説明

撮像装置

【課題】複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、基線長を適切な長さに設定し、複数の撮像素子の位置合わせ調整作業、固定作業を容易かつ確実にする撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子(110,140)の制御基板(120,150)は、紫外線透過性部材からなる固定部材160によって保持板130に固着される。固定部材160の底面部と保持板130、及び、固定部材160の側面部と制御基板(120,150)の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定される。制御基板(120,150)を紫外線硬化樹脂により保持板130に接着固定した後、レンズユニットを保持板130に接着固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットと、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パノラマ画像など複数の画像を撮像する撮像装置、例えば、水平方向に所定距離ずつずらして配設された複数のデジタルカメラにより撮像された複数枚の画像データを合成して1枚の画像を生成する装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、このようなパノラマ画像を生成する撮像装置が開示されている。この撮像装置は、装置内に、所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットと、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備える。なお、前記レンズユニットは、少なくとも、レンズと鏡筒から構成され、前記所定距離は、いわゆる基線長と呼ばれるものである。
パノラマ画像は、前記複数の撮像素子によって撮像された複数の画像の重複する領域(オーバーラップ領域とも言う)を相互に重ね合わせることによって生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−166317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような撮像装置の製造工程において、最適なパノラマ画像を得るために、例えば、所定間隔をおいて複数の撮像素子を平面状の板(保持板とも言う)に接着固定し、また、前記複数の撮像素子に対応する複数のレンズユニットを前記保持板に接着固定する作業を行う。
【0006】
このとき、複数の撮像素子(レンズユニット)間の距離(基線長)が必要以上に大きくなると、撮像画像間の視差が大きくなるので、オーバーラップ領域が小さくなる。その結果、水平方向におけるパノラマ画像の幅が狭くなる。そこで、基線長を適切な長さに設定する必要がある。
【0007】
しかし、複数の撮像素子を保持板に固定する固定部材が場所を取り合う、即ち、固定部材が干渉し合うので、基線長を適切な長さに設定することは困難である。
このように、基線長を適切な長さに設定しなければならない状況下で、複数の撮像素子の位置合わせ調整作業、及び、固定作業を容易に実行することは更に困難である。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットと、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、基線長を適切な長さに設定し、複数の撮像素子の位置合わせ調整作業、固定作業を容易かつ確実にする撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の技術手段は、所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットに対応し、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、前記撮像素子は基板に搭載され、前記基板が平板状の保持板に固着されており、固着部は、前記基板を前記保持板に固定する紫外線透過性部材からなる固定部材を備え、前記固定部材の底面部と前記保持板、及び、前記固定部材の側面部と前記基板の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定されていることを特徴とする撮像装置である。
【0010】
第2の技術手段は、所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットに対応し、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、前記撮像素子は基板に搭載され、前記基板が紫外線透過性部材からなる平板状の保持板に固着されており、前記保持板は、前記基板の外形形状に略一致する複数の矩形開口部を備え、前記保持板の矩形開口部内に、前記基板が配設され、前記保持板の矩形開口部の内側面部と前記基板の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定されていることを特徴とする撮像装置である。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段の撮像装置において、前記保持板の矩形開口部の内側面部は、テーパ部を備え、前記保持板の前記テーパ部と前記基板の外側面部との隙間に、前記テーパ部に対応する、紫外線透過性部材からなるクサビ形状の固定部材が差し込まれ、前記くさび形状の固定部材と前記保持板のテーパ部、及び、前記固定部材と前記基板の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定されていることを特徴とするものである。
【0012】
第4の技術手段は、第1〜第3の何れかの技術手段の撮像装置において、前記基板を紫外線硬化樹脂により前記保持板に接着固定した後、前記レンズユニットを前記保持板に接着固定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットと、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、複数の撮像素子の固定に紫外線を透過する固定部材を用いることで、基線長を適切な長さに設定し、複数の撮像素子の位置合わせ調整作業、固定作業を容易かつ確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る撮像装置の主要構成部品の調整工程、固定工程を説明する図である。
【図2】撮像素子の制御基板等を保持板に取り付ける工程を説明する図である。
【図3】固定部材の外観図である。
【図4】紫外線硬化樹脂が塗布された状態を示す図である。
【図5】レンズユニットの位置調整、固定工程を説明する図である。
【図6】撮像素子を保持板に直接固定する工程を説明する図である。
【図7】撮像素子等を保持板に直接取り付ける工程を説明する図である。
【図8】レンズユニットの位置調整、固定工程を説明する図である。
【図9】撮像素子を保持板に直接固定する工程を説明する図である。
【図10】図9の断面詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
本発明に係る撮像装置の組み立て工程を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る撮像装置100の主要構成部品の調整工程、固定工程を説明する図である。
図2(A)は、第1撮像素子110が搭載されている第1制御基板120等を保持板130に取り付ける工程を説明する正面図、図2(B)は、前記工程を説明する側面図である。
【0016】
図1の顕微鏡200は、ステージ201上に置かれた第1撮像素子110の画素等を拡大して観察するものである。このステージ201は、顕微鏡200の光軸A(Z軸)に対して垂直である(XY平面)。
マニピュレータ300は、撮像装置100の主要構成部品の位置調整を行うものである。
【0017】
図2の第1撮像素子110は、第1撮像素子110の外装用基板(パッケージ基板)である第1撮像素子基板110aに搭載されている。更に、第1撮像素子基板110aは、第1制御基板120に搭載されている。
第1制御基板120は、第1撮像素子基板110aの他にも、第1撮像素子110の動作制御や第1撮像素子110が出力した画像データを受信する各種電子部品を搭載する基板である。
【0018】
第1撮像素子110と同機能を有する第2撮像素子140も、第2撮像素子140の外装用基板(パッケージ基板)である第2撮像素子基板140aに搭載され、第2撮像素子基板140aも、第1制御基板120と同機能を有する第2制御基板150に搭載されている。
【0019】
保持板130は、第1制御基板120、第2制御基板150が取り付け固定される平面状の板(平板)である。
符号Fは、撮像素子(110、140)を搭載する基板(120、150)が保持板130に固着されている固着部分を示す。
【0020】
以下、第1撮像素子110、第2撮像素子140を同一平面の保持板130上に配設、固定する工程を、図1、図2等を参照しながら詳細に説明する。
まず、技術者が、ステージ201に保持板130を置く。保持板130には第1制御基板120、第2制御基板150の概略位置決めを行うための第1位置決めピン130a、第2位置決めピン130bが予め取り付けられている。このとき、マニピュレータ300のアーム301を第1制御基板120に取り外し自在に取り付ける。マニピュレータ300は、アーム301を6軸(X、Y、Z、θ、θ、θ)方向に動作させることが可能であり、マニピュレータ300により、第1制御基板120の位置を6軸方向に調整する。ここでθはX軸周りの回転、θはY軸方向の回転、θはZ軸方向の回転を示す。
【0021】
次に、第1位置決めピン130aに沿って第1制御基板120を保持板130に配置することで、第1制御基板120の概略位置決めを行う。
次に、技術者は、顕微鏡200を覗きながらマニピュレータ300を操作して、第1撮像素子110におけるθ、θ方向のあおりが顕微鏡の焦点深度内に入るように第1制御基板120の位置調整を行う。そして、顕微鏡200のXY方向(符号Cに示すクロスライン参照)と第1撮像素子110の画素配列(XY軸参照)が一致するようにθ方向に対して第1制御基板120の位置調整を行う。
【0022】
そして、これらの位置調整が終了すると、第1撮像素子110の上辺の中央部、左辺の中央部、右辺の中央部に対応する第1制御基板120の外側面部120aに紫外線硬化樹脂が塗布された固定部材160を配設する。
図3は、固定部材160の外観図である。固定部材160は、紫外線を透過する部材から構成された例えば立方体状の部品である。固定部材160の側面部160a、底面部160bに予め紫外線硬化樹脂を塗布する。そして、図4に示すように、紫外線硬化樹脂(符号B参照)が塗布された固定部材160の側面部160aを、位置調整が終了している第1制御基板120の外側面部120aに接するように配設する。このとき、底面部160bが保持板130に接している。なお、図4では、第1撮像素子110の上辺の中央部にある固定部材160に塗布された紫外線硬化樹脂のみを図示しているが、第1撮像素子110の左辺の中央部、右辺の中央部に配設された固定部材にも同様に紫外線硬化樹脂が塗布されている。
【0023】
前記紫外線硬化樹脂が塗布された固定部材160を前記位置に配設した後、図示しない紫外線照射装置から紫外線を固定部材160に照射して、塗布された紫外線硬化樹脂を硬化する。
固定部材160は、紫外線透過性部材から構成されているので、紫外線照射装置からの紫外線が固定部材160を透過して、前記紫外線硬化樹脂に照射され、前記紫外線硬化樹脂が確実に硬化する。
紫外線硬化樹脂の硬化後、マニピュレータ300を取り外し、第2制御基板150の位置調整、固定作業を行う。この作業は、前述した第1制御基板120の位置調整、固定作業と同様である。前記位置調整、固定作業により、第1撮像素子110と同一の焦点深度内に第2撮像素子140の位置が調整され、更に、第1撮像素子110、第2撮像素子140の画素配列がXY方向に一致する。
【0024】
このように、固着部Fは、紫外線透過性部材からなる固定部材160を備え、固定部材160を介して第1制御基板120、第2制御基板150が保持板130に固着されている。
【0025】
図2に示した保持板130の中央部に固定された固定部材160は、第1制御基板120、第2制御基板150を固定している。このように1つの固定部材を介して2つの基板を固定することができるので、固定部材が干渉し合うことにより、基線長が必要以上に長くなることがない。それ故、基線長を適切な長さに設定することができる。
【0026】
次に、レンズユニットの位置調整、固定工程について、図5を用いて説明する。
図5(A)は、レンズユニット170等の位置調整、固定工程を説明する正面図、図5(B)は、同断面図である。
【0027】
まず、第1撮像素子110の中心にレンズユニット170のレンズの中心が略一致するように、即ち、両中心が同一光軸上に位置するように、レンズユニット170の位置を概略調整する。なお、レンズユニット170には、マニピュレータ300のアーム301が取り付けられているとする。同時に、第1制御基板120と表示装置とを接続して、レンズユニット170のレンズを介して第1撮像素子110により撮像されたチャート画像が前記表示装置に表示されるようにする。このチャート画像は、バックフォーカス調整、あおり調整を行う際に必要なものである。
【0028】
このようにチャート画像が前記表示装置に表示されている状態において、チャート画像が前記表示装置に最適表示されるように、Z方向にレンズユニット170の位置調整、即ち、バックフォーカス調整を行う。引き続き、表示装置の画面内で均一に焦点を結ぶように、レンズユニット170におけるθ、θ方向のあおり調整を行う。前記調整を繰り返し、レンズユニット170の最適配置を調整する。この調整が終了すると、例えば、紫外線硬化樹脂等を用いてレンズユニット170を保持板130に固定する。
【0029】
次に、第1撮像素子110に対応するレンズユニット170の配設、固定と同様にして、第2撮像素子140に対応するレンズユニット171の配設、固定作業を行い、撮像装置100の主要組み立て作業が完了する。
【0030】
(実施例1の変形例)
上記実施例では、第1撮像素子110(第1撮像素子基板111a)は、第1制御基板120に搭載されていたが、第1制御基板120から第1撮像素子110を物理的に分離し、第1撮像素子110と第1制御基板120をフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)を介して接続することもある。
このような場合、図6に示すように、第1撮像素子111の第1撮像素子基板111aを保持板130に固定部材160を用いて直接固定するようにしてもよい。
【0031】
図6(A)は、第1撮像素子基板111aを保持板130に固定部材160を用いて直接固定している状態を示す正面図、図6(B)は同側面図である。
第1撮像素子111(第1撮像素子基板111a)は、FPC180を介して図示しない制御基板に接続している。第2撮像素子141の第2撮像素子基板141aも、第1撮像素子基板111aと同様に保持板130に固定部材160を用いて直接固定する。なお、第2撮像素子141(第2撮像素子基板141a)も、FPC181を介して図示しない制御基板に接続している。
【0032】
(実施例2)
他にも様々な手法により、紫外線硬化樹脂を使用して平板の保持板に撮像素子等を取り付け固定することができる。
図7(A)は、上記取り付け固定を説明する正面図、図7(B)は、同断面図である。
保持板131は、紫外線透過性部材から構成される平面状の板であり、矩形開口部131a、131bを備える。
【0033】
矩形開口部131aの形状は、第1撮像素子112が搭載される第1撮像素子基板112aの外形形状に略一致する。矩形開口部131bの形状は、第2撮像素子142が搭載される第2撮像素子基板142aの外形形状に略一致する。
また、実施例1のように、第1撮像素子基板112aは第1制御基板121に搭載され、第2撮像素子基板142aは第2制御基板151に搭載されているものとする。
【0034】
以下、第1撮像素子112、第2撮像素子142を保持板131に配設、固定する工程を、図7を参照しながら詳細に説明する。
まず、保持板131に形成された矩形開口部131aの内側面部131cに紫外線硬化樹脂を塗布する。そして、保持板131の裏側(図7(B)では左側)から第1撮像素子基板112a(第1撮像素子112)を矩形開口部131aに配設(挿入)する。なお、矩形開口部131aの内側面部131cと第1撮像素子基板112aの外側面部112bには符号S(図7(B))で示す隙間(クリアランス)が形成され、その間に紫外線硬化樹脂がある。
【0035】
次に、第1撮像素子基板112aを保持板131の矩形開口部131aに配設した状態のまま、図1に示した顕微鏡200のステージ201に平面状の保持板131を置く。なお、このとき、保持板131とステージ201との間に一定の空間が生じるように、保持板131とステージ201の間に、例えば4つの円柱状部材を置く。この4つの円柱状部材は、保持板131の角部にそれぞれ置かれる。この円柱状部材により、第1制御基板121等の位置調整を行う際に必要となる空間が形成される。このとき、ステージ201と保持板131とが平行になっている。
【0036】
次に、マニピュレータ300のアーム301を第1制御基板121に取り外し自在に取り付ける。そして、実施例1で説明したように、第1撮像素子112におけるθ、θ方向のあおりが顕微鏡の焦点深度内に入るように第1制御基板121の位置調整を行う。そして、顕微鏡200のXY方向と第1撮像素子112の画素配列が一致するようにθ方向に対して第1制御基板121の位置調整を行う。
【0037】
前記位置調整後、図示しない紫外線照射装置から紫外線を矩形開口部131aの内側面部131cに照射して、塗布された紫外線硬化樹脂を硬化して、第1撮像素子基板112aを保持板131に固定する。このように、保持板131は、紫外線透過性部材から構成されているので、紫外線照射装置からの紫外線が前記紫外線硬化樹脂に照射され、紫外線硬化樹脂が確実に硬化する。
なお、保持板131と第1制御基板121との接触面にも紫外線硬化樹脂を塗布し、前記紫外線硬化樹脂により、保持板131と第1制御基板121を接着固定してもよい。
【0038】
引き続き、第2制御基板151の位置調整、固定作業を行う。この作業の前に、マニピュレータ300のアーム301を第1制御基板121から取り外し、第2制御基板151に取り付ける。そして、前述のように、保持板131の矩形開口部131bの内側面部131dに紫外線硬化樹脂を塗布し、保持板131の裏側から第2撮像素子基板142a(第2撮像素子142)を矩形開口部131bに配設する。
【0039】
以後の作業は、第1制御基板121の位置調整、固定作業と同様である。前記位置調整、固定作業により、第1撮像素子112と同一の焦点深度内に第2撮像素子142の位置が調整され、更に、第1撮像素子112、第2撮像素子142の画素配列がXY方向に一致する。
【0040】
このように複数の開口部を保持板に形成し、前記複数の開口部内にそれぞれ撮像素子を接着固定することで、基線長が必要以上に長くなることがなくなり、基線長を適切な長さに設定することができる。また、保持板が、実施例1で説明した固定部材の固定機能を具備するので、部品点数が減り、製造コスト、製造工程を削減できる。
【0041】
次に、レンズユニットの位置調整、固定工程について、図8を用いて説明する。
図8(A)は、レンズユニット173等の位置調整、固定工程を説明する正面図、図8(B)は、同断面図である。
まず、第1撮像素子112の中心にレンズユニット173のレンズの中心が略一致するように、即ち、両中心が同一光軸上に位置するように、レンズユニット173の位置を概略調整する。なお、レンズユニット173には、マニピュレータ300のアーム301が取り付けられているとする。その後、実施例1で説明したように、バックフォーカス調整、あおり調整を行い、レンズユニット173の配置位置を調整する。この調整が終了すると、レンズユニット173を保持板131に接着固定する。
【0042】
なお、レンズユニット173位置決め用の突起部131eを保持板131に予め設け、突起部131eに沿うように、レンズユニット173を配設すれば、レンズユニット173の位置決め作業を簡略化し、かつ、前記位置決めを高精度に行うことができる。
【0043】
第2撮像素子142のレンズユニット174についても、第1撮像素子112のレンズユニット173と同様にして、保持板131に取り付ける。
【0044】
なお、保持板131の矩形開口部131a内に、第1制御基板121を配設できる場合には、第1制御基板121そのものを保持板131の矩形開口部131a内に配設して、固定してもよい。
【0045】
(実施例2の変形例)
撮像素子をより高精度かつ確実に取り付け固定する実施例を図9、図10を用いて説明する。
図9(A)は、上記取り付け固定を説明する正面図、図9(B)は、同断面図である。図10は、図9(B)の詳細断面図である。
【0046】
保持板132は、実施例2で説明した保持板131と同様に紫外線透過性部材から構成される平面状の板であり、矩形開口部132a、132bを備える。
【0047】
矩形開口部132aの内側面部132cは、テーパ状に形成されている。
固定部材161は、クサビ形状の紫外線透過性部材から構成され、第1撮像素子基板112a(第1撮像素子112)を保持板132の矩形開口部132aに固定する。固定部材161のくさび部分の角度は、図示のように、矩形開口部132aのテーパ部のテーパ角度と同一である。
【0048】
実施例2で説明したように、矩形開口部132aの内側面部132cに紫外線硬化樹脂B(図10参照)を塗布し、更に、第1撮像素子基板112aの外側面部112bに紫外線硬化樹脂Bを塗布した状態で、第1撮像素子基板112aを矩形開口部132aに配設して位置調整を行う。
そして、矩形開口部132aの内側面部132cと第1撮像素子基板112aの外側面部112bの隙間に、固定部材161を差し込む。なお、固定部材161に紫外線硬化樹脂Bを塗布してもよい。
【0049】
その後、図示しない紫外線照射装置から紫外線を固定部材161に照射して、塗布された紫外線硬化樹脂を硬化する。
【0050】
保持板132、固定部材161は、紫外線透過性部材から構成されているので、紫外線照射装置からの紫外線が前記紫外線硬化樹脂に照射され、紫外線硬化樹脂が確実に硬化する。
【0051】
このようにして固定部材を用いることで、紫外線硬化樹脂の接着層の厚さを薄くすることができるので、撮像素子をより高精度かつ確実に保持板に取り付けることができる。
【0052】
以上の実施例では、2つの撮像素子を備えた撮像装置を例示して説明したが、3つ以上の撮像素子を備えた撮像装置に対しても本発明を同様に適用できる。
【0053】
固定部材160、161、保持板131、132は、温度上昇による撮像素子の位置ずれを防ぐため、なるべく熱膨張係数が小さい素材を用いることが好ましい。例えば、白板ガラス、石英ガラスのようなガラスや、プラスチックであればポリエーテルスルホンなどを用いて作製することが可能である。また、撮像素子の画素サイズや必要精度に応じて、材料を選定することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
100…撮像装置、110,111,112…第1撮像素子、110a,111a,112a…第1撮像素子基板、112b…外側面部、120,121…第1制御基板、120a…外側面部、130〜132…保持板、130a…第1位置決めピン、130b…第2位置決めピン、131a,131b,132a,132b…矩形開口部、131c,131d,132c…内側面部、131e…突起部、140,141,142…第2撮像素子、140a,141a,142a…第2撮像素子基板、150,151…第2制御基板、160,161…固定部材、160a…側面部、160b…底面部、170〜174…レンズユニット、180,181…FPC、200…顕微鏡、201…ステージ、300…マニピュレータ、301…アーム、A…光軸、B…紫外線硬化樹脂、C…クロスライン、F…固着部、S…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットに対応し、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、
前記撮像素子は基板に搭載され、前記基板が平板状の保持板に固着されており、
固着部は、前記基板を前記保持板に固定する紫外線透過性部材からなる固定部材を備え、
前記固定部材の底面部と前記保持板、及び、前記固定部材の側面部と前記基板の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
所定距離をおいて配設された複数のレンズユニットに対応し、前記複数のレンズユニットによって形成される像を撮像する複数の撮像素子を備えた撮像装置において、
前記撮像素子は基板に搭載され、前記基板が紫外線透過性部材からなる平板状の保持板に固着されており、
前記保持板は、前記基板の外形形状に略一致する複数の矩形開口部を備え、
前記保持板の矩形開口部内に、前記基板が配設され、前記保持板の矩形開口部の内側面部と前記基板の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記保持板の矩形開口部の内側面部は、テーパ部を備え、
前記保持板の前記テーパ部と前記基板の外側面部との隙間に、前記テーパ部に対応する、紫外線透過性部材からなるクサビ形状の固定部材が差し込まれ、
前記くさび形状の固定部材と前記保持板のテーパ部、及び、前記固定部材と前記基板の外側面部とが紫外線硬化樹脂により接着固定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の撮像装置において、
前記基板を前記保持板に接着固定した後、前記レンズユニットを前記保持板に接着固定することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−237623(P2011−237623A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109236(P2010−109236)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】