撮像装置
【課題】計測光の配列に対する走査方向の幅を小さくし、高SN比な断層像を得る。
【解決手段】本発明に係る撮像装置は、被検査物における前記複数の計測光の配列を検出する検出手段の検出結果に基づいて、複数の計測光を走査する走査手段の走査方向に対する上記配列を調整する。
【解決手段】本発明に係る撮像装置は、被検査物における前記複数の計測光の配列を検出する検出手段の検出結果に基づいて、複数の計測光を走査する走査手段の走査方向に対する上記配列を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の断層像を取得する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低コヒーレンス干渉計又は白色干渉計の技術を応用した光干渉断層撮像装置(OCT(オプティカルコヒーレンストモグラフィー)装置)が実用化されている。OCT装置は、医療分野、特に眼科領域において眼底網膜の断層像を得るために用いられている。OCT装置は、光の性質を利用するため、光の波長のオーダーであるマイクロメートル程度の高分解能で測定することができる。ここで、測定信号の高い信号対雑音比(以下、SN比と称す)を確保し、高画質の断層像を得るためには、被測定物の同一位置の断層像を複数回に分けて取得し、それらを位置合わせした後に平均化し、加算平均する。これにより、ランダムノイズを相対的に小さくすることができ、断層像のSN比を向上させている。しかし、医療分野において被測定物が生体である場合、例えば眼底測定においては非測定物である人眼は測定中にランダムに微動しているため、高速に測定を終えなければ測定像が歪んでしまうこととなる。
【0003】
特許文献1には、複数の光源を用いて走査方向に計測光を並べて走査し、測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することにより高速化する方法が開示されている。なお、この方法はタンデムスキャンと呼ばれている。臨床現場では、病状により、横スキャン、縦スキャン、ラジアルスキャンと呼ばれる放射状のスキャン等、各種パターンのスキャンが求められる。複数の光源を持ち、横スキャン、縦スキャン、ラジアルスキャン等にタンデムスキャンを行うには、眼底への計測光の配列の角度を変更する必要がある。
【0004】
タンデムスキャンで高SN比な画像を確保するには、各計測光は、走査方向に対してより平行な配列をとり、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅は、より微小範囲内に収める必要がある。近年より高分解能な画像を求めるために計測光の径を小さくし、高NAの計測光にて撮像することが行われているが、それに伴って、計測光の配列は走査方向とより微小範囲内に収めることが求められる。そのため、光走査部の走査方向と計測光の配列方向との誤差を微小にしなければならないが、光走査部の走査方向と計測光の配列方向との誤差を微小にすることは、光走査部を駆動し、各計測光の位置関係を調整しなければならない。そのため、専門家による調整が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−188114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光走査部はOCT装置の移動による振動等でずれることが多い。また、イメージローテータ等の計測光の配列の角度を変更する機構を備えた場合、OCT装置の立ち上がり時にイメージローテータの基準位置を求めるセンサを用いてイメージローテータを所定の位置に導き、その位置を原点として計測光の配列の角度を整えている。但し、イメージローテータを所定の位置に導く際に位置のばらつきが生じる。そのため、走査方向と計測光の配列方向とのずれを微小範囲内に抑え、高SN比な画像を求めるためには、定期メンテナンスや、OCT装置立ち上げ時に専門家による確認、調整が必要になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、計測光の配列に対する走査方向の幅を小さくし、高SN比な断層像を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明係る撮像装置は、複数の計測光を照射した被検査物からの複数の戻り光に基づいて、該被検査物の画像を取得する撮像装置であって、前記複数の計測光を走査する走査手段と、前記被検査物における前記複数の計測光の配列を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記走査手段の走査方向に対する前記配列を調整する配列調整手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計測光の配列に対する走査方向の幅を小さくし、高SN比な断層像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1及び第2の実施形態に係る光干渉断層撮像装置の構成を示す図である。
【図2】光ファイバの配列を示す図である。
【図3】受光部と各計測光との位置関係を示す図である。
【図4】ラインセンサLに対する計測光の配列の関係の求め方を説明するための図である。
【図5】ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きとの求め方について説明するための図である。
【図6】、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きと、各計測光間の位置関係との求め方を説明するための図である。
【図7】ラインセンサLに対する光走査部のY軸の傾きの求め方を説明するための図である。
【図8】タンデムスキャン時における計測光の配列方向での光走査部の補正方法を説明するための図である。
【図9】計測光P1、P2及びP3の距離の求め方を説明するための図である。
【図10】計測光の配列の求め方を説明するための図である。
【図11】イメージローテータ2の回転中心位置の求め方について説明するための図である。
【図12】計測光の配列に対する光走査部のXの傾きの求め方を説明するための図である。
【図13】第3及び第4の実施形態に係る光干渉断層撮像装置の構成を示す図である。
【図14】検出体を示す図である。
【図15】検出体の横の帯と計測光の配列と光走査部の傾きとの求め方について説明するための図である。
【図16】縦の帯と光走査部のY軸の走査方向との傾きの求め方について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、光干渉断層撮像装置以外にも、SLO等の走査型の撮像装置(内視鏡を含む)であれば何でも良い。また、被検査物は、被検眼以外にも被検体の皮膚等でも良い。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る光干渉断層撮像装置(以下、OCT装置と称す)の構成を示す図である。本実施形態に係るOCT装置は、光源1、光分岐部33、サンプルアーム1001、参照アーム1002、分光器1003、制御部23及び表示部24を備える。光分岐部33は、光ファイバ32、34、39及び14を介して、光源1、分光器1003、サンプルアーム1001及び参照アーム1002とそれぞれ接続されている。なお、本実施形態のOCT装置は、光断層撮像装置の適用例となる構成である。
【0013】
光源1は、低コヒーレンス光を発する光源である。ここで、光源1から射出された光(光束)は、光ファイバ32を介して光分岐部33に伝搬される。なお、光分岐部33はファイバカプラ等で構成される。参照アーム1002は、参照光学系として機能し、コリメータレンズ12と参照ミラー13とを具備する。参照アーム1002には、光分岐部33により光ファイバ39側に分岐された光(以下、参照光と称す)が入射され、その光路上に上述した構成が設けられている。参照ミラー13は、駆動部13aによる駆動力を受けて光軸方向に沿って移動する。これにより、眼軸長が異なる被検眼に対しても、参照光の光路長と後述する計測光の光路長とを一致させることができる。本実施形態では、光源1は3つの光源を持つものであり、光分岐部33並びに光ファイバ32、34、39及び14は、3つの光源に対応して、それぞれ3つ設けられている。
【0014】
サンプルアーム1001は、撮像光学系として機能し、ファイバ接続部35、イメージローテータ2、コリメータレンズ5及び光走査部6を備える。光分岐部33により光ファイバ34側に分岐された光(以下、計測光と称す)は、ファイバ接続部35において、図2(a)に示すように光ファイバ34の各々に対応して35a、35b、35cの配列で入射される。その光路上には、計測光の配列の角度を変更するためのイメージローテータ2が配置される。不図示の駆動装置によりイメージローテータ2が光路上で回転されることにより、計測光が回転され、計測光の配列の角度が変更される。
【0015】
光走査部6には、コリメータレンズ5を介して計測光が入射される。なお、光走査部6は、タンデムに配置されたX方向及びY方向に計測光を走査させるガルバノミラーで構成される。計測光は、サンプルアーム1001の光走査部6からコリメータレンズ7a及び接眼レンズ7bを介して被検眼8の眼底8rに対して走査される。なお、コリメータレンズ7aと接眼レンズ7bとの間の計測光は、平行に照射される。
【0016】
分光器1003は、ファイバ接続部15、コリメータレンズ16、分光部17、結像レンズ18及び撮像部19を備える。分光器1003には、光分岐部33から計測光(戻り光)と参照光(反射光)との合波が入射され、その光路上に上述した構成が設けられる。分光部17は、光を回折により分光する機能を果たし、例えば、光の波長に近い寸法の回折格子(グレーティング、プリズム等)が等間隔に複数配置されている。
【0017】
撮像部19は、ラインセンサ(アレイ状に並んだ撮像素子(CMOS、CCD等))で構成される。撮像部19は、ラインセンサ上に各光源1に対する検出領域19a、19b及び19cを有し、入射した光の信号を別々に検出する。そして撮像部19は、波長毎の強度に対応した信号を生成し、当該信号を制御部23に向けて出力する。
【0018】
ここで、眼底8rからの戻り光と参照ミラー13からの反射光との合波光は、位相差を有する。この位相差は、光分岐部33から眼底8rまでの光路長と、光分岐部33から参照ミラー13までの光路長との差に起因して生じる。そして、この位相差が波長により異なるため、検出領域19a〜c上に現れる分光強度分布には干渉縞が生じる。この強度分布(干渉縞)の周期を求めることにより、反射物体の位置に対応した明るさを求めることができる。
【0019】
制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUがROMからプログラムをRAMにロードして実行することにより、制御部23はOCT装置における各部の動作を制御する。即ち、制御部23は、例えばイメージローテータ2、光走査部6、駆動部13a及び撮像部19等の制御を行う。また制御部23は、CPUがROMに格納されるプログラムを実行することにより、画像生成部231及び表示制御部232の機能を実現する。画像生成部231は、撮像部19により検出された信号を解析又は演算し、被検査物である眼底8rの断層画像を生成する機能である。また、表示制御部232は、画像生成部231により生成された眼底の断層画像を表示部24に表示させる機能である。計測光の走査の仕方は、撮像目的に応じて異なってくるが、例えば、計測光を1次方向に走査させることによりBスキャン像を取得することができる。タンデムスキャンでは、イメージローテータ2で計測光の配列方向を光走査部6で走査する方向と一致させると、高SN比なBスキャン像を得ることができる。なお、イメージローテータ2は、配列調整手段の例となる構成である。
【0020】
コリメータレンズ7aと接眼レンズ7bとの間のミラー9は、計測光路上と計測光路に干渉しない位置とに駆動可能である。眼底8rに対して計測光を走査させるときにはミラー9は計測光路に干渉しない位置に駆動される。受光部10は、計測光を検出するものであり、一次元CCDラインセンサや2次元CCD等で構成される。受光部10は、ミラー9が計測光路上に配置されることにより、計測光を検出することができる。
【0021】
制御部23は、ミラー9及び受光部10等も制御する。制御部23は、受光部10で検出された信号を受け、計測光の照射位置を演算し、イメージローテータ2と光走査部6と計測光との位置関係を算出する。なお、計測光の配列状態を計測する際には、ミラー9は計測光路上に配置される。光源1から照射された光は、サンプルアーム1001を通り、ミラー9を介して計測光として受光部10に照射される。
【0022】
図3は、受光部10と各計測光との位置関係を示す図である。なお、図3の例では、一次元CCDラインセンサ(以下、単にラインセンサと称す)を受光部10として用いている。図3において、直線部Lはラインセンサであり、直線上に配置されたP1、P2及びP3は計測光である。ここではラインセンサLの長手方向をラインセンサLのY軸とし、その垂直方向をラインセンサLのX軸とする。OCT装置が立ち上がって各機器の初期駆動が終了し、ミラー9が計測光路上にあり、受光部10に計測光が照射されるとき、図3に示すように、設計上はラインセンサLの中心と計測光の配列の中心とが一致しているものとする。
【0023】
光走査部6の位置は、ラインセンサLに対して計測光がある位置となる。例えば、各誤差を含まない設計上において、中央の計測光P2がラインセンサL上のマイナス座標側を照射する場合、光走査部6の位置もマイナス座標側の位置となる。なお、スケールはラインセンサLと同じとする。
【0024】
また、イメージローテータ2は通常半回転すると、通過する光は回転するが、説明の便宜上、光の回転量をイメージローテータ2の回転量としている。また、計測光の配列をラインセンサLに対して水平になるようにしたときのイメージローテータ2の角度を0°とし、反時計回りの方向をプラス方向とする。
【0025】
先ず、制御部23は、ラインセンサLに対する計測光の配列の関係を調べる。ここでは、配列の両端である計測光P1と計測光P3とを結ぶ直線の傾きを計測光の配列の傾きとする。イメージローテータ2の回転により計測光の配列の傾きは変化する。従って、制御部23は、イメージローテータ2が計測光の配列をラインセンサLに対して水平にしようとしている回転中心位置を基準として、計測光P1と計測光P3とを結ぶ直線の傾きを求める。
【0026】
図4は、ラインセンサLに対する計測光の配列の関係の求め方を説明するための図である。本実施形態において、制御部23は、イメージローテータ2が計測光の配列をラインセンサLに対して水平にしようとしたときの、計測光の配列の誤差とイメージローテータ2の回転中心位置とを求める。
【0027】
図4(a)に示すように、制御部23は、設計値上で計測光の配列がラインセンサLに対して水平になるような位置までイメージローテータ2を回転させ、ラインセンサL上から計測光P1と計測光P3との間隔の4分の1だけラインセンサLのX軸方向に光走査部6のX軸をずらす。ここで光走査部6のX軸をずらした量をXSとすると、光走査部6の位置はラインセンサLの座標系において(XS,0)となる。
【0028】
ここでのイメージローテータ2の回転量と光走査部6のX軸の移動量とは設計値によって決定すればよい。従って、ファイバ接続部35、光走査部6及びイメージローテータ2各々の取り付け誤差や、イメージローテータ2の回転方向の原点決め時の誤差等を考慮する必要はない。なお、光走査部6のX軸の移動量は、計算上及び説明上、都合のよい位置を選んでいるものであって、イメージローテータ2を回転させたとき、計測光P1及び計測光P3がラインセンサLを通過する位置であればよい。但し、計測光P1と計測光P3との間隔の2分の1近傍の移動量は精度上好ましくない。
【0029】
制御部23は、この状態でイメージローテータ2を回転させ、計測光P1のラインセンサLの通過点を2点求める。ここでは、計測光P1の中心がラインセンサL上を通過する点を、計測光P1が通過する点とする。例えば、計測光の口径が40μm、ラインセンサLの1ピクセルが5μm×5μm、光走査部6の移動最小量が1μmであるような場合、ラインセンサLの1ピクセルより光走査部6の分解能が高い。従って、計測光の光量が最大になる点を、計測光のラインセンサLの通過点として探せばよい。
【0030】
計測光がラインセンサL上を通過するときの計測光の中心位置の求め方の一つとしては、図4(b)に示すように、制御部23は、ラインセンサLが計測光を検出するまでイメージローテータ2を回転させる。ラインセンサLが計測光を検出すると、制御部23は、そこでイメージローテータ2を停止させ、イメージローテータ2の角度を記憶させる。次に制御部23は、光走査部6のX軸をその前後で移動させ、計測光を受光しているピクセルの光量の総和とX軸の各位置とからX軸の重心位置XSCを求める。次に制御部23は、X軸の重心位置XSCに光走査部6のX軸を移動させ、ラインセンサLが受光した各ピクセルの光量の重心位置YCを計測光のY軸の中心位置として求める。以上により、計測光がラインセンサL上を通過するときの計測光の中心位置(XS−XSC,YC)が求められる。制御部23は、このように計測光のラインセンサL上の通過点(XS−XSC,YC)を求めた後、光走査部6のX軸をXSの位置に戻す。以下、計測光がラインセンサLを通過するときの計測光の中心位置の求め方は同様である。
【0031】
次に、図4(c)に示すように、制御部23は、計測光P1の中心がラインセンサL上を2回通過した分の、計測光P1の中心がラインセンサL上を通過したときのイメージローテータ2の角度θ1、θ2と、計測光P1がラインセンサL上を通過するときの計測光P1の中心位置(x1,y1)、(x2,y2)とに基づいて、光走査部6のX軸をXS移動させた状態におけるイメージローテータ2の回転中心位置rcsと、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの計測光P1の位置とを求める。なお、(x1,y1)=(XS−XSC,YC)である。同様に、制御部23は、計測光P3の中心がラインセンサL上を2回通過した分の、計測光P3の中心がラインセンサL上を通過するときのイメージローテータ2の角度と、計測光P3がラインセンサL上を通過するときの計測光P3の中心位置とに基づいて、光走査部6のX軸をXS移動させた状態におけるイメージローテータ2の回転中心位置rcsと、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの計測光P3の位置とを求める。
【0032】
ここで、イメージローテータ2の回転中心位置rcsを用いてラインセンサLに対して計測光の配列を水平にし、且つ、光走査部6のX軸をXS移動させたときの計測光P1及びP3の位置をそれぞれ、P1a(P1ax,P1ay)、P3a(P3ax,P3ay)とする。なお、P1aとP3aとを結ぶ直線の傾きは、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの、ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きθlとなる。即ち、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときのイメージローテータ2の角度を0度とすると、この傾きは、ラインセンサLに対するイメージローテータ2の傾きと同じことを示す。
【0033】
次に、図5を参照しながら、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きと、各計測光間の位置関係と、その位置関係を考慮してイメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの、ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きとの求め方について説明する。
【0034】
先ず、図5(a)に示すように、制御部23は、イメージローテータ2を回転させ、計測光P1及びP3の配列がラインセンサLに対して垂直になるようにする。即ち、制御部23は、90°から上記θlを差し引いた角度だけイメージローテータ2を回転させることにより、計測光P1及びP3の配列がラインセンサLに対して垂直になるようにする。このときのイメージローテータ2の駆動残差角度α(ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対して不足したイメージローテータ2の回転角度)は、計測光P1及びP3の配列に対するラインセンサLの垂直方向(X軸)の傾きとなる。
【0035】
図5(b)に示すように、制御部23は、計測光P1とP3との間上にラインセンサLがない位置まで光走査部6のX軸を移動させる。ここで制御部23は、ラインセンサLの方向に光走査部6のX軸を移動させる。そして制御部23は、計測光P3の中心及び計測光P1の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサL上の位置P3by及びP1byと、そのときの光走査部6のX軸の位置P3bx及びP1bxとから、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きθxを求める。なお、イメージローテータ2の駆動残差角度αは微小であるため、θxは次の式によって求められる。
sin(θx)=((P1by−P3by)÷(P1bx−P3bx))−sinα
【0036】
制御部23は、光走査部6をX軸側にスキャンして、計測光の中心がラインセンサL上を通る位置を求める際、光走査部6のX軸の各位置で受光したピクセルの総和の受光量を記憶する。次に制御部23は、当該総和の受光量に対する重心位置を求め、これを光走査部6のX軸側における計測光の中心位置とする。なお、当該中心位置はラインセンサL上であるのでラインセンサLのX軸の位置は0である。また、この位置でラインセンサLが受光した各ピクセルの光量の重心位置を計測光のY軸の中心位置とすればよい。
【0037】
計測光P1、P2及びP3の間の位置関係は、計測光P1の中心、計測光P2の中心及び計測光P3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサLの座標上の位置P1b(0,P1by)、P2b(0,P2by)及びP3b(0,P3by)と、そのときの光走査部6のX軸の位置P1bx、P2bx及びP3bxと、ラインセンサLに対する光走査部6のX軸の傾きθxとにより求まる。ところで、イメージローテータ2の駆動残差角度αは微小である。従って、図5(c)に示すように、光走査部6のX軸及びY軸を位置0としてイメージローテータ2が駆動残差角度α分駆動されたと仮定したとき(このときのイメージローテータ2の回転角度は90°−θl)の計測光P1、P2及びP3の各位置P1B、P2B及びP3Bは、次の式によって求められる。
P1B=P1b+(−P1bx×cosθx,P1bx×(sinα+sinθx))
P2B=P2b+(−P2bx×cosθx,P2bx×(sinα+sinθx))
P3B=P3b+(−P3bx×cosθx,P3bx×(sinα+sinθx))
【0038】
図5(d)は、イメージローテータ2の回転角度が0°であり、光走査部6のX軸及びY軸が0位置にあるときのラインセンサLと計測光との位置関係と、そのときの計測光の配列の傾きとの求め方を示している。ここでのイメージローテータ2の回転中心位置は、光走査部6のX軸及びY軸の0位置としている。また、上述したように光走査部6のX軸を、ラインセンサLのX軸方向にXS移動させたときの回転中心位置はrcsである。従って、光走査部6のX軸及びY軸が0位置にあるときのイメージローテータ2の回転中心位置RCは、次の式によって求められる。
RC=rcs−(XS×cosθx,XS×sinθx)
【0039】
次に制御部23は、イメージローテータ2の角度を0°に戻す。即ち、制御部23は図5(c)に示す位置からイメージローテータ2をθl−90°回転させる。そのときの計測光P1、P2及びP3の位置P1A、P2A及びP3Aは、次の式によって求められる。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、制御部23は、位置P1A、P2A及びP3Aの近傍を通る直線を最小自乗法等で求める。そのラインセンサLのY軸に対する傾きは、イメージローテータ2を回転させることによってラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの、ラインセンサLに対する計測光全体の配列の傾きθLとして求められる。
【0042】
図6は、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きと、各計測光間の位置関係との求め方を説明するための図であり、図5とは異なる方法を示している。
【0043】
図6(a)に示すように、制御部23は、ラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの位置にイメージローテータ2を回転させる。そして制御部23は、ラインセンサLから計測光P1と計測光P3との間隔の4分の1、即ちXSだけX軸方向へずらした位置に光走査部6のX軸を移動させる。このときイメージローテータ2を回転、光走査部6を駆動させるときには設計値により駆動量を決めればよい。ファイバ接続部35、光走査部6及びイメージローテータ2各々の取り付け誤差、イメージローテータ2の回転方向の原点決め時の誤差を考慮する必要はない。即ち、このときの計測光P1の位置及び計測光P3の位置は、上述した処理で求めたP1a、P3aとなる。
【0044】
制御部23は、ラインセンサLの方向に光走査部6のX軸を移動させる。位置P1aと、計測光P1の中心がラインセンサLを通過したときの位置P1c(0,p1cy)とを結ぶ直線の傾きが、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きにとして求められる。そのほか、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きは、位置P3aと、計測光P3の中心がラインセンサLを通過したときの位置P3cとを結ぶ直線の傾きを求めることによって得てもよい。また、この位置P3aと位置P3cとを結ぶ直線の傾きと、上述した位置P1aと位置P1cとを結ぶ直線の傾きとの平均を求めることによって得てもよい。なお、図6(a)において、このラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きの角度は、図5(b)と同様にθxで表記してある。
【0045】
計測光P1、P2及びP3の位置関係は、図6(b)に示すように、計測光P1、P2及びP3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサL上の位置P1c(0,P1cy)、P2c(0,P2cy)及びP3c(0,P3cy)と、そのときの光走査部6のX軸の位置P1cx、P2cx及びP3cxとによって求められる。光走査部6のX軸の位置0としたときの計測光P1、P2及びP3の各位置P1A、P2A及びP3Aは、次の式によって求められる。
P1A=P1c−(P1cx×cosθx,P1cx×sinθx)
P2A=P2c−(P2cx×cosθx,P2cx×sinθx)
P3A=P3c−(P3cx×cosθx,P3cx×sinθx)
【0046】
図6(c)に示すように、制御部23は、各位置P1A、P2A及びP3Aを通る直線を最小自乗法等で求める。その直線のラインセンサLのY軸に対する傾きが、ラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときのラインセンサLに対する計測光の配列全体の傾きθLとして求められる。
【0047】
次に制御部23は、ラインセンサLに対する光走査部6のY軸の傾きを求める。図7は、ラインセンサLに対する光走査部6のY軸の傾きの求め方を説明するための図である。制御部23は、光走査部6のX軸を0位置にして計測光P2がラインセンサLの上部の近傍になる位置に光走査部6のY軸を移動させる。そして制御部23は、光走査部6のX軸を移動させ、計測光P2の中心がラインセンサLを通過する点を模索する。制御部23は、計測光P2の中心がラインセンサLを通過したときの光走査部6のX軸の位置P2ulxとそのときのラインセンサL上の計測光の位置P2ulyとから、光走査部6のX軸が0位置にあったときの計測光P2の位置Pu1を求める。ここでPu1は次の式によって求められる。なお、θxは、ラインセンサLに対する光走査部6のX軸のずれである。
Pu1=(−P2ulx×cosθx,P2uly×sinθx)
【0048】
次に制御部23は、光走査部6のX軸を0位置にして計測光P2がラインセンサLの下部の近傍になる位置に光走査部6のY軸を移動させる。そして制御部23は、光走査部6のX軸を移動させ、計測光P2の中心がラインセンサLを通過する点を模索する。制御部23は、計測光P2の中心がラインセンサLを通過したときの光走査部6のX軸の位置P2dlxとそのときのラインセンサL上の計測光の位置P2dlyとから、光走査部6のX軸が0位置にあったときの計測光P2の位置Pd1を求める。ここでPd1は次の式によって求められる。なお、θxは、ラインセンサLに対する光走査部6のX軸のずれである。
P2d=(−P2dlx×cosθx,P2dly×sinθx)
位置Pu1と位置Pd1とを結ぶ直線の傾きは、ラインセンサLに対する光走査部6のY軸の傾き角度θyとして求まる。
【0049】
なお、光走査部6のX軸とY軸との垂直度は誤差が微小であり、このX軸に対する垂直度がずれることが構造的にないのであれば、θx=θyとして本計測を省いてもよい。
【0050】
本実施形態では、受光部10を一次元CCDラインセンサLで構成しているが、2次元CCDで構成してもよく、2次元CCDに基準軸を設けて光走査部6を移動させ、各軸の角度誤差を計測し、各軸の補正量を求めてもよい。2次元CCDを用いた場合、イメージローテータ2等の計測光の配列の変更機構を駆動しなくとも、計測光の配列の傾きに対する光走査部6の軸の傾きを求めることができる。2次元CCDを用いて各計測光の中心位置を求めるには、計測光を受光したCCDの各ピクセルの光量の重心位置を求めればよい。
【0051】
以上のように、本実施形態においては、計測光を受光する受光部10の位置を基準として、イメージローテータ2の回転中心位置のずれと、イメージローテータ2の位置に対する計測光の位置と、その位置から求まる計測光の配列の角度と、光走査部6の各軸の角度との位置関係を求めることが可能となる。求まった角度及び位置が設計値と異なる場合には、イメージローテータ2により計測光の配列の角度を補正することができる。またそれとともに、光走査部6によりイメージローテータ2の回転中心位置と計測光の配列の中心位置とを補正することができ、計測光を設計値の位置に近づけることが可能になる。
【0052】
なお、上記計測位置は受光部10の座標を基準としている。ミラー9が計測光路上になく、計測光が接眼レンズ7b上に照射される位置と、ミラー9が計測光路上にあり、受光部10に計測光が照射される位置とに対する関係を定義し、受光部10の座標系を接眼レンズ7bの座標系と合わせる。これにより、上記計測位置を眼底8r上の座標上の位置に補正することができる。
【0053】
図8は、タンデムスキャン時における計測光の配列方向での光走査部6の補正方法を説明するための図である。タンデムスキャン時において、光走査部6を計測光の配列方向に走査させることにより、走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが必要である。例えば図8(a)に示すように、制御部23は、垂直にタンデムスキャンを行おうとすると、イメージローテータ2を−θL移動させる。ここで、イメージローテータ2の駆動分解能により−θLに対して駆動残差角度θdが生じた場合、計測光の配列自体がラインセンサLに対してθd傾いていることになる。なお、駆動残差角度θdが生じた状態とは、イメージローテータ2を−θLだけ移動させようとしたが、実際には−θL−θdだけしか移動しなかった状態である。従って、光走査部6がこのθdに水平になるように計測光をスキャンすると、よりSN比のよいタンデムスキャンを行うことができる。即ち、θy−θdは、計測光の配列方向に対する光走査部6のY軸の角度であり、θx−θdは、計測光の配列方向の垂直方向に対する光走査部6のX軸の角度である。従って、図8(a)に示すように、計測光の進行方向がY軸のプラス側である場合、配列方向θdの角度に合わせて計測光を距離l進めるためには、光走査部6のX軸及びY軸における距離に対して下記補正係数をかけた値だけ光走査部6を駆動させればよい。計測光の進行方向がY軸のマイナス側である場合、光走査部6を駆動させる値はマイナスの値をとる。また、このときX軸の補正係数は、θy−θdがマイナスの値になった場合、下記X軸の補正係数に−1をかけた値がX軸の補正係数となる。
【0054】
【数2】
【0055】
光走査部6の各軸の走査量を補正すると、光走査部6の走査方向に対する各計測光の幅を小さくすることが可能となる。このθdは、ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きである。従って、例えば図8(b)に示すように、ラインセンサLに対して角度θT傾けた角度でタンデムスキャンを行いたい場合、制御部23は、イメージローテータ2をθT−θL移動させる。そのときの駆動残差角度をθDとし、θdをラインセンサLに対する計測光の傾きとすると、次の式のように表され、計測光を1進めるための光走査部6の軸の補正量は、上記補正式を適応することが可能になる。
θd=θT−θL−θD
【0056】
なお、上記補正式は、θTが±45°内にない場合、ラインセンサLに対して垂直方向を基準としてθdを計算し、上記補正式のX軸とY軸とを入れ替えて補正係数を求めればよい。図8(c)に示すように、計測光の進行方向がX軸のプラス側である場合、配列方向θdの角度に合わせ、計測光を距離l進めるためには、光走査部6へX軸とY軸との駆動軸に距離に対して下記補正係数をかけた値を駆動すればよい。進行方向がX軸のマイナス側であれば、距離はマイナス側の値をとる。また、このときX軸の補正係数は、θx−θdがプラスの値になった場合、下記Y軸の補正係数に−1をかけた値がY軸の補正係数となる。
【0057】
【数3】
【0058】
本実施形態では、ラインセンサLをY軸の基準として、計測光の配列と、光走査部6の各軸の傾きの誤差角度とを計測し、各駆動物の補正量を求めている。但し、光走査部6のX軸、Y軸又はイメージローテータ2の基準位置に対する計測光の配列の角度のどれかを基準として、当該基準に対する角度の誤差を計測し、各駆動部の補正量を求めてもよい。
【0059】
以上のように、受光部10が計測光を検出したときの計測光の位置及び光量と、イメージローテータ2の位置と、光走査部6との位置とに基づいて、計測光の位置と、計測光の配列の角度と、光走査部6の走査角度との位置関係が求められる。
【0060】
上記位置関係から、計測光の配列に走査部6の走査方向を合わせることが可能になるため、組立時の調整に厳密な調整を行う必要がなく、計時変化や衝撃によるずれが発生しても、計測光の配列に対する光走査部の走査方向を補正することができる。従って、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能となる。また、各計測光の位置関係を計測することができることにより、各計測光の設計値からずれているかがわかるので、ずれ分画像をずらすことで各光源が測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することが可能になる。これにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係るOCT装置の構成を示す図である。ここでは、本実施形態に係るOCT装置として、フーリエドメイン方式の光干渉断層法を用いた撮像装置を例に挙げるものとする。第1の実施形態との違いは、ファイバ接続部35と光走査部6との間に計測光の角度を変更させるイメージローテータ2が存在しないことである。臨床現場においては、目に対して水平方向の断層像をとる場合が多いので、ここでは、ファイバ接続部35の計測光の配列は、水平で光ファイバ34の各光源に対して図2(a)に示す配列(35a、35b、35c)で固定されている。
【0062】
本実施形態においては、計測光の配列状態を計測するため、ミラー9を計測光路上に配置する。光源1から照射された光はサンプルアーム1001を通り、ミラー9を介して計測光として受光部10に照射される。図11は、受光部10と各計測光の位置を示す図である。本実施形態では、受光部10を一次元ラインセンサで構成した例について説明する。図11において、直線部Lはラインセンサであり、P1、P2及びP3は計測光である。ここでは、ラインセンサLをラインセンサ座標のY基準軸として取り扱う。装置が立ち上がり、各機器の初期駆動が終了し、ミラー9が計測光路上にあり、受光部10に計測光が照射されるとき、図11に示すように、設計上はラインセンサLの中心と計測光の配列の中心とが一致しているものとする。
【0063】
光走査部6の位置は、ラインセンサLに対して計測光がある位置、即ち、各誤差を含まない設計上での計測光がラインセンサL上のマイナス座標側を照射するときの光走査部6の位置はマイナス位置である。なお、スケールはラインセンサLと同じとする。
【0064】
本実施形態では、計測光の配列を変更することができない。従って、計測光P1、P2及びP3の配列と光走査部6のX軸の傾き角度θxとを求め、計測光の配列の傾きに光走査部6を補正することにより、計測光の配列の傾きに光走査部6の走査方向を合わせるようにする。
【0065】
図12は、計測光の配列に対する光走査部のXの傾きの求め方を説明するための図である。制御部23は、光走査部6のX軸を駆動し、計測光P1、P2及びP3間上にラインセンサLがない位置まで移動させる。図12(a)に示すように、制御部23は、ラインセンサL方向に光走査部6のX軸を駆動させる。そして制御部23は、計測光P1、P2及びP3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサ上の位置P1b、P2b及びP3bと、そのときの光走査部6のX軸の位置P1bx、P2bx及びP3bxとを求める。
【0066】
光走査部6でX軸側にスキャンをして計測光の中心がラインセンサL上を通る位置を求めるときは、スキャンして光走査部6のX軸の各位置で受光したピクセルの総和の受光量を覚えておく。そして、受光量に対する重心位置を求め、これをX側の計測光の中心位置(ラインセンサL上であるのでラインセンサ座標上のXの位置は0)とし、この位置でラインセンサLが受光した各ピクセルの光量の重心位置を計測光のY軸の中心位置とすればよい。ここで、P1b=(0,P1by);P2b=(0,P2by);P3b=(0,P3by);とし、計測光として離れているP1とP3とを取り上げて、計測光P1及びP3の配列に対する光走査部6のX軸の傾きとして角度θx1を求める。
tan(θx1)=(P3by−P1by)÷(P3bx−P1bx)
【0067】
しかし、光走査部6が傾いていること等により、このθxqが10°近傍と大きな値であった場合、cos誤差でも誤差が大きくなる。従って、例えば計測光P1とP3との距離が2mmであるとき、このθx1の角度で補正すると、約5um程、計測光の中心が補正された走査軸に対し幅を持つことになる。求める精度にもよるが、求まった角度θx1が大きい場合、図12(b)に示すように、光走査部6を角度θx1で補正した状態、即ち、光走査部6の走査方向を−θx1傾けて計測光の配列に近付けて再度、計測光P1及びP3に対する光走査部6の走査方向の傾きθx2を求めれば、十分な精度を得ることができる。ここで補正のための光走査部6の補正量の計算に使用する計測光の配列に対するY軸の傾きは、走査方向がX軸近傍であり、Y軸傾きによる補正量の差が少ないため、0°でもよい。但し、θx1とした方が現実的なので、θx1として計算する。なお、後述の補正係数は、配列方向θx1の角度に合わせて計測光を進めるときの光走査部6のX軸及びY軸の駆動軸に対する補正係数であり、距離と後述の補正係数とをかけた値を計測光が距離l移動するときのX軸及びY軸の各軸の駆動量とすればよい。計測光の進行方向がX軸のプラス側であれば、距離はプラスの値をとり、進行方向がX軸のマイナス側であれば、距離はマイナスの値をとる。また、このときY軸の補正係数は、θx1がプラスの値になった場合、上記Y軸の係数に−1をかけた値となる。
【0068】
【数4】
【0069】
即ち、制御部23は、この状態で再度光走査部6のX軸を駆動し、計測光P1、P2及びP3間上にラインセンサLがない位置まで移動させる。図12(b)に示すように、制御部23は、ラインセンサL方向に上記光走査部6をθx1の角度で補正した状態で光走査部6をX方向に駆動させる。そして制御部23は、計測光P1、P2及びP3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサL上の位置P1b、P2b及びP3bと、そのときの光走査部6のX軸の位置P1bx、P2bx及びP3bxとから、角度θx1で補正された走査軸の角度θx2を求める。角度θx1を求めたときと同様に、P1b=(0,P1by);P2b=(0,P2by);P3b=(0,P3by);とすると、角度θx2は次の式により求められる。
【0070】
【数5】
【0071】
光走査部6の位置が0のときの計測光P1、P2及びP3の位置P1B、P2B及びP3Bは、次の式により求められる。
【0072】
【数6】
【0073】
この位置P1B、P2B及びP3Bの近傍を通る直線を最小自乗法等で求めると、この直線の傾きの角度θx3が求まる。これにより、計測光の配列に対する光走査部6のX軸と傾きの角度θxは、次の式により求められる。
θx=θx1+θx2−θx3
【0074】
なお、本実施形態では、受光部10を一次元ラインセンサLで構成しているが、2次元CCDで構成してもよく、2次元CCDに基準軸を設けてX軸の角度誤差を計測し、各駆動軸の補正量を求めればよい。このとき、各計測光の中心位置を求めるには、求める計測光から受光した2次元CCDの各ピクセルの光量の重心位置を求めればよい。
【0075】
また、受光部10を2次元CCDで構成した場合、光走査部6を各軸単一に駆動し、そのときの光走査部の位置と受光部10が計測した計測光の位置とにより、受光部10に対する光走査部6のX軸の傾き及びY軸の傾きも求まる。
【0076】
以上のように、計測光を受光する受光部10の位置を基準とすることにより、光走査部6の走査方向に対する計測光の配列の位置と、その位置から求まる計測光の配列の光走査部6に対する角度とを求めることが可能となる。求まった位置が設計値と異なる場合には、光走査部6により計測光の配列の中心位置を補正でき、計測光を設計値の位置に近づけることが可能になる。
【0077】
なお、上記計測位置は、受光部10の座標を基準としているが、ミラー9が計測光路上になく、計測光が接眼レンズ7b上に照射される位置と、ミラー9が計測光路上にあり、計測光が受光部10に照射される位置とに対する関係を定義する。これにより、受光部10の位置の座標系を接眼レンズ7bの座標系と合わせ、眼底8r上の座標として位置の補正を行うことができる。
【0078】
タンデムスキャンにおいて、光走査系の走査方向に対して各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが必要である。そのためには、計測光の配列の傾きに対して光走査系で走査方向を合わせることにより、走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能になる。即ち、求まった計測光の配列に対する光走査部6のX軸と傾きの角度θxを用い、光走査部6を次の式で補正することにより、計測光の配列に対して光走査部6の走査方向を合わすことができる。従って、光走査系の走査方向に対して各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることができる。
【0079】
【数7】
【0080】
なお、この補正係数は、配列方向θxの角度に合わせて計測光を進めるときの光走査部6のX軸及びY軸の駆動軸に対する補正係数であり、距離と上記記補正係数をかけた値を計測光が距離l移動するときのX軸及びY軸の各軸の駆動量とすればよい。計測光の進行方向がX軸のプラス側である場合、距離はプラスの値をとり、進行方向がX軸のマイナス側であれば、距離はマイナスの値をとる。また、このときY軸の補正係数は、θxがプラスの値になった場合、上記Y軸の係数に−1をかけた値となる。
【0081】
以上のように、受光部10が計測光を検出したときの計測光の位置及び光量と、光走査部6の位置とにより、計測光の位置と、計測光の配列の角度と、光走査部6の走査角度との位置関係が求められる。
【0082】
上記位置関係から、計測光の配列に走査部6の走査方向を合わせることが可能になるため、組立時の調整に厳密な調整を行う必要がなく、計時変化や衝撃によるずれが発生しても、計測光の配列に対する光走査部6の走査方向を補正することができる。従って、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能になる。また、各計測光の位置関係を計測することにより、各計測光の設計値からずれている分がわかるので、ずれ分画像をずらすことで各光源が測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することが可能になる。これにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。
【0083】
本実施形態では、ラインセンサLをY軸の基準として、計測光の配列に対する光走査部6の各軸の傾きの誤差を計測し、各駆動物の補正量を求めている。但し、他の実施形態として、光走査部のX軸、Y軸、又は計測光の配列の角度のどれかを基準として、当該基準に対する角度と位置との誤差を計測し、各駆動部の補正量を求めてもよい。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図13は、本発明の第3の実施形態に係るOCT装置の構成を示す図である。本実施形態においては、フーリエドメイン方式の光干渉断層法を用いた撮像装置を例に挙げる。第1の実施形態と第3の実施形態との違いは、受光部10の代わりに検出体11を眼底と光学的に等価な所とに設けていることにある。
【0085】
検出体11には、ミラー9が計測光路上に配置されることにより、接眼レンズ7cに計測光が照射され、検出体底部11rの断層像を計測することが可能になる。この検出体11は、図14に示すような計測光を照射する位置によって検出される断層厚さが異なる帯を持つ。ここでファイバ接続部35の計測光の配列は、水平で光ファイバ34の各光源に対して図2(a)の35a、35b及び35cに示すように固定されているものとする。
【0086】
第3の実施形態においては、計測光の配列状態を計測するために、ミラー9は計測光路上に配置される。光源1から照射された光はサンプルアーム1001を通り、ミラー9を介して計測光として検出体11に照射される。照射された計測光は、戻り光として参照光と合波されて分光器1003に入射され、断層像を取得することが可能になる。
【0087】
図14は、検出体11を示す図である。図14に示すように、検出体11は人眼に似せたものであり、水晶体の代わりにレンズ11aを持つ。計測光は、レンズ11aを介して、眼底部8rと光学的に同等なところにある検出体底部11rとに結像し、戻り光として分光器1003へ向かう。光走査部6は、レンズ11aの中心をピポットとして検出体底部11rを走査する。検出体底部11rは、ピポット部を中心とした球面を走査範囲において描いている。これにより、走査角度と検出体底部11rの座標とが比例関係になり、計測光の入射位置の誤差による位置のずれも小さくなる。
【0088】
また、図14に示すように、検出体底部11rには中央に断層像が検出される帯があり、この断層像の厚さは、帯の垂直方向に対して変化し、その断層像の厚さによって帯の垂直方向の位置を判断することができる。検出部11は、直交する2つの帯11v及び11fを十字にしたものであり、横に伸びた帯11fの中央は、縦に伸びた帯11vを横切る形になっており、中央の重なった部分は縦方向に断層像の厚さが変化しているものである。座標上縦の帯11vはY軸の基準としており、この断層像は帯に垂直な方、即ちX軸方向に計測光が照射する位置が変化すると計測される断層像の厚さが異なり、厚さによって照射されたX方向の位置が一意に求まるものである。横の帯11fにおいては、Y方向に対して計測光が照射する位置によって断層像の厚さが変わり、厚さに対してX方向の位置が一意に求まるものである。よって、厚さ横の帯11fは、厚さtに対してY方向の位置Pyが次のように求められる。
Py=fy(t)
また、縦の帯11vは、厚さtに対してX方向の位置Pxが次のように求められる。
Px=fx(t)
【0089】
本実施形態では、検出体に帯状の形状を使用している。これは、少量の計測光の位置の変化により計測する断層像の厚さの差を多くとることが可能であり、位置の分解能を上げることができる。
【0090】
また、本実施形態では、検出体底部11rはピポットを中心とした球面としているが、平面や眼球のように球状でピポットが水晶体の位置でもよく、その場合は走査角度に対する検出体底部11rの位置を補正すればよい。
【0091】
図14において、P1、P2、P3は計測光である。装置が立ち上がり各機器の初期駆動が終了し、ミラー9が計測光路上にあり、検出体11に計測光が照射される場合、図14に示すように、設計上は帯11v、11fの中心と計測光の配列の中心とが一致しているものとする。光走査部6の位置は、検出体底部11rに対して中央の計測光がある位置、即ち、各誤差を含まない設計上で中央の計測光が座標上のマイナス座標側を照射するときの光走査部6の位置は、マイナス位置としている。
【0092】
また、本実施形態におけるイメージローテータ2は、通常半回転すると通過する光は回転するが、説明の便宜上、光の回転量をイメージローテータ2の回転量としている。イメージローテータ2は、計測光を横の帯11fに対して水平になるようにしたときの角度を0°とし、反時計回りの方句をプラス方向とする。
【0093】
先ず、制御部23は、イメージローテータ2を0°の位置、即ち、計測光が設計上横の帯11fに対し水平にし、横の帯11fと光走査部6のX軸の走査方向との傾きと、計測光の配列の方向と光走査部6のX軸との傾きの概算を求める。
【0094】
図15は、検出体の横の帯11fと計測光の配列と光走査部6の傾きとの求め方について説明するための図である。イメージローテータ2は0°の位置とする。図15(a)に示すように、光走査部6のX軸及びY軸を中央に固定して横の帯11fに計測光を照射する。制御部23は、計測光P1及びP3の断層像を計測し、断層像の厚さから計測光P1及びP3のY方向の位置P1ay及びP3ayを求める。ここで、計測光P1、P3の設計値上の位置を(p1ax,0)、(p3ax,0)θとすると、横の帯11fと計測光P1及びP3の概算角度θ1は次の式で求められる。
sin(θ1)=(P1ay−P3ay)÷(p1ax−p3ax)
【0095】
横の帯11fと光走査部6のX軸との傾きは、光走査部6のX軸を駆動して求められる。図15(b)に示すように、制御部23は、上記状態のままで光走査部6のX軸を例えば(p3ax−p1ax)移動し、ここでの計測光P1の断層像を求め、断層像の厚さからこのときの13のY方向の位置P1byを求める。これにより、横の帯11fと光走査部6のX軸の傾きθxは、次の式によって求められる。
sin(θx)=(P1by−P1ay)÷(p3ax−p1ax)
また、計測光P1及びP3に対する光走査部6のX軸の走査方向の傾きの概算θ2は、次の式によって求められる。
θ2=θx−θ1
【0096】
次に、制御部23は、縦の帯11vと光走査部6のY軸の走査方向との傾きを求める。図16は、縦の帯11vと光走査部6のY軸の走査方向との傾きの求め方について説明するための図である。制御部23は、光走査部6のX軸を中央に固定して、光走査部6のY軸に計測光P2を使用し、PU、PD近傍の断層像を計測する。PUは縦の帯11fの上部、PDは縦の帯11vの下部に位置し、双方Y軸の中心にある。縦の帯11vも横の帯11fと同様に帯に垂直な方、即ち縦の帯11vにおいてはX方向に対して計測光が照射する位置によって断層像の厚さが変わり、厚さに対し一意に位置が求まるものである。
【0097】
PU、PD近傍での断層像の厚さから求まるX方句の位置をPux、Pdx、計測した時の光走査部6のY軸の位置をPuy、Pdyとすると、縦の帯11vに対する光走査部6のY軸の走査方向の角度θyは、次の式によって求められる。
Sin(θy)=(Pux−Pdx)÷(Puy−Pdy)
【0098】
次に、制御部23は、計測光P1、P2及びP3間の距離を求める。図9は、計測光P1、P2及びP3の距離の求め方を説明するための図である。制御部23は、光走査部6のY軸を中央からずらし、光走査部6のX軸を走査しても横の帯11fに計測光が照射されない位置で、光走査部6のX軸が走査して計測光縦の帯11vに計測光が照射される位置に移動させる。光走査部6の移動の際には、帯11f及び11vと走査部6との角度θx及びθyで補正して駆動される。そして制御部23は、計測光P1、P2及びP3が縦の帯11v上の位置、例えばPcの位置になるように光走査部6を駆動する。即ち、Pcの位置を(0,Pcy)、計測光P1、P2及びP3の設計値の位置をそれぞれ(p1ax,0)、(p2ax,0)、(p3ax,0)とすると、計測光P1がPc近傍の位置に照射するには光走査部6は検出体底部11rの座標系で(−p1ax,Pcy)の位置にある必要がある。これを光走査部6の座標系(X1,Y1)に変換すると、次の式のようになる。制御部23は、光走査部6をこの(X1,Y1)の位置に駆動する。
【0099】
【数8】
【0100】
制御部23は、この状態で計測光P1により断層像を計測し、求まった断層像の厚さtp1から縦の帯11v上のX方向の位置P1dxを求める。そして制御部23は、この状態から前述で求めた計測光の概略の傾きθ1の方向に光走査軸をp1ax−p2axだけ駆動する。即ち、制御部23は、計測光P2がPc上になるように駆動する。計測光P1で断層像を計測した状態から光走査部6を駆動することになる。ここで制御部23は、計測光P2により断層像を計測し、求まった断層の厚さtp2から縦の帯11v上のX方向の位置P2dxを求める。
【0101】
【数9】
【0102】
同様に、制御部23は、この状態から計測光P3をPcの位置に照射するように走査部6を計測光の概略の傾きθ1方向へp2ax−p3axだけ駆動する。そして制御部23は、計測光P3で断層像を計測し、求まった断層像の厚さtp3から縦の帯11v上のX方向の位置P3dxを求める。
【0103】
計測光P1及びP3を結ぶ方向の距離として、計測光P1及びP2間をp12xl、計測光P2及びP3間の距離をp23xl、計測光P1及びP3間の距離をp13xlとすると、次の式によって求められる。
P12xl=p2ax−p1ax−((p2dx−p1dx)÷cosθ1)
P23xl=p3ax−p2ax−((p3dx−p2dx)÷cosθ1)
P13xl=p3ax−p1ax−((p3dx−p1dx)÷cosθ1)
【0104】
図10は、計測光の配列の求め方を説明するための図である。光走査部6を中心にし、横の帯11fに計測光P1、P2及びP3を照射し、断層像を計測すると、計測光P1、P2及びP3が照射された位置の断層の厚さから求めた横の帯11fに対するX方向の位置P1ya、P2ya及びP3yaから、計測光P1、P2及びP3は、横の帯11fに対して次の位置関係を持ち、最少自乗法等で横の帯11fに対する計測光の配列の角度θfが求まる。
(−P12xl×cos(θ12),P1ya),(0,P2ya),(P23xl×cos(θ23),P3ya)
ここで、sin(θ12)=(P2ya−P1ya)÷P12xl、sin(θ23)=(P3ya−P2ya)÷P23xl
【0105】
これにより、X座標の基準となる横の帯11fに対する光走査部6のX軸の傾きθx、Y軸の基準となる縦の帯11vに対する光走査部6のY軸の傾きθy、X座標の基準となる横の帯11fに対するイメージローテータ2が横の帯11fに対し計測光の配列を水平にしようとしたときの計測光の配列の傾きθfが求まる。
【0106】
次に、イメージローテータ2の回転中心位置を求める。図11は、イメージローテータ2の回転中心位置の求め方について説明するための図である。制御部23は、光走査部6を中心位置にし、計測光P1を横の帯11f上にある位置になるようにイメージローテータ2を回転させる。ここで制御部23は、計測光P1で断層像を計測し、断層像の厚さから計測光P1の横の帯11f上のY方向の位置p1lyを求める。制御部23は、この状態からイメージローテータ2を180°回転させる。制御部23は、計測光P1にて横の帯11fの断層像を計測し、断層像の厚さから横の帯11f上のY方向の位置p1ryを求める。制御部23は、この状態から計測光P1が縦の帯11vの上部上になるようにイメージローテータ2を回転させる。制御部23は、計測光P1にて断層像を計測し、断層像の厚さから縦の帯11v上のX方向の位置p1uxを求める。制御部23は、この状態からイメージローテータ2を180°回転させる。制御部23は、計測光P1にて縦の帯11vの断層像を計測し、断層像の厚さから縦の帯11v上のx方向の位置p1dxを求める。イメージローテータ2の回転中心位置RCは、次の式によって求められる。
RC=((p1ux+p1dx)÷2,(p1ly+p1ry)÷2)
【0107】
本実施形態では、計測光の配列の傾きを変更する機構であるイメージローテータ2を備えている。但し、上記実施形態において、イメージローテータ2を駆動しているのは、最初に計測光の配列を水平にするときと、本イメージローテータ2の回転中心位置を求めるときのみである。よって、計測光の配列の角度を変更する機構が無く、計測光の配列を横の帯11fに固定している場合、イメージローテータ2の回転中心位置を求める工程を省けば計測光の配列の角度に対する光走査部6の走査軸の傾きを求めることができる。
【0108】
なお、上記計測位置は検出体底部11rの座標を基準としているが、ミラー9が計測光路上になく、計測光が接眼レンズ7b上に照射される位置と、ミラー9が計測光路上にあり、検出体底部11rに計測光が照射されている位置に対する関係を定義する。これにより、受光体底部11rの位置の座標系を接眼レンズ7bの座標系と合わせ、眼底8r上の座標として位置の補正を行うことができる。
【0109】
以上のように、計測光によって照射される位置により、検出される断層像の厚さが変化し、その断層像の厚さによって基準軸となる方向に対し位置が求まる検出体11を用いている。これにより、光走査部6の位置とそのときの計測された断層像の厚さに対応する検出体上の位置から、計測光の配列に対する走査部6の傾きを求めることができる。この傾きから計測光の配列に光走査部6の走査方向を合わせることが可能になるため、組立時の調整に厳密な調整を行う必要が無く、計時変化や衝撃によるずれが発生しても、計測光の配列に対する光走査部6の走査方向を補正することができる。従って、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能となる。また、各計測光の位置関係が計測できることにより、各計測光の設計値からずれている分がわかるので、ずれ分画像をずらすことで各計測光が測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することが可能になる。これらのことにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。
【0110】
(第4の実施形態)
次に、本発明による第4の実施形態について説明する。図13(b)は、本発明の第4の実施形態に係わるOCT装置の構成を示す図である。本実施形態においては、フーリエドメイン方式の光干渉断層法を用いた撮像装置を例に挙げる。第1の実施形態との違いはサンプルアーム1001に接続するファイバ接続部35の代わりに、計測光の位置を駆動可能なファイバ接続部36を設けていることである。図2(b)は本実施形態でのファイバ接続部36の構成を示す図であり、ファイバ接続部36をファイバ端から見た図である。36はサンプルアーム1001に固定される。計測光は光ファイバ34各々に対応するファイバ端35i、35j、35kの配列でサンプルアーム1001に入射される。ファイバ端35i、35j、35kの位置は、駆動部36a、36b、36cにより図2(b)における上下左右方向に位置の調整が可能で制御部23の指示により駆動する。なお、ファイバ端は、それぞれの位置関係を独立に3次元方向に変更できるように構成されても良い。
【0111】
第1の実施形態において、光走査部6、イメージローテータ2を駆動し、その時のラインセンサLに入射される計測光の位置により図5(d)、図6(c)で示すように、各計測光の位置P1A,P2A,P3Aが求められる。本実施形態においては、この各計測光の位置から駆動部36a、36b、36cを駆動しファイバ端35i、35j、35kの配列を設計上の位置へ計測光の位置を修正、又は直線状になるようにすることで、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅をより微小範囲に抑えることが可能になり、これらのことにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。本実施形態では3つの計測光を例としているので、36a、36b、36c全てが駆動可能の必要はなく、少なくとも一つ駆動可能であればよい。
【0112】
本実施形態は第1の実施形態のファイバ接続部35を計測光の配列位置を変更可能なファイバ接続部36へ変更したものであるが、第2第3の実施形態も同様で、ファイバ接続部35を計測光の配列位置を変更可能なファイバ接続部36へ変更することにより計測光の位置を修正することが可能になる。第2の実施形態では数6で求まる計測光の位置P1B、P2B、P3Bを元に駆動部36a、36b、36cを駆動し、ファイバ端35i、35j、35kの配列を設計上の位置へ計測光の位置を修正、又は直線状になるようにすることで、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅をより微小範囲に抑えることが可能になる。第3の実施形態では図10で求まる計測光の位置P1,P2,P3を元に駆動部36a、36b、36cを駆動し、ファイバ端35i、35j、35kの配列を設計上の位置へ計測光の位置を修正、又は直線状になるようにすることで、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅をより微小範囲に抑えることが可能になる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物の断層像を取得する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低コヒーレンス干渉計又は白色干渉計の技術を応用した光干渉断層撮像装置(OCT(オプティカルコヒーレンストモグラフィー)装置)が実用化されている。OCT装置は、医療分野、特に眼科領域において眼底網膜の断層像を得るために用いられている。OCT装置は、光の性質を利用するため、光の波長のオーダーであるマイクロメートル程度の高分解能で測定することができる。ここで、測定信号の高い信号対雑音比(以下、SN比と称す)を確保し、高画質の断層像を得るためには、被測定物の同一位置の断層像を複数回に分けて取得し、それらを位置合わせした後に平均化し、加算平均する。これにより、ランダムノイズを相対的に小さくすることができ、断層像のSN比を向上させている。しかし、医療分野において被測定物が生体である場合、例えば眼底測定においては非測定物である人眼は測定中にランダムに微動しているため、高速に測定を終えなければ測定像が歪んでしまうこととなる。
【0003】
特許文献1には、複数の光源を用いて走査方向に計測光を並べて走査し、測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することにより高速化する方法が開示されている。なお、この方法はタンデムスキャンと呼ばれている。臨床現場では、病状により、横スキャン、縦スキャン、ラジアルスキャンと呼ばれる放射状のスキャン等、各種パターンのスキャンが求められる。複数の光源を持ち、横スキャン、縦スキャン、ラジアルスキャン等にタンデムスキャンを行うには、眼底への計測光の配列の角度を変更する必要がある。
【0004】
タンデムスキャンで高SN比な画像を確保するには、各計測光は、走査方向に対してより平行な配列をとり、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅は、より微小範囲内に収める必要がある。近年より高分解能な画像を求めるために計測光の径を小さくし、高NAの計測光にて撮像することが行われているが、それに伴って、計測光の配列は走査方向とより微小範囲内に収めることが求められる。そのため、光走査部の走査方向と計測光の配列方向との誤差を微小にしなければならないが、光走査部の走査方向と計測光の配列方向との誤差を微小にすることは、光走査部を駆動し、各計測光の位置関係を調整しなければならない。そのため、専門家による調整が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−188114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光走査部はOCT装置の移動による振動等でずれることが多い。また、イメージローテータ等の計測光の配列の角度を変更する機構を備えた場合、OCT装置の立ち上がり時にイメージローテータの基準位置を求めるセンサを用いてイメージローテータを所定の位置に導き、その位置を原点として計測光の配列の角度を整えている。但し、イメージローテータを所定の位置に導く際に位置のばらつきが生じる。そのため、走査方向と計測光の配列方向とのずれを微小範囲内に抑え、高SN比な画像を求めるためには、定期メンテナンスや、OCT装置立ち上げ時に専門家による確認、調整が必要になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、計測光の配列に対する走査方向の幅を小さくし、高SN比な断層像を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明係る撮像装置は、複数の計測光を照射した被検査物からの複数の戻り光に基づいて、該被検査物の画像を取得する撮像装置であって、前記複数の計測光を走査する走査手段と、前記被検査物における前記複数の計測光の配列を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記走査手段の走査方向に対する前記配列を調整する配列調整手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計測光の配列に対する走査方向の幅を小さくし、高SN比な断層像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1及び第2の実施形態に係る光干渉断層撮像装置の構成を示す図である。
【図2】光ファイバの配列を示す図である。
【図3】受光部と各計測光との位置関係を示す図である。
【図4】ラインセンサLに対する計測光の配列の関係の求め方を説明するための図である。
【図5】ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きとの求め方について説明するための図である。
【図6】、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きと、各計測光間の位置関係との求め方を説明するための図である。
【図7】ラインセンサLに対する光走査部のY軸の傾きの求め方を説明するための図である。
【図8】タンデムスキャン時における計測光の配列方向での光走査部の補正方法を説明するための図である。
【図9】計測光P1、P2及びP3の距離の求め方を説明するための図である。
【図10】計測光の配列の求め方を説明するための図である。
【図11】イメージローテータ2の回転中心位置の求め方について説明するための図である。
【図12】計測光の配列に対する光走査部のXの傾きの求め方を説明するための図である。
【図13】第3及び第4の実施形態に係る光干渉断層撮像装置の構成を示す図である。
【図14】検出体を示す図である。
【図15】検出体の横の帯と計測光の配列と光走査部の傾きとの求め方について説明するための図である。
【図16】縦の帯と光走査部のY軸の走査方向との傾きの求め方について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、光干渉断層撮像装置以外にも、SLO等の走査型の撮像装置(内視鏡を含む)であれば何でも良い。また、被検査物は、被検眼以外にも被検体の皮膚等でも良い。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る光干渉断層撮像装置(以下、OCT装置と称す)の構成を示す図である。本実施形態に係るOCT装置は、光源1、光分岐部33、サンプルアーム1001、参照アーム1002、分光器1003、制御部23及び表示部24を備える。光分岐部33は、光ファイバ32、34、39及び14を介して、光源1、分光器1003、サンプルアーム1001及び参照アーム1002とそれぞれ接続されている。なお、本実施形態のOCT装置は、光断層撮像装置の適用例となる構成である。
【0013】
光源1は、低コヒーレンス光を発する光源である。ここで、光源1から射出された光(光束)は、光ファイバ32を介して光分岐部33に伝搬される。なお、光分岐部33はファイバカプラ等で構成される。参照アーム1002は、参照光学系として機能し、コリメータレンズ12と参照ミラー13とを具備する。参照アーム1002には、光分岐部33により光ファイバ39側に分岐された光(以下、参照光と称す)が入射され、その光路上に上述した構成が設けられている。参照ミラー13は、駆動部13aによる駆動力を受けて光軸方向に沿って移動する。これにより、眼軸長が異なる被検眼に対しても、参照光の光路長と後述する計測光の光路長とを一致させることができる。本実施形態では、光源1は3つの光源を持つものであり、光分岐部33並びに光ファイバ32、34、39及び14は、3つの光源に対応して、それぞれ3つ設けられている。
【0014】
サンプルアーム1001は、撮像光学系として機能し、ファイバ接続部35、イメージローテータ2、コリメータレンズ5及び光走査部6を備える。光分岐部33により光ファイバ34側に分岐された光(以下、計測光と称す)は、ファイバ接続部35において、図2(a)に示すように光ファイバ34の各々に対応して35a、35b、35cの配列で入射される。その光路上には、計測光の配列の角度を変更するためのイメージローテータ2が配置される。不図示の駆動装置によりイメージローテータ2が光路上で回転されることにより、計測光が回転され、計測光の配列の角度が変更される。
【0015】
光走査部6には、コリメータレンズ5を介して計測光が入射される。なお、光走査部6は、タンデムに配置されたX方向及びY方向に計測光を走査させるガルバノミラーで構成される。計測光は、サンプルアーム1001の光走査部6からコリメータレンズ7a及び接眼レンズ7bを介して被検眼8の眼底8rに対して走査される。なお、コリメータレンズ7aと接眼レンズ7bとの間の計測光は、平行に照射される。
【0016】
分光器1003は、ファイバ接続部15、コリメータレンズ16、分光部17、結像レンズ18及び撮像部19を備える。分光器1003には、光分岐部33から計測光(戻り光)と参照光(反射光)との合波が入射され、その光路上に上述した構成が設けられる。分光部17は、光を回折により分光する機能を果たし、例えば、光の波長に近い寸法の回折格子(グレーティング、プリズム等)が等間隔に複数配置されている。
【0017】
撮像部19は、ラインセンサ(アレイ状に並んだ撮像素子(CMOS、CCD等))で構成される。撮像部19は、ラインセンサ上に各光源1に対する検出領域19a、19b及び19cを有し、入射した光の信号を別々に検出する。そして撮像部19は、波長毎の強度に対応した信号を生成し、当該信号を制御部23に向けて出力する。
【0018】
ここで、眼底8rからの戻り光と参照ミラー13からの反射光との合波光は、位相差を有する。この位相差は、光分岐部33から眼底8rまでの光路長と、光分岐部33から参照ミラー13までの光路長との差に起因して生じる。そして、この位相差が波長により異なるため、検出領域19a〜c上に現れる分光強度分布には干渉縞が生じる。この強度分布(干渉縞)の周期を求めることにより、反射物体の位置に対応した明るさを求めることができる。
【0019】
制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUがROMからプログラムをRAMにロードして実行することにより、制御部23はOCT装置における各部の動作を制御する。即ち、制御部23は、例えばイメージローテータ2、光走査部6、駆動部13a及び撮像部19等の制御を行う。また制御部23は、CPUがROMに格納されるプログラムを実行することにより、画像生成部231及び表示制御部232の機能を実現する。画像生成部231は、撮像部19により検出された信号を解析又は演算し、被検査物である眼底8rの断層画像を生成する機能である。また、表示制御部232は、画像生成部231により生成された眼底の断層画像を表示部24に表示させる機能である。計測光の走査の仕方は、撮像目的に応じて異なってくるが、例えば、計測光を1次方向に走査させることによりBスキャン像を取得することができる。タンデムスキャンでは、イメージローテータ2で計測光の配列方向を光走査部6で走査する方向と一致させると、高SN比なBスキャン像を得ることができる。なお、イメージローテータ2は、配列調整手段の例となる構成である。
【0020】
コリメータレンズ7aと接眼レンズ7bとの間のミラー9は、計測光路上と計測光路に干渉しない位置とに駆動可能である。眼底8rに対して計測光を走査させるときにはミラー9は計測光路に干渉しない位置に駆動される。受光部10は、計測光を検出するものであり、一次元CCDラインセンサや2次元CCD等で構成される。受光部10は、ミラー9が計測光路上に配置されることにより、計測光を検出することができる。
【0021】
制御部23は、ミラー9及び受光部10等も制御する。制御部23は、受光部10で検出された信号を受け、計測光の照射位置を演算し、イメージローテータ2と光走査部6と計測光との位置関係を算出する。なお、計測光の配列状態を計測する際には、ミラー9は計測光路上に配置される。光源1から照射された光は、サンプルアーム1001を通り、ミラー9を介して計測光として受光部10に照射される。
【0022】
図3は、受光部10と各計測光との位置関係を示す図である。なお、図3の例では、一次元CCDラインセンサ(以下、単にラインセンサと称す)を受光部10として用いている。図3において、直線部Lはラインセンサであり、直線上に配置されたP1、P2及びP3は計測光である。ここではラインセンサLの長手方向をラインセンサLのY軸とし、その垂直方向をラインセンサLのX軸とする。OCT装置が立ち上がって各機器の初期駆動が終了し、ミラー9が計測光路上にあり、受光部10に計測光が照射されるとき、図3に示すように、設計上はラインセンサLの中心と計測光の配列の中心とが一致しているものとする。
【0023】
光走査部6の位置は、ラインセンサLに対して計測光がある位置となる。例えば、各誤差を含まない設計上において、中央の計測光P2がラインセンサL上のマイナス座標側を照射する場合、光走査部6の位置もマイナス座標側の位置となる。なお、スケールはラインセンサLと同じとする。
【0024】
また、イメージローテータ2は通常半回転すると、通過する光は回転するが、説明の便宜上、光の回転量をイメージローテータ2の回転量としている。また、計測光の配列をラインセンサLに対して水平になるようにしたときのイメージローテータ2の角度を0°とし、反時計回りの方向をプラス方向とする。
【0025】
先ず、制御部23は、ラインセンサLに対する計測光の配列の関係を調べる。ここでは、配列の両端である計測光P1と計測光P3とを結ぶ直線の傾きを計測光の配列の傾きとする。イメージローテータ2の回転により計測光の配列の傾きは変化する。従って、制御部23は、イメージローテータ2が計測光の配列をラインセンサLに対して水平にしようとしている回転中心位置を基準として、計測光P1と計測光P3とを結ぶ直線の傾きを求める。
【0026】
図4は、ラインセンサLに対する計測光の配列の関係の求め方を説明するための図である。本実施形態において、制御部23は、イメージローテータ2が計測光の配列をラインセンサLに対して水平にしようとしたときの、計測光の配列の誤差とイメージローテータ2の回転中心位置とを求める。
【0027】
図4(a)に示すように、制御部23は、設計値上で計測光の配列がラインセンサLに対して水平になるような位置までイメージローテータ2を回転させ、ラインセンサL上から計測光P1と計測光P3との間隔の4分の1だけラインセンサLのX軸方向に光走査部6のX軸をずらす。ここで光走査部6のX軸をずらした量をXSとすると、光走査部6の位置はラインセンサLの座標系において(XS,0)となる。
【0028】
ここでのイメージローテータ2の回転量と光走査部6のX軸の移動量とは設計値によって決定すればよい。従って、ファイバ接続部35、光走査部6及びイメージローテータ2各々の取り付け誤差や、イメージローテータ2の回転方向の原点決め時の誤差等を考慮する必要はない。なお、光走査部6のX軸の移動量は、計算上及び説明上、都合のよい位置を選んでいるものであって、イメージローテータ2を回転させたとき、計測光P1及び計測光P3がラインセンサLを通過する位置であればよい。但し、計測光P1と計測光P3との間隔の2分の1近傍の移動量は精度上好ましくない。
【0029】
制御部23は、この状態でイメージローテータ2を回転させ、計測光P1のラインセンサLの通過点を2点求める。ここでは、計測光P1の中心がラインセンサL上を通過する点を、計測光P1が通過する点とする。例えば、計測光の口径が40μm、ラインセンサLの1ピクセルが5μm×5μm、光走査部6の移動最小量が1μmであるような場合、ラインセンサLの1ピクセルより光走査部6の分解能が高い。従って、計測光の光量が最大になる点を、計測光のラインセンサLの通過点として探せばよい。
【0030】
計測光がラインセンサL上を通過するときの計測光の中心位置の求め方の一つとしては、図4(b)に示すように、制御部23は、ラインセンサLが計測光を検出するまでイメージローテータ2を回転させる。ラインセンサLが計測光を検出すると、制御部23は、そこでイメージローテータ2を停止させ、イメージローテータ2の角度を記憶させる。次に制御部23は、光走査部6のX軸をその前後で移動させ、計測光を受光しているピクセルの光量の総和とX軸の各位置とからX軸の重心位置XSCを求める。次に制御部23は、X軸の重心位置XSCに光走査部6のX軸を移動させ、ラインセンサLが受光した各ピクセルの光量の重心位置YCを計測光のY軸の中心位置として求める。以上により、計測光がラインセンサL上を通過するときの計測光の中心位置(XS−XSC,YC)が求められる。制御部23は、このように計測光のラインセンサL上の通過点(XS−XSC,YC)を求めた後、光走査部6のX軸をXSの位置に戻す。以下、計測光がラインセンサLを通過するときの計測光の中心位置の求め方は同様である。
【0031】
次に、図4(c)に示すように、制御部23は、計測光P1の中心がラインセンサL上を2回通過した分の、計測光P1の中心がラインセンサL上を通過したときのイメージローテータ2の角度θ1、θ2と、計測光P1がラインセンサL上を通過するときの計測光P1の中心位置(x1,y1)、(x2,y2)とに基づいて、光走査部6のX軸をXS移動させた状態におけるイメージローテータ2の回転中心位置rcsと、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの計測光P1の位置とを求める。なお、(x1,y1)=(XS−XSC,YC)である。同様に、制御部23は、計測光P3の中心がラインセンサL上を2回通過した分の、計測光P3の中心がラインセンサL上を通過するときのイメージローテータ2の角度と、計測光P3がラインセンサL上を通過するときの計測光P3の中心位置とに基づいて、光走査部6のX軸をXS移動させた状態におけるイメージローテータ2の回転中心位置rcsと、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの計測光P3の位置とを求める。
【0032】
ここで、イメージローテータ2の回転中心位置rcsを用いてラインセンサLに対して計測光の配列を水平にし、且つ、光走査部6のX軸をXS移動させたときの計測光P1及びP3の位置をそれぞれ、P1a(P1ax,P1ay)、P3a(P3ax,P3ay)とする。なお、P1aとP3aとを結ぶ直線の傾きは、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの、ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きθlとなる。即ち、イメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときのイメージローテータ2の角度を0度とすると、この傾きは、ラインセンサLに対するイメージローテータ2の傾きと同じことを示す。
【0033】
次に、図5を参照しながら、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きと、各計測光間の位置関係と、その位置関係を考慮してイメージローテータ2がラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの、ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きとの求め方について説明する。
【0034】
先ず、図5(a)に示すように、制御部23は、イメージローテータ2を回転させ、計測光P1及びP3の配列がラインセンサLに対して垂直になるようにする。即ち、制御部23は、90°から上記θlを差し引いた角度だけイメージローテータ2を回転させることにより、計測光P1及びP3の配列がラインセンサLに対して垂直になるようにする。このときのイメージローテータ2の駆動残差角度α(ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対して不足したイメージローテータ2の回転角度)は、計測光P1及びP3の配列に対するラインセンサLの垂直方向(X軸)の傾きとなる。
【0035】
図5(b)に示すように、制御部23は、計測光P1とP3との間上にラインセンサLがない位置まで光走査部6のX軸を移動させる。ここで制御部23は、ラインセンサLの方向に光走査部6のX軸を移動させる。そして制御部23は、計測光P3の中心及び計測光P1の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサL上の位置P3by及びP1byと、そのときの光走査部6のX軸の位置P3bx及びP1bxとから、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きθxを求める。なお、イメージローテータ2の駆動残差角度αは微小であるため、θxは次の式によって求められる。
sin(θx)=((P1by−P3by)÷(P1bx−P3bx))−sinα
【0036】
制御部23は、光走査部6をX軸側にスキャンして、計測光の中心がラインセンサL上を通る位置を求める際、光走査部6のX軸の各位置で受光したピクセルの総和の受光量を記憶する。次に制御部23は、当該総和の受光量に対する重心位置を求め、これを光走査部6のX軸側における計測光の中心位置とする。なお、当該中心位置はラインセンサL上であるのでラインセンサLのX軸の位置は0である。また、この位置でラインセンサLが受光した各ピクセルの光量の重心位置を計測光のY軸の中心位置とすればよい。
【0037】
計測光P1、P2及びP3の間の位置関係は、計測光P1の中心、計測光P2の中心及び計測光P3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサLの座標上の位置P1b(0,P1by)、P2b(0,P2by)及びP3b(0,P3by)と、そのときの光走査部6のX軸の位置P1bx、P2bx及びP3bxと、ラインセンサLに対する光走査部6のX軸の傾きθxとにより求まる。ところで、イメージローテータ2の駆動残差角度αは微小である。従って、図5(c)に示すように、光走査部6のX軸及びY軸を位置0としてイメージローテータ2が駆動残差角度α分駆動されたと仮定したとき(このときのイメージローテータ2の回転角度は90°−θl)の計測光P1、P2及びP3の各位置P1B、P2B及びP3Bは、次の式によって求められる。
P1B=P1b+(−P1bx×cosθx,P1bx×(sinα+sinθx))
P2B=P2b+(−P2bx×cosθx,P2bx×(sinα+sinθx))
P3B=P3b+(−P3bx×cosθx,P3bx×(sinα+sinθx))
【0038】
図5(d)は、イメージローテータ2の回転角度が0°であり、光走査部6のX軸及びY軸が0位置にあるときのラインセンサLと計測光との位置関係と、そのときの計測光の配列の傾きとの求め方を示している。ここでのイメージローテータ2の回転中心位置は、光走査部6のX軸及びY軸の0位置としている。また、上述したように光走査部6のX軸を、ラインセンサLのX軸方向にXS移動させたときの回転中心位置はrcsである。従って、光走査部6のX軸及びY軸が0位置にあるときのイメージローテータ2の回転中心位置RCは、次の式によって求められる。
RC=rcs−(XS×cosθx,XS×sinθx)
【0039】
次に制御部23は、イメージローテータ2の角度を0°に戻す。即ち、制御部23は図5(c)に示す位置からイメージローテータ2をθl−90°回転させる。そのときの計測光P1、P2及びP3の位置P1A、P2A及びP3Aは、次の式によって求められる。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、制御部23は、位置P1A、P2A及びP3Aの近傍を通る直線を最小自乗法等で求める。そのラインセンサLのY軸に対する傾きは、イメージローテータ2を回転させることによってラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの、ラインセンサLに対する計測光全体の配列の傾きθLとして求められる。
【0042】
図6は、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きと、各計測光間の位置関係との求め方を説明するための図であり、図5とは異なる方法を示している。
【0043】
図6(a)に示すように、制御部23は、ラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときの位置にイメージローテータ2を回転させる。そして制御部23は、ラインセンサLから計測光P1と計測光P3との間隔の4分の1、即ちXSだけX軸方向へずらした位置に光走査部6のX軸を移動させる。このときイメージローテータ2を回転、光走査部6を駆動させるときには設計値により駆動量を決めればよい。ファイバ接続部35、光走査部6及びイメージローテータ2各々の取り付け誤差、イメージローテータ2の回転方向の原点決め時の誤差を考慮する必要はない。即ち、このときの計測光P1の位置及び計測光P3の位置は、上述した処理で求めたP1a、P3aとなる。
【0044】
制御部23は、ラインセンサLの方向に光走査部6のX軸を移動させる。位置P1aと、計測光P1の中心がラインセンサLを通過したときの位置P1c(0,p1cy)とを結ぶ直線の傾きが、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きにとして求められる。そのほか、ラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きは、位置P3aと、計測光P3の中心がラインセンサLを通過したときの位置P3cとを結ぶ直線の傾きを求めることによって得てもよい。また、この位置P3aと位置P3cとを結ぶ直線の傾きと、上述した位置P1aと位置P1cとを結ぶ直線の傾きとの平均を求めることによって得てもよい。なお、図6(a)において、このラインセンサLの垂直方向(X軸)に対する光走査部6のX軸の傾きの角度は、図5(b)と同様にθxで表記してある。
【0045】
計測光P1、P2及びP3の位置関係は、図6(b)に示すように、計測光P1、P2及びP3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサL上の位置P1c(0,P1cy)、P2c(0,P2cy)及びP3c(0,P3cy)と、そのときの光走査部6のX軸の位置P1cx、P2cx及びP3cxとによって求められる。光走査部6のX軸の位置0としたときの計測光P1、P2及びP3の各位置P1A、P2A及びP3Aは、次の式によって求められる。
P1A=P1c−(P1cx×cosθx,P1cx×sinθx)
P2A=P2c−(P2cx×cosθx,P2cx×sinθx)
P3A=P3c−(P3cx×cosθx,P3cx×sinθx)
【0046】
図6(c)に示すように、制御部23は、各位置P1A、P2A及びP3Aを通る直線を最小自乗法等で求める。その直線のラインセンサLのY軸に対する傾きが、ラインセンサLに対して計測光の配列を水平にしようとしたときのラインセンサLに対する計測光の配列全体の傾きθLとして求められる。
【0047】
次に制御部23は、ラインセンサLに対する光走査部6のY軸の傾きを求める。図7は、ラインセンサLに対する光走査部6のY軸の傾きの求め方を説明するための図である。制御部23は、光走査部6のX軸を0位置にして計測光P2がラインセンサLの上部の近傍になる位置に光走査部6のY軸を移動させる。そして制御部23は、光走査部6のX軸を移動させ、計測光P2の中心がラインセンサLを通過する点を模索する。制御部23は、計測光P2の中心がラインセンサLを通過したときの光走査部6のX軸の位置P2ulxとそのときのラインセンサL上の計測光の位置P2ulyとから、光走査部6のX軸が0位置にあったときの計測光P2の位置Pu1を求める。ここでPu1は次の式によって求められる。なお、θxは、ラインセンサLに対する光走査部6のX軸のずれである。
Pu1=(−P2ulx×cosθx,P2uly×sinθx)
【0048】
次に制御部23は、光走査部6のX軸を0位置にして計測光P2がラインセンサLの下部の近傍になる位置に光走査部6のY軸を移動させる。そして制御部23は、光走査部6のX軸を移動させ、計測光P2の中心がラインセンサLを通過する点を模索する。制御部23は、計測光P2の中心がラインセンサLを通過したときの光走査部6のX軸の位置P2dlxとそのときのラインセンサL上の計測光の位置P2dlyとから、光走査部6のX軸が0位置にあったときの計測光P2の位置Pd1を求める。ここでPd1は次の式によって求められる。なお、θxは、ラインセンサLに対する光走査部6のX軸のずれである。
P2d=(−P2dlx×cosθx,P2dly×sinθx)
位置Pu1と位置Pd1とを結ぶ直線の傾きは、ラインセンサLに対する光走査部6のY軸の傾き角度θyとして求まる。
【0049】
なお、光走査部6のX軸とY軸との垂直度は誤差が微小であり、このX軸に対する垂直度がずれることが構造的にないのであれば、θx=θyとして本計測を省いてもよい。
【0050】
本実施形態では、受光部10を一次元CCDラインセンサLで構成しているが、2次元CCDで構成してもよく、2次元CCDに基準軸を設けて光走査部6を移動させ、各軸の角度誤差を計測し、各軸の補正量を求めてもよい。2次元CCDを用いた場合、イメージローテータ2等の計測光の配列の変更機構を駆動しなくとも、計測光の配列の傾きに対する光走査部6の軸の傾きを求めることができる。2次元CCDを用いて各計測光の中心位置を求めるには、計測光を受光したCCDの各ピクセルの光量の重心位置を求めればよい。
【0051】
以上のように、本実施形態においては、計測光を受光する受光部10の位置を基準として、イメージローテータ2の回転中心位置のずれと、イメージローテータ2の位置に対する計測光の位置と、その位置から求まる計測光の配列の角度と、光走査部6の各軸の角度との位置関係を求めることが可能となる。求まった角度及び位置が設計値と異なる場合には、イメージローテータ2により計測光の配列の角度を補正することができる。またそれとともに、光走査部6によりイメージローテータ2の回転中心位置と計測光の配列の中心位置とを補正することができ、計測光を設計値の位置に近づけることが可能になる。
【0052】
なお、上記計測位置は受光部10の座標を基準としている。ミラー9が計測光路上になく、計測光が接眼レンズ7b上に照射される位置と、ミラー9が計測光路上にあり、受光部10に計測光が照射される位置とに対する関係を定義し、受光部10の座標系を接眼レンズ7bの座標系と合わせる。これにより、上記計測位置を眼底8r上の座標上の位置に補正することができる。
【0053】
図8は、タンデムスキャン時における計測光の配列方向での光走査部6の補正方法を説明するための図である。タンデムスキャン時において、光走査部6を計測光の配列方向に走査させることにより、走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが必要である。例えば図8(a)に示すように、制御部23は、垂直にタンデムスキャンを行おうとすると、イメージローテータ2を−θL移動させる。ここで、イメージローテータ2の駆動分解能により−θLに対して駆動残差角度θdが生じた場合、計測光の配列自体がラインセンサLに対してθd傾いていることになる。なお、駆動残差角度θdが生じた状態とは、イメージローテータ2を−θLだけ移動させようとしたが、実際には−θL−θdだけしか移動しなかった状態である。従って、光走査部6がこのθdに水平になるように計測光をスキャンすると、よりSN比のよいタンデムスキャンを行うことができる。即ち、θy−θdは、計測光の配列方向に対する光走査部6のY軸の角度であり、θx−θdは、計測光の配列方向の垂直方向に対する光走査部6のX軸の角度である。従って、図8(a)に示すように、計測光の進行方向がY軸のプラス側である場合、配列方向θdの角度に合わせて計測光を距離l進めるためには、光走査部6のX軸及びY軸における距離に対して下記補正係数をかけた値だけ光走査部6を駆動させればよい。計測光の進行方向がY軸のマイナス側である場合、光走査部6を駆動させる値はマイナスの値をとる。また、このときX軸の補正係数は、θy−θdがマイナスの値になった場合、下記X軸の補正係数に−1をかけた値がX軸の補正係数となる。
【0054】
【数2】
【0055】
光走査部6の各軸の走査量を補正すると、光走査部6の走査方向に対する各計測光の幅を小さくすることが可能となる。このθdは、ラインセンサLに対する計測光の配列の傾きである。従って、例えば図8(b)に示すように、ラインセンサLに対して角度θT傾けた角度でタンデムスキャンを行いたい場合、制御部23は、イメージローテータ2をθT−θL移動させる。そのときの駆動残差角度をθDとし、θdをラインセンサLに対する計測光の傾きとすると、次の式のように表され、計測光を1進めるための光走査部6の軸の補正量は、上記補正式を適応することが可能になる。
θd=θT−θL−θD
【0056】
なお、上記補正式は、θTが±45°内にない場合、ラインセンサLに対して垂直方向を基準としてθdを計算し、上記補正式のX軸とY軸とを入れ替えて補正係数を求めればよい。図8(c)に示すように、計測光の進行方向がX軸のプラス側である場合、配列方向θdの角度に合わせ、計測光を距離l進めるためには、光走査部6へX軸とY軸との駆動軸に距離に対して下記補正係数をかけた値を駆動すればよい。進行方向がX軸のマイナス側であれば、距離はマイナス側の値をとる。また、このときX軸の補正係数は、θx−θdがプラスの値になった場合、下記Y軸の補正係数に−1をかけた値がY軸の補正係数となる。
【0057】
【数3】
【0058】
本実施形態では、ラインセンサLをY軸の基準として、計測光の配列と、光走査部6の各軸の傾きの誤差角度とを計測し、各駆動物の補正量を求めている。但し、光走査部6のX軸、Y軸又はイメージローテータ2の基準位置に対する計測光の配列の角度のどれかを基準として、当該基準に対する角度の誤差を計測し、各駆動部の補正量を求めてもよい。
【0059】
以上のように、受光部10が計測光を検出したときの計測光の位置及び光量と、イメージローテータ2の位置と、光走査部6との位置とに基づいて、計測光の位置と、計測光の配列の角度と、光走査部6の走査角度との位置関係が求められる。
【0060】
上記位置関係から、計測光の配列に走査部6の走査方向を合わせることが可能になるため、組立時の調整に厳密な調整を行う必要がなく、計時変化や衝撃によるずれが発生しても、計測光の配列に対する光走査部の走査方向を補正することができる。従って、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能となる。また、各計測光の位置関係を計測することができることにより、各計測光の設計値からずれているかがわかるので、ずれ分画像をずらすことで各光源が測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することが可能になる。これにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図1(b)は、本発明の第2の実施形態に係るOCT装置の構成を示す図である。ここでは、本実施形態に係るOCT装置として、フーリエドメイン方式の光干渉断層法を用いた撮像装置を例に挙げるものとする。第1の実施形態との違いは、ファイバ接続部35と光走査部6との間に計測光の角度を変更させるイメージローテータ2が存在しないことである。臨床現場においては、目に対して水平方向の断層像をとる場合が多いので、ここでは、ファイバ接続部35の計測光の配列は、水平で光ファイバ34の各光源に対して図2(a)に示す配列(35a、35b、35c)で固定されている。
【0062】
本実施形態においては、計測光の配列状態を計測するため、ミラー9を計測光路上に配置する。光源1から照射された光はサンプルアーム1001を通り、ミラー9を介して計測光として受光部10に照射される。図11は、受光部10と各計測光の位置を示す図である。本実施形態では、受光部10を一次元ラインセンサで構成した例について説明する。図11において、直線部Lはラインセンサであり、P1、P2及びP3は計測光である。ここでは、ラインセンサLをラインセンサ座標のY基準軸として取り扱う。装置が立ち上がり、各機器の初期駆動が終了し、ミラー9が計測光路上にあり、受光部10に計測光が照射されるとき、図11に示すように、設計上はラインセンサLの中心と計測光の配列の中心とが一致しているものとする。
【0063】
光走査部6の位置は、ラインセンサLに対して計測光がある位置、即ち、各誤差を含まない設計上での計測光がラインセンサL上のマイナス座標側を照射するときの光走査部6の位置はマイナス位置である。なお、スケールはラインセンサLと同じとする。
【0064】
本実施形態では、計測光の配列を変更することができない。従って、計測光P1、P2及びP3の配列と光走査部6のX軸の傾き角度θxとを求め、計測光の配列の傾きに光走査部6を補正することにより、計測光の配列の傾きに光走査部6の走査方向を合わせるようにする。
【0065】
図12は、計測光の配列に対する光走査部のXの傾きの求め方を説明するための図である。制御部23は、光走査部6のX軸を駆動し、計測光P1、P2及びP3間上にラインセンサLがない位置まで移動させる。図12(a)に示すように、制御部23は、ラインセンサL方向に光走査部6のX軸を駆動させる。そして制御部23は、計測光P1、P2及びP3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサ上の位置P1b、P2b及びP3bと、そのときの光走査部6のX軸の位置P1bx、P2bx及びP3bxとを求める。
【0066】
光走査部6でX軸側にスキャンをして計測光の中心がラインセンサL上を通る位置を求めるときは、スキャンして光走査部6のX軸の各位置で受光したピクセルの総和の受光量を覚えておく。そして、受光量に対する重心位置を求め、これをX側の計測光の中心位置(ラインセンサL上であるのでラインセンサ座標上のXの位置は0)とし、この位置でラインセンサLが受光した各ピクセルの光量の重心位置を計測光のY軸の中心位置とすればよい。ここで、P1b=(0,P1by);P2b=(0,P2by);P3b=(0,P3by);とし、計測光として離れているP1とP3とを取り上げて、計測光P1及びP3の配列に対する光走査部6のX軸の傾きとして角度θx1を求める。
tan(θx1)=(P3by−P1by)÷(P3bx−P1bx)
【0067】
しかし、光走査部6が傾いていること等により、このθxqが10°近傍と大きな値であった場合、cos誤差でも誤差が大きくなる。従って、例えば計測光P1とP3との距離が2mmであるとき、このθx1の角度で補正すると、約5um程、計測光の中心が補正された走査軸に対し幅を持つことになる。求める精度にもよるが、求まった角度θx1が大きい場合、図12(b)に示すように、光走査部6を角度θx1で補正した状態、即ち、光走査部6の走査方向を−θx1傾けて計測光の配列に近付けて再度、計測光P1及びP3に対する光走査部6の走査方向の傾きθx2を求めれば、十分な精度を得ることができる。ここで補正のための光走査部6の補正量の計算に使用する計測光の配列に対するY軸の傾きは、走査方向がX軸近傍であり、Y軸傾きによる補正量の差が少ないため、0°でもよい。但し、θx1とした方が現実的なので、θx1として計算する。なお、後述の補正係数は、配列方向θx1の角度に合わせて計測光を進めるときの光走査部6のX軸及びY軸の駆動軸に対する補正係数であり、距離と後述の補正係数とをかけた値を計測光が距離l移動するときのX軸及びY軸の各軸の駆動量とすればよい。計測光の進行方向がX軸のプラス側であれば、距離はプラスの値をとり、進行方向がX軸のマイナス側であれば、距離はマイナスの値をとる。また、このときY軸の補正係数は、θx1がプラスの値になった場合、上記Y軸の係数に−1をかけた値となる。
【0068】
【数4】
【0069】
即ち、制御部23は、この状態で再度光走査部6のX軸を駆動し、計測光P1、P2及びP3間上にラインセンサLがない位置まで移動させる。図12(b)に示すように、制御部23は、ラインセンサL方向に上記光走査部6をθx1の角度で補正した状態で光走査部6をX方向に駆動させる。そして制御部23は、計測光P1、P2及びP3の中心がラインセンサLを通過したときのラインセンサL上の位置P1b、P2b及びP3bと、そのときの光走査部6のX軸の位置P1bx、P2bx及びP3bxとから、角度θx1で補正された走査軸の角度θx2を求める。角度θx1を求めたときと同様に、P1b=(0,P1by);P2b=(0,P2by);P3b=(0,P3by);とすると、角度θx2は次の式により求められる。
【0070】
【数5】
【0071】
光走査部6の位置が0のときの計測光P1、P2及びP3の位置P1B、P2B及びP3Bは、次の式により求められる。
【0072】
【数6】
【0073】
この位置P1B、P2B及びP3Bの近傍を通る直線を最小自乗法等で求めると、この直線の傾きの角度θx3が求まる。これにより、計測光の配列に対する光走査部6のX軸と傾きの角度θxは、次の式により求められる。
θx=θx1+θx2−θx3
【0074】
なお、本実施形態では、受光部10を一次元ラインセンサLで構成しているが、2次元CCDで構成してもよく、2次元CCDに基準軸を設けてX軸の角度誤差を計測し、各駆動軸の補正量を求めればよい。このとき、各計測光の中心位置を求めるには、求める計測光から受光した2次元CCDの各ピクセルの光量の重心位置を求めればよい。
【0075】
また、受光部10を2次元CCDで構成した場合、光走査部6を各軸単一に駆動し、そのときの光走査部の位置と受光部10が計測した計測光の位置とにより、受光部10に対する光走査部6のX軸の傾き及びY軸の傾きも求まる。
【0076】
以上のように、計測光を受光する受光部10の位置を基準とすることにより、光走査部6の走査方向に対する計測光の配列の位置と、その位置から求まる計測光の配列の光走査部6に対する角度とを求めることが可能となる。求まった位置が設計値と異なる場合には、光走査部6により計測光の配列の中心位置を補正でき、計測光を設計値の位置に近づけることが可能になる。
【0077】
なお、上記計測位置は、受光部10の座標を基準としているが、ミラー9が計測光路上になく、計測光が接眼レンズ7b上に照射される位置と、ミラー9が計測光路上にあり、計測光が受光部10に照射される位置とに対する関係を定義する。これにより、受光部10の位置の座標系を接眼レンズ7bの座標系と合わせ、眼底8r上の座標として位置の補正を行うことができる。
【0078】
タンデムスキャンにおいて、光走査系の走査方向に対して各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが必要である。そのためには、計測光の配列の傾きに対して光走査系で走査方向を合わせることにより、走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能になる。即ち、求まった計測光の配列に対する光走査部6のX軸と傾きの角度θxを用い、光走査部6を次の式で補正することにより、計測光の配列に対して光走査部6の走査方向を合わすことができる。従って、光走査系の走査方向に対して各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることができる。
【0079】
【数7】
【0080】
なお、この補正係数は、配列方向θxの角度に合わせて計測光を進めるときの光走査部6のX軸及びY軸の駆動軸に対する補正係数であり、距離と上記記補正係数をかけた値を計測光が距離l移動するときのX軸及びY軸の各軸の駆動量とすればよい。計測光の進行方向がX軸のプラス側である場合、距離はプラスの値をとり、進行方向がX軸のマイナス側であれば、距離はマイナスの値をとる。また、このときY軸の補正係数は、θxがプラスの値になった場合、上記Y軸の係数に−1をかけた値となる。
【0081】
以上のように、受光部10が計測光を検出したときの計測光の位置及び光量と、光走査部6の位置とにより、計測光の位置と、計測光の配列の角度と、光走査部6の走査角度との位置関係が求められる。
【0082】
上記位置関係から、計測光の配列に走査部6の走査方向を合わせることが可能になるため、組立時の調整に厳密な調整を行う必要がなく、計時変化や衝撃によるずれが発生しても、計測光の配列に対する光走査部6の走査方向を補正することができる。従って、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能になる。また、各計測光の位置関係を計測することにより、各計測光の設計値からずれている分がわかるので、ずれ分画像をずらすことで各光源が測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することが可能になる。これにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。
【0083】
本実施形態では、ラインセンサLをY軸の基準として、計測光の配列に対する光走査部6の各軸の傾きの誤差を計測し、各駆動物の補正量を求めている。但し、他の実施形態として、光走査部のX軸、Y軸、又は計測光の配列の角度のどれかを基準として、当該基準に対する角度と位置との誤差を計測し、各駆動部の補正量を求めてもよい。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図13は、本発明の第3の実施形態に係るOCT装置の構成を示す図である。本実施形態においては、フーリエドメイン方式の光干渉断層法を用いた撮像装置を例に挙げる。第1の実施形態と第3の実施形態との違いは、受光部10の代わりに検出体11を眼底と光学的に等価な所とに設けていることにある。
【0085】
検出体11には、ミラー9が計測光路上に配置されることにより、接眼レンズ7cに計測光が照射され、検出体底部11rの断層像を計測することが可能になる。この検出体11は、図14に示すような計測光を照射する位置によって検出される断層厚さが異なる帯を持つ。ここでファイバ接続部35の計測光の配列は、水平で光ファイバ34の各光源に対して図2(a)の35a、35b及び35cに示すように固定されているものとする。
【0086】
第3の実施形態においては、計測光の配列状態を計測するために、ミラー9は計測光路上に配置される。光源1から照射された光はサンプルアーム1001を通り、ミラー9を介して計測光として検出体11に照射される。照射された計測光は、戻り光として参照光と合波されて分光器1003に入射され、断層像を取得することが可能になる。
【0087】
図14は、検出体11を示す図である。図14に示すように、検出体11は人眼に似せたものであり、水晶体の代わりにレンズ11aを持つ。計測光は、レンズ11aを介して、眼底部8rと光学的に同等なところにある検出体底部11rとに結像し、戻り光として分光器1003へ向かう。光走査部6は、レンズ11aの中心をピポットとして検出体底部11rを走査する。検出体底部11rは、ピポット部を中心とした球面を走査範囲において描いている。これにより、走査角度と検出体底部11rの座標とが比例関係になり、計測光の入射位置の誤差による位置のずれも小さくなる。
【0088】
また、図14に示すように、検出体底部11rには中央に断層像が検出される帯があり、この断層像の厚さは、帯の垂直方向に対して変化し、その断層像の厚さによって帯の垂直方向の位置を判断することができる。検出部11は、直交する2つの帯11v及び11fを十字にしたものであり、横に伸びた帯11fの中央は、縦に伸びた帯11vを横切る形になっており、中央の重なった部分は縦方向に断層像の厚さが変化しているものである。座標上縦の帯11vはY軸の基準としており、この断層像は帯に垂直な方、即ちX軸方向に計測光が照射する位置が変化すると計測される断層像の厚さが異なり、厚さによって照射されたX方向の位置が一意に求まるものである。横の帯11fにおいては、Y方向に対して計測光が照射する位置によって断層像の厚さが変わり、厚さに対してX方向の位置が一意に求まるものである。よって、厚さ横の帯11fは、厚さtに対してY方向の位置Pyが次のように求められる。
Py=fy(t)
また、縦の帯11vは、厚さtに対してX方向の位置Pxが次のように求められる。
Px=fx(t)
【0089】
本実施形態では、検出体に帯状の形状を使用している。これは、少量の計測光の位置の変化により計測する断層像の厚さの差を多くとることが可能であり、位置の分解能を上げることができる。
【0090】
また、本実施形態では、検出体底部11rはピポットを中心とした球面としているが、平面や眼球のように球状でピポットが水晶体の位置でもよく、その場合は走査角度に対する検出体底部11rの位置を補正すればよい。
【0091】
図14において、P1、P2、P3は計測光である。装置が立ち上がり各機器の初期駆動が終了し、ミラー9が計測光路上にあり、検出体11に計測光が照射される場合、図14に示すように、設計上は帯11v、11fの中心と計測光の配列の中心とが一致しているものとする。光走査部6の位置は、検出体底部11rに対して中央の計測光がある位置、即ち、各誤差を含まない設計上で中央の計測光が座標上のマイナス座標側を照射するときの光走査部6の位置は、マイナス位置としている。
【0092】
また、本実施形態におけるイメージローテータ2は、通常半回転すると通過する光は回転するが、説明の便宜上、光の回転量をイメージローテータ2の回転量としている。イメージローテータ2は、計測光を横の帯11fに対して水平になるようにしたときの角度を0°とし、反時計回りの方句をプラス方向とする。
【0093】
先ず、制御部23は、イメージローテータ2を0°の位置、即ち、計測光が設計上横の帯11fに対し水平にし、横の帯11fと光走査部6のX軸の走査方向との傾きと、計測光の配列の方向と光走査部6のX軸との傾きの概算を求める。
【0094】
図15は、検出体の横の帯11fと計測光の配列と光走査部6の傾きとの求め方について説明するための図である。イメージローテータ2は0°の位置とする。図15(a)に示すように、光走査部6のX軸及びY軸を中央に固定して横の帯11fに計測光を照射する。制御部23は、計測光P1及びP3の断層像を計測し、断層像の厚さから計測光P1及びP3のY方向の位置P1ay及びP3ayを求める。ここで、計測光P1、P3の設計値上の位置を(p1ax,0)、(p3ax,0)θとすると、横の帯11fと計測光P1及びP3の概算角度θ1は次の式で求められる。
sin(θ1)=(P1ay−P3ay)÷(p1ax−p3ax)
【0095】
横の帯11fと光走査部6のX軸との傾きは、光走査部6のX軸を駆動して求められる。図15(b)に示すように、制御部23は、上記状態のままで光走査部6のX軸を例えば(p3ax−p1ax)移動し、ここでの計測光P1の断層像を求め、断層像の厚さからこのときの13のY方向の位置P1byを求める。これにより、横の帯11fと光走査部6のX軸の傾きθxは、次の式によって求められる。
sin(θx)=(P1by−P1ay)÷(p3ax−p1ax)
また、計測光P1及びP3に対する光走査部6のX軸の走査方向の傾きの概算θ2は、次の式によって求められる。
θ2=θx−θ1
【0096】
次に、制御部23は、縦の帯11vと光走査部6のY軸の走査方向との傾きを求める。図16は、縦の帯11vと光走査部6のY軸の走査方向との傾きの求め方について説明するための図である。制御部23は、光走査部6のX軸を中央に固定して、光走査部6のY軸に計測光P2を使用し、PU、PD近傍の断層像を計測する。PUは縦の帯11fの上部、PDは縦の帯11vの下部に位置し、双方Y軸の中心にある。縦の帯11vも横の帯11fと同様に帯に垂直な方、即ち縦の帯11vにおいてはX方向に対して計測光が照射する位置によって断層像の厚さが変わり、厚さに対し一意に位置が求まるものである。
【0097】
PU、PD近傍での断層像の厚さから求まるX方句の位置をPux、Pdx、計測した時の光走査部6のY軸の位置をPuy、Pdyとすると、縦の帯11vに対する光走査部6のY軸の走査方向の角度θyは、次の式によって求められる。
Sin(θy)=(Pux−Pdx)÷(Puy−Pdy)
【0098】
次に、制御部23は、計測光P1、P2及びP3間の距離を求める。図9は、計測光P1、P2及びP3の距離の求め方を説明するための図である。制御部23は、光走査部6のY軸を中央からずらし、光走査部6のX軸を走査しても横の帯11fに計測光が照射されない位置で、光走査部6のX軸が走査して計測光縦の帯11vに計測光が照射される位置に移動させる。光走査部6の移動の際には、帯11f及び11vと走査部6との角度θx及びθyで補正して駆動される。そして制御部23は、計測光P1、P2及びP3が縦の帯11v上の位置、例えばPcの位置になるように光走査部6を駆動する。即ち、Pcの位置を(0,Pcy)、計測光P1、P2及びP3の設計値の位置をそれぞれ(p1ax,0)、(p2ax,0)、(p3ax,0)とすると、計測光P1がPc近傍の位置に照射するには光走査部6は検出体底部11rの座標系で(−p1ax,Pcy)の位置にある必要がある。これを光走査部6の座標系(X1,Y1)に変換すると、次の式のようになる。制御部23は、光走査部6をこの(X1,Y1)の位置に駆動する。
【0099】
【数8】
【0100】
制御部23は、この状態で計測光P1により断層像を計測し、求まった断層像の厚さtp1から縦の帯11v上のX方向の位置P1dxを求める。そして制御部23は、この状態から前述で求めた計測光の概略の傾きθ1の方向に光走査軸をp1ax−p2axだけ駆動する。即ち、制御部23は、計測光P2がPc上になるように駆動する。計測光P1で断層像を計測した状態から光走査部6を駆動することになる。ここで制御部23は、計測光P2により断層像を計測し、求まった断層の厚さtp2から縦の帯11v上のX方向の位置P2dxを求める。
【0101】
【数9】
【0102】
同様に、制御部23は、この状態から計測光P3をPcの位置に照射するように走査部6を計測光の概略の傾きθ1方向へp2ax−p3axだけ駆動する。そして制御部23は、計測光P3で断層像を計測し、求まった断層像の厚さtp3から縦の帯11v上のX方向の位置P3dxを求める。
【0103】
計測光P1及びP3を結ぶ方向の距離として、計測光P1及びP2間をp12xl、計測光P2及びP3間の距離をp23xl、計測光P1及びP3間の距離をp13xlとすると、次の式によって求められる。
P12xl=p2ax−p1ax−((p2dx−p1dx)÷cosθ1)
P23xl=p3ax−p2ax−((p3dx−p2dx)÷cosθ1)
P13xl=p3ax−p1ax−((p3dx−p1dx)÷cosθ1)
【0104】
図10は、計測光の配列の求め方を説明するための図である。光走査部6を中心にし、横の帯11fに計測光P1、P2及びP3を照射し、断層像を計測すると、計測光P1、P2及びP3が照射された位置の断層の厚さから求めた横の帯11fに対するX方向の位置P1ya、P2ya及びP3yaから、計測光P1、P2及びP3は、横の帯11fに対して次の位置関係を持ち、最少自乗法等で横の帯11fに対する計測光の配列の角度θfが求まる。
(−P12xl×cos(θ12),P1ya),(0,P2ya),(P23xl×cos(θ23),P3ya)
ここで、sin(θ12)=(P2ya−P1ya)÷P12xl、sin(θ23)=(P3ya−P2ya)÷P23xl
【0105】
これにより、X座標の基準となる横の帯11fに対する光走査部6のX軸の傾きθx、Y軸の基準となる縦の帯11vに対する光走査部6のY軸の傾きθy、X座標の基準となる横の帯11fに対するイメージローテータ2が横の帯11fに対し計測光の配列を水平にしようとしたときの計測光の配列の傾きθfが求まる。
【0106】
次に、イメージローテータ2の回転中心位置を求める。図11は、イメージローテータ2の回転中心位置の求め方について説明するための図である。制御部23は、光走査部6を中心位置にし、計測光P1を横の帯11f上にある位置になるようにイメージローテータ2を回転させる。ここで制御部23は、計測光P1で断層像を計測し、断層像の厚さから計測光P1の横の帯11f上のY方向の位置p1lyを求める。制御部23は、この状態からイメージローテータ2を180°回転させる。制御部23は、計測光P1にて横の帯11fの断層像を計測し、断層像の厚さから横の帯11f上のY方向の位置p1ryを求める。制御部23は、この状態から計測光P1が縦の帯11vの上部上になるようにイメージローテータ2を回転させる。制御部23は、計測光P1にて断層像を計測し、断層像の厚さから縦の帯11v上のX方向の位置p1uxを求める。制御部23は、この状態からイメージローテータ2を180°回転させる。制御部23は、計測光P1にて縦の帯11vの断層像を計測し、断層像の厚さから縦の帯11v上のx方向の位置p1dxを求める。イメージローテータ2の回転中心位置RCは、次の式によって求められる。
RC=((p1ux+p1dx)÷2,(p1ly+p1ry)÷2)
【0107】
本実施形態では、計測光の配列の傾きを変更する機構であるイメージローテータ2を備えている。但し、上記実施形態において、イメージローテータ2を駆動しているのは、最初に計測光の配列を水平にするときと、本イメージローテータ2の回転中心位置を求めるときのみである。よって、計測光の配列の角度を変更する機構が無く、計測光の配列を横の帯11fに固定している場合、イメージローテータ2の回転中心位置を求める工程を省けば計測光の配列の角度に対する光走査部6の走査軸の傾きを求めることができる。
【0108】
なお、上記計測位置は検出体底部11rの座標を基準としているが、ミラー9が計測光路上になく、計測光が接眼レンズ7b上に照射される位置と、ミラー9が計測光路上にあり、検出体底部11rに計測光が照射されている位置に対する関係を定義する。これにより、受光体底部11rの位置の座標系を接眼レンズ7bの座標系と合わせ、眼底8r上の座標として位置の補正を行うことができる。
【0109】
以上のように、計測光によって照射される位置により、検出される断層像の厚さが変化し、その断層像の厚さによって基準軸となる方向に対し位置が求まる検出体11を用いている。これにより、光走査部6の位置とそのときの計測された断層像の厚さに対応する検出体上の位置から、計測光の配列に対する走査部6の傾きを求めることができる。この傾きから計測光の配列に光走査部6の走査方向を合わせることが可能になるため、組立時の調整に厳密な調整を行う必要が無く、計時変化や衝撃によるずれが発生しても、計測光の配列に対する光走査部6の走査方向を補正することができる。従って、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅を小さくすることが可能となる。また、各計測光の位置関係が計測できることにより、各計測光の設計値からずれている分がわかるので、ずれ分画像をずらすことで各計測光が測定物の同じ測定箇所のデータ列を加算平均することが可能になる。これらのことにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。
【0110】
(第4の実施形態)
次に、本発明による第4の実施形態について説明する。図13(b)は、本発明の第4の実施形態に係わるOCT装置の構成を示す図である。本実施形態においては、フーリエドメイン方式の光干渉断層法を用いた撮像装置を例に挙げる。第1の実施形態との違いはサンプルアーム1001に接続するファイバ接続部35の代わりに、計測光の位置を駆動可能なファイバ接続部36を設けていることである。図2(b)は本実施形態でのファイバ接続部36の構成を示す図であり、ファイバ接続部36をファイバ端から見た図である。36はサンプルアーム1001に固定される。計測光は光ファイバ34各々に対応するファイバ端35i、35j、35kの配列でサンプルアーム1001に入射される。ファイバ端35i、35j、35kの位置は、駆動部36a、36b、36cにより図2(b)における上下左右方向に位置の調整が可能で制御部23の指示により駆動する。なお、ファイバ端は、それぞれの位置関係を独立に3次元方向に変更できるように構成されても良い。
【0111】
第1の実施形態において、光走査部6、イメージローテータ2を駆動し、その時のラインセンサLに入射される計測光の位置により図5(d)、図6(c)で示すように、各計測光の位置P1A,P2A,P3Aが求められる。本実施形態においては、この各計測光の位置から駆動部36a、36b、36cを駆動しファイバ端35i、35j、35kの配列を設計上の位置へ計測光の位置を修正、又は直線状になるようにすることで、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅をより微小範囲に抑えることが可能になり、これらのことにより、タンデムスキャンでは高SN比の光断層画像を得ることが可能になる。本実施形態では3つの計測光を例としているので、36a、36b、36c全てが駆動可能の必要はなく、少なくとも一つ駆動可能であればよい。
【0112】
本実施形態は第1の実施形態のファイバ接続部35を計測光の配列位置を変更可能なファイバ接続部36へ変更したものであるが、第2第3の実施形態も同様で、ファイバ接続部35を計測光の配列位置を変更可能なファイバ接続部36へ変更することにより計測光の位置を修正することが可能になる。第2の実施形態では数6で求まる計測光の位置P1B、P2B、P3Bを元に駆動部36a、36b、36cを駆動し、ファイバ端35i、35j、35kの配列を設計上の位置へ計測光の位置を修正、又は直線状になるようにすることで、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅をより微小範囲に抑えることが可能になる。第3の実施形態では図10で求まる計測光の位置P1,P2,P3を元に駆動部36a、36b、36cを駆動し、ファイバ端35i、35j、35kの配列を設計上の位置へ計測光の位置を修正、又は直線状になるようにすることで、各計測光が作り出す走査方向に対する計測光の幅をより微小範囲に抑えることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計測光を照射した被検査物からの複数の戻り光に基づいて、該被検査物の画像を取得する撮像装置であって、
前記複数の計測光を走査する走査手段と、
前記被検査物における前記複数の計測光の配列を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記走査手段の走査方向に対する前記配列を調整する配列調整手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記配列調整手段は、前記走査方向と前記取得した角度に基づいて前記配列の位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の計測光を前記検出手段の光路に分割する分割手段と、
前記配列調整手段により前記配列の角度を調整した後に、前記分割手段を光路から外す制御手段と、
を更に有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記走査手段の走査方向に対する前記配列の角度を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記被検査物における前記複数の計測光の照射位置を検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の戻り光と前記複数の計測光それぞれに対応する複数の参照光とをそれぞれ合波した複数の合波光に基づいて、前記被検査物の断層画像を取得する断層画像取得手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記検出手段により検出される前記複数の計測光の位置と、前記配列調整手段の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記検出手段は、一次元の方向に前記複数の計測光の位置を検出することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記検出手段により検出される前記複数の計測光の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段は、一次元の方向に前記複数の計測光の位置を検出し、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係は、前記走査手段の走査軸に対する前記複数の計測光の配列の角度であることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
光源から照射される複数の光を夫々計測光と参照光とに分岐させ、計測光を被検査物に導くとともに参照光を参照ミラーに導き、前記被検査物からの戻り光と前記参照ミラーからの反射光とに基づいて、前記被検査物の断層像を撮像する撮像装置であって、
直線上に配置された複数の計測光の配列の角度を調整する調整手段と、
前記調整手段によって配列の角度が調整された前記複数の計測光を走査する走査手段と、
前記調整手段と前記走査手段とを駆動することにより、前記被検査物と光学的に対応する位置に配置され、断層像を計測することが可能な検出体の断層像を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記検出体の断層像の厚さから前記複数の計測光の位置を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記複数の計測光の位置と、前記調整手段の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
光源から照射される複数の光を夫々計測光と参照光とに分岐させ、計測光を被検査物に導くとともに参照光を参照ミラーに導き、前記被検査物からの戻り光と前記参照ミラーからの反射光とに基づいて、前記被検査物の断層像を撮像する撮像装置であって、
直線上に配置された複数の計測光を走査する走査手段と、
前記走査手段を駆動することにより、前記被検査物と光学的に対応する位置に配置され、断層像を測定することが可能な検出体の断層像を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記検出体の断層像の厚さから前記複数の計測光の位置を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記複数の計測光の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記検出体は、前記複数の計測光が照射される位置により計測される断層像の厚さが異なり、計測された断層像の厚さにより前記複数の計測光が照射されている位置が一意に定まる断層構造を直交する2つの軸で有することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記複数の計測光の角度に対する前記走査手段の走査軸の傾きのずれに基づいて、前記走査手段の駆動量を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記複数の計測光の位置に基づいて、前記複数の計測光により同じ位置で計測され、加算平均される断層像のデータを選択する選択手段を更に有することを特徴とする請求項13又は14に記載の撮像装置。
【請求項1】
複数の計測光を照射した被検査物からの複数の戻り光に基づいて、該被検査物の画像を取得する撮像装置であって、
前記複数の計測光を走査する走査手段と、
前記被検査物における前記複数の計測光の配列を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記走査手段の走査方向に対する前記配列を調整する配列調整手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記配列調整手段は、前記走査方向と前記取得した角度に基づいて前記配列の位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数の計測光を前記検出手段の光路に分割する分割手段と、
前記配列調整手段により前記配列の角度を調整した後に、前記分割手段を光路から外す制御手段と、
を更に有することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記走査手段の走査方向に対する前記配列の角度を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記被検査物における前記複数の計測光の照射位置を検出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の戻り光と前記複数の計測光それぞれに対応する複数の参照光とをそれぞれ合波した複数の合波光に基づいて、前記被検査物の断層画像を取得する断層画像取得手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記検出手段により検出される前記複数の計測光の位置と、前記配列調整手段の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記検出手段は、一次元の方向に前記複数の計測光の位置を検出することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記検出手段により検出される前記複数の計測光の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段は、一次元の方向に前記複数の計測光の位置を検出し、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係は、前記走査手段の走査軸に対する前記複数の計測光の配列の角度であることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
光源から照射される複数の光を夫々計測光と参照光とに分岐させ、計測光を被検査物に導くとともに参照光を参照ミラーに導き、前記被検査物からの戻り光と前記参照ミラーからの反射光とに基づいて、前記被検査物の断層像を撮像する撮像装置であって、
直線上に配置された複数の計測光の配列の角度を調整する調整手段と、
前記調整手段によって配列の角度が調整された前記複数の計測光を走査する走査手段と、
前記調整手段と前記走査手段とを駆動することにより、前記被検査物と光学的に対応する位置に配置され、断層像を計測することが可能な検出体の断層像を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記検出体の断層像の厚さから前記複数の計測光の位置を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記複数の計測光の位置と、前記調整手段の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の配列の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
光源から照射される複数の光を夫々計測光と参照光とに分岐させ、計測光を被検査物に導くとともに参照光を参照ミラーに導き、前記被検査物からの戻り光と前記参照ミラーからの反射光とに基づいて、前記被検査物の断層像を撮像する撮像装置であって、
直線上に配置された複数の計測光を走査する走査手段と、
前記走査手段を駆動することにより、前記被検査物と光学的に対応する位置に配置され、断層像を測定することが可能な検出体の断層像を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された前記検出体の断層像の厚さから前記複数の計測光の位置を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記複数の計測光の位置と、前記走査手段の位置とに基づいて、前記複数の計測光の位置と、前記複数の計測光の角度と、前記走査手段の走査角度との関係を算出する算出手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
前記検出体は、前記複数の計測光が照射される位置により計測される断層像の厚さが異なり、計測された断層像の厚さにより前記複数の計測光が照射されている位置が一意に定まる断層構造を直交する2つの軸で有することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記複数の計測光の角度に対する前記走査手段の走査軸の傾きのずれに基づいて、前記走査手段の駆動量を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記複数の計測光の位置に基づいて、前記複数の計測光により同じ位置で計測され、加算平均される断層像のデータを選択する選択手段を更に有することを特徴とする請求項13又は14に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−31634(P2013−31634A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89354(P2012−89354)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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