説明

撮像装置及び制御方法

【課題】 複数の焦点検出領域の各デフォーカス量を用いて好適な露出制御を行うことができるようにする。
【解決手段】 複数の焦点検出領域と複数の測光領域とを有する撮像装置であって、各焦点検出領域におけるデフォーカス量を取得し、取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをして第1の測光値を演算するとともに、取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをせずに第2の測光値を演算する。そして、取得されたデフォーカス量に基づいて第1の測光値の重み付けが小さくなるように重み付け係数を決定し、第1の測光値と第2の測光値とを重み付け演算した結果に基づいて、露出値を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の焦点検出領域を備え、各焦点検出領域のデフォーカス量を用いて露出制御を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラなどで用いられる測光装置において、複数の焦点検出領域それぞれのデフォーカス量に基づいて、複数の焦点検出領域それぞれに対応する位置にある複数の測光センサから得られた測光値に対する重み付けを設定していた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−356384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような、複数の焦点検出領域それぞれのデフォーカス量に基づいて、デフォーカス量の絶対値が小さい(ピントが合っている)ほど対応する測光領域の重み付けを大きくする方法では、以下のような問題が生じてしまう。
【0005】
例えば、絞りを絞ることで被写界深度が深くなり、主被写体にピントを合わせた状態において多くの背景領域に対してもピントが合う場合、主被写体の存在する領域だけでなくピントが合った背景領域に対しても重み付けが大きくなってしまう。そのため、背景の明るさの影響が大きくなり、主要被写体に対して適正な露出とならなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、複数の焦点検出領域の各デフォーカス量を用いて好適な露出制御を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる撮像装置は、複数の焦点検出領域と複数の測光領域とを有する撮像装置であって、各焦点検出領域におけるデフォーカス量を取得するデフォーカス量取得手段と、各測光領域の測光値を取得する測光手段と、前記測光手段により取得された測光値に対して、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをして第1の測光値を演算する第1の演算手段と、前記測光手段により取得された測光値に対して、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをせずに第2の測光値を演算する第2の演算手段と、前記第1の測光値と前記第2の測光値とを重み付け演算した結果に基づいて露出値を演算する露出演算手段と、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づいて、前記露出演算手段による重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように重み付け係数を決定する決定手段、とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の焦点検出領域の各デフォーカス量を用いて好適な露出制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態における撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における撮像装置の測光領域及び焦点検出領域の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における測光値算出に関する処理のフローチャートである。
【図4】異なる被写界深度におけるファインダー像とデフォーカス量分布の一例である。
【図5】本発明の第1の実施形態における重み付け係数kの決定方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるデフォーカス量に関する度数分布表の一例である。
【図7】本発明の第3の実施形態における重み付け係数kの決定方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明にかかる第1の実施形態における撮像装置としてのカメラの全体構成を示すブロック図である。
【0012】
1はCPU(中央演算処理装置)であり、本カメラの各種動作はこのCPU1により制御される。AEセンサ2は、複数の測光領域を有しており、測光領域ごとに測光値を出力する。AEセンサ2から出力された測光値はメモリ5に記憶される。
【0013】
AFセンサ3は、複数の焦点検出領域を有していて、各々の焦点検出領域に対し一対のラインセンサで構成されており、焦点検出に必要な像の取り込みを行っている。デフォーカス量取得部4では、AFセンサ3からの出力に基づいて、各焦点検出領域におけるデフォーカス量を取得する。焦点調節部6では、デフォーカス量取得部4により取得した各焦点検出領域のデフォーカス量を参照し、所定のアルゴリズムにより選択された焦点検出領域に対して不図示の撮影レンズを駆動させて焦点調節を行う。焦点調節動作の終了後には、焦点調節後の各焦点検出領域のデフォーカス量はメモリ5に記憶される。
【0014】
露出演算部8では、AEセンサ2で得られた測光値に対して、複数の測光領域全体の平均測光値Eaと焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efをそれぞれ演算する。そして、以下の式(1)により露出制御に用いる最終的な測光値Eを重み付け演算する。
E=(1−k)×Ea+k×Ef (1)
ここで、平均測光値Efは、焦点検出領域に対応したそれぞれの測光領域に対して、対応する焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値が小さいほど重み付けを大きくして、各測光領域の測光値を加重平均した値である。また、式(1)におけるkは、重み付け決定部7によって、デフォーカス量取得部4により取得した各焦点検出領域のデフォーカス量に基づいて決定される重み付け係数である。重み付け決定部7による重み付け係数kの決定方法についての詳細は図5を用いて後述する。
【0015】
そして、露出演算部8は、最終的な測光値Eと、メモリ5に記憶された撮影レンズの焦点距離、開放絞り値、射出瞳位置、ケラレなどに関する情報に基づいて、露出値を演算する。なお、本実施形態では、撮影レンズはカメラ本体に対して着脱可能であって、撮影レンズの焦点距離、開放絞り値、射出瞳位置、ケラレなどに関する情報は、CPU1が撮影レンズ内のCPUと通信を行うことで取得しメモリ5に記憶する。
【0016】
露出制御部9は、不図示のカメラのレリーズボタンが押されると、露出演算部8により得られた露出値に基づいてミラー10、シャッター11、絞り12を制御する。ここで、本実施形態では、デフォーカス量取得部4、メモリ5、重み付け決定部7、露出演算部8、露出制御部9はすべてCPU1によって実現されているが、前述の機能の少なくとも一部についてCPU1とは異なる制御部によって実現しても構わない。
【0017】
図2は、AEセンサ2の測光領域とAFセンサ3の焦点検出領域との対応関係を示した図である。AEセンサ2は縦方向に7分割、横方向に9分割された合計63の測光領域を有しており、その中の中心付近の19の領域が焦点検出領域に対応した測光領域となっている。つまり、63の測光領域のうち、19の領域が焦点検出領域のいずれかに対応する位置に配置され、残りの領域は焦点検出領域に対応しない位置に配置されている。また、前述した複数の測光領域全体の平均測光値Eaは、63の領域の測光値を平均した値となり、焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efは、中心付近の19の領域の測光値を加重平均した値となる。
【0018】
次に、本実施形態における測光値算出に関する処理のフローチャートを図3を用いて説明する。なお、図3に示したフローチャートは、例えば、不図示のレリーズボタンが半押しされて撮影準備動作の開始指示がなされると開始する。
【0019】
まず、ステップS101では、デフォーカス量取得部4でデフォーカス量を取得し、取得した各焦点検出領域のデフォーカス量を参照して、焦点調節部6が所定のアルゴリズムにより選択された焦点検出領域に対して不図示の撮影レンズを駆動させて焦点調節を行う。
【0020】
ステップS102では、デフォーカス量取得部4が焦点調節後のAFセンサ3からの出力に基づいて取得したデフォーカス量を、CPU1がメモリ5に記憶する。
【0021】
ステップS103では、CPU1がメモリ5に記憶されたデフォーカス量に基づいて所定のアルゴリズムにより選択された焦点検出領域について、合焦状態か否かを判断する。合焦状態だと判断した場合には、ステップS104へ進み、合焦状態でないと判断した場合には、ステップS101へ戻り選択された焦点検出領域が合焦状態となるまで焦点調節動作及びデフォーカス量の取得を繰り返す。なお、デフォーカス量が取得されるたびにメモリ5に記憶されるデフォーカス量は更新されるものとする。
【0022】
ステップS104では、AEセンサ2が測光を行い、複数の測光領域それぞれの測光値を取得して出力する。
【0023】
そして、ステップS105では、露出演算部8が、AEセンサ2から取得した複数の測光領域それぞれの測光値に基づいて、複数の測光領域全体の平均測光値Eaを演算する(第2の演算)。また、ステップS106では、露出演算部8が、焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efを演算する(第1の演算)。
【0024】
その後、ステップS107では、重み付け決定部7が、メモリ5に記憶された各焦点検出領域のデフォーカス量に基づいて露出制御に用いる最終的な測光値Eを演算する際の重み付け係数kを決定する。ステップS107の詳細については後述する。
【0025】
ステップS108では、露出演算部8が、ステップS107で決定された重み付け係数kに基づいて最終的な測光値Eを演算する。
【0026】
そして、露出演算部8は重み付け演算をした結果である測光値Eに基づいて露出値を演算し、不図示のレリーズボタンが全押しされると、露出制御部9は演算された露出値に基づいて静止画撮影時の露出制御を行う。
【0027】
次に、ステップS107における重み付け係数kの決定方法について、図4及び図5を用いて説明する。
【0028】
図4は、異なる被写界深度におけるファインダー像とデフォーカス量分布の一例であり、図4(a)及び(c)は同じ被写体に対してピントを合わせた状態であって、図4(c)は図4(a)よりも被写界深度が浅い状態を示している。図4(a)及び(c)内において四角で表示されている箇所は合焦範囲内(デフォーカス量の絶対値が閾値以下)にある焦点検出領域を表しており、図4(b)及び(d)は、このときの焦点検出領域のデフォーカス量分布を示している。図4(b)及び(d)においてピントが合っている撮影距離よりも手前に被写体が存在する領域のデフォーカス量は正の値で表され、青空などコントラストが低くデフォーカス量が算出できなかった領域については「?」で表されている。
【0029】
背景を重視し被写界全域にピントを合わせて撮影を行う場合、図4(a)に示したように多くの焦点検出領域が合焦範囲内に含まれ、図4(b)に示したように多くの焦点検出領域で0に近いデフォーカス量となる。このような特性は、被写界深度が深くなる広角撮影において、より顕著に表れる。
【0030】
一方、背景をぼかし、主被写体をより強調した撮影を行う場合、被写界深度が浅くなるため、図4(c)に示したように合焦範囲内の焦点検出領域は少なく、図4(d)に示したように背景の存在する焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値は大きな値となる。
【0031】
そこで、図4(b)のように多くの焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値が0に近い場合は、式(1)における重み付け係数kを小さくする。すなわち、最終的な測光値Eの重み付け演算における、焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efの比率を小さくし、被写界全体に対して好適な露出制御を行うようにする。
【0032】
一方、図4(d)のようにデフォーカス量の絶対値が大きい領域が存在する場合は、式(1)における重み付け係数kを大きくする。すなわち、最終的な測光値Eの重み付け演算における、焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efの比率を大きくし、合焦範囲内にある主被写体対して好適な露出制御を行うようにする。
【0033】
図5は、重み付け係数kの決定処理のフローチャートであり、重み付け決定部7によって実行される。
【0034】
ステップS201では、各焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値の最大値が32以下であるか否かを判断する。32以下であればステップS204へ進み、重み付け係数k=0.2として重み付け係数kの決定処理を終了する。32より大きければステップS202へ進み、デフォーカス量の絶対値の最大値が64以下であるか否かを判断する。32より大きく64以下であればステップS205へ進み、重み付け係数k=0.4として重み付け係数kの決定処理を終了する。64より大きければステップS203へ進み、デフォーカス量の絶対値の最大値が96以下であるか否かを判断する。64より大きく96以下であればステップS206へ進み、重み付け係数k=0.6として重み付け係数kの決定処理を終了する。96より大きければステップS207へ進み、重み付け係数k=0.8として重み付け係数kの決定処理を終了する。
【0035】
以上のようにして、各焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値の最大値が小さいほど、最終的な測光値Eの重み付け演算における、焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efの重み付けを小さくしている。そのため、多くの焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値が0に近い場合は、主被写体を考慮しつつ被写界全体に対して好適な露出制御を行うことができ、デフォーカス量の絶対値が大きい領域が存在する場合は、主被写体対して好適な露出制御を行うことができる。すなわち、撮影者が背景を重視した撮影を行う場合でも、主被写体を重視した撮影を行う場合でも、複数の焦点検出領域の各デフォーカス量を用いて好適な露出制御を行うことができる。
【0036】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のように、複数の焦点検出領域の中のデフォーカス量の絶対値の最大値に基づいて重み付け係数kを決定すると、特異に大きなデフォーカス量を有する焦点検出領域が存在する場合に撮影シーンに適していない重み付け係数kが決定されてしまう。
【0037】
そこで、本実施形態では、各焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値について度数分布を作成し、その度数分布に基づいて重み付け係数kを決定するものである。本実施形態は、第1の実施形態とはステップS107における重み付け係数kの決定方法のみが異なるので、以下では、重み付け係数kの決定方法について図6を用いて具体的に説明し、その他の構成及び処理についての説明は省略する。
【0038】
図6は、各焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値を複数のグループに分け、各グループに含まれる焦点検出領域の数をカウントした度数分布を示している。具体的には、デフォーカス量の絶対値が32以下の焦点検出領域の数をN1、32より大きく64以下の焦点検出領域の数をN2、64より大きく96以下の焦点検出領域の数をN3、96より大きい焦点検出領域の数をN4としている。なお、デフォーカス量を取得できなかった焦点検出領域については無視することとする。
【0039】
図6に示した例では、N4が最も多いため、デフォーカス量の絶対値が大きい焦点検出領域が多数存在する、すなわち、背景が十分にボケている状態だと考えられる。そこで、重み付け係数kを大きくして(例えばk=0.8)、主被写体に対して好適な露出制御を行うようにする。逆にN1が最も多い場合には、多くの焦点検出領域のデフォーカス量が0に近い、すなわち、多数の焦点検出領域が合焦範囲内にあると考えられる。そこで、重み付け係数kを小さくして(例えばk=0.2)、被写界全体に対して好適な露出制御を行うようにする。なお、N2あるいはN3が最も多い場合には、N1が多い場合とN4が多い場合との間になるように重み付け係数を決定すればよく、例えば、N2が最も多い場合にはk=0.4、N3が最も多い場合にはk=0.6とすればよい。すなわち、複数の焦点検出領域をそれぞれのデフォーカス量の絶対値の大きさに応じて複数のグループに分け、それぞれのグループに含まれる焦点検出領域の数を比較する。そして、含まれる焦点検出領域の数が最も多いグループに対応するデフォーカス量の絶対値に基づいて重み付け係数を決定する。その際に、対応するデフォーカス量の絶対値が小さいほど、重み付け係数kを小さくする。
【0040】
以上のように、本実施形態では、デフォーカス量に関する度数分布を取得し、N1〜N4の大小関係によって重み付け係数kを決定することで、第1の実施形態よりも正確に撮影シーンに適した重み付け係数kを決定することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様に複数の焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値の最大値に基づいて重み付け係数kを決定するが、撮影レンズの焦点距離も重み付け係数kの決定に用いる点が第1の実施形態と異なる。これは、焦点距離に応じて被写界深度が変化することを考慮したもので、デフォーカス量の絶対値の最大値が同じであっても焦点距離が異なれば重み付け係数kが異なるようにしている。
【0042】
本実施形態は、第1の実施形態とはステップS107における重み付け係数kの決定方法のみが異なるので、以下では、重み付け係数kの決定方法について図7を用いて具体的に説明し、その他の構成及び処理についての説明は省略する。
【0043】
まず、ステップS301では、メモリ5から撮影レンズの焦点距離fに関する情報を取得する。
【0044】
続いて、ステップS302〜S306では、ステップS301で取得した情報に基づいて焦点距離fについて場合分けを行い、それぞれの場合について重み付け係数kの最大値を補正する補正係数jを決定する。
【0045】
ステップS302では、撮影レンズの焦点距離fが35(mm)以下であるか否か判断する。焦点距離fが35(mm)以下であれば、S304へ進み、補正係数j=0.5としてステップS307へ進む。焦点距離fが35(mm)より長ければステップS303へ進み、焦点距離fが70(mm)以下であるか否かを判断する。焦点距離fが35(mm)より長く70(mm)以下であれば、S305へ進み、補正係数j=0.75としてステップS307へ進む。焦点距離fが70(mm)より長ければステップS306へ進み、補正係数j=1としてステップS307へ進む。
【0046】
ステップS307〜S313では、各焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値の最大値について場合分けを行い、それぞれの場合について重み付け係数kを決定する。ステップS307では、各焦点検出領域のデフォーカス量の絶対値の最大値が32以下であるか否かを判断する。32以下であればステップS310へ進み、重み付け係数k=0.2×jとして重み付け係数kの決定処理を終了する。32より大きければステップS308へ進み、デフォーカス量の絶対値の最大値が64以下であるか否かを判断する。32より大きく64以下であればステップS311へ進み、重み付け係数k=0.4×jとして重み付け係数kの決定処理を終了する。64より大きければステップS309へ進み、デフォーカス量の絶対値の最大値が96以下であるか否かを判断する。64より大きく96以下であればステップS312へ進み、重み付け係数k=0.6×jとして重み付け係数kの決定処理を終了する。96より大きければステップS313へ進み、重み付け係数k=0.8×jとして重み付け係数kの決定処理を終了する。
【0047】
以上のように、本実施形態では、焦点距離に関する情報取得を行い、ステップS310〜S313で重み付け係数kを決定する際に、焦点距離fに応じて変化する補正係数jを用いているため、焦点距離fに応じて重み付け係数kの最大値が変化する。したがって、例えば、広角撮影時に特異に大きなデフォーカス量を有する焦点検出領域が存在する場合、重み付けkの最大値が補正係数jにより補正されるため、焦点検出領域に対応した測光領域の平均測光値Efの重み付けは小さくなる。そのため、特異に大きなデフォーカス量を有する焦点検出領域の影響で重み付け係数kが撮影シーンに適さない値となることを軽減することができ、第1の実施形態よりも正確に撮影シーンに適した重み付け係数kを決定することができる。なお、本実施形態のように、重み付け係数kの決定に撮影レンズの焦点距離を用いる構成は、第2の実施形態にも適用可能である。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0049】
例えば、上記の3つの実施形態で用いた数値はあくまで一例であって、異なる数値であっても構わない。
【0050】
また、第1及び第3の実施形態では、デフォーカス量の絶対値の最大値に基づいて重み付け係数kを決定したが、デフォーカス量の絶対値が大きいほうから所定個を抽出し、それらの平均値が小さいほど重み付け係数kを小さくするようにしてもよい。こうすることで、特異に大きなデフォーカス量を有する焦点検出領域の影響で重み付け係数kが撮影シーンに適さない値となることを軽減することができる。
【0051】
また、第1及び第3の実施形態において、デフォーカス量の絶対値が所定値以上のものを重み付け係数kの決定に用いないようにしてもよい。このようにすることでも、特異に大きなデフォーカス量を有する焦点検出領域の影響で重み付け係数kが撮影シーンに適さない値となることを軽減することができる。
【0052】
また、上記の3つの実施形態において、最終的な測光値Eの重み付け演算に用いる測光値Eaを複数の測光領域全体の平均測光値としたが、最終的な測光値Eに背景の測光値も考慮されればよいので、所定領域の重み付けを大きくした加重平均値であっても構わない。あるいは、複数の測光領域全体ではなく、一部の測光領域を除いた平均測光値であっても構わない。あるいは、焦点検出領域に対応する測光領域が多い場合には、測光値Eaの演算に用いる測光領域と測光値Efの演算に用いる測光領域が一致しても構わない。すなわち、デフォーカス量に基づく重み付けをして演算された第1の測光値とデフォーカス量に基づく重み付けをせずに演算された第2の測光値とを加重平均した重み付け演算により最終的な測光値Eを求める構成であればよい。
【符号の説明】
【0053】
1 CPU
2 AEセンサ
3 AFセンサ
4 デフォーカス量取得部
5 メモリ
6 焦点調節部
7 重み付け決定部
8 露出演算部
9 露出制御部
10 ミラー
11 シャッター
12 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の焦点検出領域と複数の測光領域とを有する撮像装置であって、
各焦点検出領域におけるデフォーカス量を取得するデフォーカス量取得手段と、
各測光領域の測光値を取得する測光手段と、
前記測光手段により取得された測光値に対して、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをして第1の測光値を演算する第1の演算手段と、
前記測光手段により取得された測光値に対して、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをせずに第2の測光値を演算する第2の演算手段と、
前記第1の測光値と前記第2の測光値とを重み付け演算した結果に基づいて露出値を演算する露出演算手段と、
前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づいて、前記露出演算手段による重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように重み付け係数を決定する決定手段、とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記複数の焦点検出領域をそれぞれのデフォーカス量の絶対値の大きさに基づいて複数のグループに分け、含まれる焦点検出領域の数が最も多いグループに対応するデフォーカス量の絶対値が小さいほど、前記露出演算手段による重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように前記重み付け係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量の絶対値の最大値が小さいほど、前記露出演算手段による重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように前記重み付け係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量の絶対値の大きいほうから所定個の平均値が小さいほど、前記露出演算手段による重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように前記重み付け係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量のうち絶対値が所定値以上のものを前記重み付け係数の決定に用いないことを特徴とする請求項3または4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置の焦点距離に関する情報を取得する情報取得手段を有し、
前記決定手段は、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量の絶対値が同じ場合、前記情報取得手段により取得された情報に基づく前記焦点距離が短いほど、前記露出演算手段による重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように前記重み付け係数を決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の演算手段は、前記測光手段により取得された、前記複数の測光領域のうち前記複数の焦点検出領域のいずれかに対応する位置に配置された領域のそれぞれの測光値に対して、前記デフォーカス量取得手段により取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをして前記第1の測光値を演算することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の演算手段は、前記測光手段により取得された、前記複数の焦点検出領域のいずれかに対応する位置に配置されていない領域を含む複数の測光領域の測光値を平均することで前記第2の測光値を演算することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
複数の焦点検出領域と複数の測光領域とを有する撮像装置の制御方法であって、
各焦点検出領域におけるデフォーカス量を取得するデフォーカス量取得ステップと、
各測光領域の測光値を取得する測光ステップと、
前記測光ステップで取得された測光値に対して、前記デフォーカス量取得ステップで取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをして第1の測光値を演算する第1の演算ステップと、
前記測光ステップで取得された測光値に対して、前記デフォーカス量取得ステップで取得されたデフォーカス量に基づく重み付けをせずに第2の測光値を演算する第2の演算ステップと、
前記第1の測光値と前記第2の測光値とを重み付け演算した結果に基づいて露出値を演算する露出演算ステップと、
前記デフォーカス量取得ステップで取得されたデフォーカス量に基づいて、前記露出演算ステップでの重み付け演算において前記第1の測光値の重み付けが小さくなるように重み付け係数を決定する決定ステップ、とを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−194262(P2012−194262A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56809(P2011−56809)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】