で上述のようにエントロピー符号化等によりデータ量を削減するために生成する画像である。即ち、差分画像の圧縮により記憶容量や通信データ量を節約することができ、その圧縮データから事後的に撮像画像を復元することで、高精細な表示画像を得ている。そのため、AF評価値のために新たな画像を生成する必要がない。
【0070】
また本実施形態では、図1に示すように、撮像装置は、平均画像Mに基づいて露出評価値(AE評価値)を算出する露出評価値算出部(AE評価値算出部141)と、露出評価値に基づいて露出制御を行う露出制御部(AE制御部192)と、を含む。
【0071】
このようにすれば、AE制御において高精度あるいは高速な露出制御が可能になる。例えば、G信号のみから露出評価値を算出した場合、被写体の色がR成分やB成分に偏った場合に露出評価値の値が小さくなり、AE制御の精度あるいは高速性が損なわれるという課題がある。この点、本実施形態によれば、平均画像MにはRGB全ての成分が反映されているため、高精度あるいは高速なAE制御が可能になる。
【0072】
また、平均画像Mは上述のようにデータ圧縮や撮像画像の復元を行うための画像であるため、露出評価値を算出するための新たな画像(例えば輝度画像)を生成する必要がない。
【0073】
また本実施形態では、図2に示すように、加算画像取得部180は撮像画像取得部181と加算画像生成部182を含む。撮像画像取得部181は、撮像素子103による撮像画像を取得する。図3で説明したように、加算画像生成部182は、加算画素値を取得する単位である加算単位(例えばa(1)00)を撮像画像の複数の画素(例えば4画素)毎に設定し、その加算単位に含まれる画素値を重み付け加算して加算画素値を求め、求めた加算画素値による加算画像(例えばA)を生成する。加算画像生成部182は、加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第4の加算画像A〜A(広義には第1〜第nの加算画像、nは2以上の自然数)を複数の加算画像として生成する。
【0074】
具体的には、加算画像生成部182は、加算単位を、水平又は垂直に1画素ずつ順次シフトさせて第1〜第4のポジション(例えばa(1)00、a(2)10、a(3)11、a(4)01、広義には第1〜第nのポジション)に設定し、その第1〜第4のポジションにおいてそれぞれ第1〜第4の加算画像A〜Aを取得する。第1〜第4のポジションのうちの第mのポジションと第m+1のポジションの加算単位は、共通の画素を含む。
【0075】
例えば本実施形態では、第1のポジションの加算単位a(1)00と第2のポジションの加算単位a(2)10は、共通の画素v10、v11を含む。
【0076】
ここで、加算単位のポジションとは、撮像画像における加算単位の位置や座標のことであり、あるいは、推定処理における画像データ上での加算単位の位置や座標のことである。
【0077】
このようにすれば、例えばベイヤ配列等のように複数色の画素が配列される場合に、加算単位が画素シフトにともなって、加算単位に含まれる各色と重み付け係数の対応が変化する。これにより、複数色の各色と重み付け係数の対応が異なる複数の加算画像A〜Aを取得することができる。また、隣接するポジションの加算単位が共通の画素を含むことで、後述するように簡素な処理で加算画像A〜Aから高精細な撮像画像を復元することが可能になる。
【0078】
また本実施形態では、上式(2)で説明したように、平均画像生成部123は、第1〜第4のポジションの加算画素値の平均値aijを、平均画像Mの画素値として求める。上式(3)で説明したように、差分画像生成部121は、平均画像Mの画素値aijと、第mのポジションの加算画素値の差分値aDmijを、第mの差分画像の画素値として求める。
【0079】
このようにすれば、第1〜第4の加算画像A〜Aから、平均画像Mと第1〜第4の差分画像D〜Dを生成できる。
【0080】
また本実施形態では、図1に示すように、撮像装置は加算画像再生成部124と推定演算部(高精細画像復元推定部125)を含む。上式(4)で説明したように、加算画像再生成部124は、平均画像Mと複数の差分画像D〜Dから複数の加算画像A〜Aを再生成する。推定演算部は、再生成された複数の加算画像A〜Aに基づいて重み付け加算前の画素値vijを推定する。
【0081】
例えば本実施形態では、特開2011−151569に開示される手法により重み付け加算前の画素値vijを推定する。即ち、推定演算部は、第1、第2の加算画素値(例えばa(1)00、a(2)10)の差分値δiを求める。第1、第2の中間画素値b00、b20の関係式を、差分値δiを用いて表す。b00は、v00、v01の加算画素値であり、b20は、v20、v21の加算画素値である。推定演算部は、関係式を用いて中間画素値b00、b20を推定する。推定した中間画素値を用いて加算単位に含まれる各画素の画素値(v00、v10、v11、v01)を求める。
【0082】
このようにすれば、重畳シフトされた加算画素値から中間画素値を一旦推定し、その重畳シフトされた中間画素値から推定画素値を求めることで、高解像画像の推定処理を簡素化できる。
【0083】
また本実施形態では、図1に示すように、撮像装置は圧縮処理部130と伸張処理部139を含む。圧縮処理部130は、複数の差分画像D〜Dを圧縮する。伸張処理部139は、圧縮された複数の差分画像D〜Dを伸張し、伸張した複数の差分画像D〜Dを加算画像再生成部124に出力する。
【0084】
このようにすれば、撮像画像を効率よく圧縮することが可能になる。即ち、差分画像の画素値の発生確率分布はゼロ付近に偏っているため、差分画像のエントロピーは撮像画像よりも小さくなる。そのため、差分画像を生成して圧縮することで、画像の圧縮率を向上できる。撮像の直後にデータ量の縮小が可能であるため、後段でのデータ処理の負荷の低減が図られ、高速データ処理を伴わずに高精細画像の高速撮影処理システムが構築できる。
【0085】
5.撮像装置の第2の構成例
図6に、本実施形態の撮像装置の第2の構成例を示す。図6に示す撮像装置は、撮像素子103、光学ズーム駆動部105、絞り駆動部107、AF駆動部109、撮像素子駆動部111、ユーザI/F部117、差分画像生成部121、平均画像生成部123、加算画像再生成部124、高精細画像復元推定部125、モニタ画像生成部127、モニタ129、圧縮処理部130、伸張処理部139、AE評価値算出部141、AF評価値算出部143、AF評価値比較部145、光学系150、圧縮データ記憶部170、加算画像取得部180、制御部190を含む。
【0086】
なお、上述した第1の構成例の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その構成要素については適宜説明を省略する。
【0087】
AF評価値算出部143は、上述の差分画像Yg、Yr、Ybのそれぞれについて対応する複数のAF評価値Vg、Vr、Vbを算出する。AF評価値比較部145は、AF評価値Vg、Vr、Vbのそれぞれに対して、値の大小関係を比較し、その比較記結果に基づいてAF評価値Vg、Vr、Vbのうちの最大値を選択する。AF制御部191は、選択されたAF評価値に基づいてAF制御を行う。
【0088】
なお、本実施形態は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。例えば、上記ではAF評価値を求めた後にAF評価値の最大値を選択したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、差分画像Yg、Yr、Ybの中から1つの差分画像を選択し、選択した差分画像からAF評価値を求めてもよい。この場合、AF評価値比較部145は、差分画像Yg、Yr、Ybの画素値に基づいて、最もAF評価値が大きいと推定される差分画像を選択する。そして、AF評価値算出部143は、選択された差分画像からAF評価値を求め、求めたAF評価値をAF制御部191に出力する。
【0089】
6.AF制御の第2の手法
次に、上記第2の構成例におけるAF制御の手法について説明する。図7に、第2の構成例におけるAF制御のフローチャートを示す。
【0090】
図7に示すように、処理が開始されると、撮像されたベイヤ画像を取得する(S20)。図3等で説明した手法により、ベイヤ画像から加算画像A〜Aを生成し(S21)、差分画像Yg、Yr、Ybを生成する(S22)。例えば、Yg=D、D、Yr=D、Yb=Dである。
【0091】
次に、差分画像Yg、Yr、Ybの画素値を正規化する処理を行う(S23)。具体的には、正規化処理は、差分画像Yg、Yr、Ybのそれぞれに対応する係数を、差分画像Yg、Yr、Ybの画素値に乗算することで行う。例えば、予め白い被写体を撮影した場合のYr,Yg,Ybの画素値の比を求め、白い被写体を撮影した場合に差分画像Yg、Yr、Ybから求めたAF評価値が同一値となる係数を、求めた比に基づいて設定し、その係数を図示しない記憶部に記憶しておく。あるいは、撮像画像の色温度を推定し、RGBのホワイトバランスを調整する係数を、推定した色温度に基づいて設定してもよい。
【0092】
次に、正規化された差分画像Yg、Yr、Ybから、それぞれAF評価値Vg、Vr、Vbを算出する(S24)。次に、AF評価値Vg、Vr、Vbの中から最大のAF評価値を選択する(S25)。次に、選択されたAF評価値に基づいてAF制御を行う(S26)。例えば最大のAF評価値としてVgが選択された場合、フォーカスレンズ154を複数の位置に順次移動させ、各位置について差分画像YgからAF評価値Vgを求める。そして、AF評価値Vgが最大となる位置にフォーカスレンズ154を移動させる。
【0093】
図3で説明したように、加算画像A〜Aでは、RGBの画素値が重み付け加算されている。例えば加算画像Aでは、R、G、Bの画素に対して、それぞれ係数1、1/2、1/4(r=2とした場合)で重み付けされる。即ち、AではRの重み付けが他色の重み付けよりも大きく、差分画像Yr=Dでは、R成分が他の色成分よりも大きく反映されたエッジ画像が抽出されることになる。同様に、差分画像Yg=D、D、Yb=Dでは、それぞれG成分、B成分が他の色成分よりも大きく反映されたエッジ画像が抽出される。そのため、差分画像Yg、Yr、Ybから求めたAF評価値のうち最大のものを選択することで、被写体の色に依らず高精度なAF制御が可能になる。例えば赤い花が被写体の場合、Yg、Ybよりも値が大きいYrが選択され、G画像のみでAFを行う場合に比べてコントラストAFの精度を向上できる。
【0094】
以上の実施形態によれば、図6に示すように、撮像装置は、フォーカス評価値を比較する比較部(AF評価値比較部145)を含む。フォーカス評価値算出部は、各差分画像Yg、Yr、Ybに対応する複数のフォーカス評価値Vg、Vr、Vbを算出する。比較部は、その複数のフォーカス評価値Vg、Vr、Vbの値を比較(大小関係を比較)し、その比較の結果に基づいて最大のフォーカス評価値を選択する。
【0095】
また本実施形態では、図3又は図4で説明したように、加算画像取得部180は、複数色の各色と重み付けの係数との対応が異なる複数の加算画像A〜Aを取得する。図7で説明したように、フォーカス制御部(AF制御部191)は、複数の差分画像Yg、Yr、Yb(例えばYg=D、D、Yr=D、Yb=D)の各差分画像に基づくフォーカス評価値Vg、Vr、Vbのうちの最大のフォーカス評価値に基づいて、フォーカス制御を行う。
【0096】
より具体的には、複数色の画素としてRGBの画素がベイヤ配列で配列される。この場合に、加算画像取得部180は、R色に対する重み付け係数がG色及びB色に対する重み付け係数よりも大きい第1の加算画像Aと、G色に対する重み付け係数がR色及びB色に対する重み付け係数よりも大きい第2の加算画像A(又はA)と、B色に対する重み付け係数がR色及びG色に対する重み付け係数よりも大きい第3の加算画像Aとを、取得する。差分画像生成部121は、第1〜第3の加算画像A〜Aから第1〜第3の差分画像D〜Dを生成する。フォーカス制御部は、その第1〜第3の差分画像D〜Dに対応する第1〜第3のフォーカス評価値Vr、Vg、Vbのうちの最大のフォーカス評価値に基づいて、フォーカス制御を行う。
【0097】
ここで、複数色の各色と重み付け係数との対応が異なるとは、加算される画素グループ(加算単位)に含まれるRGB画素と重み付け係数の組み合わせが、各加算画像で異なることである。例えば図3に示すように、複数色の画素としてRGBの画素がベイヤ配列される場合、r=1/2とすると、Aの加算単位a(1)00では、R、G、Bの画素が係数1、1/2、1/4で重み付けされる。A、Aの加算単位a(2)10、a(4)01では、R、G、Bの画素が係数1/2、1又は1/4、1/2で重み付けされ、Aの加算単位a(3)11では、R、G、Bの画素が係数1/4、1/2、1で重み付けされる。
【0098】
このようにすれば、最も高コントラストの加算画像が用いられるため、更に高精度のフォーカス制御が可能になる。例えば、被写体の色が偏っている場合、その偏った色の重み付けが大きい加算画像から生成された差分画像は、他の色の重み付けが大きい加算画像から生成された差分画像よりもエッジ成分が大きいと考えられる。そのため、フォーカス制御の精度向上や高速化が可能になる。
【0099】
なお、図6で説明したように、比較部が差分画像Yg、Yr、Ybのうちの1つを選択し、フォーカス評価値算出部が、その選択された差分画像からフォーカス評価値を算出してもよい。
【0100】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また撮像装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0101】
103 撮像素子、105 光学ズーム駆動部、107 絞り駆動部、
109 AF駆動部、111 撮像素子駆動部、115 バッファメモリ、
117 ユーザI/F部、121 差分画像生成部、123 平均画像生成部、
124 加算画像再生成部、125 高精細画像復元推定部、
127 モニタ画像生成部、129 モニタ、130 圧縮処理部、
139 伸張処理部、141 AE評価値算出部、143 AF評価値算出部、
145 AF評価値比較部、150 光学系、151 レンズ、
152 ズームレンズ、153 絞り機構、154 フォーカスレンズ、
170 圧縮データ記憶部、180 加算画像取得部、181 撮像画像取得部、
182 加算画像生成部、190 制御部、191 AF制御部、
192 AE制御部、193 光学ズーム制御部、
〜A 加算画像、D〜D 差分画像、M 平均画像、
Yg,Vr,Vb 差分画像、aij 加算単位、fx フレーム、vij 画素値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の画素が配列される撮像素子と、
所定の画素数で構成される加算単位において、前記加算単位に含まれる画素の画素信号に対して所定の重み付けを行って加算し、複数の加算画像を取得する加算画像取得部と、
前記複数の加算画像を平均した平均画像を生成する平均画像生成部と、
前記複数の加算画像の各加算画像と前記平均画像との差分である複数の差分画像を生成する差分画像生成部と、
前記複数の差分画像のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて、フォーカス評価値を算出するフォーカス評価値算出部と、
前記フォーカス評価値に基づいてフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記フォーカス評価値を比較する比較部と、を備え、
前記フォーカス評価値算出部は、
前記複数の差分画像毎に対応する複数のフォーカス評価値を算出し、
前記比較部は、
前記複数のフォーカス評価値の値を比較し、前記比較の結果に基づいて最大のフォーカス評価値を選択することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記加算画像取得部は、
前記複数色の各色と前記重み付けの係数との対応が異なる前記複数の加算画像を取得し、
前記フォーカス制御部は、
前記複数の差分画像の各差分画像に基づく前記フォーカス評価値のうちの最大のフォーカス評価値に基づいて、前記フォーカス制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記撮像素子には、前記複数色の画素としてRGBの画素がベイヤ配列で配列され、
前記加算画像取得部は、
R色に対する前記重み付けの係数がG色及びB色に対する前記重み付け係数よりも大きい第1の加算画像と、G色に対する前記重み付けの係数がR色及びB色に対する前記重み付けの係数よりも大きい第2の加算画像と、B色に対する前記重み付けの係数がR色及びG色に対する前記重み付けの係数よりも大きい第3の加算画像と、を取得し、
前記差分画像生成部は、
前記第1〜第3の加算画像から第1〜第3の差分画像を生成し、
前記フォーカス制御部は、
前記第1〜第3の差分画像に対応する第1〜第3のフォーカス評価値のうちの前記最大のフォーカス評価値に基づいて、前記フォーカス制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記平均画像に基づいて露出評価値を算出する露出評価値算出部と、
前記露出評価値に基づいて露出制御を行う露出制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記加算画像取得部は、
前記撮像素子による撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
前記加算単位を前記撮像画像の複数の画素毎に設定し、前記加算単位に含まれる画素値を前記重み付け加算して前記加算画素値を求め、求めた前記加算画素値による加算画像を生成する加算画像生成部と、
を有し、
前記加算画像生成部は、
前記加算単位を順次画素シフトさせて、第1〜第nの加算画像(nは2以上の自然数)を前記複数の加算画像として生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記加算画像生成部は、
前記加算単位を、水平又は垂直に1画素ずつ順次シフトさせて第1〜第nのポジションに設定し、前記第1〜第nのポジションにおいてそれぞれ前記第1〜第nの加算画像を取得し、
前記第1〜第nのポジションのうちの第mのポジションと第m+1のポジションの前記加算単位は、共通の画素を含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記平均画像生成部は、
前記第1〜第nのポジションの前記加算画素値の平均値を、前記平均画像の画素値として求め、
前記差分画像生成部は、
前記平均画像の画素値と、前記第mのポジションの前記加算画素値の差分値を、前記第mの差分画像の画素値として求めることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記平均画像と前記複数の差分画像から前記複数の加算画像を再生成する加算画像再生成部と、
再生成された前記複数の加算画像に基づいて前記重み付け加算前の画素値を推定する推定演算部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記複数の差分画像を圧縮する圧縮処理部と、
圧縮された前記複数の差分画像を伸張し、伸張した前記複数の差分画像を前記加算画像再生成部に出力する伸張処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
複数色の画素が撮像素子に配列される場合に、所定の画素数で構成される加算単位において、前記加算単位に含まれる画素の画素信号に対して所定の重み付けを行って加算して複数の加算画像を取得し、
前記複数の加算画像を平均した平均画像を生成し、
前記複数の加算画像の各加算画像と前記平均画像との差分である複数の差分画像を生成し、
前記複数の差分画像のうちの少なくとも1つの差分画像に基づいて、フォーカス評価値を算出し、
前記フォーカス評価値に基づいてフォーカス制御を行うことを特徴とするフォーカス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−50531(P2013−50531A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187387(P2011−187387)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】