説明

撮像装置

【課題】ユーザに興趣を与える画像をライブビュー表示する撮像装置を提供する。
【解決手段】画像データの一部から万華鏡状画像データを生成する万華鏡状画像生成部(310)を備え、制御部(300)は、ライブビュー表示において、被写体検出部が被写体を検出したときに、当該被写体を用いて生成した万華鏡状画像をライブビュー表示と共に表示部(132)に表示する第1表示モードと、前記被写体検出部が被写体を検出しないときに、万華鏡状画像を表示部(132)に表示しない第2表示モードと、を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに興趣を与える画像をライブビュー表示とともに表示する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、撮像素子に結蔵された被写体像をリアルタイムに表示部に表示させる表示形態が広く行われており、一般にライブビューと呼ばれている。このライブビューにおいて、撮像された被写体像に画像処理を施したものを表示することも行われている。
【0003】
表示部への表示方式として、4つの領域から構成されたCRT上の一つの領域をライトペンによって指定すると、選択された領域の画像を元に残りの3表示面に対象の図形を表示して万華鏡的な画像を表示する万華鏡表示法(特許文献1参照)が知られている。
【0004】
また、スクラップブックで使用することができる万華鏡像を、コンピュータ等のディスプレイ上で生成する方法(特許文献2参照)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−78882号公報
【特許文献2】特開2003−143392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デジタルカメラにおいて、被写体像を観察するために、ライブビュー表示(スルー画表示、モニタ表示とも呼ばれる)を行うことができる。通常のライブビュー表示は、撮像部で取得した画像をリアルタイムでそのまま表示するものである。
【0007】
一方で、ライブビュー表示には、単に被写体を観察する目的に限定されず、様々な機能が望まれている。そこで、ライブビュー表示に前述の万華鏡状画像のような趣向性あふれる表示を行うことも可能である。
【0008】
しかし、ライブビュー表示で、画像の一部を部分画像として万華鏡像を構成する場合は、この部分画像の選択が適切でないと、ユーザが、実際の万華鏡を見たときのような楽しさを感じることができない。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ライブビュー表示において、万華鏡像を生成しこれを表示することにより、ユーザに興趣を与える表示を行える撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様に係る撮像装置は、被写体を結像する撮影レンズと、撮影レンズによって結像された光学像を画像データに変換して出力する撮像部と、撮像部から出力された画像データをライブビュー表示可能な表示部と、光学像から被写体を検出する被写体検出部と、画像データの一部から万華鏡状画像データを生成する万華鏡状画像生成部と、撮像部から出力された画像データを表示部にライブビュー表示させるとともに、万華鏡状画像生成部によって生成された万華鏡状画像データを表示部に表示させる制御部と、を備え、制御部は、ライブビュー表示において、被写体検出部が被写体を検出したときに、表示部に、当該被写体を用いて生成した万華鏡状画像をライブビュー表示と共に表示する第1表示モードと、被写体検出部が被写体を検出しないときに、万華鏡状画像を表示部に表示しない第2表示モードと、を切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様によると、検出された被写体に基づいて表示部にライブビュー表示と共に万華鏡状画像データを表示させ、被写体が検出されなくなった場合に万華鏡状画像を表示しないので、状況に応じたダイナミックな表示を行うことができ、ユーザの興趣を高めることができて、ユーザが撮像装置を親しみながら使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態のデジタルカメラの構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態のシステムコントローラが実行する制御のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の万華鏡状画像の表示方法の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の万華鏡画像生成回路によって実行される万華鏡状画像の生成方法の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の万華鏡画像生成回路によって実行される万華鏡状画像の生成方法の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態のメモリカードに記録される画像データの記録形式の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態のメモリカードに記録される画像データの記録形式の他の例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態の万華鏡画像生成回路によって生成される万華鏡状画像の他の例を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態のライブビュー表示において、生成された万華鏡状画像を表示するときの他の例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態のデジタルカメラ100の内部構成を示すブロック図である。
【0014】
デジタルカメラ100の動作を制御するための制御部として機能するシステムコントローラ300は、CPU302と、複数の回路ブロック(機能ブロック)とを備える。複数の回路ブロックは、画像処理回路304と、圧縮・伸長回路306と、表示画像生成回路307と、動きベクトル検出回路308と、顔認識回路309と、万華鏡画像生成回路310等である。CPU302とこれら各回路ブロックとは、制御ラインやバスラインを介して互いに接続され、CPU302の指令によって各回路ブロックは制御される。
【0015】
システムコントローラ300(制御部)は、撮像素子IF(InterFace)回路312、絞り駆動機構316、シャッタ駆動機構318、表示素子駆動回路332、タッチパネル検出回路336、メモリカード340、FlashRom(フラッシュ・リードオンリー・メモリ)342、SDRAM(シンクロナス・ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)344、カメラ操作部350に電気的に接続する。撮像素子IF回路312は、撮像素子314に電気的に接続し、表示素子駆動回路332は表示素子334に接続し、タッチパネル検出回路336は表示素子334に備えられるタッチパネル338に接続する。
【0016】
撮影レンズ102は、カメラ外部から取り込んだ被写体からの光を撮像素子314に結像する。撮像素子314は、光電変換により、撮像素子314に結像された光学像を画像信号に変換する。撮像素子314は、例えば、CCD(電荷結合素子)センサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサである。撮像素子IF回路312は、システムコントローラ300の制御信号に応じて撮像素子314の駆動信号を生成する回路や、撮像素子314の出力をAD変換するAD変換回路等を含んでいる。光学像の画像信号は、撮像素子IF回路312によってAD変換されて、システムコントローラ300へ画像データとして入力される。
【0017】
すなわち、撮像素子314及び撮像素子IF回路312が、撮影レンズによって結像された被写体像を画像データに変換して出力する撮像部を構成する。
【0018】
焦点・焦点距離調整機構315は、撮影レンズ102の焦点を調整して被写体像を撮像素子314に結像させるレンズ駆動部として構成される。また、焦点・焦点距離調節機構315は、撮影レンズ102の焦点距離を調節して撮像素子314に結像する被写体像の倍率を変更する。
【0019】
絞り駆動機構316は、撮影レンズ102を通過する光の量を制御する絞りを駆動する。シャッタ駆動機構318は、撮像素子314を露光状態と遮光状態とに設定するシャッタを駆動する。
【0020】
システムコントローラ300のCPU302は、回路ブロックを以下の動作を行うように制御する。画像処理回路304は、撮像素子IF回路312から出力される画像データにγ補正、色変換、デモザイキング等の処理をし、圧縮・伸長回路306に出力する。画像処理回路304は、また、デジタルカメラ100が撮像前の状態にあるときに、撮像素子IF回路312から入力した表示用の画像データを所定のフレームレート(30fps、60fps)で処理し、表示素子駆動回路332へ出力してよい。この撮像前の状態は、デジタルカメラ100が画像記録モードに設定されていて、ユーザがデジタルカメラ100を被写体に向けている状態である。
【0021】
表示素子駆動回路332は、画像処理回路304から出力される画像データに基づく画像を表示素子334へ表示する。このとき表示素子に表示される画像は、一般にスルー画像、ライブビュー画像、モニター画像等と称される。
【0022】
圧縮・伸長回路306は、画像処理回路304から出力された画像データを圧縮し、メモリカード340に記録する。また、圧縮・伸長回路306は、デジタルカメラ100が画像再生モードに設定されているときに、メモリカードから読み込んだ圧縮画像データを伸長し、表示画像生成回路307を介して、表示素子駆動回路332へ出力する。
【0023】
動きベクトル検出回路308は、ライブビュー中の画像から、異なるフレーム間の画像データを比較して撮影領域内から移動する被写体を検出し、その被写体の位置及び大きさの情報を出力する。
【0024】
顔認識回路309は、パターンマッチング等の手法により、人物又はペット(犬、猫等)の顔を被写体として検出し、その被写体の位置及び大きさを出力する。
【0025】
万華鏡画像生成回路310は、動きベクトル検出回路308又は顔検出回路309によって検出された被写体等に基づいて、検出された画像データを用いて万華鏡状画像を生成して出力する。
【0026】
表示素子駆動回路332は、圧縮・伸長回路306から入力した画像データに基づく画像を表示素子334へ表示する。
【0027】
表示素子334は、タッチパネル338が配置される。タッチパネル検出回路336は、タッチパネル上の操作位置(後述のモード設定部材、指、ペン等で押圧(接触)された位置)を検出してシステムコントローラ300へ出力する。これら表示素子334及びタッチパネル338は一体に構成されており、画像データやデジタルカメラ100の情報を表示するディスプレイ132として機能する。
【0028】
SDRAM344は、画像処理回路304、圧縮・伸長回路306が上述した処理をする際の作業領域(WorkArea)として主に用いられる。CPU302は、回路ブロックをFlashRom342に記録されたプログラムコードと制御パラメータに基づき制御する。
【0029】
カメラ操作部350は、電源スイッチ(SW)106、レリーズスイッチ(SW)108、モード設定スイッチ(SW)120等の各種スイッチに対するユーザからの操作を検出して、検出結果をシステムコントローラ300に出力する。
【0030】
次に、本発明の実施形態における万華鏡状画像の生成について説明する。
【0031】
万華鏡と呼ばれる玩具は、例えば3枚の長方形の鏡を三角柱状に組み合わせた筒状の形状を有し、筒の一端にはビーズ等のガラス片や色紙片を入れる収納部屋がある。この筒の他端からのぞき込むことにより、このガラス片や色紙片が、鏡によって無数の対称像が生成されるものである。
【0032】
万華鏡は、収納部屋に収納されたガラス片や色紙片が鏡によって無数の対称像からなる幾何学的模様として観察されることにより、のぞき込む者に興趣を与える。また、万華鏡に振動を与えてガラス片や色紙片を移動させると、この幾何学模様に予期しない変化が発生することによる楽しさも存在する。
【0033】
本発明は、この万華鏡を模した画像を画像処理技術によってデジタルカメラ100のディスプレイ132に再現するにあたり、次に説明するような動作を実行する。
【0034】
図2は、本実施形態のデジタルカメラ100のシステムコントローラ300が実行する制御のフローチャートである。図2に示すフローチャートは、実施形態の特徴部分に関しての手順が記載されその他の手順は省略されている。
【0035】
ユーザによって電源スイッチ106がオンされると、システムコントローラ300が起動する。システムコントローラ300は、まず、初期設定の動作(メモリの初期化、周辺回路の初期化など)を行う。そして、システムコントローラ300は、撮像素子314から所定のフレームレートで画像を取得し、被写体の画像を表示素子334に表示する動作(ライブビュー動作)を開始する(S100)。
【0036】
次に、システムコントローラ300は、タッチパネル検出回路336の動作を許可し、タッチパネル338に入力される情報の検出を開始する(S102)。また、顔認識回路309の動作を許可し、撮像された画像データから被写体の顔の情報の検出を開始する(S104)。また、動きベクトル検出回路308の動作を許可し、撮像された画像データから、移動する被写体の検出を開始する(S106)。
【0037】
次に、システムコントローラ300は、操作部材350のモード設定SW120によって、万華鏡モードが選択されているか否かを判定する。万華鏡モードが選択されたと判定した場合はステップS110へ移行し、選択されていないと判定した場合はステップS200へ移行する。ステップS200では、本フローチャートでは規定しないその他のカメラ動作(測光、合焦、撮像、再生等)が実行される。
【0038】
なお、このときユーザは、万華鏡モードを選択するだけではなく、どのような分割方法(例えば、2分割、4分割、8分割等)を選択するように構成してもよい。
【0039】
ステップS110では、システムコントローラ300は、顔認識回路309によって、被写体の中から顔を検出したか否かを判定する。顔が検出された場合はステップS118に移行する、顔が検出されなかった場合はステップS112に移行する。
【0040】
ステップS112では、システムコントローラ300は、動きベクトル検出回路308によって、被写体の動きベクトルを検出したか否かを判定する。動きベクトルが検出された場合はステップS118に移行する、動きベクトルが検出されなかった場合はステップS114に移行する。
【0041】
ステップS114では、システムコントローラ300は、タッチパネル検出回路336により、タッチパネル338から万華鏡状画像生成のための領域が指定されたか否かを判定する。領域が指定された場合はステップS118に移行する、領域が指定されなかった場合はステップS116に移行する。
【0042】
これらステップS110〜S114の処理により、万華鏡状画像の元画像となる被写体(顔、移動被写体等)が検出される。すなわち、被写体検出部が構成されている。
【0043】
ステップS116では、システムコントローラ300は、レリーズSW108の操作等によって、撮影開始の動作がされたか否かを判定する。撮影開始がされたと判定した場合はステップS130に移行する。撮影開始がされていない場合はステップS110に戻り、処理を繰り返す。
【0044】
ステップS118では、システムコントローラ300は、万華鏡状画像の生成の元となる元画像の領域を設定する。ここで設定される領域は、ライブビュー中の画像データから顔が検出された場合はその顔を含む領域が設定される。ライブビュー中の画像データから動きベクトルが検出された場合は移動中の被写体を含む領域が設定される。また、ユーザによって画像データ中の所定の領域が指定された場合は、指定された領域が設定される。
【0045】
次に、ステップS120では、システムコントローラ300は、万華鏡画像生成回路310の動作を許可して、万華鏡画像生成回路310による万華鏡生成処理を実行する。
【0046】
万華鏡画像生成回路310は、設定された元画像から複数の鏡対象の画像を生成し、これを表示素子334に表示する。なお、万華鏡画像生成回路310による万華鏡状画像の生成の処理は後述する。
【0047】
次に、ステップS122において、システムコントローラ300は、顔認識回路309が顔を検出しなくなった、又は、動きベクトル検出回路が、設定した領域の動きベクトルを検出しなくなった、等、被写体として設定された元画像が画像データの撮像領域から消失したか否かを判定する。設定された元画像が撮像領域から消失した場合は、ステップS126に移行する。設定した元画像データが撮像領域から消失していない場合はステップS124に移行する。
【0048】
ステップS124では、システムコントローラ300は、レリーズSW108の操作等によって、ユーザから撮影開始の操作がされたか否かを判定する。撮影開始の操作がされたと判定した場合はステップS130に移行する。撮影開始の操作がされていない場合はステップS122に戻り、処理を繰り返す。
【0049】
ステップS126では、システムコントローラ300は、万華鏡画像生成回路310の動作の許可を禁止して、万華鏡状画像をディスプレイ132に表示せず、通常のライブビュー画像表示に変更する。その後、ステップS110に戻る。
【0050】
ステップS130では、システムコントローラ300は、撮影準備動作を行う。具体的には、合焦や測光、ホワイトバランス等の対象となる被写体を、撮像素子314における撮像範囲の中から抽出し、抽出された被写体に対して合焦、測光、ホワイトバランスの設定を行う。
【0051】
次に、ステップS131では、システムコントローラ300は、ディスプレイ132でのライブビュー動作を停止する。次に、ステップS133では、システムコントローラ300は、撮像素子314によって取得された信号を、撮像素子IF回路312を介して取得し、これを画像データとして生成する。
【0052】
次に、ステップS133では、システムコントローラ300は、万華鏡状画像の生成が可能か否かを判定する。前述のステップS110〜S114において、既に万華鏡状画像の元画像が設定されている場合は、万華鏡状画像が生成可能であると判定する。元画像が設定されなかった場合は、万華鏡状画像の生成が不可能であると判定する。
【0053】
万華鏡状画像の生成が可能でないと判定した場合は、ステップS134に移行し、撮像された画像データをそのままメモリカード340に格納する。
【0054】
万華鏡状画像の生成が可能であると判定した場合は、ステップS135に移行し、撮像された画像データをそのままメモリカード340に格納すると共に、万華鏡画像生成回路310によって生成された万華鏡状画像を、メモリカード340に格納する。
【0055】
以上のような処理によって、システムコントローラ300は、ライブビュー中の画面に万華鏡状画像を表示してユーザにどのような画像効果があるのかを指し示すと共に、撮像後は、これを万華鏡状画像として保存することができる。
【0056】
なお、ステップS110〜114の処理によって万華鏡画像生成の元画像となる被写体が検出された場合は、ライブビュー表示と共に万華鏡画像の表示を許可する。このときの表示態様を「第1表示モード」と呼ぶ。また、ステップS110〜114の処理によって被写体が検出されなかった、又は、ステップS122の処理において被写体が画面内から存在しなくなった場合は、万華鏡状画像の表示を許可しない。このときの表示態様を「第2表示モード」と呼ぶ。
【0057】
また、本実施形態では、前述のステップS110〜S114において、顔認識回路309によって検出された顔を万華鏡状画像の元画像として設定することを優先し、顔が検出されなかった場合は、動きベクトル検出回路308によって検出された移動する被写体を元画像として選択する。なお、これは逆でもよく、移動する被写体を顔よりも優先させてもよい。
【0058】
また、顔認識回路309が複数の顔を検出した場合に、ディスプレイ132にこれら複数の被写体を示して、タッチパネル338によってユーザにそのうちの一つを選択させてもよい。また、顔認識回路309が複数の顔を検出した場合に、最も撮像装置に近いものを元画像として選択してもよい。また、移動する被写体は、画面内の移動速度が最も大きい被写体を元画像として選択してもよい。
【0059】
また、ユーザがモード選択SW120やタッチパネル338を操作することによって、さらに異なる形状の万華鏡状画像を生成できるように構成してもよい。原理的には偶数の領域に分割可能な正多角形形状の万華鏡状画像を生成することが可能である。また、タッチパネル338によってユーザが元画像を選択するときは、前述のように検出された顔や移動被写体の複数の候補の中から一つ選択してもよいし、ユーザが大まかに範囲を指定し、デジタルカメラ100側でそれを正三角形等の元画像領域に修正してもよい。
【0060】
また、前述のフローチャートでは静止画を撮像する例を示したが、動画データを作成してもよい。例えば万華鏡画像生成回路310が元画像に基づいて万華鏡状画像を生成した段階で、その万華鏡状画像を動画データとして記録を開始し、被写体が消失した時点で動画データの記録を終了するようにしてもよい。
【0061】
次に、万華鏡画像生成回路310によって行われる万華鏡状画像の生成について説明する。
【0062】
図3は、本実施形態の万華鏡状画像の表示方法の一例を示す説明図である。
【0063】
この図3は、万華鏡画像生成回路310によって生成された万華鏡状画像を、ライブビュー表示中のディスプレイ132に表示する場合の一例を示す。
【0064】
図3(A)は、ディスプレイ132におけるライブビュー表示中において、ユーザが、カメラ操作部材350のモード選択SW120によって万華鏡モードを選択した場合の一例を示す。また、ライブビュー画像は、背景(*0)に人物(*2)が画面右側に表示されている例を示す。
【0065】
図示するように、万華鏡モードが選択された場合は、ディスプレイ132の左上部分に、万華鏡モードが選択されたことを示すアイコン(*1)が表示される。このアイコンは、正六角形の万華鏡状画像が表示される場合の例であり、他の形状(例えば、正方形、正八角形等)では、その形状に対応したアイコンが表示される。
【0066】
また、このライブビュー表示における画像データから、顔認識回路309によって検出された顔の位置を示す指示枠(*3)が表示される。そして、この顔画像を元画像として万華鏡状画像を生成する場合に、元画像として設定された領域(*4)が表示される。
【0067】
図3(B)及び図3(C)は、ライブビュー表示において、生成された万華鏡状画像を表示したときの一例を示す。
【0068】
ディスプレイ132には、設定された元画像から生成された万華鏡状画像(*6)が表示される。なお、このときは、背景部分(*7)は表示せず、無地とする。
【0069】
万華鏡状画像を表示するときは、撮像中の画像データの全体を縮小してディスプレイ132内の縮小表示部(*5)にライブビュー画像を縮小して表示する。また、縮小表示部(*5)に、元画像として設定された領域(*4)も縮小表示する。ユーザは、縮小表示部(*5)を観察することによって、万華鏡状画像(*6)の元画像が、ライブビュー画像中のどの部分に存在するのかを認識することができる。
【0070】
万華鏡状画像を表示しているときに元画像として選択された被写体が移動した場合は、ユーザは、図3(C)に示すように、縮小表示部(*5)において元画像の領域(*4)の移動を確認することができる。
【0071】
さらに被写体が移動して、元画像の領域(*4)が撮像中のライブビュー画像の範囲外へと移動した場合は、図3(D)に示すような表示へと切り替わる。
【0072】
図3(D)に示すように、人物(*2)が撮像中のライブビュー画像の撮像範囲外へと移動し、元画像(*3)が撮像範囲外へと移動した場合は、元画像となる顔等を検出できなくなる。これにより、第2表示モードに移行し、万華鏡状画像の表示を禁止する。なお、万華鏡モードは設定されたままであるので、万華鏡モードであることを示すアイコン(*1)を表示したまま、図3(A)と同様に、ディスプレイ132全体でライブビュー表示を行う。
【0073】
次に、万華鏡画像生成回路310による万華鏡状画像の生成方法を説明する。
【0074】
図4及び図5は、万華鏡画像生成回路310によって実行される万華鏡状画像の生成方法の一例を示す説明図である。
【0075】
なお、この図4及び図5に示す例では、元画像に対して線対称又は点対称に正六角形状に形成される万華鏡状画像の例を示す。
【0076】
図4に示すように、万華鏡状画像データは、正六角形を6つの領域に分割し、分割された各々の三角形形状の領域を、それぞれSEG1〜SEG6と呼ぶ。また、正六角形の中心部分をP0と呼び、各頂点をそれぞれP1〜P6と呼ぶ。
【0077】
万華鏡画像生成回路310は、顔認識回路309によって検出された顔を元画像として設定する。元画像は、検出された顔を含む正三角形の領域として設定する。図5(A)に示すように、検出された顔を含む正三角形の領域を、SEG1としてまず設定する。
【0078】
次に、万華鏡画像生成回路310は、設定されたSEG1に対して、この正三角形の一つの辺(P0−P2)を基準とした鏡対称な画像を生成する。この画像をSEG2として設定し、SEG1に合成する。同様に、設定されたSEG1に対して、この正三角形の一つの辺(P0−P1)を基準とした鏡対称な画像を生成する。この画像をSEG6として設定し、SEG1及びSEG2に合成する。このときの状態を図5(B)に示す。
【0079】
次に、万華鏡画像生成回路310は、SEG1、SEG2及びSEG6から、正六角形中心を経由する辺(P6−P0−P3)を基準とした鏡対称の画像を生成する。このときの三つの領域がそれぞれSEG3、SEG4及びSEG5として生成する。そして、生成されたSEG3、SEG4及びSEG5を、SEG1、SEG2及びSEG6に合成する。このときの状態を図5(C)に示す。
【0080】
このようにして、万華鏡生成回路310は、元画像に基づいて五つの鏡対称の画像を生成することによって、正六角形に分割された万華鏡状画像を生成する。
【0081】
次に、本実施形態のデジタルカメラ100における画像データの記録形式について説明する。
【0082】
図6は、メモリカード340に記録される画像データの記録形式の一例を示す説明図である。
【0083】
デジタルカメラ100において、通常撮像された画像データ(通常画像データ)と、万華鏡状画像として生成された画像データ(万華鏡状画像データ)との画像データの組が生成される。この一組の画像データを1ファイルとして記録し、一つのファイルのみで通常画像データと万華鏡状画像データとを再生、保存、コピー等を行うことができる。
【0084】
複数の画像データを1ファイルとして記録する場合は、マルチピクチャフォーマット(CIPA DC−007−2009)に規定された方法によって記録することができる。
【0085】
マルチピクチャフォーマットは、一つのファイルに複数の画像データを記録するフォーマットであり、本実施形態においては、通常画像データと、通常画像データに基づいて万華鏡状画像として生成された画像データとを、一のファイルとして記録する。
【0086】
より具体的には、通常画像データ及びその画像データの情報を示すヘッダ情報1と、万華鏡状画像データ及びその画像データを示すヘッダ情報2とを一つのファイルとして生成する。生成されたファイルは、DCF規格に準拠したフォルダ名及びファイル名で、メモリカード340に記録される。
【0087】
ヘッダ情報1には、例えば、通常画像データに対応する万華鏡状画像データの情報が記録される。また、万華鏡状画像データは1つではなく、2又はそれ以上の万華鏡状画像データが追加されていてもよい。
【0088】
このように記録されたファイルは、コンピュータ等で再生するときに、通常画像データと万華鏡状画像データを同時に表示したり、通常画像データと万華鏡状画像データとを連続で表示したり、一方をアイコン表示としてクリック表示により拡大表示する等の表示方法を採ることができる。
【0089】
図7は、メモリカード340に記録される画像データの記録形式の他の例を示す説明図である。
【0090】
図6で説明したように、一つのファイル内に複数の画像データを記録する方法とは別に、通常画像データと万華鏡状画像データとを、それぞれ別のフォルダに記録することもできる。
【0091】
より具体的には、通常画像データをDCF規格に準拠したフォルダ名及びファイル名で、メモリカード340に記録される。
【0092】
一方で、万華鏡状画像データは、万華鏡状画像データを記録するための専用のフォルダとして万華鏡状画像フォルダをメモリカード340内に生成し、この万華鏡状画像フォルダ内に万華鏡状画像データを記録する。なお、図7に示す例では、万華鏡状画像フォルダのフォルダ名を「Kaleidoscope Photo」としている。
【0093】
万華鏡状画像フォルダに記録する万華鏡状画像データのファイル名は、通常画像データと同一でもよいし、通常画像データのファイル名に所定の文字列を負荷するなど、通常画像データのファイル名に関連した名称としてもよい。
【0094】
またさらに、万華鏡状画像フォルダには、通常画像データと万華鏡状画像データとの関連づけを示す関連付けファイルを記録する。なお、図7に示す例では、関連付けファイルの名称を「LinkData.dat」としている。
【0095】
次に、本発明の実施形態の万華鏡状画像の変形例を説明する。
【0096】
図4及び図5で前述したように、本実施形態では、正三角形の元画像領域を6つ組み合わせた正六角形の万華鏡状画像を一例として示したが、この形状に限られない。
【0097】
図8は、万華鏡画像生成回路310によって生成される万華鏡状画像の他の例を示す説明図である。
【0098】
図8(A)は、正方形の万華鏡状画像の一例である。この場合は、元画像となる領域は二等辺三角形となり、この二等辺三角形を4つ組み合わせて正方形の万華鏡状画像を生成する。
【0099】
図8(B)は、正八角形の万華鏡状画像の一例である。この場合は、元画像となる領域は二等辺三角形となり、この二等辺三角形を8つ組み合わせて正八角形の万華鏡状画像を生成する。
【0100】
このように、万華鏡画像生成回路310によって生成される万華鏡状画像は、様々な形状の態様を取ることができる。画像データの解像度にもよるが、原理的には偶数の領域に分割可能な正多角形形状の万華鏡状画像を生成することが可能であり、万華鏡状画像をどのような形状とするかをユーザによって選択するように構成してもよい。また、正n角形という選択ではなく、元画像の中心角度を、例えば60°(正六角形)、45°(正八角形)、30°(正十二角形)という数値としてユーザが指定するように構成してもよい。
【0101】
次に、ライブビュー表示において、万華鏡状画像を表示する際の変形例を説明する。
【0102】
図3で説明したように、ディスプレイ132に、生成され万華鏡状画像をライブビュー表示と共に表示する例を示したがこの表示形態に限られない。
【0103】
図9は、ライブビュー表示において、生成されたた万華鏡状画像を表示するときの他の例を示す。
【0104】
図9に示す例では、ライブビュー画像を縮小表示とせずに、ディスプレイ132に撮像領域全体のライブビュー表示を行う。そして、生成された万華鏡状画像を、ライブビュー表示中の画像データに重ねて表示する。
【0105】
このように、生成された万華鏡状画像を表示する際もディスプレイ132の全体でライブビュー表示を行うことで、万華鏡状画像が表示される部分が隠れてしまうものの、ユーザは撮像している画像の全体を把握しやすいという利点がある。
【0106】
以上説明したように、本発明の実施形態では、デジタルカメラ100において、被写体検出部(動きベクトル検出回路308、顔検出回路309等)によって被写体(例えば顔)が検出された場合に、当該被写体を元画像として生成した万華鏡状画像をライブビュー表示中のディスプレイ132に表示する。また、被写体が検出されなくなった場合には、万華鏡状画像の表示を終了する。
【0107】
このようにすることによって、デジタルカメラ100に単に万華鏡状画像を表示するのみでなく、ライブビュー表示される撮像中の画像と関連して表示されることで、状況に応じたダイナミックな表示を行うことができ、ユーザの興趣を高めることができて、ユーザが撮像装置を親しみながら使用することができる。
【0108】
また、万華鏡状画像を表示するときに、撮像領域の全体をディスプレイ132の一部に、万華鏡状画像と重なることなく縮小してライブビュー表示することによって、ライブビュー表示が万華鏡状画像によって妨げられることなく撮像中の画像を観察することができる。
【0109】
なお、ディスプレイ132全体でライブビュー表示を行い、その上に万華鏡状画像を重ねて表示してもよい。これにより、ユーザは撮像している画像の全体を把握しやすい。
【0110】
また、被写体検出部は、顔検出回路309による顔を検出する、又は、動きベクトル検出部308による移動被写体を検出するので、万華鏡状画像として生成される元画像をデジタルカメラ100が自動的に検出し、自動的に万華鏡状画像を生成することにより、ユーザは顔等によって生成された万華鏡状画像により興趣を感じると共に、ライブビュー表示される予期しない変化の発生することによる楽しさを感じることができる。また、被写体としてはユーザがタッチパネル等によって指示することも可能であり、ユーザの意図に沿った万華鏡状画像を生成することもできる。
【0111】
なお、本発明は上記の実施形態や変形例に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。また、被写体像を画像データとして取得し、表示できる電子機器全てに適用可能であることも明白である。
【符号の説明】
【0112】
100 デジタルカメラ
102 撮影レンズ
132 タッチパネルディスプレイ
300 システムコントローラ(制御部)
308 動きベクトル検出回路
309 顔検出回路
310 万華鏡画像生成回路
314 撮像素子
350 カメラ操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を結像する撮影レンズと、
前記撮影レンズによって結像された光学像を画像データに変換して出力する撮像部と、
前記撮像部から出力された画像データをライブビュー表示可能な表示部と、
前記光学像から被写体を検出する被写体検出部と、
前記画像データの一部から万華鏡状画像データを生成する万華鏡状画像生成部と、
前記撮像部から出力された画像データを前記表示部にライブビュー表示させるとともに、前記万華鏡状画像生成部によって生成された万華鏡状画像データを前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、ライブビュー表示において、前記被写体検出部が被写体を検出したときに、前記表示部に、当該被写体を用いて生成した万華鏡状画像をライブビュー表示と共に表示する第1表示モードと、前記被写体検出部が被写体を検出しないときに、万華鏡状画像を前記表示部に表示しない第2表示モードと、を切り換えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記表示部に、生成された万華鏡状画像を表示させるとともに、前記撮像部によって出力される画像データの全体を前記表示部の一部に前記万華鏡状画像と重なることなく縮小してライブビュー表示させることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1表示モードにおいて、前記撮像部によって出力される画像データを前記表示部にライブビュー表示させるとともに、生成された万華鏡状画像を、前記ライブビュー表示に重ね合わせて表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3に記載の撮像装置において、
前記被写体検出部は、人物又は動物の顔の位置を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4に記載の撮像装置において、
前記被写体検出部は、移動中の物体の位置を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
被写体を結像する撮影レンズ撮影レンズによって結像された光学像を画像データに変換し、前記画像データをライブビュー表示可能な表示部を備える撮像装置の表示方法であって、
前記表示部にライブビュー表示を行い、
前記光学像から被写体を検出したときに、被写体を用いて生成した万華鏡状画像をライブビュー表示と共に表示し、
前記被写体検出部が被写体を検出しないときは、万華鏡状画像を前記表示部に表示しないことを特徴とする撮像装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−109778(P2012−109778A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256776(P2010−256776)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】