説明

撮像装置及び画像転送方法

【課題】 本発明は、複数の電子カメラ間で画像データの送受信を行う場合であっても、収拾がつかないほどの大量の画像データの送受信が回避できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、他の撮像装置との間で画像データを無線通信により送受信するか否かを設定可能な撮像装置において、他の撮像装置との間の距離に関する情報を取得する距離情報取得手段と、距離情報取得手段によって求めた距離に応じて、画像データの送受信を行うか否かを判定して制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像した画像を送受信して閲覧することのできる撮像装置及び画像転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ自身の電子カメラと他のユーザの電子カメラとの間で撮像した画像を、互いに送受信することによって共有し、各ユーザの電子カメラにおいて画像を閲覧する技術が開発されている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
特許文献1は、ユーザが自身の電子カメラで被写体像を撮像するとともに、画像の検索条件(撮影時刻、画角、画素数等)を自身の電子カメラに入力して、他の電子カメラに送信元として送信することによって、その検索条件を受信した他の電子カメラに、その他の電子カメラが撮像した画像のうちその検索条件に合った画像を検索させて、その画像を受信することで送信元の電子カメラで閲覧できる技術を開示している。
【特許文献1】特許第3996495号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、所定の範囲内に多数の電子カメラ等が存在したり、又は特許文献1のような希望する画像の条件によっては、一度に大量の画像が送受信されて収拾がつかないという場合がある。
【0005】
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の目的は、複数の電子カメラ間で画像データの送受信を行う場合であっても、収拾がつかないほどの大量の画像データの送受信が回避できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、他の撮像装置との間で画像データを無線通信により送受信するか否かを設定可能な撮像装置において、他の撮像装置との間の距離に関する情報を取得する距離情報取得手段と、距離情報取得手段によって求めた距離に応じて、画像データの送受信を行うか否かを判定して制御する制御手段とを備える。
【0007】
また、本発明において、他の撮像装置が複数ある場合に、制御手段は、複数の他の撮像装置の間での画像データの送受信の優先順位を距離に応じて決め、優先順位に応じて画像データの送受信を行うか否かを判定して制御する。
【0008】
また、本発明において、制御手段は、他の撮像装置との距離が離れるにつれて優先順位を上げる。
【0009】
また、本発明において、制御手段は、距離が所定の距離以上の場合、優先順位を下げる。
【0010】
また、本発明において、所定の距離を変更することができる操作部材をさらに備える。
【0011】
また、本発明において、画像データを記憶する記憶手段をさらに備え、制御手段は、記憶手段の記憶容量が所定の記憶容量以上になった場合、他の撮像装置から受信した最新の画像データを先に受信した画像データに上書きして、記憶手段に記憶する。
【0012】
また、本発明において、他の撮像装置が複数ある場合に、制御手段は、距離のより離れた他の撮像装置から順番に画像データの送受信を行う。
【0013】
本発明の画像転送方法は、他の撮像装置との間で画像データを無線通信により送受信するか否かを設定する設定ステップと、画像データを他の撮像装置との間で送受信する通信ステップと、他の撮像装置との間の距離に関する情報を取得する距離情報取得ステップと、距離に関する情報に応じて、画像データの送受信を行うか否かを判定して制御する制御ステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の電子カメラ間で画像データの送受信を行う場合であっても、収拾がつかないほどの大量の画像データの送受信が回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施形態に係る電子カメラ100の構成図である。
【0016】
電子カメラ100は、撮像レンズ1、撮像素子2、A/D変換部3、CPU4、バッファメモリ5、画像処理部6、カードインタフェース(カードI/F)7、操作部材9、記憶部10、表示部11、通信部12、GPS(Global Positioning System)受信部13及びGPSアンテナ14から構成される。CPU4、バッファメモリ5、画像処理部6、カードI/F7、操作部材9、記憶部10、表示部11、通信部12及びGPS受信部13は、バス15を介して情報伝達可能に接続されている。なお、図1は電子カメラ100の主要部分のみを示す。例えば、図1において、CPU4の指令に従って、撮像素子2及びA/D変換部3に撮像指示のタイミングパルスを発するタイミングジェネレータ等は省略されている。
【0017】
撮像レンズ1は、複数の光学レンズにより構成され、被写体像を撮像素子2の受光面に結像する。
【0018】
撮像素子2は、CPU4の指令を受けてタイミングジェネレータが発するタイミングパルスに基づいて動作し、撮像レンズ1によって結像される被写体像を取得する。撮像素子2は、CPU4の指令に基づいて、全画素による被写体像の静止画撮像や、水平走査方向又は垂直走査方向に間引いて画素値を読み出して、ライブビュー用のスルー画や動画の被写体像の撮像を行う。撮像素子2には、CCDやCMOSの半導体のイメージセンサ等を適宜選択して用いることができる。
【0019】
撮像素子2の各画素から出力されるアナログの画像信号は、A/D変換部3にてデジタル信号に変換される。このA/D変換部3は、撮像素子2とともに、CPU4の指令によりタイミングジェネレータ(不図示)が発するタイミングパルスに基づいて動作する。デジタルの画像信号は、一時的にフレームメモリ(不図示)に記録された後、バッファメモリ5に記録される。なお、バッファメモリ5には、半導体メモリのうち、任意の不揮発性メモリを適宜選択して用いることができる。
【0020】
CPU4は、ユーザによる操作部材9の電源釦が押されることよって電子カメラ100の電源が入れられると、記憶部10に記憶されている制御プログラムを読み込み、電子カメラ100を初期化する。CPU4は、操作部材9を介してユーザからの様々な指示を受け付け、制御プログラムに基づいて電子カメラ100を制御動作させる。例えば、CPU4は、タイミングジェネレータ(不図示)に被写体の撮像指令を出力したり、画像処理部6に撮像した画像の画像処理をさせたり、カードメモリ8や記憶部10への記録や表示部11への表示したり等の制御を行う。さらに、本実施形態では、CPU4は、後述するように、撮像した画像とともに生成されるサムネイル画像を、通信部12の無線通信を介して、他の電子カメラ100に送受信する制御も行う。CPU4には、一般的なコンピュータのCPUが使用できる。
【0021】
画像処理部6は、補間処理、輪郭強調処理やホワイトバランス補正等の画像処理とともに、撮影した電子カメラ100のID情報、撮像した画像のシャッター速度、絞り値及びISO値等の撮影条件、及びGPS受信部13で求まる撮影位置等の画像の属性を示す情報等を付加して、Exif形式等の撮像した画像及びサムネイル画像のファイルの生成を行うディジタルフロントエンド回路である。
【0022】
カードI/F7には、カードメモリ8が脱着可能に装着される。バッファメモリ5に記録される画像は、CPU4の指示に基づいて画像処理部7で上記のような処理が行われ、Exif形式等の本撮像の画像及びサムネイル画像のファイルがカードメモリ8に記録される。
【0023】
操作部材9は、ユーザによる操作指示信号をCPU4に出力する。操作部材9には、例えば、電源釦、撮影モード等のモード設定釦、シャッタレリーズ釦等を有する。本実施形態では、後述する複数の電子カメラ100において撮像した画像を送受信する際に必要となる、互いを識別するためのID番号等の初期設定を行うモードが、モード設定釦によって選択できるようになっている。なお、操作部材9は、後述する表示部11の画面に表示されるタッチパネル式の釦であっても良い。
【0024】
記憶部10は、CPU4が電子カメラ100を制御する制御プログラムや撮像した本撮像の画像及びサムネイル画像データ等を記憶する。記憶部10に記憶されるプログラムやデータは、バス15を介して、CPU4から適宜参照することができる。記憶部10には、一般的なハードディスク装置、光磁気ディスク装置又は半導体メモリである任意の不揮発性メモリを選択して用いることができる。
【0025】
表示部11は、ライブビュー用のスルー画、プレビュー用の撮影した画像又はモード設定画面等を表示する。表示部11には、一般的な液晶モニタ等を適宜選択して用いることができる。
【0026】
通信部12は、無線通信によって、他の電子カメラ100との間で撮像したサムネイル画像の送受信を行う。通信部12による無線通信には、一般的な無線LAN、赤外線無線、Bluetooth及び携帯電話等によるものを、適宜選択して使用することができる。なお、無線LAN、赤外線無線、Bluetooth等の方式の場合には、通信部12は電子カメラ100に内蔵されていることが好ましく、携帯電話の場合には電子カメラ100に接続して行うのが好ましい。また、本実施形態において、通信部12から送受信される無線信号の強度は十分強く、特許文献1のように他の電子カメラ100の通信部12を経由して送受信されることはなく、直接電子カメラ100間同士で行われるものとする。
【0027】
GPS受信部13は、GPSアンテナ14が接続され、GPS衛星からの信号を受信する。GPS受信部13は、受信した信号に基づいて、電子カメラ100自身の緯度及び経度や日時等の情報を取得する。取得した緯度及び経度や日時等の情報は、CPU4によって、記憶部10に記録するとともに、通信部12を介して、互いの距離を算出するために、他の電子カメラ100へ送信される。なお、GPSアンテナ14は電子カメラ100に着脱可能としても良い。
【0028】
次に、本実施形態に係る電子カメラ100の動作について、図2(a)の初期設定及び(b)の本撮像におけるのフローチャートをそれぞれ参照しながら説明する。
【0029】
なお、本実施形態は、図3示すように、例えば、報道撮影のように6つの電子カメラ100a〜100fを用いて、所定の領域200(例えば、陸上競技場、野球場、或いは事件などの報道撮影等)の複数の箇所から撮像する場合について説明する。また、以下の説明では、電子カメラ100a〜100fのうち、電子カメラ100aにおける動作処理を中心にして説明する。他の電子カメラ100b〜100fの動作処理についても、電子カメラ100aと同様である。
【0030】
最初に、図2(a)に基づいて、電子カメラ100aの初期設定について説明する。
【0031】
電子カメラ100aの撮影者(ユーザ)により操作部材9の電源釦が押されると、CPU4は、電子カメラ100aの記憶部10に記憶されている制御プログラムを読み込み、電子カメラ100aを初期化する。ユーザは、操作部材9のモード設定釦によって初期設定モードを選択し、CPU4は、図2(a)のステップS10〜ステップS13の処理を行う。
【0032】
ステップS10:CPU4は、ユーザが操作部材9のモード設定釦によって初期設定モードが選択されると、表示部11に初期設定であるカメラ識別設定等の画面を表示する。ユーザは、操作部材9を介して、各電子カメラ100a〜100fに与えられたID番号を入力する。そして、CPU4は、その情報をCPU4内のメモリ(不図示)に記憶する。具体的には、電子カメラ100aのユーザは、電子カメラ100a自身のID番号を入力するとともに、撮像したサムネイル画像の送受信を行いたい相手である他の電子カメラ100b〜100fのID番号を入力する。他の電子カメラ100b〜100fのユーザも同様の設定作業を行う。
【0033】
ステップS11:CPU4は、この後のステップS12において算出する、優先度の関数の形を決める閾値のユーザによる入力を、操作部材9を介して受け付ける。閾値は、各電子カメラ100a〜100fの相互間の距離に応じて、サムネイル画像の送受信を行うか否かを判定するために必要となるものである。ここで、本実施形態における優先度の関数は、図4に示すような、台形型の形をした次式(1)で表される距離に対する関数であるとする。
【0034】
【数1】

【0035】
ここで、式(1)の係数a、b、a’及びb’は任意の値を用いることができる(なお、本実施形態の図4では、b=0としている)。式(1)の形の優先度の関数を用いる理由は、図3のような各電子カメラ100a〜100fの配置において、電子カメラ100aと電子カメラ100bとでは、互いに隣り合う位置にいるためにほとんど同じ画像が撮像されるものと思われ、互いにどのような画像を撮像したかを確認する重要性は低いものと考えられるからである。また電子カメラ100aと電子カメラ100eとでは、互いに遠く離れているために、互いにどのような画像を撮像したかを確認する重要性は高いと考えられるからである。ただし、電子カメラ100fは、距離的には一番電子カメラ100aから離れているが、例えば、電子カメラ100fは競技場の周辺を撮像していたり、登録はされているが他の電子カメラ100a〜100eの予備のために待機していたり等のような場合、電子カメラ100aと電子カメラ100fとの間で、互いにどのような画像を撮像したかを確認する重要性は低いものと考えられるので、式(1)のような台形型にすることで優先度を小さくしている。
【0036】
したがって、本ステップS11では、ユーザは、式(1)における3つの距離の閾値X1〜X3を入力する。
【0037】
ステップS12:CPU4は、GPS受信部13からGPS信号に基づいて、自身の電子カメラ100aの現在位置の緯度及び経度や日時等の情報を取得する。そして、CPU4は、通信部12を介して、他の電子カメラ100b〜100fへ自身の位置情報を送信するとともに、他の電子カメラ100b〜100fの位置情報を受信する。CPU4は、受信した各他の電子カメラ100b〜100fの位置情報を基に、それぞれの相互間の距離を算出する。
【0038】
ステップS13:CPU4は、ステップS11で決めた式(1)の優先度の関数とステップS12で算出した各電子カメラ100a〜100fの相互間の距離とに基づいて、サムネイル画像の送受信を行うか否かを決めるための優先度を各他の電子カメラ100b〜100fについて決定して設定し、初期設定を終了する。なお、図3は、本実施形態において、電子カメラ100aを中心にした各他の電子カメラ100b〜100fの配置と各閾値X1〜X3との関係を示す。また、図3及び図4は、電子カメラ100aに対する各他の電子カメラ100b〜100fの優先度を示す。
【0039】
以上が、各電子カメラ100a〜100fのユーザによる、初期設定についての説明である。
【0040】
次に、図2(b)における本撮像における撮像処理について説明する。今回も、電子カメラ100a〜100fのうち、電子カメラ100aにおける動作処理について説明する。他の電子カメラ100b〜100fについても、電子カメラ100aの場合と同じである。
【0041】
上記図2(a)の初期設定が終了すると、図2(b)に示すステップS20〜ステップS24の本撮像処理が行われる。なお、本実施形態では、各電子カメラ100a〜100fのユーザは、操作部材9のモード設定釦によって、単写撮像モード又は連写撮像モードのいずれかを選択するものとし、本実施形態では、連写撮像モードを選択したものとして説明する。なお、単写撮像モードを選択しても、基本的には処理は同じである。
【0042】
ステップS20:CPU4は、ユーザから指示を受け付けるまで待機する。ユーザによって操作部材9のシャッタレリーズ釦が押されると、CPU4は、本撮像の指示が出されたと判断し、タイミングジェネレータ(不図示)を介して、撮像素子2に全画素読み出しによる静止画撮像を行わせる。撮像素子2の全画素から出力されたアナログの画像信号は、A/D変換部3によってデジタル信号に変換されて、バッファメモリ5に記録される。
【0043】
ステップS21:CPU4は、ステップS20で撮像された画像データを、画像処理部6へ転送して、画像処理部6に補間処理、輪郭強調処理やホワイトバランス補正等の画像処理を行わせるとともに、自身の電子カメラ100aのID番号、シャッター速度、絞り値及びISO値等の撮影条件やGPS受信部13から求めた撮影位置等の画像情報を付加した、Exif形式等の本撮像の画像及びサムネイル画像のファイルの生成させる。画像処理部6は、本撮像の画像及びサムネイル画像のファイルを記憶部10に記憶する。
【0044】
ステップS22:CPU4は、ステップS21で生成したサムネイル画像を、通信部12の無線LAN等による無線通信を介して、優先度の高い順に他の電子カメラ100b〜100fへ送信する。同時に、自身の電子カメラ100aの優先度が高く設定されている他の電子カメラ100b〜100fのいずれかから、撮像されたサムネイル画像を受信する。ここで、本実施形態では、図3及び図4で示すように、電子カメラ100aと電子カメラ100fとの間の距離が、距離X3以上離れているために、互いの電子カメラ100a及び電子カメラ100fにおいて、互いに優先度が0に設定されている。したがって、CPU4は、電子カメラ100fとの間でのサムネイル画像の送受信は行わない。一方、CPU4は、電子カメラ100d及び電子カメラ100eは共に優先度10で同じであるが、相互間の距離は電子カメラ100e方がより遠いことから、電子カメラ100eとの間でのサムネイル画像の送受信を最初に行う。その後、CPU4は、電子カメラ100dとの間でのサムネイル画像の送受信を行う。なお、各他の電子カメラ100b〜100fにおいても、同様の手順で優先度と相互間の距離とに応じて、サムネイル画像の送受信を行う。
【0045】
ステップS23:CPU4は、ステップS22で受信したサムネイル画像を、優先度の高い電子カメラ100eで撮像されたものから順に、例えば、図5に示すような配置で表示部11に表示する。図5の表示部11には、自身で撮像した画像又はスルー画像40とともに、他の電子カメラ100b〜100eで優先度の高いものから送信されて来たサムネイル画像50a〜50dのように順次表示する。同時に、自身で撮像した画像又はスルー画像40や受信したサムネイル画像50a〜50dには、その画像を撮像した時の撮像情報が付加されていることから、操作部材9を介して、ユーザによって選択された画像の撮像した電子カメラ100のID(図5では、自身の電子カメラ100a)等の撮像情報60が表示される。
【0046】
ステップS24:CPU4は、ユーザによって操作部材9のシャッタレリーズ釦が押され続けられているか否かを判定する。シャッタレリーズ釦が押され続けている場合には、CPU4は次の画像の撮像を行うためにステップS20(YES側)へ移行し、ステップS20〜ステップS23の処理を行う。一方、シャッタレリーズ釦が押されていない場合(NO側)には、CPU4は、連写撮像を終了する。なお、本実施形態では、ステップS22及びステップS23の処理は、他のステップの処理と並行して行われることが好ましいことから、本撮像が終了しても、他の電子カメラ100b〜100fとの間において、それぞれにおいて撮像されたサムネイル画像全てが送受信されるまで続けられ、その後、図2(b)の処理が終了する。
【0047】
これにより本実施形態は、電子カメラ100a〜100fの各々において、各電子カメラ100a〜100fのID情報とともに、GPS受信部13に基づいて求めた互いの距離に応じて図4に示すような優先度を設定することにより、その優先度と距離に応じて、電子カメラ100a〜100fとの間でそれぞれが撮像したサムネイル画像を送受信することを制御することによって、一度に大量の画像が送受信されるのを回避することができる。さらに、各電子カメラ100a〜100fの記憶部10やメモリカード8が一杯になってしまい、肝心の各自身の電子カメラ100a〜100fによる撮像への影響も回避できる。
【0048】
また、電子カメラ100a〜100fのうち、互いに距離が遠い電子カメラ同士(例えば、電子カメラ100aと電子カメラ100e)におけるサムネイル画像の送受信を優先することにより、それぞれの撮影位置が大きく離れているので、大きく異なるアングルやシーンの画像を相互に閲覧することで、各ユーザ自身がどのような画像を撮像したらよいかが判断しやすくなり、撮像したい画像の取りこぼしがなくなる。さらに、優先度の高いものから順次送信するので、1つの電子カメラ100aが他の電子カメラ100b〜100eにサムネイル画像を一斉送信することがなく、混信を回避することができる。
≪実施形態の補足事項≫
本実施形態では、図2(a)の初期設定は、本撮像の前に一度行うだけであったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図2(b)の本撮像処理の間、電子カメラ100aのCPU4は、ステップS11及びステップS12の各他の電子カメラ100b〜100fの位置及び優先度を求める処理を、所定時間(例えば、1分等)毎に、上記本撮像処理と並列処理を行うことによって、定期的に更新設定することが好ましい。これにより、たとえ撮影者である各ユーザが、より良い画像を得ようとして場所を移動しても適切な対応を行うことが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態では、ステップS22及びステップS23の処理は、他のステップの処理と並行して行われることが好ましく、本撮像が終了しても、電子カメラ100a〜100fとの間において、それぞれで撮像されたサムネイル画像全てが送受信されるまで続けられるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、電子カメラ100aが本撮像を先に行い、次の本撮像までの間等に、ユーザが、操作部材9の操作によって、優先度の高い順の他の電子カメラ100b〜100fとの間で撮像した全てのサムネイル画像の送受信を行い、その後、電子カメラ100aの表示部11に優先度の高い電子カメラ100b〜100fの順に撮像されたサムネイル画像を表示してもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、電子カメラ100aが、優先度の高い順に他の電子カメラ100b〜100fのいずれかで撮像された全てのサムネイル画像の受信をしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各電子カメラ100a〜100fのCPU4が、記憶部10の記憶容量を監視して、その記憶容量が所定の記憶容量(例えば、80%)以上になった場合、他の電子カメラ100a〜100fから受信した最新の画像データを、先に受信した古い画像データに上書きして記憶するようにしてもよい。或いは、各電子カメラ100a〜100fのCPU4は、通信部12に対して、自身以外の他の電子カメラ100a〜100fとのサムネイル画像の送受信を停止してもよい。これにより、各自身の電子カメラ100a〜100fによる撮像への影響をより効果的に回避できる。
【0051】
なお、本実施形態では、優先度の値の最大値を10としたが、本発明はこれに限定されず、任意の値を用いることができる。
【0052】
なお、本実施形態では、距離に対する優先度の関数として、式(1)や図4に示す台形型のものを用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば、図6のような関数や、図4のy=ax+b及びy=−a’x+b’の部分をステップ関数や放物線等に変更したりして、他の任意の形の関数を適宜選択して用いることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、図2(a)の初期設定において、GPS受信部13に基づいた各電子カメラ100a〜100fの位置情報を用いて、互いの距離を計算して各電子カメラ100a〜100fの各々の優先度を決定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、あらかじめ各電子カメラ100a〜100fの配置位置が決まっている場合には、相互間の距離も自ずと求めることができることから、各ユーザが、操作部材9を用いて直接互いの距離や優先度を入力してもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、ステップS23において、自身の電子カメラ100aで撮像した画像又はスルー画像40、他の電子カメラ100b〜100fで優先度の高いものから順に送信されて来たサムネイル画像50a〜50d及びそれらの画像の撮像情報を図5のように表示したが、本発明はこれに限定されず、任意の配置によって表示部11に表示するのが好ましい。
【0055】
また、図5のような表示を表示部11で行ったが、電子カメラ100aの電子ビューファインダにおいて、図5のような表示を行ってもよい。これにより、ユーザは撮像しながら、他の電子カメラ100a〜100fの撮像した画像を確認することができる。
【0056】
また、受信したサムネイル画像のうち、気に入った画像があった場合、電子カメラ100aのユーザによる操作部材9の操作によって、その画像を撮像した他の電子カメラ100b〜100fから元画像データを受信するようにしてもよい。
【0057】
なお、本実施形態では、図1の電子カメラ100を用いた画像転送方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7に示すように、本実施形態に係る電子カメラ100のように、他の電子カメラ100との間で画像データの送受信ができない電子カメラ300に対して、CPU4a、バッファメモリ5、画像処理部6a、操作部材9a、記憶部10、表示部11、通信部12、GPS受信部13、GPSアンテナ14、バス15及び入出力インターフェス(入出力I/F)16から構成される送受信装置400を、入出力I/F16を介して接続することによって、電子カメラ300を本実施形態の電子カメラ100のように動作させることができるので、その送受信装置400が接続された電子カメラ300を用いて、本実施形態に記載した画像転送方法を実施することが可能である。
【0058】
具体的には、図7の送受信装置400において、本実施形態に係る電子カメラ100と共通する各構成要素及びそれらの動作に関する説明は省略する。CPU4a、画像処理部6a及び操作部材9aの各構成部品の動作は、本実施形態の電子カメラ100とは少し異なる。即ち、図1の電子カメラ100のものと異なる点は、CPU4aは、本撮像の制御は行わない。本撮像の制御は、電子カメラ300のCPU(不図示)が行う。画像処理部6aは、画像補間処理等の画像処理は行わず、電子カメラ300で撮像された画像に、電子カメラ300のID情報及びGPS受信部13で求めた撮影位置等の画像の属性を示す情報等を付加して、Exif形式等の本撮像した画像及びサムネイル画像のファイルの生成を行う。操作部材9aは、図2(a)の初期設定を行う釦と、電子カメラ300で撮像した画像又は他の電子カメラ100a〜100fから受信したサムネイル画像50a〜50dのいずれかを選択して、選択した画像の撮像情報等を表示部11に表示させる選択釦のみからなる。そして、新たに追加された入出力I/F16は、電子カメラ300との間で電子カメラ300が撮像した画像データの入出力を行うインターフェスである。
【0059】
図7の送受信装置400における図2(a)の初期設定及び図2(b)の本撮像処理の手順については、本実施形態に係る電子カメラ100と同じであり、詳しい説明は省略する。
【0060】
なお、本発明は、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈されてはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一の実施形態に係る電子カメラ100の構成例を示す模式図
【図2】電子カメラ100の初期設定及び本撮像における撮影手順を示すフローチャート
【図3】電子カメラ100a〜100fの配置例を示す図
【図4】本実施形態における距離に対する優先度の関数の一例を示す図
【図5】電子カメラ100の表示部11における表示例を示す図
【図6】距離に対する優先度の関数の他の一例を示す図
【図7】本発明に係る画像転送方法に用いられる別の電子カメラの構成例を示す模式図
【符号の説明】
【0062】
1 撮像レンズ、2 撮像素子、3 A/D変換部、4 CPU(制御手段)、5 バッファメモリ、6 画像処理部、7 カードI/F、8 カードメモリ、9 操作部材、10 記憶部、11 表示部、12 通信部、13 GPS受信部(距離情報取得手段)、14 GPSアンテナ(距離情報取得手段)、15 バス、100 電子カメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の撮像装置との間で画像データを無線通信により送受信するか否かを設定可能な撮像装置において、
前記他の撮像装置との間の距離に関する情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報取得手段によって求めた前記距離に応じて、前記画像データの送受信を行うか否かを判定して制御する制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記他の撮像装置が複数ある場合に、
前記制御手段は、複数の前記他の撮像装置の間での前記画像データの送受信の優先順位を前記距離に応じて決め、前記優先順位に応じて前記画像データの送受信を行うか否かを判定して制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記他の撮像装置との前記距離が離れるにつれて前記優先順位を上げることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記距離が所定の距離以上の場合、前記優先順位を下げることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記所定の距離を変更することができる操作部材をさらに備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記画像データを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記記憶手段の記憶容量が所定の記憶容量以上になった場合、前記他の撮像装置から受信した最新の画像データを先に受信した画像データに上書きして、前記記憶手段に記憶することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記他の撮像装置が複数ある場合に、
前記制御手段は、前記距離のより離れた前記他の撮像装置から順番に前記画像データの送受信を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
他の撮像装置との間で画像データを無線通信により送受信するか否かを設定する設定ステップと、
前記画像データを前記他の撮像装置との間で送受信する通信ステップと、
前記他の撮像装置との間の距離に関する情報を取得する距離情報取得ステップと、
前記距離に関する情報に応じて、前記画像データの送受信を行うか否かを判定して制御する制御ステップと
を備えることを特徴とする画像転送方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−103725(P2010−103725A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272773(P2008−272773)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】