説明

撮像装置

【課題】防塵部材の表面に塵埃が付着しても容易に落とすことができるようにすること。
【解決手段】撮像素子であるCCD117の被写体側に配置される防塵部材としての防塵フィルタ119を、被写体反射光が透過する光透過面において少なくとも結像に必要な光が透過する領域を、レンズ作用を有する凹面で形成し、該防塵フィルタの被写体光が透過する領域以外の位置に加振用振動部材としての圧電素子120を配置し、さらに、上記レンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた上記被写体反射光を上記CCD117の表面上で結像するように補正するための光学レンズ部材としての補正レンズ118を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子を備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子を用いた撮像装置において、画質の向上は著しい。そのため、撮像素子の表面またはその前面に位置する透明部材(光学素子)の表面に塵埃が付着することで、生成する画像に塵埃の影を生じさせてしまうことが、大きな問題となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、受光面が撮影光学系51の光軸に直交する平面と略平行となるようにパッケージ21内に配置された撮像素子20と、前記撮像素子20の前面側(撮影光学系51側)に配置され、撮影光学系51からの光を撮像素子20に導きつつパッケージ21内に侵入しようとする塵埃から撮像素子20を保護するカバーガラス22と、が収納されたパッケージ21が開示されている。
【0004】
そして、上記カバーガラス22の表面には、微細な凹面と、上下に延びる谷筋L1と、表面の左右に延びる谷筋L2とが形成され、この凹面や、これらの谷筋L1,L2に塵埃が付着することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−343699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記カバーガラス22の表面には、微細な凹面、即ち、表面の微細なでこぼこが多数形成されているものであり、その配置は不規則なものである。上記特許文献1では、微細な凹面(微細なでこぼこ)によって谷筋が形成されることが記載されているが、その形成位置は不規則で予測できない。従って、レンズのように予め定められた屈折作用を期待することはできない。また、カバーガラス22の表面には、微細な凹面、上下に延びる谷筋L1と、表面の左右に延びる谷筋L2とが形成されているので塵埃が付着しやすく、落ちにくい。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、防塵部材の表面に、塵埃が付着しても、容易に落とすことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置の一態様は、
撮像素子と、
上記撮像素子の被写体側に配置され、被写体反射光が透過する光透過面において少なくとも結像に必要な光が透過する領域を、レンズ作用を有する凹面で形成した防塵部材と、
上記防塵部材の被写体光が透過する領域以外の位置に配置された加振用振動部材と、
上記レンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた上記被写体反射光を上記撮像素子の表面上で結像するように補正するための光学レンズ部材と、
を具備したことを特徴とする。
また、本発明の撮像装置の別の態様は、
撮像素子と、
上記撮像素子の被写体側に配置され、被写体反射光が透過する光透過面において少なくとも結像に必要な光が透過する領域を、レンズ作用を有する凹面で形成した防塵部材と、
上記防塵部材の被写体光が透過する領域以外の位置に配置された加振用振動部材と、
上記撮像素子で撮像された画像に対して、上記レンズ作用を有する凹面による上記被写体反射光の折り曲げの影響を除去するように補正処理を実施する画像補正処理部と、
を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防塵部材の結像有効光透過面を凹面に形成して、凹面に塵埃が付着した場合に、光軸に近い領域(回りより薄い部分)ほど光軸方向の振動速度を速くさせ、結像有効光透過面に付着した塵埃を容易に落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の撮像装置の第1実施形態としてのデジタルカメラの主に電気的なシステム構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、デジタルカメラの塵埃除去機構を含む撮像素子ユニットの縦断側面図である。
【図3】図3は、塵埃除去機構をレンズ側から見た正面図である。
【図4】図4(A)は、塵埃除去機構を構成する主要部の斜視図であり、図4(B)は、図4(A)のBB線断面図である。
【図5】図5は、防塵フィルタの振動発生の概念を説明するための図である。
【図6】図6は、防塵フィルタに発生する定在波を説明するための防塵フィルタの概念図である。
【図7】図7は、防塵フィルタに発生する振動の様子を説明するための防塵フィルタの正面図である。
【図8】図8(A)は、本発明の撮像装置の第2実施形態としてのデジタルカメラにおける塵埃除去機構を構成する主要部の斜視図であり、図8(B)は、図8(A)のBB線断面図であり、図8(C)は、図8(A)のCC線断面図である。
【図9】図9は、第2実施形態における防塵フィルタに発生する振動の様子を説明するための防塵フィルタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下に具体的に例示する本発明の撮像装置は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットの塵埃除去機構を有するものであり、ここでは一例として電子カメラ(以下「カメラ」と略称する)の塵埃除去機能に係わる改良技術として説明する。特に、本第1実施形態では、レンズ交換可能な一眼式電子カメラ(デジタルカメラ)に関して、図1乃至図3を参照して説明する。尚、図1は、本発明の撮像装置の第1実施形態としてのデジタルカメラの主に電気的なシステム構成例を概略的に示すブロック図である。また、図2は、該デジタルカメラの塵埃除去機構を含む撮像素子ユニットの縦断側面図(図3でのAA線断面図)であり、図3は、塵埃除去機構をレンズ側から見た正面図である。
【0012】
まず、図1を参照して本実施形態におけるデジタルカメラ10のシステム構成例について説明する。
【0013】
このデジタルカメラ10は、カメラ本体としてのボディユニット100と、アクセサリ装置の一つである交換レンズとしてのレンズユニット200とによりシステム構成されている。
【0014】
レンズユニット200は、ボディユニット100の前面に設けられた図示しないレンズマウントを介して着脱自在である。レンズユニット200の制御は、自身が有するレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Lucom”と称する)201が行う。ボディユニット100の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、“Bucom”と称する)101が行う。これらLucom201とBucom101とは、ボディユニット100にレンズユニット200を装着した状態において通信コネクタ102を介して互いに通信可能に電気的に接続される。そして、カメラシステムとして、Lucom201がBucom101に従属的に協働しながら稼動するように構成されている。
【0015】
レンズユニット200は、撮影レンズ202と絞り203を備える。撮影レンズ202は、レンズ駆動機構204内に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動される。絞り203は、絞り駆動機構205内に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動される。Lucom201は、Bucom101の指令に基づいてこれら各モータを制御する。
【0016】
ボディユニット100内には、以下のような構成部材が図示の如く配設されている。例えば、撮影光軸上にフォーカルプレーン式のシャッタ108が設けられている。
【0017】
また、シャッタ108の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構112と、これら先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路113が設けられている。
【0018】
撮影光軸上には、上述の光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像ユニット116が設けられている。撮像ユニット116は、画像形成素子としての撮像素子であるCCD117と、その前面(被写体側)に配設された補正レンズ118と、防塵部材である防塵フィルタ119とを、ユニットとして一体化してなるものである。ここで、本実施形態では、少なくとも被写体反射光が透過する光透過面である透明部が空気と異なる屈折率を有し且つレンズ作用を有する凹面で形成した透明なガラス板を、上記防塵フィルタ119として使用している。しかしながら、上記ガラス板(光学素子)に限定されるものではなく、光路上に在り光の透過性をもった部材(光学素子)であれば良い。例えば、透明なガラス板に換えて、光学ローパスフィルタ(LPF)、赤外カットフィルタ、偏向フィルタ、ハーフミラーなどであっても良い。この場合、振動に係わる周波数や駆動時間、加振用振動部材(後述する)の設置位置などは、その部材に対応した値に設定する。また、補正レンズ118は、上記防塵フィルタ119のレンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた上記被写体反射光をCCD117の表面上で結像するように補正するための光学レンズ部材である。
【0019】
以下、防塵部材である防塵フィルタ119については、上述したように光学ローパスフィルタ(LPF)等、様々な材質を用いることができるが、本実施形態では、ガラス板を採用しているとして説明する。
【0020】
上記防塵フィルタ119の周縁部の片側には、圧電素子120が取り付けられている。圧電素子120は、2つの電極を有しており、圧電素子120を駆動手段である防塵フィルタ制御回路121によって、防塵フィルタ119の寸法や材質によって定まる所定の周波数で振動させることで、防塵フィルタ119に所定の振動を発生させ、フィルタ表面に付着した塵埃を除去し得るように構成されている。また、撮像ユニット116に対しては、手ブレ補正用の防振ユニットが付加されている。
【0021】
また、本実施形態におけるデジタルカメラ10は、CCD117に接続したCCDインターフェース回路122と、液晶モニタ123と、記憶領域として機能するSDRAM124やFlash ROM125などを利用して画像処理する画像処理コントローラ126とを備え、電子撮像機能とともに電子記録表示機能を提供できるように構成されている。また、電子撮像機能には、CCD117で撮影された画像を動画として液晶モニタ123に同時に表示してファインダとして用いるいわゆるスルー画表示機能、動画を記録する動画記録機能を持っている。ファインダ機能については光学式の一眼レフファインダ等を設けても良い。ここで、記録メディア127は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、通信コネクタを介してボディユニット100と通信可能且つ交換可能に装着される。そして、この記録メディア127に撮影により得られた画像データが記録される。
【0022】
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する、例えばEEPROMからなる不揮発性メモリ128がBucom101からアクセス可能に設けられている。
【0023】
Bucom101には、当該デジタルカメラ10の動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD129及び動作表示用LED130と、カメラ操作SW131と、ストロボ132を駆動するストロボ制御回路133と、が接続されている。ここで、動作表示用LCD129あるいは動作表示用LED130には、防塵フィルタ制御回路121が動作している期間、防塵フィルタ119の振動動作を表示する表示部が設けられている。カメラ操作SW131は、例えばレリーズSW、モード変更SW及びパワーSWなど、当該デジタルカメラ10を操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群である。さらに、該ボディユニット100内には、電源としての電池134と、該電池134の電圧を、当該デジタルカメラ10を構成する各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路135が設けられ、また、外部電源から不図示のジャックを介して電流が供給されたときの電圧変化を検知する電圧検出回路(図示せず)も設けられている。
【0024】
上述のように構成されたデジタルカメラ10の各部は、概略的には以下のように稼動する。まず、画像処理コントローラ126は、Bucom101の指令に従ってCCDインターフェース回路122を制御してCCD117から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ126でビデオ信号に変換され、液晶モニタ123で出力表示される。ユーザは、この液晶モニタ123の表示画像から、ファインダ画像あるいは撮影画像を確認できる。
【0025】
SDRAM124は、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。また、画像データは、JPEGデータに変換された後、記録メディア127に保管される。ここで、画像データが動画である場合はMPEGデータ等に変換される。
【0026】
撮影レンズ202の焦点合わせは、撮影レンズ202の位置を順次変更しながら撮像し、撮像画像の最もコントラストの高い位置をBucom101で演算し、通信コネクタ102を通してLucom201に伝達し、Lucom201が撮影レンズ202を位置制御することにより行われる。測光も撮像画像から検出された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0027】
次に、図2及び図3を参照してCCD117を含む撮像ユニット116について説明する。
【0028】
撮像ユニット116は、撮影光学系を透過し自己の光電変換面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子としてのCCD117と、CCD117の光電変換面側(被写体側)に配設された防塵部材である防塵フィルタ119と、この防塵フィルタ119の被写体光が透過する領域以外の位置(周縁部)に配設されて防塵フィルタ119に対して所定の振動を与えるための加振用振動部材である圧電素子120と、上記CCD117と防塵フィルタ119の間に配置された補正レンズ118と、を備える。
【0029】
ここで、CCD117のCCDチップ136は、固定板137上に配設されたフレキシブル基板138上に直接実装され、このフレキシブル基板138の両端から出た接続部139a,139bが、主回路基板140に設けられたコネクタ141a,141bを介して主回路基板140側と接続されている。
【0030】
また、CCD117の前面側周縁部で光電変換面の有効範囲を避ける位置に弾性部材等からなるホルダ受け部材144が配設され、該ホルダ受け部材144は、接着等によって、撮影光軸周りの略中央部分に矩形状の開口146を有するホルダ145を保持する。ホルダ145の開口146の内周縁部には突出部147が形成されている。そして、その突出部147の被写体側の面と開口146の内周面とが接着部148となって、該接着部148に防塵フィルタ119が接着固定される。また、反対側である突出部147のCCD117側の面と開口146の内周面も接着部148となって、該接着部148に補正レンズ118が接着固定される。この突出部147の厚みによって、撮影光軸方向における防塵フィルタ119と補正レンズ118との所定間隔が規定される。なお、ホルダ145の開口146が、結像光線通過エリア149となる。
【0031】
撮像ユニット116は、このようにして、画像形成素子としてのCCD117と防塵フィルタ119とが対向して形成される領域を、当該CCD117及び当該防塵フィルタ119の周縁部で封止するように構成された封止構造(CCD117を搭載する所望の大きさに形成されたホルダ145及びホルダ受け部材144によって、気密構造に構成されている。なお、CCD117と補正レンズ118との気密状態は、塵埃の侵入によって撮影画像に塵埃が写り込み、当該画像に塵埃の影響の出ることを防止可能なレベルであれば良く、必ずしも気体の侵入を完全に防止するレベルでなくても良い。防塵フィルタ119と補正レンズ118との気密状態も、同様である。
【0032】
さらに、加振用振動部材である圧電素子120には、フレキシブルプリント基板であるフレキ157が端部に電気接続され、防塵フィルタ制御回路121からの後に述べる所定の電気信号を圧電素子120に入力し、圧電素子120に所定の振動を発生させている。フレキ157は、樹脂と銅箔等で作製されて柔軟性があることから圧電素子120の振動を減衰させることが少ない。一方、以下に述べるような手ブレ補正機構を持つ場合、圧電素子120はボディユニット100に対して相対的に移動するので、防塵フィルタ制御回路121がボディユニット100と一体の固定部材にある場合には手ブレ補正機構の動作に従って、フレキ157は変形し、変位する。この場合、フレキ157は柔軟性があり薄いため、有効であり、本実施形態の場合にはフレキ157は1ヶ所からの引き出しで簡単な構成であるので、手ブレ補正機構をもつカメラには最適である。
【0033】
防塵フィルタ119でその表面から離脱した塵埃は後に述べるように、その振動の慣性力と、重力の作用により、ボディユニット100の下側に落下する。そこで、本実施形態では、防塵フィルタ119の下側直近に設けたホルダ145の台158に、粘着材、粘着テープ等で形成された保持材159を配設し、落下した塵埃を確実に保持し、再び防塵フィルタ119の表面に戻らないようにしてある。
【0034】
次に、簡単に手ブレ補正機能について説明する。この手ブレ補正機構は、図1に示すように、X軸ジャイロ160、Y軸ジャイロ161、防振制御回路162、X軸アクチュエータ163、Y軸アクチュエータ164、X枠165、Y枠166(ホルダ145)、フレーム167、位置検出センサ168及びアクチュエータ駆動回路169から構成され、カメラのX軸回りの手ブレの角速度を検出するX軸ジャイロ160とカメラのY軸周りの手ブレの角速度を検出するY軸ジャイロ161とからの角速度信号から、防振制御回路162により手ブレ補償量を演算し、撮影光軸の方向をZ軸方向とした場合、撮影光軸に直交するXY平面内で直交する第1の方向であるX軸方向及び第2の方向であるY軸方向に、撮像素子であるCCD117を、ブレを補償するように変位移動させるものである。即ち、アクチュエータ駆動回路169から所定の駆動信号を入力するとX軸方向にCCD117を駆動するX軸アクチュエータ163と、同じく、所定の駆動信号を入力するとY軸方向にCCD117を駆動するY軸アクチュエータ164を駆動源として用い、X枠165と撮像ユニット116中のCCD117を搭載したY枠166(ホルダ145)とをフレーム167に対して移動する移動対象物として構成される。ここで、X軸アクチュエータ163及びY軸アクチュエータ164は、電磁回転モータとネジ送り機構等を組み合わせたものや、ボイスコイルモータを用いた直進電磁モータや、直進圧電モータ等が用いられている。尚、位置検出センサ168は、X枠165及びY枠166の位置を検出するものであり、防振制御回路162は該位置検出センサ168での検出結果に基づいて、変位移動可能な範囲を超えてX軸アクチュエータ163及びY軸アクチュエータ164を駆動しないように、アクチュエータ駆動回路169を制御する。
【0035】
ここで、第1実施形態の塵埃除去機構について図4乃至図7を参照してさらに詳しく説明する。図4(A)は、塵埃除去機構を構成する主要部(振動子)の分解斜視図であり、図4(B)は、図4(A)のBB線断面図である。図5(A)は、防塵フィルタの振動発生の概念を説明するための防塵フィルタ119の正面図、図5(B)は図5(A)のBB線断面図、図5(C)は図5(A)のCC線断面である。図6は、防塵フィルタ119に発生する定在波を説明するための防塵フィルタ119の概念図(図5(B)に相当)である。図7は、防塵フィルタ119に発生する振動の様子を説明するための防塵フィルタの正面図である。
【0036】
防塵フィルタ119は、ある対称軸に対して対称な辺を少なくとも一つ持つ、全体として多角形の板状(本実施形態は四角形)のガラス板(光学素子)からなり、少なくとも、最大の振動振幅が得られる位置から放射方向に所定の広がりを持つ領域が、透明部を構成している。そして、この透明部のCCD117側を、レンズ作用を有する1つの凹面で形成している。尚、防塵フィルタ119は、全体として円形を成し、その円の一部を直線状にカットして一辺を持つD形状であっても良いし、四角形の両辺を円弧状に形成し、上下二辺を持つ形状としたものでも構わない。そして、上述した取り付け手段により、この防塵フィルタ119の透明部が補正レンズ118の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。また、防塵フィルタ119の一方の面(本実施形態では前面側)の上側周縁部には、当該防塵フィルタ119に対して振動を与えるための加振用振動部材である圧電素子120が、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。防塵フィルタ119に圧電素子120を配設することで振動子170が形成され、該振動子170は、圧電素子120に所定の周波電圧を印加すると共振振動し、屈曲振動を大きな振幅で発生する。
【0037】
なお、特に図示はしていないが、圧電素子120には、第1の信号電極と、該第1の信号電極に対向した裏面に設けられ、側面を通して上記第1の信号電極のある側の面に引き回された第2の信号電極とが形成されている。そして、第1の信号電極と第2の信号電極に、上記導電性パターンを持つフレキ157が電気的に接続されている。夫々の電極には、フレキ157を介して接続された防塵フィルタ制御回路121によって所定周期を有する駆動電圧を印加することで、防塵フィルタ119に2次元の定在波屈曲振動を発生させることができる。
【0038】
この2次元の定在波屈曲の振動モードは、X方向の屈曲振動と、Y方向の屈曲振動との合成で形成される。この合成の基本状態の様子を示したのが、図5である。2つの圧電素子120、120’を均一な厚みを有する防塵フィルタ119’の中心軸Xに対称に配置した振動子170’をスポンジ等の振動減衰の殆どない部材の上に置いて自由振動させると、図5に示すような格子状の節エリア(振動振幅の小さいエリア)173が発生する振動モードが通常簡単に得られる(ここでは、防塵フィルタ119’の裏面に圧電素子120、120’を配置しているが、表面に配置した場合も同様である)。なお、図5(A)では、節エリア173を破線で示している(線幅方向に振動の最も小さい位置を線として表示)。その場合に、X方向に波長λxの定在波屈曲振動が発生し、且つY方向に波長λyの定在波屈曲振動が発生して、両方の定在波が合成されている状態を示している。その場合に、X方向に波長λxの定在波屈曲振動が発生し、且つY方向に波長λyの定在波屈曲振動が発生して、両方の定在波が合成されている状態を示している。O点をx=0,y=0の原点として取ると、任意の点P(x,y)のZ方向の振動Z(x,y)は、Aを振幅(ここでは一定値としたが、実際には振動モードや圧電素子に入力される電力により変わる)、m、nは振動モードに対応した固有振動の次数で0を含む正の整数、γを任意の位相角とすると、次の(1)式で表される。
【0039】
Z(x,y)=A・Wmn(x,y)・cos(γ)
+A・Wnm(x,y)・sin(γ) …(1)
但し、
Wmn(x,y)=sin(nπ・x+π/2)・sin(mπ・y+π/2)
Wnm(x,y)=sin(mπ・x+π/2)・sin(nπ・y+π/2)
である。
【0040】
ここで、例えば、位相角γ=0とすると、上記(1)式は、
Z(x,y)=A・Wmn(x,y)
=A・sin(n・π・x/λx+π/2)
・sin(m・π・y/λy+π/2)
となり、ここでλx=λy=λ=1とする(屈曲の波長を単位長さとしてx,yを表記)と、
Z(x,y)=A・Wmn(x,y)
=A・sin(n・π・x+π/2)
・sin(m・π・y+π/2)
となる。図5は、m=nの場合の振動モードを示し(X方向、Y方向の振動の次数と波長が同じなので防塵フィルタ119’の形状は正方形になる)、X方向、Y方向に等間隔で振動の山、節、谷が現れ、碁盤目状に振動の節エリア173が現れている(従来の振動モード)。また、m=0、n=1の振動モードでは、Y方向に平行な辺に対して、平行な山、節、谷が出来る振動になる。以上の碁盤目状あるいは辺に平行な振動モードではX方向、Y方向の振動が独立に現れるだけで、合成されて振動振幅が大きくなることがない。
【0041】
次に、図6を用いて塵埃の除去について詳しく説明する。図6は、図5(B)と同じ断面を示してある。
【0042】
図6に矢印177で示す方向に分極された圧電素子120に所定の周波電圧が印加された場合は、振動子170がある時点t0で実線に示した状態となる。振動子170表面の任意の位置yにある質点Yの任意の時刻tでのZ方向の振動zは、振動の角速度ω、Z方向の振幅A、Y=2πy/λ(λ:屈曲振動の波長)として、下記の(2)式の通りに表される。
【0043】
z=Asin(Y)・cos(ωt) …(2)
この式は、図5での定在波振動を表す。即ち、y=s・λ/2の時(ここで、sは整数)にY=sπとなり、sin(Y)は零になる。従って、時間に関係なくZ方向の振動振幅が零になる節178をλ/2ごとに持つことになり、これは定在波振動である。図6において破線で示した状態は、時間t0の状態に対して振動が逆相となるt=kπ/ωでの状態を示す(ここで、kは奇数)。
【0044】
次に、防塵フィルタ119’上の点Y1の振動は、屈曲定在波の振動の腹179の位置になるので、振動振幅はAとなり、Z方向の点Y1の位置z(Y1)は、
z(Y1)=Acos(ωt) …(3)
となる。
【0045】
Y1の振動速度Vz(Y1)は、振動の周波数をfとすると、ω=2πfであるので、上記(3)式を時間で微分して、
Vz(Y1)=d(z(Y1))/dt
=−2πf・Asin(ωt) …(4)
となる。Y1の振動加速度αz(Y1)は、上記(3)式をさらに時間で微分して、
αz(Y1)=d(Vz(Y1))/dt
=−4π・Acos(ωt) …(5)
となり、Y1に付着している塵埃180は、上記(5)式の加速度を受けることとなる。
【0046】
この時、塵埃180の受ける慣性力Fkは、塵埃180の質量をMとして、
Fk=αz(Y1)・M
=−4π・Acos(ωt)・M …(6)
となる。
【0047】
上記(6)式から、慣性力Fkは、周波数fを上げると、fの2乗に比例して大きくなるので効果的なことが判るが、その時の振動振幅Aが小さいと、いくら周波数を上げたからと言って、慣性力を上げることは出来ない。一般的には、加振の振動エネルギーを発生させる圧電素子120の大きさを一定とすると、所定の振動エネルギーしか発生することができない。従って、同じ振動モードで周波数を上げると振動振幅Aは周波数fの2乗に逆比例し、共振周波数を上げて高次の共振モードにすると、振動振幅は低下し、振動速度が上がらず、振動加速度も上がらない(むしろ、周波数が高くなると、理想的に共振させることが難しく、振動エネルギー損失が大きくなり、振動加速度は下がる)。即ち、単に共振モードで振動を発生させることでは大きな振幅を持つモードにはならず、塵埃除去の効果が著しく悪化してしまう。
【0048】
本実施形態の振動子170は、均一な厚みを有する防塵フィルタ119’ではなく、図4(A)及び(B)に示すように、被写体反射光が透過する光透過面において少なくとも結像に必要な光が透過する領域である結像光線通過エリア149を、レンズ作用を有する凹面で形成した防塵フィルタ119を用いている。この例では、振動子170の防塵フィルタ119は、30.5mm(X方向)×31.5mm(Y方向)で、Z方向の最大厚が0.65mm、最小厚が0.3mmで、半径143mmのR面とした凹面を有するガラス板(光学素子)である。このように、防塵フィルタ119は、撮影レンズ202を構成する通常の凹レンズとは異なり、非常に薄い厚みを有しており、圧電素子120の伸縮により容易に振動する。また、圧電素子120は、21mm(X方向)×3mm(Y方向)×4mm(厚さ)のチタン酸ジルコン酸鉛のセラミックで作られ、防塵フィルタ119の上下の辺(X方向)に沿って、当該辺の端部側にエポキシ系の接着剤で接着固定されている。より詳細には、X方向において上記圧電素子120は、Y方向に沿った防塵フィルタ119の中心線(ある仮想軸)に対して左右対称となるように配置されている。なお、これら防塵フィルタ119及び圧電素子120の寸法は、フォーサーズ規格のデジタルカメラ10の場合の一例であり、当然、APS規格のデジタルカメラに適用するのであれば、より大きな寸法となる。
【0049】
このようなレンズ作用を有する凹面で形成した防塵フィルタ119では、図5に示すような格子状の節エリア173が発生する振動モードではなく、図7に示すように、その凹面の部分に、屈曲振動を大きな振幅で発生する。即ち、防塵フィルタ119を構成するガラス板の断面(厚さ方向)を、振動速度が必要な中心部分の板厚を薄くすることにより、効率よく振動速度を高めることができる。例えば、図7の振動では、図5の振動に比べて、約2.8倍の振動速度が得られる。図7に示す屈曲振動は定在波振動を示し、図7で振動の節エリア(振動振幅の小さいエリア)173を示す黒い線状のエリアは、黒が濃いほど振動振幅が小さくなっている。尚、図7中に示すメッシュは、有限要素法での分割メッシュである。また、破線は、凹面の境界部を示し、点線は防塵フィルタ119のY方向の中心を示している。
【0050】
振動速度が大きい場合、図7に示すように節エリア173の間隔が小さいと、節エリア173には大きな面内振動が発生し、節エリア173にある塵埃には面内振動方向に大きな慣性力が発生する(図6の質点Y2の動きを参照。節178を中心にY2とY2’の間を円弧振動する)。塵埃180の付着面に沿った力が作用するように防塵フィルタ119面を重力に対して平行になる方向に傾けると、慣性力と重力が作用して節エリア173に付着した塵埃も除去することができる。
【0051】
また、図7での白色のエリアは、振動振幅が大きなエリアを示し、この白色エリアに付着した塵埃180は、振動により与えられる慣性力により除去される。振動の節エリア173に付着した塵埃180は、圧電素子120に与える駆動周波数を変えることで異なる振動モードで共振させることにより、節178位置を変化させることによって除去できる。
【0052】
また、圧電素子120を振動させる上記所定の周波数は、振動子170を構成する防塵フィルタ119の形状寸法と圧電素子120の形状寸法、それらの材質や支持の状態によって決まるものであるが、通常、温度は振動子170の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つとなっている。そのため、運用時にその温度を計測して、その固有振動数の変化を考慮するのが好ましい。この場合、温度測定回路(不図示)に接続された温度センサ(不図示)がデジタルカメラ10内に設けられており、温度センサの計測温度から予め決められた振動子170の振動周波数の補正値を不揮発性メモリ128に記憶させ、計測温度と補正値をBucom101に読み込み、駆動周波数を演算して防塵フィルタ制御回路121の駆動周波数とすることによって、温度変化に対しても効率の良い振動を発生することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、防塵フィルタ119の結像有効光透過面である結像光線通過エリア149をレンズ作用を有する凹面に形成することで、光軸に近い領域(回りより薄い部分)ほど光軸方向の振動速度を速くさせることができ、結像光線通過エリア149の凹面に付着した塵埃180を容易に落とすことができる。しかしながら、このレンズ作用を有する凹面によって被写体反射光が折り曲げられてしまう。そこで、本実施形態では、上記防塵フィルタ119に形成された凹面と対向する位置に、補正レンズ118を配置して、上記レンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた上記被写体反射光をCCD117の表面上で結像するように補正している。
【0054】
なお、防塵フィルタ119の凹面は、CCD117側ではなく被写体側に形成するようにしても良い。
【0055】
また、圧電素子120も、防塵フィルタ119の被写体側ではなくてCCD117側に設けても良く、凹面と同じ側でも反対側でも良い。更には、圧電素子120を複数設けてもかまわない。
【0056】
[第2実施形態]
図8(A)は、本発明の撮像装置の第2実施形態としてのデジタルカメラにおける塵埃除去機構を構成する主要部の斜視図であり、図8(B)は、図8(A)のBB線断面図であり、図8(C)は、図8(A)のCC線断面図である。また、図9は、第2実施形態における防塵フィルタに発生する振動の様子を説明するための防塵フィルタの正面図である。
【0057】
本第2実施形態においては、振動子170の防塵フィルタ119のレンズ作用を有する凹面を、球面で形成している。即ち、振動子170の防塵フィルタ119は、30.5mm(X方向)×31.5mm(Y方向)で、Z方向の最大厚が0.65mm、最小厚が0.3mmで、半径143mmの球面とした凹面を有するガラス板(光学素子)で構成している。このように、防塵フィルタ119は、撮影レンズ202を構成する通常の凹レンズとは異なり、非常に薄い厚みを有しており、圧電素子120の伸縮により容易に振動する。また、圧電素子120は、21mm(X方向)×3mm(Y方向)×0.8mm(厚さ)のチタン酸ジルコン酸鉛のセラミックで作られ、防塵フィルタ119の上下の辺(X方向)に沿って、当該辺の端部側にエポキシ系の接着剤で接着固定されている。より詳細には、X方向において上記圧電素子120は、Y方向に沿った防塵フィルタ119の中心線(ある仮想軸)に対して左右対称となるように配置されている。勿論、これら防塵フィルタ119及び圧電素子120の寸法は、フォーサーズ規格のデジタルカメラ10の場合の一例であり、APS規格のデジタルカメラに適用するのであれば、より大きな寸法となる。尚、図9中に示す破線は、凹面の境界部を示している。
【0058】
このような構成としても、図9に示すように、その凹面の部分に、屈曲振動を大きな振幅で発生する。従って、上記第1実施形態と同様に、光軸に近い領域(回りより薄い部分)ほど光軸方向の振動速度を速くさせることができ、結像光線通過エリア149の凹面に付着した塵埃180を容易に落とすことができる。例えば、図9の振動では、図5の振動に比べて、約2.9倍の振動速度が得られる。しかしながら、このレンズ作用を有する凹面によって被写体反射光が折り曲げられてしまうので、本実施形態においても、上記防塵フィルタ119に形成された凹面と対向する位置に、補正レンズ118を配置して、上記レンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた上記被写体反射光をCCD117の表面上で結像するように補正する。
【0059】
なお、防塵フィルタ119の凹面を球面でなく非球面として形成しても良い。また、凹面は、CCD117側ではなく被写体側に形成するようにしても良いし、両側に設けても構わない。
【0060】
また、圧電素子120も、防塵フィルタ119の被写体側ではなくてCCD117側に設けても良く、凹面に対して同じ側、反対側の何れであっても良い。更には、圧電素子120を複数設けてもかまわない。
【0061】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0062】
例えば、上述した実施形態においては、防塵フィルタ119のレンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた被写体反射光をCCD117の表面上で結像するように補正する補正レンズ118を配置しているが、そのような補正レンズ118を用いる代わりに、画像補正処理部としての画像処理コントローラ126による画像処理によって、CCD117で撮像された画像に対して上記折り曲げの影響を除去するような補正処理を実施するようにしても構わない。補正レンズ118が不要になることで、塵埃除去機構をより小型にすることが可能となる。
【0063】
また、上述した実施形態においては、ファインダは液晶モニタを利用したものとなっているが、一眼レフ式の光学ファインダをもつカメラでも勿論良い。
【0064】
さらに、上述した実施形態では、撮像素子としてCCD117を例に挙げているが、もちろん、CMOSやその他の撮像素子であっても構わない。
【0065】
また、上述した実施形態では、加振用振動部材は圧電素子としていたが、電歪材料でも、超磁歪材でも勿論良い。
【0066】
さらに、振動の際、加振する対象部材に付着している塵埃180をより効率よく振り落とせるよう、その表面に、例えば、透明導電膜であるITO(酸化インジウム・錫)膜、インジウム亜鉛膜、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン膜、吸湿型静電気防止膜である界面活性剤膜、シロキサン系膜、等をコーティング処理しても良い。但し、振動に係わる周波数や駆動時間などは上記膜の部材に対応した値に設定する。
【0067】
尚、本発明を適用する画像機器としては、例示した撮像装置(デジタルカメラ)に限らず、塵埃除去機能を必要とする装置であれば良く、必要に応じて変形実施することで実用化され得る。より、具体的には液晶等の表示素子を用いた画像投影装置における表示素子と光源の間、あるいは表示素子と投影レンズとの間に、本発明の塵埃除去機構を設けても良い。
【符号の説明】
【0068】
10…デジタルカメラ、 100…ボディユニット、 101…ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom)、 108…シャッタ、 116…撮像ユニット、 117…CCD、 118…補正レンズ、 119…防塵フィルタ、 120…圧電素子、 121…防塵フィルタ制御回路、 122…CCDインターフェース回路、 126…画像処理コントローラ、 128…不揮発性メモリ、 129…動作表示用LCD、 130…動作表示用LED、 131…カメラ操作SW、 134…電池、 135…電源回路、 136…CCDチップ、 137…固定板、 138…フレキシブル基板、 139a,139b…接続部、 140…主回路基板、 141a,141b…コネクタ、 144…ホルダ受け部材、 145…ホルダ、 146…開口、 147…突出部、 148…接着部、 149…結像光線通過エリア、 157…フレキ、 158…台、 159…保持材、 166…Y枠、 170…振動子、 173…節エリア、 177…分極方向を示す矢印、 178…節、 179…振動の腹、 180…塵埃、 200…レンズユニット、 201…レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lucom)、 202…撮影レンズ、 203…絞り。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
上記撮像素子の被写体側に配置され、被写体反射光が透過する光透過面において少なくとも結像に必要な光が透過する領域を、レンズ作用を有する凹面で形成した防塵部材と、
上記防塵部材の被写体光が透過する領域以外の位置に配置された加振用振動部材と、
上記レンズ作用を有する凹面によって折り曲げられた上記被写体反射光を上記撮像素子の表面上で結像するように補正するための光学レンズ部材と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記光学レンズ部材は、上記防塵部材に形成された凹面と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記凹面は、被写体側または撮像素子側の少なくとも一方の側に形成されていて、当該凹面は、球面または非球面の少なくとも一方で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
上記凹面の結像に必要な光が透過する領域は、1つの凹面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像素子と、
上記撮像素子の被写体側に配置され、被写体反射光が透過する光透過面において少なくとも結像に必要な光が透過する領域を、レンズ作用を有する凹面で形成した防塵部材と、
上記防塵部材の被写体光が透過する領域以外の位置に配置された加振用振動部材と、
上記撮像素子で撮像された画像に対して、上記レンズ作用を有する凹面による上記被写体反射光の折り曲げの影響を除去するように補正処理を実施する画像補正処理部と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114728(P2012−114728A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262686(P2010−262686)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】