撮像装置
【課題】バネ部材の付勢方向の変化により撮像素子の移動量が変化するのを抑制することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】このビデオカメラ(撮像装置)10は、バネ28をバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で配置することによって、バネ28に付勢された伝達アーム部材26を、回転軸261aの軸線Dに対して傾斜させるとともに、回転軸261aに係合されているナット262に当接させることにより、ナット262の軸線Dが回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態でナット262が回転軸261aに係合するように構成されている。
【解決手段】このビデオカメラ(撮像装置)10は、バネ28をバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で配置することによって、バネ28に付勢された伝達アーム部材26を、回転軸261aの軸線Dに対して傾斜させるとともに、回転軸261aに係合されているナット262に当接させることにより、ナット262の軸線Dが回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態でナット262が回転軸261aに係合するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置に関し、特に、撮像素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子を備えた撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、CCD(撮像素子)と、CCDを取り付けるためのXステージ(可動部材)と、Xステージを移動させるためのネジ部が設けられた回転軸を有する駆動源(駆動源)と、ネジ部を有するナット(押圧部材)と、回転軸に平行に取り付けられ、Xステージを付勢するためのバネ部材とを備えた補正装置が開示されている。この補正装置では、駆動源の回転軸のネジ部と、ナットのネジ部とが係合するように構成されている。また、Xステージは第1の方向に移動され、Yステージは第1の方向と直交する第2の方向に移動されるように構成されている。また、Xステージは、Yステージの第2の方向への移動に伴って第2の方向に移動されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、撮像素子と、撮像素子を収納するための収納保持部(可動部材)と、収納保持部の枠に沿って取り付けられるとともに保持部を移動させるための板バネ(バネ部材)と、駆動力を発生させるためのコイル(駆動源)と、磁力を発生させるための磁力発生装置とを備えたステージ装置が開示されている。このステージ装置では、磁力発生装置で発生する磁力によりコイルに駆動力を発生させ、板バネを撓ませることにより、収納保持部が第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動されるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、撮像素子と、撮像素子を取り付けるための基板(可動部材)と、駆動力を発生させるための圧電素子(駆動源)と、基板と平行になるように圧電素子に取り付けられ、基板と当接している板バネ(バネ部材)とを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置では、圧電素子が伸縮することにより板バネが撓み、撮像素子が取り付けられた基板を第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動させるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、撮像素子の機能を兼ねた補正レンズと、補正レンズを支持するための支持枠(可動部材)と、支持枠を取り付けるための地板と、磁力を発生させるためのヨークと、駆動力を発生させるためのコイル(駆動源)と、移動規制するためのバネ部材とを備えた光学装置が開示されている。この光学装置では、支持枠は地板内に配置され、支持枠と地板とはバネ部材により連結されている。また、支持枠はバネ部材により地板内で移動規制されている。また、ヨークは支持枠に取り付けられ、コイルに発生する駆動力により支持枠が第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動されるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献5には、撮像素子が取り付けられた撮像ユニットと、撮像ユニットを取り付けるためのフレーム(可動部材)と、駆動軸(押圧部材)を有するアクチュエータ(駆動源)と、バネ部材とを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置では、アクチュエータの駆動軸を駆動させることによりフレームが第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動されるように構成されている。また、駆動軸にはバネ部材が取り付けられていて、フレームを付勢している。
【0008】
【特許文献1】特開2007−128016号公報
【特許文献2】特開2007−025180号公報
【特許文献3】特開2000−307937号公報
【特許文献4】特開2001−264840号公報
【特許文献5】特開2006−343698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された補正装置のような、駆動源の回転軸のネジ部とナットのネジ部とが係合された構造では、ネジ部とネジ部との間にガタ(隙間)が存在するのが一般的である。また、バネ部材の付勢方向は、第1の方向に移動するXステージがYステージの移動により第1の方向と直交する第2の方向に移動した場合に変化する。このように、バネ部材の付勢方向が変化すると、回転軸とナットのネジ部とのガタの分、ナットの移動量が変化する場合があるという不都合が考えられる。このため、撮像素子の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のステージ装置では、板バネを撓ませることにより収納保持部を移動させているため、収納保持部を第2の方向に移動させる場合に第1の方向のバネの付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、板バネの付勢方向が変化した場合には、収納保持部の移動量が変化する場合があるという不都合が考えられる。このため、撮像素子の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0011】
また、上記特許文献3に記載の撮像装置では、板バネを撓ませることにより基板を移動させているため、基板を第2の方向に移動させる場合に第1の方向の板バネの付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、板バネの付勢方向が変化した場合には、基板(撮像素子)の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0012】
また、上記特許文献4に記載の光学装置では、支持枠を第2の方向に移動させる場合に第1の方向のバネ部材の付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、バネ部材の付勢方向が変化した場合には、支持枠(撮像素子)の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0013】
また、上記特許文献5に記載の撮像装置では、撮像ユニットを第2の方向に移動させる場合に第1の方向のバネ部材の付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、バネ部材の付勢方向が変化した場合には、撮像ユニット(撮像素子)の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、バネ部材の付勢方向の変化により撮像素子の移動量が変化するのを抑制することが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の一の局面による撮像装置は、被写体を撮像するための撮像素子と、撮像素子を取り付けるとともに、第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動可能な第1可動部材と、第1可動部材に設けられる伝達部材と、伝達部材に駆動力を供給するための回転軸を有する第1駆動源と、回転軸と係合するように設けられるとともに、伝達部材を第1の方向に押圧するための押圧部材と、伝達部材を押圧部材側の第1の方向に付勢するためのバネ部材とを備え、バネ部材をバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、バネ部材に付勢された伝達部材を、回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、回転軸に係合されている押圧部材に当接させることにより、押圧部材の軸線が回転軸の軸線に対して傾斜した状態で押圧部材が回転軸に係合するように構成されている。
【0016】
この一の局面による撮像装置では、上記のように、バネ部材をバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置するように構成することによって、第1可動部材が第1の方向と直交する第2の方向に移動することに起因してバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することを抑制することができる。これにより、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸と押圧部材との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸と押圧部材との係合位置の移動に起因して第1可動部材(撮像素子)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、バネ部材は、第1可動部材の第2の方向の移動範囲全域において、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して同じ側に傾斜した状態で配置されるように構成されている。このように構成すれば、第1可動部材が第1の方向と直交する第2の方向に移動することに起因してバネ部材の付勢方向が変化する場合にも、第1駆動源の回転軸の軸線に対して異なる側に傾斜した状態になることを抑制することができる。これにより、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して異なる側に傾斜した状態に変化することに起因して、回転軸と押圧部材との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸と押圧部材との係合位置の移動に起因して第1可動部材(撮像素子)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、第1可動部材の第2の方向の移動範囲全域において、第1駆動源の回転軸の軸線に対する押圧部材の軸線の傾斜角度が、実質的に同じになるように構成されている。このように構成すれば、第1可動部材の第2の方向の移動範囲全域において、回転軸と押圧部材との係合位置を常に一定にすることができるので、係合位置が移動するのを抑制することができる。
【0019】
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、第1可動部材を第2の方向に移動させるための第2可動部材と、第2可動部材を第2の方向に移動させるための第2駆動源とをさらに備え、押圧部材は、内周にネジ部を有するナット部材を含み、第1駆動源の回転軸は、外周にネジ部を有し、第2可動部材の第2の方向の移動により第1可動部材が第2の方向に移動する範囲内では、バネ部材をバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、バネ部材に付勢された伝達部材を、回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、回転軸に係合されているナット部材に当接させることにより、ナット部材の軸線が回転軸の軸線に対して傾斜した状態でナット部材が回転軸に係合するとともに、ナット部材のネジ部は回転軸のネジ部に当接するように構成されている。このように構成すれば、第2可動部材の第2の方向の移動により第1可動部材が第2の方向に移動する範囲内では、第1可動部材が第1の方向と直交する第2の方向に移動することに起因してバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することを抑制することができる。これにより、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸のネジ部とナット部材のネジ部との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸のネジ部とナット部材のネジ部との係合位置の移動に起因して第1可動部材(撮像素子)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0020】
上記の場合において、好ましくは、伝達部材とナット部材とは、第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で、面接触するように構成されている。このように構成すれば、伝達部材に加えられたバネ部材の付勢力をナット部材に確実に伝達することができる。
【0021】
上記伝達部材とナット部材とが面接触する場合において、好ましくは、第2可動部材の第2の方向の移動により第1可動部材が第2の方向に移動する範囲内では、伝達部材とナット部材とが面接触した状態で、伝達部材がナット部材の表面をスライド可能に構成されている。このように構成すれば、伝達部材は、第1可動部材の第2の方向への移動範囲内において、伝達部材に加えられたバネ部材の付勢力をナット部材に確実に伝達しながら、ナット部材の表面をスライドして移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態におけるビデオカメラの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した本発明の一実施形態におけるビデオカメラの全体構成を別方向から見た場合の斜視図である。図3〜図14は、本発明の一実施形態におけるビデオカメラの撮像部の詳細を示す図である。まず、図1〜図14を参照して、本発明の一実施形態によるビデオカメラ10の構造を説明する。なお、本実施形態では、撮像装置の一例であるビデオカメラ10に本発明を適用した場合について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態におけるビデオカメラ10では、図1および図2に示すように、樹脂製の筐体11に、複数の光学レンズ12が内部に収納された鏡筒13と、ストロボ14と、内蔵マイク15と、ビデオテープ(図示せず)が着脱可能に装着されるビデオカセット部16と、映像を録画する際に使用される録画/再生ボタン17と、静止画像を録画する際に使用されるフォトボタン18と、ファインダ19と、録画時の映像を画面表示可能な液晶モニタ20と、撮像部21とが設けられている。
【0025】
また、図1および図2に示すように、複数の光学レンズ12が収納された鏡筒13は、筐体11の正面側から外部に水平に突出されるように構成されている。また、ストロボ14は、撮影時に補助光として発光する機能を有している。また、内蔵マイク15は、撮影時(録画時)に被写体周辺の音を収集する機能を有している。また、録画/再生ボタン17は、ユーザが撮影時に押圧することによって、ビデオカメラ10の撮像部21が撮影した映像をビデオテープ(図示せず)に録画する動作を開始するとともに、録画終了時には、ビデオテープ(図示せず)への録画を停止する機能を有している。また、フォトボタン18は、ユーザが撮影時に押圧することにより、押圧された際に撮像部21によって撮影されていた映像を静止画像として録画する機能を有する。また、ファインダ19および筐体11から開閉可能に開けられる液晶モニタ20は、ユーザがファインダ19および液晶モニタ20のいずれか、またはその両方を通して被写体を見ながら、撮影範囲を決定することが可能なように構成されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、図3〜図7に示すように、撮像部21は、樹脂製のX−Yステージ22と、ガラス製のレンズ部材23と、ゴムなどからなるパッキン部材24と、被写体を撮像するためのCCD25と、金属製(板金製)の伝達アーム部材26と、ネジ27と、バネ28および29と、樹脂製のYステージ30と、樹脂製の固定部材31とから構成されている。なお、X−Yステージ22は、本発明の「第1可動部材」であり、CCD25は、本発明の「撮像素子」の一例であり、伝達アーム部材26は、本発明の「伝達部材」の一例であり、バネ28は、本発明の「バネ部材」の一例であり、Yステージ30は、本発明の「第2可動部材」の一例である。
【0027】
また、X−Yステージ22は、位置決め用ボス部22aと、ネジ取付穴22bと、レンズ部材取付面22cと、CCD取付面22dと、シャフト挿入穴22eとが設けられている。また、位置決め用ボス部22aは、X−Yステージ22の最上面から垂直上方に延びるようにX−Yステージ22に一体的に設けられている。また、位置決め用ボス部22aは、X−Yステージ22から垂直上方に向かって位置決め用ボス部22aの直径が小さくなるような、いわゆる、テーパ形状(裁頭円錐形状)を有している。また、ネジ取付穴22bは、円形状を有し、内面にネジ部が設けられている。また、レンズ部材取付面22cおよびCCD取付面22dには、それぞれ、レンズ部材23およびCCD25が当接された状態で取り付けられるように構成されている。シャフト挿入穴22eは、後述する、スライドシャフト301を挿入するために形成されている。また、シャフト挿入穴22eの内径は、シャフト挿入穴22eがスライドシャフト301上を摺動可能なように、スライドシャフト301の直径よりも若干大きく形成されている。
【0028】
また、伝達アーム部材26は、取付部26aと、駆動力伝達部26bと、2つの位置決め用穴部26cと、ネジ挿入穴26dと、当接部26eと、バネ取付部26fと、当接面26gとが設けられている。また、伝達アーム部材26には、ステッピングモータ261と、ナット262とが取り付けられている。なお、ステッピングモータ261は、本発明の「第1駆動源」の一例であり、ナット262は、本発明の「押圧部材」および「ナット部材」の一例である。
【0029】
また、図3〜図7に示すように、伝達アーム部材26は、平面的に見て実質的にU字形状を有している。また、伝達アーム部材26の2つの位置決め用穴部26c(図7参照)は、ネジ挿入穴26dを挟むようにして取付部26aに形成されている。また、ネジ挿入穴26dは、円形状を有し、取付部26aに形成されている。
【0030】
また、本実施形態では、図7〜図9に示すように、伝達アーム部材26の当接部26eは、駆動力伝達部26bの裏面から垂直下方に延びるように、駆動力伝達部26bに形成されている。また、当接部26eは、当接面26gを含み、正面から見て凹形状に形成され、後述する、ナット262の当接面262cと面接触した状態で、当接されるように構成されている。また、ステッピングモータ261は、外周にネジ部261bが設けられた回転軸261aを有している。また、回転軸261aには、内面にネジ部262bを有するナット262が螺合されている。また、ナット262は、円周の一部に回り止めの機能を有する凸部262aが形成されている。また、ナット262は、伝達アーム部材26の当接面26gと面接触した状態で、当接する当接面262cを有している。また、図8に示すように、ステッピングモータ261は、回転軸261aが回転することにより、ナット262が矢印X方向に移動可能なように構成されている。また、ナット262を矢印X方向に移動させることにより、ナット262の当接面262cに当接されている伝達アーム部材26を矢印X方向に押圧可能なように構成されている。また、伝達アーム部材26が矢印Y方向に移動するのに伴って、X−Yステージ22が矢印Y方向に移動可能なように構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、図3〜図7に示すように、バネ取付部26fは、伝達アーム部材26の当接部26eと逆側の端部に設けられている。このバネ取付部26fは、平面的に見てL字形状のフック状に形成されている。また、ネジ27は、伝達アーム部材26のネジ挿入穴26dを介してX−Yステージ22のネジ取付穴22bに締結されている。これにより、伝達アーム部材26は、X−Yステージ22に移動しないように固定されている。また、バネ28の一方端28aは、バネ取付部26fに取り付けられている。また、バネ28の他方端28bは、後述する、固定部材31のバネ取付部31cに取り付けられている。また、バネ29の一方端29aは、バネ取付部30cに取り付けられている。また、バネ29の他方端29bは、後述する、固定部材31のバネ取付部31dに取り付けられている。なお、バネ28は、本発明の「バネ部材」の一例である。
【0032】
また、本実施形態では、図10〜図14に示すように、バネ28は、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して矢印Y1方向に傾斜した状態で取り付けられている。これにより、バネ28が取り付けられている伝達アーム部材26のバネ取付部26fと、伝達アーム部材26の当接面26gおよびナット262の当接面262cとの当接部分を結んだ直線E上に付勢力Aが働くように構成されている。また、バネ28は、伝達アーム部材26の当接面26gと、ナット262の当接面262cとの当接部分を支点にして、バネ28による付勢力Aの分力として時計回り方向矢印Cに回転させる回転力Bが働くように構成されている。この回転力Bによって、伝達アーム部材26が回転軸261aの軸線Dに対して角度α(約2.5度)傾斜されることにより、伝達アーム部材26の当接面26gに当接しているナット262も回転軸261aの軸線Dに対して同じ角度α(約2.5度)で傾斜され、ナット262のネジ部262bが回転軸261aのネジ部261bに当接した状態で固定されるように構成されている。すなわち、伝達アーム部材26とナット262とは、ステッピングモータ261の回転軸261aに対してα(約2.5度)傾斜した状態で取り付けられている。
【0033】
また、図4〜図6に示すように、Yステージ30が矢印Y方向に移動することにより、X−Yステージ22が矢印Y方向に移動する場合には、図10〜図14に示すように、伝達アーム部材26の当接面26gはナット262の当接面262cに面接触した状態で、ナット262の当接面262cをスライドしながら矢印Y方向に移動するように構成されている。また、伝達アーム部材26が矢印Y方向に移動する際にも、ナット262のネジ部262bとステッピングモータ261の回転軸261aのネジ部261bとは同じ係合位置で係合した状態が維持されるように構成されている。
【0034】
また、樹脂製のYステージ30は、シャフト挿入穴30aと、モータ取付部30bと、バネ取付部30cと、開口部30dとが設けられている。また、Yステージ30には、スライドシャフト301と、ナット302と、ステッピングモータ303とが取り付けられている。なお、ステッピングモータ303は、本発明の「第2駆動源」の一例である。
【0035】
また、図6に示すように、Yステージ30は、平面的に見て四角形状の枠状に形成されている。また、6つのシャフト挿入穴30aは、円形状を有し、Yステージ30の側面に形成されている。また、6つのシャフト挿入穴30aは、Yステージ30の上面に対して水平方向に延びるように形成されている。また、スライドシャフト301は、円柱形状を有し、シャフト挿入穴30aに挿入されるように形成されている。
【0036】
また、モータ取付部30bは、平面的に見てL字形状を有している。また、モータ取付部30bは、正面から見て凹形状を有している。また、モータ取付部30bは、Yステージ30の一辺の外側面に設けられている。また、ステッピングモータ303は、外周にネジ部303bが形成された回転軸303aを有している。また、ナット302は、外周の一部に回り止めの機能を有する凸部302aが形成されている。また、ナット302は、内面にネジ部302bが形成されている。
【0037】
また、ステッピングモータ303の回転軸303aは、ナット302と螺合した状態で、モータ取付部30bに取り付けられている。また、モータ取付部30bの外側面には、長方形状の開口部30dが形成されている。また、ナット302の凸部302aは、長方形状の開口部30dと係合されるように取り付けられている。また、ナット302の凸部302a(図7参照)は、開口部30dを矢印Z方向に移動可能なように構成されている。また、バネ取付部30cは、Yステージ30のモータ取付部30bが設けられている外側面と同じ外側面に設けられている。このバネ取付部30cは、平面的に見てL字形状のフック形状に形成されている。
【0038】
また、固定部材31は、シャフト挿入穴31aと、モータ取付部31bと、バネ取付部31cおよび31dと、開口部31e(図8および図9参照)とが設けられている。
【0039】
また、固定部材31は、平面的に見て、四角形状の枠状に形成されている。この固定部材31のシャフト挿入穴31aは、円柱形状のスライドシャフト311が挿入されるように構成されている。また、上述した、Yステージ30は、スライドシャフト311に沿って矢印Y方向に移動可能に構成されている。また、3つのシャフト挿入穴31aは、円形状を有し、固定部材31の側面に形成されている。この2つのシャフト挿入穴31aは、固定部材31の上面に対して水平方向に延びるように形成されている。
【0040】
また、モータ取付部31bは、平面的に見てL字形状を有している。また、モータ取付部31bは、上述した、ステッピングモータ261が取り付けられるように構成されている。また、開口部31eは、平面的に見て長方形状に形成されている。また、開口部31eは、ナット262の凸部262aが係合されるように構成されている。また、凸部262aは、開口部31eに係合した状態で、矢印X方向に移動可能なように構成されている。また、バネ取付部31cは、固定部材31の外側面から外側に突出するように設けられている。また、バネ取付部31cは、平面的に見てL字形状のフック形状に形成されている。また、バネ取付部31cは、固定部材31のモータ取付部31bが設けられている面と同じ面に設けられている。また、バネ取付部31dは、固定部材31の内側面から内側に突出するように設けられ、平面的に見てL字形状のフック形状に形成されている。
【0041】
次に、図8〜図14は、本発明の一実施形態における撮像部の動作について説明するための図である。図3、図4および図8〜図14を参照して、本発明の一実施形態による撮像部21の動作について説明する。
【0042】
まず、図3および図4に示すように、伝達アーム部材26は、ステッピングモータ261の回転軸261aが時計回り方向に回転駆動することによって、回転軸261aに螺合されたナット262がバネ28の付勢力に抗して矢印X2方向に直線移動する。また、回転軸261aが反時計回り方向に回転することによって、回転軸261aに螺合されたナット262がバネ28の付勢力によって矢印X1方向に直線移動される。
【0043】
次に、Yステージ30は、ステッピングモータ303の回転軸303aが時計回り方向に回転駆動することによって、回転軸303aに螺合されたナット302がバネ29の付勢力に抗して矢印Y2方向に直線移動する。また、回転軸303aが反時計回り方向に逆回転することによって、回転軸303aに螺合されたナット302がバネ29の付勢力によって矢印Y1方向に直線移動される。
【0044】
本実施形態では、上記のように、バネ28をバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で配置するように構成することによって、X−Yステージ22がX方向と直交するY方向に移動することに起因してバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することを抑制することができる。これにより、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸261aとナット262との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸261aとナット262との係合位置の移動に起因してX−Yステージ22(CCD25)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、バネ28は、X−Yステージ22のY方向の移動範囲全域において、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して同じ側に傾斜した状態で配置されるように構成することによって、X−Yステージ22がX方向と直交するY方向に移動することに起因してバネ28の付勢方向Eが変化する場合にも、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して異なる側に傾斜した状態になることを抑制することができる。これにより、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して異なる側に傾斜した状態に変化することに起因して、回転軸261aとナット262との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸261aとナット262との係合位置の移動に起因してX−Yステージ22(CCD25)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、X−Yステージ22のY方向の移動範囲全域において、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対するナット262の軸線Dの傾斜角度αが、実質的に同じになるように構成することによって、X−Yステージ22のY方向の移動範囲全域において、回転軸261aとナット262との係合位置を常に一定にすることができるので、係合位置が移動するのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、X−Yステージ22をY方向に移動させるためのYステージ30と、Yステージ30をY方向に移動させるためのステッピングモータ303とをさらに備え、ナット262は、内周にネジ部262bを有するナット262を含み、ステッピングモータ261の回転軸261aは、外周にネジ部261bを有し、Yステージ30のY方向の移動によりX−Yステージ22がY方向に移動する範囲内では、バネ28をバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で配置することによって、バネ28に付勢された伝達アーム部材26を、回転軸261aの軸線Dに対して傾斜させるとともに、回転軸261aに係合されているナット262に当接させることにより、ナット262の軸線Dが回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態でナット262が回転軸261aに係合するとともに、ナット262のネジ部262bは回転軸261aのネジ部261bに当接するように構成することによって、Yステージ30のY方向の移動によりX−Yステージ22がY方向に移動する範囲内では、X−Yステージ22がX方向と直交するY方向に移動することに起因してバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して異なる側に傾斜した状態になることを抑制することができる。これにより、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸261aとナット262との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸261aとナット262との係合位置の移動に起因してX−Yステージ22(CCD25)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、伝達アーム部材26とナット262とは、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で、面接触するように構成することによって、伝達アーム部材26に加えられたバネ28の付勢力をナット262に確実に伝達することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、Yステージ30のY方向の移動によりX−Yステージ22がY方向に移動する範囲内では、伝達アーム部材26とナット262とは面接触した状態で、伝達アーム部材26はナット262の表面をスライド可能に構成することによって、伝達アーム部材26は、X−Yステージ22のY方向への移動範囲内において、伝達アーム部材26に加えられたバネ28の付勢力をナット262に確実に伝達しながら、ナット262の表面をスライドして移動することができる。
【0050】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0051】
たとえば、上記実施形態では、本発明の撮像装置の一例として、ビデオカメラを示したが、本発明はこれに限らず、ビデオカメラ以外の撮像装置にも適用可能である。
【0052】
たとえば、上記実施形態では、本発明の押圧部材および回転軸の一例として、ナットおよび回転軸のネジ部の組み合わせを示したが、本発明はこれに限らず、押圧部材の軸線が回転軸の軸線に対して傾斜可能であれば、ナットおよび回転軸のネジ部以外の組み合わせであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、バネの回転力が、伝達アーム部材の当接部とナットとの当接面を支点にして時計回り方向に加わる例を示したが、本発明はこれに限らず、反時計回り方向にバネの回転力が加わるように取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオカメラの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるビデオカメラの全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による撮像部を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態による撮像部を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による撮像部のナットと回転軸との係合状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図の100−100線に沿った断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図14】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ビデオカメラ(撮像装置)
22 X−Yステージ(第1可動部材)
25 CCD(撮像素子)
26 伝達アーム部材(伝達部材)
28 バネ(バネ部材)
30 Yステージ(第2可動部材)
261 ステッピングモータ(第1駆動源)
261a 回転軸
261b ネジ部
262 ナット(押圧部材、ナット部材)
262b ネジ部
303 ステッピングモータ(第2駆動源)
D 軸線
E 付勢方向
X 第1の方向
Y 第2の方向
α 傾斜角度
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置に関し、特に、撮像素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子を備えた撮像装置が知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
上記特許文献1には、CCD(撮像素子)と、CCDを取り付けるためのXステージ(可動部材)と、Xステージを移動させるためのネジ部が設けられた回転軸を有する駆動源(駆動源)と、ネジ部を有するナット(押圧部材)と、回転軸に平行に取り付けられ、Xステージを付勢するためのバネ部材とを備えた補正装置が開示されている。この補正装置では、駆動源の回転軸のネジ部と、ナットのネジ部とが係合するように構成されている。また、Xステージは第1の方向に移動され、Yステージは第1の方向と直交する第2の方向に移動されるように構成されている。また、Xステージは、Yステージの第2の方向への移動に伴って第2の方向に移動されるように構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、撮像素子と、撮像素子を収納するための収納保持部(可動部材)と、収納保持部の枠に沿って取り付けられるとともに保持部を移動させるための板バネ(バネ部材)と、駆動力を発生させるためのコイル(駆動源)と、磁力を発生させるための磁力発生装置とを備えたステージ装置が開示されている。このステージ装置では、磁力発生装置で発生する磁力によりコイルに駆動力を発生させ、板バネを撓ませることにより、収納保持部が第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動されるように構成されている。
【0005】
また、上記特許文献3には、撮像素子と、撮像素子を取り付けるための基板(可動部材)と、駆動力を発生させるための圧電素子(駆動源)と、基板と平行になるように圧電素子に取り付けられ、基板と当接している板バネ(バネ部材)とを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置では、圧電素子が伸縮することにより板バネが撓み、撮像素子が取り付けられた基板を第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動させるように構成されている。
【0006】
また、上記特許文献4には、撮像素子の機能を兼ねた補正レンズと、補正レンズを支持するための支持枠(可動部材)と、支持枠を取り付けるための地板と、磁力を発生させるためのヨークと、駆動力を発生させるためのコイル(駆動源)と、移動規制するためのバネ部材とを備えた光学装置が開示されている。この光学装置では、支持枠は地板内に配置され、支持枠と地板とはバネ部材により連結されている。また、支持枠はバネ部材により地板内で移動規制されている。また、ヨークは支持枠に取り付けられ、コイルに発生する駆動力により支持枠が第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動されるように構成されている。
【0007】
また、上記特許文献5には、撮像素子が取り付けられた撮像ユニットと、撮像ユニットを取り付けるためのフレーム(可動部材)と、駆動軸(押圧部材)を有するアクチュエータ(駆動源)と、バネ部材とを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置では、アクチュエータの駆動軸を駆動させることによりフレームが第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動されるように構成されている。また、駆動軸にはバネ部材が取り付けられていて、フレームを付勢している。
【0008】
【特許文献1】特開2007−128016号公報
【特許文献2】特開2007−025180号公報
【特許文献3】特開2000−307937号公報
【特許文献4】特開2001−264840号公報
【特許文献5】特開2006−343698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された補正装置のような、駆動源の回転軸のネジ部とナットのネジ部とが係合された構造では、ネジ部とネジ部との間にガタ(隙間)が存在するのが一般的である。また、バネ部材の付勢方向は、第1の方向に移動するXステージがYステージの移動により第1の方向と直交する第2の方向に移動した場合に変化する。このように、バネ部材の付勢方向が変化すると、回転軸とナットのネジ部とのガタの分、ナットの移動量が変化する場合があるという不都合が考えられる。このため、撮像素子の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のステージ装置では、板バネを撓ませることにより収納保持部を移動させているため、収納保持部を第2の方向に移動させる場合に第1の方向のバネの付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、板バネの付勢方向が変化した場合には、収納保持部の移動量が変化する場合があるという不都合が考えられる。このため、撮像素子の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0011】
また、上記特許文献3に記載の撮像装置では、板バネを撓ませることにより基板を移動させているため、基板を第2の方向に移動させる場合に第1の方向の板バネの付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、板バネの付勢方向が変化した場合には、基板(撮像素子)の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0012】
また、上記特許文献4に記載の光学装置では、支持枠を第2の方向に移動させる場合に第1の方向のバネ部材の付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、バネ部材の付勢方向が変化した場合には、支持枠(撮像素子)の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0013】
また、上記特許文献5に記載の撮像装置では、撮像ユニットを第2の方向に移動させる場合に第1の方向のバネ部材の付勢方向が変わる場合があるという不都合が考えられる。このように、バネ部材の付勢方向が変化した場合には、撮像ユニット(撮像素子)の移動量が変化する場合があるという問題点があると考えられる。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、バネ部材の付勢方向の変化により撮像素子の移動量が変化するのを抑制することが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
この発明の一の局面による撮像装置は、被写体を撮像するための撮像素子と、撮像素子を取り付けるとともに、第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向に移動可能な第1可動部材と、第1可動部材に設けられる伝達部材と、伝達部材に駆動力を供給するための回転軸を有する第1駆動源と、回転軸と係合するように設けられるとともに、伝達部材を第1の方向に押圧するための押圧部材と、伝達部材を押圧部材側の第1の方向に付勢するためのバネ部材とを備え、バネ部材をバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、バネ部材に付勢された伝達部材を、回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、回転軸に係合されている押圧部材に当接させることにより、押圧部材の軸線が回転軸の軸線に対して傾斜した状態で押圧部材が回転軸に係合するように構成されている。
【0016】
この一の局面による撮像装置では、上記のように、バネ部材をバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置するように構成することによって、第1可動部材が第1の方向と直交する第2の方向に移動することに起因してバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することを抑制することができる。これにより、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸と押圧部材との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸と押圧部材との係合位置の移動に起因して第1可動部材(撮像素子)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、バネ部材は、第1可動部材の第2の方向の移動範囲全域において、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して同じ側に傾斜した状態で配置されるように構成されている。このように構成すれば、第1可動部材が第1の方向と直交する第2の方向に移動することに起因してバネ部材の付勢方向が変化する場合にも、第1駆動源の回転軸の軸線に対して異なる側に傾斜した状態になることを抑制することができる。これにより、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して異なる側に傾斜した状態に変化することに起因して、回転軸と押圧部材との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸と押圧部材との係合位置の移動に起因して第1可動部材(撮像素子)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0018】
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、第1可動部材の第2の方向の移動範囲全域において、第1駆動源の回転軸の軸線に対する押圧部材の軸線の傾斜角度が、実質的に同じになるように構成されている。このように構成すれば、第1可動部材の第2の方向の移動範囲全域において、回転軸と押圧部材との係合位置を常に一定にすることができるので、係合位置が移動するのを抑制することができる。
【0019】
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、第1可動部材を第2の方向に移動させるための第2可動部材と、第2可動部材を第2の方向に移動させるための第2駆動源とをさらに備え、押圧部材は、内周にネジ部を有するナット部材を含み、第1駆動源の回転軸は、外周にネジ部を有し、第2可動部材の第2の方向の移動により第1可動部材が第2の方向に移動する範囲内では、バネ部材をバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、バネ部材に付勢された伝達部材を、回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、回転軸に係合されているナット部材に当接させることにより、ナット部材の軸線が回転軸の軸線に対して傾斜した状態でナット部材が回転軸に係合するとともに、ナット部材のネジ部は回転軸のネジ部に当接するように構成されている。このように構成すれば、第2可動部材の第2の方向の移動により第1可動部材が第2の方向に移動する範囲内では、第1可動部材が第1の方向と直交する第2の方向に移動することに起因してバネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することを抑制することができる。これにより、バネ部材の付勢方向が第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸のネジ部とナット部材のネジ部との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸のネジ部とナット部材のネジ部との係合位置の移動に起因して第1可動部材(撮像素子)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0020】
上記の場合において、好ましくは、伝達部材とナット部材とは、第1駆動源の回転軸の軸線に対して傾斜した状態で、面接触するように構成されている。このように構成すれば、伝達部材に加えられたバネ部材の付勢力をナット部材に確実に伝達することができる。
【0021】
上記伝達部材とナット部材とが面接触する場合において、好ましくは、第2可動部材の第2の方向の移動により第1可動部材が第2の方向に移動する範囲内では、伝達部材とナット部材とが面接触した状態で、伝達部材がナット部材の表面をスライド可能に構成されている。このように構成すれば、伝達部材は、第1可動部材の第2の方向への移動範囲内において、伝達部材に加えられたバネ部材の付勢力をナット部材に確実に伝達しながら、ナット部材の表面をスライドして移動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態におけるビデオカメラの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した本発明の一実施形態におけるビデオカメラの全体構成を別方向から見た場合の斜視図である。図3〜図14は、本発明の一実施形態におけるビデオカメラの撮像部の詳細を示す図である。まず、図1〜図14を参照して、本発明の一実施形態によるビデオカメラ10の構造を説明する。なお、本実施形態では、撮像装置の一例であるビデオカメラ10に本発明を適用した場合について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態におけるビデオカメラ10では、図1および図2に示すように、樹脂製の筐体11に、複数の光学レンズ12が内部に収納された鏡筒13と、ストロボ14と、内蔵マイク15と、ビデオテープ(図示せず)が着脱可能に装着されるビデオカセット部16と、映像を録画する際に使用される録画/再生ボタン17と、静止画像を録画する際に使用されるフォトボタン18と、ファインダ19と、録画時の映像を画面表示可能な液晶モニタ20と、撮像部21とが設けられている。
【0025】
また、図1および図2に示すように、複数の光学レンズ12が収納された鏡筒13は、筐体11の正面側から外部に水平に突出されるように構成されている。また、ストロボ14は、撮影時に補助光として発光する機能を有している。また、内蔵マイク15は、撮影時(録画時)に被写体周辺の音を収集する機能を有している。また、録画/再生ボタン17は、ユーザが撮影時に押圧することによって、ビデオカメラ10の撮像部21が撮影した映像をビデオテープ(図示せず)に録画する動作を開始するとともに、録画終了時には、ビデオテープ(図示せず)への録画を停止する機能を有している。また、フォトボタン18は、ユーザが撮影時に押圧することにより、押圧された際に撮像部21によって撮影されていた映像を静止画像として録画する機能を有する。また、ファインダ19および筐体11から開閉可能に開けられる液晶モニタ20は、ユーザがファインダ19および液晶モニタ20のいずれか、またはその両方を通して被写体を見ながら、撮影範囲を決定することが可能なように構成されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、図3〜図7に示すように、撮像部21は、樹脂製のX−Yステージ22と、ガラス製のレンズ部材23と、ゴムなどからなるパッキン部材24と、被写体を撮像するためのCCD25と、金属製(板金製)の伝達アーム部材26と、ネジ27と、バネ28および29と、樹脂製のYステージ30と、樹脂製の固定部材31とから構成されている。なお、X−Yステージ22は、本発明の「第1可動部材」であり、CCD25は、本発明の「撮像素子」の一例であり、伝達アーム部材26は、本発明の「伝達部材」の一例であり、バネ28は、本発明の「バネ部材」の一例であり、Yステージ30は、本発明の「第2可動部材」の一例である。
【0027】
また、X−Yステージ22は、位置決め用ボス部22aと、ネジ取付穴22bと、レンズ部材取付面22cと、CCD取付面22dと、シャフト挿入穴22eとが設けられている。また、位置決め用ボス部22aは、X−Yステージ22の最上面から垂直上方に延びるようにX−Yステージ22に一体的に設けられている。また、位置決め用ボス部22aは、X−Yステージ22から垂直上方に向かって位置決め用ボス部22aの直径が小さくなるような、いわゆる、テーパ形状(裁頭円錐形状)を有している。また、ネジ取付穴22bは、円形状を有し、内面にネジ部が設けられている。また、レンズ部材取付面22cおよびCCD取付面22dには、それぞれ、レンズ部材23およびCCD25が当接された状態で取り付けられるように構成されている。シャフト挿入穴22eは、後述する、スライドシャフト301を挿入するために形成されている。また、シャフト挿入穴22eの内径は、シャフト挿入穴22eがスライドシャフト301上を摺動可能なように、スライドシャフト301の直径よりも若干大きく形成されている。
【0028】
また、伝達アーム部材26は、取付部26aと、駆動力伝達部26bと、2つの位置決め用穴部26cと、ネジ挿入穴26dと、当接部26eと、バネ取付部26fと、当接面26gとが設けられている。また、伝達アーム部材26には、ステッピングモータ261と、ナット262とが取り付けられている。なお、ステッピングモータ261は、本発明の「第1駆動源」の一例であり、ナット262は、本発明の「押圧部材」および「ナット部材」の一例である。
【0029】
また、図3〜図7に示すように、伝達アーム部材26は、平面的に見て実質的にU字形状を有している。また、伝達アーム部材26の2つの位置決め用穴部26c(図7参照)は、ネジ挿入穴26dを挟むようにして取付部26aに形成されている。また、ネジ挿入穴26dは、円形状を有し、取付部26aに形成されている。
【0030】
また、本実施形態では、図7〜図9に示すように、伝達アーム部材26の当接部26eは、駆動力伝達部26bの裏面から垂直下方に延びるように、駆動力伝達部26bに形成されている。また、当接部26eは、当接面26gを含み、正面から見て凹形状に形成され、後述する、ナット262の当接面262cと面接触した状態で、当接されるように構成されている。また、ステッピングモータ261は、外周にネジ部261bが設けられた回転軸261aを有している。また、回転軸261aには、内面にネジ部262bを有するナット262が螺合されている。また、ナット262は、円周の一部に回り止めの機能を有する凸部262aが形成されている。また、ナット262は、伝達アーム部材26の当接面26gと面接触した状態で、当接する当接面262cを有している。また、図8に示すように、ステッピングモータ261は、回転軸261aが回転することにより、ナット262が矢印X方向に移動可能なように構成されている。また、ナット262を矢印X方向に移動させることにより、ナット262の当接面262cに当接されている伝達アーム部材26を矢印X方向に押圧可能なように構成されている。また、伝達アーム部材26が矢印Y方向に移動するのに伴って、X−Yステージ22が矢印Y方向に移動可能なように構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、図3〜図7に示すように、バネ取付部26fは、伝達アーム部材26の当接部26eと逆側の端部に設けられている。このバネ取付部26fは、平面的に見てL字形状のフック状に形成されている。また、ネジ27は、伝達アーム部材26のネジ挿入穴26dを介してX−Yステージ22のネジ取付穴22bに締結されている。これにより、伝達アーム部材26は、X−Yステージ22に移動しないように固定されている。また、バネ28の一方端28aは、バネ取付部26fに取り付けられている。また、バネ28の他方端28bは、後述する、固定部材31のバネ取付部31cに取り付けられている。また、バネ29の一方端29aは、バネ取付部30cに取り付けられている。また、バネ29の他方端29bは、後述する、固定部材31のバネ取付部31dに取り付けられている。なお、バネ28は、本発明の「バネ部材」の一例である。
【0032】
また、本実施形態では、図10〜図14に示すように、バネ28は、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して矢印Y1方向に傾斜した状態で取り付けられている。これにより、バネ28が取り付けられている伝達アーム部材26のバネ取付部26fと、伝達アーム部材26の当接面26gおよびナット262の当接面262cとの当接部分を結んだ直線E上に付勢力Aが働くように構成されている。また、バネ28は、伝達アーム部材26の当接面26gと、ナット262の当接面262cとの当接部分を支点にして、バネ28による付勢力Aの分力として時計回り方向矢印Cに回転させる回転力Bが働くように構成されている。この回転力Bによって、伝達アーム部材26が回転軸261aの軸線Dに対して角度α(約2.5度)傾斜されることにより、伝達アーム部材26の当接面26gに当接しているナット262も回転軸261aの軸線Dに対して同じ角度α(約2.5度)で傾斜され、ナット262のネジ部262bが回転軸261aのネジ部261bに当接した状態で固定されるように構成されている。すなわち、伝達アーム部材26とナット262とは、ステッピングモータ261の回転軸261aに対してα(約2.5度)傾斜した状態で取り付けられている。
【0033】
また、図4〜図6に示すように、Yステージ30が矢印Y方向に移動することにより、X−Yステージ22が矢印Y方向に移動する場合には、図10〜図14に示すように、伝達アーム部材26の当接面26gはナット262の当接面262cに面接触した状態で、ナット262の当接面262cをスライドしながら矢印Y方向に移動するように構成されている。また、伝達アーム部材26が矢印Y方向に移動する際にも、ナット262のネジ部262bとステッピングモータ261の回転軸261aのネジ部261bとは同じ係合位置で係合した状態が維持されるように構成されている。
【0034】
また、樹脂製のYステージ30は、シャフト挿入穴30aと、モータ取付部30bと、バネ取付部30cと、開口部30dとが設けられている。また、Yステージ30には、スライドシャフト301と、ナット302と、ステッピングモータ303とが取り付けられている。なお、ステッピングモータ303は、本発明の「第2駆動源」の一例である。
【0035】
また、図6に示すように、Yステージ30は、平面的に見て四角形状の枠状に形成されている。また、6つのシャフト挿入穴30aは、円形状を有し、Yステージ30の側面に形成されている。また、6つのシャフト挿入穴30aは、Yステージ30の上面に対して水平方向に延びるように形成されている。また、スライドシャフト301は、円柱形状を有し、シャフト挿入穴30aに挿入されるように形成されている。
【0036】
また、モータ取付部30bは、平面的に見てL字形状を有している。また、モータ取付部30bは、正面から見て凹形状を有している。また、モータ取付部30bは、Yステージ30の一辺の外側面に設けられている。また、ステッピングモータ303は、外周にネジ部303bが形成された回転軸303aを有している。また、ナット302は、外周の一部に回り止めの機能を有する凸部302aが形成されている。また、ナット302は、内面にネジ部302bが形成されている。
【0037】
また、ステッピングモータ303の回転軸303aは、ナット302と螺合した状態で、モータ取付部30bに取り付けられている。また、モータ取付部30bの外側面には、長方形状の開口部30dが形成されている。また、ナット302の凸部302aは、長方形状の開口部30dと係合されるように取り付けられている。また、ナット302の凸部302a(図7参照)は、開口部30dを矢印Z方向に移動可能なように構成されている。また、バネ取付部30cは、Yステージ30のモータ取付部30bが設けられている外側面と同じ外側面に設けられている。このバネ取付部30cは、平面的に見てL字形状のフック形状に形成されている。
【0038】
また、固定部材31は、シャフト挿入穴31aと、モータ取付部31bと、バネ取付部31cおよび31dと、開口部31e(図8および図9参照)とが設けられている。
【0039】
また、固定部材31は、平面的に見て、四角形状の枠状に形成されている。この固定部材31のシャフト挿入穴31aは、円柱形状のスライドシャフト311が挿入されるように構成されている。また、上述した、Yステージ30は、スライドシャフト311に沿って矢印Y方向に移動可能に構成されている。また、3つのシャフト挿入穴31aは、円形状を有し、固定部材31の側面に形成されている。この2つのシャフト挿入穴31aは、固定部材31の上面に対して水平方向に延びるように形成されている。
【0040】
また、モータ取付部31bは、平面的に見てL字形状を有している。また、モータ取付部31bは、上述した、ステッピングモータ261が取り付けられるように構成されている。また、開口部31eは、平面的に見て長方形状に形成されている。また、開口部31eは、ナット262の凸部262aが係合されるように構成されている。また、凸部262aは、開口部31eに係合した状態で、矢印X方向に移動可能なように構成されている。また、バネ取付部31cは、固定部材31の外側面から外側に突出するように設けられている。また、バネ取付部31cは、平面的に見てL字形状のフック形状に形成されている。また、バネ取付部31cは、固定部材31のモータ取付部31bが設けられている面と同じ面に設けられている。また、バネ取付部31dは、固定部材31の内側面から内側に突出するように設けられ、平面的に見てL字形状のフック形状に形成されている。
【0041】
次に、図8〜図14は、本発明の一実施形態における撮像部の動作について説明するための図である。図3、図4および図8〜図14を参照して、本発明の一実施形態による撮像部21の動作について説明する。
【0042】
まず、図3および図4に示すように、伝達アーム部材26は、ステッピングモータ261の回転軸261aが時計回り方向に回転駆動することによって、回転軸261aに螺合されたナット262がバネ28の付勢力に抗して矢印X2方向に直線移動する。また、回転軸261aが反時計回り方向に回転することによって、回転軸261aに螺合されたナット262がバネ28の付勢力によって矢印X1方向に直線移動される。
【0043】
次に、Yステージ30は、ステッピングモータ303の回転軸303aが時計回り方向に回転駆動することによって、回転軸303aに螺合されたナット302がバネ29の付勢力に抗して矢印Y2方向に直線移動する。また、回転軸303aが反時計回り方向に逆回転することによって、回転軸303aに螺合されたナット302がバネ29の付勢力によって矢印Y1方向に直線移動される。
【0044】
本実施形態では、上記のように、バネ28をバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で配置するように構成することによって、X−Yステージ22がX方向と直交するY方向に移動することに起因してバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することを抑制することができる。これにより、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸261aとナット262との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸261aとナット262との係合位置の移動に起因してX−Yステージ22(CCD25)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、バネ28は、X−Yステージ22のY方向の移動範囲全域において、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して同じ側に傾斜した状態で配置されるように構成することによって、X−Yステージ22がX方向と直交するY方向に移動することに起因してバネ28の付勢方向Eが変化する場合にも、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して異なる側に傾斜した状態になることを抑制することができる。これにより、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して異なる側に傾斜した状態に変化することに起因して、回転軸261aとナット262との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸261aとナット262との係合位置の移動に起因してX−Yステージ22(CCD25)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、X−Yステージ22のY方向の移動範囲全域において、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対するナット262の軸線Dの傾斜角度αが、実質的に同じになるように構成することによって、X−Yステージ22のY方向の移動範囲全域において、回転軸261aとナット262との係合位置を常に一定にすることができるので、係合位置が移動するのを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、X−Yステージ22をY方向に移動させるためのYステージ30と、Yステージ30をY方向に移動させるためのステッピングモータ303とをさらに備え、ナット262は、内周にネジ部262bを有するナット262を含み、ステッピングモータ261の回転軸261aは、外周にネジ部261bを有し、Yステージ30のY方向の移動によりX−Yステージ22がY方向に移動する範囲内では、バネ28をバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で配置することによって、バネ28に付勢された伝達アーム部材26を、回転軸261aの軸線Dに対して傾斜させるとともに、回転軸261aに係合されているナット262に当接させることにより、ナット262の軸線Dが回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態でナット262が回転軸261aに係合するとともに、ナット262のネジ部262bは回転軸261aのネジ部261bに当接するように構成することによって、Yステージ30のY方向の移動によりX−Yステージ22がY方向に移動する範囲内では、X−Yステージ22がX方向と直交するY方向に移動することに起因してバネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して異なる側に傾斜した状態になることを抑制することができる。これにより、バネ28の付勢方向Eがステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態と平行な状態との間で変化することに起因して、回転軸261aとナット262との係合位置がガタ分だけ移動するのを抑制することができる。その結果、ガタによる回転軸261aとナット262との係合位置の移動に起因してX−Yステージ22(CCD25)の移動量が変化するのを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、伝達アーム部材26とナット262とは、ステッピングモータ261の回転軸261aの軸線Dに対して傾斜した状態で、面接触するように構成することによって、伝達アーム部材26に加えられたバネ28の付勢力をナット262に確実に伝達することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、Yステージ30のY方向の移動によりX−Yステージ22がY方向に移動する範囲内では、伝達アーム部材26とナット262とは面接触した状態で、伝達アーム部材26はナット262の表面をスライド可能に構成することによって、伝達アーム部材26は、X−Yステージ22のY方向への移動範囲内において、伝達アーム部材26に加えられたバネ28の付勢力をナット262に確実に伝達しながら、ナット262の表面をスライドして移動することができる。
【0050】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0051】
たとえば、上記実施形態では、本発明の撮像装置の一例として、ビデオカメラを示したが、本発明はこれに限らず、ビデオカメラ以外の撮像装置にも適用可能である。
【0052】
たとえば、上記実施形態では、本発明の押圧部材および回転軸の一例として、ナットおよび回転軸のネジ部の組み合わせを示したが、本発明はこれに限らず、押圧部材の軸線が回転軸の軸線に対して傾斜可能であれば、ナットおよび回転軸のネジ部以外の組み合わせであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、バネの回転力が、伝達アーム部材の当接部とナットとの当接面を支点にして時計回り方向に加わる例を示したが、本発明はこれに限らず、反時計回り方向にバネの回転力が加わるように取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオカメラの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるビデオカメラの全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による撮像部を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態による撮像部を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態による撮像部のナットと回転軸との係合状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による撮像部を示す平面図の100−100線に沿った断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【図14】本発明の一実施形態による撮像部の一部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 ビデオカメラ(撮像装置)
22 X−Yステージ(第1可動部材)
25 CCD(撮像素子)
26 伝達アーム部材(伝達部材)
28 バネ(バネ部材)
30 Yステージ(第2可動部材)
261 ステッピングモータ(第1駆動源)
261a 回転軸
261b ネジ部
262 ナット(押圧部材、ナット部材)
262b ネジ部
303 ステッピングモータ(第2駆動源)
D 軸線
E 付勢方向
X 第1の方向
Y 第2の方向
α 傾斜角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像するための撮像素子と、
前記撮像素子を取り付けるとともに、第1の方向および前記第1の方向に直交する第2の方向に移動可能な第1可動部材と、
前記第1可動部材に設けられる伝達部材と、
前記伝達部材に駆動力を供給するための回転軸を有する第1駆動源と、
前記回転軸と係合するように設けられるとともに、前記伝達部材を前記第1の方向に押圧するための押圧部材と、
前記伝達部材を前記押圧部材側の前記第1の方向に付勢するためのバネ部材とを備え、
前記バネ部材を前記バネ部材の付勢方向が前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、前記バネ部材に付勢された前記伝達部材を、前記回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、前記回転軸に係合されている前記押圧部材に当接させることにより、前記押圧部材の軸線が前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で前記押圧部材が前記回転軸に係合するように構成されている、撮像装置。
【請求項2】
前記バネ部材は、前記第1可動部材の前記第2の方向の移動範囲全域において、前記バネ部材の付勢方向が前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して同じ側に傾斜した状態で配置されるように構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1可動部材の前記第2の方向の移動範囲全域において、前記第1駆動源の回転軸の軸線に対する前記押圧部材の軸線の傾斜角度が、実質的に同じになるように構成されている、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1可動部材を前記第2の方向に移動させるための第2可動部材と、
前記第2可動部材を前記第2の方向に移動させるための第2駆動源とをさらに備え、
前記押圧部材は、内周にネジ部を有するナット部材を含み、
前記第1駆動源の前記回転軸は、外周にネジ部を有し、
前記第2可動部材の前記第2の方向の移動により前記第1可動部材が前記第2の方向に移動する範囲内では、前記バネ部材を前記バネ部材の付勢方向が前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、前記バネ部材に付勢された前記伝達部材を、前記回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、前記回転軸に係合されている前記ナット部材に当接させることにより、前記ナット部材の軸線が前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で前記ナット部材が前記回転軸に係合するとともに、前記ナット部材の前記ネジ部は前記回転軸の前記ネジ部に当接するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記伝達部材と前記ナット部材とは、前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で、面接触するように構成されている、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2可動部材の前記第2の方向の移動により前記第1可動部材が前記第2の方向に移動する範囲内では、前記伝達部材と前記ナット部材とが面接触した状態で前記伝達部材が前記ナット部材の表面をスライド可能に構成されている、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項1】
被写体を撮像するための撮像素子と、
前記撮像素子を取り付けるとともに、第1の方向および前記第1の方向に直交する第2の方向に移動可能な第1可動部材と、
前記第1可動部材に設けられる伝達部材と、
前記伝達部材に駆動力を供給するための回転軸を有する第1駆動源と、
前記回転軸と係合するように設けられるとともに、前記伝達部材を前記第1の方向に押圧するための押圧部材と、
前記伝達部材を前記押圧部材側の前記第1の方向に付勢するためのバネ部材とを備え、
前記バネ部材を前記バネ部材の付勢方向が前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、前記バネ部材に付勢された前記伝達部材を、前記回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、前記回転軸に係合されている前記押圧部材に当接させることにより、前記押圧部材の軸線が前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で前記押圧部材が前記回転軸に係合するように構成されている、撮像装置。
【請求項2】
前記バネ部材は、前記第1可動部材の前記第2の方向の移動範囲全域において、前記バネ部材の付勢方向が前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して同じ側に傾斜した状態で配置されるように構成されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1可動部材の前記第2の方向の移動範囲全域において、前記第1駆動源の回転軸の軸線に対する前記押圧部材の軸線の傾斜角度が、実質的に同じになるように構成されている、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1可動部材を前記第2の方向に移動させるための第2可動部材と、
前記第2可動部材を前記第2の方向に移動させるための第2駆動源とをさらに備え、
前記押圧部材は、内周にネジ部を有するナット部材を含み、
前記第1駆動源の前記回転軸は、外周にネジ部を有し、
前記第2可動部材の前記第2の方向の移動により前記第1可動部材が前記第2の方向に移動する範囲内では、前記バネ部材を前記バネ部材の付勢方向が前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で配置することによって、前記バネ部材に付勢された前記伝達部材を、前記回転軸の軸線に対して傾斜させるとともに、前記回転軸に係合されている前記ナット部材に当接させることにより、前記ナット部材の軸線が前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で前記ナット部材が前記回転軸に係合するとともに、前記ナット部材の前記ネジ部は前記回転軸の前記ネジ部に当接するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記伝達部材と前記ナット部材とは、前記第1駆動源の前記回転軸の軸線に対して傾斜した状態で、面接触するように構成されている、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2可動部材の前記第2の方向の移動により前記第1可動部材が前記第2の方向に移動する範囲内では、前記伝達部材と前記ナット部材とが面接触した状態で前記伝達部材が前記ナット部材の表面をスライド可能に構成されている、請求項5に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−128449(P2009−128449A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300924(P2007−300924)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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