説明

撮像装置

【課題】目標の検出性能がほとんど低下することなく短時間で撮像を行うことができる等の撮像装置を得る。
【解決手段】この発明の撮像装置は、物体から入射する光線を互いに直交した平面偏光に分離する偏光子1と、偏光子1で分離された平面偏光のそれぞれに対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器3と、検出器3により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置4とを備えた撮像装置において、偏光子1は、平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射される電磁波により目標物体を撮像、検知する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置とは、被写体より放射、反射される電磁波を結像レンズを用いて集光することにより形成した像を検知する装置である。
この装置により得られた画像は、例えば背景から目標を検知するために使用されるが、このとき目標と背景とのコントラストが大きい方が両者を容易に弁別できる。画像の明るさは電磁波の入射量に応じて大きくなるため、目標と背景とのそれぞれの入射量における差が小さい場合にはコントラストが小さくなり、目標の検出が困難となる。
このような電磁波の入射量に差がない場合でも目標と背景とのコントラストを高くする手段として、偏光特性の利用があげられる。
【0003】
図22は特許文献1に記載された撮像装置の光路図である。
この図において、2aは被写体である目標からの電磁波を集光し像を形成する透過光結像レンズ、3は透過光結像レンズ2aにより得られた像を検出し電気信号に変換する検出器、4は検出器3からの信号を処理する信号処理装置である。
19は透過光結像レンズ2aの目標側に設けられ入射光線を直交する偏光成分を吸収することで平面偏光する偏光フィルタ、20は内部に偏向フィルタ19を収納した回転装置で、偏光フィルタ19を回転させる機能を有する。
なお、図中、矢印記号は電磁波の振動方向が地平面と平行な偏光方向を示し、丸印内に×印が示された記号は電磁波の振動方向がそれと直交する偏光方向を示している。
【0004】
目標及び背景の偏光特性は、その材質、表面状態などの物理特性の違いから、一般に異なっている。
例えば、電磁波として赤外線を用い、目標をほぼ黒体と見なせる物体、背景を太陽光線を反射する水面とした場合、目標からの赤外線は特定の偏光面を持たないのに対し、背景からの反射赤外線はある方向に部分偏光している。そのため、赤外線が検出器3に達する前に、部分偏光している背景からの反射赤外線は偏光フィルタ19によってその直交する偏光成分を減衰されるため、目標とのコントラストが高くなる。
【0005】
この例では、背景からの反射赤外線の偏光面は事前には不明なため、図23に示すように、回転装置20の駆動により偏光フィルタ19を回転させながら時間平均することにより減衰させている。
なお、背景からの反射赤外線の偏光面を検出する装置を設け、その装置で検出した背景の偏光面と概ね直交するように偏光フィルタ19を回転させることで、背景からの反射赤外線量を減少させるようにしてもよい。
【0006】
偏光特性の違いにより目標検出を行うには、偏光の大きさを表すパラメータである偏光度を用いるとよい。
「光学技術ハンドブック」朝倉書店(1997.4.1)などによれば、部分的に平面偏光した光線の偏光度Pは、回転する偏光フィルタ19を透過した強度の最大値Imaxと、これと直交する平面偏光の成分である最小値Iminから偏光度P=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)として求められる。つまり、偏光フィルタ19を回転させることで、図23に示すように、偏光フィルタ19の回転に対する出力が変動し、その値から偏光度Pを計算することで、目標と背景の偏光特性の違いが現れ、両者のコントラストを大きくすることができる。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−259112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の撮像装置では、背景などの偏光方向に対して偏光フィルタ19を平行あるいは直交するために偏光フィルタ19を回転する必要があり、撮像をする上で時間がかかってしまうという問題点があった。
また、少なくとも90°偏光フィルタ19を回転させるための機構が必要となり、回転装置20が複雑で、かつ装置全体が大きくなってしまうという問題点もあった。
【0009】
また、背景からの偏光面を検出する検出装置を用い、その検出装置から得られた偏光面に対して直交するように偏光フィルタ19を回転させる撮像装置の場合には、その検出装置が別途必要になるという問題点もあった。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、目標の検出性能がほとんど低下することなく短時間で撮像を行うことができる等の撮像装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る撮像装置は、物体から入射する光線を互いに直交した平面偏光に分離する偏光子と、上記偏光子で分離された上記平面偏光のそれぞれに対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されている。
【0012】
また、この発明に係る撮像装置は、物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を互いに直交する平面偏光に分離する偏光子と、上記偏光子により分離された2つの像に対して電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されている。
【0013】
また、この発明に係る撮像装置は、物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記光学系の内部に設けられ上記光線を互いに直交する平面偏光に分離する偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の撮像装置によれば、目標の検出性能がほとんど低下することなく短時間で撮像を行うことができる等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の各実施の形態について説明するが、各実施の形態において、同一、または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1である撮像装置の光路図である。 図1において、1は地平面と平行な偏光成分を透過し、それと直交する偏光成分を反射する偏光子、2aは偏光子1を透過した電磁波を集光し、像を形成する透過光結像レンズ、3aは透過光結像レンズ2aによって形成された像を検出し、電気信号に変換する透過光検出器、2bは偏光子1で反射した電磁波を集光し、像を形成する反射光結像レンズ、3bは反射光結像レンズ2bによって形成された像を検出し、電気信号に変換する反射光検出器、4は透過光検出器3a及び反射光検出器3bから得られた電気信号を処理する信号処理装置である。
【0016】
上記偏光子1は、偏光子の方向に直交する偏光成分に関しては反射する必要があるが、このような条件を満足する偏光子として、ワイヤーグレーティング、偏光プリズム、複屈折材料を用いた干渉フィルタ等がある。
【0017】
なお、図中、透過光結像レンズ2a及び反射光結像レンズ2bは1枚のレンズとして示したが、勿論複数レンズであってもよいし、反射鏡等同様に光線を結像する機能を備えたものであればよい。また、矢印記号は電磁波の振動方向が地平面と平行な偏光方向を示し、丸印内に×印が示された記号は電磁波の振動方向がそれと直交する偏光方向を示している。
【0018】
上記構成の撮像装置では、偏光子1により、被写体からの光線のうち地平面に水平な偏光成分が透過光検出器3aで像として検出され、それと直交する偏光成分が反射光検出器3bで検出される。
そして、信号処理装置4で、透過光検出器3aからの信号と反射光検出器3bからの信号とを加える信号処理を行うことにより、偏光子が用いられていない撮像装置と同様に、輝度情報を得ることができる。信号処理装置4は、検出器3bにより変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する。
また、透過光検出器3aと反射光検出器3bとからの信号の差を取ることにより、光線が偏光しているかを知ることができる。つまり、光線が偏光していないときには、信号の差の値はゼロとなる。
【0019】
この透過光検出器3a及びこの反射光検出器3bは、偏光子1で互いに直交、分離した平面偏光を同時に検出しており、短時間で撮像することができる。また、2つの検出器3a、3bによる検出画像の間に時間的なずれがなく、被写体及び撮像環境の時間変化の影響を受けない。
【0020】
ここで、被写体からの光線について、偏光している光強度成分をIp、偏光していない光強度成分をIn、偏光成分の偏光面と偏光子1の偏光方向のなす角をθ(0°≦θ<180°)とする。なお、ここでは偏光子1を透過した光線の電界ベクトルの振動する方向を偏光方向とよぶ。このとき、透過光検出器3aの信号量はIa=A[In/2+Ip(cosθ)]、反射光検出器3bの信号量はIb=A[In/2+Ip(sinθ)]となる(Aは定数)。したがって、透過光検出器3aと反射光検出器3bとの信号量差はΔI=Ia−Ib=A・Ip・Cos2θとなる。つまり、θ=0°、90°の時にはΔIが最大となりもっともS/N比が高くなるが、θ=45°,135°の時にはたとえ光線が偏光していても無偏光となってしまう。このことから、偏光情報を高精度に得るためにはθ≒0°,90°の条件で撮像を行う必要がある。
【0021】
ところで、物体からの放射、反射される光線の偏光成分における偏光面は、一般に、反射の時には物体表面に平行に、放射の時には垂直に現れる。したがって、上記の通り偏光子1の偏光方向を物体面と平行あるいは垂直にすることで、偏光情報を高精度に得ることができる。
一般に、偏光特性を高く示す水面や建造物・車両などの人工物は、地平面とほぼ平行な面や垂直壁面を多く持っている。このため、偏光子1の偏光方向を地平面と平行あるいは垂直に配置することで、偏光情報を高精度に得ることができる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、地平面に平行な偏光成分を透過する方向の偏光子1を配置したが、それと垂直な偏光成分を透過するように偏光子を配置しても同様の効果が得られることは勿論である。
【0023】
上記の実施の形態では、偏光特性の評価方法として透過光検出器3aと反射光検出器3bとの信号量差ΔIを用いたが、これを透過光検出器3aと反射光検出器3bとの信号量の和で信号量差ΔIを割り算して規格化した値で評価してもよい。つまり、ε=(Ia−Ib)/(Ia+Ib)を偏光特性の評価値として用いてもよい。信号量差ΔIの大きさは偏光している光強度成分Ipに比例し、また輝度によって変化するが、εの大きさは常に−1≦ε≦1に正規化されるため、輝度の大きさに影響を受けない評価ができる。
また、透過光検出器3a及び反射光検出器3bによる信号量を図2のように2次元でのグラフを用いて評価を行うことも有効である。2次元グラフ上では輝度特性及び偏光特性が同時に評価できるため、2つの特性を用いた弁別・分類が容易にできる。
【0024】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による撮像装置を示した光路図である。
この実施の形態では、物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズ2dを含む光学系が、偏光子1の入射側に設けられている。他の構成要素は実施の形態1と同様である。
この実施の形態2の撮像装置では、偏光子1を結像レンズ2dの射出側に配置することで、結像レンズ2dは、偏光子1の透過光線、反射光線の2つを共有しており、部品点数を削減できる。また、偏光子1には結像レンズ2dで集光された電磁波が入射するので、偏光子1が小型化され、部品点数の削減と相俟って撮像装置が小型化される。
【0025】
ところで、上記実施の形態2において、例えば偏光子1に平板を用いた場合には、偏光子1に平行光線が通る実施の形態1と異なり、偏光子1内を通る光線の光路長が部位によって異なり、検出器3a、3b上に形成する像に収差が発生する。このため、図4に示すように楔形状の偏光子51を用いることで、検出器3a、3b上に形成される像の収差を小さくすることができる。なお、楔形の偏光子51の影響で透過光検出器3aで形成される像面は傾きを持つおそれがあるが、これに対しては、反射光検出器3aを傾けて光路長の差を小さくすることで、像面の傾きを小さくしている。
【0026】
また、主光線の偏光子1への入射、偏光子1からの射出時に常に偏光子1の各面が垂直となる形状にすることで収差を抑えることができる。
図5はこのようにして収差を小さくした偏光子1の一例である。この偏光子1は、内部に偏光子面21を有した直方体であり、偏光子面21は、直方体の対向した2面に対しては垂直であり、他の4面に対してなす角度は45度である。偏光子面21は入射光線を互いに直交し、一方が透過する平面偏光と、他方が反射する平面偏光に分離する機能を有している。このとき、主光線の偏光子1への入射、偏光子1からの射出時には常に各面が垂直なので平行平板に入射するのと同等であり、検出器3a、3bでの収差はほとんど発生しない。
なお、上記構成でも高次の収差が発生するが、その影響は偏光子の面を非球面化することで低減することができる。
【0027】
実施の形態2では、偏光子1を結像レンズ2dの後方に置く構成としたが、図6に示すように光学系2の内部に偏光子1を設けても同様に、部品点数の削減、小型化の効果が得られる。
このとき、周辺光線が主光線に対して平行に近い領域に偏光子1を配置することで、上述の偏光子1の挿入により発生する収差を小さくすることができる。
特に、偏光子1より前方の結像レンズ2dをアフォーカルレンズとした場合には、偏光子1を透過、反射する光束は平行光線であり、結像レンズ2dに入射する光束よりも細い光束となる。その結果、収差の発生がまったく起こらず、偏光子1を小型化することができる。
【0028】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3による撮像装置の光路図である。6は視野絞り7を備えた前段レンズ、8はプリズムであり、瞳の位置で光線を2つに分離している。1aは第1偏光子部、1bは第2偏光子部であり、第1偏光子部1aは入射する光線のうち地平面に平行な偏光成分のみを透過し、第2偏光子部1bはそれと直交する偏光成分のみを透過し、それぞれには実施の形態1、2と異なり、入射する成分を反射する機能は必要ない。即ち、第1偏光子部1aと第2偏光子部1bとを組み合わせたものが実施の形態1、2の偏光子1に相当する。
【0029】
実施の形態3の撮像装置では、被写体からの入射光線は前段レンズ6の内部にある視野絞り7の位置で一度像を形成する。そのあと、前段レンズ6を射出する段階で再び平行光線に戻し、プリズム8に入射する。プリズム8で光線は2つに分割され、それぞれ第1偏光子部1a、第2偏光子部1bにより地平面に平行な成分とそれに直交する成分だけを取り出す。そして、分割された2つの光線は透過光結像レンズ2aを通過して同じ透過光検出器3a上の異なる領域に像を形成し、透過光検出器3aでは2つの像が同時に電気信号に変換される。得られた地平面に平行な偏光成分とそれと直交する偏光成分の電気信号から、輝度情報及び偏光情報が得られるのは、実施の形態1と同様である。
【0030】
実施の形態3では透過光検出器3aを地平面に平行な偏光成分とそれと直交する偏光成分の2つの光線の像で共有することにより、部品点数を削減でき、撮像装置を小型化することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態3ではプリズム8を用いて光線を2つに分割したが、同様のことはミラーを用いても可能である。プリズムは電磁波に対し透過材料でなければならず材料が制限されるのに対し、ミラーは反射膜をコーティングできれば母材の光学特性を問わないため、選択の幅が広いというメリットがある。
また、上記実施の形態ではプリズム、ミラーと偏光子とは別部品としたが、一体化してもよい。例えば、図7でプリズム8が偏光子部1a、1bと対向した面に偏光機能を持たせることで、一体化が可能である。プリズムと偏光子部とを一体化することにより、部品点数が削減され、撮像装置が小型化される。
【0032】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4による撮像装置の光路図である。9は偏光子1の後方に設けられたミラーであり、偏光子1の向きは、当然地平面と平行方向もしくはそれと直交する方向に配置している。
実施の形態4の撮像装置では、入射光線のうち地平面と平行な偏光成分は偏光子1を透過し、それと直交する光線は反射して結像レンズ2eにより検出器3上に像を形成する。透過した光線はミラー9で反射し再び偏光子1を透過後、結像レンズ2eに入射するが、このとき、ミラー9に設けた角度により反射光とは異なる角度で結像レンズ2eに入射する。そのため、反射光とは異なる位置で検出器3上に像を形成するので、実施の形態3と同様、2つの像を1つの検出器3で検出することができる。
【0033】
上記実施の形態3の撮像装置では瞳の光線を半分に分けてから偏光したため半分の光線が失われるのに対して、この実施の形態4では偏光によって光線を2つに分けているので、光線損失が無く、実施の形態3の2倍の信号量が得られる。
なお、この実施の形態では透過光をミラー9で反射する構成を示したが、反射光をミラーで反射して結像レンズに光線を導く構成としてもよい。
【0034】
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5による撮像装置の光路図である。10は前段レンズ6と結像レンズ2dとの間に設けられた複屈折部材で、偏光方向により異なる屈折率を持つプリズムとしての機能を有する。この複屈折部材10は、自然に存在する一軸結晶や二軸結晶を用いることもできるし、微細構造を積層して人工的に作成したフォトニック結晶を用いてもよい。
【0035】
実施の形態5の撮像装置では、複屈折部材10は入射光線に対して地平面に平行な偏光成分とそれと垂直な偏光成分で異なる屈折率を表すプリズムとなるように配置されている。そのため、入射光線は複屈折部材10で2つの偏光成分に分割され、実施の形態3と同様の効果が得られる。
このとき、上記の実施の形態3では瞳の光線を半分に分けてから偏光したため半分の光線が失われるのに対して、この実施の形態5では偏光によって光線を2つに分けているので光線損失が無く、実施の形態3の2倍の信号量が得られる。
【0036】
実施の形態6.
図10はこの発明の実施の形態6による撮像装置の光路図である。この撮像装置は、物体より入射する光線から像を形成するとともに偏光方向により異なる屈折率を有する複屈折材料で構成された複屈折結像レンズ2cを含む光学系と、この光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器3と、検出器3により得られた電気信号を処理する信号処理装置4とを備えている。
複屈折レンズ2cは、自然に存在する一軸結晶や二軸結晶を用いることもできるし、微細構造を積層して人工的に作成したフォトニック結晶を用いてもよい。
【0037】
実施の形態6の撮像装置では、複屈折結像レンズ2cは入射光線に対して地平面に平行な偏光成分とそれと垂直な偏光成分で異なる屈折率を表すレンズとなるように配置されている。そのため、入射光線は2つの偏光成分で焦点距離が異なり、像を形成する面も光軸上で前後する。
したがって、例えば検出器3を前後に移動させながら像を検出すると、2つの偏光方向に対する像強度が時間的に順番に電気信号として得られる(図11)。この電気信号の最大値と最小値が2つの偏光方向に対応する像強度である。
【0038】
そこで、この電気信号を直接解析して最大値及び最小値を求め、上記の実施の形態1と同様に信号処理を行うことでも輝度、偏光情報を得ることが可能であるが、例えばこの信号から電気的に変動成分(AC成分)を求めることで偏光特性(Ia−Ib)を得ることができる。また、積分や平均をとり無変動成分(DC成分)を求めることで輝度情報(Ia+Ib)を得ることができる。
また、ここで用いている検出器3の移動は通常レンズの合焦のために使われる機構をそのまま用いることができ、新たな機構を必要としない。
【0039】
実施の形態7.
図12はこの発明の実施の形態7による撮像装置の光路図である。11は撮像装置に取り付けられ地平面に対する傾きを求めることができる傾き検知手段であるジャイロセンサ、12はジャイロセンサ11に接続され撮像装置の傾きを補正する傾き補正手段である姿勢制御装置で、ジャイロセンサ11により得られた地平面に対する傾き情報を基に、偏光子1の偏光方向が地平面と平行またはそれと直交するように撮像装置の姿勢を調整する。
【0040】
上記実施の形態1で説明したとおり、偏光子1の偏光方向は地平面に対して平行もしくはそれと直交する方向でなければ、偏光特性の取得データに対するS/N比が低下する。このため、実施の形態7ではジャイロセンサ11と姿勢制御装置12を用いて偏光子1の偏光方向が地平面に対して常に平行もしくはそれと直交する方向となるように調整することで、常に高いS/N比でデータ取得ができるようにしている。偏光子1の偏光方向は、地平面に平行あるいはそれと直交であればいいので、姿勢制御装置12の調整角度範囲は45°以下でよい。
【0041】
なお、上記実施の形態では撮像装置の傾きを求めるためにジャイロセンサを用いたが、例えば傾き検知手段である重力センサ(加速度センサ)により鉛直方向を知ることで傾きを求めてもよい。また、撮像装置による画像の地平面の地平線や水平面の水平線などを用いて傾きを求めることもできる。
上記実施の形態では撮像装置全体の姿勢を姿勢制御装置を用いて制御することで偏光子1の偏光方向を地平面に平行に調整したが、偏光子1、透過光結像レンズ2a及び透過光検出器3aに対して角度を調節するだけでも同様の効果が得られる。あるいは偏光子1のみを回転する傾き補正手段である回転機構を用いることで偏光子1の角度を調節するようにしてもよい。
【0042】
実施の形態8.
図13はこの発明の実施の形態8による撮像装置の光路図である。18は傾き補正手段である像回転装置であり、撮像装置の撮像する像を任意の角度で回転する機能を持つ。一般に、像回転装置18はプリズムで構成されている。
この実施の形態8では傾き検知手段であるジャイロセンサ11で得られた地平面に対する撮像装置の傾き情報を基に、像回転装置18を用いて偏光子1による光線の偏光方向が地平面と常に平行になるように角度を補正して撮像する。このことにより、実施の形態7と同様に常に高いS/N比でデータ取得ができるようになる。なお、地平面の角度を求める手段がジャイロセンサ11以外でもいいのは、上記実施の形態7と同様である。
なお、上記像回転装置18には入射光線の方向を変え、撮像する領域を任意に選択するスキャナの機能を持たせることもできる。
【0043】
実施の形態9.
図14はこの発明の実施の形態9による撮像装置の光路面図である。この実施の形態では、被写体からの光線が偏光子1に入射される偏光子1の一面側に対する他面側に、無放射な無放射体13が配置されている。この無放射体13から放射、反射される電磁波は無視できるほど少ない。
【0044】
偏光子1は、被写体からの光線を透過、反射して偏光方向に応じて透過光結像レンズ2a、反射光結像レンズ2bに光線を導くという機能を担っているが、被写体からの光線が入射する偏光子1の面の裏面側から入射する光線も同様に偏光子1で透過、反射する。偏光子1の裏側から偏光子1に入射した光線は地平面と平行な偏光成分は透過して、迷光として反射光結像レンズ2bに入射し、反射光検出器3bで被写体からの信号と同様に検出されるため雑音となる。
一方、それと直交する偏光成分は偏光子1で反射するため迷光として透過光結像レンズ2aに入射し、やはり透過光検出器3aからの信号の雑音として加わる。この結果、撮像装置の雑音が増加し、装置の性能が低下することとなる。特に、電磁波として赤外線を用いた場合には熱による放射光が発生し易いため、その影響は無視できなくなる。
【0045】
この実施の形態8では、雑音源となるに電磁波の放射、反射が無視できる無放射体13を配置することで、迷光による影響を除去している。
上記実施の形態では、無放射体13は反射、放射が無視できるほど小さいとしたが、偏光特性を示す、透過光検出器3aと反射光検出器3bとの信号量差ΔIだけが重要である場合には、無放射体13については偏光特性を持たなければ反射、放射があってもよい。迷光に偏光特性がない場合には2つの偏光方向で現れる迷光の大きさは等しいため、ΔIを計算する時に相殺されるからである。
【0046】
また、輝度情報が例えば平均値からの変動のみを見るためにのみ用いられる等、オフセットに関しては問題とならない場合には無放射体13の空間的な分布が変化しなければ、反射、放射があってもよい。あるいは、無放射体の放射、反射量が常にほぼ一定ならば、例えばあらかじめその量を測定しておき、撮像時にはその量を補正することで影響を除去することができる。
【0047】
実施の形態10.
図15はこの発明の実施の形態10による撮像装置の光路図である。透過光結像レンズ2aは反射光結像レンズ2bに比べて焦点距離が長い。
実施の形態10では透過光結像レンズ2a及び反射光結像レンズ2bの焦点距離が異なるため、形成される像の大きさも異なる。この結果、透過光検出器3aでは高分解能ではあるが視野角の狭い画像が検出され、反射光検出器3bでは低分解能ではあるが視野角が広い画像が検出される。このことから、信号処理装置4において、例えば被写体の中心付近では透過光検出器3aの画像に用いて分解能を高くし、その周辺部分では反射光検出器3bの画像を用いて視野角を広くすることが可能となる。この処理により得られた画像からは、透過光検出器3aの外側の領域の画像に対する地平面に平行な偏光成分などの情報は当然得られないが、例えば画像からエッジ検出などを行う上では有効である。
【0048】
なお、上記実施の形態では透過光結像レンズ2aは反射光結像レンズ2bに比べて焦点距離を長いとしたが、透過光結像レンズ2aの方が短くても同様の効果が得られる。また、透過光結像レンズ及び反射光結像レンズの大きさが同じであっても、透過光検出器3aと反射光検出器3bの分解能が異なる場合は同様の効果が得られる。あるいは、一方の検出器だけを大きくすることにより、2つの検出器を大きくした場合と比較して低コストで視野角の広い画像を得ることができる。
【0049】
上記実施の形態では、透過光結像レンズ2aの焦点距離を長くすることにより画像の高分解能化を行ったが、透過光検出器を像面と平行に移動し、検出器の分解能以下の間隔で像強度をサンプリングすることにより、画像の高分解能化を行うことも可能である。例えば、検出器の分解能の1/2の大きさで検出器を微少振動させ、その間隔で像強度をサンプリングすることにより、検出器の2倍の分解能を持つ画像が得られる。検出器の移動は片方だけでも上記実施の形態と同様の効果が得られるが、2つの検出器を移動することにより全ての領域、分解能で輝度、偏光情報の欠落がない画像が得られる。
あるいは、検出器の位置を分解能以下の大きさでずらすことにより、画像の高分解能化を行うことも可能である。例えば、片方の検出器をもう片方に対して検出器の分解能の1/2ずらして配置することにより、検出器分解能の2倍の分解能を持つ画像を得ることが可能である。
【0050】
実施の形態11.
図16はこの発明の実施の形態11による撮像装置の光路図である。14aは透過光検出器3aに入射する光線の波長帯を制限する透過光波長フィルタ、14bは反射光検出器3bに入射する光線の波長帯を制限する反射光波長フィルタである。
この実施の形態11では、検出器3a、3bの手前に波長フィルタ14a、14bを設けて波長帯を制限することにより、輝度特性及び偏光特性に加えて波長領域での画像解析を可能にする。
例えば、ある特定波長帯に対して特徴的な輝度特性及び偏光特性を持つ目標を検出する場合には、光線をその波長帯に制限する波長フィルタを用いて画像を取得することにより目標検出を容易にすることができる。
【0051】
上記実施の形態では、波長フィルタ14a、14bは検出器3a、3bの手前に設けたが、光路中の他の場所、例えば偏光子の前後の何れかに設けるようにしてもよい。
また、2つの偏光光線に対して波長フィルタ14a、14bを設けたが、片方の偏光光線に対してのみ波長フィルタを挿入してもよい。
また、波長フィルタの着脱あるいは交換手段を備えることで、波長の動的な選択を可能にし、高度な波長領域での画像解析が可能となる。
【0052】
また、例えば波長フィルタを屈折率分布の周期間隔を変化させることで透過波長が変えられる音響光学素子や、静電引力で反射板間隔を変化させることにより干渉条件を変え透過波長を変化させることができるマイクロマシニングデバイス等のチューナブルフィルタを用いることで選択波長を動的に変化させることも可能である。
【0053】
上記実施の形態では波長フィルタ14a、14bは波長制限の機能のみを持つ単素子を用いたが、他の構成要素に波長選択機能を持たせて同様の効果が得られる。例えば、透過光結像レンズ2a、反射光結像レンズ2bに波長選択機能を設けてもよいし、偏光子1を波長フィルタと一体化させてもよい。このことにより、部品点数を削減でき、撮像装置の小型化を行うことができる。
【0054】
実施の形態12.
図17はこの発明の実施の形態12による撮像装置の光路図である。15は偏光子1を微少角回転する機能を有する微小回転装置であり、信号処理装置4では、偏光子1の微少角度の回転により、分離されて光線の信号量差が最大となる値を得るようになっている。
実施の形態12の撮像装置では、偏光子1を微少角度回転することにより偏光特性の測定精度を向上することができる。例えば、偏光特性の評価値として上述の実施の形態1で示した透過光検出器3a及び反射光検出器3bの信号量差ΔI=A・Ip・Cos2θを使用する。θは入射光線の偏光面と偏光子1の偏光方向のなす角であり、ΔIはθを小さくするほど大きくなるため、測定のS/N比が向上する。上述の通り、偏光子1を地平面と平行に配置することにより測定精度が十分高い状態での撮像が可能であるが、偏光子1を微少角回転してΔIが最大となる点で撮像することによりわずかに残る誤差も除去することができる。
また、ΔIが最大となる点のθを求めることにより光線の偏光面を求めることができ、目標を弁別する評価値として用いることができる。上述の通り、物体からの放射、反射される光線の偏光面は一般に、反射の時には物体表面に平行に、放射の時には垂直に現れる。したがって、光線の偏光面を用いることにより物体表面の傾きを知ることができる。
【0055】
上記実施の形態では、例として取り上げた検出器3aと検出器3bの信号量差ΔIに対してその最大値を用いたが、ΔIは上述の通りcos2θの関数となる。このため、信号処理装置4は、偏光子1を微少角度で回転し、分離された光線の信号量差ΔIを回転角θ、定数C,θoを用いてΔI=C・cos2(θ−θo)でフィッティングし、定数C、θoを計算する処理を備えており、係数Cを偏光特性を表す評価値として用いてもよい(図18)。なお、θoは上記実施の形態と同様、偏光面を表している。このとき、測定時に発生する雑音がフィッティングにより抑圧されるので、測定精度を向上させることができる。また、測定点にΔIの最大値が含まれなかったとしてもその値をフィッティングにより補完することができるので、常にΔIの最大値及びθoを得ることができる。
【0056】
また、解析時に行う計算の負荷を低減するため、信号処理装置4は、偏光子1を微少角度で回転し、分離された光線の信号量差ΔIを回転角θ、定数C,θoを用いてΔI=C[1−4(θ−θo)]でフィッティングし、定数C,θoを計算する処理を備えるようにしてもよい。θ及びθoは十分小さいため、ΔIをC[1−4(θ−θo)]という2次関数で近似しても、この近似により発生する誤差は小さい。
【0057】
実施の形態13.
図19はこの発明の実施の形態13による撮像装置の光路図である。16は4分割プリズムで、瞳の位置で光束を4つに分離する。4分割プリズム16の各4面には対向して偏光子部1a、1b、・・・が設けられている。図19においては、他の2個の偏光子部は紙面の手前側及び奥側にそれぞれ配置されている。それぞれ地平面と0°(平行),45°,90°,135°の角をなす偏光方向に配置されている。
この実施の形態13では、光線を4分割することにより偏光方向を地平面に平行、直交する角度以外に45°,135°の角度での測定を可能にしている。その結果、図20に示すとおり4点での光強度が得られる。偏光子の角度θに対する強度の変化はI=In+Ip[cos(θ−θo)]となるため、測定結果をフィッティングしてIp、θoを求めることで偏光成分の大きさ及び偏光面が分かる。
【0058】
上記実施の形態では光束を4分割したが、3分割以上で同様の方法で偏光成分の大きさと偏光面を求めることができる。また、光束の分割にはプリズムを用いたが、実施の形態3と同様にミラーを用いて分割してもよい。
【0059】
実施の形態14.
図21はこの発明の実施の形態14による撮像装置の光路図である。1eは電圧を加えることで任意の偏光方向を持たせることができる液晶偏光子、17は液晶偏光子1eの偏光方向を制御する偏光子制御装置である。
実施の形態14では偏光子として液晶偏光子1eを用い、地平面に平行な偏光方向とそれに垂直な偏光方向に対して撮像を行う。液晶偏光子1eは任意角度の偏光方向を電気的に高速に作り出すことができるため、従来の機械的な回転と異なり走査時間の長さは問題とはならない。また、この実施の形態では2偏光方向という断続的な状態変化を必要とするため、機械的な回転という連続的な走査を行うよりも効率が高いことは明らかである。
【0060】
上記実施の形態では偏光方向の設定を地平面に平行な方向とそれに垂直な方向の2方向に設定したが、偏光方向を増やすことにより実施の形態11、12と同様に測定精度の向上や偏光面を求めることができる。
また、上記では任意の方向の偏光方向を作れる偏光子として液晶を用いたが、例えば屈折率分布の周期構造から発生する回折による効果で平面偏光を行うことができる音響光学素子や、応力、電場、磁場などが加わることで複屈折が起こる(光弾性効果、カー効果、磁気複屈折)材料を用いた干渉フィルタを偏光子として用いても同様の効果が得られる。
【0061】
以上説明したように、この発明の撮像装置によれば、物体から入射する光線を互いに直交した平面偏光に分離する偏光子と、上記偏光子で分離された上記平面偏光のそれぞれに対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号を処理する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されているので、偏光情報を高精度に得ることができるとともに、短時間で撮像を行うことができる。
【0062】
また、この発明の撮像装置によれば、物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を互いに直交する平面偏光に分離する偏光子と、上記偏光子により分離された2つの像に対して電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号を処理する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されているので、偏光情報を高精度に得ることができるとともに、短時間で撮像を行うことができる。
【0063】
また、この発明の撮像装置によれば、物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号を処理する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記光学系の内部に設けられ上記光線を互いに直交する平面偏光に分離する偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されているので、偏光情報を高精度に得ることができるとともに、短時間で撮像を行うことができる。
【0064】
また、この発明の撮像装置によれば、光学系は、光線が入射する偏光子の手前に設けられたアフォーカルレンズを有するので、偏光子には平行光線が入射し、検出器上には収差の無い像が形成される。
【0065】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子は、入射する光線を透過する平面偏光と、反射する平面偏光とに分離するようになっているので、これらの平面偏光による得られた信号により、短時間で輝度特性及び偏光特性を同時に評価できる。
【0066】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子は、その断面形状が楔形であるので、偏光子内を通る光線の光路長の差を小さくすることができ、検出器上での像の収差を小さくすることができる。
【0067】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子は、主光線の偏光子への入射面及び偏光子からの射出面が上記主光線に対して垂直であるので、検出器上での像の収差は殆ど生じない。
【0068】
また、この発明の撮像装置によれば、光学系の瞳の位置には光線を2分割するプリズムが設けられているとともに、偏光子は、平面偏光に偏光する第1偏光子部と、この平面偏光に対して直交した平面偏光に偏光する第2偏光子部とから構成され、上記プリズムで2分割された光線はそれぞれが上記第1偏光子部及び上記第2偏光子部で互いに直交する方向に平面偏光されるようになっているので、これらの平面偏光による得られた信号により、短時間で輝度特性及び偏光特性を同時に評価できる。また、検出器では二つの平面偏光による像を共有することができ、部品点数を削減でき、撮像装置を小型化することができる。
【0069】
また、この発明の撮像装置によれば、光学系の瞳の位置に光線を2分割するミラーが設けられているとともに、偏光子は、平面偏光に偏光する第1偏光子部と、この平面偏光に対して直交した平面偏光に偏光する第2偏光子部とから構成され、上記ミラーで2分割された光線はそれぞれが第1偏光子部及び上記第2偏光子部で互いに直交する方向に平面偏光されるようになっているので、これらの平面偏光による得られた信号により、短時間で輝度特性及び偏光特性を同時に評価できる。また、検出器では二つの平面偏光による像を共有することができ、部品点数を削減でき、撮像装置を小型化することができる。
【0070】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子は、偏光方向により異なる屈折率を有するプリズムであるので、輝度特性及び偏光特性を同時に評価できる。また、検出器では二つの平面偏光による像を共有することができ、部品点数を削減でき、撮像装置を小型化することができる。また、偏光による光線の損失が無く、大きな信号量を得ることができる。
【0071】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子により分離された光線を結像するそれぞれの光学系は、その焦点距離が異なるので、例えば中心付近では分解能が高く、周辺部分では視野角を広くすることが可能となる。
【0072】
また、この発明の撮像装置によれば、検出器は、移動手段により光軸に沿って移動可能になっており、移動しながら像を検出するようになっているので、結像レンズの最適な焦点距離に検出器を位置決めすることができる。
【0073】
また、この発明の撮像装置によれば、検出器は、検出器の分解能以下の大きさでずらして配置されているので、画像の高分解能化を行うことが可能となる。
【0074】
また、この発明の撮像装置によれば、異なる方向の平面偏光は、同一検出器で電気信号に変換されるようになっているので、部品点数を削減でき、撮像装置を小型化することができる。
【0075】
また、この発明の撮像装置によれば、物体より入射する光線から像を形成するとともに偏光方向により異なる屈折率を有する複屈折材料で構成された結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により得られた電気信号を処理する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記結像レンズは、異常光軸が地平面と平行な方向もしくはそれと垂直な方向に配置されているので、入射光線は2つの偏光成分で焦点距離が異なり、検出器を移動させて像を検出することで、輝度特性及び偏光を評価できる。
【0076】
また、この発明の撮像装置によれば、物体より入射する光線を平面偏光する偏光子と、上記偏光子を透過した光線の像を形成し結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号を処理する信号処理装置とを備えた撮像装置において、上記偏光子は、上記平面偏光の方向を少なくとも地平面と平行な方向と、それと直交する方向の2方向に変更できるようになっているので、偏光情報を高精度に得ることができる。
【0077】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子は、液晶素子であるので、任意角度の偏光方向を電気的に高速に作り出すことができる。
【0078】
また、この発明の撮像装置によれば、傾き検知手段により地平面に対する傾きが検知されるとともに、上記傾きを補正する傾き補正手段により平面偏光が地平面に対して平行、または地平面と垂直になるように補正されるので、高いS/N比でデータ取得が可能となる。
【0079】
また、この発明の撮像装置によれば、傾き検知手段は、撮影画像から地平面に対する傾きを検知するようになっているので、高いS/N比でデータ取得が可能となる。
【0080】
また、この発明の撮像装置によれば、撮影画像から地平線あるいは水平線を検知されるので、高いS/N比でデータ取得が可能となる。
【0081】
また、この発明の撮像装置によれば、傾き補正手段は、偏光子を回転する回転機構であるので、簡単な構成で、高いS/N比でデータ取得が可能となる。
【0082】
また、この発明の撮像装置によれば、傾き補正手段は、偏光子に入射される手前の撮像を回転する像回転装置であるので、簡単な構成で、高いS/N比でデータ取得が可能となる。
【0083】
また、この発明の撮像装置によれば、光学系の瞳の位置には光線を少なくとも3分割する多分割プリズムが設けられているとともに、偏光子は、少なくとも、地平面と平行な平面偏光に偏光する第1偏光子部と、この平面偏光に対して直交した方向に偏光する第2偏光子部と、平行及び垂直以外の方向に偏光する第3偏光子部とを含み、上記プリズムで分割された光線はそれぞれが上記第1偏光子部ないし上記第3偏光子部で平面偏光されるようになっているので、偏光方向を地平面に平行、直交する角度以外の角度の測定も可能となる。
【0084】
また、この発明の撮像装置によれば、偏光子には、偏光子を微少角度の範囲で回転させる微小回転装置が設けられているので、偏光特性の測定精度が向上する。
【0085】
また、この発明の撮像装置によれば、信号処理装置は、偏光子の微少角度の回転により、分離されて光線の信号量差が最大となる値を得るようになっているので、より正確に偏光特性を測定することができる。
【0086】
また、この発明の撮像装置によれば、信号処理装置は、偏光子を微少角度で回転し、分離された光線の信号量差ΔIを回転角θ、定数C,θoを用いてΔI=C・cos2(θ−θo)でフィッティングし、定数C、θoを計算する処理を備えているので、測定時に発生する雑音がフィッティングにより抑圧されるので、測定精度を向上させることができる。
【0087】
また、この発明の撮像装置によれば、信号処理装置は、偏光子を微少角度で回転し、分離された光線の信号量差ΔIを回転角θ、定数C,θoを用いてΔI=C[1−4(θ−θo)]でフィッティングし、測定時に発生する雑音がフィッティングにより抑圧されるので、測定精度を向上させることができる。
【0088】
また、この発明の撮像装置によれば、光路に波長フィルターが設けられているので、検出器に入射する光線の波長帯は制限され、波長領域での画像解析が可能となる。
【0089】
また、この発明の撮像装置によれば、波長フィルタは、透過帯域を変化し得るものであるので、選択波長を動的に変化させることができる。
【0090】
また、この発明の撮像装置によれば、物体からの光線が偏光子に入射される偏光子の一面側に対する他面側には、無放射な無放射体が配置されているので、迷光の影響を低減することができる。
【0091】
また、この発明の撮像装置によれば、物体からの光線が偏光子に入射される偏光子の一面側に対する他面側には、偏光特性を持たない非偏光体が配置されているので、迷光の影響を低減することができる。
【0092】
また、この発明の撮像装置によれば、物体からの光線が偏光子に入射される偏光子の一面側に対する他面側には、全域において一様な偏光特性の一様偏光体が配置されているので、迷光の影響を低減することができる。
【0093】
また、この発明の撮像装置によれば、物体からの光線が偏光子に入射される偏光子の一面側に対する他面側には、偏光特性の時間的な変化が殆どない不変偏光体が配置されているので、迷光の影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の実施の形態1の撮像装置の光路図である。
【図2】図1の透過光検出器及び反射光検出器の信号量を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2の撮像装置の光路図である。
【図4】この発明の実施の形態2の撮像装置の他の例を示す光路図である。
【図5】この発明の実施の形態2の撮像装置の他の例を示す光路図である。
【図6】この発明の実施の形態2の撮像装置の他の例を示す光路図である。
【図7】この発明の実施の形態3の撮像装置の光路図である。
【図8】この発明の実施の形態4の撮像装置の光路図である。
【図9】この発明の実施の形態5の撮像装置の光路図である。
【図10】この発明の実施の形態6の撮像装置の光路図である。
【図11】図10の撮像装置の時間と像強度との関係図である。
【図12】この発明の実施の形態7の撮像装置の光路図である。
【図13】この発明の実施の形態8の撮像装置の光路図である。
【図14】この発明の実施の形態9の撮像装置の光路図である。
【図15】この発明の実施の形態10の撮像装置の光路図である。
【図16】この発明の実施の形態11の撮像装置の光路図である。
【図17】この発明の実施の形態12の撮像装置の光路図である。
【図18】図17の撮像装置の偏光子の角度と信号量差ΔIとの関係図である。
【図19】この発明の実施の形態13の撮像装置の光路図である。
【図20】図19の撮像装置の偏光子の角度と光強度との関係図である。
【図21】この発明の実施の形態14の撮像装置の光路図である。
【図22】従来の撮像装置の光路図である。
【図23】図22の撮像装置の時間と光強度との関係図である。
【符号の説明】
【0095】
1 偏光子、1a 第1偏光子部、1b 第2偏光子部、1e 液晶偏光子、2 光学系、2a 透過光結像レンズ、2b 反射光結像レンズ、2c 複屈折結像レンズ、2d 結像レンズ、3a 透過光検出器、3b 反射光検出器、4 信号処理装置、6 前段レンズ、8 プリズム、9 ミラー、10 複屈折部材、11 ジャイロセンサ(傾き検知手段)、12 姿勢制御装置(傾き補正手段)、13 無放射体、14a 透過光波長フィルタ、14b 反射光波長フィルタ、15 微小回転装置、16 4分割プリズム(多分割プリズム)、17 偏光子制御装置、18 像回転装置、21 偏光子面、51 楔形偏光子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体から入射する光線を互いに直交した平面偏光に分離する偏光子と、上記偏光子で分離された上記平面偏光のそれぞれに対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置とを備えた撮像装置において、
上記偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を互いに直交する平面偏光に分離する偏光子と、上記偏光子により分離された2つの像に対して電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置とを備えた撮像装置において、
上記偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
物体から入射する光線に対して像を形成する結像レンズを含む光学系と、上記光学系により形成された像を電気信号に変換する検出器と、上記検出器により変換された電気信号より被写体の地平面と平行な面及び垂直壁面を抽出する信号処理装置とを備えた撮像装置において、
上記光学系の内部に設けられ上記光線を互いに直交する平面偏光に分離する偏光子は、上記平面偏光の方向が地平面と平行な方向もしくは地平面と直交する方向になるように配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
光学系は、光線が入射する偏光子の手前に設けられたアフォーカルレンズを有することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
偏光子は、入射する光線を、透過する平面偏光と反射する平面偏光とに分離するようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
偏光子は、その断面形状が楔形であることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
偏光子は、偏光子への入射面及び偏光子からの射出面が主光線に対して垂直であることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
光学系の瞳の位置には光線を2分割するプリズムが設けられているとともに、偏光子は、平面偏光に偏光する第1偏光子部と、この平面偏光に対して直交した平面偏光に偏光する第2偏光子部とから構成され、上記プリズムで2分割された光線はそれぞれが上記第1偏光子部及び上記第2偏光子部で互いに直交する方向に平面偏光されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
光学系の瞳の位置に光線を2分割するミラーが設けられているとともに、偏光子は、平面偏光に偏光する第1偏光子部と、この平面偏光に対して直交した平面偏光に偏光する第2偏光子部とから構成され、上記ミラーで2分割された光線はそれぞれが第1偏光子部及び上記第2偏光子部で互いに直交する方向に平面偏光されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
偏光子は、偏光方向により異なる屈折率を有するプリズムである請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
偏光子により分離された光線を結像するそれぞれの光学系は、その焦点距離が異なることを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
検出器は、移動手段により光軸に沿って移動可能になっており、移動しながら像を検出するようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
異なる方向の平面偏光は、検出器の分解能以下の大きさでずらして検出器上に結像されていることを特徴とする請求項1ないし請求項12の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
異なる方向の平面偏光は、同一検出器で電気信号に変換されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
傾き検知手段により地平面に対する傾きが検知されるとともに、上記傾きを補正する傾き補正手段により平面偏光が地平面に対して平行、または地平面と垂直になるように補正される請求項1ないし請求項14の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項16】
傾き検知手段は、撮影画像から地平面に対する傾きを検知するようになっている請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
撮影画像から地平線あるいは水平線を検知される請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
傾き補正手段は、偏光子を回転する回転機構であることを特徴とする請求項15ないし請求項17の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項19】
傾き補正手段は、偏光子に入射される手前の撮像を回転する像回転装置であることを特徴とする請求項15ないし請求項17の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項20】
光学系の瞳の位置には光線を少なくとも3分割する多分割プリズムが設けられているとともに、偏光子は、少なくとも、地平面と平行な平面偏光に偏光する第1偏光子部と、この平面偏光に対して直交した方向に偏光する第2偏光子部と、平行及び垂直以外の方向に偏光する第3偏光子部とを含み、上記プリズムで分割された光線はそれぞれが上記第1偏光子部ないし上記第3偏光子部で平面偏光されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項7、請求項9ないし請求項19の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項21】
偏光子には、偏光子を微少角度の範囲で回転させる微小回転装置が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項20の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項22】
信号処理装置は、偏光子を微少角度で回転し、分離された光線の信号量差ΔIを回転角θ、定数C,θoを用いてΔI=C・cos2(θ−θo)でフィッティングし、定数C、θoを計算する処理を備えたことを特徴とする請求項21に記載の撮像装置。
【請求項23】
信号処理装置は、偏光子を微少角度で回転し、分離された光線の信号量差ΔIを回転角θ、定数C,θoを用いてΔI=C[1−4(θ−θo)]でフィッティングし、定数C,θoを計算する処理を備えたことを特徴とする請求項21に記載の撮像装置。
【請求項24】
光路に波長フィルターが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項23の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項25】
波長フィルタは、透過帯域を変化し得るものであることを特徴とする請求項24に記載の撮像装置。
【請求項26】
物体からの光線が偏光子に入射されて反射する方向と反対側の方向には、無放射な無放射体が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項25の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項27】
物体からの光線が偏光子に入射されて反射する方向と反対側の方向には、偏光特性を持たない非偏光体が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項25の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項28】
物体からの光線が偏光子に入射されて反射する方向と反対側の方向には、全域において一様な偏光特性の一様偏光体が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項25の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項29】
物体からの光線が偏光子に入射されて反射する方向と反対側の方向には、偏光特性の時間的な変化が殆どない不変偏光体が配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項25の何れか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−158535(P2008−158535A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3459(P2008−3459)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【分割の表示】特願2002−94593(P2002−94593)の分割
【原出願日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】