説明

撮像装置及び交換レンズ

【課題】 レンズの消費電流が大きくなるタイミングとバッテリチェックのタイミングとが重なった場合、正しいバッテリチェックやバッテリ残量表示が出来ない場合がある。
【解決手段】 交換レンズを装着可能であって、当該交換レンズに電力を供給可能なバッテリを備えたカメラが、レンズと通信するための第1の端子と第2の端子を有し、レンズとの通信方式として同期通信と非同期通信を切り替え可能である。非同期通信時において、カメラはクロック信号を用いずに前記第1の端子又は前記第2の端子のいずれかでデータ通信する。このとき、前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルが所定レベルの間はバッテリチェックを行わないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ交換可能な撮像装置及びその撮像装置に装着可能な交換レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バッテリ電圧を測定することによりバッテリの残量チェックを行うカメラがある。特に、測定した電圧が基準値より低い場合に、表示部に警告を表示して使用者にバッテリ残量が少ないことを知らせるものが知られている。
【0003】
特許文献1では、バッテリ電圧と前もって設定されている基準電圧とを比較することによりバッテリ残量をチェックし、バッテリ残量が所定基準値より低い場合は表示や撮影等の動作を制限することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−252320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズ交換式のカメラにおいては、カメラに備えられたバッテリがカメラ・レンズ双方のマウントに設けられた端子を介してレンズに電力を供給する。
ところで、従来のカメラではレンズの消費電力をカメラ側で正しく予測する手段を備えていないので、正しいバッテリチェックやバッテリ残量表示を行うことが出来ない場合がある。図15の波形は交換レンズを装着したときのカメラのバッテリチェックの波形図である。例えば、絞りやフォーカスレンズを駆動するタイミングにおいて、図15Aのようにレンズの消費する電流が大きくなる。このようにレンズの消費電流が大きくなるタイミングと、バッテリ電圧を測定するタイミングとが重なった場合、測定した電圧が本来の値よりも低くなってしまい、正しいバッテリチェックが出来ないという問題がある。また、正しいバッテリチェックが出来ないと、バッテリの残量表示を正しく行うことが出来なくなる。
【0006】
本発明の目的は、レンズの消費電流が大きくなるタイミングをカメラに通知し、正しいバッテリチェックやバッテリ残量表示を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、交換レンズを装着可能で、当該交換レンズに電力を供給可能なバッテリを備えた撮像装置であって、前記交換レンズと通信するための第1の端子及び第2の端子と、前記バッテリの残量を検出する検出手段と、前記交換レンズとの通信モードとして、前記第1の端子を介してクロック信号を送信し当該クロック信号に基づいて前記第2の端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1の端子又は前記第2の端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能な制御手段とを有し、前記第2の通信モードにおいて、前記制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルが所定レベルの間は前記検出手段が前記バッテリの残量検出動作を行わないように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0008】
第2の本発明は、交換レンズを装着可能で、当該交換レンズに電力を供給可能なバッテリを備えた撮像装置であって、前記交換レンズと通信するための第1の端子及び第2の端子と、前記バッテリの残量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記バッテリの残量が所定値より少ない場合に警告を報知可能な報知手段と、前記交換レンズとの通信モードとして、前記第1の端子を介してクロック信号を送信し当該クロック信号に基づいて前記第2の端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1の端子又は前記第2の端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能な制御手段とを有し、前記第2の通信モードにおいて、前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルが第1のレベルのとき、前記バッテリの残量が所定値より少ない場合に前記報知手段が警告を報知し、前記信号レベルが前記第1のレベルと異なる第2のレベルのとき、前記報知手段が警告を報知しないことを特徴とする撮像装置である。
【0009】
第3の本発明は、光学部材を有し、撮像装置に装着可能な交換レンズであって、前記撮像装置と通信するための第1のレンズ側端子及び第2のレンズ側端子と、前記撮像装置との通信モードとして、前記第1のレンズ側端子を介して受信した信号をクロック信号として当該クロック信号に基づいて前記第2のレンズ側端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1のレンズ側端子又は前記第2のレンズ側端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能なレンズ側制御手段とを有し、前記第2の通信モードにおいて、前記レンズ側制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子を介して、前記光学部材の駆動状態を伝える信号を送信することにより、前記光学部材の駆動中に前記撮像装置がバッテリの残量検出動作を行わないようにさせることを特徴とする交換レンズである。
【0010】
第4の本発明は、光学部材を有し、撮像装置に装着可能な交換レンズであって、前記撮像装置と通信するための第1のレンズ側端子及び第2のレンズ側端子と、前記撮像装置との通信モードとして、前記第1のレンズ側端子を介して受信した信号をクロック信号として当該クロック信号に基づいて前記第2のレンズ側端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1のレンズ側端子又は前記第2のレンズ側端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能なレンズ側制御手段とを有し、前記第2の通信モードにおいて、前記レンズ側制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子を介して、前記光学部材の駆動状態を伝える信号を送信することにより、前記光学部材の駆動中に前記撮像装置がバッテリ残量低下の警告を報知しないようにさせることを特徴とする交換レンズである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズの消費電流が大きくなるタイミングをレンズからカメラに通知することにより、正しいバッテリチェックやバッテリ残量表示が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施したカメラと交換レンズの回路構成を表す図
【図2】マイクロコンピュータの回路ブロック図
【図3】通信制御回路のブロック図
【図4】本発明を実施したカメラと交換レンズとによるカメラシステム動作フローチャート図
【図5】本発明を実施したカメラ側マイクロコンピュータの動作フローチャート図
【図6】本発明を実施したカメラ側マイクロコンピュータの動作フローチャート図
【図7】本発明を実施したレンズ側マイクロコンピュータの動作フローチャート図
【図8】同期通信におけるカメラと交換レンズとの通信信号のタイミングチャート図
【図9】非同期通信におけるカメラと交換レンズとの通信信号のタイミングチャート図
【図10】本発明を実施した交換レンズのレンズ駆動時のフローチャート図
【図11】本発明を実施した交換レンズの絞り駆動時のフローチャート図
【図12】実施例1におけるカメラのバッテリチェック時のフローチャート図
【図13】実施例2におけるカメラのバッテリチェック時のフローチャート図
【図14】実施例2におけるカメラのバッテリチェック時のフローチャート図
【図15】実施例3におけるカメラのバッテリチェック時のフローチャート図
【図16】実施例3におけるカメラのバッテリチェック時のフローチャート図
【図17】本発明を実施したカメラのバッテリチェックの回路ブロック図
【図18】カメラと交換レンズのバッテリチェック時の波形図
【図19】バッテリ残量不足の警告表示例
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施例1]
<カメラとレンズのシステム構成>
図1は本発明を実施したカメラと交換レンズの回路構成を表す図である。図1において1は撮像装置としてのカメラ、2は交換レンズである。カメラ1はマウント部3を、交換レンズ2はレンズマウント部4をそれぞれ有する。カメラ1の内部にはバッテリ11、電源生成部12、カメラ側マイクロコンピュータ20がある。電源生成部12はバッテリ11が出力する電圧を入力して、カメラ側マイクロコンピュータ20等の電気回路が動作するために最適に安定化された電源電圧を発生し、これを電気回路各部に供給する。19はバッテリ11の残量を検知するためのバッテリチェック回路である。通常カメラ1の内部には露出制御のための測光センサー、オートフォーカス制御のための測距センサー、デジタル画像を撮影するための撮像素子やその駆動回路、AD変換回路、画像処理回路、液晶モニタとその駆動回路、デジタル画像を記録する為のメモリ、メカ駆動用のモータードライバなどの回路構成が存在するが、本発明の主旨には深く関わらないので不図示としてある。
【0014】
13から18はカメラ1側に設けられた交換レンズ2との電気信号授受のための接点部である。15はカメラ1と交換レンズ2が通信を行う場合に同期クロック信号等を伝達するためのカメラ側CLK端子、16はカメラ1から交換レンズ2へ通信データを送信するためのカメラ側DOC端子、17は交換レンズ2からカメラ1への通信データを受信するためのカメラ側DOL端子である。これらの端子15〜17はカメラ側マイクロコンピュータ20と接続されている。18はカメラ側接地端子である。また、19は温度センサーでカメラ周辺の温度に関する情報を出力する。その温度出力はカメラ側マイクロコンピュータ20に接続されている。13は電源生成部12が発生したレンズ用電源を交換レンズ2内の各モータに供給するためのカメラ側第1電源端子である。14は電源生成部12が発生したレンズ用電源を交換レンズ2内のレンズ側マイクロコンピュータ21に供給するためのカメラ側第2電源端子である。
【0015】
交換レンズ2の内部にはレンズ側マイクロコンピュータ21があり、23から28はレンズ2側に設けられたカメラ1との電気信号授受のための接点部である。25はカメラ1と通信を行う場合に同期クロック信号等を伝達するためのレンズ側CLK端子、26はカメラ1から交換レンズ2への通信データを受信ためのレンズ側DOC端子、27は交換レンズ2からカメラ1へ通信データを送信するためのレンズ側DOL端子である。28は接地端子である。23はカメラ1から各モータへの電源供給を受けるためのレンズ側第1電源端子である。24はカメラ1からレンズ側マイクロコンピュータ21への電源供給を受けるためのレンズ側第2電源端子である。
【0016】
カメラ1に交換レンズ2が正常に装着されると、カメラ側の端子13〜18とレンズ側の端子23〜28が図示したとおりにそれぞれ1対1に接続される。
なお、本発明はカメラとレンズとの間で無線通信を行う場合においても適用できる。
また、本実施例ではカメラ側の端子13〜18がマウント部3に設けられる構成としたが、カメラ側CLK端子15はマウント部3以外に設けられる構成としても良い。同様に、レンズ側の端子23〜28がレンズマウント部4に設けられる構成としたが、レンズ側CLK端子25はレンズマウント部4以外に設けられる構成としても良い。
【0017】
<通信制御に関するマイクロコンピュータの回路構成>
図2はカメラ側マイクロコンピュータ20或いはレンズ側マイクロコンピュータ21に内蔵される回路構成のうち、シリアル通信制御に関わる構成を示したものである。カメラ側マイクロコンピュータ20とレンズ側マイクロコンピュータ21とは当然別物であるが、シリアル通信制御に関わる構成としては同一の構成要件を持っていて構わないので共通の図面で説明する。
【0018】
31は発振子で例えば水晶発振子やセラミック振動子などが使われる場合が多い。こうした発振子についてはマイクロコンピュータに内蔵される場合に限らず、外付けされる場合もある。32はクロック発生回路で発振子31に接続されて源振クロックを発生させる源振回路、源振クロックをより高い周波数へ変換する逓倍回路、逓倍回路で変換された高周波数のクロックを元に分周・合成等を行い様々な周波数のクロックを生成するクロック生成回路などから構成される。33は通信制御回路で図3を使って詳しく説明する。34はカウンタ・タイマー回路で入力される信号のパルス数をカウントしたり、入力される信号の時間幅を測定したりすることができる。クロック発生回路32で生成されたクロック信号は通信制御回路33及びカウンタ・タイマー回路34に供給される。
【0019】
35〜37はIO制御回路で、それぞれ入出力端子45〜47の入出力信号のデータ入出力方向及び入出力信号種類並びに入出力回路形態を切替える回路である。データ入出力方向切替えというのは文字通り端子をデータ入力として使うか、データ出力として使うかの切替えである。入出力信号種類切替えというのは通常のパラレルIO信号の入出力信号を端子に接続するか、通信制御回路33との入出力信号を端子に接続するかの切替えである。入出力回路形態の切替えというのは先述した特許文献1に記載されているオープンドレイン方式で出力するかCMOS方式で出力するかの切替え並びにプルアップ抵抗を接続するか否かの切替えを行う。IO制御回路35は入出力端子45の入出力切替えを行うもので、通信制御回路33からは同期クロック信号SCLKが接続されていて、このSCLK信号をカウンタ・タイマー回路34に供給可能である。IO制御回路36は入出力端子46の入出力切替えを行うもので、通信制御回路33からはシリアル通信データ出力信号TXDが接続されている。IO制御回路37は入出力端子47の入出力切替えを行うもので、通信制御回路33からはシリアル通信データ入力信号RXDが接続されている。
【0020】
38は割り込み制御回路で通信制御回路33及びカウンタ・タイマー回路34から割り込み発生信号が接続されている。40はマイクロコンピュータ内のデータバスで説明してきた通信制御回路33及びカウンタ・タイマー回路34やIO制御回路35〜37はこのデータバス40に接続されて動作に必要なデータの受け渡しができる。尚、マイクロコンピュータ内には図2に記載以外のALU、プログラムカウンタ、ROM、RAM、ADコンバータ等の回路構成が存在するが、不図示としてある。
【0021】
カメラ側マイクロコンピュータ20の場合、入出力端子45は図1のカメラ側CLK端子15に、入出力端子46は図1のカメラ側DOC端子16に、入出力端子47は図1のカメラ側DOL端子17にそれぞれ接続される。
レンズ側マイクロコンピュータ21の場合、入出力端子45は図1のレンズ側CLK端子25に、入出力端子46は図1のレンズ側DOL端子27に、入出力端子47は図1のレンズ側DOC端子26にそれぞれ接続される。これは本実施例の説明ではDOC信号をカメラ1からレンズ2への送信データ、DOL信号をレンズ2からカメラ1への送信データとしているためである。
【0022】
図3は図2で示した通信制御回路33についてより詳細な構成を説明するための図である。クロック発生回路32が発生する様々な周波数のクロック信号はボーレートジェネレータ51に入力される。ボーレートジェネレータ51はデータバス40を通して送られてくる各種通信設定データに従って通信制御に必要なクロック信号を発生させる。通信設定データとしては通信のマスターかスレーブかの切替え、同期通信か非同期通信かの切替え、同期通信の場合の同期クロック周波数設定、非同期通信の場合の非同期サンプリングクロック周波数設定などがある。通信設定データにより同期通信及び通信マスターが設定されている場合は、同期通信の場合の同期クロック周波数設定値に従った同期クロック信号SCLKを出力する。通信設定データにより同期通信及び通信スレーブが設定されている場合は、同期クロック信号SCLKを入力することになる。同期クロック信号SCLKは52の送受信制御ブロックにも供給される。通信設定データにより非同期通信が設定されている場合は、非同期通信の場合の非同期サンプリングクロック周波数設定に従ったサンプリング用クロックを送受信制御ブロック52に供給する。送受信制御ブロック52はやはりデータバス40を通して送られてくる各種通信設定データに従って後述する送信シフトレジスタ53及び受信シフトレジスタ54にシフトクロックを供給したり、送受信のトリガ信号を入出力してシリアル通信のタイミング制御を行う。また、シリアル通信の送受信完了のタイミングで割り込み信号の発生も行う。53は送信シフトバッファで、シリアル通信で送信するデータをパラレル入力し信号TXDとしてシリアル出力する。シリアル出力するためのシフトクロックは送受信制御ブロック52から供給される。非同期通信する場合は送信トリガ信号を送受信制御ブロック52から入力する。54は受信シフトレジスタで、シリアル通信で受信するデータ信号RXDをシリアル入力しパラレル出力する。シリアル入力するためのシフトクロックは送受信制御ブロック52から供給される。非同期通信する場合は受信トリガ信号を送受信制御ブロック52に出力する。55は送信データレジスタでデータバス40より送信用データを入力されて、送信シフトレジスタ53にデータセットする。56は受信データレジスタで受信シフトレジスタ54より受信データを入力されてデータバス40に出力可能とする。
【0023】
<カメラ・レンズ間の通信設定動作>
図4は本発明を実施したカメラと交換レンズとからなるカメラシステムの通信に関する設定動作フローチャートである。カメラ側及びレンズ側マイクロコンピュータ個々の動作フローは後述するが、最初に全体的な動作の流れとして図4を説明する。
不図示の電源スイッチがオンされてカメラ1と交換レンズ2とが動作可能になると、フローチャートの(ステップ101)から動作を開始する。
【0024】
(ステップ101)カメラ側マイクロコンピュータ20は交換レンズ2との通信方式の初期設定として従来レンズ及び新レンズとも対応可能な同期通信を行うように、通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定を行う。この設定によりカメラ側マイクロコンピュータ20においては通信を行う際は通信マスターとして通信同期クロックSCLK信号が入出力端子45から出力される設定となる。さらにカメラ側マイクロコンピュータ20においてはカメラ1から交換レンズ2への送信データTXD信号が入出力端子46から出力され、交換レンズ2からカメラ1への送信データRXD信号が入出力端子47から入力される設定となる。
【0025】
交換レンズは非同期通信対応可能な新レンズであったとしても、初期設定としては同期通信のスレーブ設定を通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37に対して行う。この設定によりレンズ側マイクロコンピュータ21においては通信同期クロックSCLK信号を入出力端子45より入力する設定となる。加えてレンズ側マイクロコンピュータ21においては交換レンズ2からカメラ1への送信データTXD信号が入出力端子46から出力され、カメラ1から交換レンズ2への送信データRXD信号が入出力端子47から入力される設定となる。
【0026】
(ステップ102)カメラ1と交換レンズ2との間で同期方式による通信を行う。図8は同期通信方式におけるカメラと交換レンズとの間のプロトコル例である。信号CLKは同期通信用の同期クロックであり、カメラと交換レンズとの間では通常はカメラ側が通信のマスター側になるので、カメラが出力してレンズが入力する。本例では8ビットを1送信単位として同期クロックCLKの立下りエッジに同期して信号DOC及びDOLのデータが変化して、同期クロックCLKの立ち上がりエッジにてカメラ1側はDOLのデータを、レンズ2側はDOCのデータをラッチする例で記載している。信号DOC及びDOLのレベルが同期クロックCLKの立下りエッジに同期してどのように変化するかは送信するデータの各ビット毎の値に依存する。
【0027】
この通信でカメラ側はDATA_C1にて交換レンズに対して交換レンズの種類や名称或いは非同期通信対応可能な新タイプか否かを知るためのレンズ情報送信コマンドを送信する。交換レンズ側はレンズ情報送信コマンドを受信すると、これに対応したレンズ情報をDATA_L2にてカメラに送信する。(ステップ103)カメラ側マイクロコンピュータ20は受信したレンズ情報DATA_L2を解析して、現在装着されている交換レンズが非同期通信対応可能か否かを判別する。カメラ側マイクロコンピュータ20は現在装着されている交換レンズが非同期通信対応可能であると判別されると(ステップ104)へ進む。
【0028】
(ステップ104)カメラは交換レンズに対して再び同期方式による通信を行い、非同期通信を行う際のボーレート調整用に測定するパルス出力をするようにコマンドを送信する。
レンズ側はこのコマンドを受信したならば非同期通信を行う際のボーレート調整用にカメラが測定するパルス出力を行う。ボーレート調整用パルスの出力に関するタイミングチャートの例を図8に示す。カメラ側マイクロコンピュータ20が図8のカメラ側送信データDATA_C1にて交換レンズに対してボーレート調整用パルスの出力を要求するコマンドを送信する。レンズ側マイクロコンピュータ21はそのデータを受信してそのコマンドを解析する間、CLK信号をL出力にしてBusyを設定する。Busyの間、カメラはレンズと通信を行うことができない。その後コマンド解析ができて次の通信を受けられるようになると、レンズ側マイクロコンピュータ21はCLK信号をHレベルとしてBusy解除を行い、カメラに知らせる。
【0029】
カメラ側マイクロコンピュータ20はCLK信号がHレベルとなりレンズ側のBusy解除を知ると送信データDATA_C2を送信する。この場合の送信データDATA_C2のデータはdon’t careデータであり、単にレンズ側にボーレート調整用パルスの出力を行うためのタイミングトリガとして送信する。
【0030】
レンズ側マイクロコンピュータ21は送信データDATA_C2を受信して通信割り込みが発生すると、直ちにCLK信号をL出力にすることでボーレート調整用パルスTmesを出力する。ボーレート調整用パルスTmesはレンズ側マイクロコンピュータ21の発振回路32により発生している動作クロックの予め決められたクロックカウント分だけの時間出力する。例えばレンズ側マイクロコンピュータ21の発振回路32により発生している動作クロックが10MHzとして、ボーレート調整用パルスTmesとして65536クロック分出力するとすれば、6.5536msec.の時間このパルス出力が行われる。仮に、レンズ側マイクロコンピュータ21の発振回路32により発生している動作クロックが回路素子の誤差要因により10.1MHzになっていたとすれば、ボーレート調整用パルスTmesの時間幅は6.4887 msec.となり、レンズ側マイクロコンピュータ21の発振回路の発振周波数の精度ずれがこのパルスの時間幅に反映される。
【0031】
カメラ側マイクロコンピュータ20は送信データDATA_C2送信後に入出力端子45の立下りエッジを開始、同端子の立ち上がりエッジを終了にしてカウンタ・タイマー回路34による時間計測を行い、このボーレート調整用パルスTmesの時間測定をする。
【0032】
仮にカメラ側マイクロコンピュータ20が16MHzのクロックにてカウンタ・タイマー回路34による時間計測を行った場合、6.5536msec.の時間は104857カウントになり、6.4887 msec. の時間は103819カウントになる。また仮にカメラ側マイクロコンピュータ20が16.16MHzのクロックにてカウンタ・タイマー回路34による時間計測を行った場合、6.5536msec.の時間は105906カウントになり、6.4887 msec. の時間は104857カウントになる。よって、このボーレート調整用パルスTmesの時間計測により、カメラ側マイクロコンピュータ20は自身の発振周波数精度に対する相対的なレンズ側マイクロコンピュータ21の発振周波数精度ずれを知ることができる。
【0033】
(ステップ105)カメラ側マイクロコンピュータ20は前記(ステップ104)で得られたボーレート調整用パルスTmesのカウント値を元に相対的なレンズ側マイクロコンピュータ21の発振周波数精度ずれを勘案し、非同期通信のボーレートを調整する。
【0034】
例として予め取り決めた非同期通信のボーレートが19200bpsであったとする。レンズ側マイクロコンピュータ21の発振回路の発振周波数がずれのない10MHzであった場合は、レンズ側マイクロコンピュータ21はボーレートが19200bpsでの非同期通信データ送受信ができる。しかし回路素子の誤差要因により10.1MHzにて発振しているレンズ側マイクロコンピュータ21の場合はボーレートを19200bpsに設定したつもりでも、その周波数ずれの分19392bpsになってしまう。非同期通信の場合は同期クロックが存在しない分、こうした双方のボーレートずれが所定内に収まっていないとデータサンプリングエラーを起こして正常な送受信ができない。よって、カメラ側マイクロコンピュータ20は相対的なレンズ側マイクロコンピュータ21の発振周波数精度ずれに相応して最適なボーレート設定を行う。
【0035】
(106)カメラ側マイクロコンピュータ20は交換レンズとの通信方式の設定変更を行い、非同期通信を行うように通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定を行う。レンズ側マイクロコンピュータ21もカメラとの通信方式の設定変更を行い、非同期通信を行うように通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定を行う。
【0036】
本ステップの実行以降は、カメラと交換レンズ間の通信は非同期通信にて行われる。図9は非同期通信における通信タイミングチャート例である。カメラ側からレンズ側にレンズ情報の送信要求コマンド或いはレンズ側のアクチュエータの駆動コマンドを送信する場合は、DOC信号に設定されたボーレートでの非同期データパターンを出力する。多くの場合、まずLレベルのスタートビットを出力し、その後所定ビット数のデータを設定したボーレートにて出力する。所定ビット数のデータを出力し終えるとHレベルのストップビットを出力し送信が完了する。CLK信号を出力する必要は無いし、DOL信号を同時に受ける必要も無い。
【0037】
カメラ側から送信されたコマンドに対してレンズ側がレンズ情報をカメラに対して送信する場合は、これもCLK信号を使うこともなくレンズ側がデータ送信の準備ができたならば任意のタイミングでDOL信号にこれを出力することで行われる。通信プロトコルはDOC信号の場合と同様である。
【0038】
このような非同期通信方式に切替えることで、カメラ側マイクロコンピュータ20とレンズ側マイクロコンピュータ21との間で基本送信単位毎に行っていたBusy解除確認を行う必要がない。
以上でカメラと交換レンズとからなるカメラシステムの通信に関する設定動作フローの説明を終える。
【0039】
次にカメラ側マイクロコンピュータ20側における交換レンズとの通信設定に関する動作フローを図5から始まるフローチャートにて説明する。
不図示の電源スイッチがオンされてカメラ側マイクロコンピュータ20が動作を開始して交換レンズと通信を行う場合、図5の(ステップ111)からの動作フローを実行する。
【0040】
(ステップ111)図4のカメラシステムの動作フロー(ステップ101)で説明したように最初は同期通信を行うように通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定が行われている。従って、同期通信を行う場合の手順である同期クロック信号CLKを出力する端子の入力レベルをチェックして、レンズ側がBusy状態でないかどうかを判別する。信号CLKを出力する端子の入力レベルがHレベルで、レンズ側がBusy状態ではない場合は(ステップ112)へ進む。
【0041】
(ステップ112)最初に交換レンズに対して送信するデータDATA_C1を送信シフトレジスタにセットして同期通信を行う。DATA_C1の内容は交換レンズに対して交換レンズの種類や名称或いは非同期通信対応可能な新タイプか否かを知るためのレンズ情報送信コマンドである。
【0042】
(ステップ113)同期クロック信号CLKを出力する端子の入力レベルをチェックして、レンズ側がBusy状態でないかどうかを判別する。送信したデータDATA_C1の内容をレンズ側が解析してそれに対応する処理をする間はレンズがCLKを出力する端子をLレベルとしてBusy状態になるので、その処理が完了してレンズ側がBusy状態ではなくなるのを待ってから(ステップ114)へ進む。
【0043】
(ステップ114)don’t careデータDATA_C2を送信シフトレジスタ53にセットして同期通信を行う。
【0044】
(ステップ115)前ステップでDATA_C2を送信した際に交換レンズから送られてくるレンズ情報であるDATA_L2を受信シフトレジスタから入力する。
【0045】
(ステップ116)前ステップで入力したレンズ情報を解析し、現在装着されている交換レンズが非同期通信対応可能か否かを判別する。カメラ側マイクロコンピュータ20は現在装着されている交換レンズが非同期通信対応可能であると判別すると図6の(ステップ151)へ進む。
【0046】
(ステップ151)カメラ側マイクロコンピュータ20は同期クロック信号CLKを出力する端子の入力レベルをチェックして、レンズ側がBusy状態でないかどうかを判別する。信号CLKを出力する端子の入力レベルがHレベルで、レンズ側がBusy状態ではない場合は(152)へ進む。
【0047】
(ステップ152)交換レンズに対して送信するデータDATA_C1を送信シフトレジスタにセットして同期通信を行う。DATA_C1の内容は非同期通信を行う際のボーレート調整用に測定するパルスを交換レンズ側に出力をするよう要求するコマンドである。
【0048】
(ステップ153)同期クロック信号CLKを出力する端子の入力レベルをチェックして、レンズ側がBusy状態でないかどうかを判別する。信号CLKを出力する端子の入力レベルがHレベルで、レンズ側がBusy状態ではない場合は(ステップ154)へ進む。
【0049】
(ステップ154)don’t careデータDATA_C2を送信シフトレジスタにセットして同期通信を行う。
【0050】
(ステップ155)図4のステップ(ステップ104)で説明したように、このデータDATA_C2の受信直後から交換レンズがCLK信号をL出力にすることでボーレート調整用パルスTmesを出力する。このボーレート調整用パルスTmesの出力がされたらカウンタ・タイマー回路34による時間計測を開始する。
【0051】
(ステップ156)交換レンズがCLK信号をH出力としボーレート調整用パルスTmesの出力が終了するとカウンタ・タイマー回路34による時間計測を終了する。カウンタ・タイマー回路34による計測値を入力してカメラ側マイクロコンピュータ20は自身の発振周波数精度に対する相対的なレンズ側マイクロコンピュータ21の発振周波数精度ずれに関する情報とする。
【0052】
(ステップ157)カウンタ・タイマー回路34による計測値の理想値からのずれ値に従って非同期通信を行う際のボーレートを決定する。
【0053】
(ステップ158)カメラ側マイクロコンピュータ20は交換レンズとの通信方式の設定変更を行い、非同期通信を行うように通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定を行う。前ステップで決定されたボーレートが通信制御回路33に設定される。
【0054】
以降は交換レンズとの通信は図9で説明したような非同期通信方式にて行われる。
尚、図5の(ステップ116)にて交換レンズが非同期通信に対応していないレンズであると判別された場合には図6にて説明したステップは実行せずに、そのまま同期通信方式による交換レンズとの通信を継続する。
【0055】
続いてレンズ側マイクロコンピュータ21側におけるカメラとの情報通信に関する動作フローを図7に示すフローチャートにて説明する。
交換レンズ2がカメラ1に装着されてカメラから電源供給を受けてレンズ側マイクロコンピュータ21が動作可能となると、図4の(ステップ101)で説明したように最初は同期方式の通信のスレーブ側として通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定を済ます。この状態でカメラからの同期通信による割り込みが発生すると(ステップ201)からの動作フローを実行する。
【0056】
(ステップ201)同期クロック信号CLKを受信する端子をLレベルにし、レンズ側がBusy状態であることをカメラが判別できるようにする。
【0057】
(ステップ202)受信シフトレジスタに入力されているカメラからの送信データDATA_C1を入力し、その内容を解析する。尚、カメラからの送信データは最初はDATA_C1であるが、その後DATA_C2等が送られてくる場合があるので、フローチャート上はDATA_Cxと記載してある。
【0058】
(ステップ203)カメラからの送信データDATA_C1の内容がレンズ側のアクチュエータの駆動命令である場合は(ステップ204)へ進む。
【0059】
(ステップ204)カメラからの送信データDATA_C1の内容に従ってレンズ側のアクチュエータの駆動処理を行う。
【0060】
(ステップ205)レンズ側のアクチュエータの駆動に関する処理が終わり、次のカメラからの通信を受信可能となったかどうかを判別する。受信可能になれば(ステップ208)へ進む。
【0061】
上記(ステップ203)でカメラからの送信データDATA_C1の内容がレンズ側のアクチュエータの駆動命令ではなかった場合は(ステップ206)へ進む。
【0062】
(ステップ206)カメラからの送信データDATA_C1の内容が非同期通信への切替えのためのボーレート調整用パルスTmesの出力を要求するものであるかどうか判別する。もしも、ボーレート調整用パルスTmesの出力を要求するものでなければ、レンズ情報のデータ送信要求であるということで(ステップ207)へ進む。
【0063】
(ステップ207)カメラからの送信データDATA_C1に従い要求されているレンズ情報のデータを送信シフトレジスタ53にセットする。要求されているレンズ情報が交換レンズの種類や名称或いは非同期通信対応可能な新タイプか否かを知るためのレンズ情報であれば、その情報データをセットする。
【0064】
(ステップ208)同期クロック信号CLKを受信する端子をHレベルにし、レンズ側がBusy状態ではなくなったことをカメラが判別できるようにする。
【0065】
もしも、上記(ステップ206)でカメラからの送信データDATA_C1の内容が非同期通信への切替えのためのボーレート調整用パルスTmesの出力を要求するものであれば(ステップ209)へ進む。
【0066】
(ステップ209)図4の(ステップ104)で説明したようにレンズ側マイクロコンピュータ21はボーレート調整用パルスTmesを出力する為の所定のカウント値をカウンタ・タイマー回路34にセットし、カメラからボーレート調整用パルスの出力を行うためのタイミングトリガとしての送信データDATA_C2が送信されるのを待つ。このデータを受信すると(ステップ210)へ進む。
【0067】
(ステップ210)カウンタ・タイマー回路34のカウント開始と同時に同期クロック信号CLKを受信する端子をLレベルとする。カウンタ・タイマー回路34による所定値のカウントが完了すると同時に同期クロック信号CLKを受信する端子をHレベルとする。これでボーレート調整用パルスTmesの出力が完了する。
【0068】
(ステップ211)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラとの通信方式の設定変更を行い、非同期通信を行うように通信制御回路33並びにIO制御回路35〜37の設定を行う。
以降、カメラとの通信は図9にて説明した非同期通信にて行われる。
【0069】
また、非同期通信に対応可能な交換レンズが、非同期通信に対応していないカメラに装着されるケースも考えられる。その場合はカメラ側からボーレート調整用パルスTmesの出力を要求するコマンドが送信されてくることはないので、上記(ステップ209)〜(ステップ211)のステップを実行することは無い。よってこの場合は同期方式の通信を継続する。
【0070】
<同期通信から非同期通信への切り替え>
本発明のカメラは、同期通信と非同期通信を切り替え可能なものを想定している。また、上述したように非同期通信に対応可能なレンズが装着されると、はじめに同期通信を行い、ボーレート設定後に非同期通信に切り替える。ここで、非同期通信に切り替える意義について以下に説明する。
【0071】
同期通信では、通信と通信との間でレンズが受信したデータを解析して次の通信でカメラへ送るデータをセットするため、また受信したデータに基づいて処理を実行するための待ち時間が設けられる。この待ち時間が生じている状態をBusyと呼び、Busyの間はレンズはカメラからの通信を受け付けない。そのため、クロック速度をいくら高速化しても、カメラ側のマイクロコンピュータはレンズのBusy解除を待ちながら通信するために、動作パフォーマンスの向上には限界がある。一方、レンズ側のマイクロコンピュータには頻繁にカメラからの通信割り込みが発生し、その都度Busy信号出力及び解除のための通信割り込み処理を優先的に行わなければならないので、こちらも動作パフォーマンス向上の弊害となる。
【0072】
そこで、本発明のように同期通信と非同期通信を切り替え可能なカメラとすることで、同期通信を用いた交換レンズにも対応しつつ、非同期通信に対応可能なレンズが装着されたときはBusyを設けない非同期通信を行うことで動作パフォーマンスの向上が可能になる。
【0073】
<レンズ側マイクロコンピュータによる制御>
非同期通信では、同期クロック信号SCLKを用いずにデータの通信を行う。そのため、同期通信と非同期通信を切り替え可能なカメラでは、非同期通信の際にCLK端子が余る。この余ったCLK端子(以下、HEAVY端子)を用いて、非同期通信時にレンズの状態を伝える信号をカメラへ送信するのに用いることができる。
【0074】
レンズ側マイクロコンピュータ21によるレンズ内各モータの動作制御について説明する。図10はフォーカスレンズ駆動用モータ動作についてのフローチャート、図11は絞り駆動用モータ動作についてのフローチャートである。
まず、図10を用いてフォーカスレンズ駆動用モータ動作について説明する。
【0075】
(ステップ501)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラからオートフォーカス用のレンズ駆動コマンドを受信すると(ステップ502)へ進む。
【0076】
(ステップ502)レンズ側マイクロコンピュータ21は現在のレンズのフォーカス位置と駆動速度を元にレンズ駆動量を演算する。
【0077】
(ステップ503)レンズ側マイクロコンピュータ21は現状の駆動速度と必要な駆動量から、電力消費量が所定以上になるか計算し、所定以上の場合は(ステップ504)へ、所定以下の場合は(ステップ505)へ進む。
【0078】
(ステップ504)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラと接続しているHEAVY端子の信号レベルをHiにする。
【0079】
(ステップ505)レンズ側マイクロコンピュータ21はレンズ駆動回路22へ信号を送りレンズ内のフォーカスレンズ駆動モータ29を駆動する。
【0080】
(ステップ506)レンズ側マイクロコンピュータ21はレンズ駆動量が所定値になったらレンズ駆動回路22へ信号を送り、レンズ内のフォーカスレンズ駆動モータ29の駆動を停止させる。
【0081】
(ステップ507)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラ1に接続しているHEAVY端子の信号レベルをLoにする。
【0082】
次に、図11を用いて絞り駆動用モータ動作について説明する。
【0083】
(ステップ601)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラ1から絞り駆動のコマンドを受信すると(ステップ602)へ進む。
【0084】
(ステップ602)レンズ側マイクロコンピュータ21は絞り駆動量を演算する。
【0085】
(ステップ603)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラ1と接続しているHEAVY端子の信号レベルをHiにする。
【0086】
(ステップ604)レンズ側マイクロコンピュータ21は絞り駆動回路30へ信号を送り、絞り駆動モータ39による絞り駆動を開始する。
【0087】
(ステップ605)レンズ側マイクロコンピュータ21は絞り値が所定値になったら絞り駆動回路30へ信号を送り、絞り駆動モータ39による絞り駆動を停止させる。
【0088】
(ステップ606)レンズ側マイクロコンピュータ21はカメラ1に接続しているHEAVY端子の信号レベルをLoにする。
【0089】
<バッテリチェック>次に、図12を用いて本実施例におけるカメラのバッテリチェックについて説明する。
【0090】
(ステップ701)カメラ側マイクロコンピュータ20はHEAVY端子がLoかどうかを確認し、Yesの場合は(ステップ702)に進み、Noの場合は正しいバッテリチェックが出来ない状態であるのでLoになるまで待ち続ける。
【0091】
(ステップ702)バッテリチェックを行う。
【0092】
ここで、バッテリチェックの方法を説明する。
図14はバッテリチェック回路19の詳細を示したものである。まず、カメラ側マイクロコンピュータ20がポートBCONにHiを出力する。BCON信号はバッテリチェックのトランジスタ123をオンにする信号で、このBCON信号がHiになるとバッテリ11から抵抗121、抵抗122、トランジスタ123に電流が流れる。この電流が流れたときの抵抗121及び抵抗122で分圧された電圧がカメラ側マイクロコンピュータ20の入力端子BCADに接続されており、この電圧を測定してバッテリチェックを行う。測定したBCADの電圧があらかじめ設定された基準電圧より低い場合は、不図示の表示手段にバッテリ残量不足の警告を表示する。
【0093】
ここで、上記警告とは、バッテリの残量が少なくなっていることを使用者に知らしめるものである。警告の表示例を図19に示す。表示手段として(a)背面の液晶モニタ、(b)外部LCD、(c)ファインダ内LCDに警告を表示する場合を各々示している。図19では乾電池を模したマークを警告に用いているが、この態様に限るものではなく、その形、大きさ、位置、色などを変えてもよく、点滅させたり、文字で表示してもよい。また、視覚的に表示するものに限らず音で報知するようにしてもよく、音による警告と表示手段への警告表示とを組み合わせてもよい。
【0094】
なお、本実施例では非同期通信時に未使用となるCLK端子をHEAVY端子としたが、これに限るものではなく、DOC端子又はDOL端子をHEAVY端子としてもよい。例えばDOC端子をHEAVY端子として用いる場合は、CLK端子とDOL端子を用いてコマンドの通信を行う。この場合、非同期通信時において、カメラ側ではIO制御回路35が送信シフトレジスタ53と接続するように、レンズ側ではIO制御回路35が受信シフトレジスタ54と接続するように回路を切り替える必要がある。
【0095】
上記説明したように、本実施例では絞りやフォーカスレンズの駆動状態をカメラに通知することにより、カメラはレンズの消費電流が大きくなるタイミングを予測することができる。このようなタイミングではバッテリチェックを行わないことにより、カメラは正しいバッテリチェックを行うことが可能になる。
【0096】
[実施例2]
実施例1では、絞りやフォーカスレンズを駆動するタイミングをカメラに通知して、その間バッテリチェックを行わないようにする構成としたが、本発明はこれに限るものではない。レンズの消費電流が大きくなるタイミングでバッテリ電圧を測定しても、その結果に基づいてバッテリ残量表示等の動作を行わないようにすればよい。
【0097】
本実施例においても、レンズ側マイクロコンピュータ21によるレンズ内各モータの動作制御については実施例1と同様に図10及び図11のフローチャートで説明される。
【0098】
次に、図13を用いて本実施例におけるカメラのバッテリチェックについて説明する。
【0099】
(ステップ801)実施例1と同様にBCAD電圧を測定する。
【0100】
(ステップ802)測定したBCAD電圧が基準電圧より低ければ(ステップ803)に進む。
【0101】
(ステップ803)カメラ側マイクロコンピュータ20はHEAVY端子がLoかどうかを確認し、Yesの場合は(ステップ804)に進む。
【0102】
(ステップ804)表示手段にバッテリ不足の警告を表示する。
【0103】
一方(ステップ802)でNoのときは、表示手段に警告を表示しない。また、(ステップ803)でNoのときも、表示手段に警告を表示しない。
【0104】
図13では、BCAD電圧測定後に測定値が基準電圧より低いかどうかを判定し(ステップ802)、低ければHeavy端子がLoかどうか確認する確認する(ステップ803)構成としたが、(ステップ802)と(ステップ803)を逆にしてもよい。すなわち、図14のように、BCAD電圧測定後にHeavy端子がLoかどうか確認し、Loのときに測定値が基準電圧より低いかどうかを判定するようにしてもよい。この場合のカメラのバッテリチェックについて図14を用いて説明する。
【0105】
(ステップ901)実施例1と同様にBCAD電圧を測定する。
【0106】
(ステップ902)カメラ側マイクロコンピュータ20はHEAVY端子がLoかどうかを確認し、Yesの場合は(ステップ903)に進む。
【0107】
(ステップ903)(ステップ901)で測定したBCAD電圧が基準電圧より低ければ(ステップ904)に進む。
【0108】
(ステップ904)警告手段にバッテリ不足の警告を表示する。
【0109】
一方(ステップ902)でNoのときは、表示手段に警告を表示しない。また、(ステップ903)でNoのときも、表示手段に警告を表示しない。
【0110】
なお、本実施例においてもバッテリ残量不足の警告は表示手段に表示するものに限らず音で報知するようにしてもよく、音による警告と表示手段への警告表示とを組み合わせてもよい。
【0111】
上記説明したように、本実施例では、レンズの消費電流が大きくなるタイミングでバッテリ電圧測定を行った場合、測定結果に基づいてバッテリ残量不足の警告表示を行わないようにすることにより、正しいバッテリ残量表示が可能になる。
【0112】
[実施例3]
前述したように、レンズの消費電流が大きくなるタイミングでバッテリ電圧を測定すると、測定値が本来の値より小さくなる。このとき、通常のバッテリチェックで用いる基準電圧より値が小さい第2の基準電圧を設定しておき、当該第2の基準電圧と測定値との比較を行って警告表示を行うか否かの判断を行うようにしてもよい。
【0113】
本実施例においても、レンズ側マイクロコンピュータ21によるレンズ内各モータの動作制御については実施例1と同様に図10及び図11のフローチャートで説明される。
【0114】
図15を用いて本実施例におけるカメラのバッテリチェックについて説明する。
【0115】
(ステップ1001)実施例1と同様にBCAD電圧を測定する。
【0116】
(ステップ1002)測定したBCAD電圧が基準電圧1より低ければ(ステップ1003)に進む。
【0117】
(ステップ1003)カメラ側マイクロコンピュータ20はHEAVY端子がLoかどうかを確認し、Yesの場合は(ステップ1004)に進む。
【0118】
(ステップ1004)表示手段にバッテリ不足の警告を表示する。
【0119】
一方、(ステップ1003)でNoの場合は(ステップ1005)に進む。
【0120】
(ステップ1005)(ステップ1001)で測定したBCAD電圧が基準電圧2より低ければ(ステップ1004)に進み、表示手段に警告を表示する。ここで、基準電圧2は(ステップ1002)の基準電圧1より低い値である。
【0121】
(ステップ1002)でNoの場合は表示手段に警告を表示しない。また、(ステップ1005)でNoの場合も表示手段に警告を表示しない。
【0122】
図15ではBCAD電圧測定後に測定値が基準電圧1より低いかどうかを判定し(ステップ1002)、低ければHeavy端子がLoかどうか確認する確認する(ステップ1003)構成としたが、Heavy端子の確認を先に行ってもよい。すなわち、図16のように、BCAD電圧測定後にHeavy端子がLoかどうか確認し、Loのときに測定値が基準電圧1より低いかどうかを判定するようにしてもよい。この場合のカメラのバッテリチェックについて図16を用いて説明する。
【0123】
(ステップ1101)実施例1と同様にBCAD電圧を測定する。
【0124】
(ステップ1102)カメラ側マイクロコンピュータ20はHEAVY端子がLoかどうかを確認し、Yesの場合は(ステップ1103)に進む。
【0125】
(ステップ1103)(ステップ1101)で測定したBCAD電圧が基準電圧1より低ければ(ステップ1104)に進む。
【0126】
(ステップ1104)表示手段にバッテリ不足の警告を表示する。
【0127】
一方、(ステップ1102)でNoの場合は(ステップ1105)に進む。
【0128】
(ステップ1105)(ステップ1101)で測定したBCAD電圧が基準電圧2より低ければ(ステップ1104)に進み、表示手段に警告を表示する。ここで、基準電圧2は(ステップ1103)の基準電圧1より低い値である。
【0129】
(ステップ1103)でNoの場合は表示手段に警告を表示しない。また、(ステップ1105)でNoの場合も表示手段に警告を表示しない。
【0130】
なお、本実施例においてもバッテリ残量不足の警告は表示手段に表示するものに限らず音で報知するようにしてもよく、音による警告と表示手段への警告表示とを組み合わせてもよい。
【0131】
上記説明したように、本実施例では、レンズの消費電流が大きくなるタイミングでバッテリ電圧測定を行った場合、通常の基準電圧より小さい第2の基準電圧を用いて測定値との比較を行うことにより、正しいバッテリ残量表示が可能になる。
【符号の説明】
【0132】
1 カメラ
2 交換レンズ
11 バッテリ
12 電源生成部
15 カメラ側CLK端子
16 カメラ側DOC端子
17 カメラ側DOL端子
19 バッテリチェック回路
20 カメラ側マイクロコンピュータ
21 レンズ側マイクロコンピュータ
22 レンズ駆動回路
25 レンズ側CLK端子
26 レンズ側DOC端子
27 レンズ側DOL端子
30 絞り駆動回路
32 クロック発生回路
33 通信制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換レンズを装着可能で、当該交換レンズに電力を供給可能なバッテリを備えた撮像装置であって、
前記交換レンズと通信するための第1の端子及び第2の端子と、
前記バッテリの残量を検出する検出手段と、
前記交換レンズとの通信モードとして、前記第1の端子を介してクロック信号を送信し当該クロック信号に基づいて前記第2の端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1の端子又は前記第2の端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能な制御手段とを有し、
前記第2の通信モードにおいて、前記制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルに応じて、前記検出手段による前記バッテリの残量検出動作を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第2の通信モードにおいて、前記制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルが所定レベルの間は前記検出手段が前記バッテリの残量検出動作を行わないように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置
【請求項3】
前記信号レベルが前記所定レベルのとき、前記交換レンズの光学部材が駆動中であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記検出手段によって検出された前記バッテリの残量が所定値より少ない場合に警告を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
交換レンズを装着可能で、当該交換レンズに電力を供給可能なバッテリを備えた撮像装置であって、
前記交換レンズと通信するための第1の端子及び第2の端子と、
前記バッテリの電圧を測定することでバッテリ残量を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて警告を報知可能な報知手段と、
前記交換レンズとの通信モードとして、前記第1の端子を介してクロック信号を送信し当該クロック信号に基づいて前記第2の端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1の端子又は前記第2の端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能な制御手段とを有し、
前記第2の通信モードにおいて、前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルが第1のレベルで且つ前記バッテリの電圧が前記基準電圧より低いとき、前記報知手段が警告を報知し、前記信号レベルが前記第1のレベルと異なる第2のレベルのとき、前記報知手段が警告を報知しないことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記信号レベルが前記第2のレベルのとき、前記交換レンズの光学部材が駆動中であることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
交換レンズを装着可能で、当該交換レンズに電力を供給可能なバッテリを備えた撮像装置であって、
前記交換レンズと通信するための第1の端子及び第2の端子と、
前記バッテリの電圧を測定することでバッテリ残量を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて警告を報知可能な報知手段と、
前記交換レンズとの通信モードとして、前記第1の端子を介してクロック信号を送信し当該クロック信号に基づいて前記第2の端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1の端子又は前記第2の端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能な制御手段とを有し、
前記第2の通信モードにおいて、
前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルが第1のレベルのとき、前記バッテリの電圧が第1の基準電圧より低ければ前記報知手段が警告を報知し、第1の基準電圧より高ければ前記報知手段が警告を報知せず、
前記信号レベルが前記第1のレベルと異なる第2のレベルのとき、前記バッテリの電圧が前記第1の基準電圧より低い第2の基準電圧より低ければ前記報知手段が警告を報知し、前記第2の基準電圧より高ければ前記報知手段が警告を報知しないことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
光学部材を有し、撮像装置に装着可能な交換レンズであって、
前記撮像装置と通信するための第1のレンズ側端子及び第2のレンズ側端子と、
前記撮像装置との通信モードとして、前記第1のレンズ側端子を介して受信した信号をクロック信号として当該クロック信号に基づいて前記第2のレンズ側端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1のレンズ側端子又は前記第2のレンズ側端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能なレンズ側制御手段とを有し、
前記第2の通信モードにおいて、前記レンズ側制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子を介して、前記光学部材の駆動状態を伝える信号を送信することにより、前記光学部材の駆動中に前記撮像装置がバッテリの残量検出動作を行わないようにさせることを特徴とする交換レンズ。
【請求項9】
光学部材を有し、撮像装置に装着可能な交換レンズであって、
前記撮像装置と通信するための第1のレンズ側端子及び第2のレンズ側端子と、
前記撮像装置との通信モードとして、前記第1のレンズ側端子を介して受信した信号をクロック信号として当該クロック信号に基づいて前記第2のレンズ側端子でデータ通信する第1の通信モードと、クロック信号を用いずに前記第1のレンズ側端子又は前記第2のレンズ側端子のいずれかでデータ通信する第2の通信モードを切り替え可能なレンズ側制御手段とを有し、
前記第2の通信モードにおいて、前記レンズ側制御手段は、前記データ通信に用いないほうの端子を介して、前記光学部材の駆動状態を伝える信号を送信することにより、前記光学部材の駆動中に前記撮像装置がバッテリ残量低下の警告を報知しないようにさせることを特徴とする交換レンズ。
【請求項10】
前記光学部材は絞りであって、
前記第2の通信モードにおいて、前記レンズ側制御手段は、前記絞りの駆動中は前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルを所定レベルに制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の交換レンズ。
【請求項11】
前記光学部材はフォーカスレンズであって、
前記第2の通信モードにおいて、前記レンズ側制御手段は、前記フォーカスレンズの駆動量が所定量以上のとき、前記フォーカスレンズの駆動中は前記データ通信に用いないほうの端子の信号レベルを所定レベルに制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の交換レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−98461(P2012−98461A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245387(P2010−245387)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】