説明

撮影システム

【課題】希望する被写体の撮影可能性を容易に知ることができる撮影システムを提供する。
【解決手段】撮影システム10は、カメラ付き携帯電話機11と、通ネットワーク13を介して接続された画像管理サーバ12とからなる。携帯電話機11は、撮影実行後には、撮影画像を画像管理サーバ12に送信し、撮影待機時には、ユーザによって設定された被写体の種別を画像管理サーバ12に送信する。画像管理サーバ12は、受信した撮影画像を画像中の被写体の種別に基づいて分類する分類部24と、分類された撮影画像が登録される画像DB26と、受信した被写体の種別に合致する画像をDB26から検索し、被写体の撮影位置情報を携帯電話機11に送信する検索部25とを備える。携帯電話機11は、受信した撮影位置情報に基づき、GPS衛星22からのGPS信号によって特定した現在位置から所定範囲内に該被写体が存在する可能性を表示パネルに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影機能および通信機能を備えた携帯端末と、この携帯端末から送られた撮影画像を管理する画像管理サーバとからなる撮影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は、インターネット接続機能や撮影機能を備えたものが普及している。このようなカメラ付き携帯電話機は、どこでも気軽に撮影を行うことができ、撮った画像を、他の携帯電話機や、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータなどに即座に簡単に送信することができる。また、近年の携帯電話機には、GPS(Global Positioning System)による現在位置特定機能を備え、携帯電話機本体の現在位置を取得できるものもある。
【0003】
携帯電話機は、通常、屋外で使用されるため、ユーザは、撮った画像中の被写体(動物や植物など)の情報(名称、種類、特徴など)をその場で知ることができない。そこで、携帯電話機などの携帯端末で撮影された画像を、インターネットを介してサーバに送り、サーバが画像中の被写体を識別して、その被写体情報を携帯端末に送信するようにした種々の撮影システムが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2003−132062号公報
【特許文献2】特開2003−323620号公報
【特許文献3】特開2004−145416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜3記載の撮影システムでは、携帯端末から送られた撮影画像中の被写体を解明することが目的とされているだけである。
【0005】
本発明は、携帯端末の現在位置特定機能を利用し、希望する被写体(動物や植物など)の撮影可能性を容易に知ることができる新規の撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮影システムは、撮影機能および通信機能を備えた携帯端末と、この携帯端末と通信ネットワークを介してデータ通信を行い、前記携帯端末から送られた撮影画像を管理する画像管理サーバとからなる撮影システムにおいて、前記携帯端末は、現在位置を特定する現在位置特定手段と、ユーザが希望する被写体の種別を設定する設定手段と、撮影実行後に撮影位置情報を付加した撮影画像を前記画像管理サーバに送信し、撮影待機時に前記設定手段によって設定された前記種別を前記画像管理サーバに送信する通信制御手段と、前記画像管理サーバから受信した前記被写体の撮影位置情報に基づき、現在位置から所定範囲内に前記被写体が存在する可能性をユーザに報知する報知手段とを備え、前記画像管理サーバは、前記携帯端末から受信した前記撮影画像を画像中の被写体の種別に基づいて分類する分類手段と、この分類手段によって分類された前記撮影画像が登録されるデータベースと、前記携帯端末から受信した前記種別に合致する画像を前記データベースから検索し、前記被写体の撮影位置情報を前記携帯端末に送信する検索手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
なお、前記通信ネットワークには、画像表示および種別の回答入力を可能とする端末が接続されており、前記分類手段は、前記携帯端末から受信した前記撮影画像の分類が不能であった場合に、前記撮影画像とともに分類不能であることを前記端末に送信し、前記端末に入力された回答を受けて前記撮影画像の分類を行うことが好ましい。
【0008】
また、前記通信ネットワークには、画像表示および種別の回答入力を可能とする複数の端末が接続されており、前記分類手段は、前記携帯端末から受信した前記撮影画像の分類が不能であった場合に、前記撮影画像を前記複数の端末に送信し、前記複数の端末から入力された複数の回答を受けて多数決を行い、最多の回答に基づいて前記撮影画像の分類を行うことも好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の撮影システムによれば、携帯端末は、撮影画像を管理する画像管理サーバから所望の被写体の撮影位置情報(過去の撮影ポイント)を受信し、現在位置から所定範囲内に該被写体が存在する可能性をユーザに報知するので、ユーザは、該被写体の撮影可能性を容易に知ることができ、該被写体が現れたとき、シャッタチャンスを逃さずに素早く撮影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1において、撮影システム10は、カメラ付き携帯電話機11(以下、単に携帯電話機11という)と、携帯電話機11から送られる撮影画像を管理する画像管理サーバ12とからなり、携帯電話機11と画像管理サーバ12とは、移動体通信網やインターネットなどの通信ネットワーク13を介してデータ通信可能に接続されている。
【0011】
携帯電話機11は、図2に示すように、コントローラ14、操作部15、通話/通信部16、マイク17、スピーカ18、表示パネル19、撮像部20、および現在位置特定部21からなる。コントローラ14は、操作部15からの操作指示に従って携帯電話機11の各部を制御する。通話/通信部16は、通話モード時において、マイク17に入力された音声を電波としてアンテナ16aから送信するとともに、アンテナ16aが受信した電波を音声としてスピーカ18から出力させる。また、通話/通信部16は、撮影モードにおいて、撮影画像などの各種データをアンテナ16aから送信するとともに、アンテナ16aが受信したデータをコントローラ14に入力する。
【0012】
撮像部20は、操作部15からの撮影指示を受けて被写体像を撮像する。被写体像は、撮像部20が備える固体撮像素子によって光電変換され、デジタル化処理等が施された後、撮影画像としてコントローラ14に送られる。
【0013】
現在位置特定部21は、内蔵されたGPSアンテナ21aによって複数のGPS衛星22からGPS信号を受信し、携帯電話機11の現在位置(経度および緯度)を特定する。この現在位置情報は、コントローラ14に送られる。
【0014】
コントローラ14には、メモリ14aが内蔵されている。メモリ14aには、各種設定情報の他に、撮像部20から送られる撮影画像、現在位置特定部21から送られる現在位置情報などが記憶される。ユーザは、操作部15を操作して撮影したい被写体(動物や植物など)の種別を設定することができ、この被写体の種別はメモリ14aに記録される。なお、操作部15は設定手段として機能する。
【0015】
携帯電話機11は、コントローラ14の制御に基づき、撮影待機時には操作部15によって設定された被写体の種別を、撮影実行後には現在位置特定部21によって特定される撮影位置情報を付加した撮影画像を、通信ネットワーク13を介して画像管理サーバ12に送信する。なお、コントローラ14は、通信制御手段として機能する。
【0016】
画像管理サーバ12には、通信インターフェース23、分類部24、検索部25、および画像データベース(DB)26が設けられている。通信インターフェース23は、通信ネットワーク13を介して携帯電話機11との間で各種データを送受信する。分類部24は、通信インターフェース23によって受信された撮影画像を、画像中の被写体の種別に基づいて分類し、画像DB26に登録する。なお、画像DB26には、複数の携帯電話機11によって、様々な地点で撮影された撮影画像が登録されており、画像管理サーバ12が新たな撮影画像を受信するたびに随時更新される。
【0017】
検索部25は、通信インターフェース23によって受信された被写体の種別に基づき、この種別に合致する画像を画像DB26から検索し、被写体の撮影位置情報(過去の撮影ポイント)を抽出する。この撮影位置情報は、通信インターフェース23を介して、上記種別の送信を受けた携帯電話機11に送信(返信)する。
【0018】
携帯電話機11は、被写体の撮影位置情報を通話/通信部16を介して受信し、メモリ14aに記録する。コントローラ14は、現在位置特定部21によって特定された現在位置を、メモリ14a内の撮影位置情報と比較し、現在位置から所定範囲内に被写体が存在する可能性を、表示パネル19にメッセージを表示させる。
【0019】
例えば図3に示すように、携帯電話機11の現在位置P0に対して半径Rの範囲が設定され、被写体の撮影位置情報(過去の撮影位置P1〜P4)が画像管理サーバ12から得られた場合、表示パネル19には、例えば図4に示すように、メッセージ27を表示させる。なお、コントローラ14および表示パネル19は、ユーザへの報知手段として機能する。携帯電話機11のユーザは、このメッセージにより、現在位置P0が、被写体の出現頻度が高く、撮影可能性が高い場所であることを知ることができる。
【0020】
以下に、上記構成による作用について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。携帯電話機11が撮影モードに設定され、撮影待機状態に入ると、まず、操作部15によって設定された被写体の種別が、通話/通信部16によって画像管理サーバ12に送信される(ステップS1)。この被写体の種別は、画像管理サーバ12の通信インターフェース23によって受信され(ステップS2)、検索部25によって画像DB26中から画像検索が行われる(ステップS3)。検索部25は、該種別に合致する画像から撮影位置情報を抽出し、この撮影位置情報を、通信インターフェース23を介して携帯電話機11に送信する(ステップS4)。
【0021】
画像管理サーバ12から送られた被写体の撮影位置情報は、携帯電話機11の通話/通信部16によって受信され、メモリ14aに格納される(ステップS5)。コントローラ14は、現在位置特定部21から現在位置情報を取得してメモリ14aに格納し、該撮影位置情報と現在位置の比較を行い(ステップS6)、所定範囲内に該被写体が存在する可能性を表示パネル19に表示する(ステップS7)。
【0022】
次いで、操作部15により撮影指示がなされると(ステップS8のYes)、撮像部20によって撮影処理が実行され、メモリ14aに撮影画像が格納される(ステップS9)。この撮影画像は、通話/通信部16によって画像管理サーバ12に送信され(ステップS10)、画像管理サーバ12の通信インターフェース23によって受信される(ステップS11)。受信された撮影画像は、分類部24により、被写体の種別に基づいて分類され(ステップS12)、画像DB26に登録される(ステップS13)。なお、画像DB26には、他の携帯電話機11からの撮影画像も随時登録される。
【0023】
携帯電話機11は、操作部15により終了指示(モード切り替え等による)がなされる(ステップS14のNo)までの間は、上記ステップS6〜S13を繰り返し実行し、終了指示がなされると(ステップS14のYes)、本撮影モードを終了する。これにより、携帯電話機11のユーザは、希望する被写体の撮影可能性を容易に知ることができ、該被写体が現れたとき、シャッタチャンスを逃さずに素早く撮影を行うことができる。
【0024】
上記実施形態では、表示パネル19にメッセージ表示を行うことにより、被写体の存在可能性をユーザに報知するようにしているが、これに代えて、携帯電話機11に設けたLEDの点灯や、音声の出力などによって報知を行うようにしても良い。
【0025】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図6において、撮影システム30は、通信ネットワーク13に接続された携帯電話機11、画像管理サーバ31、およびパーソナルコンピュータ(PC)32からなる。なお、上記第1実施形態と同一の符号を付した部分は、上記と同一の動作を行い、詳しい説明は省略する。
【0026】
画像管理サーバ31は、上記第1実施形態の画像管理サーバ12とは、分類部33が異なる。分類部33は、撮影画像を分類して画像DB26に登録することの他、撮影画像の被写体の種別が判別できず(珍しい動植物などの場合)、分類が不能である場合には、該撮影画像とともに分類不能であることを、通信インターフェース23を介してPC32に送信する。また、分類部33は、通信インターフェース23を介してPC32から回答(被写体の種別について)を受け取り、この回答に基づいて、該撮影画像を分類し、画像DB26に登録する。
【0027】
PC32は、該撮像画像および通知の表示を行い、該撮像画像中の被写体の種別について回答入力が可能に構成されている。なお、PC32は、各分野の専門家に操作され、該撮像画像中の被写体の種別について適切な回答が入力される。
【0028】
上記構成により、撮影システム30は、携帯電話機11で撮影された撮影画像が画像管理サーバ31によって分類不能であった場合に、PC32を介して専門家に通知し、種別についての適切な回答を得るので、常に適切な分類を行うことができる。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図7において、撮影システム40は、通信ネットワーク13に接続された携帯電話機11、画像管理サーバ41、および複数のPC32からなる。なお、上記第1または第2実施形態と同一の符号を付した部分は、上記と同一の動作を行い、詳しい説明は省略する。
【0030】
画像管理サーバ41は、上記第2実施形態の画像管理サーバ12とは、分類部42が異なる。分類部42は、撮影画像の被写体の種別が判別できず(珍しい動植物などの場合)、分類が不能である場合には、該撮影画像とともに分類不能であることを、通信インターフェース23を介して複数のPC32に一括送信する。また、分類部42は、通信インターフェース23を介して複数のPC32から複数の回答(被写体の種別について)を受け取り、多数決を取り、最多の回答に基づいて該撮影画像を分類し、画像DB26に登録する。
【0031】
上記構成により、撮影システム40は、携帯電話機11で撮影された撮影画像が画像管理サーバ31によって分類不能であった場合に、複数のPC32を介して複数の専門家に通知し、種別についての複数の回答を多数決して適切な回答(最多の回答)を得るので、より適切な分類を行うことができる。
【0032】
なお、上記第1〜第3実施形態では、携帯端末として携帯電話機11を例示しているが、本発明はこれに限定されず、通信機能を内蔵したデジタルカメラやPDA(Personal Digital Assistance)などであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】撮影システムの構成を示す図である。
【図2】携帯電話機の電気構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話機の現在位置および被写体の過去の撮影位置の一例を示す図である。
【図4】表示パネルに表示されるメッセージの一例を示す図である。
【図5】撮影システムの作用を説明するフローチャートである。
【図6】第2実施形態の撮影システムの構成を示す図である。
【図7】第3実施形態の撮影システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10,30,40 撮影システム
11 カメラ付き携帯電話機
12 画像管理サーバ
13 通信ネットワーク
14 コントローラ
14a メモリ
15 操作部
16 通話/通信部
19 表示パネル
20 撮像部
21 現在位置特定部
22 GPS衛星
23 通信インターフェース
24,33,42 分類部
25 検索部
27 メッセージ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機能および通信機能を備えた携帯端末と、この携帯端末と通信ネットワークを介してデータ通信を行い、前記携帯端末から送られた撮影画像を管理する画像管理サーバとからなる撮影システムにおいて、
前記携帯端末は、現在位置を特定する現在位置特定手段と、ユーザが希望する被写体の種別を設定する設定手段と、撮影実行後に撮影位置情報を付加した撮影画像を前記画像管理サーバに送信し、撮影待機時に前記設定手段によって設定された前記種別を前記画像管理サーバに送信する通信制御手段と、前記画像管理サーバから受信した前記被写体の撮影位置情報に基づき、現在位置から所定範囲内に前記被写体が存在する可能性をユーザに報知する報知手段とを備え、
前記画像管理サーバは、前記携帯端末から受信した前記撮影画像を画像中の被写体の種別に基づいて分類する分類手段と、この分類手段によって分類された前記撮影画像が登録されるデータベースと、前記携帯端末から受信した前記種別に合致する画像を前記データベースから検索し、前記被写体の撮影位置情報を前記携帯端末に送信する検索手段とを備えることを特徴とする撮影システム。
【請求項2】
前記通信ネットワークには、画像表示および種別の回答入力を可能とする端末が接続されており、前記分類手段は、前記携帯端末から受信した前記撮影画像の分類が不能であった場合に、前記撮影画像とともに分類不能であることを前記端末に送信し、前記端末に入力された回答を受けて前記撮影画像の分類を行うことを特徴とする請求項1記載の撮影システム。
【請求項3】
前記通信ネットワークには、画像表示および種別の回答入力を可能とする複数の端末が接続されており、前記分類手段は、前記携帯端末から受信した前記撮影画像の分類が不能であった場合に、前記撮影画像を前記複数の端末に送信し、前記複数の端末から入力された複数の回答を受けて多数決を行い、最多の回答に基づいて前記撮影画像の分類を行うことを特徴とする請求項1記載の撮影システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−102575(P2007−102575A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292809(P2005−292809)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】