説明

撮像装置及び撮像装置の制御方法

【課題】主被写体の画面に対して小さいときなど、十分な動きベクトルを取得できず誤差が大きくなり補正に影響を与えてしまう。そこで、本発明の目的は、動きベクトルの信頼度を判断し、信頼度が低い場合にはぶれ補正を行わない撮影装置を提供することである。
【解決手段】被写体を撮像して第1の画像信号を出力する第1の撮像光学系と、被写体を撮像して第2の画像信号を出力する第2の撮像光学系と、前記第2の画像信号から動きベクトルを検出する手段と、前記検出された動きベクトルに応じて、前記第1の画像信号に対して動き補正を行う制御手段とを備え、前記第2の画像信号から、前記動きベクトルの信頼度を判断する機能を備え、前記動きベクトルの信頼度が低い場合には前記動きベクトルによる動き補正を行わない制御手段とを備える。また、前記動きベクトルの信頼度は、被写体の画像を占める割合から判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置を用いて被写体を撮影するときに、撮像装置を三脚などに固定せずに、例えば手持ちしたり、走行中の自動車内から撮影したりすると、撮像画面にぶれが生じる。その撮像画面のぶれを補正するために、特許文献1に挙げられるように、あらかじめ大きな撮像面をもつ撮像素子で撮像し、撮像した画像から画像のぶれを検出し、また撮像素子から読み出す時にぶれを補正するように撮像素子の読み出しを制御し、画像を切り出す方法の開示がある。
【0003】
上記パテントでは読み出した画像からぶれを検出する際に時間遅れを持つフィードバック系を構成していることにより、システムの基本的な特性としてぶれ補正の周波数特性が低下してしまい、また、露光中には動きベクトルを検出できないために静止画の撮影には使用することができない。この時間遅れを少なくし、静止画の撮影中でも動きベクトルを取得し補正するために、特許文献2に挙げられるように、撮像用の第1の撮像素子と、高速に読み出しが行えるような例えば画素数が1/4の動きベクトル検出用の、第2の撮像素子を用いる方法の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−91573号公報
【特許文献2】特開平11−155096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、主被写体の大きさや焦点距離、画像のコントラスト等によっては、十分な動きベクトルを取得できず誤差が大きくなり、補正に影響を与えてしまう。例えば第2の撮像素子が広角単焦点だった場合には、望遠側では動きベクトルの精度が低くなる。
そこで、本発明の目的は、動きベクトルの信頼度を判断し、信頼度が低い場合にはぶれ補正を行わない撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、被写体を撮像して第1の画像信号を出力する第1の撮像光学系と、被写体を撮像して第2の画像信号を出力する第2の撮像光学系と、前記第2の画像信号から動きベクトルを検出する手段と、前記検出された動きベクトルに応じて、前記第1の画像信号に対して動き補正を行う制御手段とを備え、前記第2の画像信号から、前記動きベクトルの信頼度を判断する機能を備え、前記動きベクトルの信頼度が低い場合には前記動きベクトルによる動き補正を行わない制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記動きベクトルの信頼度は、被写体の画像を占める割合から判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動きベクトルを取得しにくいような状況でも、ぶれていない撮影画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の撮像装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係る撮像装置の動作処理フローの例を示す図である。
【図3】実施例1を説明する図である。
【図4】本発明の実施例2に係る撮像装置の動作処理フローの例を示す図である。
【図5】図5は、実施例1の手ぶれ補正処理、例えば図2(a)のステップS2、ステップS6、ステップS9における手ぶれ補正処理の一例を示す図である。。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の撮像装置の構成例を示す図である。図1に示す撮像装置は、複数の撮像光学系である第1の撮像光学系1、第2の撮像光学系2と、制御部3と、映像信号処理部4と、表示部5と、動きベクトル検出回路6と、ズームスイッチ7と、外部入出力端子部8と、シャッタレリーズスイッチ9と、記憶部10と、電源部11と、角速度センサ12を備える。
【0012】
第1の撮像光学系1と第2の撮像光学系2とは、同じ構成を有する。具体的には、第1の撮像光学系1は、ズームレンズ13、シャッタ・絞りユニット14、シフトレンズ15、フォーカスレンズ16、撮像素子17、撮像信号処理部18、ズーム駆動制御部19、シャッタ・絞り駆動制御部20、シフトレンズ駆動制御部21、フォーカス駆動制御部22を備える。また第2の撮像光学系2は、ズームレンズ23、シャッタ・絞りユニット24、シフトレンズ25、フォーカスレンズ26、撮像素子27、撮像信号処理部28、ズーム駆動制御部19、シャッタ・絞り駆動制御部20、シフトレンズ駆動制御部21、フォーカス駆動制御部22を備える。
【0013】
各々の撮像光学系が備える光学系は3群構成である。第1の撮像光学系1を用い説明する。ズームレンズ13は、ズーム制御に関与する1群レンズである。シフトレンズ15は振れ補正を実行する2群レンズである。フォーカスレンズ16は、焦点調節処理を実行する3群レンズである。ズームレンズ13は、光軸方向に沿って位置を変更可能に構成されており、倍率変更を行う。ズーム駆動制御部19は、ズームレンズ13を駆動する。ズームレンズ13の後段に配置されているシャッタ・絞りユニット14は、露光量を調節する。シャッタ・絞り駆動制御部20は、シャッタ・絞りユニット14を駆動制御して、露光量の調節すなわち露出調節処理を行う露出調節手段である。シフトレンズ15は、光軸に対して略垂直な平面内での位置を変更することが可能に配置されており、振れ補正光学系を構成する。シフトレンズ駆動制御部21は、シフトレンズ15を駆動制御する。フォーカスレンズ16は、ピント調整用レンズである。フォーカスレンズ16は光軸方向に沿って位置を変更可能に構成されている。フォーカス駆動制御部22は、フォーカスレンズ16を駆動制御して、焦点調節処理を実行する焦点調節手段としての機能を有する。これらの構成は第2の撮像光学系も同様である。
【0014】
撮像素子17および27は、1群レンズ乃至3群レンズを通ってきた光像を受光して、受光した光像を電気信号に変換する。ここで、第1の撮像光学系1で用いられている撮像素子17は本発明の撮像手段であり、映像信号生成手段に相当する。また第2の撮像光学系2で用いられている撮像素子27は動きベクトルを検出するための画像を撮像する撮像素子であり、撮影用の撮像素子17の1/4の画素数を持つとする。撮像信号処理部18および28は、撮像素子17および27がそれぞれ出力した電気信号を映像信号に変換し、変換した映像信号を画像データとして出力する。
【0015】
撮像信号処理部18が出力した画像データに対して、映像信号処理部4は所定の処理を施して表示部5に表示可能な画像信号とし、該画像信号を出力する。上記ズームレンズ13乃至映像信号処理部4は、画像データを撮像する画像撮像手段としての機能を有する。また撮像信号処理部28から得られる画像データに基づいて、動きベクトル検出部6は動きベクトルを取得する。上記ズームレンズ23乃至動きベクトル検出部6は、第1の撮像光学系1が露光する間にそれを上回る速度で画像データを撮像し、動きベクトルを取得する撮像手段としての機能を有する。本実施の形態では動きベクトル検出用の撮像素子の画素数は1/4との画素数を持つとしたが、画素数は任意に選択できる。
【0016】
制御部3はシステム全体を制御する。具体的には、制御部3は、各々の撮像光学系が備えるズーム駆動制御部19および29、シャッタ・絞り駆動制御部20および30、シフトレンズ駆動制御部21および31、フォーカス駆動制御部22および32、撮像素子17および27、撮像信号処理部18および28、映像信号処理部4、動きベクトル検出部6の処理を制御する。また、制御部3は、表示部5、外部入出力端子部7、記憶部9、角速度センサ12を制御する。制御部3は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)等により解釈及び実行されるプログラムに従って処理を実行する。
【0017】
本実施形態に特有の動作として、制御部3は、後述する動きベクトル検出部6もしくは角速度センサ12によって検出されたぶれ量に基づいて、シフトレンズ駆動制御部21および31に指令を出す。また、制御部3は、表示部5に指示して、映像信号処理部4が出力した画像信号を表示画面上に画面表示させる。表示部5は、撮像光学系毎に画像信号を画面表示する。表示部5は、制御部3の指示に従った画面表示処理を実行する。
【0018】
動きベクトル検出部6は撮像信号処理部28が出力した画像データから画像の動きベクトルを検出し、その情報を制御部3に伝える。動きベクトル検出方法として、本実施の形態では現フィールドの画像と前フィールドの画像とを所定の代表点または画素ごとに比較対照するマッチング法を採用する。具体的には、前フィールドの画像を現フィールドの画像に対して画面内で水平および垂直にシフトさせて突合せ両者が最も一致するシフト量および方向を持って動きベクトルとする。図3に本実施の形態の動きベクトル検出の説明のために、撮影用の撮像素子17および動きベクトル検出用の撮像素子27の出力する画像の時間的関係を示す。撮影用の撮像素子17が1枚の静止画を撮影するとき、動きベクトル検出用の撮像素子27は、前述のように撮影用の撮像素子17と比較して画素数が1/4なので、4枚の画像を取得できる。この4枚の画像のパターンマッチングにより、動きベクトルを検出する。この検出された動きベクトルに応じてシフトレンズ駆動制御部31に指令を出し、撮影中にぶれ補正を行うことができる撮像装置を実現することができる。
ズームスイッチ7は、ズームレンズ13および23を操作する操作手段である。ズームスイッチ7は、ユーザの操作入力に応じて、操作信号を入力し、入力した操作信号を制御部3に送信する。外部入出力端子部8は、図示を省略する外部装置との間の通信を媒介する。具体的には、外部入出力端子部8には、映像信号及び音声信号が入力される。また、映像信号及び音声信号が外部入出力端子部8から出力される。
【0019】
シャッタレリーズスイッチ9は、押し込み量に応じて、第1スイッチ( 以下「SW1」と記述) 及び第2スイッチ(以下「SW2」と記述)が順にオン状態となるように構成されている。具体的には、ユーザがシャッタレリーズボタン9を約半分押し込んだ場合に、SW1がオン状態となる。ユーザが、更に、シャッタレリーズボタン9を最後まで深く押し込んだ場合に、SW2がオン状態となる。そして、SW1、SW2がオン状態となったことを示す信号が制御部3に送信される。
【0020】
記憶部10には、撮像信号処理部18が出力した画像データ、映像信号処理部4が出力した画像信号等が記憶される。なお、記憶部10には、制御部3によって解釈されて実行される、本実施形態の撮像装置の制御プログラムを記憶するためのメモリ装置も含まれる。電源部11は、図1に示す撮像装置の各処理部に対して、電源電圧を供給する。角速度センサ12は水平方向用および垂直方向用の二重構成のセンサである。
【0021】
本実施形態の撮像装置の制御方法は、図1に示す撮像装置が備える各処理部によって実現される。また、図1に示す撮像装置の機能は、CPUとその上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される。このコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納することができ、この記録媒体に記録して提供され、又は、通信インタフェースを介してネットワークを利用した送受信により提供される。
【0022】
次に、図1に示す撮像装置による、自動焦点調節(AF)処理、自動露出(AE)処理、及び、ズーム駆動制御処理について説明する。上述したように、シャッタレリーズスイッチ9の押し込み量に応じて、SW1及びSW2が順にオン状態となる。シャッタレリーズスイッチ9のSW1がオン状態となったことを示す信号が制御部3に入力されると、制御部3が、フォーカス駆動制御部22および32に指示して、制御部3が決定した指標を対象としてAF処理を実行させる。制御部3から指示を受けたフォーカス駆動制御部22および32は、フォーカスレンズを駆動することによって、上記指標を対象としたAF処理を実行する。また、制御部3が、シャッタ・絞り駆動制御部20および30に指示して、制御部3が決定した指標を対象として、AE処理を実行させる。具体的には、シャッタ・絞り駆動制御部20および30が、シャッタ・絞りユニット14および24を駆動して、露光量を適正な値に設定する。
【0023】
SW2がオン状態となり、SW2がオン状態となったことを示す信号が制御部3に入力されると、制御部3が、撮像素子17に指示して、撮像素子17が受光した光像を電気信号に変換させる。撮像信号処理部18が、上記電気信号に基づいて画像データを出力する。映像信号処理部4が、撮像信号処理部18から得られる画像データに基づいて、表示部5に表示する画像信号を出力する。制御部3は、撮像信号処理部18が出力した画像データ、映像信号処理部4が出力した画像信号を記憶部10に記憶する。
ユーザがズームスイッチ7を操作すると、その操作信号が制御部3に入力され、制御部3がズーム駆動制御部19および29に指示を与える。ズーム駆動制御部19および29は、制御部3によって指示されたズーム位置へズームレンズ13および23を移動させる。これによって、ズーム駆動制御処理が実行される。
【実施例1】
【0024】
以下、図2を参照して、本発明の第1の実施例による、撮像装置の動作処理フローについて説明する。なお図中の「YES」は肯定的な判断結果を示し、「NO」は否定的な判断結果を示す。
【0025】
図2(a)は、撮像装置の全体動作処理の例を示す。まず、図1に示す撮像装置の制御部3が、ユーザの操作入力に従って撮影モードに設定されたことを確認し、撮影処理を開始する。先ず、ステップS1では、動きベクトルの信頼度を判断するためのフラグ(Flag)を初期化し、ステップS2にて、手ぶれ補正処理を行う。次ステップS3にて、制御部3が、シャッタレリーズスイッチ8のSW1がオン状態になったかを判断する。制御部3が、SW1がオン状態になったと判断した場合には、ステップS4に進む。SW1がオン状態でない、すなわち、オフ状態であると判断した場合には、上記ステップS2に戻り、手ぶれ補正処理を続ける。ステップS4において、動きベクトル信頼度判断処理を行う。この処理に関しては後述する。
【0026】
ステップS5ではAE処理やAF処理等の撮影準備を行う。続いて、ステップS6において、再度手ぶれ補正処理を行う。次のステップS7において、制御部3がシャッタレリーズスイッチ9のSW2がオン状態になったかを判断する。制御部3が、SW2がオン状態になったと判断した場合には、ステップS8に進む。制御部3が、SW2がオン状態でない、すなわち、オフ状態であると判断した場合には、上記ステップS3に戻り、SW1がON状態であるかを判断する。ステップS8において、撮像装置の撮像光学系が撮影を開始する。撮影中もステップS9において、手ぶれ補正処理を行う。撮影用の撮像素子17とは別に、動きベクトル用の撮像素子27を持つために、露光中にも手ぶれ補正を行えるためである。ステップS10において、露光時間が経過したかどうかを判断する。まだ露光時間が経過していない場合には、ステップS9に戻り、手ぶれ補正処理を行う。露光が経過した場合には、ステップS11において、撮像光学系が画像取り込み等の画像処理を実行する。そして、映像信号処理部4が表示部5に表示可能な画像信号を生成して出力する。そして、ステップS12において、制御部3が、画像信号を記憶部10に記憶して、撮影を終了する。
【0027】
図2(b)は、図2(a)のステップS4における動きベクトル信頼度判断処理の一例を示す。ここでは、主被写体領域が撮影画像のどれくらいの割合を占めるかにより、動きベクトルの信頼度を判断する方法を述べる。
【0028】
まずステップS21において、主被写体領域を決定する。例えば、顔検出機能を持つ撮像装置の場合、その情報を元に主被写体を決定しても良い。図3に、顔領域を元に主被写体を決定した画像の例を2パターン示す。図3(a)は被写体が小さい場合、図3(b)は被写体が大きい場合をそれぞれ示す。また、301は撮影画像を、302は主被写体領域をそれぞれ示す。
【0029】
ステップS22において、主被写体領域302が画像のどれくらいの割合を占めているか算出する。ステップS23において、ステップS22で求めた主被写体領域302の割合が定めた値を上回っているかどうか判断する。本実施形態では、上述割合を撮影画像の1/9とする。ここで、図3(a)のように主被写体領域302の割合が撮影画像の1/9を満たしていなかった場合には動きベクトルの信頼度は低いと判断し、ステップS24において、動きベクトルの信頼度を判断するためのフラグを1にし、処理を終了する。主被写体領域が小さいと、得られる動きベクトルの大きさも小さくなり、誤差がのりやすくなるためである。反対に、図3(b)のように1/9以上を占めていた場合には、動きベクトルの信頼度は高いと判断し、フラグはそのままで、処理を終了する。
【0030】
ここで、主被写体の大きさの画像を占める割合から動きベクトルの信頼度を判断したが、他にも、画像のコントラストや焦点距離から判断しても良い。
【0031】
図2(c)は、図2(a)のステップS2、ステップS6、ステップS9における手ぶれ補正処理の一例を示す。この例では、動きベクトル以外にも、角速度センサ12からぶれ量を検出できる手段を持つ場合を想定する。
【0032】
まず、ステップS31で動きベクトルの信頼度を判断するフラグを読み取る。フラグが0のままであれば、信頼度の高い動きベクトルを得られると判断し、次ステップS32において動きベクトルを算出、ステップS33においてぶれ量を算出し、ステップS35へ進む。またフラグが0でなかった場合には、動きベクトルの信頼度は低いと判断し、ステップS34において角速度センサ12よりぶれ量を取得する。そして、ステップS35において、ステップS33もしくはステップS34で求められたぶれ量を元に、制御部3はシフトレンズ駆動制御部21および31に指令をだし、シフトレンズ15および25を駆動させぶれ補正を行い、処理を終了する。
【0033】
ここで、動きベクトルの信頼度が低いと判断された場合には角速度センサからの情報を使うとしたが、それ以外の方法を用いても良いし、手ぶれ補正を行わないとしても良い。
【実施例2】
【0034】
実施例1では、動きベクトルの信頼度から手ぶれ補正処理の有無を判断する方法について述べたが、状況に応じて設定が選択されるようなモードを備える撮像装置においては、そのモードによって手ぶれ補正処理の決定を判断しても良い。
【0035】
以下、図4を参照して、本発明の第2の実施例による、モードにより手ぶれ補正の有無を決定する撮像装置の動作処理フローについて説明する。なお図中の「YES」は肯定的な判断結果を示し、「NO」は否定的な判断結果を示す。
【0036】
図4は、撮像装置の全体動作処理の例を示す。まず、図1に示す撮像装置の制御部3が、ユーザの操作入力に従って撮影モードに設定されたことを確認し、撮影処理を開始する。先ず、ステップS41では、動きベクトルの信頼度を判断するためのフラグ(Flag)を初期化する。続くステップS2にて、マクロモードに設定されているかどうかを判断する。マクロモードであると判断した場合にはそのままステップS44へ進むが、そうでなければステップS43へ進み、フラグを1にする。マクロ撮影時には動きベクトルが得られやすいシフトぶれの影響が強いが、それ以外では他の要素のぶれが多くなるためである。次ステップS44にてぶれ補正処理を行う。
【0037】
ステップS3にて、制御部3が、シャッタレリーズスイッチ8のSW1がオン状態になったかを判断する。制御部3が、SW1がオン状態になったと判断した場合には、ステップS46に進む。SW1がオン状態でない、すなわち、オフ状態であると判断した場合には、上記ステップS41に戻る。SW1がオン状態であると判断された後の処理であるステップS46から撮影終了までは、実施例1で説明したステップS4から撮影終了までの処理と同様であるため省略する。
【0038】
ここで、ぶれ補正処理の有無を判断するモードとしてマクロモードをあげたが、他のモードでも問題ない。例えば、単純にぶれ補正の有無を選べるようなモードでも良い。
また、日中の屋外等のシャッタ速度が早くなるような設定のモードでも良い。これは、シャッタ速度に対し動きベクトル算出の処理が間に合わなくなることを防ぐためである。
【実施例3】
【0039】
実施例1および実施例2では、手ぶれ補正処理を行う場合には動きベクトルもしくは物理センサの出力情報のどちらかを用い、手ぶれ量を取得する方法について述べたが、両方の情報を元に手ぶれ量を取得しても良い。
【0040】
以下、図5を参照して、本発明の第3の実施例による、動きベクトルと物理量センサ両方の情報から手ぶれ量を取得し補正を行う撮像装置の動作処理フローについて説明する。なお図中の「YES」は肯定的な判断結果を示し、「NO」は否定的な判断結果を示す。
【0041】
図5は、実施例1で述べた手ぶれ補正処理、例えば図2(a)のステップS2、ステップS6、ステップS9における手ぶれ補正処理の一例を示す。
【0042】
まず、ステップS61で角速度センサ12よりぶれ量を取得する。次にステップS62で動きベクトルの信頼度を判断するフラグを読み取る。フラグが0のままであれば、信頼度の高い動きベクトルを得られると判断し、次ステップS63において動きベクトルを算出、ステップS64においてぶれ量を算出し、ステップS65へ進む。またフラグが0でなかった場合には、動きベクトルの信頼度は低いと判断し、ステップS65へ進む。
【0043】
ステップS65において、このフローで得られたぶれ量を元に、制御部3はシフトレンズ駆動制御部21および31に指令をだし、シフトレンズ15および25を駆動させぶれ補正を行い、処理を終了する。ここで、動きベクトルの信頼度が低いと判断された場合には角速度センサの情報だけを元に補正を行い、動きベクトルが信頼できると判断された場合には角速度センサから得られたぶれ量と、動きベクトルから得られたブレ量の両方を元に補正を行う。
【0044】
ここで、動きベクトルと角速度センサの両方の情報を使うとしたが、他のセンサを用いても良いし、さらに複数の検出手段を用いてもよい。また、角速度センサからの情報は常に用いるとしたが、状況によって使い分けても良い。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 第1の撮像光学系
2 第2の撮像光学系
3 制御部
11 角速度センサ
12 動きベクトル検出部
13 シフトレンズ
20 シフトレンズ駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して第1の画像信号を出力する第1の撮像光学系と、
被写体を撮像して第2の画像信号を出力する第2の撮像光学系と、
前記第2の画像信号から動きベクトルを検出する手段と、
前記検出された動きベクトルに応じて、前記第1の画像信号に対して動き補正を行う制御手段とを備え、
前記第2の画像信号から、前記動きベクトルの信頼度を判断する機能を備え、
前記動きベクトルの信頼度が低い場合には前記動きベクトルによる動き補正を行わない制御手段とを備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記動きベクトルの信頼度は、被写体の画像を占める割合から判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記動きベクトルの信頼度は、画像のコントラストから判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記動きベクトルの信頼度は、第1の撮像光学系のフレームレートから判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体を撮像して第1の画像信号を出力する第1の撮像光学系と、
被写体を撮像して第2の画像信号を出力する第2の撮像光学系と、
前記第2の画像信号から動きベクトルを検出する手段と、
前記検出された動きベクトルに応じて、前記第1の画像信号に対して動き補正を行う制御手段とを備え、
撮影を行うにあたり、状況に応じて設定が選択されるようなモードを備え、
前記モードによっては、前記動きベクトルによる動き補正を行わない制御手段とを備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記モードとは、マクロモードである
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記モードとは、動き補正を行わないようにするモードである
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像装置の揺れ量を物理的に検出する物理センサを備え、
前記動きベクトルの信頼度が低く、前記動きベクトルによる動き補正を行わないときに、
物理センサの出力信号をもとに、第一の画像信号に対して動き補正を行う制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1もしくは請求項5に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像装置の揺れ量を物理的に検出する物理センサと、
物理センサの出力信号をもとに第一の画像信号に対して動き補正を行う制御手段を備え、
複数のぶれ量検出手段による情報をもとに第一の画像信号に対して動き補正を行い、
前記動きベクトルの信頼度が低い場合には前記動きベクトルの情報は用いずに動き補正を行う制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1もしくは請求項5に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−90216(P2012−90216A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237276(P2010−237276)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】