説明

撮像装置

【課題】欠陥画素を正確に検出する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子と、撮像素子における撮像により得られた画素データについて画像処理を行う画像処理部40とを備える。画像処理部40は、遮光した状態で撮像されて得られた画素データ100から、画素ごとに欠陥画素候補であるか否かを判定する欠陥画素候補判定部52と、遮光した状態での撮像を複数回行って得られた欠陥画素候補の画素から、一定回数以上欠陥画素候補として判定された画素について欠陥画素であると判断する欠陥画素決定部56とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に固体撮像素子内の欠陥位置を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮光した状態から画素の欠陥位置情報を得る装置が提案されている。
【0003】
特許文献1は、欠陥補正を行う前に、遮光した状態で撮影を行い、その撮影画像から画素の欠陥位置情報を得て補正を行う装置を開示する。
【特許文献1】特開平09−289614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置は、一回だけの撮影画像から欠陥画素を検出するため、本来欠陥でないのに遮光時に偶発的に発生し欠陥画素であると判断される欠陥画素の誤検出や、本来欠陥であるのにノイズなどによる誤作動で欠陥でないと判断される欠陥画素の検出見落としのおそれがある。
【0005】
したがって本発明の目的は、欠陥画素を正確に検出する撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子と、撮像素子における撮像により得られた画素データについて画像処理を行う画像処理部とを備え、画像処理部は、遮光した状態で撮像されて得られた画素データから、画素ごとに欠陥画素候補であるか否かを判定する欠陥画素候補判定部と、遮光した状態での撮像を複数回行って得られた欠陥画素候補の画素から、一定回数以上欠陥画素候補として判定された画素について欠陥画素であると判断する欠陥画素決定部とを有する。
【0007】
好ましくは、撮像素子、及び画像処理部を制御し、水平垂直同期信号を出力するシステム制御部を更に備え、欠陥画素候補であると判定された画素のアドレスは、水平垂直同期信号に基づいて特定される。
【0008】
また、好ましくは、シャッタ幕を更に備え、シャッタ幕を閉じることにより遮光した状態にされる。
【0009】
また、好ましくは、欠陥画素候補の判定は、遮光した状態で撮像されて得られた画素データにおいて画素ごとに黒レベル以外の情報を示すか否かを判定することにより行われる。
【0010】
また、好ましくは、画像処理部は、画像処理において、欠陥画素決定部で欠陥画素であると判断された画素について欠陥画素補正を行う欠陥補正部を有する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、欠陥画素を正確に検出する撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、第1の実施形態について、図を用いて説明する。第1の実施形態にかかる撮像装置1は、撮像素子10、ADC(Analogue Digital Converter)20、システム制御部30、画像処理部40、表示部70、及び外部記憶装置80を備える(図1参照)。
【0013】
撮像素子10は、被写体像を形成する光を光電変換する。光電変換されたアナログ信号は、ADC20でデジタル信号に変換される。CPUなどのシステム制御部30は、水平垂直同期信号102を生成し出力する。水平垂直同期信号102は、欠陥画素のアドレス特定に使用される。
【0014】
ADC20でデジタル信号に変換された画素データ100は、画像処理部40に入力される。DSPなどで構成される画像処理部40は、欠陥検出部50、及び欠陥補正部60を有する。画像処理部40において、画素データ100は、画素ごとにゲイン調整(不図示)され、欠陥検出部50に入力される。
【0015】
欠陥画素検出以外の通常動作において、画像処理部40は、画素データ100について、表示部70で表示可能な状態にするため、又は外部記憶装置80に記録可能な状態にするために、画像処理を行う。
【0016】
欠陥検出部50は、画素アドレス部51、欠陥画素候補判定部52、欠陥画素位置登録部53、欠陥回数カウント部54、カウント並び替え部55、及び欠陥画素決定部56を有する(図2参照)。
【0017】
画像処理部40に入力された画素データ100は、欠陥画素候補判定部52において、画素ごとに欠陥画素候補であるか否かを判定する。具体的には、シャッタ幕を閉じる等遮光した状態で撮像した画素データ100において、黒レベル以外の情報を示す画素が欠陥画素候補であると判断する。画素ごとのアドレスは、システム制御部30から出力される水平垂直同期信号と同期するため、欠陥画素候補の画素に対応するアドレスは、画素アドレス部51において、水平垂直同期信号102に基づいて特定される。
【0018】
遮光した状態での撮像、欠陥画素候補の判定は、複数回行われる。
【0019】
欠陥画素候補であると判断された画素に対応するアドレスは、欠陥画素位置登録部53に登録される。欠陥回数カウント部54は、欠陥画素候補であるとしてアドレスが欠陥画素位置登録部53に登録された回数をカウントする。
【0020】
カウント並び替え部55は、欠陥画素位置登録部53に登録された回数が多い順に欠陥画素候補の画素に対応するアドレスを並び替える。
【0021】
欠陥画素決定部56は、遮光した状態での撮像の回数に基づく一定回数以上、欠陥画素位置登録部53に登録された欠陥画素候補の画素について欠陥画素であると判断する。例えば、遮光した状態での撮像の回数を10回として、一定回数を6回とする。一定回数は2回以上であるのが望ましい。
【0022】
欠陥画素決定部56において、欠陥画素であると判断された画素のアドレスは、欠陥補正部60に転送される。欠陥補正部60は、欠陥画素であると判断された画素については、画像処理において補正処理が施される。
【0023】
これにより、本来欠陥でないのに遮光時に偶発的に発生し欠陥画素であると判断される欠陥画素の誤検出や、本来欠陥であるのにノイズなどによる誤作動で欠陥でないと判断される欠陥画素の検出見落としを少なくし、正確な欠陥画素検出を行うことが可能になる。
【0024】
次に、欠陥画素検出、補正についての手順を図3のフローチャートを用いて説明する。ステップS11で、撮像装置1のシャッタ幕が閉じているか否か(遮光された状態か否か)が判断される。閉じていない場合は、欠陥補正は行われずに終了される。閉じている場合は、ステップS12で、撮像装置1がカメラとしての動作やデータ取り込みが行われているか否か、すなわち、システム制御部30から、水平垂直同期信号102が出力されているか否かが判断される。出力されていない場合は、欠陥補正は行われずに終了される。
【0025】
水平垂直同期信号102が出力されている場合は、ステップS13で、欠陥画素候補判定部52によって、遮光された状態で撮像されて得られた画素データ100に基づいて、欠陥画素候補判定対象の画素について、欠陥画素候補となる画素の判定が行われる。ステップS14で、出力された水平垂直同期信号102に基づいて、画素のアドレスが特定される。ステップS13において、欠陥画素候補判定対象の画素が欠陥画素候補に相当しない場合には、ステップS17に進められる。ステップS13において、欠陥画素候補判定対象の画素が欠陥画素候補に相当する場合は、ステップS14でその画素のアドレスが特定される。
【0026】
ステップS15で、欠陥画素候補の画素に対応するアドレスが、欠陥画素位置登録部53に登録される。ステップS16で、欠陥画素候補の画素に対応するアドレスについて、欠陥画素位置登録部53に登録された回数がカウントされる。具体的には、欠陥画素候補の画素に対応するアドレスを登録するために、欠陥画素位置登録部53にアクセスされた回数に基づいて、登録された回数がカウントされる。
【0027】
ステップS13〜S16の処理は、撮像に用いられる画素の総てについて行われる。具体的には、ステップS17で、撮像に用いられる画素の総てについて、欠陥画素候補判定が行われたか否かは判断される。総ての画素について欠陥画素候補判定が行われていない場合は、ステップS18に進められ、行われた場合は、ステップS19に進められる。
【0028】
ステップS18で、欠陥画素候補判定対象の画素のアドレスがインクリメントされ、ステップS13に戻され、次の欠陥画素候補判定対象の画素について欠陥画素候補判定が行われる。
【0029】
ステップS11〜S18の処理は、所定の複数回数だけ行われる。具体的には、ステップS19で、ステップS11〜S18の処理(遮光した状態での画素データの取得、及び全画素の欠陥画素候補判定)の回数(撮像回数)が、所定の複数回数だけ行われたかが判断される。所定の複数回数だけ行われていない場合は、ステップS20に進められ、行われた場合は、ステップS21に進められる。
【0030】
ステップS20で、ステップS11〜S18の処理(遮光した状態での画素データの取得、及び全画素の欠陥画素候補判定)が行われた回数(撮像回数)がインクリメントされ、ステップS11に戻される。
【0031】
ステップS21で、カウント並び替え部55において、欠陥画素位置登録部53に登録された回数が多い順に欠陥画素候補の画素に対応するアドレスが並び替えられる。
【0032】
ステップS22で、欠陥画素決定部56によって、欠陥画素候補の画素の中から、欠陥画素が決定される。具体的には、ステップS11〜ステップS18の処理回数(撮像回数、N回)に対して、一定回数以上欠陥画素候補であるとして登録されたアドレスに対応する画素については、欠陥画素であるとして判断され、その画素に対応するアドレスが欠陥補正部60に転送される。
【0033】
ステップS23で、欠陥補正部60によって、画像処理において欠陥画素であると判断された画素について画素欠陥補正が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態における撮像装置の構成図である。
【図2】画像処理部の構成図である。
【図3】欠陥画素の検出手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 撮像装置
10 撮像素子
20 ADC
30 システム制御部
40 画像処理部
50 欠陥検出部
51 画素アドレス部
52 欠陥画素候補判定部
53 欠陥画素位置登録部
54 欠陥回数カウント部
55 カウント並び替え部
56 欠陥画素決定部
60 欠陥補正部
70 表示部
80 外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子における撮像により得られた画素データについて画像処理を行う画像処理部とを備え、
前記画像処理部は、遮光した状態で撮像されて得られた画素データから、画素ごとに欠陥画素候補であるか否かを判定する欠陥画素候補判定部と、前記遮光した状態での撮像を複数回行って得られた欠陥画素候補の画素から、一定回数以上欠陥画素候補として判定された画素について欠陥画素であると判断する欠陥画素決定部とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子、及び前記画像処理部を制御し、水平垂直同期信号を出力するシステム制御部を更に備え、
前記欠陥画素候補であると判定された画素のアドレスは、前記水平垂直同期信号に基づいて特定されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
シャッタ幕を更に備え、
前記シャッタ幕を閉じることにより前記遮光した状態にされることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記欠陥画素候補の判定は、前記遮光した状態で撮像されて得られた画素データにおいて画素ごとに黒レベル以外の情報を示すか否かを判定することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記画像処理において、前記欠陥画素決定部で欠陥画素であると判断された画素について欠陥画素補正を行う欠陥補正部を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate