説明

撮像防止装置、撮像防止方法および映像表示システム

【課題】スクリーンなどの映像表示部から表示画像とともに可視光以外の光を発することによって、再撮された映像の画質を劣化させ、再撮された画像コンテンツの利用を不可能にする。
【解決手段】本発明の映像表示システム1は、デジタル映像信号に基づいて表示画像を生成するプロジェクタ202(画像形成部)と、プロジェクタ202によって生成された画像が投射されて表示されるスクリーン203(映像表示部)とを備えている。スクリーン203の背後には、スクリーン203に映像が表示されている期間中に、映像表示面から赤外光(可視光以外の光)を発する赤外線発光ユニット204(発光部)が設けられている。映像表示部に投影される赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、実質的に人の目に視認されることのない輝度であり、かつ、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認できる程度の輝度を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンなどに表示された映画などの画像コンテンツをビデオカメラなどの画像記録装置で再撮影する行為を防ぐための映像表示の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像表示装置やデジタルカメラ等の撮影装置の普及および高画質化が進み、低コストで高画質のコンテンツを視聴することが可能となっている。しかし一方で、スクリーンやディスプレイに表示された画像、動画像などのコンテンツをデジタルビデオカメラ等の撮影装置で撮影し、撮影したコンテンツを違法に流通させる行為(再撮影行為)が問題視されている。このように不正に撮影された海賊版DVDの流通は、著作権の保護に反するとともに、経済的な損失も非常に大きいため、対策が急がれている。
【0003】
この問題の対策として、再撮者が上記画像コンテンツを撮影する際に、赤外光が共に撮影されるようにすることで、再撮画像を劣化させる方法が提案されている。赤外光が人間の眼には視認されない一方で、カメラ等の撮影装置で撮影した画像には画像コンテンツに加えて赤外光が記録されることにより、不正者による再撮行為を心理的に抑止する効果が期待されている。例えば、特許文献1には、画像コンテンツを投影するスクリーンの前方あるいは後方に低出力の赤外光投射手段を配置し、視聴者方向に赤外光を投射する再撮防止技術が開示されている。また、特許文献2には、画像コンテンツを投影するスクリーンの後方に赤外光投射手段を配置し、赤外光として800nm〜980nmの中心波長を持つ光をカメラに向けて発射することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002―341449号公報
【特許文献2】特開2010−20263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの各文献に開示された再撮防止技術では、各文献に開示されているような波長領域の赤外光を用いた場合に、スクリーン上の画像コンテンツに重ね合わせた赤外光パターンが、画像コンテンツを着色(典型的には赤色)させてしまうという問題である。これは、一般的に利用されているLED(発光ダイオード)等の光源光が可視光波長を含む場合はもちろんのこと、非可視光領域である780nm以上の赤外光領域の光を用いた場合であっても、着色現象が人間の目に知覚されてしまうことがあることが本願発明者らによる検討により判明したからである。このような発光源を映画館や劇場等で用いた場合、スクリーン上の画像コンテンツが着色し、善意の視聴者の目にも視認されてしまうという不具合が生じる問題があった。特に、映画館で上映される画像コンテンツの色彩は、映画製作者、映画配給会社、映画館関係者などが細心の注意を払い、厳しい条件下で調整を行うものであるため、上記の再撮防止技術の使用によりわずかでも画像コンテンツを着色してしまうことは許され難い。
【0006】
尚、特許文献2には、赤外光として中心波長が800nm〜980nmである光を用いることが開示されているが、一般的には、光源から出射する赤外光の波長―輝度特性は中心波長に輝度ピークを持った釣鐘状の分布を有している。つまり、例えば800nmが中心波長となる光には800nm未満の波長領域も含み得ることになり、上記の着色現象が人間の目に知覚されてしまうといった問題を生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、映画館や劇場等において、映画などの画像コンテンツに対して赤外光を重ね合わせることにより、再撮者における再撮映像の画質を確実に劣化させながら、善意の観客の目には画質の劣化を感じさせない手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像防止装置は、映像表示部に表示された映像に赤外光を重ね合わせて投射することにより、映像表示部に表示された映像が不正に撮像されるのを妨害する撮像防止装置において、少なくとも780nm以上の波長を含む赤外光を前記映像表示部に対して出射する赤外光光源と、前記赤外光源の前方に配置され、前記赤外光の所定の波長成分を実質的に非透過とする波長カットフィルタと、を有し、前記所定の波長成分が、780nm〜840nmの成分であることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、映像表示部に映像が表示されているときに、人間の目には認識されないが、ビデオカメラなどの記録装置には可視画像として記録される赤外光が映像表示部に投影される。これにより、映像表示部に赤外光が重ね合わされた際に、赤外光が着色光として人間の目に視認されることがなく、かつ、再撮された画像コンテンツ中には、オリジナルの映像を妨害する画像(再撮防止信号)として付加されることになり、再撮された画像の表示品質を効果的に劣化させることができる。
【0010】
このように、本発明の撮像防止方法によれば、映像表示部に表示される映像の表示品質を落とすことなく、再撮された映像の表示品質を劣化させることができる。したがって、再撮された画像コンテンツの利用価値を低下させ、結果として再撮された画像コンテンツの不明な流通を防ぐことができる。
【0011】
前記の所定の波長成分は、780nm〜870nmの成分であることがさらに望ましい。
【0012】
この構成により、赤外光が映像に重ね合わされたときに、着色光として人間の目に視認されることがより少なくなり、映像の劣化をより高度に防止することができる。
【0013】
前記赤外光光源は、840nmよりも長波長領域で輝度極大となる波長を有することが望ましい。
【0014】
この構成により、赤外光による着色現象を回避しながら、再撮カメラに対する妨害効果を確実かつ効果的に与えることができる。
【0015】
前記波長カットフィルタが、光透過領域と光遮断領域との間の遷移領域において30dB以上連続的に変化する特性を有していることが望ましい。
【0016】
この構成により、赤外光光源から出射される光の利用効率を損なうことなく、再撮画像に対して妨害ノイズを効果的に与えることができる。
【0017】
前記遷移領域において30dB以上連続的に減衰量が変化する波長領域が840nmと前記輝度が極大となる波長との間に存在することが望ましい。
【0018】
この構成によれば、人間の目で視認できる波長領域の光を十分にカットすることができるので、画像コンテンツの着色を生じ得ることなく良好な特性を有する撮像防止装置を提供することができる。
【0019】
前記遷移領域において30dB以上連続的に減衰量が変化する波長領域が、870nmと前記輝度が極大となる波長との間に存在することがさらに望ましい。
【0020】
この構成によれば、人間の目で視認できる波長領域の光を確実にカットすることができるので、画像コンテンツの着色を生じ得ることなく、より良好な特性を有する撮像防止装置を提供することができる。
【0021】
前記輝度極大となる波長が、920nm以下であることが望ましい。
【0022】
一般的なデジタルカメラやビデオカメラ等に搭載されているCCDやCMOSといった撮像素子が920nm以下の領域で高い感度を有するので、この構成によって、再撮しようとするカメラに対して効果的に妨害効果を与えることができる。
【0023】
前記赤外光の、前記映像表示部前方の所定位置における輝度は、0.0062nmW/cm 以上であることが望ましい。
【0024】
この構成によって、一般的なデジタルカメラやビデオカメラ等による再撮画像上で、赤外光がノイズとして視認され、再撮画像を劣化させることができる。
【0025】
前記赤外光の、前記映像表示部前方の所定位置における輝度は、0.310nmW/cm以上であることがさらに望ましい。
【0026】
この構成によって、一般的なデジタルカメラやビデオカメラ等による再撮画像上で、赤外光がノイズとしてさらに視認されやすくなり、再撮画像をさらに劣化させることができる。
【0027】
前記赤外光が投影されている、前記映像表示部表面における輝度が、1.01mW/cmを超えないことが望ましい。
【0028】
この構成によって、映画館等において、善意の観客に向けて赤外光が照射された際にも観客に対して危害を与えることがなく、安全な撮像防止装置を提供することができる。
【0029】
前記映像表示部に表示された映像の輝度に対する上記赤外光の輝度の比が、前記映像表示部表面前方の任意の位置において、0.012以上であることが望ましい。
【0030】
この構成によって、撮像防止装置を設置する際に、スクリーン前面方向の任意の場所において赤外光の調整を行うことができるので、設置に要する作業工程を簡略化することができるとともに、確実に再撮防止効果を得ることのできる撮像防止装置を提供することができる。
【0031】
前記映像表示部に表示された映像の輝度に対する上記赤外光の輝度の比が、前記映像表示部表面前方の任意の位置において、0.59以上であることが望ましい。
【0032】
この構成によって、撮像防止装置を設置する際に、スクリーン前面方向の任意の場所において赤外光の調整を行うことができるので、設置に要する作業工程を簡略化することができるとともに、より確実に再撮防止効果を得ることのできる撮像防止装置を提供することができる。
【0033】
前記赤外光光源が、LED、レーザ、キセノンランプのいずれかであることが望ましい。
【0034】
このように、一般的に入手可能な光源を用いることができるので、再撮防止装置を安価に作製することができる。
【0035】
前記赤外光光源が、可視光波長の光を出射することが望ましい。
【0036】
この構成により、赤外光光源として用いることのできる素子の選択肢が広がるので、再撮防止装置の提供がより安定的かつ安価に行うことができるようになる。
【0037】
前記赤外光光源が、複数備えられていることが望ましい。
【0038】
この構成により、単一の赤外光光源では輝度が十分でない場合にも、複数の赤外光光源を用いることで十分な発光輝度を実現することができ、撮像防止効果をより高めることが可能となる。
【0039】
また、本発明の撮像防止装置は、映像表示部に表示された映像に赤外光を重ね合わせて投射することにより、映像表示部に表示された映像が不正に撮像されるのを妨害する撮像防止装置において、780nm以上の波長を含む赤外光を出射する赤外光光源を有し、前記赤外光源から出射され、前記映像表示部に投影される赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、実質的に人の目に視認されることのない輝度であり、かつ、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認できる程度の輝度を有していることを特徴とする。
【0040】
上記の構成によれば、映像表示部に映像が表示されているときに、人間の目には認識されないが、ビデオカメラなどの記録装置には可視画像として記録される赤外光が映像表示部に投影される。これにより、映像表示部に赤外光が重ね合わされた際に、赤外光が着色光として人間の目に視認されることがなく、かつ、再撮された画像コンテンツ中には、オリジナルの映像を妨害する画像(再撮防止信号)として付加されることになり、再撮された画像の表示品質を効果的に劣化させることができる。
【0041】
このように、本発明の撮像防止方法によれば、映像表示部に表示される映像の表示品質を落とすことなく、再撮された映像の表示品質を劣化させることができる。したがって、再撮された画像コンテンツの利用価値を低下させ、結果として再撮された画像コンテンツの不明な流通を防ぐことができる。
【0042】
前記赤外光は、赤外光光源から出射した光が波長カットフィルタを通過したものであることが望ましい。
【0043】
この構成により、人間の目には認識されないが、ビデオカメラなどの記録装置には可視画像として記録される光をより高度に生成することができるため、従来問題となっていた映像の着色を確実に回避しつつ、再撮カメラに対する再撮防止効果をより確実なものとすることができる。
【0044】
また、本発明の撮像防止方法において、映像表示部に表示された映像に赤外光を重ね合わせて投射することにより、映像表示部に表示された映像が不正に撮像されるのを妨害する撮像防止方法において、前記赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、映像表示部を観察する人の目に実質的に視認されることがなく、かつ、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認可能であることを特徴とする。
【0045】
さらに、本発明の映像表示システムにおいて、映像信号に基づいて表示画像を生成する画像形成部と、前記画像形成部によって生成された画像が投射され表示される映像表示部とを備えている映像表示システムであって、前記映像表示部に映像が表示されている期間中に、該映像表示部の裏面はたは表面から前記映像表示部に赤外光を投影する赤外光照射装置を有し、前記赤外光照射装置から出射され、前記映像表示部に投影される赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、実質的に人の目に視認されることのない輝度を有すると共に、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認できる程度の輝度を有していることを特徴とする。
【0046】
上記の構成によれば、映像表示部に映像が表示されているときに、人間の目には認識されないが、ビデオカメラなどの記録装置には可視画像として記録される赤外光が映像表示部に投影される。これにより、映像表示部に赤外光が重ね合わされた際に、赤外光が着色光として人間の目に視認されることがなく、かつ、再撮された画像コンテンツ中には、オリジナルの映像を妨害する画像(再撮防止信号)として付加されることになり、再撮された画像の表示品質を効果的に劣化させることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の映像表示装置または映像表示方法によれば、映像表示部に表示される映像の表示品質を落とすことなく、再撮された画像コンテンツの表示品質を劣化させることができる。このことで、再撮画像の利用価値を低下させ、結果として再撮された画像コンテンツの不明な流通を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる映像表示システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる赤外光発光部の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施の形態における、赤外光の波長−輝度特性を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施の形態における、赤外光の波長−輝度特性と波長カットフィルタの透過特性の関係を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかる、他の赤外光発光部の概略構成を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施の形態にかかる、さらに他の赤外光発光部の概略構成を示す模式図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる、光ファイバを用いて赤外光をスクリーンへ導出する方式を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本願発明者らは、人間の視覚には赤外線や紫外線などの可視光以外の光が認知されにくいのに対して、再撮に用いられるデジタルカメラおよびデジタルビデオカメラなどの撮像素子であるCCDおよびCMOSイメージセンサでは、素子そのものの不安定性や仕様等によって、赤外線や紫外線などの可視光領域以外の波長もノイズとして検知されることに着目した。そして、映画館などのスクリーンにおいて映像を表示しているときに、画像表示面から人間による知覚が困難な波長の光を再撮防止信号として同時に照射することで、ビデオカメラなどによって再撮された画像コンテンツ中に上記再撮防止信号を知覚可能な信号として取り込むことが可能になることを見出し、本発明を完成させた。つまり、本発明によれば、ビデオカメラが取り込んだ画像コンテンツを再生した場合には、再撮防止信号に基づく画像がオリジナルの映像を妨害するノイズとして視認されるため、再撮された画像コンテンツの品質を劣化させることができる。これにより、映像の視聴が困難になり、結果として、再撮された画像コンテンツの不明な流通を防止できる。
【0050】
〔実施の形態1〕
上記のような技術思想に基づいて実現される本発明の一実施形態について、図1〜図7に基づいて説明すると以下の通りである。なお、ここで説明する具体例は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0051】
本実施の形態では、映画館や劇場などにおいて映画などの映像を上映する映像表示システムについて説明する。本実施の形態の映像表示システムによれば、劇場で上映されている映画などの画像コンテンツがビデオカメラや携帯端末に搭載されるカメラなどによって撮影された場合に、撮影されたデジタル画像コンテンツの表示品質を視聴不可能な程度に劣化させることで、再撮後の画像コンテンツが不正に流通することを防ぐことができる。
【0052】
図1には、本実施の形態にかかる映像表示システム1の概略構成を示す。映像表示システム1(映像表示装置)は、映像再生機201、プロジェクタ202(画像形成部)、スクリーン203(映像表示部、映像表示シート)、および、赤外線発光ユニット204(発光部、発光制御部)で構成されている。
【0053】
映像再生機201は、外部から取り込んだ画像コンテンツを一旦格納した後、画像形成を可能にするためのデコード処理を行い、処理後のデジタル映像信号をプロジェクタ202へ送信する。映像再生機201の構成については、従来公知のデジタル映像再生装置の構成を適用することができる。なお、本実施の形態のような映像表示システム1では、映像再生機201によって再生される画像コンテンツは、複数の画像フレームで構成されている画像コンテンツ(動画コンテンツ)が一般的であるが、本発明では必ずしもこれに限定はされない。つまり、画像コンテンツは、静止画像のコンテンツであってもよい。
【0054】
プロジェクタ202は、映像再生機201から送信された映像信号に基づいて、内蔵された表示素子において表示画像を形成し、さらに形成された画像を、内蔵された投射光学系を用いてスクリーン203に投射させる。プロジェクタ202の構成については、従来公知の前面投射型の画像表示装置の構成を適用することができる。
【0055】
スクリーン203は、プロジェクタ202から投射された画像を表示する。
【0056】
赤外線発光ユニット204は、スクリーン203の背面側に配置されており、スクリーン203に映像が表示されている期間中、赤外光を前面側に発光する。ここで、スクリーン203の背面側とは、画像が表示される面(観察者または観客席と対向している面)とは反対側のことであり、スクリーン203の前面側とは、画像が表示される側(観察者がいる側)のことである。
【0057】
ここで、スクリーン203および赤外線発光ユニット204の具体的な構成について、以下に説明する。
【0058】
スクリーン203は、映画館において映像を表示する従来の一般的なスクリーンと同様の構成である。なお、従来の一般的なスクリーンは、多数の小さな穴(2〜3mm程度の穴)を有する黒い幕の表面に白い塗料が塗布されて、画像表示面203aが形成されている。
【0059】
また、赤外線発光ユニット204は、上記のようにスクリーン203の背面側に配置されている。さらに、本実施の形態では、赤外線発光ユニット204は、スクリーン203の画像表示領域203aの中央部に対応する位置に配置されている。
【0060】
さらに、赤外線発光ユニット204には、縦3個×横3個の計9個の赤外光発光部204aが存在する。各赤外光発光部204aには、赤外LEDが設けられている。
【0061】
赤外光発光部204aの構成としては、例えば、図2(a)、(b)に示すものを用いることができる。図2(a)、(b)に示す赤外光発光部204aは、赤外光光源101、レンズ102、波長カットフィルタ103、反射板104、筐体105からなる。
【0062】
図2の赤外光発光部において、赤外光光源101として、赤外光を発する砲弾型LED素子を用いている。レンズ102は、光束を集光させ、再撮カメラへの妨害効果をより大きくするために用いられるものである。波長カットフィルタ103は、後述するとおり、赤外光が画像コンテンツを着色するのをより確実に回避しつつ、十分な再撮防止効果を得るために設けられている。波長カットフィルタ103は、赤外光光源101に近接して配置されると共に、赤外光光源101および筐体105と共に一体化されることが望ましい。これは、フィルタを透過せずにスクリーンへ到達した赤外光が画像コンテンツを着色(典型的には赤色に変色)させ、画像の劣化を招来するのを防ぐためである。
【0063】
以上の構成により、図1に示すように、赤外線発光ユニット204から発せられた赤外光は、スクリーン203に設けられた穴を通過して、観察者(観客席)に向かって照射される。
【0064】
続いて、本発明の再撮防止方法において望ましい光学特性について説明を行なう。
【0065】
本実施形態で用いている赤外LEDから出射される光は、一般的に図3に示すように、所定波長において発光強度ピーク(ピーク波長)を有する波長分布を示す。現在、赤外LED素子として入手可能な製品は多数あるが、そのピーク波長はさまざまである。一般的には、ピーク波長が短波長側にあるものほど、LED素子は可視光領域に近接した波長領域の光を出射しやすくなる。人間の目で視認できる波長、すなわち可視光領域は、その上限が780nm程度とされているものの、実際には視認可能な上限波長は人によって異なり、多くの人の目には780nmを超える波長光を視認できる。具体的には、本願発明者らによる実験を通じて、多くの人の目には赤外光領域である840nmの波長領域まで視認できることが判った。また、人間が視認できる波長の上限には個体差があり、我々の実験ではさらに長波長側の870nmの波長まで視認できることが判明した。
【0066】
このことから、少なくとも、赤外光領域である780nm〜840nmの波長光を含んだ光をスクリーンに投影すると、多くの観客の目には着色(典型的には赤色)した光として画像コンテンツに重畳されて視認され、その観客は画像コンテンツ自体に違和感あるいは不快感を覚える、という問題が生じることに発明者らは気づいた。また、特に、不特定多数の人が集まる映画館のような場所においては、さらに長波長側の870nmまでの波長の光を認識できる人が存在することが考えられる。つまり、これらの知見から、上記波長領域の赤外光が画像コンテンツと重ね合わされた場合に、画像コンテンツが着色されることにより画質劣化が生じることで、元来、厳しい評価基準の元で画質調整がなされている映画館での使用上、深刻な問題を生じることが判明した。
【0067】
以上のことから、本発明の再撮防止装置からスクリーンへ出射される光としては、以下に示す二つの条件を同時に満足する発光特性を有していることが望ましいといえる。まず第一に、780nm以上の波長領域であって、人間の目に視認され得る波長領域である780nm〜840nmの波長領域(Rh)において、スクリーン上で赤外光が、人間の目が知覚できる最低レベルの輝度L2よりも低いこと。第二に、再撮用カメラの再撮画像に影響を与える波長領域(Ri)にあり、かつ、人間の目に赤く視認され得る波長領域Rhよりも長波長領域にある、スクリーン上での赤外電力が極大となる波長(λi)において、再撮用カメラの撮像素子が感応する輝度L1を超える輝度を有すること、である。これらの条件を満たす発光素子の一例を示すと図3(a)のようになり、また、上記の二条件を数式で表せば以下の式(1)および式(2)のようになる。
【0068】
【数1】

ここで、輝度L(λ) は、λ1≦λ≦λ2となる波長λにおけるスクリーン上から所定距離(たとえば4m)離れた場所での、赤外光による単位面積当たりの電力である。
【0069】
尚、式(1)を満足する赤外光光源として、出射光のピーク波長がRhよりも長波長側にあるものを選択することが望ましい。これは、上述したとおり、赤外光光源から出射される光としては図3(a)に示すような釣鐘型の特性を有するものが一般的であるため、光源光のピーク波長が長波長側にあるものほど、短波長側での輝度が相対的に低くなる傾向を有し、結果的にRhにおける波長領域の光を含む可能性が減少するからである。
【0070】
しかしながら、一般的なデジタルカメラやビデオカメラ等に搭載されているCCDやCMOSといった撮像素子の感度は、入射光の波長が920nmを超えると急激に減衰する特性を有している。このため、赤外光光源の光学特性としてピーク波長が920nmよりも長波長側にあるほど、光源光の利用効率、つまり再撮用カメラに対する妨害効果が急激に減少することになる。従って、赤外光光源としては、そのピーク波長が920nmを超えないことが利用効率の観点からは好ましい。
【0071】
続いて、以下、スクリーンへ照射される赤外光として望ましい特性について説明を行う。
【0072】
まず、本願発明者らは、再撮カメラとして用いられる可能性のあるカメラとして、市販されている4種類(CCDビデオカメラ、CMOSビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話のカメラ)を用意し、それぞれのカメラに対して妨害効果をもたらす最低限の赤外光輝度を実験結果に基づき算出し、以下の表1中(1)のような結果を得た。
【0073】
【表1】

尚、上記最低輝度を求める上で使用した条件は以下の通りであった。
【0074】
【表2】

発明者らが行なった実験では、スクリーンには、赤外光と同時に、画像コンテンツとして40%白色の画像を、スクリーン前方に設置した投影装置から投影し、これを上記4種類のカメラでそれぞれ撮影した。この後、カメラで撮像した再撮画像を液晶ディスプレイ上で表示し、被験者が赤外光パターンを視認できたときの赤外光の最低輝度を求めた。尚、画像コンテンツとして用いた、40%白色の画像とは、テレビで放映されている画像の平均的な明るさに相当するものである。また、赤外光の最低輝度とは、スクリーン正面前方方向1.5mの位置から観察した赤外光の輝度のことである。
【0075】
この結果、表1中(1)に示されるように、再撮画像上で視認可能な最低輝度は、カメラの種類によってそれぞれ異なることがわかった。また、赤外光の輝度が少なくとも0.0072mW/cm以上であれば、少なくとも一部のカメラには妨害光としての効果があると考えられ、さらに、より多くのカメラに対して妨害効果を与えるには、0.018mW/cm以上の輝度が必要であることがわかった。
【0076】
以上のことから、図3に示したL1としては、少なくとも0.0072mW/cm以上の輝度が望ましく、より多くのカメラへ妨害効果を与えるためには0.018mW/cm以上の輝度がより望ましいといえる。
【0077】
続いて、本願発明者らは、表1(1)に示した各輝度の、画像コンテンツの輝度に対する相対輝度を検討し、表1(2)に示すような結果を得た。ここで、画像コンテンツの輝度は、0.0305mW/cmとして計算を行なった。
【0078】
尚、画像コンテンツの輝度を求める際に用いた条件は以下の通りである。スクリーンとして開口率 9.3%、ゲイン(拡散反射率)0.7、放射角度 ±70°のものを用い、このスクリーン上に、上記表1(1)での条件と同様の40%白色の画像がスクリーン全体に投影されているものとした。前記のスクリーンを放射角度 ±70°で反射光を拡散する面光源と仮定して算出したものである。
【0079】
尚、ここで求めた輝度比は、例えば、本実施形態による再撮防止装置の赤外光強度を映画館で設置および調整する際の指標として用いることができる。この輝度比は、再撮カメラが設置されそうな任意の位置において用いることができるため、測定機材の位置合わせにかかる手間を省略することができ、赤外光の強度調整を簡便化することができる。
【0080】
以上のことから、所定位置における赤外光の画像コンテンツに対する輝度比は少なくとも0.012以上であることが望ましく、より多くのカメラへ妨害効果を与えるためには0.59以上であることがさらに望ましいといえる。
【0081】
ただし、赤外光輝度を極度に増加させると、人体に悪影響を及ぼす危険性が生じるため注意を要する。そこで本願発明者らは、JIS(Japan Industrial Standard)C6802(規格名称 レーザー製品の安全基準)に準じて被爆限界を算出することで、赤外光の輝度上限を求めた。この結果、本実施形態の再撮防止方法において、少なくともスクリーン前方表面における赤外光輝度が1.01mW/cmを超えないことが望ましいことがわかった。
【0082】
尚、算出にあたり使用した条件は以下の通りである。
【0083】
【表3】

このように、算出条件としては、光源から100mmの至近距離で人が連続的に赤外光を観察し続けることを想定した。そのような条件は、本再撮防止方法の通常使用において、まずあり得ないものであるが、人体に悪影響を及ぼすことの無い、より安全な再撮防止技術を提供することを目的とし、敢えて極端と考えられる条件を用いた。
【0084】
ところで、表1(2)に示す結果からは、再撮カメラに対し確実に妨害ノイズを与えるには、画像コンテンツの輝度に対応した赤外光輝度が必要であることが理解できる。しかし、高輝度の赤外光が必要な場合など、単一の赤外LED素子で高輝度の光を出射可能なものを入手することは通常、困難である。したがって、本実施形態による撮像防止装置を作製する際、輝度アップを図るために複数の赤外LED素子を用いることが望ましい。
【0085】
ただし、複数のLED素子を用いた場合には以下の点を考慮する必要がある。これについて図4を用いて説明する。
【0086】
図4において、単一のLED素子の発光輝度分布は図4(b)に示すような特性となり、上述したように、再撮カメラに対して確実に妨害ノイズを与えることは通常、困難である。つまり、式(2)を満たさない。そこで、図4(b)に示すLED素子を複数個用いる。すると、図4(c)に示すように、ピーク輝度が増し、上述の式(2)の特性を満たすようになる。しかし、その一方で、短波長側の輝度も同時に増加し、Rhにおける輝度が、人間の目に視認される程度に増加してしまう可能性が高まる。つまり、今度は、式(2)を満足する一方で、式(1)を満足しないことになる。再撮カメラが確実に赤外光を感知するように強力な赤外光を投射すればするほど、画像コンテンツにおける着色現象もより目立って視認されるという問題が起こり得るのである。
【0087】
このような問題を回避する手法として、例えば、図4(a)に示すような透過特性を有する波長カットフィルタを用いることができる。望ましくは、フィルタの遮断域と通過域の差が50dB以上のフィルタである。さらに望ましくは、Rhにおける透過率が0%または0%近傍であり、λiにおける透過率が100%または100%近傍であるという特性を有するフィルタを用いることが望ましい。しかし、透過率が100%または100%近傍を実現できない場合には、適宜、赤外光源の光量を増大するなどの処置をとってもよい。
また、このような波長カットフィルタとしては、遷移領域(遮断域と通過域の間)が30dB以上のものがよい。さらには、この遷移領域が、人間の目で着色が観察できるRhの上限λ2(少なくとも850nm、望ましくは870nm)と、妨害光源として用いる赤外光のピーク波長(λi)との間で30dB以上の差があることが望ましい。これは、遷移領域における減衰量が30dB以上連続的に変化する波長域がRhに重なれば画像コンテンツの着色を生じやすくなるし、λiよりも長波長領域に重なってしまうと、赤外光光源の効率(つまり、再撮カメラへ妨害を与えられる赤外光の光利用効率)が著しく低下してしまうからである。
【0088】
以上説明した方法によれば、善意の観客の目には視認されることがないまま、再撮カメラの再撮画像にのみ妨害ノイズを与えることができるという、従来にない優れた効果を有する再撮防止技術を提供することができる。
【0089】
なお、以上の説明では、スクリーン背面側に赤外光光源を配置したがこれに限定されることはなく、赤外光光源をスクリーン前面側に配置してもよい。また、上記の説明では画像コンテンツをスクリーンに前面から投射する際の例を挙げて説明を行ったが、これに限定されることは無く、画像コンテンツの表示形態としては、スクリーン背面から画像コンテンツを投射するものや、液晶表示装置やプラズマ表示装置といったディスプレイを用いたものであってもよい。
【0090】
また、上述の通り、図2では、各赤外光発光部204aに赤外光光源としてLEDを1個用いたものを示したが、数はこの限りではない。例えば、図5(a)(b)のように共通の筐体内にLED素子を2個以上設けるものであってもよい。さらに、2個以上設ける場合には同じ種類のLED素子のみを用いても良いし、異なる種類のLED素子を混合させて用いることでも構わない。ここでいう「種類」とは、出射可能な波長帯域、ピーク波長、発光強度、または素子サイズなどである。
【0091】
あるいは、複数のLED素子を配置する際に、より発光素子の集積度を上げるために図6(a)(b)に示すような構成を採用してもよい。図6は、発光面において発光素子が二次元配置され、かつ、断面構造においては隣接する発光素子が相互に異なる高さに形成されているものである。このような、立体配置を採用することによって、発光素子の集積度を向上させることができ、より強力な発光輝度を有する赤外先発光ユニットを提供することが可能となる。
【0092】
尚、図2および図5に示すLED素子は砲弾型と呼ばれるタイプの素子であるが、LED素子としてはこのタイプに限定されず、図6に示すような反射型やLED素子以外の赤外光光源で代用しても構わない。また、図6のLED素子も、反射型に限定されることはなく、他の赤外光光源を用いても構わない。
【0093】
また、以上の説明では主に赤外LEDを用いたが、これに限らず、他の光源、例えば、キセノンランプやレーザーなども用いることもできる。
【0094】
さらに、以上の説明で、赤外線発光ユニットは、スクリーンの画像表示領域の中央部に対応する位置に配置されているが、これに限らず、スクリーンの中央部以外の位置、例えば隅部や端部に配置されていてもよい。また、赤外線発光ユニットは、スクリーンの背面近傍に設置するものでなく、所定の距離、離間した位置に配置するものであってもよい。例えば、図7に示すように、スクリーン303から離間して配置された赤外線光源301から光ファイバ306を用いて赤外光をスクリーンへ導出するものであってもよい。
【0095】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、ここで開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、画面に表示されたデジタル映像をビデオカメラで撮影した場合に、観客の目には視認されることがなく、撮影された画像の表示品質を劣化させることができる。したがって、本発明の撮像防止装置、撮像防止方法および映像表示システムを映画館などで利用すれば、映像コンテンツの再撮およびその不正流通を防止することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 映像表示システム(映像表示装置)
101、301 赤外光光源
102 レンズ
103 波長カットフィルタ
104 反射板
105 筐体
106、306 光ファイバ
201 映像再生機
202 プロジェクタ(画像形成部)
203、303 スクリーン(映像表示部、映像表示スクリーン)
203a 画像表示面(画像表示領域)
204 赤外線発光ユニット(発光部)
204a 赤外光発光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示部に表示された映像に赤外光を重ね合わせて投射することにより、映像表示部に表示された映像が不正に撮像されるのを妨害する撮像防止装置において、
少なくとも780nm以上の波長を含む赤外光を前記映像表示部に対して出射する赤外光光源と、
前記赤外光光源の前方に配置され、前記赤外光の所定の波長成分を実質的に非透過とする波長カットフィルタと、を有し、
前記所定の波長成分が、780nm〜840nmの成分であることを特徴とすることを特徴とする撮像防止装置。
【請求項2】
前記所定の波長成分が、780nm〜870nmの成分であることを特徴とすることを特徴とする、請求項1記載の撮像防止装置。
【請求項3】
前記赤外光光源が、840nmよりも長波長領域で輝度極大となる波長を有することを特徴とする、請求項1または2記載の撮像防止装置。
【請求項4】
前記波長カットフィルタが、光透過領域と光遮断領域との間の遷移領域において30dB以上連続的に変化する特性を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項5】
前記遷移領域において30dB以上連続的に変化する波長領域が840nmと前記輝度が極大となる波長との間に存在することを特徴とする、請求項4記載の撮像防止装置。
【請求項6】
前記遷移領域において30dB以上連続的に変化する波長領域が、870nmと前記輝度が極大となる波長との間に存在することを特徴とする、請求項5の撮像防止装置。
【請求項7】
前記輝度極大となる波長が、920nm以下であることを特徴とする、請求項3記載の撮像防止装置。
【請求項8】
前記赤外光の、前記映像表示部表面における輝度が、0.0062nmW/cm以上であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項9】
前記赤外光の、前記映像表示部表面における輝度が、0.310nmW/cm以上であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項10】
前記赤外光が投影されている、前記映像表示部表面における輝度が、1.01nmW/cmを超えないことを特徴とする、請求項1から9のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項11】
前記映像表示部に表示された映像の輝度に対する上記赤外光の輝度の比が、0.012以上であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項12】
前記映像表示部に表示された映像の輝度に対する上記赤外光の輝度の比が、0.59以上であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項13】
前記赤外光光源が、LED、レーザ、キセノンランプのいずれかであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項14】
前記赤外光光源が、可視光波長の光を出射することを特徴とする、請求項1から13のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項15】
前記赤外光光源を複数備えていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか記載の撮像防止装置。
【請求項16】
映像表示部に表示された映像に赤外光を重ね合わせて投射することにより、映像表示部に表示された映像が不正に撮像されるのを妨害する撮像防止装置において、
780nm以上の波長を含む赤外光を出射する赤外光光源を有し、
前記赤外光光源から出射され、前記映像表示部に投影される赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、実質的に人の目に視認されることのない輝度であり、かつ、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認できる程度の輝度を有していることを特徴とする撮像防止装置。
【請求項17】
前記赤外光が、赤外光光源から出射した光が波長カットフィルタを通過したものであることを特徴とする、請求項16記載の撮像防止装置。
【請求項18】
映像表示部に表示された映像に赤外光を重ね合わせて投射することにより、映像表示部に表示された映像が不正に撮像されるのを妨害する撮像防止方法において、
前記赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、映像表示部を観察する人の目に実質的に視認されることがなく、かつ、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認可能であることを特徴とする撮像防止方法。
【請求項19】
映像信号に基づいて表示画像を生成する画像形成部と、
前記画像形成部によって生成された画像が投射され表示される映像表示部とを備えている映像表示システムであって、
前記映像表示部に映像が表示されている期間中に、該映像表示部の裏面はたは表面から前記映像表示部に赤外光を投影する赤外光照射装置を有し、
前記赤外光照射装置から出射され、前記映像表示部に投影される赤外光が、780nm〜840nmの波長領域で、実質的に人の目に視認されることのない輝度を有すると共に、輝度極大となる波長で、前記映像をカメラで撮像した画像上で視認できる程度の輝度を有していることを特徴とする映像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180172(P2011−180172A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41338(P2010−41338)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】